(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175676
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】衛生用品処理液
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20221117BHJP
C02F 1/56 20060101ALI20221117BHJP
B01D 21/01 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
C02F1/56 A
B01D21/01 105
B01D21/01 107A
B01D21/01 107Z
B01D21/01 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082295
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一充
(72)【発明者】
【氏名】宮島 徹
(72)【発明者】
【氏名】森田 英二
(72)【発明者】
【氏名】松本 吉正
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】福本 克久
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】畑中 郁則
【テーマコード(参考)】
4D004
4D015
【Fターム(参考)】
4D004AA06
4D004AA12
4D004AA50
4D004AC04
4D004CA12
4D004CC11
4D004CC12
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4D015BA05
4D015BA19
4D015CA05
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4D015DB04
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4D015DB14
4D015DB15
4D015DB23
4D015DB25
4D015DC02
4D015DC04
(57)【要約】
【課題】使用後の衛生用品の素材であるパルプ繊維と吸収性樹脂との分離回収が、人体に対して安全でかつ容易に実施できる、衛生用品処理液を提供する。
【解決手段】ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド等の凝集剤(A)と、水溶性多価金属化合物(c1)、水溶性有機酸(c2)及び水溶性無機酸(c3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(C)、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、塩化マグネシウム等、とを含有する衛生用品処理液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤(A)と、水溶性多価金属化合物(c1)、水溶性有機酸(c2)及び水溶性無機酸(c3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(C)とを含有する衛生用品処理液。
【請求項2】
前記水溶性多価金属化合物(c1)が、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の衛生用品処理液。
【請求項3】
化合物(C)の含有量が、衛生用品処理液の重量に対し3~40重量%である請求項1又は2記載の衛生用品処理液。
【請求項4】
前記凝集剤(A)が、有機凝結剤(A1)及び/又は有機高分子凝集剤(A2)である請求項1~3いずれか記載の衛生用品処理液。
【請求項5】
前記有機高分子凝集剤(A2)が、
下記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)、
下記一般式(2)で表される水溶性アニオンモノマー(a2)及び
下記一般式(3)で表される水溶性ノニオンモノマー(a3)からなる群から選ばれた少なくとも1種を構成単量体として含む水溶性重合体(B)を含有する請求項4記載の衛生用品処理液。
CH2=CR1-CO-X1-Q-N+R2R3R4・Z- (1)
[式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2~R4はそれぞれ水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、X1は酸素原子又は-NH-であり、Qは炭素数1~4のアルキレン基であり、Z-はプロトン酸のH+を除いた残基を表す]
CH2=CR5-X2・Y (2)
[式中、R5は水素原子又はメチル基を、X2はCOO-、SO3
-、C6H4SO3
-、又はCONHC(CH3)2CH2SO3
-を、YはH+又は陽イオンを、それぞれ表す]
CH2=CR6-CO-NR7R8 (3)
[式中、R6は水素原子又はメチル基であり、R7~R8は、それぞれ水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよい]
【請求項6】
前記水溶性重合体(B)の固有粘度[η]が、0.5~25である請求項5に記載の衛生用品処理液。
【請求項7】
前記水溶性重合体(B)が水溶性のカチオン性重合体(B1)である請求項5又は6記載の衛生用品処理液。
【請求項8】
前記水溶性カチオン性重合体(B1)は、構成単量体の合計モル数に対し前記水溶性カチオンモノマー(a1)を90モル%以上含有する請求項7記載の衛生用品処理液。
【請求項9】
前記水溶性重合体(B)の含有量が、衛生用品処理液の重量に対し1~15重量%である請求項5~8いずれか記載の衛生用品処理液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用品処理液に関する。更に詳しくは、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む使用済み衛生用品を処理する時に好適な衛生用品処理液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会の少子高齢化が急速に進展し、高齢者の紙おむつなどの衛生用品の使用量が増加している。これに伴い、環境面や衛生面、更には介護者の負担増加等の観点から、使用済みの衛生用品の後処理が深刻な問題となりつつある。
【0003】
使用後の衛生用品の後処理問題を解決するための手段がこれまでいくつか提案されている。例えば、石灰を用いることで、吸水性樹脂粒子と衛生用品の他部材とを分離し回収するシステムに関する技術(特許文献1)、塩化カルシウム水溶液を用いることで吸水性樹脂粒子を脱水凝集させた後に、強酸と窒素含有塩基性化合物との塩を加えて凝集力を低下させ、その後の乾燥を容易にする技術(特許文献2)、使用済みの高吸水性ポリマーを多価金属塩水溶液で脱水処理した後、アルカリ金属塩水溶液で処理することで、高吸水性ポリマーの吸水能力を回復させる技術(特許文献3)、衛生用品に架橋剤と酸性物質を加えることにより、素材の分離回収効率を高める技術(特許文献4)並びに、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、さらにオゾン処理で高吸水性ポリマーを分解することで、衛生用品用途に再利用可能なリサイクルパルプを製造する技術(特許文献5)等が提案されている。また、国土交通省では下水道への紙おむつ受入れに関する検討が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-183893号公報
