(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175674
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】プラスチック容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/26 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B65D1/26 120
B65D1/26 110
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082293
(22)【出願日】2021-05-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [公開の事実1] 販売場所: セブンイレブン千葉駅北口店を含むJR千葉駅周辺のセブンイレブン10店舗、および全国のセブンイレブン店舗 販売日: 2020年5月18日 販売した物の内容: 本発明に係るプラスチック容器を用いた商品
(71)【出願人】
【識別番号】502038989
【氏名又は名称】ベスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】原 信治
(72)【発明者】
【氏名】高茂 功
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA16
3E033DA08
3E033DC03
3E033DD02
3E033DD03
3E033DE20
3E033EA04
3E033FA04
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】胴体部の構造的強度を十分に確保しつつ、内容物が容器内に残留してしまうことを抑制することが可能な構造のプラスチック容器を提供する。
【解決手段】プラスチック容器100は、上端が開口している胴体部11と、胴体部11の下端を閉塞している底面部14と、を備えるプラスチック容器100であって、胴体部11には、突出高さが当該胴体部11の厚み寸法よりも小さい複数のリブ15が、当該胴体部11の外面側と内面側とにそれぞれ形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口している胴体部と、
前記胴体部の下端を閉塞している底面部と、
を備えるプラスチック容器であって、
前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも小さい複数のリブが、当該胴体部の外面側と内面側とにそれぞれ形成されているプラスチック容器。
【請求項2】
前記複数のリブは、それぞれ前記胴体部の周方向に延在している請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
前記複数のリブは、それぞれ前記胴体部の周囲を360度周回している請求項2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
前記複数のリブは上下方向において等間隔に配置されている請求項2又は3に記載のプラスチック容器。
【請求項5】
前記複数のリブの突出高さは0.1mm未満である請求項1から4のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項6】
前記胴体部の厚み寸法は、前記底面部に近づくにつれて小さくなっており、
前記複数のリブのうち、前記底面部に近いリブほど、突出高さが大きい請求項1から5のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項7】
前記胴体部の外面側の前記複数のリブどうしの間の谷部の曲率半径よりも、前記胴体部の内面側の前記複数のリブどうしの間の谷部の曲率半径が小さい請求項1から6のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項8】
前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも大きい複数の第2リブが形成されており、
前記複数の第2リブの延在方向は、前記複数のリブの延在方向に対して交差している請求項1から7のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項9】
前記底面部の中央部の高さ位置が、前記底面部の周縁部の高さ位置よりも高くなっており、
前記底面部の中央部と前記底面部の周縁部との間の段差部は傾斜面となっており、
