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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175671
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】混合気生成装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 19/08 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
F02M19/08 D
F02M19/08 C
F02M19/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082288
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】川口 昇
(72)【発明者】
【氏名】山崎 亘
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 正訓
(57)【要約】
【課題】ベンチュリ部における燃料の吸い出し特性を容易に変更することができ、かつ、部品点数の増加を可及的に抑制することができる混合気生成装置を提供する。
【解決手段】混合気生成装置はベンチュリ部15と燃料供給ノズル16を備える。ベンチュリ部15は空気導入口11と混合気導出口12を連通する連通孔13に設けられ、空気の流れを絞る。燃料供給ノズル16は、ベンチュリ部15に臨んで設けられ、ベンチュリ部15を流れる空気による負圧によって燃料が吸い出される。ベンチュリ部15の一部は最小内径部を構成する筒形状のベンチュリ部品20によって構成される。ベンチュリ部品20は装置本体ブロック10に脱着可能に装着される。ベンチュリ部品20は燃料供給ノズル16に当接して軸方向の一端側の変位を規制され、装置本体ブロック10の空気導入口側に接続される空気導入配管14によって軸方向の他端側の変位を規制される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導入口と混合気導出口を連通する連通孔に設けられ、前記空気導入口から前記混合気導出口に向かって流れる空気の流れを絞るベンチュリ部と、
前記ベンチュリ部に臨んで設けられ、前記ベンチュリ部を流れる空気による負圧によって燃料が吸い出される燃料供給ノズルと、を備え、
前記ベンチュリ部の一部は、当該ベンチュリ部の最小内径部を構成する筒形状のベンチュリ部品によって構成され、
前記ベンチュリ部品は、前記連通孔を含む装置本体ブロックに脱着可能に装着され、
前記ベンチュリ部品は、前記燃料供給ノズルに当接して軸方向の一端側の変位を規制されるとともに、前記装置本体ブロックの前記空気導入口側に接続される空気導入配管によって軸方向の他端側の変位を規制されていることを特徴とする混合気生成装置。
【請求項2】
前記ベンチュリ部品の軸方向の一端側には、前記燃料供給ノズルの外周面の一部が嵌め合わされる切欠き溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の混合気生成装置。
【請求項3】
前記ベンチュリ部品の軸方向の他端側は、前記装置本体ブロックと前記空気導入配管の間を密閉するパッキンを介して前記空気導入配管によって軸方向の他端側の変位を規制されていることを特徴とする請求項1または2に記載の混合気生成装置。
【請求項4】
前記連通孔には、前記ベンチュリ部品の少なくとも一部が配置される部品収容部が設けられ、
前記部品収容部には、前記ベンチュリ部品の外周面の一部と当接して前記ベンチュリ部品の回転を規制する平坦面が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の混合気生成装置。
【請求項5】
前記ベンチュリ部品は、前記空気導入口側から前記燃料供給ノズル側に向かって内径及び外径が漸減するテーパ筒形状に形成され、
