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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175649
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】柱接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20221117BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20221117BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
E04B1/24 P
E04B1/58 503Z
E04H9/02 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082260
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】000231855
【氏名又は名称】日本鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 洋介
(72)【発明者】
【氏名】有竹 剛
(72)【発明者】
【氏名】形山 忠輝
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AB13
2E125AB16
2E125AG03
2E125CA78
2E139AA01
2E139AC33
(57)【要約】
【課題】ラーメン架構内に細い中実柱を設置することを目的とする。
【解決手段】下端面に軸方向外側へ凸となる凸球面部46が形成された鋼製の中実柱22と、軸方向内側へ凹となり凸球面部46が摺動可能に球面接触する凹球面部48が上部に形成され、中実柱22の脚部28が接続されるとともに、梁16、20が側部に剛接合された仕口部材26と、を有する柱接合構造24。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端面又は上端面に軸方向外側へ凸となる凸球面部が形成された鋼製の中実柱と、
軸方向内側へ凹となり前記凸球面部が摺動可能に球面接触する凹球面部が上部又は下部に形成され、前記中実柱の脚部又は頭部が接続されるとともに、梁が側部に剛接合された仕口部材と、
を有する柱接合構造。
【請求項2】
前記中実柱が接続される前記仕口部材の上部又は下部と軸方向反対側に位置する前記仕口部材の下部又は上部には、鋼管柱の頭部又は脚部が剛接合され、前記中実柱は、前記鋼管柱よりも外形が小さい円柱状に形成されている請求項1に記載の柱接合構造。
【請求項3】
前記仕口部材の本体は、前記中実柱が接続される側から前記鋼管柱が剛接合される側に行くに従って外形が大きくされている請求項2に記載の柱接合構造。



































【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
柱に梁を剛接合したラーメン架構を有して構成された建物がある(例えば、特許文献1を参照)。一方、建物を構成する架構に、意匠性を考慮して細い鋼製の中実柱(例えば、無垢柱)を設置することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-196698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような中実柱をラーメン架構内に設置する場合、ラーメン架構に剛接合される中実柱の脚部や頭部に過大な曲げモーメントが発生するために、中実柱を細くすることが難しい。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、ラーメン架構内に細い中実柱を設置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る柱接合構造は、下端面又は上端面に軸方向外側へ凸となる凸球面部が形成された鋼製の中実柱と、軸方向内側へ凹となり前記凸球面部が摺動可能に球面接触する凹球面部が上部又は下部に形成され、前記中実柱の脚部又は頭部が接続されるとともに、梁が側部に剛接合された仕口部材と、を有する。
【0007】
第1態様に係る柱接合構造によれば、凸球面部が凹球面部に摺動可能に球面接触するので、中実柱の脚部又は頭部に軸力のみが作用し、曲げモーメントが発生するのを抑制することができ、中実柱を細くすることができる。これにより、中実柱の意匠性を向上させることができる。よって、梁が側部に剛接合された仕口部材の上部又は下部に、中実柱の脚部又は頭部を接続することにより、ラーメン架構内に細い中実柱を設置することができる。
【0008】
