(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175706
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】タオルペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/42 20060101AFI20221117BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A47K10/42 C
B65D83/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082342
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】391021466
【氏名又は名称】春日製紙工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雅則
(72)【発明者】
【氏名】木村 博之
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LA01
3E014MA07
3E014MC07
3E014PA10
3E014PC12
3E014PC16
3E014PD30
3E014PE14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置場所の制限が少なく、簡易に設置できて、衛生的であり、タオルペーパーを破れずに1枚ずつ取り出すことのできるタオルペーパーホルダーを提供する。
【解決手段】二つ折りされた方形のタオルペーパーが積層されたタオルペーパーの束を収納する本体と、タオルペーパーの束からタオルペーパーを1枚ずつ取り出すための取出口を備え、取出口は、本体の底面に設けられ、取出口正面部及び取出口背面部、並びに取出口正面部と取出口背面部との間に本体の底面の幅方向に沿って形成された開口を有し、取出口正面部の開口に面する面である開口前面は、傾斜方向が上端から本体の背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、本体の正面側に向かって斜め下方向に変化し、取出口背面部の開口に面する面である開口後面は、上端から本体の正面側に向かって斜め下方向に傾斜する傾斜面を有し、開口は、タオルペーパーの幅より大きな幅を有するタオルペーパーホルダー。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りされた方形のタオルペーパーが積層されたタオルペーパーの束を収納する本体と、前記タオルペーパーの束からタオルペーパーを1枚ずつ取り出すための取出口を備えたタオルペーパーホルダーであって、
前記取出口は、前記本体の底面に設けられ、取出口正面部及び取出口背面部、並びに前記取出口正面部と前記取出口背面部との間に前記本体の底面の幅方向に沿って形成された開口を有し、
前記取出口正面部の前記開口に面する面である開口前面は、傾斜方向が上端から前記本体の背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、前記本体の正面側に向かって斜め下方向に変化し、
前記取出口背面部の開口に面する面である開口後面は、上端から前記本体の正面側に向かって斜め下方向に傾斜する傾斜面を有し、
前記開口は、前記タオルペーパーの幅より大きな幅を有するタオルペーパーホルダー。
【請求項2】
開口前面の上端の高さと下端の高さの差が、10~40mmであることを特徴とする請求項1記載のタオルペーパーホルダー。
【請求項3】
開口前面が、傾斜方向が連続的に変化している部分を有することを特徴とする請求項1又は2記載のタオルペーパーホルダー。
【請求項4】
開口前面と開口後面との間の水平距離が最小である箇所における、前記開口前面と前記開口後面との間の中心が、底面の奥行方向の中心よりも本体の正面側の位置にあることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタオルペーパーホルダー。
【請求項5】
本体を支持する脚部を備える置き型タオルペーパーホルダーであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のタオルペーパーホルダー。
【請求項6】
本体の正面下部に開口窓を設け、前記本体の底面に前記開口窓から取出口の開口に通じる開口部を設けて、前記開口窓から前記本体に収納されたタオルペーパーの束の下部正面を指で触れられるようにしたことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のタオルペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タオルペーパーを収納し、収納したタオルペーパーを1枚ずつ斜め前方に取り出すことができるタオルペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