前記ベンチュリ部品の前記空気導入口側の端部の周壁には、少なくとも周方向の両縁部が前記平坦面に当接する切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の混合気生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン等の液体燃料やバイオガス等の気体燃料を空気と混合させる混合気生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料吸気系には、混合気生成装置であるキャブレタが採用されることがある。キャブレタは、空気導入口と混合気導出口を連通する連通孔の途中にベンチュリ部が設けられ、ベンチュリ部に燃料供給ノズルが臨んで配置されている。ベンチュリ部は、空気導入口から混合気導出口に向かって流れる空気の流れを絞り、その部分での空気の流速を速める。吸気供給ノズルは、ベンチュリ部を流れる空気による負圧によって燃料が吸い出される。吸い出された燃料は、空気と混合して混合気となり、混合気導出部から内燃機関に供給される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-146952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のキャブレタのような混合気生成装置では、ベンチュリ部や燃料供給ノズルの形状や配置を様々に工夫することにより、燃料の吸い出し特性が改善されている。
【0005】
従来の混合気生成装置では、燃料の吸い出し特性を大きく変更することが難しく、燃料の吸い出し特性を大きく変更する場合には、装置本体ブロックを造形する成形型を作り分ける必要があった。しかし、装置本体ブロックを造形する成形型を作り分けることは、生産効率の観点からは望ましくない。
【0006】
また、通路孔内のベンチュリ部の全体を別体部品によって構成する場合には、ベンチュリ部を構成する部品が形状の複雑な大型金属ブロックとなるため、製造や組付けが難しくなってしまう。
【0007】
そこで本発明は、ベンチュリ部における燃料の吸い出し特性を容易に変更することができ、かつ、部品点数の増加を可及的に抑制することができる混合気生成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る混合気生成装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る混合気生成装置は、空気導入口(例えば、実施形態の空気導入口11)と混合気導出口(例えば、実施形態の混合気導出口12)を連通する連通孔(例えば、実施形態の連通孔13)に設けられ、前記空気導入口から前記混合気導出口に向かって流れる空気の流れを絞るベンチュリ部(例えば、実施形態のベンチュリ部15)と、前記ベンチュリ部に臨んで設けられ、前記ベンチュリ部を流れる空気による負圧によって燃料が吸い出される燃料供給ノズル(例えば、実施形態の燃料供給ノズル16)と、を備え、前記ベンチュリ部の一部は、当該ベンチュリ部の最小内径部を構成する筒形状のベンチュリ部品(例えば、実施形態のベンチュリ部品20)によって構成され、前記ベンチュリ部品は、前記連通孔を含む装置本体ブロックに脱着可能に装着され、前記ベンチュリ部品は、前記燃料供給ノズルに当接して軸方向の一端側の変位を規制されるとともに、前記装置本体ブロックの前記空気導入口側に接続される空気導入配管(例えば、実施形態の空気導入配管14)によって軸方向の他端側の変位を規制されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、空気導入口から空気が導入されると、その空気はベンチュリ部において流速を速め、燃料供給ノズルから燃料を吸い出す。燃料供給ノズルから吸い出された燃料は空気と混合され、混合気導出口から内燃機関に供給される。このとき、ベンチュリ部の燃料の吸い出し特性は、ベンチュリ部の最小内径部やその近傍部の形状によって大きく影響を受ける。ベンチュリ部の最小内径部はベンチュリ部品に構成されているため、ベンチュリ部品を最少内径や形状の異なるものと交換することにより、燃料の吸い出し特性(ベンチュリ特性)を容易に変更することができる。ベンチュリ部品は、軸方向の一端側の変位が燃料供給ノズルによって規制され、軸方向他端側の変位が空気導入配管によって規制される。このため、締結ボルト等の部品を用いることなく、ベンチュリ部品を装置本体ブロックの所定位置に固定することができる。したがって、ベンチュリ部品を固定するための部品点数の増加を抑制することができる。
【0010】
前記ベンチュリ部品の軸方向の一端側には、前記燃料供給ノズルの外周面の一部が嵌め合わされる切欠き溝(例えば、実施形態の切欠き溝25)が形成されるようにしても良い。
【0011】
この場合、ベンチュリ部品の軸方向の一端側の切欠き溝が燃料供給ノズルの外周面に一部に嵌め合わされることにより、ベンチュリ部品の軸方向の一端側の変位が燃料供給ノズルによって確実に規制されるとともに、ベンチュリ部品の回転も燃料供給ノズルによって規制される。
【0012】
前記ベンチュリ部品の軸方向の他端側は、前記装置本体ブロックと前記空気導入配管の間を密閉するパッキン(例えば、実施形態のパッキン32)を介して前記空気導入配管によって軸方向の他端側の変位を規制されるようにしても良い。