【特許文献2】特開2015-120834号公報
【特許文献3】特開2013-198862号公報
【特許文献4】国際公開第2014/203922号パンフレット
【特許文献5】特開2017-193819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸水性樹脂の吸収力はイオンの浸透圧を駆動力としており、吸収される液体のイオン濃度が低いと吸収力は大きくなる傾向にある。したがって、もしも紙おむつ等の衛生用品を下水道へ流す場合、粉砕された衛生用品を水道水と一緒に排水することが想定されるが、尿等の排泄物と比べて水道水のイオン濃度が低く、水道水と一緒に排水した際、衛生用品に含まれる吸水性樹脂が大きく膨潤し、膨潤したゲルにより排水管の閉塞や破裂等の問題生じる可能性が高い。また、これまでも上述の各提案において、処理上の難点とされる低流動性や含水率を低下させることが検討されているが(特許文献1~4)、吸水性樹脂の膨潤を抑制しても不溶性のゲルが大量に存在するため、排水管の閉塞や破裂といった課題を解決するのは不十分であるだけでなく、パルプ繊維や吸水性樹脂等の素材を効率的に分離回収するのは難しい。また、オゾンを使用する技術(特許文献5)は高価なオゾン処理装置が必要であるだけでなく、人体に対する安全面から好ましいとは言い難い。
【0006】
従って、使用後の衛生用品の素材の分離回収が容易に実施できれば、使用済みの衛生用品の後処理問題に対して、介護者の負担を軽減できるといったことが期待できる上、ごみ処理問題に関し、焼却処理時の燃焼効率やリサイクル時の生産性が向上し、環境負荷が大幅に軽減される。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用後の衛生用品の素材であるパルプ繊維と吸水性樹脂との分離回収が、人体に対して安全でかつ容易に実施できる衛生用品用の処理液(衛生用品処理液)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、凝集剤(A)と、水溶性多価金属化合物(c1)、水溶性有機酸(c2)及び水溶性無機酸(c3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(C)、とを含有する衛生用品処理液である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の衛生用品処理液は、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む使用済み衛生用品を処理する時に好適に使用することができる。とくに、使用後の衛生用品の素材であるパルプ繊維と吸水性樹脂との分離回収が、人体に対して安全でかつ容易に実施できる。なかでも、使用済み衛生用品を破砕して脱水分離する装置と本発明の衛生用品処理液とを併用した場合、ろ水側への吸水樹脂粒子やパルプ繊維のもれを低減させ、分離回収性が向上する。更に、該処理液を、静置で保管した後に使用しても、経日での劣化は見られず、分離回収性能を維持することができる。すなわち、該処理液は、経日安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[凝集剤(A)]
本発明における凝集剤(A)としては、公知のものが挙げられ、凝集処理が可能なものであれば特に限定はない。具体的には、有機凝結剤(A1)、有機高分子凝集剤(A2)及び無機凝集剤(A3)が挙げられる。これらの凝集剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。衛生用品の粉砕後の分離性能の観点から、好ましくは(A1)及び/又は(A2)であり、更に好ましくは(A2)である。
【0011】
[有機凝結剤(A1)]
有機凝結剤(A1)としては、有機凝結剤として使用される公知の有機凝結剤が広く適用される。
具体的には、エピハロヒドリンとアミンとの重縮合体(もしくはその塩酸塩、以下塩酸塩と略記)、エピハロヒドリンとアルキレンジアミンとの重縮合体(塩酸塩)、ポリエチレンイミン(塩酸塩)、アルキレンジハライド-アルキレンポリアミン重縮合体(塩酸塩)、アニリン-ホルムアルデヒド重縮合体(塩酸塩)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリビニルピリジン(塩酸塩)、ポリ(ジ)メチルジ(メタ)アリルアンモニウムクロライド、ポリビニルイミダゾリン(塩酸塩)、ポリビニルアミン(塩酸塩)、ポリアミジン、及びアクリロニトリルとビニルホルムアミドの重合物等が挙げられる。
衛生用品の粉砕後の分離性能の観点から、好ましくは、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド及びポリアミジンである。
【0012】
[有機高分子凝集剤(A2)]
有機高分子凝集剤(A2)は、下記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)、下記一般式(2)で表される水溶性アニオンモノマー(a2)及び下記一般式(3)で表される水溶性ノニオンモノマー(a3)からなる群から選ばれた少なくとも1種を構成単量体として含む水溶性重合体(B)を含有する。
【0013】
本発明において、水溶性とは、水に対する溶解度が1g/水100g(20℃)以上であることを意味する。
【0014】
一般式(1)は下記のように表される。
CH2=CR1-CO-X1-Q-N+R2R3R4・Z- (1)
一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基であり、R2~R4はそれぞれ水素原子又は炭素数1~4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等)であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。X1は酸素原子又は-NH-であり、Qは炭素数1~4のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等)を表す。アルキル基又はアルキレン基の炭素数が4を超えると水への溶解性が悪くなる。Z-はプロトン酸のH+を除く残基を表す。
プロトン酸とはプロトンを与える酸と定義されるもので、該プロトン酸としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸等)、有機酸[スルホン酸(パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等)、カルボン酸(シュウ酸、酢酸、マレイン酸等)、ホスホン酸(メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等)、メチルクロライド塩、ジメチル硫酸塩及びベンジルクロライド塩等]が挙げられる。プロトン酸のうち、分離性能の観点から、好ましくは無機酸及びスルホン酸であり、更に好ましくは塩酸、硫酸及びメタンスルホン酸であり、特に好ましくは塩酸である。
【0015】
一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)としては、以下の(a11)の塩、(a12)の塩、(a13)の塩(各塩は後述)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
(a11)窒素原子含有メタアクリレート
窒素原子含有メタアクリレートとしては、化合物の炭素数が5~8個のメタアクリレートが挙げられ、具体的にはアミノメチルメタアクリレート、アミノエチルメタアクリレート、アミノプロピルメタアクリレート及びアミノブチルメタアクリレート等である。
【0017】