第2態様に係る柱接合構造は、第1態様に係る柱接合構造において、前記中実柱が接続される前記仕口部材の上部又は下部と軸方向反対側に位置する前記仕口部材の下部又は上部には、鋼管柱の頭部又は脚部が剛接合され、前記中実柱は、前記鋼管柱よりも外形が小さい円柱状に形成されている。
【0009】
第2態様に係る柱接合構造によれば、中実柱を円柱状に形成することによって、中実柱の意匠性を向上させることができる。また、仕口部材によって、外形の大きい鋼管柱と外形の小さい中実柱とをつなげることができる。
【0010】
第3態様に係る柱接合構造は、第2態様に係る柱接合構造において、前記仕口部材の本体は、前記中実柱が接続される側から前記鋼管柱が剛接合される側に行くに従って外形が大きくされている。
【0011】
第3態様に係る柱接合構造によれば、仕口部材の本体の外形を中実柱が接続される側から鋼管柱が剛接合される側に行くに従って大きくすることにより、中実柱から鋼管柱へ、又は鋼管柱から中実柱へ軸力をスムーズに流すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記構成としたので、ラーメン架構内に細い中実柱を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る建物を示す立面図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3】一実施形態に係る柱接合構造を示す立面図である。
図4】一実施形態に係る柱接合構造を示す拡大図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6図4の6-6線断面図である。
図7図4の7-7線断面図である。
図8】一実施形態に係る柱接合構造を示す立面図である。
図9】一実施形態に係る柱接合構造を示す立面図である。
図10】一実施形態に係る柱接合構造を示す拡大図である。
図11】一実施形態に係る柱接合構造を示す拡大図である。
図12】一実施形態に係る柱接合構造を示す立面図である。
図13】一実施形態に係る柱接合構造を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る柱接合構造について説明する。なお、各図に示される矢印Xは建物10の梁間方向(以下、「梁間方向X」とする)を示し、矢印Yは平面視にて矢印Xと直交する建物10の桁行方向(以下、「桁行方向Y」とする)を示し、矢印Zは建物10の高さ方向(以下、「高さ方向Z」とする)を示す。
【0015】
(建物)
図1の立面図に示すように、建物10は、ラーメン架構12を有して構成されている。ラーメン架構12は、プレキャストコンクリート造の柱部材14と、H形鋼により形成された鉄骨造の梁部材16、18、20とを有して構成され、柱部材14に梁部材16、18、20の端部が剛接合されて、ラーメン構造となっている。
【0016】
図1、及び図1の2-2線断面図である図2に示すように、中実柱としての柱部材22は、建物10の4~6階において建物10の内側に中柱として同じ平面配置でそれぞれ4つ設置されている。
【0017】
柱部材22は、鋼製の中実部材である無垢柱であり、円柱状に形成されている。本例では、柱部材22は、外径が250mmの円柱状の無垢柱となっている。また、図4に示すように、柱部材22の下端面には、柱部材22の軸方向(高さ方向Z)外側へ凸となる球面状の凸球面部46が形成されている。さらに、図10に示すように、柱部材22の上端面には、柱部材22の軸方向(高さ方向Z)外側へ凸となる球面状の凸球面部80が形成されている。
【0018】
図1に示すように、建物10の4階に配置された柱部材22の脚部28は、ラーメン架構12を構成する仕口部材26の上部に柱接合構造24によって接続されている(図3を参照のこと)。建物10の4階に配置された柱部材22の頭部74は、ラーメン架構12を構成する仕口部材76の下部に柱接合構造72によって接続されている(図9を参照のこと)。
【0019】
図1に示すように、建物10の5階に配置された柱部材22の脚部28は、ラーメン架構12を構成する仕口部材76の上部に柱接合構造102によって接続されている(図9を参照のこと)。建物10の5階に配置された柱部材22の頭部74は、ラーメン架構12を構成する仕口部材76の下部に柱接合構造110によって接続されている(図9を参照のこと)。
【0020】
図1に示すように、建物10の6階に配置された柱部材22の脚部28は、ラーメン架構12を構成する仕口部材76の上部に柱接合構造112によって接続されている(図9を参照のこと)。建物10の6階に配置された柱部材22の頭部74は、ラーメン架構12を構成する仕口部材116の下部に柱接合構造114によって接続されている(図12を参照のこと)。
【0021】
(柱接合構造)
図3の立面図に示すように、柱接合構造24は、柱部材22と、仕口部材26とを有して構成されている。仕口部材26は、梁としての梁部材16、20の端部がブラケット部材34を介して側部に剛接合されて、ラーメン架構12を構成している。