前記傾斜面には、突出高さが当該傾斜面の厚み寸法よりも小さい複数の第3リブが形成されている請求項1から7のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品などの内容物を収容するプラスチック容器は、その構造的強度を十分に確保するため、複数のリブにより補強される場合がある。そのようなプラスチック容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されたようなプラスチック容器の場合、例えばスプーンなどで内容物をすくい取ろうとしても、内容物がリブの溝に残留してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、胴体部の構造的強度を十分に確保しつつ、内容物が容器内に残留してしまうことを抑制することが可能な構造のプラスチック容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上端が開口している胴体部と、
前記胴体部の下端を閉塞している底面部と、
を備えるプラスチック容器であって、
前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも小さい複数のリブが、当該胴体部の外面側と内面側とにそれぞれ形成されているプラスチック容器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プラスチック容器の胴体部を複数のリブにより補強し、胴体部の構造的強度を十分に確保することができるとともに、内容物が複数のリブどうしの間の谷部に残留してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るプラスチック容器の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るプラスチック容器の平面図である。
【
図3】第1実施形態に係るプラスチック容器の正面断面図(
図2のA-A線に沿った断面図)である。
【
図5】
図4のA部を拡大して示す切断端面図である。
【
図6】第1実施形態に係るプラスチック容器に紙スリーブを装着した状態を示す正面断面図である。
【
図7】第2実施形態に係るプラスチック容器の正面図である。
【
図8】
図8(a)は
図7のA-A線に沿った切断端面を示す図であり、
図8(b)は
図7のB-B線に沿った切断端面を示す図である。
【
図9】第3実施形態に係るプラスチック容器の斜視図である。
【
図10】第3実施形態に係るプラスチック容器の底面図である。
【
図11】第3実施形態に係るプラスチック容器の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図11を用いて説明する。
なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図6を用いて第1実施形態を説明する。なお、
図1~
図3、
図6では、図面が煩雑になることを避けるため、リブ15の数を減らして示している。
【0011】
図1から
図3に示すように、本実施形態に係るプラスチック容器100は、上端が開口している胴体部11と、胴体部11の下端を閉塞している底面部14と、を備えるプラスチック容器100であって、
図4及び
図5に示すように、胴体部11には、突出高さD1、D2(
図5)が当該胴体部11の厚み寸法T(
図5)よりも小さい複数のリブ15が、当該胴体部11の外面側と内面側とにそれぞれ形成されている。
本実施形態によれば、複数のリブ15により胴体部11が補強されているため、胴体部11の構造的強度を十分に確保することができ、胴体部11の良好な保形性を実現できる。しかも、複数のリブ15の突出高さが胴体部11の厚み寸法(肉厚)よりも小さいので、例えばスプーンや箸などでプラスチック容器100の内容物を取り出す際に、内容物が胴体部11の内面に残留してしまうことを抑制できる(残留量を低減することができる)。すなわち、内容物がリブ15どうしの間の谷部82(
図5参照)に残留してしまうことを抑制できる。
【0012】
以下、プラスチック容器100について、より詳細に説明する。
プラスチック容器100は、例えば、真空成形により、その全体が一体成形されたものである。プラスチック容器100の材料は、特に限定されないが、一例として、ポリプロピレンであることが挙げられる。
【0013】
本実施形態の場合、胴体部11は、上下反転した円錐台形状(逆円錐台形状)となっている。
より詳細には、胴体部11の上端には、径方向外方に向けてフランジ状に張り出しているフランジ部12が形成されている。フランジ部12の内周縁が、胴体部11の上端の開口13となっている。