(a12)窒素原子含有(メタ)アクリルアミド
窒素原子含有(メタ)アクリルアミドとしては、化合物の炭素数が5~8個の(メタ)アクリルアミドが挙げられ、具体的にはアミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びアミノブチル(メタ)アクリルアミド等である。
なお、本発明において(メタ)アクリルアミドは、メタクリルアミド又はアクリルアミドを意味する。
【0018】
(a13)前記(a11)、(a12)以外の窒素原子含有(メタ)アクリレート
前記(a11)、(a12)以外の窒素原子含有(メタ)アクリレートとしては、化合物の炭素数が5~30個の(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的にはN,N-ジアルキル(アルキル基の炭素数は1~2個)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は2~3個)(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノ-エチル又は-プロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノ-エチル又は-プロピル(メタ)アクリレート等]、複素環含有(メタ)アクリレート[N-モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]である。
なお、本発明において(メタ)アクリレートはメタアクリレート及びアクリレートを意味する。
【0019】
(a11)及び(a12)の塩としては、無機酸塩及び有機酸塩が挙げられる。
無機酸塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び硝酸塩等が挙げられる。
有機酸塩としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩及びホスホン酸塩等が挙げられる。スルホン酸塩としては、パラトルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。カルボン酸塩としては、シュウ酸塩、酢酸塩及びマレイン酸塩等が挙げられる。ホスホン酸塩としては、メチルホスホン酸塩及びフェニルホスホン酸塩等が挙げられる。(a11)及び(a12)の塩のうち、好ましくは塩酸塩、硫酸塩及びメタンスルホン酸塩であり、更に好ましくは塩酸塩及び硫酸塩であり、特に好ましくは塩酸塩である。
(a13)の塩としては、メチルクロライド塩、ジメチル硫酸塩及びベンジルクロライド塩等が挙げられ、好ましくはメチルクロライド塩である。
【0020】
上記(a1)のうち、凝集剤(A)の分離性能及び重合性の観点から、好ましくは(a13)のメチルクロライド塩であり、更に好ましくはN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩である。
【0021】
一般式(2)は下記のように表される。
CH2=CR5-X2・Y (2)
一般式(2)において、R5は水素原子又はメチル基を、X2はCOO-、SO3
-、C6H4SO3
-、又はCONHC(CH3)2CH2SO3
-を、YはH+又は陽イオンを、それぞれ表す。上記陽イオンとしては、Na+、K+、Li+、Mg2+、Ca2+等の金属イオン、NH4
+、炭素数1~20のアミン及びこれらの混合物があげられる。
【0022】
一般式(2)で表される水溶性アニオンモノマー(a2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、これらの塩及びこれらの混合物等が挙げられる。塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニア及び炭素数1~20のアミン等の塩が挙げられる。
【0023】
上記水溶性アニオンモノマー(a2)のうち、凝集剤(A)の分離性能及び重合性の観点から好ましくはアクリル酸、メタクリル酸及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びこれらの塩であり、更に好ましくはアクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びこれらの塩である。
【0024】
一般式(3)は下記のように表される。
CH2=CR6-CO-NR7R8 (3)
一般式(3)において、R6は水素原子又はメチル基であり、R7~R8は、それぞれ水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。アルキル基の炭素数が3を超えると水への溶解性が悪くなる。
【0025】
下記一般式(3)で表される水溶性ノニオンモノマー(a3)としては、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(炭素数1~3)(メタ)アクリルアミド[N-メチル及びイソプロピル(メタ)アクリルアミド等]などが挙げられる。
【0026】
上記水溶性ノニオンモノマー(a3)のうち凝集剤(A)の分離性能及び重合性の観点から好ましくはアクリルアミド及びN-メチルアクリルアミドであり、更に好ましくはアクリルアミドである。
【0027】
水溶性重合体(B)は、上記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)、上記一般式(2)で表される水溶性アニオンモノマー(a2)及び上記一般式(3)で表される水溶性ノニオンモノマー(a3)からなる群から選ばれた少なくとも1種以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、その他のモノマー(a4)を構成単位として含有させることが出来る。
【0028】
その他のモノマー(a4)としては、以下の(x1)~(x5)及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0029】
(x1)炭素数6~23の(メタ)アクリレート
脂肪族又は脂環式アルコール(炭素数3~20)の(メタ)アクリレート[プロピル-、ブチル-、ラウリル-、オクタデシル-及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等]及びエポキシ基(炭素数4~20)含有(メタ)アクリレート[グリシジル(メタ)アクリレート等];
【0030】
(x2)[モノアルコキシ(炭素数1~20)、モノシクロアルコキシ(炭素数3~12)及びモノフェノキシ]ポリプロピレングリコール(ポリプロピレングリコールは以下、PPGと略記)[プロピレンオキシド(以下POと略記)付加モル数2~50]の不飽和カルボン酸モノエステル、モノオール(炭素数1~20)もしくは1価フェノール(炭素数6~20)のPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル:[ω-メトキシPPG、ω-エトキシPPG、ω-プロポキシPPG、ω-ブトキシPPG、ω-シクロヘキソキシPPG及びω-フェノキシPPGモノ(メタ)アクリレート等];及び2価アルコール(炭素数2~20)もしくは2価フェノール(炭素数6~20)のPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル:[ω-ヒドロキシエチル(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等]等;
【0031】
(x3)炭素数2~30の不飽和炭化水素
エチレン、ノネン、スチレン及びα-メチルスチレン等;
【0032】
