(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175688
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】食品用トレイ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20221117BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D81/34 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082317
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
【テーマコード(参考)】
3E013
3E035
【Fターム(参考)】
3E013BA02
3E013BA30
3E013BB06
3E013BC04
3E013BC06
3E013BE01
3E013BE05
3E013BF73
3E035AA20
3E035BA02
3E035BC02
3E035BC03
3E035BD06
(57)【要約】
【課題】食品の位置ズレを抑制し得る新規な食品用トレイを提供する。
【解決手段】食品収容部を含む食品用トレイであって、食品収容部が、底部と、該底部の周縁部から立ち上る周壁を有し、該周壁が、(i)その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化する第1の側壁と、(ii)その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化する第2の側壁とを含み、第1の側壁と第2の側壁が、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向していることを特徴とする、食品用トレイ。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品収容部を含む食品用トレイであって、
食品収容部が、底部と、該底部の周縁部から立ち上る周壁を有し、
該周壁が、
(i)その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化する第1の側壁と、
(ii)その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化する第2の側壁と
を含み、
第1の側壁と第2の側壁が、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向していることを特徴とする、食品用トレイ。
【請求項2】
立ち上がり角度αAとαBが、(αA+5)≦αB≦(αA+20)[角度単位は°]を満たす、請求項1に記載の食品用トレイ。
【請求項3】
立ち上がり角度αA’とαB’が、(αB’+5)≦αA’≦(αB’+20)[角度単位は°]を満たす、請求項1又は2に記載の食品用トレイ。
【請求項4】
食品収容部の底部の投影面積をAb(cm2)としたとき、該底部の内表面積A’b(cm2)が、A’b≦1.1Abを満たす、請求項1~3の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項5】
第1の側壁の投影面積をAs1(cm2)、第2の側壁の投影面積をAs2(cm2)としたとき、第1の側壁の内表面積A’s1(cm2)及び第2の側壁の内表面積A’s2(cm2)が、A’s1≦1.5As1及びA’s2≦1.5As2を満たす、請求項1~4の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項6】
食品収容部の底部の平面視形状が、2n個の角(ここでnは2以上の整数)を有する多角形若しくは略多角形、又は、楕円形である、請求項1~5の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項7】
食品収容部の底部の平面視形状において長手方向に第1の側壁と第2の側壁が延在している、請求項1~6の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項8】
プラスチック材料、金属及び紙からなる群から選択される1種以上の材料からなる、請求項1~7の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項9】
食品が冷凍食品である、請求項1~8の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項10】
電子レンジ加熱用又はオーブン加熱用である、請求項1~9の何れか1項に記載の食品用トレイ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の食品用トレイと、該食品用トレイの食品収容部の底部に接して収容された食品とを含む、トレイ入り食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用トレイに関する。さらには、当該食品用トレイに食品を収容してなるトレイ入り食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活のスタイルが多様化したことに伴い、冷凍保存により長期保存が可能であり、必要なときに電子レンジなどで温めて手軽に喫食することができる冷凍食品の需要が高まっている。
【0003】
また最近では、食品がトレイに盛り付けられた状態で提供される冷凍食品であって、電子レンジなどで温めた後にそのまま食卓に出して喫食することができるものも販売されており、個食ニーズの高まりに伴い、その需要はますます高まっている。このような、食品をトレイ内に盛り付けた冷凍食品においては、喫食時の外観も重要な指標とされ、各具材の配置など、製造の際には細心の注意が払われている。
【0004】
例えば、ハンバーグを、ソースのほか、バターやチーズ等のトッピング具材と共にトレイ内に盛り付けた冷凍食品の製造にあたっては、トレイ内にハンバーグを載置した後、ソースのほか、トッピング具材を盛り付ける。生産性を向上させるべく、トレイ内へのハンバーグの載置、ソースの充填、トッピング具材の盛り付けの各工程をはじめ、これら工程間の搬送を含む生産ラインの多くの工程が、ロボットや自動化設備を用いて自動化・省人化される傾向にある。トレイ内の所定の位置に載置されたハンバーグは、次工程に搬送されるまでの間に受ける振動やトレイの方向転換により、トレイ内で回転・移動し所定の位置からズレが生じる場合がある。このとき、ソースやトッピング具材は、トレイとの位置関係において決まった位置に充填・盛り付けがなされることから、トレイ内におけるハンバーグの位置にズレが生じると、ハンバーグとの位置関係において所期の位置に充填・盛り付けがなされず、結果として外観を損なう場合がある。そのため、ソースの充填やトッピング具材の盛り付けの工程において、ハンバーグを所期の位置に位置合わせするための作業者を要するなど、自動化・省人化の妨げとなっている。
【0005】
トレイ内での食品の位置ズレを抑制するための技術として、例えば、特許文献1、2には、食品収容部の底部に位置ズレ防止のための突条を設けたトレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-94090号公報