胴体部11は、更に、フランジ部12の内周縁から下方に延出している円筒状の上端部16を有する。
胴体部11において、上端部16の下側の部分(以下、胴体本体部11a)が、逆円錐台形状に形成されている。胴体部11における胴体本体部11aの上縁と上端部16の下縁との間には段差部17が形成されている。段差部17は、胴体本体部11aの上縁から径方向外方に向けてフランジ状に張り出している円環状の部分であり、段差部17の外周縁は、上端部16の下縁に連接されている。換言すれば、段差部17は、上端部16の下縁から径方向内側に向けて内フランジ状に張り出している。
なお、上端部16と段差部17とを含む部分は、複数のプラスチック容器100を積み重ねた(スタックした)際に、下側のプラスチック容器100における開口13よりも下方の部分には入り込まないようになっている。これにより、上側のプラスチック容器100のフランジ部12に指を掛けて、上側のプラスチック容器100を容易に上に抜き取るようにできるようになっている。本実施形態では、上端部16と段差部17とを含む部分が、プラスチック容器100の周囲360度に亘って連続的な周回状に形成されているが、本発明は、この例に限らず、上端部16と段差部17とを含む部分は、プラスチック容器100の周方向において間欠的に複数配置されていてもよい。
胴体部11の下端部(胴体本体部11aの下端部)には、後述する紙スリーブ20(
図6)の下端部に対して嵌入する固定用リブ18が周回状に形成されている。
固定用リブ18の内周縁は、底面部14の外周縁(以下に説明する周縁部14bの外周縁)に連接されている。
底面部14の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、
図3に示すように、底面部14の中央部14aは、その周縁部を除いて略平坦且つ水平に配置されている。底面部14の周縁部14bには、当該周縁部14bが径方向内側に向けて階段状に下方に変位するように、複数の段部が形成されている。例えば、中央部14aにおける周縁部を除く部分の高さ位置(上下方向における位置)は、固定用リブ18の下端の高さ位置と同等に設定されており、中央部14aの周縁部は、径方向外側に向けて下り傾斜しており、中央部14aの外周縁は、周縁部14bの内周縁に連接されている。
一例として、プラスチック容器100の上下寸法は、プラスチック容器100の開口13における内径と略同等となっているが、開口13の内径とプラスチック容器100の上下寸法との関係は、この例に限らない。
本実施形態の場合、プラスチック容器100は、以上のような概略形状に形成されている。
ただし、本発明において、プラスチック容器100の概略形状は、上記の例に限らず、例えば、第3実施形態(
図9~
図11)で説明するように、扁平な箱型形状などであってもよい。
【0014】
複数のリブ15は、互いに並列に延在していることが好ましい。
本発明において、複数のリブ15が延在する方向は、特に限定されないが、本実施形態の場合、複数のリブ15は、それぞれ胴体部11の周方向に延在している。
より詳細には、複数のリブ15は、それぞれ胴体部11の周囲を360度周回している。これにより、胴体部11の周方向における全域が複数のリブ15により補強されている。ただし、リブ15は、必ずしも胴体部11の周囲を360度周回していなくてもよい。
より詳細には、複数のリブ15は上下方向において等間隔に配置されている。これにより、胴体部11の上下方向において複数のリブ15が配置されている領域の全域が、同程度に補強されている。本実施形態の場合、複数のリブ15は、胴体本体部11aにおける固定用リブ18よりも上側の部分の全域に、上下方向に等間隔に配置されている。
【0015】
図4及び
図5に示すように、複数のリブ15の並び方向に沿って切断した断面(本実施形態の場合、鉛直な切断面で切断した断面)において、複数のリブ15の集合体の形状は、例えば、波線状となっている。すなわち、この断面において、胴体部11の外面側の複数のリブ15の集合体の形状は波線状になっているとともに、胴体部11の内面側の複数のリブ15の集合体の形状も波線状になっている。換言すれば、複数のリブ15の集合体の形状は、略正弦波状となっている。
外面側の複数のリブ15の集合体の外形線である波線と、内面側の複数のリブ15の集合体の外形線である波線とは、互いに並列に延在しており、これら波線により囲まれている胴体部11の肉部の厚みは、略一定となっている。
複数のリブ15の並び方向に沿って切断した断面は、各リブ15の延在方向に対して直交する断面でもある。リブ15の延在方向に対して直交する断面において、各リブ15は、弧状に形成されており、隣り合うリブ15どうしの間の谷部も弧状に形成されている。
