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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175642
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20221117BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20221117BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221117BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20221117BHJP
【FI】
H04W72/04
H04W88/02 150
H04W84/12
H04B17/309 200
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082243
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠置 崇裕
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067EE02
5K067JJ21
5K067JJ31
5K067LL08
(57)【要約】
【課題】製品状態の被測定物との無線通信接続を確立した状態で、被測定物がサポートする複数のチャネルでのRF測定を自動化することができる測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】DUT100がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御部12と、チャネル選択制御部12により選択されたチャネルでDUT100との無線通信接続を行う無線通信部13と、無線通信部13とDUT100との無線通信接続が行われているチャネルにおけるDUT100の送受信特性を測定するRF測定部14と、を備え、チャネル選択制御部12は、RF測定部14による現在のチャネルでの測定完了後に、無線通信部13とDUT100との無線通信接続を切断することなく、現在のチャネルを複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物(100)がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御部(12)と、
前記チャネル選択制御部により選択されたチャネルで前記被測定物との無線通信接続を行う無線通信部(13)と、
前記無線通信部と前記被測定物との無線通信接続が行われているチャネルにおける前記被測定物の送受信特性を測定するRF測定部(14)と、を備え、
前記チャネル選択制御部は、前記RF測定部による現在のチャネルでの測定完了後に、前記無線通信部と前記被測定物との無線通信接続を切断することなく、前記現在のチャネルを前記複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行うことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記チャネル選択制御部は、IEEE802.11に準拠したChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを前記無線通信部から前記被測定物に送信させた後に、前記現在のチャネルを前記複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
被測定物(100)がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御ステップ(S2,S22,S25)と、
前記チャネル選択制御ステップにより選択されたチャネルで無線通信部(13)と前記被測定物との無線通信接続を行う無線通信ステップ(S3,S26)と、
前記無線通信部と前記被測定物との無線通信接続が行われているチャネルにおける前記被測定物の送受信特性を測定するRF測定ステップ(S6,S29)と、を含み、
前記チャネル選択制御ステップは、前記RF測定ステップによる現在のチャネルでの測定完了後に、前記無線通信部と前記被測定物との無線通信接続を切断することなく、前記現在のチャネルを前記複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行うことを特徴とする測定方法。
【請求項4】
前記チャネル選択制御ステップは、IEEE802.11に準拠したChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを前記無線通信部から前記被測定物に送信させた後に、前記現在のチャネルを前記複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び測定方法に関し、特に、無線LANの通信規格に基づいて動作する被測定物の送受信特性を測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の発展に伴って多様な無線通信技術が開発されている。このうち無線LANの技術に関する通信規格の1つにIEEE802.11がある。IEEE802.11の規格に従うシステムの場合、AP(Access Point、アクセスポイントとも呼ぶ)と呼ばれる親機と、そのAPに接続するSTA(Station、ステーションとも呼ぶ)と呼ばれる子機とが通信をする形態をとるものがある。
【0003】
APは、20MHz帯域幅を最小帯域幅としてチャネルの使用状況を監視し、STAに対して通信が可能であるチャネルをビーコンフレームによって通知する。
【0004】