【0022】
柱部材22の脚部28が接続される仕口部材26の上部と軸方向(高さ方向Z)反対側に位置する仕口部材26の下部には、鋼管柱としての柱部材30の頭部32が剛接合されている。柱部材30は、角形鋼管により構成されている。本例では、柱部材30は、450mm×450mm、及び厚さ45mmの矩形断面を有する角形鋼管となっている。すなわち、中実柱としての柱部材22は、鋼管柱としての柱部材30よりも外形が小さくなっている。
【0023】
図4の立面図に示すように、仕口部材26は、本体としての本体部36と、上プレート部38と、下プレート部40と、側プレート部42とを有し、これらが一体となって構成されている。仕口部材26は、鋳鋼により形成されている。
【0024】
図4図4の5-5線断面図である図5、及び図4の6-6線断面図である図6に示すように、本体部36は、四角錘状の中実部材である。また、本体部36は、柱部材22の脚部28が接続される上部側から柱部材30の頭部32が剛接合される下部側に行くに従って外形が大きくされている。また、本体部36の下部の平面中央には四角錘状の空洞44が形成されている。この空洞44によって、仕口部材26の軽量化及び材料軽減が図られている。
【0025】
上プレート部38は、段差を有する平面形状が略正方形状の板状部材により構成され、本体部36の上面に設けられている。側プレート部42は、側面形状が略三角形状の板状部材により構成され、本体部36から四方へ張り出すようにして本体部36の側面にそれぞれ設けられている。下プレート部40は、段差を有する平面形状が略正方形状の板状部材により構成され、本体部36の下面に設けられている。
【0026】
図4、及び図5に示すように、仕口部材26の上部としての上プレート部38の上面には、仕口部材26の軸方向(高さ方向Z)内側へ凹となる球面状の凹球面部48が形成されている。この凹球面部48の上面に、柱部材22の脚部28の下端面に形成された凸球面部46が摺動可能に球面接触して載置されて、柱部材22の脚部28が仕口部材26に接続されている。本例では、凹球面部48の上面に対する凸球面部46の滑りをよくするために、表面粗度が管理値以内に収まるようにして凹球面部48の上面及び凸球面部46の下面の表面を滑らかに仕上げている。また、凹球面部48と凸球面部46との球面半径を同一にしている。
【0027】
図4、及び図4の7-7線断面図である図7に示すように、仕口部材26の上プレート部38の上面には、柱部材22を取り囲むようにしてストッパー部材50が複数(本例では、8つ)設けられている。ストッパー部材50は、側面形状が台形状の鋼板により構成されており、内側の端面52と柱部材22の外周面54との間に隙間を有している。このストッパー部材50により、地震時等の際に柱部材22の凸球面部46が仕口部材26の凹球面部48から万が一外れてしまうのを防ぐことができる。
【0028】
図4に示すように、仕口部材26の側部には、H形鋼により構成されたブラケット部材34の端部が剛接合されている。具体的には、上プレート部38の端面にブラケット部材34の上フランジ34Aの端面が突き合わせ溶接により接合されている。また、側プレート部42の端面にブラケット部材34のウェブ34Bの端面が突き合わせ溶接により接合されている。さらに、下プレート部40の端面にブラケット部材34の下フランジ34Cの端面が突き合わせ溶接により接合されている。これらにより、仕口部材26の側部にブラケット部材34の端部が剛接合されている。
【0029】
図3に示すように、ブラケット部材34のウェブ34Bの端部には、スプライスプレート62を用いてボルト64及びナット(不図示)により梁部材16、20のウェブ16B、20Bの端部がボルト接合されている。また、ブラケット部材34の上フランジ34Aの端面には、梁部材16、20の上フランジ16A、20Aの端面が現場突き合わせ溶接により接合されている。さらに、ブラケット部材34の下フランジ34Cの端面には、梁部材16、20の下フランジ16C、20Cの端面が現場突き合わせ溶接により接合されている。これらによって、仕口部材26に梁部材16、20の端部がブラケット部材34を介して剛接合されている。
【0030】
図4に示すように、仕口部材26の下部としての下プレート部40には、柱部材30の頭部32の上端面が突き合わせ溶接により剛接合されている。図8の立面図に示すように、柱部材30は、建物10の2階に設置された柱部材14の頭部68に柱部材30の脚部70が埋設されることにより、柱部材14に接合されて支持されている。
【0031】
図9の立面図に示すように、柱接合構造72は、柱部材22と、仕口部材76とを有して構成されている。仕口部材76は、梁としての梁部材16、20の端部がブラケット部材78を介して側部に剛接合されて、ラーメン架構12を構成している。
【0032】
仕口部材76は、本体としての本体部82と、外ダイヤフラム84と、外ダイヤフラム86とを有し、これらが一体となって構成されている。本体部82は、鋼製の中実部材であり、円柱状に形成されている。本例では、本体部82は、外径が250mmの円柱状の中実部材となっている。