【特許文献2】特開2018-65618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食品収容部の底部に突条を設けたトレイにあっても、生産ラインで受ける振動やトレイの方向転換による食品の位置ズレを抑制するには十分ではなく、改善の余地がある。また、喫食時に底部の突条が邪魔になったり、資源回収のために喫食後にトレイを洗浄する際に洗浄し難くなったりするなどの問題もある。
【0008】
食品の位置ズレを抑制するための方法として、食品収容部の底部近傍を絞った、すり鉢状のトレイを採用することも考えられるが、底部の接地面積が減少することで安定性に欠け、生産ラインにおける搬送時に転倒し易く、またトレイ全体が回転し易くなるなど、生産性が悪化する。さらには、喫食時においてトレイが倒れ易いなど、取扱い性や安全性にも欠けるといった問題がある。
【0009】
本発明は、食品の位置ズレを抑制し得る新規な食品用トレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、食品収容部の周壁について、その延在方向において立ち上がり角度が変化する側壁を相対向して設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 食品収容部を含む食品用トレイであって、
食品収容部が、底部と、該底部の周縁部から立ち上る周壁を有し、
該周壁が、
(i)その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化する第1の側壁と、
(ii)その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化する第2の側壁と
を含み、
第1の側壁と第2の側壁が、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向していることを特徴とする、食品用トレイ。
[2] 立ち上がり角度αAとαBが、(αA+5)≦αB≦(αA+20)[角度単位は°]を満たす、[1]に記載の食品用トレイ。
[3] 立ち上がり角度αA’とαB’が、(αB’+5)≦αA’≦(αB’+20)[角度単位は°]を満たす、[1]又は[2]に記載の食品用トレイ。
[4] 食品収容部の底部の投影面積をAb(cm2)としたとき、該底部の内表面積A’b(cm2)が、A’b≦1.1Abを満たす、[1]~[3]の何れかに記載の食品用トレイ。
[5] 第1の側壁の投影面積をAs1(cm2)、第2の側壁の投影面積をAs2(cm2)としたとき、第1の側壁の内表面積A’s1(cm2)及び第2の側壁の内表面積A’s2(cm2)が、A’s1≦1.5As1及びA’s2≦1.5As2を満たす、[1]~[4]の何れかに記載の食品用トレイ。
[6] 食品収容部の底部の平面視形状が、2n個の角(ここでnは2以上の整数)を有する多角形若しくは略多角形、又は、楕円形である、[1]~[5]の何れかに記載の食品用トレイ。
[7] 食品収容部の底部の平面視形状において長手方向に第1の側壁と第2の側壁が延在している、[1]~[6]の何れかに記載の食品用トレイ。
[8] プラスチック材料、金属及び紙からなる群から選択される1種以上の材料からなる、[1]~[7]の何れかに記載の食品用トレイ。
[9] 食品が冷凍食品である、[1]~[8]の何れかに記載の食品用トレイ。
[10] 電子レンジ加熱用又はオーブン加熱用である、[1]~[9]の何れかに記載の食品用トレイ。
[11] [1]~[10]の何れかに記載の食品用トレイと、該食品用トレイの食品収容部の底部に接して収容された食品とを含む、トレイ入り食品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、食品の位置ズレを抑制し得る新規な食品用トレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1-1】
図1-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(四角形)を説明するための平面図である。
【
図2-1】
図2-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(四角形)を説明するための平面図である。
【
図3-1】
図3-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(六角形)を説明するための平面図である。
【
図4-1】
図4-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(略四角形若しくは楕円形)を説明するための平面図である。
【
図5-1】
図5-1は、
図1-1に示す食品用トレイの正面図である。
【
図5-2】
図5-2は、
図1-1に示す食品用トレイの背面図である。
【
図5-3】
図5-3は、
図1-1に示す食品用トレイの左側面図である。
【
図5-4】
図5-4は、
図1-1に示す食品用トレイの右側面図である。
【
図5-5】
図5-5は、
図1-1に示す食品用トレイの平面図である。
【
図5-6】
図5-6は、
図1-1に示す食品用トレイの底面図である。
【
図6-1】
図6-1は、
図2-1に示す食品用トレイの正面図である。
【
図6-2】
図6-2は、
図2-1に示す食品用トレイの背面図である。
【
図6-3】
図6-3は、
図2-1に示す食品用トレイの左側面図である。
【
図6-4】
図6-4は、
図2-1に示す食品用トレイの右側面図である。
【
図6-5】
図6-5は、
図2-1に示す食品用トレイの平面図である。
【
図6-6】
図6-6は、
図2-1に示す食品用トレイの底面図である。
【
図6-10】
図6-10は、
図6-5中のE-E’端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0015】
[食品用トレイ]
本発明の食品用トレイ(以下、単に「本発明のトレイ」ともいう。)は、該トレイに作用する振動等の外力により内部の食品が特定の方向・位置に整列する、いわゆる自己整列機能を発現する食品収容部を含む。
【0016】
本発明のトレイにおいて、食品収容部は、底部と、該底部の周縁部から立ち上る周壁を有し、該周壁が、
(i)その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化する第1の側壁と、
(ii)その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化する第2の側壁と
を含み、
第1の側壁と第2の側壁が、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向していることを特徴とする。
【0017】