【0013】
この場合、パッキンの軸方向の変位が空気導入配管によって規制されるため、パッキンの一部をベンチュリ部品の軸方向の他端部と当接する形状にすることにより、ベンチュリ部品の軸方向の他端側の変位を確実に規制することが可能になる。
【0014】
前記連通孔には、前記ベンチュリ部品の少なくとも一部が配置される部品収容部(例えば、実施形態の部品収容部19)が設けられ、前記部品収容部には、前記ベンチュリ部品の外周面の一部と当接して前記ベンチュリ部品の回転を規制する平坦面(例えば、実施形態の平坦面30)が形成されるようにしても良い。
【0015】
この場合、ベンチュリ部品の外周面の一部が部品収容部の平坦面に当接することにより、ベンチュリ部品の回転が規制される。したがって、本構成を採用した場合には、ベンチュリ部品を回転方向に位置決めした状態で装置本体ブロックに安定して固定することができる。
【0016】
前記ベンチュリ部品は、前記空気導入口側から前記燃料供給ノズル側に向かって内径及び外径が漸減するテーパ筒形状に形成され、前記ベンチュリ部品の前記空気導入口側の端部の周壁には、少なくとも周方向の両縁部が前記平坦面に当接する切欠き部(例えば、実施形態の切欠き部27)が形成されるようにしても良い。
【0017】
この場合、ベンチュリ部品の切欠き部の少なくとも周方向の両縁部を部品収容部の平坦面に当接させることにより、ベンチュリ部品の回転を確実に規制することが可能になる。本構成を採用した場合には、ベンチュリ部品に部品収容部の平坦部に対応する平坦部を形成する場合に比較し、ベンチュリ部品の周壁に切欠き部を形成するだけで良いため、ベンチュリ部品の成形が容易になるとともに、ベンチュリ部品の軽量化、延いては、混合気生成装置全体の軽量化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る混合気生成装置は、ベンチュリ部の一部を構成するベンチュリ部品を、最少内径や形状の異なるものと交換することにより、ベンチュリ部における燃料の吸い出し特性を変えることができる。このため、ベンチュリ部品を別のものにと交換することにより、排気量等の特性の異なる内燃機関において共通仕様の装置本体ブロックを用いることができる。したがって、本発明に係る混合気生成装置を採用した場合には、多用な仕様の内燃機関で主要部品を共用できることから、生産効率を高めることができる。
【0019】
また、本発明に係る混合気生成装置は、ベンチュリ部品の軸方向の一端側の変位が燃料供給ノズルによって規制され、ベンチュリ部品の軸方向他端側の変位が空気導入配管によって規制される。このため、ベンチュリ部品を固定するための部品点数の増加を抑制することができる。
したがって、本発明に係る混合気生成装置を採用した場合には、ベンチュリ部における燃料の吸い出し特性を容易に変更することができ、かつ、部品点数の増加を可及的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の混合気生成装置の斜視図。
図2】実施形態の混合気生成装置の図1のII矢視図。
図3】実施形態の混合気生成装置の図1のIII-III線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、実施形態に係る混合気生成装置1の斜視図である。図2は、混合気生成装置1の図1のII矢視図であり、図3は、混合気生成装置1の図1のIII-III線に沿う断面図である。
混合気生成装置1は、図示しない内燃機関の燃料吸気系に配置され、空気と燃料を適正に混合して内燃機関の燃焼室に供給する。混合気生成装置1は、ガソリン等の液体燃料を用いる内燃機関やバイオガス等の気体燃料を用いる内燃機関に採用される。
【0023】
混合気生成装置1は、金属製の装置本体ブロック10に空気導入口11と混合気導出口12が形成されている。空気導入口11と混合気導出口12は、装置本体ブロック10を直線状に貫通する連通孔13によって連通している。図3中のLcは、連通孔13の中心軸線である。
以下では、装置本体ブロック10に関し、連通孔13の中心軸線Lcに沿う方向を「軸方向」と称し、中心軸線Lcと直交する方向を「径方向」と称する。
【0024】
装置本体ブロック10の軸方向の一端側には、空気導入配管14の接続フランジ14fに接続される導入側接続フランジ10f1が設けられている。導入側接続フランジ10f1は、装置本体ブロック10の軸方向の一端部において径方向外側に張り出している。空気導入配管14の上流側には、図示しないエアクリーナが接続されている。空気導入口11には、エアクリーナで濾過された外気(空気)が空気導入配管14を通して導入される。
