(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175710
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】建材接合構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/968 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
E06B3/968 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082348
(22)【出願日】2021-05-14
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】506317912
【氏名又は名称】関西サッシサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
【テーマコード(参考)】
2E035
【Fターム(参考)】
2E035BA01
2E035CA04
2E035DB01
2E035DC01
(57)【要約】
【課題】複数の建材を溶接やねじ止めなどを削減して接合可能な建材接合構造を提供する。
【解決手段】建材接合構造1は、第1建材2と、第2建材3と、第2建材3を第1建材2に接合するための接合部材4と、を備える。第1建材2は、第1貫通孔22aを備え、第2建材3は、第1貫通孔22aに挿通可能な挿通部322を備える。挿通部322は、接合部材4を嵌めることが可能な第1切欠部322aを備える。接合部材4は、第1切欠部322aに挿通部322が挿通された状態で第1貫通孔22aに嵌ることにより第2建材3を第1建材2に接合可能な接合位置X1と、挿通部322を第1貫通孔22aへ挿通する際に挿通部322と接合部材4との干渉を回避可能な退避位置と、を移動可能に第1建材2に取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1建材と、第2建材と、前記第2建材を前記第1建材に接合するための接合部材と、を備え、
前記第1建材は、貫通孔を備え、
前記第2建材は、前記貫通孔に挿通可能な挿通部を備え、
前記挿通部は、前記接合部材を嵌めることが可能な第1切欠部を備え、
前記接合部材は、前記貫通孔に前記挿通部が挿通された状態で前記第1切欠部に嵌ることにより前記第2建材を前記第1建材に接合可能な接合位置と、前記挿通部を前記貫通孔へ挿通する際に前記挿通部と前記接合部材との干渉を回避可能な退避位置と、を移動可能に前記第1建材に取り付けられている、建材接合構造。
【請求項2】
前記接合部材は、前記第1建材側に突出する突起を備え、
前記第1建材は、前記接合位置において前記突起を嵌め込むことが可能な嵌込穴を備える、請求項1に記載の建材接合構造。
【請求項3】
前記第1建材は、前記第1建材の長手方向に沿って延びる溝部を備え、
前記接合部材は、前記溝部に沿ってスライド移動可能に取り付けられている、請求項1又は2に記載の建材接合構造。
【請求項4】
前記第1建材の端部と前記第2建材の端部とが接合され、
前記第1建材は、前記第1建材の端部から突出する第1突出部を備え、
前記第2建材は、前記第1突出部を係合することが可能な第2切欠部を備える、請求項1~3の何れか1項に記載の建材接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の建材を溶接接合して製造したドア枠が開示されている。ところで、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素の排出削減が促されており、二酸化炭素を含む溶接ガスを排出する溶接接合の削減が望まれている。
【0003】
特許文献2には、溶接接合を削減する手段として、複数の建材をねじで接合して組み立てた建具枠が開示されている。しかしながら、複数の建材をねじで接合した場合、多数のねじ止めが必要となり工数がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-073781号公報
【特許文献2】特開2015-004232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数の建材を溶接やねじ止めなどを削減して接合可能な建材接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
建材接合構造は、第1建材と、第2建材と、前記第2建材を前記第1建材に接合するための接合部材と、を備え、前記第1建材は、貫通孔を備え、前記第2建材は、前記貫通孔に挿通可能な挿通部を備え、前記挿通部は、前記接合部材を嵌めることが可能な第1切欠部を備え、前記接合部材は、前記貫通孔に前記挿通部が挿通された状態で前記第1切欠部に嵌ることにより前記第2建材を前記第1建材に接合可能な接合位置と、前記挿通部を前記貫通孔へ挿通する際に前記挿通部と前記接合部材との干渉を回避可能な退避位置と、を移動可能に前記第1建材に取り付けられている。