食品収容部が斯かる構造を有することにより、トレイに振動等の外力が加わると、食品は食品収容部の中心位置(平面視において)において特定の方向に整列する。詳細には、第1の側壁の立ち上がり角度αBの部分においては、立ち上がり角度αAの部分よりも、食品を食品収容部の中心に戻そうとする力が強く作用する。また、第2の側壁の立ち上がり角度αA’の部分においては、立ち上がり角度αB’の部分よりも、食品を食品収容部の中心に戻そうとする力が強く作用する。第1の側壁と第2の側壁は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向しているため、食品に作用する力が相俟って食品に回転モーメントが作用し、食品は食品収容部の中心位置において特定の方向に整列するのである。
【0018】
斯かる本発明のトレイによれば、食品の位置ズレを抑制することができ、食品との位置関係において所期の位置にソースやトッピング具材の充填・盛り付けを行うことが可能となり、良好な外観を呈するトレイ入り食品を生産性よく実現することができる。さらには食品収容部の底部に突条を設ける必要がなく、円滑な喫食が可能となり、また、喫食後にトレイを洗浄する際に洗浄し易いとの利点が享受される。また、食品収容部の底部近傍を絞るような設計上の制限はなく、生産ラインにおける搬送時の安定性、さらには喫食時の安定性も向上させることが可能である。このように、本発明のトレイは、食品がトレイに盛り付けられた状態で提供される冷凍食品等のトレイ入り食品を、良好な外観を達成しつつ生産性よく実現することに著しく寄与するものである。
【0019】
<食品収容部>
本発明のトレイにおいて、食品収容部は、底部と、該底部の周縁部から立ち上る周壁とを含む。
【0020】
-底部-
本発明のトレイにおいて、食品収容部を構成する底部は、それに接して食品を収容することができる限り、その形状は特に限定されない。該底部の平面視形状は、例えば、2n個の角(ここでnは2以上の整数)を有する多角形若しくは略多角形、円形、楕円形であってよく、好ましくは2n個の角を有する多角形若しくは略多角形、又は楕円形であり、より好ましくは四角形若しくは略四角形、又は、楕円形である。
【0021】
食品の自己整列機能を発現するという本発明のトレイの効果をより享受し得る観点から、底部は、平面視形状において、或る方向の寸法が他の方向の寸法よりも大きい形状、すなわち長手方向を有する形状であることが好ましい。したがって底部は、平面視形状においてアスペクト比(長手方向寸法/短手方向寸法の比)が、好ましくは1超、より好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上、1.15以上又は1.2以上である。該アスペクト比の上限は特に限定されないが、例えば、3以下、2.5以下、2以下などとし得る。
【0022】
先述のとおり、本発明のトレイは、食品収容部の底部に突条を設けなくとも食品の位置ズレを抑制することができる。例えば、本発明のトレイにおいて、食品収容部の底部の投影面積をAb(cm2)としたとき、該底部の内表面積A’b(cm2)は、1.2Ab以下であってよく、好ましくは1.1Ab以下、1.08Ab以下、1.06Ab以下、1.05Ab以下、1.04Ab以下又は1.03Ab以下であってよい。本発明において、食品収容部の底部の投影面積とは、食品収容部の平面視における底部の投影面積を意味する。このように略平坦な底部を有する本発明のトレイによれば、喫食時に底部に設けた突条が邪魔になるようなことはなく円滑な喫食を可能とし、また、喫食後に容易に洗浄可能であるという利点をもたらす。したがって好適な一実施形態において、食品収容部の底部の投影面積をAb(cm2)としたとき、該底部の内表面積A’b(cm2)は、A’b≦1.1Abを満たす。
【0023】
本発明のトレイにおいて、食品収容部の底部の投影面積Ab(cm2)は、収容する食品の寸法に応じて適宜決定してよい。先述のとおり、本発明のトレイによれば、底部を絞ったすり鉢状の形状とする必要がなく、食品の寸法との関係で大きな投影面積Ab(cm2)を有する底部を採用しても、食品の位置ズレを抑制することが可能であり、搬送時の安定性や喫食時の安定性において有利である。
【0024】
なお、トレイの安定性を高める観点から、食品収容部の底部に、滑り止め加工を施してもよい。滑り止め加工は、食品用トレイにおいて採用することができる任意の加工を選択してよく、例えば、凹凸加工やエンボス加工等の滑り止め形状を付与する加工や、高摩擦材料をコーティングする加工などが挙げられる。斯かる滑り止め加工は、食品収容部の底部の全体に施してもよく、その一部に施してもよい。本発明のトレイにおいて、食品収容部の底部に滑り止め加工を施す場合、先述の底部の内表面積A’b(cm2)は、斯かる滑り止め加工に起因した凹凸形状等の内表面積も加味した値が先述の好適範囲にあることが好ましい。
【0025】
-周壁-
本発明のトレイにおいて、食品収容部を構成する周壁は、先述のとおり、その延在方向において立ち上がり角度が変化する第1の側壁と第2の側壁を含む。
【0026】
本発明において、第1の側壁についていう「延在方向」とは、食品収容部の底部の主面に平行な方向における、第1の側壁の延在方向を意味する。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁について、延在方向は、
図1-1中の左右方向である。また同図中、符号S
1が付された側壁についても、延在方向は、図中の左右方向である。他方、同図中、符号S
2、S
4が付された側壁について、延在方向は、同図中の上下方向である。なお、側壁が曲率をもって延在する場合(例えば、
図4-1中の符号S
2、S
4が付された側壁のような場合)、延在方向は、その曲率に沿った方向を意味する。第2の側壁をはじめ、トレイの食品収容部の周壁を構成する各側壁についていう「延在方向」も同様である。
【0027】
また第1の側壁についていう「立ち上がり角度」とは、本発明のトレイを水平面に配置した際に第1の側壁の立ち上がり部分と水平面とがなす角度を意味する。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁について、平面視左端近傍の立ち上がり角度は、
図1-2にA-A’端面図を示すとおり、αAで示される。また、同側壁について、平面視右端近傍の立ち上がり角度は、
図1-3にB-B’端面図を示すとおり、αBで示される。第2の側壁をはじめ、トレイの食品収容部の周壁を構成する各側壁についていう「立ち上がり角度」も同様である。
【0028】
本発明のトレイにおいて、第1の側壁は、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαBに変化する。これら立ち上がり角度αA及びαBがαA<αBの関係を満たすことは先述のとおりであるが、食品に十分な回転モーメントを作用させ食品を所期の位置に整列させ易い観点から、αBは、好ましくは(αA+5)以上、より好ましくは(αA+6)以上、さらに好ましくは(αA+8)以上、(αA+9)以上又は(αA+10)以上である。ここで、角度単位は°である(以下、同様)。また、食品収容部として設計し易い観点から、αBは、好ましくは(αA+20)以下、より好ましくは(αA+18)以下、さらに好ましくは(αA+16)以下又は(αA+15)以下である。したがって好適な一実施形態において、第1の側壁の立ち上がり角度αAとαBは、(αA+5)≦αB≦(αA+20)を満たす。
【0029】