(x4)不飽和アルコール[炭素数2~4、例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(炭素数2~30)エステル
プロピオン酸ビニル等;
【0033】
(x5)ハロゲン含有モノマー(炭素数2~30)
塩化ビニル。
【0034】
水溶性重合体(B)は、(a1)を構成単量体として必ず含有し(a2)を構成単量体として含有しない水溶性のカチオン性重合体(B1)、(a1)を構成単量体として含有せず(a2)を構成単量体として必ず含有する水溶性のアニオン性重合体(B2)、(a1)及び(a2)をいずれも構成単量体として含有せず(a3)を構成単量体として必ず含有する水溶性のノニオン性重合体(B3)、(a1)及び(a2)をいずれも構成単量体として必ず含有する水溶性の両性重合体(B4)が挙げられる。
【0035】
水溶性重合体(B)中の構成単量体(a1)~(a3)については、使用する単量体の種類が上述の通りであれば、(B)に対する(a1)~(a3)それぞれの含有量については、(B)が水溶性のものとなる範囲内であれば、特に制限はない。また、(a4)についても、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により適宜使用することができる。
なお、水溶性重合体(B)のうち、凝集剤(A)の凝集性能の観点から、好ましくは(B1)、(B2)及び(B4)であり、更に好ましくは(B1)である。
水溶性のカチオン性重合体(B1)は、その凝集性能の観点から、水溶性カチオンモノマー(a1)の含有量が、(B1)を構成するモノマーの合計モル数に対し、好ましくは90モル%以上であり、更に好ましくは95モル%以上である。
【0036】
水溶性重合体(B)は、ラジカル重合開始剤(d)及び必要によりラジカル重合用連鎖移動剤(e)を用いて、上記モノマーを、公知の水溶液重合(例えば、特開昭55-133413号公報に記載の断熱重合、薄膜重合、噴霧重合等)や、公知の逆相懸濁重合(例えば特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報、特開平1-5808号公報に記載のもの)を含む種々の重合法[光重合(例えば特公平6-804公報に記載のもの)、沈澱重合(例えば特開昭61-123610公報に記載のもの)及び逆相乳化重合(例えば特開昭58-197398号、特開平9-276605号に記載のもの)等で、製造することが出来る。該重合法のうち、水溶性重合体(B)の分離性能及び工業上の観点から、好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、光重合及び逆相乳化重合であり、更に好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合及び逆相乳化重合であり、特に好ましくは水溶液重合である。
【0037】
ラジカル重合開始剤(d)としては、例えば、油溶性のアゾ化合物[アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩及びアゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等]、油溶性の過酸化物[ベンゾイルパーオキシド及びクメンヒドロキシパーオキシド等]及び水溶性の過酸化物[過酸化水素等]などが挙げられる。
【0038】
上記過酸化物は還元剤と組み合わせてレドックス開始剤として用いてもよく、還元剤としては重亜硫酸塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等)、還元性金属塩[硫酸鉄(II)等]、遷移金属塩のアミン錯体[塩化コバルト(III)のペンタメチレンヘキサミン錯体、塩化銅(II)のジエチレントリアミン錯体等]、有機還元剤〔アスコルビン酸及び3級アミン[ジメチルアミノ安息香酸(塩)、ジメチルアミノエタノール等]等〕などが挙げられる。
また、アゾ化合物、過酸化物及びレドックス開始剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記ラジカル重合開始剤(d)のうち、得られる水溶性重合体(B)の水不溶解分低減の観点からアゾ化合物が好ましい。
また、(d)の使用量は水溶性重合体(B)の最適な分子量を得るとの観点から、水溶性重合体(B)を構成するモノマーの全重量に基づいて、好ましい下限は0.0001重量%、更に好ましくは0.005重量%、特に好ましくは0.01重量%であり、好ましい上限は2重量%、更に好ましくは0.5重量%、特に好ましくは0.1重量%、最も好ましくは0.05重量%である。
【0040】
ラジカル重合用連鎖移動剤(e)としては特に限定なく、例えば分子内に1つ又は2つ以上の水酸基を有する化合物[例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリエチレンポリプロピレングリコール]、アンモニア、分子内に1つまたは2つ以上のアミノ基を有する化合物[例えばアミン(炭素数1~30のアミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン及びプロパノールアミン)]、及び(次)亜リン酸化合物〔亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩[アルカリ金属(Na、K等)塩等]、並びにこれらの誘導体等〕が挙げられる。これらのうちで水溶性重合体(B)の分子量制御の観点から好ましくは、(次)亜リン酸化合物及びこれらの塩である。なお、本発明において(次)亜リン酸化合物は、次亜リン酸化合物及び亜リン酸化合物を意味する。
【0041】
ラジカル重合用連鎖移動剤(e)の使用量は、水溶性重合体(B)を構成する重合性モノマーの合計重量に基づいて、好ましくは15重量%以下であり、凝集剤(A)の水への溶解性、分離性能及び最適な分子量を得る観点から、好ましい下限は0.0001重量%、更に好ましくは0.005重量%、特に好ましくは0.05重量%、最も好ましくは0.01重量%、好ましい上限は10重量%、更に好ましくは5重量%、特に好ましくは重量1%、最も好ましくは0.5重量%である。
【0042】
水溶性重合体(B)を構成する重合性モノマーの水溶液中のモノマー濃度(重量%)は、高分子量化の観点から下限は好ましくは30%、更に好ましくは40%、特に好ましくは45%、最も好ましくは55%であり、重合温度制御の観点から上限は好ましくは90%、更に好ましくは85%、特に好ましくは75%、最も好ましくは70%である。
【0043】
上記重合に関わるモノマー濃度をはじめ、重合温度及び重合時間は、モノマー組成及び開始剤種類等によって適宜調整することができる。
【0044】
重合時のモノマー水溶液のpHは、特に限定されないが、重合速度及び得られる水溶性重合体の溶解性の観点から、好ましくは0.5~9であり、更に好ましくは1~8.5であり、特に好ましくは1.5~8.0である。
【0045】
水溶性重合体(B)は予め上記の方法による製造の後、ポリマー変性反応させたものでもよい。ポリマー変性反応としては、例えばアクリルアミド等の加水分解性官能基を分子内に有する水溶性不飽和モノマーを使用した場合に、重合時又は重合後に苛性アルカリ(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)又は炭酸アルカリ(炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等)を添加して、モノマーのアミド基を部分的に加水分解(加水分解率は全モノマーの合計モル数に基づいて約1~60モル%)してカルボキシル基を導入する方法(例えば、特開昭56-16505号公報)、ホルムアルデヒド、ジアルキル(炭素数1~12)アミン及びハロゲン化(例えば塩化、臭化及びヨウ化)アルキル(炭素数1~12)(例えばメチルクロライド及びエチルクロライド)を加え、マンニッヒ反応によって部分的にカチオン性基を導入する方法及びアクリロニトリル等のニトリル基と、ビニルホルムアミド等の加水分解により得られるアミノ基との閉環反応により分子内にアミジン環を形成させる方法(例えば特開平5-192513号公報)などが挙げられる。