【0007】
斯かる構成によれば、挿通部を貫通孔に挿通し、接合部材を第1切欠部に嵌めることによって、第1建材と第2建材とを溶接やねじ止めなどを削減して接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る建材接合構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る建材接合構造の左側面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る建材接合構造の平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る建材接合構造の接合前の状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る建材接合構造の接合前の状態を示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図3の嵌込部及び第1切欠部の要部拡大図である。
【
図8】
図8は、
図3の第1突出部及び第2切欠部の要部拡大図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態に係る建材接合構造の左側面図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る建材接合構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る建材接合構造について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図(
図9~
図11も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る建材接合構造1は、第1建材(縦材ともいう)2と、第2建材(横材ともいう)3と、第2建材3を第1建材2に接合するための接合部材4と、を備える。建材接合構造1は、例えば、間隔を設けて配置された一対の第1建材2と、それらの上端部及び下端部に接合された一対の第2建材3と、で構成されるドア枠や窓枠などの矩形枠に用いることができる。なお、建材接合構造1は、例えば、建造物の骨組みなどに用いてもよい。
【0011】
本実施形態においては、第1建材2が、鉛直方向(上下方向)に設置される縦材であり、第2建材3が、水平方向(左右方向)に設置される横材である例を示す。なお、建材接合構造1は、例えば、第1建材2を横材、第2建材3を縦材として接合した構造であってもよい。
【0012】
本実施形態に係る建材接合構造1は、第1建材2の上端部と第2建材3の左端部とを直角に接合した構造である。しかしながら、斯かる構造に限られず、建材接合構造1は、例えば、第1建材2の中央部と第2建材3の左端部とを直角に接合した構造であってもよく、第1建材2に対し第2建材3を斜めに接合した構造であってもよい。
【0013】
本実施形態に係る建材接合構造1の説明として、第1建材2の上端部及び第2建材3の左端部について説明する。なお、第1建材2及び第2建材3のその他の部分についても、第1建材2の上端部及び第2建材3の左端部と同様の構成を備えていてもよい。また、本実施形態に係る建材接合構造1を説明する際に方向を示しているが、建材接合構造1をその方向に限定するものではない。
【0014】
本実施形態において、第1建材2は、その延在方向(鉛直方向)に沿って長尺状をなし、凸字状に折り曲げられているが、これに限られない。そして、第2建材3は、その延在方向(水平方向)に沿って長尺状をなし、凸字状に折り曲げられているが、これに限られない。
【0015】
本実施形態においては、一対の第1建材2(一方のみ図示)が第2建材3を挟み込むように配置され(所謂、縦勝ち)、第1建材2の前後方向の幅が第2建材3の前後方向の幅よりも大きい(所謂、面落ち)の例を示している。このため、接合部材4は、第1建材2に取り付けられていることが好ましい。なお、例えば、一対の第2建材3が第1建材2を挟み込むように配置され(所謂、横勝ち)いてもよく、第1建材2の前後方向の幅が第2建材3の前後方向の幅と同一(所謂、面一)であってもよい。
【0016】
図2~
図5に示すように、第1建材2は、溝状に形成され第1建材2の長手方向に沿って延びる第1溝部21と、第1溝部21の溝縁(左端部)から前後方向に延びる一対の第1平坦部22,22と、を備える。なお、第1建材2は、例えば、第1溝部21を備えていない、という構成であってもよく、第1溝部21の前後方向の片側のみに第1平坦部22を備える、という構成であってもよい。