【0025】
装置本体ブロック10の軸方向の他端側には、図示しない内燃機関側の接続配管と接続される導出側接続フランジ10f2が設けられている。導出側接続フランジ10f2は、装置本体ブロック10の軸方向の他端部において径方向外側に張り出している。混合気導出口12から導出された混合気(空気と燃料の混合気)は、接続配管を通して内燃機関の燃焼室に供給される。
【0026】
連通孔13の軸方向の中央領域には、空気導入口11から混合気導出口12に向かって流れる空気の流れを絞るベンチュリ部15が設けられている。ベンチュリ部15は、連通孔13の軸方向のほぼ中央位置の内径が最小内径となっている。連通孔13の軸方向のほぼ中央位置の周壁には、燃料供給ノズル16が連通孔13の径方向内側に向かって突設されている。燃料供給ノズル16の先端部のノズル口16aは、ベンチュリ部15の径方向の中心側に臨んでいる。燃料供給ノズル16は、接続配管9を介して図示しない燃料チャンバに連通している。燃料供給ノズル16は、ノズル口16aに負圧が作用したときに、その負圧によって内部の燃料がベンチュリ部15に吸い出される。実際には、燃料チャンバ内の燃料は、ベンチュリ部15を流れる空気による負圧によってベンチュリ部15に吸い出される。
【0027】
連通孔13の燃料供給ノズル16の配置部よりも下流側には、スロットルバルブ17が回動可能に配置されている。スロットルバルブ17は、ワイヤ等を介した外部からの操作により、連通孔13を通過する空気(混合気)の流量を調整する。ベンチュリ部15を通過する空気の流速はスロットルバルブ17の開度に応じて調整される。したがって、燃料供給ノズル16から吸い出される燃料の流量は、スロットルバルブ17の操作によって調整される。
連通孔13のうちの、スロットルバルブ17の配置される部位の内径はほぼ一定の内径とされている。つまり、スロットルバルブ17の配置される部位は、一定内径のストレート形状とされている。以下、この部位を「スロットルボア部13T」と称する。
【0028】
また、連通孔13のうちの、燃料供給ノズル16の配置される部位とスロットルボア部13Tの間は、燃料供給ノズル16の近傍部から混合気導出口12側に向かって内径が漸増するベンチュリ部15の出口側拡径部13Eとされている。出口側拡径部13Eは、テーパ状の内面形状とされ、下流側の最大内径部がスロットルボア部13Tに接続されている。出口側拡径部13Eの上流側は、空気導入口11側に向かって内径が急激に拡大する傾斜壁18を介して一定内径の部品収容部19に接続されている。一定内径の部品収容部19の軸方向の一端側は空気導入口11とされ、軸方向の他端側に傾斜壁18が連設されている。
【0029】
部品収容部19には、連通孔13の出口側拡径部13Eとともにベンチュリ部15を構成するベンチュリ部品20が配置されている。ベンチュリ部品20は、装置本体ブロック10と別体のテーパ筒形状の金属部品であり、装置本体ブロック10に対して脱着可能とされている。ベンチュリ部品20は、連通孔13の燃料供給ノズル16の上流側部分に配置される。ベンチュリ部品20のテーパ筒形状は、この状態において、空気導入口11側から燃料供給ノズル16側に向かって内径及び外径が漸減している。ベンチュリ部品20の縮径側の端部は、連通孔13の出口側拡径部13Eの上流側の端部の内周側に挿入されている。ベンチュリ部品20の縮径側の端部20esの内周面は、出口側拡径部13Eの上流側の端部(縮径側の端部)の内周面よりも小径に形成されている。したがって、ベンチュリ部品20の縮径側の端部の内周面は、ベンチュリ部15の最小内径部を構成している。
【0030】
連通孔13の出口側拡径部13Eの上流側の端部は、ベンチュリ部品20の縮径側の端部20esの外周面が当接する当接座21とされている。ベンチュリ部品20の縮径側の端部20esは、外周面が当接座21に密接することにより、空気導入口11から導入された空気がベンチュリ部品20の外周側を回り込んで出口側拡径部13E方向に流れるのを抑制する。また、ベンチュリ部品20の拡径側の外周面は部品収容部19の内周面に当接する。
【0031】
ここで、ベンチュリ部品20の縮径側の端部20esの周壁の一部には、円弧状の切欠き溝25が形成されている。この切欠き溝25は、燃料供給ノズル16の外周面と合致する形状とされ、ベンチュリ部品20の装着時に、連通孔13の上流側から燃料供給ノズル16の外周面に嵌め合わされる。これにより、ベンチュリ部品20の軸方向の一端側(図3の上方側)の変位が燃料供給ノズル16によって規制される。
【0032】