【0033】
外ダイヤフラム84は、この外ダイヤフラム84の上面から本体部82の上端部が上方へ突出するようにして、本体部82の上部に本体部82を取り囲むように設けられている。外ダイヤフラム86は、この外ダイヤフラム86の下面から本体部82の下端部が下方へ突出するようにして、本体部82の下部に本体部82を取り囲むように設けられている。
【0034】
図10の拡大図に示すように、仕口部材76の下部としての本体部82の下端部には、仕口部材76の軸方向(高さ方向Z)内側へ凹となる球面状の凹球面部88が形成されている。この凹球面部88が、柱部材22の頭部74の上端面に形成された凸球面部80の上面に摺動可能に球面接触して載置されて、柱部材22の頭部74が仕口部材76に接続される。本例では、凸球面部80の上面に対する凹球面部88の滑りをよくするために、表面粗度が管理値以内に収まるようにして凸球面部80の上面及び凹球面部88の下面の表面を滑らかに仕上げている。また、凸球面部80と凹球面部88との球面半径を同一にしている。
【0035】
図9及び図10に示すように、仕口部材76の外ダイヤフラム86の下面には、柱部材22を取り囲むようにしてストッパー部材90が複数(本例では、8つ)設けられている。ストッパー部材90は、側面形状が台形状の鋼板により構成されており、内側の端面92と柱部材22の外周面54との間に隙間を有している。このストッパー部材90により、地震時等の際に柱部材22の凸球面部80が仕口部材76の凹球面部88から万が一外れてしまうのを防ぐことができる。
【0036】
図9に示すように、仕口部材76の側部には、H形鋼により構成されたブラケット部材78の端部が剛接合されている。具体的には、外ダイヤフラム84の端面にブラケット部材78の上フランジ78Aの端面が突き合わせ溶接により接合されている。また、本体部82の外周面142にブラケット部材78のウェブ78Bの端面が突き合わせ溶接により接合されている。さらに、外ダイヤフラム86の端面にブラケット部材78の下フランジ78Cの端面が突き合わせ溶接により接合されている。これらにより、仕口部材76の側部にブラケット部材78の端部が剛接合されている。
【0037】
図9に示すように、ブラケット部材78のウェブ78Bの端部には、スプライスプレート100を用いてボルト64及びナット(不図示)により梁部材16、20の端部がボルト接合されている。また、ブラケット部材78の上フランジ78Aの端面には、梁部材16、20の上フランジ16A、20Aの端面が突き合わせ溶接により接合されている。さらに、ブラケット部材78の下フランジ78Cの端面には、梁部材16、20の下フランジ16C、20Cの端面が突き合わせ溶接により接合されている。これらによって、仕口部材76に梁部材16、20の端部がブラケット部材78を介して剛接合されている。図9に示すように、柱接合構造102は、柱部材22と、仕口部材76とを有して構成されている。
【0038】
図11の拡大図に示すように、仕口部材76の上部としての本体部82の上部には、仕口部材76の軸方向(高さ方向Z)内側へ凹となる球面状の凹球面部104が形成されている。この凹球面部104の上面に、柱部材22の脚部28の下端面に形成された凸球面部46が摺動可能に球面接触して載置されて、柱部材22の脚部28が仕口部材76に接続されている。本例では、凹球面部104の上面に対する凸球面部46の滑りをよくするために、表面粗度が管理値以内に収まるようにして凹球面部104の上面及び凸球面部46の下面の表面を滑らかに仕上げている。また、凹球面部104と凸球面部46との球面半径を同一にしている。
【0039】
図9及び図11に示すように、仕口部材76の外ダイヤフラム84の上面には、柱部材22を取り囲むようにしてストッパー部材106が複数(本例では、8つ)設けられている。ストッパー部材106は、側面形状が台形状の鋼板により構成されており、内側の端面108と柱部材22の外周面54との間に隙間を有している。このストッパー部材106により、地震時等の際に柱部材22の凸球面部46が仕口部材76の凹球面部104から万が一外れてしまうのを防ぐことができる。
【0040】
柱接合構造110は、柱接合構造72と同じ構成なので説明を省略する。柱接合構造112は、柱接合構造102と同じ構成なので説明を省略する。
【0041】
図12の立面図に示すように、柱接合構造114は、柱部材22と、仕口部材116とを有して構成されている。仕口部材116は、梁としての梁部材66、18の端部がブラケット部材118を介して側部に剛接合されて、ラーメン架構12を構成している。仕口部材116は、本体としての本体部120と、外ダイヤフラム122と、外ダイヤフラム124と、台座部126とを有し、これらが一体となって構成されている。
【0042】