【0046】
また、水溶性重合体(B)として2種以上の水溶性重合体を用いる場合、予めそれぞれを製造した後に混合してもよいし、一方を予め製造しておき、他方の製造時のモノマーにそれを加えて製造してもよい。
【0047】
凝集剤(A)が有機高分子凝集剤(A2)を含有する場合、凝集剤(A)の重量に基づく水溶性重合体(B)の含有量は、凝集剤(A)の分離性能の観点から、好ましくは90~100重量%であり、更に好ましくは95~100重量%である。
【0048】
凝集剤(A)が有機高分子凝集剤(A2)を含有する場合、凝集剤(A)中の水溶性重合体(B)の含有量(α)(単位:重量%)は、例えば、凝集剤(A)が油中水型乳化液である場合、以下の方法によって測定される。
[1]凝集剤(A)約15gを100mLビーカーに採取し秤量(W1)し、n-デカン約30gを加え、ガラス棒で混合希釈する。
[2]1Lのガラス製ビーカーにアセトン/メタノール混合溶液(体積比で6/4)を800mLとり、マグネチックスターラーで攪拌しながら[1]で作製した溶液を1分かけて全量投入し、15分間攪拌する。
[3]5分静置後、上澄み液をデカンテーションし、沈殿物にアセトン500mLを加え、マグネチックスターラーで30分間攪拌する。
[4]ヌッチェを用いて吸引ろ過し(ろ紙:ADVANTEC JIS P3801No.6)、得られた粉末を、熱風循環恒温乾燥機を用いて105℃で90分間乾燥する。
[5]乾燥後の粉末[(B)]の重量を(W2)として、次式から算出する。
(α)=(W2)/(W1)×100
【0049】
有機高分子凝集剤(A2)を含有する凝集剤(A)が粉末状である場合、凝集剤(A)中の水溶性重合体(B)の含有量(α)(単位:重量%)は、次の方法で測定される。
試料約1.0gをシャーレ(直径100mm、深さ10mm)に秤量(W3)して、循風乾燥機中、105±5℃で90分間乾燥させた後の残存重量を(W4)として、次式から算出する。
(α)=(W4)×100/(W3)
【0050】
本発明における水溶性重合体(B)の固有粘度[η](単位:dl/g)は、凝集剤(A)の分離性能の観点から、好ましくは0.5~25であり、更に好ましくは0.5~20であり、特に好ましくは1~10である。なお、本発明における固有粘度[η]は、水溶性重合体(B)について、1Nの硝酸ソーダ水溶液中30℃で測定される値である。
【0051】
上記固有粘度[η]は、公知の方法、例えば水溶性重合体(B)を構成する全モノマーの重量に対する、重合時に用いるラジカル重合用連鎖移動剤(e)の重量比で制御され、(e)の重量比が増えるほど[η]は小さくなる。
【0052】
[無機凝集剤(A3)]
無機凝集剤(A3)としては、一般的な公知のものが挙げられるが、水溶性のものであれば、特に限定はない。例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄及び硫酸第一鉄等である。これらのうち、1種又は2種以上併用してもよい。衛生用品の破砕後の分離性能の観点から、好ましくはポリ塩化アルミニウム及びポリ硫酸第二鉄である。
【0053】
凝集剤(A)の形態は、粉末状(例えば破砕状、真球状及び葡萄房状)、フィルム状、水溶液状、油中水型(w/o)エマルション状及び懸濁液状等公知の形態でよい。
もっとも、有機凝結剤(A1)の形態は、合成反応上の観点から、好ましくは水溶液状又は油中水型であり、更に好ましくは水溶液状である。
また、有機高分子凝集剤(A2)の形態は、好ましくは水溶液状、粉末状及び油中水型であり、更に好ましくは粉末状である。
【0054】
凝集剤(A)は、必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤、キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤及び防腐剤からなる群から選ばれる添加剤を含有させることができる。添加剤を含有させる方法としては特に限定はなく、凝集剤(A)とこれらの添加剤を、常温又は加熱下において撹拌混合する方法等が挙げられる。
【0055】
[化合物(C)]
本発明における化合物(C)は、水溶性多価金属化合物(c1)、水溶性有機酸(c2)及び水溶性無機酸(c3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である。
【0056】
[水溶性多価金属化合物(c1)]
水溶性多価金属化合物(c1)は、周期表において2以上の価数を有する元素であって、水へ溶解又は水と反応後にカルボキシル基、又はカルボキシル基イオンとキレート塩を形成する水溶性多価金属化合物であって、前述の無機凝集剤(A3)を除いたものであれば、特に制限されない。使用済み衛生用品を破砕して脱水分離する装置と本発明の衛生用品処理液とを併用した場合、キレート塩を形成することにより、吸水性樹脂粒子内部と周囲の水とのイオン濃度の差が低下することにより浸透圧差も低下し、結果として吸水性樹脂粒子内部からの脱水を生じさせることが出来る。
【0057】
2価金属化合物としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属を含む多価金属化合物、鉄、ニッケル、銅、亜鉛等の遷移金属を含む多価金属化合物等が挙げられ、3価金属化合物としては、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の金属を含む多価金属化合物が挙げられる。なお、多価金属化合物は、非水和物であっても、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物、六水和物、七水和物、八水和物、九水和物のような水和物であってもよい。これらの水溶性多価金属化合物(c1)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において「水溶性多価金属化合物」とは、20℃の水に対する溶解度が1mg/ml以上であり、好ましくは10mg/ml以上である多価金属化合物を示す。
【0058】
マグネシウムを含む水溶性多価金属化合物としては、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、過マンガン酸マグネシウム及び酢酸マグネシウム等が挙げられる。
【0059】
カルシウムを含む水溶性多価金属化合物としては、酸化カルシウム、過酸化カルシウム、水酸化カルシウム、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、水素化カルシウム、炭化カルシウム、リン化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、塩素酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、クロム酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、安息香酸カルシウム及びステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0060】
アルミニウムを含む水溶性多価金属化合物としては、硝酸アルミニウム等が挙げられる。
【0061】
水溶性多価金属化合物(c1)としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0062】