第1の側壁において、立ち上がり角度αBは、立ち上がり角度αAとの関係で上記の好適範囲を満たす限り、その値は特に限定されないが、食品を食品収容部の中心に戻す力を十分に発現させ易い観点から、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、さらに好ましくは50°以上、55°以上又は60°以上であり、その上限は、好ましくは70°以下、68°以下、66°以下又は65°以下である。したがって一実施形態において、第1の側壁の立ち上がり角度αBは40°以上70°以下である。
【0030】
本発明のトレイにおいて、第1の側壁は、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαBに変化し、かつ、他の側壁と共に食品収容部の周壁を構成し得る限り、その形状は特に限定されない。食品の自己整列機能を発現しつつ、食品収容部を構成する周壁の開口形状(平面視において)を任意の形状に調整したり、周壁の開口面積(平面視において)が過度に大きくなるのを抑制したりする観点から、第1の側壁は、底部から一定の高さまでは水平面となす角度がαA以上αB以下の範囲にあり、底部から一定の高さを超えた範囲では水平面となす角度はより大きくてよい。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁は、平面視左端近傍において或る高さまでは水平面となす角度はαAであり、該高さを超えた範囲では水平面となす角度がαAより大きい(
図1-2のA-A’端面図を参照)。同側壁について、平面視右端近傍において或る高さまでは水平面となす角度はαBであり、該高さを超えた範囲では水平面となす角度がαBより大きい(
図1-3のB-B’端面図を参照)。第1の側壁において、水平面となす角度が変化する高さは、収容する食品の寸法(厚さ)や、立ち上がり角度αAやαBの値、第1の側壁の延在長さ及び高さに応じて決定してよい。
【0031】
本発明のトレイにおいて、第2の側壁は、その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’に変化する。これら立ち上がり角度αA’及びαB’がαA’>αB’の関係を満たすことは先述のとおりであるが、食品に十分な回転モーメントを作用させ食品を所期の位置に整列させ易い観点から、αA’は、好ましくは(αB’+5)以上、より好ましくは(αB’+6)以上、さらに好ましくは(αB’+8)以上、(αB’+9)以上又は(αB’+10)以上である[角度単位は°である]。また、食品収容部として設計し易い観点から、αA’は、好ましくは(αB’+20)以下、より好ましくは(αB’+18)以下、さらに好ましくは(αB’+16)以下又は(αB’+15)以下である。したがって好適な一実施形態において、第2の側壁の立ち上がり角度αA’とαB’は、(αB’+5)≦αA’≦(αB’+20)を満たす。
【0032】
第2の側壁において、立ち上がり角度αA’は、立ち上がり角度αB’との関係で上記の好適範囲を満たす限り、その値は特に限定されないが、食品を食品収容部の中心に戻す力を十分に発現させ易い観点から、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、さらに好ましくは50°以上、55°以上又は60°以上であり、その上限は、好ましくは70°以下、68°以下、66°以下又は65°以下である。したがって一実施形態において、第2の側壁の立ち上がり角度αA’は40°以上70°以下である。
【0033】
本発明のトレイにおいて、第2の側壁は、その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’に変化し、かつ、他の側壁と共に食品収容部の周壁を構成し得る限り、その形状は特に限定されない。底部から一定の高さまでは水平面となす角度がαA’以上αB’以下の範囲にあり、底部から一定の高さを超えた範囲では水平面となす角度はより大きくてよいことは、第1の側壁について説明したとおりである。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
1が付された側壁は、平面視左端近傍において或る高さまでは水平面となす角度はαA’であり、該高さを超えた範囲では水平面となす角度がαA’より大きい(
図1-2のA-A’端面図を参照)。同側壁について、平面視右端近傍において或る高さまでは水平面となす角度はαB’であり、該高さを超えた範囲では水平面となす角度がαB’より大きい(
図1-3のB-B’端面図を参照)。第2の側壁において、水平面となす角度が変化する高さは、収容する食品の寸法(厚さ)や、立ち上がり角度αA’やαB’の値、第2の側壁の延在長さ及び高さに応じて決定してよい。
【0034】
本発明のトレイにおいて、第1の側壁と第2の側壁は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁と符号S
1が付された側壁は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している(
図1-2のA-A’端面図、
図1-3のB-B’端面図を参照)。
【0035】
食品に十分な回転モーメントを作用させ食品を所期の位置に整列させ易い観点から、第1の側壁の立ち上がり角度αAと第2の側壁の立ち上がり角度αA’は、αA<αA’の関係を満たすことが好ましい。αA’は、好ましくは(αA+5)以上、より好ましくは(αA+6)以上、さらに好ましくは(αA+8)以上、(αA+9)以上又は(αA+10)以上であり、その上限は好ましくは(αA+20)以下、より好ましくは(αA+18)以下、さらに好ましくは(αA+16)以下又は(αA+15)以下である[角度単位は°である]。したがって好適な一実施形態において、第1の側壁の立ち上がり角度αAと第2の側壁の立ち上がり角度αA’は、(αA+5)≦αA’≦(αA+20)を満たす。
【0036】
食品に十分な回転モーメントを作用させ食品を所期の位置に整列させ易い観点から、第1の側壁の立ち上がり角度αBと第2の側壁の立ち上がり角度αB’は、αB>αB’の関係を満たすことが好ましい。αBは、好ましくは(αB’+5)以上、より好ましくは(αB’+6)以上、さらに好ましくは(αB’+8)以上、(αB’+9)以上又は(αB’+10)以上であり、その上限は好ましくは(αB’+20)以下、より好ましくは(αB’+18)以下、さらに好ましくは(αB’+16)以下又は(αB’+15)以下である[角度単位は°である]。したがって好適な一実施形態において、第1の側壁の立ち上がり角度αBと第2の側壁の立ち上がり角度αB’は、(αB’+5)≦αB≦(αB’+20)を満たす。
【0037】
本発明のトレイにおいて、第1の側壁及び第2の側壁の形状が特に限定されないことは先述のとおりである。その延在方向において立ち上がり角度が変化する第1の側壁と第2の側壁を相対向して設ける本発明のトレイでは、第1の側壁及び第2の側壁を複雑な形状とすることなく、生産ラインにおける搬送時に受ける振動やトレイの方向転換に起因した食品の位置ズレを抑制することができる。例えば、本発明のトレイにおいて、第1の側壁の投影面積をA
s1(cm
2)としたとき、第1の側壁の内表面積A’
s1(cm
2)は、2A
s1以下、1.8A
s1以下又は1.6A
s1以下であってよく、好ましくは1.5A
s1以下、1.4A
s1以下、1.3A
s1以下又は1.2A