また、ベンチュリ部品20の軸方向の他端側の変位は、装置本体ブロック10の空気導入口11側の端部に接続される空気導入配管14によって規制される。具体的には、装置本体ブロック10の端部と空気導入配管14の間には、空気導入口11の周域を取り囲むように環状のパッキン32が介装されている。パッキン32は、装置本体ブロック10と空気導入配管14に挟み込まれた状態で固定されている。ベンチュリ部品20の軸方向の他端部(拡径側の端部)は、パッキン32の端面に当接し、それによって軸方向の他端側の変位を規制されている。
【0033】
装置本体ブロック10の部品収容部19のうちの、空気導入口11側の端部は、真円形状ではなく、円周方向の一部に一対の平坦面30が設けられている。一対の平坦面30は、部品収容部19の周方向における相互に対向する位置に形成されている。各平坦面30は、連通孔13の中心軸線Lcと平行になるように延在している。
【0034】
ベンチュリ部品20の空気導入口11側の端部の周壁には、軸方向の外側(図3中の下方)に向かって略U字状に開口する一対の切欠き部27が設けられている。一対の切欠き部27は、ベンチュリ部品20の周壁の周方向における相互に対向する位置に形成されている。切欠き部27は、ベンチュリ部品20が装置本体ブロック10の部品収容部19に収容されたときに、部品収容部19の各平坦面30と対向する位置に形成されている。ベンチュリ部品20の周壁上の切欠き部27の設けられた部位は、切欠き部27の位置される部位の周壁の径方向外側への膨らみ(円弧面)が取り除かれている。このため、各切欠き部27の周方向の両縁部27eは、対向する平坦面30に安定して当接する。本実施形態では、各切欠き部27の縁部全域が対向する平坦面30に当接している。ベンチュリ部品20は、各切欠き部27の縁部が対向する平坦面30に当接することにより、部品収容部19に対して周り止めされている(中心軸線Lc周りの回転を規制されている)。
【0035】
また、ベンチュリ部品20のテーパ状の周壁には、空気導入口11側から燃料供給ノズル16側に向かって延びる複数の空気案内突条28が形成されている。各空気案内突条28は、ベンチュリ部品20の内周側に多段に隆起し、その隆起部分が中心軸線Lcに沿うように直線状に延びている。この空気案内突条28は、ベンチュリ部品20の内部を通過する空気を出口側拡径部13Eに向けて円滑に案内し、ベンチュリ部15を流れる気流を整流する。
【0036】
以上のように構成された混合気生成装置1は、空気導入口11から空気が導入されると、その空気がベンチュリ部15において流速を速め、燃料供給ノズル16から流速に応じた流量の燃料を吸い出す。ガソリン等の液体燃料が燃料として用いられる場合には、ベンチュリ部15では液体燃料が霧状になって空気と混合され、その混合気が混合気導出口12を通して内燃機関側に供給される。一方、バイオガス等の気体燃料が燃料として用いられる場合には、ベンチュリ部15では気体燃料が空気と混合され、その混合気が混合気導出口12を通して内燃機関側に供給される。
【0037】
混合気生成装置1におけるベンチュリ部15の燃料の吸い出し特性は、ベンチュリ部15の最小内径部やその近傍部の形状によって大きく影響を受ける。本実施形態の混合気生成装置1では、ベンチュリ部15での燃料の吸い出し特性を変更する場合には、ベンチュリ部品20を最小内径や形状の異なるものと交換する。
【0038】
ベンチュリ部品20を装置本体ブロック10に取り付ける場合には、ベンチュリ部品20を装置本体ブロック10の連通孔13の部品収容部19に空気導入口11側から挿入する。このとき、ベンチュリ部品20は、切欠き部27の位置が部品収容部19の平坦面30の位置と合致するように周方位置(中心軸線Lc周りの回転位置)を調整し、縮径側(軸方向の一端側)から部品収容部19に挿入する。
【0039】
こうしてベンチュリ部品20が部品収容部19内に所定深さまで挿入されると、ベンチュリ部品20の縮径側の端部の切欠き溝25が燃料供給ノズル16の外周面に嵌合し、ベンチュリ部品20の拡径側の切欠き部27の縁部が部品収容部19の対応する平坦面30に当接するようになる。ベンチュリ部品20は、これにより回転方向の変位が規制される。また、このとき、ベンチュリ部品20の縮径側の端部は、装置本体ブロック10側の出口側拡径部13Eの端部の内側に配置され、ベンチュリ部品20の端部の外周面は出口側拡径部13Eの当接座21に当接する。
【0040】
この後、装置本体ブロック10の導入側接続フランジ10f1に空気導入配管14を締結固定する際に、装置本体ブロック10の導入側接続フランジ10f1の空気導入口11の周縁部にパッキン32を取り付け、パッキン32の一部をベンチュリ部品20の拡径側の端部に当接させる。こうして装置本体ブロック10の導入側接続フランジ10f1に空気導入配管14が締結固定されると、ベンチュリ部品20の軸方向の端部がパッキン32を介して空気導入配管14に押し込まれ、ベンチュリ部品20の軸方向の他端側の変位が規制される。この結果、ベンチュリ部品20は、燃料供給ノズル16と空気導入配管14によって軸方向の変位を規制された状態で装置本体ブロック10に固定されることになる。