公衆衛生意識の高まりや、使用者の利便性向上のために、公共施設、商業施設、オフィスビル等のなかには、洗面所にタオルペーパーホルダーを設置する施設が増えてきている。また、新型コロナウイルス感染症対策として、ハンドドライヤー(エアータオル)をタオルペーパーに切り替える動きもある。タオルペーパーホルダーは、タオルペーパーの束を収納する容器であり、洗面所の壁面に取り付けられ、その底部にタオルペーパーの取出口が設けられている。タオルペーパーの束は、多数のタオルペーパーが1枚ずつ半分に折り畳まれ、これらが交互に噛み合うように積層されたものである。タオルペーパーホルダーでは、最下層のタオルペーパーの一部が取出口の外に出るようになっており、使用者は外に出ている部分をつかんで下に引っ張ることによりタオルペーパーを取り出すことができる。このとき、積層されたタオルペーパー間の摩擦により次の1枚が取出口まで移動し、その一部が先のタオルペーパーと同様に取出口の外に出る。こうして、使用者は積層されたタオルペーパーの束から、タオルペーパーを1枚ずつ引き出して使用することができる。このようなタオルペーパーホルダーとして、例えば、特許文献1、2等のタオルペーパーホルダーが提案されている。
【0003】
このような従来のタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを引き出すために力が必要となるため、使用者が力を加えやすいように、取出口が使用者の肩の高さ程度となるように壁に取り付けるタイプが主流で、使用者が下向きの力をかけても動かないように、壁にしっかりと固定する必要があった。さらに、従来のタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを斜め前方に引っ張るとタオルペーパーが破れるため、使用者はタオルペーパーホルダーに正対して、タオルペーパーを真下に引っ張る必要があった。したがって、従来のタオルペーパーホルダーは、設置に手間を要するものであり、さらに、使用者が余裕をもって手の届く距離で、タオルペーパーホルダーの正面に立つことができるスペースも必要であった。また、壁に固定用の治具の穴を開ける必要があるため壁を傷つけ、撤去する際に取付け跡が残る問題もあった。これらのことから、従来のタオルペーパーホルダーは、設置できる場所が限られ、洗面所によっては設置できない場合や、複数の洗面器(手洗器)が並んでいる場合は、タオルペーパーホルダーから遠い洗面器で手を洗った使用者は、濡れた手のままタオルペーパーホルダーまで移動しなければならなかった。
【0004】
従来、タオルペーパーホルダーについては数多くの提案がなされてきたが、その多くは上記のように壁に取り付けるタイプであった。それ以外のタイプとしては、ティッシュペーパーの箱のような簡易な構造のタオルペーパーホルダー、すなわち上部に取出口である開口部を設けた箱にタオルペーパーの束を収納し上部からタオルペーパーを取り出すようにしたタオルペーパーホルダーが提案されている。しかし、このタイプのタオルペーパーホルダーを洗面台の上に置くと、手に残った水が使用時にタオルペーパーやタオルペーパーホルダーに落下するため不衛生であった。また、このタイプのホルダーを台座に取り付けて回転自在としたタオルペーパーホルダーも提案されているが(特許文献3参照)、取出口を横方向や斜め方向に向ける場合は、タオルペーパーホルダーの束が崩れてタオルペーパーの噛合わせがゆるみ、タオルペーパーを引き出したときに次のタオルペーパーが追随しなくなる。これを防止するために、スプリング等を使用して押さえ板でタオルペーパーを取出口側に押し付ける必要があった。また、取出口を下に向ける場合は、従来の壁取付型と同様、タオルペーパーを斜め前方に引っ張るとタオルペーパーが破れるという問題があった。特許文献4のタオルペーパーホルダーは、ホルダー本体にこれを支持する受け台を取り付け、取出口から取り出した後のタオルペーパーをガイドするガイド板を受け台に設けたものである。しかし、このタオルペーパーホルダーもホルダー本体及び取出口は従来の壁取付型と同様の構造であるため、タオルペーパーを斜め前方に引っ張るとタオルペーパーが破れるという問題があった。
【0005】
このように、従来提案されているタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを真下に引っ張る必要があるため、使用者がタオルペーパーを引っ張りやすくするためには取出口を肩の高さ程度とする必要があり、そのため、タオルペーパーホルダーのほとんどが壁取付型であった。また、置き型のタオルペーパーホルダーも提案されているが、少なくとも取出口の下端と洗面台との間の距離を、タオルペーパーの長さ(例えば、中判紙で200~230mm)と、タオルペーパーをつかむ手の大きさと、力を入れて下に引っ張ることによりタオルペーパー全体が取出口から出ても、そこで手が止まらずに更に下に進む長さを加えた距離にする必要があった。そのため、タオルペーパーホルダーの高さが高くなり、洗面台等の上に置くと安定感が悪く、さらに視界を遮ったり、手がぶつかったり、美観を損ねたりするため、実際には洗面台等の上に置いて使用できるものではなかった。上記のとおり、従来、設置場所の制限が少なく簡易に設置でき、移動や撤去が簡単で、小型で衛生的であり、タオルペーパーを破れずに1枚ずつ取り出すことのできるタオルペーパーホルダーは提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3120241号公報
【特許文献2】特許第4847626号公報
【特許文献3】特開2013-27602号公報