s1以下であってよい。同様に、本発明のトレイにおいて、第2の側壁の投影面積をA
s2(cm
2)としたとき、第2の側壁の内表面積A’
s2(cm
2)は、2A
s2以下、1.8A
s2以下又は1.6A
s2以下であってよく、好ましくは1.5A
s2以下、1.4A
s2以下、1.3A
s2以下又は1.2A
s2以下であってよい。本発明において、第1の側壁の投影面積とは、第1の側壁が正面にみえるように食品収容部を正面視した場合の、第1の側壁の投影面積を意味する。同様に、第2の側壁の投影面積とは、第2の側壁が正面にみえるように食品収容部を正面視した場合の、第2の側壁の投影面積を意味する。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁を第1の側壁、符号S
1が付された側壁を第2の側壁とした場合、第1の側壁の投影面積は、第1の側壁(符号S
3が付された側壁)が正面にみえるように食品収容部を正面視した場合、すなわち、
図5-2に示す背面図における側壁の投影面積を意味し、第2の側壁の投影面積は、第2の側壁(符号S
1が付された側壁)が正面にみえるように食品収容部を正面視した場合、すなわち、
図5-1に示す正面図における側壁の投影面積を意味する。
【0038】
このように第1の側壁及び第2の側壁について複雑な形状を必要としない本発明のトレイによれば、喫食時に側壁の形状が邪魔になるようなことはなく円滑な喫食を可能とし、また、喫食後に容易に洗浄可能であるという利点をもたらす。したがって好適な一実施形態において、第1の側壁の投影面積をAs1(cm2)、第2の側壁の投影面積をAs2(cm2)としたとき、第1の側壁の内表面積A’s1(cm2)及び第2の側壁の内表面積A’s2(cm2)は、A’s1≦1.5As1及びA’s2≦1.5As2を満たす。
【0039】
本発明のトレイにおいて、食品収容部を構成する周壁は、上記の第1の側壁及び第2の側壁を一対のみ含んでもよく、二対以上含んでもよい。例えば、食品収容部の底部の平面視形状が、2n個の角を有する多角形若しくは略多角形であり且つnが3以上の整数である場合、周壁は、上記の第1の側壁及び第2の側壁を三対以上含むことも可能である。この点、食品の自己整列機能を発現するという本発明のトレイの効果をより享受し得る観点から、周壁は、上記の第1の側壁及び第2の側壁を一対又は二対含むことが好ましく、一対のみ含むことがより好ましい。
【0040】
また本発明のトレイにおいて、上記の第1の側壁及び第2の側壁は、食品の自己整列機能を発現するという本発明のトレイの効果をより享受し得る観点から、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向に延在するように設けることが好適である。したがって好適な一実施形態において、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向に第1の側壁と第2の側壁が延在している。例えば、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向は、図中の左右方向に該当する。そして、符号S
3が付された側壁及び符号S
1が付された側壁が、延在方向における立ち上がり角度の変化からわかるとおり、第1の側壁及び第2の側壁に対応し、それぞれ図中の左右方向、すなわち、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向に延在している。
【0041】
本発明のトレイにおいて、食品収容部の周壁を構成する他の側壁は、上記の第1の側壁及び第2の側壁と共に周壁を構成し得る限り、その形状や寸法は特に限定されない。本発明のトレイにおいては、第1の側壁や第2の側壁と同様、他の側壁に関しても複雑な形状を必要としない。例えば、本発明のトレイにおいて、第1の側壁及び第2の側壁に該当しない他の側壁に関しても、該側壁の投影面積をASx(cm2)としたとき、該側壁の内表面積A’sx(cm2)は、2Asx以下、1.8Asx以下又は1.6Asx以下であってよく、好ましくは1.5Asx以下、1.4Asx以下、1.3Asx以下又は1.2Asx以下であってよい。
【0042】
先述のとおり、本発明のトレイは、食品の寸法との関係で大きな投影面積Ab(cm2)を有する底部を採用しても、食品の位置ズレを抑制することが可能である。例えば、本発明のトレイにおいて、周壁の上端部(開放端部)が画定する食品収容部の開口面積(平面視における投影面積)をAо(cm2)としたとき、食品収容部の底部の投影面積Ab(cm2)は、0.5Aо以上であってよく、好ましくは0.55Aо以上、0.6Aо以上、0.65Aо以上又は0.7Aо以上である。
【0043】
本発明のトレイにおいて、食品収容部の開口部近傍にスタッキングリブを設けてもよい。スタッキングリブを設けることにより、生産ラインにおいて本発明のトレイを複数積み重ねたときに、トレイ同士が互いに張り付くことを抑制し、円滑に本発明のトレイを投入することが可能となる。スタッキングリブの形状や寸法は、食品収容部の具体的設計に応じて、従来公知の任意の形状を採用してよい。
【0044】
本発明のトレイは、上記の食品収容部を含む限り、他の区画を含んでもよい。例えば、上記の食品収容部に隣接して、ブロッコリーやニンジン、カリフラワー、キャベツ等の野菜を充填するための区画や、ポテトサラダ等の副惣菜を充填するための区画を含んでもよい。これら他の区画については、本発明の効果を阻害しない限り、その位置や形状・寸法は特に限定されない。
【0045】
本発明のトレイはまた、上記の食品収容部を複数含んでもよい。複数の食品収容部を含む場合、それぞれの食品収容部の形状・寸法は互いに同じでも相異なっていてもよい。
【0046】
本発明のトレイの材質は特に限定されず、食品用トレイの製造に際して用いることのできる任意の材料からなってよい。本発明のトレイは、例えば、プラスチック材料、金属及び紙からなる群から選択される1種以上の材料からなってよい。プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン等の各種合成樹脂が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス鋼、これらの合金等が挙げられ、中でも、熱伝導性が良好であり、軽量、安価で加工もし易いため、アルミニウムやその合金が特に好適である。紙としては、食品用トレイの製造に用いることのできる各種紙材料を用いてよく、オーブン加熱に供する場合など耐熱性が要求される用途においては耐熱紙を用いてよい。
【0047】
本発明のトレイをプラスチック材料により製造する場合、例えば、真空成型、圧空成型、射出成型等の従来公知の任意の方法により製造することができる。また、本発明のトレイは、複雑な形状を必要としないため、金属や紙を用いて常法により製造してもよい。
【0048】
本発明のトレイにおいて、食品収容部をはじめとする各部の厚さは、収容する食品の寸法・重量に応じて適宜決定してよい。機械強度を担保する観点から、各部の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、その上限は、特に限定されないが、通常、1mm以下、800μm以下、600μm以下などとし得る。
【0049】