無線LANデバイスを被測定物(Device Under Test:DUT)とした送受信特性の測定(以下、「RF測定」とも称する)を行う測定装置は、無線LANデバイスがサポートする全てのチャネル(周波数帯)でRF測定を行うために、チャネルの切り替え機能を有する必要がある。無線LANデバイスのRF測定は、主に、ダイレクトモード又はネットワークモードで行われる。ダイレクトモードは、PC制御により無線LANデバイスが使用するチャネルを切り替えながら測定を行うモードである。一方、ネットワークモードは、製品状態の無線LANデバイスを測定装置とネットワーク接続した状態で、無線LANのプロトコルを使用してチャネルを切り替えながら測定を行うモードである。無線LANデバイスとのネットワーク接続を確立せずに無線LANデバイスをソフトウェア的に制御するダイレクトモードでの測定と、ネットワークモードでの測定とでは、無線LANデバイスの送信電力等に差が発生する場合があるため、ネットワークモードでRF測定を実施する意義がある。
【0005】
従来、製品状態のSTA(スマートフォンなど)をDUTとし、ネットワークモードにおけるRF測定でチャネルを変更する際、以下のような手順でチャネルの変更が実施されていた。
(1)測定装置(AP)からSTAを切断
(2)測定装置のチャネルを変更
(3)STAが各チャネルをスキャンし、測定装置(AP)を検出したらSTAから再接続
(4)RF測定
【0006】
このうち、手順(3)はIEEE802.11で規定されておらず、STAの実装によって振る舞いが変わる。そのため、STAが必ず再接続を行うとは限らない。
【0007】
ところで、無線LANデバイスをDUTとしてネットワークモードで測定を行う測定装置として、DUTが要求するチャネルにおけるパケットエラー測定やスループット測定を行う測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6695821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の測定装置は、ネットワークモードで測定を行う場合には、DUTの実装に依存してチャネル切り替えの度にユーザがDUTを操作しなければならない場合があり、試験系の自動化の妨げになっていた。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、製品状態の被測定物との無線通信接続を確立した状態で、被測定物がサポートする複数のチャネルでのRF測定を自動化することができる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る測定装置は、被測定物がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御部と、前記チャネル選択制御部により選択されたチャネルで前記被測定物との無線通信接続を行う無線通信部と、前記無線通信部と前記被測定物との無線通信接続が行われているチャネルにおける前記被測定物の送受信特性を測定するRF測定部と、を備え、前記チャネル選択制御部は、前記RF測定部による現在のチャネルでの測定完了後に、前記無線通信部と前記被測定物との無線通信接続を切断することなく、前記現在のチャネルを前記複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行う構成である。
【0012】
この構成により、本発明に係る測定装置は、RF測定部による現在のチャネルでのRF測定の完了後に、無線通信部とDUTとのネットワーク接続を切断することなく、現在のチャネルを他のチャネルに切り替えるようになっている。これにより、本発明に係る測定装置は、製品状態のDUTとのネットワーク接続を確立したネットワークモードにおいて使用するチャネルを変更する際に、ユーザがDUTの操作を行う必要がないため、DUTがサポートする複数のチャネルでのRF測定を自動化することができる。
【0013】
また、本発明に係る測定装置においては、前記チャネル選択制御部は、IEEE802.11に準拠したChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを前記無線通信部から前記被測定物に送信させた後に、前記現在のチャネルを前記複数のチャネルのうちの他のチャネルに切り替える制御を行う構成であってもよい。
【0014】
この構成により、本発明に係る測定装置は、IEEE802.11に準拠したChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを無線通信部からDUTに送信することで、変更先のチャネルをあらかじめDUTに通知するようになっている。これにより、本発明に係る測定装置は、無線通信部とDUTとのネットワーク接続を切断することなく、現在のチャネルを他のチャネルに切り替えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、製品状態の被測定物との無線通信接続を確立した状態で、被測定物がサポートする複数のチャネルでのRF測定を自動化することができる測定装置及び測定方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る測定装置による1回目のRF測定の流れを説明するためのシーケンス図である。
図3】従来の測定装置による2回目以降のRF測定の流れを説明するためのシーケンス図である。
図4】Channel Switch Announcement frameのフォーマットを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る測定装置による2回目以降のRF測定の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る測定装置及び測定方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る測定装置1は、DUT100と無線通信を行って、DUT100の送受信特性を測定するものである。本実施形態の測定装置1が測定対象とする周波数帯は、例えば、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯などである。本実施形態では、測定装置1はAPとして動作し、DUT100はSTAとして動作する。DUT100は、例えば、ルータなどの伝送装置、あるいは例えばスマートフォン、ノートパソコンなどの携帯端末などである。なお、測定装置1は、IEEE802.11に準拠する通信規格に基づいて、DUT100と無線通信するものとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の測定装置1は、信号生成部11と、チャネル選択制御部12と、無線通信部13と、RF測定部14と、ユーザインタフェース部15と、制御部16と、を備え、複数のチャネルから構成される無線回線を使用して、DUT100の送受信特性を測定するようになっている。