【特許文献4】実用新案登録第3137582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、設置場所の制限が少なく、簡易に設置できて、衛生的であり、タオルペーパーを破れずに1枚ずつ取り出すことのできるタオルペーパーホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、設置場所の制限が少なく、簡易に設置できて、衛生的であり、タオルペーパーを破れずに1枚ずつ取り出すことのできるタオルペーパーホルダーの検討を開始した。従来提案されているタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを真下に引っ張って取り出すものであるが、斜め前方にタオルペーパーを取り出すことができれば、設置場所や設置方法等の制約を減らすことができ、設置に関する自由度を高くできると考え、検討を進めた。従来の取出口は、タオルペーパーホルダーの底面に平坦に設けられた開口、又は鉛直方向の壁に囲まれた開口であった。タオルペーパーを真下でなく斜め前方に引き出すとき、引き出す方向に折り目があるタオルペーパーの場合、反転させて引き出すことになる。そのため、従来の取出口の形状では、取出口における抵抗が大きくなり紙が破れる原因となっていた。そこで更に検討を進めたところ、取出口の形状をタオルペーパーを斜め下方向に緩やかに引き出す特定の形状にすることにより、取出口における抵抗を低減して、鉛直下方向から60°程度上向きの角度で、すなわち斜め前方にタオルペーパーを破れずに引き出すことができ、しかも比較的軽い力で引き出すことができることを見いだした。これにより、従来通り壁に取り付ける場合であっても、使用者は真下から斜め前方までのいずれの方向にでもタオルペーパーを引き出すことができるので、使用者の利便性を向上させることができた。さらに、比較的軽い力で斜め前方にタオルペーパーを引き出すことができるため、取出口を肩の高さ程度とする必要がなく、従来よりも壁の低い位置に取り付けることもできる。また、取出口が下向きであってもタオルペーパーを斜め前方に取り出すことができるため、置き型とする場合は、取出口の先端と洗面台等の台との間の距離を短くできることにより、タオルペーパーホルダー本体を支持する脚部の高さを低くすることができ、小型で衛生的な置き型タオルペーパーホルダーとすることができた。こうして作製したタオルペーパーホルダーは、壁取付型と置き型のどちらのタイプとしても利用でき、設置場所の制限が少ないため、簡易に設置することがでる。また、置き型とした場合には、移動及び撤去が簡易に行え、小型で衛生的であり、タオルペーパーを破れずに1枚ずつ取り出すことのできるので、置き型のタオルペーパーホルダーとして非常に好適なものであった。
【0009】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)二つ折りされた方形のタオルペーパーが積層されたタオルペーパーの束を収納する本体と、前記タオルペーパーの束からタオルペーパーを1枚ずつ取り出すための取出口を備えたタオルペーパーホルダーであって、前記取出口は、前記本体の底面に設けられ、取出口正面部及び取出口背面部、並びに前記取出口正面部と前記取出口背面部との間に前記本体の底面の幅方向に沿って形成された開口を有し、前記取出口正面部の前記開口に面する面である開口前面は、傾斜方向が上端から前記本体の背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、前記本体の正面側に向かって斜め下方向に変化し、前記取出口背面部の開口に面する面である開口後面は、上端から前記本体の正面側に向かって斜め下方向に傾斜する傾斜面を有し、前記開口は、前記タオルペーパーの幅より大きな幅を有するタオルペーパーホルダー。
(2)開口前面の上端の高さと下端の高さの差が、10~40mmであることを特徴とする上記(1)記載のタオルペーパーホルダー。
(3)開口前面が、傾斜方向が連続的に変化している部分を有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載のタオルペーパーホルダー。
(4)開口前面と開口後面との間の水平距離が最小である箇所における、前記開口前面と前記開口後面との間の中心が、底面の奥行方向の中心よりも本体の正面側の位置にあることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載のタオルペーパーホルダー。
(5)本体を支持する脚部を備える置き型タオルペーパーホルダーであることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれかに記載のタオルペーパーホルダー。
(6)本体の正面下部に開口窓を設け、前記本体の底面に前記開口窓から取出口の開口に通じる開口部を設けて、前記開口窓から前記本体に収納されたタオルペーパーの束の下部正面を指で触れられるようにしたことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載のタオルペーパーホルダー。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタオルペーパーホルダーは、取出口が下向きであるにもかかわらず、タオルペーパーを斜め横方向に破れずに取り出すことができるので、設置場所の制限が少なく、簡易に設置できて、小型で衛生的であり、置き型の場合は移動及び撤去を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明のタオルペーパーホルダーの一実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明のタオルペーパーホルダーの底面及び取出口の一実施形態を示す図である。
図2(a)は底面を上から見た図である。
図2(b)は、
図2(a)のA-A´断面を右側面から見た図であり、取出口の形状を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明における取出口の角度を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明における取出口の他の実施形態を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、本体にスペーサを挿入したときの状態を底面部について示した図である。