本発明のトレイの色は特に限定されず、トレイの材質や、収容する食品の色味に応じて適宜決定してよく、例えば、白色、黒色、茶色、金属色等であってよく、透明であってもよい。
【0050】
本発明のトレイは、食品の位置ズレを抑制することができ、食品との位置関係において所期の位置にソースやトッピング具材の充填・盛り付けを行うことが可能となり、良好な外観を呈するトレイ入り食品を生産性よく実現することができる。よって本発明のトレイは、食品がトレイに盛り付けられた状態で提供されるトレイ入り食品を製造するために好適に用いることができ、食品がトレイに盛り付けられた状態で提供される冷凍食品を製造するためにより好適に用いることができる。したがって好適な一実施形態において、本発明のトレイは、冷凍食品用である。
【0051】
本発明のトレイはまた、食品がトレイに盛り付けられた状態で提供されるトレイ入り食品(好適には冷凍食品)であって、電子レンジやオーブンなどで温めた後にそのまま食卓に出して喫食することができるトレイ入り食品を製造するために好適に用いることができる。したがって好適な一実施形態において、本発明のトレイは、電子レンジ加熱用又はオーブン加熱用である。
【0052】
本発明のトレイにおいて、食品収容部に収容するのに適した食品としては、例えば、ハンバーグ、ステーキ、チキン、フィッシュ、ロールキャベツ、ポークステアリブ等が挙げられる。本発明のトレイによれば、これらの食品との位置関係において所期の位置にソースやクリーム、トッピング具材の充填・盛り付けを行うことが可能となり、温めるだけで喫食可能な、良好な外観を呈するトレイ入り食品を生産性よく実現することができる。
【0053】
以下、図面を参照して、本発明のトレイをさらに説明する。
【0054】
図1-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(四角形状)の平面図を示す。なお、
図1-2、1-3及び1-4は、それぞれ
図1-1のA-A’線、B-B’線及びC-C’線における切断部端面図を示し、また
図5-1~5-6には、該食品用トレイの六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図を順に示す)を、
図5-7~5-9には、
図5-5の平面図(
図1-1と同じ)のA-A’線、B-B’線及びC-C’線における切断部端面図を示す。
【0055】
図1-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部は、底部1と、該底部1の周縁部から立ち上る、符号S
1、S
2、S
3、S
4が付された4つの側壁から構成される周壁とを含む。
図1-1において、周壁の上端部(開放端部)を符号2で示しており、符号S
2、S
4が付された側壁の上端部2に持ち手部3を有する。なお、持ち手部3の形状は特に限定されず、該持ち手部3は省略してもよい。
【0056】
図1-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部の底部1の平面視形状は四角であり、該底部1は、図中の上下方向における寸法よりも左右方向における寸法が大きい形状を有する。図中、底部1は平面視形状においてアスペクト比(左右方向寸法/上下方向寸法)が約1.2である。この点、先述のとおり、アスペクト比は1超3以下の範囲において変更してよい。
【0057】
図1-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化しており(
図1-2のA-A’端面図、
図1-3のB-B’端面図を参照;図中、αAは50°、αBは60°である。)、「第1の側壁」に該当する。また、符号S
1が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化しており(
図1-2のA-A’端面図、
図1-3のB-B’端面図を参照;図中、αA’は60°、αB’は50°である。)、「第2の側壁」に該当する。符号S
3が付された側壁(第1の側壁)と符号S
1が付された側壁(第2の側壁)は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。また、これら第1及び第2の側壁は、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向(
図1-1中の左右方向)に延在している。
【0058】
図1-1に示す食品用トレイにおいて、第1及び第2の側壁と共に周壁を構成する、符号S
2が付された側壁は、図中、上端近傍から下端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度はαCのまま変化はない(
図1-4のC-C’端面図、
図5-1の正面図、
図5-2の背面図を参照;図中、αCは80°である。)。また、符号S
4が付された側壁もまた、図中、上端近傍から下端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度はαC’のまま変化はない(
図1-4のC-C’端面図、
図5-1の正面図、
図5-2の背面図を参照;図中、αC’は80°である。)。
【0059】
よって、
図1-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部を構成する周壁は、第1の側壁と第2の側壁を一対のみ含む。
【0060】
図2-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(四角形状)の平面図を示す。なお、
図2-2、2-3、2-4及び2-5は、それぞれ
図2-1のA-A’線、B-B’線、D-D’線及びE-E’線における切断部端面図を示し、また
図6-1~6-6には、該食品用トレイの六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図を順に示す)を、
図6-7~6-10には、
図6-5の平面図(
図2-1と同じ)のA-A’線、B-B’線、D-D’線及びE-E’線における切断部端面図を示す。
【0061】
図2-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部は、底部1と、該底部1の周縁部から立ち上る、符号S
1、S
2、S
3、S
4が付された4つの側壁から構成される周壁とを含む。
図2-1において、周壁の上端部(開放端部)を符号2で示しており、符号S
2、S
4が付された側壁の上端部2に持ち手部3を有する。なお、持ち手部3の形状は特に限定されず、該持ち手部3は省略してもよい。
【0062】
図2-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部の底部1の平面視形状は四角であり、該底部1は、図中の上下方向における寸法と左右方向における寸法が等しい形状を有する。先述のとおり、食品の自己整列機能を発現するという本発明のトレイの効果をより享受し得る観点から、底部は、平面視形状において、或る方向の寸法が他の方向の寸法よりも大きい形状であることが好ましいが、本図に示すような態様においても、食品の位置ズレを抑制することが可能である。この点、例えば、
図2-1の平面図を左右方向に1.05~3倍拡大して、食品収容部の底部が、平面視形状においてアスペクト比が1.05~3の範囲にある四角形状を有するように設計変更してもよい。