【0020】
信号生成部11は、DUT100と通信するための制御データや、測定に関する各種データを含む信号を生成するようになっている。
【0021】
チャネル選択制御部12は、DUT100がサポートする複数のチャネルの中からDUT100が使用する1つのチャネルを選択するようになっている。
【0022】
無線通信部13は、チャネル選択制御部12により選択されたチャネルでDUT100とのネットワーク接続(無線通信接続)を行う。なお、DUT100と無線通信部13とは、同軸ケーブルなどで有線接続されることでネットワーク接続されてもよい。あるいは、電波暗室内にDUT100と無線通信アンテナを設置し、無線通信アンテナを介してDUT100と無線通信部13とが無線接続されることで、DUT100と無線通信部13とがネットワーク接続されてもよい。
【0023】
無線通信部13は、送信部13a及び受信部13bを備え、例えば、IEEE802.11に準拠する通信規格に基づいて、DUT100との間でネットワーク接続を確立するようになっている。また、送信部13a及び受信部13bは、ネットワーク接続の確立後にDUT100との間で、測定に関する各種データを送受信するようになっている。
【0024】
送信部13aは、符号化処理回路、変調回路、DAC(ディジタルアナログコンバータ)、アップコンバータ等を備え、信号生成部11により生成された信号を無線信号に変換してDUT100に送信する。受信部13bは、ダウンコンバータ、ADC(アナログディジタルコンバータ)等を備え、DUT100から送信された無線信号の受信処理を行う。
【0025】
RF測定部14は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続が行われているチャネルにおけるDUT100の送受信特性を測定するようになっている。RF測定部14は、受信部13bを介してDUT100から送信された無線信号を受信し、DUT100の送受信特性を測定する。RF測定部14は、DUT100の送信特性として、例えば、送信電力、エラーベクトル振幅(EVM)、IQコンスタレーション、スペクトラム等を測定可能である。また、RF測定部14は、DUT100の受信特性として、例えば、パケットエラーレート(PER)やフレーム受信レート(FRR)等を測定可能である。
【0026】
ユーザインタフェース部15は、操作部15aと、表示部15bと、を含む。操作部15aは、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部15bの表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。操作部15aは、ユーザが表示画面に表示されている特定の項目の位置を指やスタイラス等で触れた際に、タッチセンサが表示画面上で検出した位置と項目の位置との一致を認識することにより、各項目に割り当てられた機能を実行するための信号を制御部16に出力する。操作部15aは、表示部15bに操作可能に表示されるものであってもよく、あるいは、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されるものであってもよい。
【0027】
ユーザによる操作部15aへの操作入力により、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続を行う際に使用するチャネル、RF測定部14に実行させるRF測定の種類、RF測定の開始指示などの設定を行うことが可能である。
【0028】
表示部15bは、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、制御部16による表示制御に基づき、DUT100に対するRF測定に関わる設定画面や測定結果などの各種表示内容を表示画面に表示するようになっている。さらに、表示部15bは、各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0029】
制御部16は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、測定装置1を構成する上記各部の動作を制御するものである。また、制御部16は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移してCPUで実行することにより、信号生成部11、チャネル選択制御部12、及びRF測定部14の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、信号生成部11、チャネル選択制御部12、及びRF測定部14の少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのディジタル回路で構成することも可能である。あるいは、信号生成部11、チャネル選択制御部12、及びRF測定部14の少なくとも一部は、ディジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
【0030】
図2は、5GHz帯のCh.36(Channel 36)を用いた1回目のRF測定において、本実施形態の測定装置1とDUT100とのネットワーク接続を確立した後に、DUT100に対してRF測定を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図2に示す処理の流れは、従来の装置における1回目のRF測定の処理の流れと同様である。