図5(b)は、本発明の置き型タオルペーパーホルダーの外観図である。
【
図6】
図6は、タオルペーパーが取出口から取り出される様子を模式的に示した図である。
図6(a)は従来例であり、
図6(b)は本発明である。
【
図7】
図7は、本発明が取出口下端までの高さを低くできることを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のタオルペーパーホルダーは、二つ折りされた方形のタオルペーパーが積層されたタオルペーパーの束を収納する本体と、前記タオルペーパーの束からタオルペーパーを1枚ずつ取り出すための取出口を備えたタオルペーパーホルダーであって、前記取出口は、前記本体の底面に設けられ、取出口正面部及び取出口背面部、並びに前記取出口正面部と前記取出口背面部との間に前記本体の底面の幅方向に沿って形成された開口を有し、前記取出口正面部の前記開口に面する面である開口前面は、傾斜方向が上端から前記本体の背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、前記本体の正面側に向かって斜め下方向に変化し、前記取出口背面部の開口に面する面である開口後面は、上端から前記本体の正面側に向かって斜め下方向に傾斜する傾斜面を有し、前記開口は、前記タオルペーパーの幅より大きな幅を有する。本発明におけるタオルペーパーの束とは、多数のタオルペーパーが1枚ずつ半分に折り畳まれ、これらが交互に噛み合うように積層されたものである。本発明におけるタオルペーパーとは手や汚れを拭くために使用される紙片であり、ペーパータオルとも呼ばれ、キッチンペーパー、清掃用ワイプ等を含み、その大きさは特に制限されない。本発明における本体は、本体の底面から上方に積み重なるようにタオルペーパーの束を収納する空間を有し、底面には取出口が設けられている。本体にタオルペーパーの束を入れる投入口は、本体の正面、背面、上面及び側面のいずれに設けられていてもよい。
【0013】
本発明における取出口では、開口を挟んで取出口の本体正面側を取出口正面部、本体背面側を取出口背面部という。取出口の開口は、底面の幅方向に沿ってタオルペーパーの幅より大きな幅を有するように形成されているので、開口からタオルペーパーを取り出すことができる。開口の奥行は、タオルペーパーが通り抜けるのに支障のない長さであれば特に制限されない。本発明において本体の正面とは、使用時に使用者に対向する面をいい、本体の背面とは、その反対側の面をいう。また、本発明において前方とは本体の正面方向をいい、後方とは本体の背面方向をいい、上方向とは本体の上面方向をいい、下方向とは本体の底面方向をいう。本発明において本体の幅方向及び底面の幅方向とは、本体を正面から見たときの横方向をいう。開口前面とは、取出口正面部において開口に面している面をいい、開口後面とは、取出口背面部において開口に面している面をいう。開口前面は、傾斜方向が上端から本体の背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、本体の正面側に向かって斜め下方向と変化する。本体に収納されているタオルペーパーのうち、本体の正面側に折り目があるタオルペーパーの場合、斜め前方(斜め正面側方向)に取り出そうとすると、タオルペーパーを反転させて引き出すことになるため、取り出すときの抵抗が大きくなる。本発明においては、開口前面の傾斜方向が、背面側への斜め下向き方向、垂直下方向、正面側への斜め下向き方向と次第に変化するため、取り出すときの抵抗を緩和することができ本体の正面側に折り目があるタオルペーパーであっても破れることなく軽い力で取り出すことができる。開口前面は、平面で構成されてもよく、曲面で構成されてもよく、平面と曲面で構成されてもよい。開口前面の傾斜方向は、取出口の本体底面の幅方向に垂直な断面における開口前面の傾きの方向によって表すことができ、直線部分は直線の傾きの方向、曲線部分は曲線上の各点における接線の傾きの方向で表すことができる。
【0014】
本発明においては、取出口の開口前面の上端の高さと下端の高さの差は、10~40mmが好ましく、20~40mmがより好ましい。前記高さの差が大きくなりすぎると開口前面の面積が増えて、上手く取り出せないおそれがある。また、開口前面を前記範囲内で形成することにより、開口前面の傾斜を緩やかにすることができる。取出口の本体底面の幅方向に垂直な断面において、開口前面の上端と、開口前面の本体背面側に最も突出した点(本体背面側に最も突出した部分が点でなく直線の場合は、その直線の中点)とを結んだ直線が、開口前面の上端と開口後面の上端とを結んだ直線となす角度は、15~70°が好ましく、30~55°がより好ましい。
図3を用いて説明すると、前記角度は、開口前面の上端と開口後面の上端とを結んだ直線Hと、開口前面の上端と開口前面の本体背面側に最も突出した点とを結んだ直線Sとのなす角度θ1で示される。開口前面の下端は、本体背面側に最も突出した点から直線Hに引いた垂線Vの延長線よりも正面側に位置する。前記角度がこの範囲にあると、開口前面の上端から背面側に向かって斜め下方向に緩やかに傾斜するので、タオルペーパーを取り出すときの抵抗をより小さくできる。取出口の本体底面の幅方向に垂直な断面において、開口前面の傾斜方向が垂直下方向となる部分が直線の場合、直線部分の長さは、開口前面の上端の高さと下端の高さの差の1/3以下であることが好ましい。垂直な直線部分が長くなりすぎると、タオルペーパーを取り出すときの抵抗が大きくなるおそれがある。
【0015】