ただし、本発明において、複数のリブ15の並び方向に沿って切断した断面における複数のリブ15の集合体の形状は、この例に限らず、三角波状や略矩形波状などであってもよく、リブ15の延在方向に対して直交する断面におけるリブ15の形状は、略三角形や略矩形であってもよい。
【0016】
ここで、プラスチック容器100の肉厚(厚み寸法)は、特に限定されないが、例えば、0.2mm以上1.0mm以下とすることができる。プラスチック容器100の各部の肉厚は、略一定でもよいが、部位により相違していてもよい。例えば、フランジ部12の肉厚が最も大きく、胴体部11及び中央部14aの肉厚が互いに同等であり、周縁部14bの肉厚は中央部14aの肉厚よりも小さい。
胴体部11の肉厚は、例えば、0.2mm以上0.5mm以下であり、より詳細には、例えば、0.3mm以上0.4mm以下である。
一方、複数のリブ15の突出高さD1、D2(
図5)は、例えば、0.1mm未満である。リブ15の突出高さD2が0.1mm未満であることにより、例えばスプーンなどでプラスチック容器100の内容物をすくい取る際に、内容物が胴体部11の内面に残留してしまうことをより確実に抑制できる。
ここで、外面側のリブ15の突出高さD1と、内面側のリブ15の突出高さD2とは、互いに等しくてもよいし、互いに相違していてもよい。
【0017】
より詳細には、例えば、胴体部11における逆円錐台状の部分の厚み寸法Tは、底面部14に近づくにつれて(僅かに)小さくなっており、複数のリブ15のうち、底面部14に近いリブ15ほど、突出高さが(僅かに)大きくなっている。
これにより、より薄くなっている部分を、より突出高さが大きいリブ15によって十分に補強することができる。
ただし、本発明は、この例に限らず、胴体部11の厚み寸法Tは均一であってもよいし、各リブ15の突出高さは均一であってもよい。
【0018】
ここで、
図5に示すように、外面側のリブ15どうしの間の谷部を谷部81と称し、内面側のリブ15どうしの間の谷部を谷部82と称する。また、外面側のリブ15の頂部を頂部83と称し、内面側のリブ15の頂部を頂部84と称する。
本発明において、外面側のリブ15と内面側のリブ15とは、互いに同形状であってもよいが、本実施形態の場合、外面側のリブ15と内面側のリブ15とは、形状が若干異なっている。
すなわち、本実施形態の場合、
図5に示すように、胴体部11の外面側の複数のリブ15どうしの間の谷部81の曲率半径よりも、胴体部11の内面側の複数のリブ15どうしの間の谷部82の曲率半径が小さい。
これにより、谷部81よりも谷部82が狭くなっているので、胴体部11の内面側における内容物の残留を、より確実に抑制することができる。
より詳細には、本実施形態の場合、
図5に示すように、胴体部11の外面側のリブ15の頂部83の曲率半径よりも、胴体部11の内面側のリブ15の頂部84の曲率半径が大きい。
なお、ここでいう曲率半径は、各リブ15の延在方向に対して直交する断面における曲率半径である。
より詳細には、胴体部11の外面側のリブ15については、谷部81の曲率半径と頂部83の曲率半径とは、互いに同等となっている。一例として、谷部81の曲率半径と頂部83の曲率半径は、それぞれ0.3mm以上0.7mm以下となっている。
一方、胴体部11の内面側のリブ15については、谷部82の曲率半径が、頂部84の曲率半径よりも小さい。
【0019】
本実施形態の場合、胴体部11の外面側の複数のリブ15どうしのピッチP(
図5参照)(互いに隣り合う頂部83どうしの間隔=互いに隣り合う谷部81どうしの間隔)は、胴体部11の内面側の複数のリブ15どうしのピッチ(互いに隣り合う頂部84どうしの間隔=互いに隣り合う谷部82どうしの間隔)と等しい。
胴体部11の外面側の複数のリブ15どうしのピッチPは、特に限定されないが、0.5mm以上2mm以下とすることができ、より詳細には、例えば、0.8mm以上1.2mm以下とすることができる。
【0020】
プラスチック容器100は、単体(
図1~
図3に示す形態)で使用されてもよいし、
図6に示すように筒状の紙スリーブ20が胴体部11の周囲に嵌着された状態で使用されてもよい。紙スリーブ20は、例えば、胴体部11の外周面に沿う逆円錐台形状に形成されており、例えば、フランジ部12を除く胴体部11の外周面の実質的に全域、又は、フランジ部12、上端部16及び段差部17を除く胴体部11の外周面の実質的に全域に対して密着するようになっている。
プラスチック容器100が紙スリーブ20を有する場合、商品の説明などの表示を紙スリーブ20の外面に施された印刷により好適に行うことができる。