【0063】
図2-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化しており(
図2-2のA-A’端面図、
図2-3のB-B’端面図を参照;図中、αAは50°、αBは60°である。)、「第1の側壁」に該当する。また、符号S
1が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化しており(
図2-2のA-A’端面図、
図2-3のB-B’端面図を参照;図中、αA’は60°、αB’は50°である。)、「第2の側壁」に該当する。符号S
3が付された側壁(第1の側壁)と符号S
1が付された側壁(第2の側壁)は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。
【0064】
図2-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
2が付された側壁は、図中の上端近傍から下端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαDからαE(ここでαD<αE)に変化しており(
図2-4のD-D’端面図、
図2-5のE-E’端面図を参照;図中、αDは50°、αEは60°である。)、「第1の側壁」に該当する。また、符号S
4が付された側壁は、図中の上端近傍から下端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαD’からαE’(ここでαD’>αE’)に変化しており(
図2-4のD-D’端面図、
図2-5のE-E’端面図を参照;図中、αD’は60°、αE’は50°である。)、「第2の側壁」に該当する。符号S
2が付された側壁(第1の側壁)と符号S
4が付された側壁(第2の側壁)は、立ち上がり角度αDの部分が立ち上がり角度αD’の部分と、立ち上がり角度αEの部分が立ち上がり角度αE’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。
【0065】
よって、
図2-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部を構成する周壁は、第1の側壁と第2の側壁を二対含む。
【0066】
図3-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(六角形状)の平面図を示す。なお、
図3-2、3-3及び3-4は、それぞれ
図3-1のA-A’線、B-B’線、及びC-C’線における切断部端面図を示す。
【0067】
図3-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部は、底部1と、該底部1の周縁部から立ち上る、符号S
1、S
2、S
3、S
4、S
5、S
6が付された6つの側壁から構成される周壁とを含む。
図3-1において、周壁の上端部(開放端部)を符号2で示しており、符号S
1、S
4が付された側壁の上端部2に持ち手部3を有する。なお、持ち手部3の形状は特に限定されず、該持ち手部3は省略してもよい。
【0068】
図3-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部の底部1の平面視形状は六角形であり、該底部1は、図中の上下方向における寸法よりも左右方向における寸法が大きい形状を有する。先述のとおり、アスペクト比は1超3以下の範囲において変更してよい。
【0069】
図3-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
4が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化しており(
図3-2のA-A’端面図、
図3-3のB-B’端面図を参照;図中、αAは50°、αBは60°である。)、「第1の側壁」に該当する。また、符号S
1が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化しており(
図3-2のA-A’端面図、
図3-3のB-B’端面図を参照;図中、αA’は60°、αB’は50°である。)、「第2の側壁」に該当する。符号S
4が付された側壁(第1の側壁)と符号S
1が付された側壁(第2の側壁)は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。また、これら第1及び第2の側壁は、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向(
図3-1中の左右方向)に延在している。
【0070】
図3-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
2が付された側壁は、図中の右端(下端)近傍から左端(上端)近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαxからαCに低下しており、また、符号S
5が付された側壁は、図中の右端(下端)近傍から左端(上端)近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαCからαyに増大している(
図3-4のC-C’端面図を参照;αxやαyは図示せず;αxは60°、αyは50°、αCは50°である。)。よって、符号S
2が付された側壁は「第1の側壁」に該当し、また、符号S
5が付された側壁は「第2の側壁」に該当する。符号S
2が付された側壁(第1の側壁)と符号S
5が付された側壁(第2の側壁)は、第1の側壁の立ち上がり角度αxの部分が第2の側壁の立ち上がり角度αCの部分と、第1の側壁の立ち上がり角度αCの部分が第2の側壁の立ち上がり角度αyの部分とそれぞれ対応するように、相対向している。
【0071】
図3-1に示す食品用トレイにおいて、第1及び第2の側壁と共に周壁を構成する、符号S
3が付された側壁は、図中、左端(下端)近傍から右端(上端)近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度はαCのまま変化はない(
図3-4のC-C’端面図を参照;図中、αCは50°でありαAと同じである。)。また、符号S
6が付された側壁もまた、図中、左端(下端)近傍から右端(上端)近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度はαC’のまま変化はない(
図3-4のC-C’端面図を参照;図中、αC’は50°でありαB’と同じである。)。
【0072】
よって、
図3-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部を構成する周壁は、第1の側壁と第2の側壁を二対含む。
【0073】
図4-1は、本発明の一実施形態に係る食品用トレイ(略四角形状若しくは楕円状)の平面図を示す。なお、
図4-2、4-3及び4-4は、それぞれ
図4-1のA-A’線、B-B’線、及びC-C’線における切断部端面図を示す。
【0074】
図4-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部は、底部1と、該底部1の周縁部から立ち上る、符号S