本発明のタオルペーパーホルダーにおける開口前面は、傾斜方向が連続的に変化している部分を有することが好ましい。特に、傾斜方向が背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変わる部分、又は傾斜方向が垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に変わる部分、あるいはその両方において開口前面が曲面で形成され、傾斜方向(すなわち取出口の本体底面の幅方向に垂直な断面における開口前面の接線の傾斜方向)が、背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向及び/又は垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に連続的に変化することが好ましい。さらに、傾斜方向が背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変わる部分から傾斜方向が垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に変わる部分までが、開口に向かって膨らんだ曲面(開口に向かって凸状の曲面)であることが好ましい。また、開口前面の上端から下端まで傾斜方向が連続的に変化するように、曲面で形成されていることが好ましい。開口前面の上端から下端までの曲面としては、開口に向かって膨らんだ曲面(開口に向かって凸状の曲面)であることが好ましい。このような構造とすることにより、本体の正面側に折り目があるタオルペーパーを取り出すとき、タオルペーパーの進行方向を反転させて本体の斜め正面側方向(斜め前方)に取り出すことによる抵抗を緩和できる。本発明のタオルペーパーホルダーにおける開口後面は、本体の正面側に向かって斜め下方向に傾斜する傾斜面を有する。開口後面は平面で構成されてもよく、曲面で構成されてもよく、平面と曲面で構成されてもよい。本体の背面側に折り目があるタオルペーパーを滑らかに誘導して取り出す観点から、開口後面は開口に向かって膨らんだ曲面(開口に向かって凸状の曲面)が好ましい。開口後面は、本体の背面側から正面側に向かって下方向に傾斜する傾斜面のみから形成されてもよく、タオルペーパーの通過を妨げない範囲で、前記傾斜面の先に鉛直面や傾きの違う面を形成してもよい。取出口正面部と取出口背面部は、開口の全範囲に面して形成されていてもよく、開口の一部の範囲に面して形成されていてもよい。また、取出口の側面は、開放されていてもよく、側面板により閉じられていてもよい。
【0016】
本発明においては、タオルペーパーの取出口を上記形状とすることにより、タオルペーパーを取出口の鉛直下方向から前方に向かって45°程度上方、あるいは60°程度上方に引き出すことができる。また、取り出し時に手がタオルペーパーホルダーに接触する場合もあるが、60°以上上方に引き出すことも可能である。これは、折り目が本体の正面側にあるタオルペーパーが、開口前面に沿って引き出されることから、反転させて斜め前方に引き出すことによる抵抗を低減できるためである。また、本体の背面側に折り目のあるタオルペーパーは、開口後面に沿って引き出されることから、斜め前方に引き出すことによる抵抗を低減できるためである。本発明における取出口は、開口前面と開口後面との間の水平距離が最小である箇所における、開口前面と開口後面との間の中心が、底面の奥行方向の中心よりも本体の正面側の位置にあることが好ましい。ここで、開口前面と開口後面との間の中心とは、取出口の本体底面の幅方向に垂直な断面における、開口前面と開口後面との間の水平距離が最小である箇所の開口前面と開口後面との間の中心をいい、底面の奥行方向の中心とは、底面の本体の幅方向に垂直な断面における奥行方向の長さの中心をいう。本発明においてタオルペーパーの幅とは、収納されたタオルペーパーの本体正面側又は背面側の長さをいい、タオルペーパーの奥行とは、二つ折りにされて収納されたタオルペーパーの本体側面側の長さをいう。取出口から取り出されたタオルペーパーの長さとは、二つ折りされたものが広がったときの本体側面側のタオルペーパーの長さをいう。取出口における前記中心を底面の奥行方向の中心よりも本体の正面側の位置にすることにより、折り目が本体の正面側にあるタオルペーパーが抵抗を受ける範囲を狭くすることができるので、更にタオルペーパーへの抵抗を軽減することができる。また、本発明においては、大きさが小さい小判サイズのタオルペーパーを使用する際には、スペーサをタオルペーパー収納部の背面側に入れて、タオルペーパー収納部のサイズを補正することができる。この場合、タオルペーパーの奥行方向の中心が正面側へ移動するが、取出口における前記中心を本体の正面側の位置に移動させることにより、タオルペーパーの奥行方向の中心を取出口に近い位置とすることが可能となり、大きさの異なるサイズのタオルペーパーを一つのホルダーで使用することが可能となる。
【0017】