[水溶性有機酸(c2)]
水溶性有機酸(c2)としては、スルホン酸基を分子内に有する有機酸、カルボン酸基を分子内に有する有機酸、ホスホン基又はリン酸基を分子内に有する有機酸が挙げられる。
【0063】
スルホン酸基を分子内に有する有機酸としては、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
【0064】
カルボン酸基を分子内に有する有機酸としては、ハロゲン含有カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸及びケトカルボン酸等が挙げられる。
ハロゲン含有カルボン酸としては、その分子中の水素原子をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び/又はヨウ素原子に置換した置換基数に応じて、モノハロゲンカルボン酸、ジハロゲンカルボン酸、トリハロゲンカルボン酸及びペンタハロゲンカルボン酸等が挙げられる。
モノハロゲンカルボン酸としては、モノフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノヨード酢酸、2-フルオロプロピオン酸、2-クロロプロピオン酸、2-ブロモプロピオン酸、2-ヨードプロピオン酸、2-フルオロ酪酸、2-クロロ酪酸、2-ブロモ酪酸、2-ヨード酪酸、オルト-フルオロ安息香酸、オルト-クロロ安息香酸、オルト-ブロモ安息香酸、オルト-ヨード安息香酸及び3-クロロマンデル酸等が挙げられる。
ジハロゲンカルボン酸としては、ジフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ジブロモ酢酸、ジヨード酢酸、2,2-ジフルオロプロピオン酸、2,2-ジクロロプロピオン酸、2,3-ジクロロプロピオン酸、2,2-ジブロモプロピオン酸、2,3-ジブロモプロピオン酸、2,2-ジヨードプロピオン酸、2,2-ジフルオロ酪酸、2,2-ジクロロ酪酸、2,2-ジブロモ酪酸及び2,2-ジヨード酪酸等が挙げられる。
トリハロゲンカルボン酸としては、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、トリヨード酢酸及び3,3,3-トリフルオロプロピオン酸等が挙げられる。
ペンタハロゲンカルボン酸としては、ペンタフロオロピオン酸等が挙げられる。
【0065】
ヒドロキシカルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基及びヒドロキシル基を有する化合物のことであり、例えば、タルトロン酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、4-クロロサリチル酸、5-クロロサリチル酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジブロモサリチル酸及び4-メチルサリチル酸等が挙げられる。
【0066】
アミノ酸とは、1分子中にカルボキシル基及びアミノ基を有する化合物のことであり、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、フェニルアラニン、トリプトファン、アルギニン、チロシン及び3-アミノヘキサ二酸等が挙げられる。
【0067】
ケトカルボン酸とは、1分子中にカルボキシル基及びケトン基を有する化合物のことであり、例えば、ピルビン酸、オキサロ酢酸、α-ケト酪酸、α-ケトグルタル酸、アセト酢酸、及びアセトンジカルボン酸等が挙げられる。
【0068】
ホスホン基又はリン酸基を分子内に有する有機酸としては、メチルジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トランス-1、2-シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、グリコールエーテルジアミン、テトラメチレンホスホン酸及びテトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)等が挙げられる。
【0069】
[水溶性無機酸(c3)]
水溶性無機酸(c3)としては、硫酸、スルファミン酸、塩酸、硝酸、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸及びヘキサメタリン酸等が挙げられる。
【0070】
これらの化合物(C)のうち、脱水性向上の観点から、好ましくは2価の水溶性多価金属化合物(c1)、水溶性有機酸(c2)及び水溶性無機酸(c3)であり、更に好ましくは(c1)のうちのマグネシウムを含む水溶性多価金属化合物、カルシウムを含む水溶性多価金属化合物、水溶性無機酸(c3)及びカルボン酸基を分子内に有する水溶性有機酸(c2)であり、特に好ましくは塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酢酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム(以上c1)、塩酸、硝酸(以上c3)及びヒドロキシカルボン酸(以上c2)であり、とりわけ好ましくは塩化カルシウム、酢酸カルシウム及び塩化マグネシウム(以上c1)であり、最も好ましくは塩化カルシウムである。
【0071】
[衛生用品処理液]
本発明の衛生用品処理液は、凝集剤(A)と化合物(C)とを含有する。
【0072】
衛生用品処理液は、凝集剤(A)と化合物(C)とを混ぜることにより製造できる。(A)や(C)のそれぞれの事前希釈、(A)と(C)の混合順序、濃度、温度及び時間は、特に限定されず、適宜調整することができる。
【0073】
本発明の衛生用品処理液が水溶性重合体(B)を含む場合、水溶性重合体(B)の含有量は、衛生用品処理液の重量に対し、凝集剤(A)の分離性能の観点から、好ましくは1~15重量%であり、更に好ましくは2~9重量%であり、最も好ましくは3~7重量%である。
【0074】
化合物(C)の含有量は、衛生用品処理液の重量に対し、凝集剤(A)の分離性能の観点から、好ましくは3~40重量%であり、更に好ましくは3~20重量%であり、最も好ましくは5~10重量%である。
【0075】
本発明の衛生用品処理液は、使用時の扱いやすさの観点で、水溶液であることが好ましい。水溶液の場合、該衛生用品処理液の重量に基づく、水の含有量としては、好ましくは40~98.5重量%であり、更に好ましくは55~94重量%であり、最も好ましくは70~90重量%である。
【0076】
本発明の衛生用品処理液は、下記式(I)又は下記式(II)を満たす。
0.5≦Vf/Vi≦1 (I)
式中、Vfは衛生用品処理液の25℃60日静置後の水溶液粘度(mPa・s、25℃)、Viは衛生用品処理液の調製1時間後の粘度(mPa・s、25℃)を表す。
0.5≦If/Ii≦1 (II)
式中、Ifは衛生用品処理液の25℃60日静置後の赤外分光法で得られるC=O由来に帰属する1720cm-1付近をピークとする吸収強度、Iiは衛生用品処理液の調製1時間後の赤外分光法で得られるC=O由来に帰属する1720cm-1付近をピークとする吸収強度を表す。
【0077】
Vf/Vi及びIf/Iiが小さいと、処理液の経日安定性が低いことを意味する。0.5未満の場合、経日安定性が低く、経日後の処理液は、回収分離性の効果が劣る。
【0078】
Vf/Viの粘度はB型回転粘度計により測定される。
【0079】
If/Iiの赤外分光法での測定方法は、処理液をポリエステルシート上にキャストして、膜を形成した後、乾燥窒素を吹き付けるなどしてあらかじめ試料中の水を揮発低減させ、反射型の赤外分光法で測定を行う。その際、水のピークを差し引く差スペクトル解析を行い、吸収強度の値を得る。
【0080】