なお、プラスチック容器100が紙スリーブ20を有していない場合、印刷等が施されたラベルが胴体部11に貼り付けられていたり、胴体部11に直に印刷が施されていたりしてもよい。
【0021】
更に、プラスチック容器100は、内容物の充填後、図示しないフィルム状の蓋部が開口13を密閉状態で閉塞するようにフランジ部12の上面に接合された状態で流通してもよい。
この場合、プラスチック容器100ごと内容物が冷却されると、プラスチック容器100の内部が減圧することとなる。ここで、上述のように、底面部14の周縁部14bには複数の段部が形成されているので、プラスチック容器100の内部が減圧すると、周縁部14bが上方に向けて変形することにより、中央部14aが上方に変位するので、胴体部11の変形(凹み)は抑制することができる。
なお、上述した底面部14における各部の位置関係は、プラスチック容器100の内部が減圧する前の自然状態での位置関係を説明したものであり、内部の減圧により底面部14が変形した後の状態では、底面部14の各部における位置関係は、自然状態での位置関係とは相違する。
【0022】
なお、プラスチック容器100の内容物は、特に限定されず、液体(流動体を含む)であってもよいし、固形物であってもよい。
【0023】
〔第2実施形態〕
次に、
図7、
図8(a)及び
図8(b)を用いて第2実施形態を説明する。なお、
図7では、図面が煩雑になることを避けるため、リブ15の数を減らして示している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0024】
図7に示すように、本実施形態の場合、胴体部11には、突出高さD3(
図8(a))が当該胴体部11の厚み寸法Tよりも大きい複数の第2リブ19が形成されている。複数の第2リブ19の延在方向は、複数のリブ15の延在方向に対して交差している。
これにより、複数の第2リブ19の配置領域において、胴体部11をより良好に補強することができる。
【0025】
第2リブ19の延在方向は、リブ15の延在方向に対して交差している限りにおいて、特に限定されないが、本実施形態の場合、第2リブ19は、上下方向(縦方向)に延在している。ただし、第2リブ19は、逆円錐台形状の胴体部11の形状に沿って傾斜した方向に延在している。
第2リブ19は、例えば、胴体部11の下部に配置されており、胴体部11の周方向において間欠的に、等間隔(等角度間隔)で配置されている。胴体部11の上部には、第2リブ19は形成されていない。
【0026】
第2リブ19の突出高さD3は、例えば、第2リブ19の上端から下方に向けて拡大している。
このため、胴体部11に紙スリーブ20(
図6参照)を装着する場合、紙スリーブ20の下端部が胴体部11に対して良好に嵌合するようになっている。
図8(a)に示すように、第2リブ19は、例えば、胴体部11の外方に向けて円弧状に突出している。ただし、第2リブ19の形状はこの例に限らず、胴体部11の外方に向けて突出した略三角形や略矩形であってもよい。
【0027】
本実施形態の場合、第2リブ19の形成領域には、リブ15は形成されていない。すなわち、胴体部11の下部のリブ15は、第2リブ19の形成領域において途切れており、複数の第2リブ19どうしの間にそれぞれ配置されている。ただし、本発明は、この例に限らず、リブ15は、第2リブ19の形成箇所の少なくとも一部分においても形成されていてもよく、この場合に、リブ15は、第2リブ19の形成箇所を含めて胴体部11の周囲を360度連続的に周回していることも好ましい。
【0028】
〔第3実施形態〕
次に、
図9から
図11を用いて第3実施形態を説明する。なお、
図9では、リブ15及び第3リブ31(後述)の図示を省略している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0029】
図9~
図11に示すように、本実施形態の場合、プラスチック容器100の概略形状は、扁平な(上下の深さ寸法が浅い)箱型形状となっている。プラスチック容器100の平面形状は、略矩形状(角丸の矩形状)となっている。より詳細には、プラスチック容器100の平面形状は、略長方形状となっている。
【0030】
プラスチック容器100の内容物は、特に限定されないが、一例として、米飯類とすることができる。プラスチック容器100は、例えば、内容物の充填後、図示しないフィルム状の蓋部がフランジ部12に設けられた状態で流通する。
【0031】
胴体部11は、上方に向けて平面寸法が僅かに拡大するように傾斜している。
本実施形態の場合も、胴体部11には複数のリブ15が形成されている。ただし、本実施形態の場合、リブ15の延在方向は、胴体部11の周方向ではなく、上下方向(縦方向)となっている。