本発明のタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを取出口の鉛直下方向から前方に向かって45°程度上方、あるいは60°程度上方に引き出すことができるので、取出口と台との間の距離をあまり大きくできない置き型のタオルペーパーホルダーとして好適に使用できる。本発明の置き型タオルペーパーホルダーは、本発明における本体と、本体を支持する脚部を備える。本発明における脚部は、本体を支持できるものであり、取出口の下方から前方に、取り出されたタオルペーパーが移動できる空間を有するように形成されていれば、その形状は特に制限されず、本体に取り付けてもよく、本体と一体で成形されてもよい。本発明のタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを斜め前方に引き出すことができるので、取出口の下端と脚部の下端との間の距離を、取り出されたタオルペーパーの長さ(すなわち広げたときのタオルペーパーの長さ)以内にすることができる。本発明における本体及び脚部の材料は特に制限されず、例えば、プラスチック、金属等を挙げることができる。収納されたタオルペーパーの状況を観察するために、本体の一部又は全部を透明な材料により形成してもよい。本発明においては、本体の正面下部に開口窓を設け、本体の底面に前記開口窓から取出口の開口に通じる開口部を設けてもよい。このような構造にすることにより、タオルペーパーが詰まった場合や、タオルペーパーの一つの束を使い終わり次の束に交換する場合などに、本体正面下部の開口窓から底面の開口部に指を入れて、詰まったタオルペーパーを取り出したり、新しいタオルペーパーを取出口の開口にセットしたりすることができる。本発明のタオルペーパーホルダーでは、本体の底面に取出口以外に特別な構造を設ける必要がなく、本体の底面を開口以外は平坦にできるので、本体の正面下部の開口窓の高さを高くしなくても、開口窓を通じて指で収納されたタオルペーパーの束の下部正面を指でつかみ、タオルペーパーの詰まりや交換を容易に行うことができる。置き型のタオルペーパーホルダーの場合は、使用時において取出口下端と洗面台等の台との間の距離が短いので、タオルペーパーの詰まりの解消や取出口の開口へのセットがしにくい場合も考えられ、その場合上記開口窓及び開口部を設けることは好適である。また、本発明においては、本体内部の背面側にスペーサを入れることにより、寸法の異なるタオルペーパーも使用できる。
【0018】
次に図を用いて本発明の実施態様を説明するが、本発明の技術的範囲は図示された態様に限定されるものではない。
図1は、本発明のタオルペーパーホルダーの全体を正面から見た図である。
図1のタオルペーパーホルダー10の右側を右側面、左側を左側面、裏側を背面、上側を上面、下側を底面という。また、正面方向を前方、背面方向を後方という。タオルペーパーホルダー10は、本体20と本体20の底面に設けられた取出口30を備える。本体20の内部には、タオルペーパーの束110が収納され、最下層のタオルペーパー100の一部が取出口30から外に出ている。また、本体20の正面の下部には開口窓40が設けられている。
図1中、点線と陰で示した部分は、本体20の中でのタオルペーパーの束110の収納状態を示している。本体20は、正面板、右側面板、左側面板、背面板、上面板及び底面板から構成され、内部に横断面がタオルペーパーの束110の幅及び奥行より数ミリ程度大きな四角形である柱状の空間が形成されている。タオルペーパーの束110は、本体20の底面から積み重ねられて収納され、最下層の束の下面は本体20の底面の少なくとも一部に接している。
【0019】
図2は、本体20の底面及び取出口を示す図である。
図2(a)は底面50を上から見た図であり、
図2(a)の下側が正面である。底面50には、取出口正面部31、取出口背面部32及び開口33からなる取出口30が設けられている。
図2(a)で影を付けた部分は傾斜面を表す。底面50には、底面50の正面側に開放する開口部51が形成されている。この開口部51は、本体20の開口窓40につながっており、この部分を使ってタオルペーパー100の詰まり解消や取出口へのセットを行うことができる。
図2(a)において、52は底面50の幅を表し、53は底面50の奥行を表し、54は開口部51の幅を表す。
図2(b)は、底面50のA-A´断面を右側面方向から見た断面図(すなわち取出口の本体底面の幅方向に垂直な断面)であり、
図2(b)の左側が正面側、右側が背面側となる。底面50では、開口部51が形成されている箇所以外は、開口の正面側及び背面側は
図2(b)と同じ形状の断面を有する。開口前面34は、取出口正面部31の開口33に面する面であり、開口後面35は、取出口背面部32の開口33に面する面である。
図2(b)において、36は開口33の上端を表し、37は開口33の下端を表し、38は開口前面34の上端と下端の高さの差を表す。開口前面34は、上端から下端まで開口に向かって膨らんだ曲面(開口に向かって凸状の曲面)で形成され、傾斜方向が上端から背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、正面側に向かって斜め下方向に連続的に変化している。
【0020】
一般に使用されているタオルペーパーの寸法は、中判の場合、幅が210~230mm、長さが200~230mmである。そのため、二つ折りにして積層した束の寸法は、幅が210~230mm、長さが102~117mm(折のずれにより1/2より若干大きい)となる。そのため、中判のタオルペーパーを使用する場合、取出口30において、開口上端の奥行方向の長さ(36の長さ)は40~60mmが好ましい。開口上端36の長さがこの範囲にあると、タオルペーパー100を誘導するときの抵抗をより少なくできる。また、