【0031】
まず、ユーザによるユーザインタフェース部15の操作部15aへの操作入力により、DUT100が使用するチャネルを5GHz帯のCh.36に設定するための指示が入力される(ステップS1)。
【0032】
次に、チャネル選択制御部12は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続をCh.36で行うための周波数変更指示を無線通信部13に出力する(ステップS2)。以降は、無線通信部13は、自身の使用チャネルをCh.36に切り替えるとともに、Ch.36が利用可能なチャネルであることを示す情報を含むビーコンフレームをDUT100に送信する。なお、ステップS2は、DUT100がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御ステップに相当する。
【0033】
次に、DUT100は、自身がサポートする全てのチャネルをスキャンして、無線通信部13から送信されるビーコンフレームの情報に基づいて、Ch.36を使用している測定装置1を検出する。DUT100が測定装置1を検出する際には、ユーザによるDUT100の操作が必要になる場合がある。
【0034】
次に、無線通信部13は、IEEE802.11に準拠する通信規格に基づいてDUT100とのネットワーク接続の認証(Authentication)とアソシエーション(Association)を実行する(ステップS3)。なお、ステップS3は、チャネル選択制御ステップにより選択されたチャネルで無線通信部13とDUT100との無線通信接続を行う無線通信ステップに相当する。ステップS3の処理は、以下に示すステップS31~S38のようになる。
【0035】
DUT100は、IEEE802.11に準拠する通信規格に規定された認証方式に従って、Authenticationフレームを測定装置1の無線通信部13の受信部13bに送信する(ステップS31)。
【0036】
無線通信部13の送信部13aは、DUT100からのAuthenticationフレームに応答してAck(Acknowledge)フレームをDUT100に送信する(ステップS32)。
【0037】
続いて、送信部13aは、AuthenticationフレームをDUT100に送信する(ステップS33)。
【0038】
DUT100は、送信部13aからのAuthenticationフレームに応答してAckフレームを受信部13bに送信する(ステップS34)。
【0039】
続いて、DUT100は、認証が成立した場合には、受信部13bに接続要求(アソシエーション要求)をするため、Association Requestフレームを受信部13bに送信する(ステップS35)。
【0040】
送信部13aは、DUT100からのAssociation Requestフレームに応答してAckフレームをDUT100に送信する(ステップS36)。
【0041】
続いて、送信部13aは、接続許可の応答(アソシエーション応答)をするため、Association ResponseフレームをDUT100に送信する(ステップS37)。
【0042】
DUT100は、送信部13aからのAssociation Responseフレームに応答してAckフレームを受信部13bに送信する(ステップS38)。
【0043】
以上の処理により、無線通信部13とDUT100との間でネットワーク接続が確立され、無線通信部13及びDUT100は、無線通信による所定のデータの送受信が可能となる。
【0044】
次に、無線通信部13は、DUT100との接続手続きが完了したこと、すなわち測定準備が完了したことをユーザに通知するメッセージ等をユーザインタフェース部15の表示部15bに表示させる(ステップS4)。
【0045】
次に、ユーザによるユーザインタフェース部15の操作部15aへの操作入力により、RF測定の開始指示が入力される(ステップS5)。
【0046】
次に、RF測定部14は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続が行われているCh.36を使用してDUT100に対してRF測定を行う(ステップS6)。なお、ステップS6は、無線通信部13とDUT100との無線通信接続が行われているチャネルにおけるDUT100の送受信特性を測定するRF測定ステップに相当する。
【0047】
RF測定部14は、DUT100に対するRF測定が全て完了すると、測定が完了したことをユーザに通知するメッセージ等をユーザインタフェース部15の表示部15bに表示させるとともに、測定結果をユーザインタフェース部15の表示部15bに表示させる(ステップS7)。
【0048】
なお、ステップS4,S5では、ユーザインタフェース部15を介さずに、チャネル選択制御部12が、測定準備完了の通知を無線通信部13から受け取るとともに、RF測定部14にRF測定の開始指示を出力するようになっていてもよい。
【0049】
図3は、従来の測定装置が、5GHz帯のCh.36を用いた1回目のRF測定に引き続いて、他のチャネルを用いた2回目以降のRF測定を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0050】
まず、ユーザインタフェース部15'により、DUT100が使用するチャネルを5GHz帯のCh.40(Channel 40)に設定するための指示が入力される(ステップS11)。
【0051】
次に、チャネル選択制御部12'は、無線通信部13'とDUT100とのCh.36を用いたネットワーク接続を切断するための切断指示を無線通信部13'に出力する(ステップS12)。
【0052】
次に、無線通信部13'は、DUT100とのネットワーク接続を切断するためのDeauthenticationフレームをDUT100に送信する(ステップS13)。
【0053】