本体部120は、角形鋼管により構成されている。本例では、本体部120は、300mm×300mm、及び厚さ12mmの矩形断面を有する角形鋼管となっている。この角形鋼管は、外ダイヤフラム122の上面から上方へ突出するようにして設けられており、この突出した部分が建物10の7階に設置された柱部材146となっている。図1に示すように、柱部材146の頭部には、梁としての梁部材20の端部が剛接合されている。
【0043】
図12に示すように、外ダイヤフラム122は、本体部120の上部に本体部120を取り囲むように設けられている。外ダイヤフラム124は、本体部120の下部に本体部120を取り囲むように設けられている。台座部126は、鋼製の中実部材であり、円柱状に形成されている。本例では、台座部126は、外径が250mmの円柱状の中実部材となっている。
【0044】
図13の拡大図に示すように、仕口部材116の下部としての台座部126の下端面には、仕口部材116の軸方向(高さ方向Z)内側へ凹となる球面状の凹球面部128が形成されている。この凹球面部128が、柱部材22の頭部74の上端面に形成された凸球面部80の上面に摺動可能に球面接触して載置されて、柱部材22の頭部74が仕口部材116に接続されている。本例では、凸球面部80の上面に対する凹球面部128の滑りをよくするために、表面粗度が管理値以内に収まるようにして凸球面部80の上面及び凹球面部128の下面の表面を滑らかに仕上げている。また、凸球面部80と凹球面部128との球面半径を同一にしている。
【0045】
図12及び図13に示すように、仕口部材116の外ダイヤフラム124の下面には、柱部材22を取り囲むようにしてストッパー部材130が複数(本例では、8つ)設けられている。ストッパー部材130は、側面形状が台形状の鋼板により構成されており、内側の端面132と柱部材22の外周面54との間に隙間を有している。このストッパー部材130により、地震時等の際に柱部材22の凸球面部80が仕口部材116の凹球面部128から万が一外れてしまうのを防ぐことができる。
【0046】
図12に示すように、仕口部材116の側部には、H形鋼により構成されたブラケット部材118の端部が剛接合されている。具体的には、外ダイヤフラム122の端面にブラケット部材118の上フランジ118Aの端面が突き合わせ溶接により接合されている。また、本体部120の外周面140にブラケット部材118のウェブ118Bの端面が突き合わせ溶接により接合されている。さらに、外ダイヤフラム124の端面にブラケット部材118の下フランジ118Cの端面が突き合わせ溶接により接合されている。これらにより、仕口部材116の側部にブラケット部材118の端部が剛接合されている。
【0047】
ブラケット部材118の端部には、スプライスプレート144を用いてボルト64及びナット(不図示)により梁部材66、18の端部がボルト接合されている。また、ブラケット部材118の上フランジ118Aの端面に、梁部材66、18の上フランジ66A、18Aの端面が突き合わせ溶接により接合されている。さらに、ブラケット部材118の下フランジ118Cの端面に、梁部材66、18の下フランジ66C、18Cの端面が突き合わせ溶接により接合されている。これらよって、仕口部材116に梁部材66、18の端部がブラケット部材118を介して剛接合されている。
【0048】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0049】
本実施形態の柱接合構造24によれば、図3及び図4に示すように、柱部材22の凸球面部46が仕口部材26の凹球面部48の上面に摺動可能に球面接触する。これにより、柱部材22の脚部28に軸力のみが作用し、柱部材22の脚部28に曲げモーメントが発生するのを抑制することができる。その結果、中実柱としての柱部材22を細くすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0050】
よって、梁部材16、20が側部に剛接合された仕口部材26の上部に、中実柱としての柱部材22の脚部28を接続することにより、ラーメン架構12内に細い中実柱(柱部材22)を設置することができる。
【0051】
また、本実施形態の柱接合構造24によれば、図3に示すように、中実柱としての柱部材22を円柱状に形成することによって、中実柱としての柱部材22の意匠性を向上させることができる。また、仕口部材26によって、外形の大きい鋼管柱としての柱部材30と外形の小さい中実柱としての柱部材22とをつなげることができる。
【0052】
さらに、本実施形態の柱接合構造24によれば、図3に示すように、中実柱としての柱部材22を無垢柱とすることによって、外形の大きさに対して断面の大きな柱部材22を構成することができる。よって、中実柱としての柱部材22を、外形の大きさに対して軸耐力の高い柱部材とすることができる。
【0053】