1、S
2、S
3、S
4が付された4つの側壁から構成される周壁とを含む。
図4-1において、周壁の上端部(開放端部)を符号2で示しており、符号S
2、S
4が付された側壁の上端部2に持ち手部3を有する。なお、持ち手部3の形状は特に限定されず、該持ち手部3は省略してもよい。
【0075】
図4-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部の底部1の平面視形状は略四角形若しくは楕円状であり、該底部1は、図中の上下方向における寸法よりも左右方向における寸法が大きい形状を有する。図中、底部1は平面視形状においてアスペクト比(左右方向寸法/上下方向寸法)が約1.6である。この点、先述のとおり、アスペクト比は1超3以下の範囲において変更してよい。
【0076】
図4-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
3が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαB(ここでαA<αB)に変化しており(
図4-2のA-A’端面図、
図4-3のB-B’端面図を参照;図中、αAは50°、αBは60°である。)、「第1の側壁」に該当する。また、符号S
1が付された側壁は、図中の左端近傍から右端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαA’からαB’(ここでαA’>αB’)に変化しており(
図4-2のA-A’端面図、
図4-3のB-B’端面図を参照;図中、αA’は60°、αB’は50°である。)、「第2の側壁」に該当する。符号S
3が付された側壁(第1の側壁)と符号S
1が付された側壁(第2の側壁)は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αA’の部分と、立ち上がり角度αBの部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。また、これら第1及び第2の側壁は、食品収容部の底部の平面視形状において長手方向(
図4-1中の左右方向)に延在している。
【0077】
図4-1に示す食品用トレイにおいて、符号S
2が付された側壁は、図中の上端近傍から下端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαAからαA’(ここでαA<αA’)に変化しており(
図4-2のA-A’端面図、
図4-4のC-C’端面図を参照;図中、αAは50°、αA’は60°、αCは55°である。)、「第1の側壁」に該当する。また、符号S
4が付された側壁は、図中の上端近傍から下端近傍にかけて、その延在方向において立ち上がり角度がαBからαB’(ここでαB>αB’)に変化しており(
図4-3のB-B’端面図、
図4-4のC-C’端面図を参照;図中、αBは60°、αB’は50°、αC’は55°である。)、「第2の側壁」に該当する。符号S
2が付された側壁(第1の側壁)と符号S
4が付された側壁(第2の側壁)は、立ち上がり角度αAの部分が立ち上がり角度αBの部分と、立ち上がり角度αA’の部分が立ち上がり角度αB’の部分とそれぞれ対応するように、相対向している。
【0078】
よって、
図4-1に示す食品用トレイにおいて、食品収容部を構成する周壁は、第1の側壁と第2の側壁を二対含む。
【0079】
図1-1、2-1、3-1及び4-1には、1つの食品収容部のみ含む食品用トレイを示したが、先述のとおり、食品収容部に加えて他の区画を設けてもよく、また、食品収容部を複数設けてもよい。また、各側壁の立ち上がり角度は、先述の好適範囲において変更してよい。さらに、
図1-1、2-1及び3-1において、各部材の角は丸みを帯びるように変更してもよい。
【0080】
[トレイ入り食品]
本発明のトレイの食品収容部に食品を収容してトレイ入り食品を製造することができる。本発明は、斯かるトレイ入り食品も提供する。
【0081】
本発明のトレイ入り食品は、本発明のトレイと、該トレイの食品収容部の底部に接して収容された食品とを含む。
【0082】
本発明のトレイの詳細は、上記[食品用トレイ]の欄にて説明したとおりである。また、該トレイの食品収容部に収容するのに適した食品も、上記[食品用トレイ]の欄にて説明したとおりである。
【0083】
食品は、その種類等に応じて、茹で調理、蒸し調理、焼き調理等の加熱調理に付した後に食品収容部に収容してよい。食品の収容後、適宜、蓋体及び/又は包装体で覆った後、保管、流通させてよい。
【0084】
本発明のトレイ入り食品は、冷凍食品に好適に適用し得る。例えば、本発明のトレイの食品収容部に食品を収容し、適宜、蓋体及び/又は包装体で覆った後、冷凍状態で保管、流通させてよい。
【0085】
本発明のトレイ入り食品は、蓋体及び/又は包装体を除去した後、該トレイ入り食品を電子レンジやオーブンを用いて加熱することにより、簡便に短時間で喫食可能な状態となる。また本発明のトレイ入り食品は、食品との位置関係において所期の位置にソースやトッピング具材の充填・盛り付けが行われており、良好な外観を呈すると共に、食品収容部の底部の面積が確保されており喫食時の安定性に優れる。さらには、食品収容部の底部や周壁について複雑な形状を必要とせず、円滑な喫食を可能とすると共に、喫食後にトレイを容易に洗浄可能であるという利点ももたらす。
【実施例0086】
[実施例]
図1-1に示す食品用トレイの食品収容部に加熱調理済みのハンバーグを収容した。使用した食品用トレイにおいて、食品収容部の底部の平面視寸法は8.5cm×10.5cm、食品収容部の周壁の上端部が画定する開口部の平面視寸法は11.2cm×11.2cm、各側壁の立ち上がり角度αA、αB、αA’、αB’、αC、αC’は先述のとおりであり、トレイの高さは4.5cmであった。また、トレイの材質はポリプロピレンであり、食品収容部の底部や周壁の厚さは約600μmであった。収容したハンバーグの長手方向寸法は約9cm、短手方向寸法は7cm、厚さは約3.5cm、重量は約140gであった。
ハンバーグを収容したトレイを、生産ラインを模した搬送条件(搬送速度30m/分、搬送距離13m、コンベア乗り移り回数7、方向転換2回(90°/回))にて搬送した後、ハンバーグの位置やハンバーグの向き(食品用トレイの底部の平面視形状における長手方向とハンバーグの長手方向のなす角度)を確認した(N=50)。その結果、N=50の全てにおいて、ハンバーグは食品収容部の中心(平面視において)に位置し、かつ、底部の長手方向とハンバーグの長手方向のなす角度は30°以内であった。
【0087】
[比較例]
符号S1が付された側壁及び符号S3が付された側壁として、その延在方向において立ち上がり角度が50°で一定である側壁を使用した以外は、実施例と同様にして、食品用トレイを準備し、該トレイの食品収容部に加熱調理済みのハンバーグを収容した。
ハンバーグを収容したトレイを、実施例と同様の搬送条件にて搬送した後、ハンバーグの位置や向きを確認した(N=50)。その結果、N=50のうち25個のサンプルにおいて、食品収容部の中心(平面視において)から移動しているか、底部の長手方向とハンバーグの長手方向のなす角度が45°超であった。