次に、チャネル選択制御部12'は、無線通信部13'とDUT100とのネットワーク接続をCh.40で行うための周波数変更指示を無線通信部13'に出力する(ステップS14)。以降は、無線通信部13'は、自身の使用チャネルをCh.40に切り替えるとともに、Ch.40が利用可能なチャネルであることを示す情報を含むビーコンフレームをDUT100に送信する。
【0054】
次に、DUT100は、自身がサポートする全てのチャネルをスキャンして、無線通信部13'から送信されるビーコンフレームの情報に基づいて、Ch.40を使用している測定装置を検出する。DUT100が測定装置を検出する際には、ユーザによるDUT100の操作が必要になる場合がある。
【0055】
次に、無線通信部13'は、IEEE802.11に準拠する通信規格に基づいてDUT100とのネットワーク接続の認証(Authentication)とアソシエーション(Association)を実行する(ステップS15)。ステップ15の処理は、図2のステップS31~S38の処理と同様である。
【0056】
次に、無線通信部13'は、DUT100との接続手続きが完了したこと、すなわち測定準備が完了したことをユーザに通知するメッセージ等をユーザインタフェース部15' の表示部に表示させる(ステップ16)。
【0057】
次に、ユーザインタフェース部15'の操作部により、RF測定の開始指示が入力される(ステップS17)。
【0058】
次に、RF測定部14'は、無線通信部13'とDUT100とのネットワーク接続が行われているCh.40を使用してDUT100に対してRF測定を行う(ステップS18)。
【0059】
RF測定部14'は、DUT100に対するRF測定が全て完了すると、測定が完了したことをユーザに通知するメッセージ等をユーザインタフェース部15'の表示部に表示させるとともに、測定結果をユーザインタフェース部15の表示部に表示させる(ステップS19)。
【0060】
このように、従来の測定装置は、チャネルの切り替え時に一旦DUT100とのネットワーク接続を切断しなければならない。これに伴ってステップS14とステップS15の間で、ユーザによるDUT100の操作が必要になる場合には、そこで一連の処理が停止してしまうことになる。
【0061】
そこで、本発明は、IEEE802.11に規定されたChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを利用して、チャネルの切り替え時にDUT100とのネットワーク接続を切断せずに、引き続きRF測定を行う。
【0062】
図4は、DUT100にチャネル変更を通知するためのChannel Switch Announcement frameのフォーマットを示している。図4に示したChannel Switch Announcement frameは、DUT100に変更先のチャネルを通知するためのChannel Switch Announcement elementを含む。Channel Switch Announcement elementは、Channel Switch Modeフィールドと、New Channel Numberフィールドと、Channel Switch Countフィールドと、を含む。
【0063】
Channel Switch Modeフィールドに1が設定されている場合には、チャネル変更が起こるまでDUT100からのフレームの送信が停止される。Channel Switch Modeフィールドに0が設定されている場合には、DUT100からのフレームの送信は制限されない。New Channel Numberフィールドには、変更先のチャネル番号が設定される。Channel Switch Countフィールドには、無線通信部13によりChannel Switch Announcement frameが送信されてからチャネル変更が起こるまでの時間が、無線通信部13から送信されるビーコンフレームの送信間隔(例えば、約100ms)の数を単位として設定される。
【0064】
なお、図4に示すChannel Switch Announcement frameだけでなく、ビーコンフレームやProbe Responseフレームなどに当該Channel Switch Announcement elementを追加してDUT100に変更先のチャネルを通知することも可能である。また、今後、Channel Switch Announcement elementと同様の又は類似した制御情報が規定された場合には、その新たな制御情報を本発明におけるチャネル変更に用いてもよい。
【0065】
図5は、本実施形態の測定装置1が、5GHz帯のCh.36を用いた1回目のRF測定に引き続いて、他のチャネルを用いた2回目以降のRF測定を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0066】
まず、ユーザによるユーザインタフェース部15の操作部15aへの操作入力により、DUT100が使用するチャネルを5GHz帯のCh.40(Channel 40)に設定するための指示が入力される(ステップS21)。
【0067】
次に、チャネル選択制御部12は、新たに使用するCh.40の情報を含むChannel Switch Announcement frameをDUT100に送信するための送信指示を無線通信部13に出力する(ステップS22)。なお、ステップS22は、DUT100がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御ステップに相当する。
【0068】
次に、無線通信部13は、新たに使用するCh.40の情報を含むChannel Switch Announcement frameをDUT100に送信する(ステップS23)。
【0069】
次に、無線通信部13は、Channel Switch Announcement frameのDUT100への送信が完了したことをチャネル選択制御部12に通知する(ステップS24)。
【0070】