例えば、リブ15の上端は、胴体部11における段差部17よりも下側の部分(胴体本体部11a)の上端に位置しており、リブ15の下端は、胴体部11と底面部14との境界に達している。本実施形態の場合も、複数のリブ15は、互いに並列に延在している。
本実施形態の場合も、複数のリブ15により胴体部11が補強されているため、胴体部11の構造的強度を十分に確保することができ、胴体部11の良好な保形性を実現できる。しかも、複数のリブ15の突出高さが胴体部11の厚み寸法(肉厚)よりも小さく、箸などでプラスチック容器100の内容物を取り出す際に、内容物が胴体部11の内面に残留してしまうことを抑制できる。
また、リブ15の延在方向が上下方向(縦方向)であるため、米飯の粒をリブ15に沿って上方に誘導して取り出すことも可能である。
【0032】
なお、胴体部11の側周壁のうち、略長方形状の胴体部11の長辺にあたる部位の中央部は、当該長辺に当たる部位の両端部よりも、プラスチック容器100の内側にオフセットされている。このため、略長方形状の胴体部11の長辺にあたる部位の中央部と両端部との間には、それぞれ段差部32が形成されている。そして、例えば、段差部32の形成領域には、リブ15は形成されていない。
【0033】
本実施形態の場合、底面部14の中央部14aの高さ位置が、底面部14の周縁部14bの高さ位置よりも高くなっている。底面部14の中央部14aと底面部14の周縁部14bとの間の段差部14cは傾斜面となっている。この傾斜面(段差部14c)には、突出高さが当該傾斜面の厚み寸法よりも小さい複数の第3リブ31が形成されている。
複数の第3リブ31により段差部14cが補強されているので、段差部14cの良好な保形性を実現できるとともに、第3リブ31の突出高さが段差部14cの厚み寸法よりも小さいので、内容物が段差部14cに引っ掛かって残留してしまうことも抑制できる。
より詳細には、例えば、中央部14aの周縁部を除く部位は、上方に向けて凸の曲面状に隆起している。すなわち、中央部14aにおいて、
図9及び
図11に示す環状の隆起境界部14dよりも外側の領域は、例えば略水平となっているのに対して、隆起境界部14dよりも内側の領域は、上方に向けてドーム状に隆起した湾曲面となっている。なお、中央部14aの全体が上方に向けてドーム状に隆起した湾曲面となっていてもよい。
これらの構成により、内容物の充填後、図示しないフィルム状の蓋部が開口13を密閉状態で閉塞するようにフランジ部12の上面に接合された状態で、冷却によりプラスチック容器100の内部が減圧した際にも、底面部14が良好な耐変形性を呈するようにできる。
【0034】
図10に示すように、一例として、中央部14aの平面形状は、楕円形状ないしは長円形状となっており、その長軸方向は、略長方形状のプラスチック容器100の長辺に対して平行な方向となっている。
段差部14cの平面形状は、中央部14aの外形線に沿った環状に形成されている。
図10及び
図11に示すように、段差部14cは周縁部14b側から中央部14a側に向けて上り傾斜する形状に形成されており、各第3リブ31は、段差部14cの傾斜方向に沿って延在している。つまり、複数の第3リブ31は、平面視において、中央部14aの周囲に放射状に配置されている。
各第3リブ31が段差部14cの傾斜方向に沿って延在していることにより、内容物が段差部14cに引っ掛かって残留してしまうことをより確実に抑制でき、米飯の粒を第3リブ31に沿って上方に誘導して取り出すことも可能である。
【0035】
本実施形態の場合、複数のリブ15どうしのピッチよりも、複数の第3リブ31どうしのピッチの方が大きい。このため、内容物が段差部14cに引っ掛かって残留してしまうことをより確実に抑制することができる。
一例として、第3リブ31の突出高さは、リブ15の突出高さよりも大きい。これにより、複数の第3リブ31どうしのピッチが複数のリブ15どうしのピッチよりも大きくても、複数の第3リブ31により段差部14cを十分に補強することができる。
【0036】
以上、図面を参照して実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0037】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)上端が開口している胴体部と、
前記胴体部の下端を閉塞している底面部と、
を備えるプラスチック容器であって、
前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも小さい複数のリブが、当該胴体部の外面側と内面側とにそれぞれ形成されているプラスチック容器。
(2)前記複数のリブは、それぞれ前記胴体部の周方向に延在している(1)に記載のプラスチック容器。