図2(a)及び(b)では、底面50の開口33以外の部分は水平で平坦となっているので、この部分でタオルペーパーの束110を支持することができる。開口33の本体正面側及び本体背面側の底面の形状は、タオルペーパーの束110を支持することができれば他の形状であっても構わない。取出口30において、開口下端の奥行方向の長さ(37の長さ)は特に制限されない。開口前面34の上端と下端の高さの差である38は、10mm以上が好ましく、20~40mmがより好ましい。前記高さの差が小さすぎると本発明における取出口形状の効果が発揮されないおそれがあり、大きすぎると上手く取り出せなくなるおそれがある。タオルペーパーホルダー10においては、本体底面の幅方向に垂直な断面において、開口前面34と開口後面35との間の奥行方向の水平距離が最小となる箇所における、開口前面34と開口後面35との間隔の中心が、底面の奥行方向の中心(53の中心)よりもLだけ本体20の正面側にずれている。ずらしすぎると、収納されているタオルペーパーの枚数が少なくなり下層のタオルペーパーにかかる荷重が少なくなったときに、1枚を引き出そうとすると残り5~6枚が一緒に出てきてしまうため、荷重の軽重にかかわらず効果を発揮させるために、Lの長さとしては、5~15mmが好ましい。開口部51及び開口窓40は、それぞれ底面50の幅方向の略中央及び本体20の正面下部の幅方向の略中央に設けられ、開口部51の幅54は、25~35mmが好ましい。この幅が広すぎるとタオルペーパーを取り出す際にひっかかり上手く引き出せなくなるため、指が入る程度の寸法で、紙を取出口に通すことができるものが良い。また、開口部51の形状は紙がひっかからないように角は丸みを持った形状が好ましい。開口前面34の下端と開口後面35の下端の位置は、同じ高さでもよく、異なる高さでもよい。本発明において取出口30とは、取出口正面部31、取出口背面部32、開口上端36及び開口下端37で囲まれた部分をいう。
図2(b)では、取出口正面部31全体が開口前面34と同じ形状に湾曲し、取出口背面部32全体が開口後面35と同じ形状に湾曲しているが、開口前面34と開口後面35が本発明における形状を満たしていれば、取出口正面部31全体及び取出口背面部32全体の形状は特に制限されない。例えば、ブロック形状の部材を用いて開口33に面する側面のみを加工してもよく、ブロック形状の部材を掘削して開口33を設けてもよい。
【0021】
図2(b)の取出口30は、開口前面が、傾斜方向が背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変わる部分から傾斜方向が垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に変わる部分までが湾曲し、開口に向かって膨らんだ曲面となって傾斜方向が連続的に変化している例であると共に、開口前面の上端から下端までが開口に向かって膨らんだ曲面であり、傾斜方向が連続的に変化している例であるが、本発明における取出口の他の実施形態の例を
図4に示す。
図4は、取出口を本体底面の幅方向に垂直な断面において、右側面から見た断面図である。図の左側が正面側、右側が背面側である。
図4(a)の取出口の開口前面は、上端から背面側に向かって斜め下方向に傾斜する平面、開口に向かって膨らんだ曲面、正面側に向かって斜め下方向に傾斜する平面で構成されており、曲面部で傾斜方向が、背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変化し、次に正面側に向かう斜め下方向へと変化する。すなわち、傾斜方向が背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変わる部分から傾斜方向が垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に変わる部分まで湾曲し、傾斜方向が連続的に変化する部分を有している。
図4(b)の取出口の開口前面は、上端から背面側に向かって斜め下方向に傾斜する平面、開口に向かって膨らんだ曲面、垂直下方向平面、開口に向かって膨らんだ曲面、正面側に向かって斜め下方向に傾斜する平面で構成されており、第1の曲面部で傾斜方向が、背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変化し、第2の曲面部で傾斜方向が、垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に変化する。すなわち、傾斜方向が背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向に変わる部分と垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向に変わる部分が湾曲し、傾斜方向が連続的に変化する部分を有している。
図4(c)の取出口の開口前面は、上端から背面側に向かって斜め下方向に傾斜する平面、垂直下方向平面、正面側に向かって斜め下方向に傾斜する平面で構成され、傾斜方向が上端から本体の背面側に向かって斜め下方向、垂直下方向、前記本体の正面側に向かって斜め下方向に変化している。本体底面の幅方向に垂直な断面において、垂直下方向平面に対応する直線部分の長さは、開口前面の上端の高さと下端の高さの差の1/3以下である。開口前面において、背面側に向かう斜め下方向から垂直下方向への傾斜方向転換部、及び/又は垂直下方向から正面側に向かう斜め下方向への傾斜方向転換部が、少なくとも曲面であることが好ましい。
図5(a)は、本体にスペーサを挿入したときの状態を底面部について示した図である。本発明のタオルペーパーホルダーでは、スペーサ60を
図5の位置に挿入することにより、同じホルダーを寸法の小さいタオルペーパーに対しても使用することができる。例えば、小判タオルペーパーの寸法が、幅が220mm、長さが170mmであった場合、二つ折りにして積層した束の寸法は、幅が220mm、奥行が87mm(折のずれにより1/2より若干大きい)となる。そのため、中判のタオルペーパー用のタオルペーパーホルダーの場合であっても、本体内部の背面側に30mmの厚みのスペーサ60を挿入することにより、小判のタオルペーパーに対しても使用することができる。
【0022】