次に、チャネル選択制御部12は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続をCh.40で行うための周波数変更指示を無線通信部13に出力する(ステップS25)。以降は、無線通信部13は、自身の使用チャネルをCh.40に切り替えるとともに、Ch.40が利用可能なチャネルであることを示す情報を含むビーコンフレームをDUT100に送信する。なお、ステップS25は、DUT100がサポートする複数のチャネルの中から1つのチャネルを選択するチャネル選択制御ステップに相当する。
【0071】
次に、DUT100は、無線通信部13から送信されるビーコンフレームの情報に基づいて、無線通信部13がCh.40を使用していることを確認し、自身の使用チャネルをCh.40に切り替える。そして、DUT100は、無線通信部13に何かしらのWLANフレーム(例えば、Nullフレーム)を送信する(ステップS26)。なお、ステップS26は、チャネル選択制御ステップにより選択されたチャネルで無線通信部13とDUT100との無線通信接続を行う無線通信ステップに相当する。
【0072】
次に、無線通信部13は、DUT100から何かしらのWLANフレームを受信したこと、すなわち測定準備が完了したことをユーザに通知するメッセージ等をユーザインタフェース部15の表示部15bに表示させる(ステップ27)。
【0073】
次に、ユーザによるユーザインタフェース部15の操作部15aへの操作入力により、RF測定の開始指示が入力される(ステップS28)。
【0074】
次に、RF測定部14は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続が行われているCh.40を使用してDUT100に対してRF測定を行う(ステップS29)。なお、ステップS29は、無線通信部13とDUT100との無線通信接続が行われているチャネルにおけるDUT100の送受信特性を測定するRF測定ステップに相当する。
【0075】
RF測定部14は、DUT100に対するRF測定が全て完了すると、測定が完了したことをユーザに通知するメッセージ等をユーザインタフェース部15の表示部15bに表示させるとともに、測定結果をユーザインタフェース部15の表示部15bに表示させる(ステップS30)。以降、Ch.36及びCh.40以外の他のチャネルについても、ステップS21で所望のチャネルの設定指示を行い、ステップS21~S30の処理を繰り返すことで、DUT100がサポートする複数のチャネルでRF測定を行うことが可能である。
【0076】
なお、ステップS27,S28では、ユーザインタフェース部15を介さずに、チャネル選択制御部12が、測定準備完了の通知を無線通信部13から受け取るとともに、RF測定部14にRF測定の開始指示を出力するようになっていてもよい。
【0077】
このように、チャネル選択制御部12は、RF測定部14による現在のチャネル(図2の例ではCh.36)での測定完了後に、IEEE802.11に準拠したChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを無線通信部13からDUT100に送信させる。その後、チャネル選択制御部12は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続を切断することなく、DUT100が使用するチャネルを現在のチャネルから複数のチャネルのうちの他のチャネル(図5の例ではCh.40)に切り替える制御を行うことができる。
【0078】
このように、本実施形態の測定装置1は、変更先のチャネルをあらかじめChannel Switch Announcement frameによってDUT100に通知しておくことにより、チャネル変更時にユーザがDUT100を操作する必要がなくなり、一連の処理が停止してしまうことを避けることができる。
【0079】
なお、上記の説明では、ユーザインタフェース部15でDUT100が使用するチャネルをその都度指定し、指定された1つのチャネルに関するRF測定が行われるとした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ユーザインタフェース部15であらかじめ測定する全てのチャネル(例えば2以上のチャネル)を指定しておき、あらかじめ指定された全てのチャネルを順次自動的に切り替えて測定する構成であってもよい。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置1は、RF測定部14による現在のチャネルでのRF測定の完了後に、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続を切断することなく、現在のチャネルを他のチャネルに切り替えるようになっている。これにより、本実施形態に係る測定装置1は、製品状態のDUT100とのネットワーク接続を確立したネットワークモードにおいて使用するチャネルを変更する際に、ユーザがDUT100の操作を行う必要がないため、DUT100がサポートする複数のチャネルでのRF測定を自動化することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る測定装置1は、IEEE802.11に準拠したChannel Switch Announcement frame又はExtended Channel Switch Announcement frameを無線通信部13からDUT100に送信することで、変更先のチャネルをあらかじめDUT100に通知するようになっている。これにより、本実施形態に係る測定装置1は、無線通信部13とDUT100とのネットワーク接続を切断することなく、現在のチャネルを他のチャネルに切り替えることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 測定装置
11 信号生成部
12 チャネル選択制御部
13 無線通信部
13a 送信部
13b 受信部
14 RF測定部
15 ユーザインタフェース部
15a 操作部
15b 表示部
16 制御部
100 DUT
図1
図2
図3
図4
図5