(3)前記複数のリブは、それぞれ前記胴体部の周囲を360度周回している(2)に記載のプラスチック容器。
(4)前記複数のリブは上下方向において等間隔に配置されている(2)又は(3)に記載のプラスチック容器。
(5)前記複数のリブの突出高さは0.1mm未満である(1)から(4)のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
(6)前記胴体部の厚み寸法は、前記底面部に近づくにつれて小さくなっており、
前記複数のリブのうち、前記底面部に近いリブほど、突出高さが大きい(1)から(5)のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
(7)前記胴体部の外面側の前記複数のリブどうしの間の谷部の曲率半径よりも、前記胴体部の内面側の前記複数のリブどうしの間の谷部の曲率半径が小さい(1)から(6)のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
(8)前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも大きい複数の第2リブが形成されており、
前記複数の第2リブの延在方向は、前記複数のリブの延在方向に対して交差している(1)から(7)のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
(9)前記底面部の中央部の高さ位置が、前記底面部の周縁部の高さ位置よりも高くなっており、
前記底面部の中央部と前記底面部の周縁部との間の段差部は傾斜面となっており、
前記傾斜面には、突出高さが当該傾斜面の厚み寸法よりも小さい複数の第3リブが形成されている(1)から(7)のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【符号の説明】
【0038】
10 容器本体
11 胴体部
11a 胴体本体部
12 フランジ部
13 開口
14 底面部
14a 中央部
14b 周縁部
14c 段差部
14d 隆起境界部
15 リブ
16 上端部
17 段差部
18 固定用リブ
19 第2リブ
20 紙スリーブ
31 第3リブ
32 段差部
81、82 谷部
83、84 頂部
100 プラスチック容器
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口している胴体部と、
前記胴体部の下端を閉塞している底面部と、
を備えるプラスチック容器であって、
前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも小さい複数のリブが、当該胴体部の外面側と内面側とにそれぞれ形成されており、
前記複数のリブは、それぞれ前記胴体部の周方向に延在し、且つ、上下方向に並んで配置されており、
前記胴体部の厚み寸法は、前記底面部に近づくにつれて小さくなっており、
前記複数のリブのうち、前記底面部に近いリブほど、突出高さが大きいプラスチック容器。
【請求項2】
前記複数のリブは、それぞれ前記胴体部の周囲を360度周回している請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
前記複数のリブは上下方向において等間隔に配置されている請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
前記複数のリブの突出高さは0.1mm未満である請求項1から3のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項5】
前記胴体部の外面側の前記複数のリブどうしの間の谷部の曲率半径よりも、前記胴体部の内面側の前記複数のリブどうしの間の谷部の曲率半径が小さい請求項1から4のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項6】
前記胴体部には、突出高さが当該胴体部の厚み寸法よりも大きい複数の第2リブが形成されており、
前記複数の第2リブの延在方向は、前記複数のリブの延在方向に対して交差している請求項1から5のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項7】
前記底面部の中央部の高さ位置が、前記底面部の周縁部の高さ位置よりも高くなっており、
前記底面部の中央部と前記底面部の周縁部との間の段差部は傾斜面となっており、
前記傾斜面には、突出高さが当該傾斜面の厚み寸法よりも小さい複数の第3リブが形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載のプラスチック容器。