また、本実施形態の柱接合構造24によれば、図4に示すように、仕口部材26の本体部36は、中実柱として柱部材22の脚部28が接続される上部側から鋼管柱としての柱部材30の頭部32が剛接合される下部側に行くに従って外形が大きくされている。これにより、柱部材22から柱部材30へ軸力をスムーズに流すことができる。
【0054】
さらに、本実施形態の柱接合構造72、110によれば、図10に示すように、柱部材22の凸球面部80の上面に仕口部材76の凹球面部88が摺動可能に球面接触する。これにより、柱部材22の頭部74に軸力のみが作用し、柱部材22の頭部74に曲げモーメントが発生するのを抑制することができる。その結果、中実柱としての柱部材22を細くすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態の柱接合構造102、112によれば、図11に示すように、仕口部材76の凹球面部104の上面に柱部材22の凸球面部46が摺動可能に球面接触する。これにより、柱部材22の脚部28に軸力のみが作用し、柱部材22の脚部28に曲げモーメントが発生するのを抑制することができる。その結果、中実柱としての柱部材22を細くすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態の柱接合構造72、102、110、112、114によれば、図3図9及び図12に示すように、中実柱としての柱部材22を円柱状に形成することによって、中実柱としての柱部材22の意匠性を向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態の柱接合構造72、102、110、112、114によれば、図3図9及び図12に示すように、中実柱としての柱部材22を無垢柱とすることによって、外形の大きさに対して断面の大きな柱部材22を構成することができる。よって、中実柱としての柱部材22を、外形の大きさに対して軸耐力の高い柱部材とすることができる。
【0058】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0059】
上記実施形態では、図3に示すように、中実柱としての柱部材22を鋼製の無垢柱とした例を示したが、柱部材22は、中実部材であればよい。例えば、柱部材22をCFT造(Concrete Filled Steel Tube:コンクリート充填鋼管構造)の柱部材としてもよい。また、中実柱としての柱部材22を円柱状とした例を示したが、柱部材22は他の形状の柱部材としてもよい。例えば、柱部材22を角柱状の柱部材としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、図3及び図12に示すように、鋼管柱としての柱部材30及び柱部材146を角形鋼管により構成した例を示したが、柱部材30、146は他の形状の鋼管により構成してもよい。例えば、柱部材30、146を円形鋼管により構成してもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態では、図3に示すように、中実柱としての柱部材22の脚部28を仕口部材26の上部に接続するとともに、鋼管柱としての柱部材30の頭部32を仕口部材26の下部に剛接合した例を示したが、この構成に限らなくてもよい。
【0062】
例えば、中実柱としての柱部材22の頭部74を仕口部材26の下部に接続するとともに、鋼管柱としての柱部材30の脚部70を仕口部材26の上部に剛接合してもよい。この場合、仕口部材26の軸方向内側へ凹となり柱部材22の凸球面部80の上面に摺動可能に球面接触して載置される凹球面部を仕口部材26の下部に形成する。そして、仕口部材26の上部に柱部材30の脚部70を剛接合する。また、仕口部材26の本体部36の形状を、柱部材22が接続される下部側から柱部材30が剛接合される上部側に行くに従って外形が大きくなるようにする。
【0063】
また、上記実施形態では、図1に示すように、建物10を構成するラーメン架構12をプレキャストコンクリート造の柱部材14と、H形鋼により形成された鉄骨造の梁部材16、18、20とを有して構成した例を示したが、この構成に限らなくてもよい。例えば、ラーメン架構12は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete Filled Steel Tube:コンクリート充填鋼管構造)等の他の構造の柱部材及び梁部材を有して構成されたものであってもよい。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
16、18、20、66 梁部材(梁)
22 柱部材(中実柱)
24、72、102、110、112、114 柱接合構造
26、76、116 仕口部材
28 脚部
30 柱部材(鋼管柱)
32、74 頭部
36 本体部(本体)
46、80 凸球面部
48、88、104、128 凹球面部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13