本発明の衛生用品処理液が経日安定性及び衛生用品の分離性能を発揮するのは、仮説ではあるが、化合物(C)が、凝集剤(A)に含まれる塩部分又は水素結合部分と相互作用することにより、衛生用品処理液中での凝集剤(A)のポリマー鎖の拡がりを抑制し、一方、衛生用品の破砕後の懸濁液中では、化合物(C)のポリマー鎖が瞬時に拡がって、性能を発揮することに起因するものと考えられる。
【0081】
本発明の衛生用品処理液は、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理に際して、パルプ繊維と吸水性樹脂粒子との良好な分離性を示すことから、分離回収を促進する処理用組成物として用いることができる。
【0082】
なお、衛生用品としては、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品であれば特に限定はなく、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等の衛生用品が挙げられる。なお、衛生用品は最終製品に限らず、使用済み品や廃棄品等も含まれる。
【0083】
パルプ繊維としては、各種フラッフパルプや綿状パルプ等、従来から衛生用品に使用されているパルプ繊維が挙げられる。パルプ繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ及びケミサーモメカニカルパルプ等)、漂白方法、及び形態(ティッシュのようなシート状等)については特に限定されない。
【0084】
吸水性樹脂粒子としては特に限定されず、例えば、自重の30倍以上から1000倍程度の水を吸収する能力のある親水性架橋高分子であって、その構成単位にカルボン酸(塩)基[カルボン酸及び/又はカルボン酸塩基を言う。以下同様の記載を用いる。]、スルホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、水酸基、ポリエチレンオキシド基などの親水性基を有する吸水性樹脂粒子を挙げることができる。吸水性樹脂粒子の具体例としては、特公昭53-46199号および特公昭53-46200号各公報などに記載のデンプン-アクリル酸(塩)共重合体、特公昭54-30710号および特開昭56-26909号各公報などに記載の逆相懸濁重合法による架橋あるいは自己架橋されたポリアクリル酸塩、特開昭55-133413号公報などに記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合、噴霧重合など)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、特開昭52-14689号および特開昭52-27455号各公報などに記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体ケン化物、特開昭58-2312号および特開昭61-36309号各公報などに記載のスルホン酸(塩)基含有吸水性樹脂、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体架橋物、デンプン-アクリロニトリル共重合体の加水分解物、架橋カルボキシメチル誘導体、架橋ポリエチレンオキシド誘導体、架橋ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが挙げられる。また、前記吸水性樹脂粒子の表面を表面架橋した吸水性樹脂粒子も使用できる。吸水性樹脂粒子は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0085】
衛生用品の処理方法としては、例えば、使用済み衛生用品を、回転刃で破砕し、必要に応じて、水等の媒体を添加し、懸濁液を得る。使用済み衛生用品を破砕した後の懸濁液の分離回収に、本願の衛生用品処理液を適用する方法は、該処理液を、使用済み衛生用品の破砕後の懸濁液へ添加し、混合して、微細な吸水樹脂粒子やパルプとのフロック(塊)を形成させ、フィルター等で固液分離を行う方法である。
【0086】
使用済み衛生用品を、回転刃で破砕する方法としては、使用済み衛生用品が破砕できる方法であれば、特に限定はされず、特開2020-11158記載の給水制御部を有する破砕装置を用いる方法、特開2019-214019記載の複数の回転ローラーが向かい合った衛生用品処理装置を用いる方法、特開2019-155314記載の刃表面に複数の先鋭部又は突起部がある解繊刃を有する衛生用品の破砕装置を用いる方法、特開2019-206656記載の高速回転する切断刃で切断して微粉砕する方法などが挙げられる。
【0087】
該処理液を、使用済み衛生用品の破砕後の懸濁液へ添加する方法としては、特に限定はなく、例えば該処理液をそのまま使用済み衛生用品の破砕後の懸濁液に添加する方法、該処理液を希釈した後に使用済み衛生用品の破砕後の懸濁液に添加する方法等が挙げられる。
これらのうち、均一混合の観点から好ましいのは該処理液を希釈した後に使用済み衛生用品の破砕後の懸濁液に添加する方法である。該処理液の希釈倍率としては、好ましくは10~50倍である。
【0088】
該処理液を、使用済み衛生用品の破砕後の懸濁液へ添加する際の該処理液の使用量は、破砕後の懸濁液の種類、懸濁している粒子の含有量及び該処理液中の凝集剤(A)の分子量等によって異なり、とくに限定はされないが、破砕後の懸濁液に基づいて、フロック強度の観点から、好ましい下限は0.05重量%、更に好ましくは0.1重量%、特に好ましくは0.3重量%、フロックの含水率低減の観点から、好ましい上限は5.0重量%、更に好ましくは3.0重量%、特に好ましくは1.5重量%である。
【0089】
また上記の処理方法により形成されたフロック状の懸濁液の脱水方法(固液分離法)としては、例えば重力沈降、膜ろ過、カラムろ過、脱水装置(例えば遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、キャピラリー脱水機)を用いる方法が挙げられる。
これらのうち本発明の処理液の分離回収性の観点から好ましいのは、脱水装置を用いる方法である。
【0090】
本発明の衛生用品処理液は、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品の処理以外の用途として、例えばパルプ繊維のみを含む衛生用品の処理及び吸水性樹脂粒子のみを含む衛生用品の処理等が挙げられる。
【実施例0091】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
【0092】
<製造例1>[有機高分子凝集剤(A2-1)の製造]
撹拌機を備えた反応容器に、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の78%水溶液(a1)1130部、次亜リン酸ナトリウムの10%水溶液(e-1)1.4部、イオン交換水350部を仕込み、均一になるまで混合し、撹拌した。撹拌下、水相(1)のpH(20℃)を、pHメーターで監視しながら、硫酸を用いて2.0に調整した。次に、0℃の恒温水槽中で溶液温度を5℃に調整し、系内を窒素(純度99.999%以上)で充分に置換した(気相酸素濃度約5ppm)。
その後、ラジカル重合開始剤として、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩[和光純薬工業(株)製、「V-50」、10時間半減期温度:56℃]の10%水溶液、(d-1)1.4部、過酸化水素の1%水溶液(d-2)5.0部、アスコルビン酸の1%水溶液(d-3)3.6部、硫酸鉄(II)の1%水溶液(d-4)0.5部を加え、溶液温度5℃で重合を開始させ、重合により発生する熱により溶液温度が上昇し、溶液温度が70℃に達した時点で90℃の恒温槽内に反応容器を入れて10時間保温し重合を完結させた。なお、重合中、内容物が高粘度となり撹拌が困難となったため、撹拌は途中で停止した。