【0041】
(実施形態の効果)
本実施形態の混合気生成装置1は、ベンチュリ部15の一部を構成するベンチュリ部品20を、最少内径や形状の異なるものと交換することにより、ベンチュリ部15における燃料の吸い出し特性を変えることができる。このため、内燃機関で求められる幅広い要求に対し柔軟に対応することができる。特に、バイオガスのようなガス自体の熱量が小さい気体ガスを扱う場合には、最適な燃料吸い出し特性が得られるベンチュリ部品20と交換することにより、体積効率を容易に高めることができる。
また、ベンチュリ部品20を別のものと交換することにより、排気量等の特性の異なる内燃機関において共通仕様の装置本体ブロック10を用いることができる。したがって、本実施形態の混合気生成装置1を採用した場合には、多用な仕様の内燃機関で主要部品を共用できることから、生産効率を高めることができる。
【0042】
また、本実施形態の混合気生成装置1は、ベンチュリ部品20の軸方向の一端側の変位が燃料供給ノズル16によって規制され、ベンチュリ部品20の軸方向他端側の変位が空気導入配管14によって規制される。このため、ベンチュリ部品20を固定するための部品点数の増加を抑制することができる。したがって、本実施形態の混合気生成装置1を採用した場合には、ベンチュリ部15における燃料の吸い出し特性を容易に変更することができ、かつ、部品点数の増加を可及的に抑制することができる。
【0043】
さらに、本実施形態の混合気生成装置1は、ベンチュリ部品20の軸方向の一端側に切欠き溝25が形成され、その切欠き溝25が燃料供給ノズル16の外周面の一部に嵌合されている。このため、ベンチュリ部品20の軸方向の一端側の変位を燃料供給ノズル16によってより確実に規制することができるとともに、ベンチュリ部品20の回転を燃料供給ノズル16によって規制することができる。
【0044】
また、本実施形態の混合気生成装置1は、ベンチュリ部品20の軸方向の他端側が、装置本体ブロック10と空気導入配管14の間を密閉するパッキン32を介して、空気導入配管14によって軸方向の変位を規制されている。このため、パッキン10の一部をベンチュリ部品20の軸方向の他端部と当接する形状にすることにより、ベンチュリ部品20の軸方向の他端側の変位を確実に規制することができる。
【0045】
また、本実施形態の混合気生成装置1は、装置本体ブロック10の部品収容部19に、ベンチュリ部品20の外周面の一部と当接してベンチュリ部品20の回転を規制する平坦面30が形成されている。このため、本構成を採用した場合には、ベンチュリ部品20を回転方向に位置決めした状態で装置本体ブロック10に安定して固定することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の混合気生成装置1では、ベンチュリ部品20が、空気導入口11側から燃料供給ノズル16側に向かって内径及び外径が漸減するテーパ筒形状に形成されている。そして、ベンチュリ部品20の空気導入口11側の端部の周壁には、少なくとも周方向の両縁部が部品収容部19側の平坦面30に当接する切欠き部27が形成されている。このため、ベンチュリ部品20の切欠き部27の少なくとも周方向の両縁部27eを部品収容部19の平坦面30に当接させることにより、ベンチュリ部品20の回転を確実に規制することができる。特に、本構成では、切欠き部27の縁部の全域を部品収容部19の平坦面30に当接させるようにしているため、ベンチュリ部品20の回転をより確実に規制することができる。
また、本構成の場合、ベンチュリ部品20の周壁に切欠き部27を形成するだけで良いため、ベンチュリ部品20に部品収容部19の平坦部30に対応する平坦部を形成する場合に比較して、ベンチュリ部品20の加工が容易になるとともに、ベンチュリ部品20の軽量化、延いては、混合気生成装置1全体の軽量化を図ることができる。
【0047】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…混合気生成装置
10…装置本体ブロック
11…空気導入口
12…混合気導出口
13…連通孔
14…空気導入配管
15…ベンチュリ部
16…燃料供給ノズル
19…部品収容部
20…ベンチュリ部品
21…当接座
25…切欠き溝
27…切欠き部
30…平坦面
32…パッキン
図1
図2
図3