図5(b)は、本発明の置き型タオルペーパーホルダーの一実施形態の外観を示す図である。置き型タオルペーパーホルダー11は、本体20と脚部70からなり、台(図示せず)の上に置かれている。脚部70の下部には、置き型タオルペーパーホルダー11が台上を動くのを防止するために、粘着性シート71が取り付けられている。粘着性シート71は、脚部70と台を固定できるものであれば、接着剤、テープ等の素材は問わない。脚部70は、本体20右側面、左側面の下に板状の脚部を設けている。両方の脚部の間、すなわち本体20の底面の下方及び斜め前方は、タオルペーパーを取り出すための空間が設けられている。
図5(b)は、スペーサを挿入した状態を示しているが、スペーサを抜けばスペーサのない状態で使用できる。
【0023】
本発明のタオルペーパーホルダーと従来型のタオルペーパーホルダーを使用して、タオルペーパーを斜め前方に引き出す試験を行った。本発明のタオルペーパーホルダーの取出口の形状は
図2と同じであり、開口上端の奥行方向の長さ(36の長さ)が50mm、開口前面と開口後面との間の水平距離が最小となる箇所の奥行方向の間隔が10mm、開口前面の上端と下端の高さの差(38の長さ)が25mmであった。一方、従来型のタオルペーパーホルダーの取出口は、奥行方向の間隔が10mmの平坦な開口であった。それぞれのタオルペーパーホルダーに、中判タオルペーパー(220×230mm)の束(200枚入り)を3束(合計質量1,320g)セットして、取り出す角度を変えて、それぞれ50枚ずつ取り出した。取り出し角度は、取出口の鉛直下方向から、45°上方と60°上方(取出口の水平方向から45°下方と30°下方)とした。結果は表1のとおりである。
【0024】
【0025】
本発明のタオルペーパーホルダーでは、真下でなく鉛直下方向から約45°上方にタオルペーパーを手で引っ張って取り出しても破れたタオルペーパーはなく、さらに約60°上方にタオルペーパーを手で引っ張って取り出しても破れたタオルペーパーはなかった。一方、従来型のタオルペーパーホルダーでは、約45°では50枚中33枚が破れ、約60°では50枚中49枚が破れた。
図6を用いて本発明の効果について説明する。
図6(a)は従来型の取出口におけるタオルペーパーの動きを示した図である。従来型の場合、真下(鉛直下方向)でなく真下から45°上方や60°上方にタオルペーパーを取り出すとき、折り目が取り出し方向にあるタオルペーパーは大きく方向転換して取り出される。そのため、取り出すときに大きな荷重がかかり、取り出すときに引っ張るために大きな力が必要になるだけでなく、タオルペーパーが破損してしまう。一方、
図6(b)は本発明の取出口におけるタオルペーパーの動きを示した図であるが、本発明では、取出口前面の傾斜面における傾斜方向が緩やかに変化するため、折り目が引き出し方向にあるタオルペーパーが緩やかに方向転換できる。さらに、タオルペーパーが方向転換する過程の途中で一旦下方向に誘導されるので、引き出すときにかかる荷重を小さくできると考えられる。
【0026】
本発明のタオルペーパーホルダーは、タオルペーパーを斜め下前方に取り出すことができるので、置き型として使用した場合、取出口下端とタオルペーパーホルダーが置かれた台の間の間隔を取り出されたタオルペーパーホルダーの長さ以下にすることができる。実際には、中判のタオルペーパーを真下に取り出す場合、台から取出口下端まで少なくても360mmの高さが必要となる。
図7に説明のための図を示すが、中判のタオルペーパーの長さが230mmであり、手の長さを80mm、手がつかむ部分のタオルペーパーの長さを50mm、タオルペーパーの全体が取出口下端から出た瞬間に手の動きは止まらないので、その後進む距離を100mmとすると、230+80-50+100=360mmの高さが必要と見込まれ(
図7の右側)、実際には取り出しやすさを考えるとこれ以上の高さが必要となる。一方、本発明のタオルペーパーホルダーの場合、鉛直下方向から60°上方にタオルペーパーを取り出すことができるので、
図7の左側に示すように、真下に取り出す場合の1/2の高さ(180mm)でよい。タオルペーパーホルダーの本体には、交換の手間を考えて通常少なくとも2~3束のタオルペーパーが収納されるので、本体もある程度の高さが必要となるため、取出口下端までの高さを低くすることは小型化のために重要である。このように、本発明では置き型タオルペーパーホルダーの高さを低くして小型化できる。壁取付型として使用した場合であっても低い位置に取り付けたり、取出口下方の空間が狭い場所に取り付けたりできる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のタオルペーパーホルダーは、設置場所に関する制約が少なく、簡易に設置できて、小型で衛生的であるので、学校、病院、役所、体育館、図書館、公民館等の公共施設、デパート、スーパー、コンビニエンスストア、飲食店等の商業施設、介護施設、老人健康施設等の老人施設、会社、オフィスビルなどの各種施設の洗面所(トイレの洗面所を含む)、台所に、壁取付型としてはもちろんのこと、置き型としても設置することができる。また、洗面所や台所のみでなく飲食店のテーブル、執務・作業机等、上記各種施設の汚れを拭きとることのある場所にも簡易に設置して使用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 タオルペーパーホルダー
11 タオルペーパーホルダー
20 本体
30 取出口
31 取出口正面部
32 取出口背面部
33 開口
34 開口前面
35 開口後面
36 開口上端
37 開口下端
38 開口前面の上端と下端との高さの差
40 開口窓
50 底面
51 開口部
52 底面の幅
53 底面の奥行
54 開口部の幅
60 スペーサ
70 脚部
71 粘着性シート
100 タオルペーパー
110 タオルペーパーの束