その後、得られた含水ゲルを取り出し、ミートチョッパー機[型番「12VR-400K」、ROYAL(株)製、目皿の目開き6mm]により混合及び混練し、さらにミンチ状に細断し、80℃の熱風で2時間乾燥後、ジューサーミキサーで粉砕し、カチオン性重合体(B1-1)を含有してなる有機高分子凝集剤(A2-1)1,000部を得た。
【0093】
<製造例2>[有機高分子凝集剤(A2-2)の製造]
製造例1において、次亜リン酸ナトリウムの10%水溶液(e-1)の量を1.4部から0.1部にかえたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、カチオン性重合体(B1-2)を含有してなる有機高分子凝集剤(A2-2)を得た。
【0094】
<製造例3>[有機高分子凝集剤(A2-3)の製造]
製造例1において、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の78%水溶液(a1)の1130部を(a1)880部とアクリルアミドの50%水溶液(a3)110部とにかえたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、カチオン性重合体(B1-3)を含有してなる有機高分子凝集剤(A2-3)を得た。
【0095】
<製造例4>[有機高分子凝集剤(A2-4)の製造]
製造例1において、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の78%水溶液(a1)1130部をアクリル酸(a2)300部及びアクリルアミドの50%水溶液(a3)1,200部に、次亜リン酸ナトリウムの10%水溶液(e-1)の量を1.4部から0.1部に、それぞれかえたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、アニオン性重合体(B2)を含有してなる有機高分子凝集剤(A2-4)を得た。
【0096】
<製造例5>[有機高分子凝集剤(A2-5)の製造]
製造例1において、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の78%水溶液(a1)1130部から、アクリルアミドの50%水溶液(a3)1,000部に、次亜リン酸ナトリウムの10%水溶液(e-1)の量を1.4部から0.1部にかえたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、ノニオン性重合体(B3)を含有してなる有機高分子凝集剤(A2-5)を得た。
【0097】
<製造例6>[有機高分子凝集剤(A2-6)の製造]
製造例1において、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の78%水溶液(a1)1130部から、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の78%水溶液(a1)510部、アクリル酸(a2)90部及びアクリルアミドの50%水溶液(a3)1,000部に、次亜リン酸ナトリウムの10%水溶液(e-1)の量を1.4部から0.1部に、それぞれかえたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、両性重合体(B4)を含有してなる有機高分子凝集剤(A2-6)を得た。
【0098】
<実施例1>
ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド[ユニセンスFPA100L、センカ(株)製](A1)5部、塩化カルシウム(c1-1)10部及びイオン交換水85部を300mLビーカーで1時間撹拌混合し、衛生用品処理液100部を得た。
【0099】
<実施例2~13、比較例1~5>
実施例1において、(A1)、(c-1)、イオン交換水を表1~4に基づいて替えたこと以外は実施例1と同様にして、各衛生用品処理液を得た。
【0100】
実施例1~13及び比較例1~4について、下記評価方法(1)~(4)に従って、分離回収性、経日安定性の評価及びVf/Vi、If/Iiの評価を行った。評価結果を表1~4に示す。
なお、比較例5においては、2種類の処理液を同時に使用して、下記評価方法(1)~(4)に従って、分離回収性、経日安定性の評価及びVf/Vi、If/Iiの評価を行った。
【0101】
(1)分離回収性
紙おむつの粉砕、水洗浄後の膨潤した吸水樹脂粒子やパルプのろ水側へのもれの低減を想定し、分離回収性について、膨潤した吸水樹脂粒子の分離で評価を行った。
すなわち、市販の吸水樹脂粒子(SDPグローバル社製サンウェットSG-450)1.0部と、パルプ1.5部、生理食塩水20部、イオン交換水1,000部との懸濁液を2Lビーカーに採り、120rpmの撹拌下で、所定の処理液を添加量4,000ppm/懸濁液となるよう添加し、5分間撹拌した。その後、目開き300μmのスクリーンメッシュでろ過、得られたろ液を目開き60μmのナイロンメッシュに通過させ、メッシュ上に残った吸水樹脂粒子の数を目視で確認し、以下の評価基準で評価した。
ナイロンメッシュ上に残った吸水樹脂粒子の数が少ないほど、処理液を用いた300μmのスクリーンメッシュのろ過で吸水樹脂粒子の分離が良好であることを意味する。
なお、吸水樹脂粒子の分離が良好なほど、分離回収性に優れる。
【0102】
<評価基準>
◎:[吸水樹脂粒子の数]=0
○:0<[吸水樹脂粒子の数]≦10
○-:10<[吸水樹脂粒子の数]≦30
△:30<[吸水樹脂粒子の数]≦60
×:60<[吸水樹脂粒子の数]
【0103】
(2)経日安定性
所定の処理液を密閉容器内にて、25℃、60日間静置した後、上述の分離回収性と同様の評価を行い、以下の評価基準で評価をした。
【0104】
<評価基準>
◎:[吸水樹脂粒子の数]=0
○: 0<[吸水樹脂粒子の数]≦10
○-:10<[吸水樹脂粒子の数]≦30
△:30<[吸水樹脂粒子の数]≦60
×:60<[吸水樹脂粒子の数]
【0105】
(3)Vf/Viの評価
Viは、調製1時間後の衛生用品処理液を、25℃下でB型回転粘度計により測定することにより得た。
Vfは、60日静置後の衛生用品処理液、25℃下でB型回転粘度計により測定することにより得た。
なお、30rpmでローターを回転し、回転開始から5分後の粘度を測定した。
【0106】
(4)If/Iiの評価
If/Iiは、以下の測定値より計算した。
赤外分光法で得られる1720cm-1付近をピークとする吸収強度は、処理液を平板上にキャストし、乾燥窒素を吹き付けて、試料濃度40±20wt%の膜状にした後、反射型の赤外分光法で測定し、水のピークを差し引く差スペクトル解析を行うことで値を得た。
装置はフーリエ変換赤外分光光度計(IR)「IR Affinity―1」[(株)島津製作所製]を用い、Geプリズムを使用した。
Ifは、25℃で60日静置後の衛生用品処理液を、前述の方法により得た、1720cm-1付近をピークとする吸収強度の値である。
Iiは、調製1時間後の衛生用品処理液を、前述の方法により得た、1720cm-1付近をピークとする吸収強度の値である。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
表1~4に示す結果から明らかなように、実施例1に示す本発明の処理液は、比較例に示す処理液と比べて、分離回収性及び経日安定性が良好であることが分かる。すなわち、分離回収が容易であり、かつ経日安定性に優れると言える。
本発明の衛生用品処理液は、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等の衛生用品処理液として好適に利用できる。