【0017】
第1建材2は、第2建材3を接合するための第1貫通孔22aを備える。第1貫通孔22aは、第2建材3の長手方向に沿って第1建材2(の第1平坦部22)を貫通している。本実施形態において、第1貫通孔22aは、前後方向(第1建材の長手方向及び第2建材の長手方向の双方に直交する方向)を長手方向とする長方形状(長孔)に形成されている。第1貫通孔22aを前後方向に延びる長孔とすることにより、後述する挿入部322を第1貫通孔22aに挿入して接合した際、建材接合構造1の前後方向の接合強度を高めることができる。これにより、例えば、建材接合構造1をドア枠に用いた際、ドアの開閉による前後方向の外力によって建材接合構造1が破壊されることを抑えることができる。なお、第1貫通孔22aは、例えば、丸孔などであってもよい。
【0018】
本実施形態において、第1貫通孔22aは、一対の第1平坦部22,22のそれぞれに設けられているが、一対の第1平坦部22,22のうち一方のみに設けられている、という構成であってもよい。
【0019】
本実施形態において、第1溝部21は、断面略U字状に形成されているが、斯かる形状に限られない。
図6に示すように、第1溝部21は、接合部材4を移動可能に第1建材2に取り付けるための第2貫通孔21aと、接合部材4が後述する接合位置X1からずれることを抑えるための嵌込穴21bと、を備える。本実施形態において、嵌込穴21bは、貫通穴であるが、例えば、窪みなどであってもよい。
【0020】
図3~
図5に示すように、第2建材3は、溝状に形成され第2建材3の長手方向に沿って延びる第2溝部31と、第2溝部31の溝縁(上部)から前後方向に延びる一対の第2平坦部32,32と、を備える。なお、第2建材3は、例えば、第2溝部31を備えていない、という構成であってもよく、第2溝部31の前後方向の片側のみに第2平坦部32を備える、という構成であってもよい。本実施形態において、第2溝部31は、断面略U字状に形成されているが、斯かる形状に限られない。
【0021】
第2平坦部32は、第2平坦部本体321と、第1貫通孔22aに挿通可能な挿通部322と、を備える。挿通部322は、第2平坦部本体321から第2建材3の長手方向(図示の例では左方向)に突出して配置されている。本実施形態において、挿通部322は、平面視にて略四角形状に形成されているが、斯かる形状に限られない。また、本実施形態において、挿通部322は、一対の第2平坦部32,32のそれぞれに設けられているが、一対の第2平坦部32,32のうち一方のみに設けられている、という構成であってもよい。なお、例えば、第2溝部31が挿通部322を備える、という構成であってもよい。
【0022】
図3、
図4及び
図7に示すように、挿通部322は、接合部材4を嵌めることが可能な第1切欠部322aを備える。本実施形態において、第1切欠部322aは、挿通部322の第2溝部31側端部から前後方向に延びる長方形状の切欠であるが、これに限られない。本実施形態において、第1切欠部322aは、挿通部322の右端部に配置されているが、これに限られない。
【0023】
挿通部322を第1貫通孔22aに挿通し第1平坦部22と第2平坦部本体321とを接触させた状態において、第1切欠部322aの幅W1(第1切欠部322aの左端と第1平坦部22の左端との隙間G1が幅W1よりも小さい場合は、隙間G1(
図11参照))は、接合部材4の厚みT3よりも若干大きく(例えば、0.2~0.5mm大きく)なるように設計することが好ましい。設計値において、幅W1(隙間G1)が厚みT3と近い場合、第1建材2、第2建材3及び接合部材4の厚み、加工、組み立てバラツキなどにより、接合部材4が第1切欠部322aに嵌らないことがあるためである。
【0024】
図2~
図5に示すように、接合部材4は、接合部材4を第1建材2に移動可能に取り付けるための取付部41と、第1切欠部322aに嵌めることが可能な嵌込部42と、を備える。嵌込部42は、第1切欠部322aに対応して一対で設けられている。本実施形態において、接合部材4は、断面略ハット形状に形成されているが、斯かる形状に限られない。
【0025】
接合部材4は、第1切欠部322aに嵌ると共に第2建材3を第1建材2に接合可能な接合位置X1と、挿通部322を第1貫通孔22aへ挿通する際に挿通部322と接合部材4との干渉を回避可能な退避位置X2と、を移動可能に第1建材2に取り付けられている。貫通孔22aに挿通部322が挿通された状態で第1切欠部322aに接合部材4が嵌ることにより、貫通孔22aからの挿通部322の抜け出しを防ぎ、延いては第2建材3が第1建材2に接合される。本実施形態において、接合部材4は、第1建材2に対して上下方向にスライド移動可能に取り付けられているが、これに限られない。
【0026】
図6に示すように、取付部41は、第1建材2に対して移動可能に取り付けるための取付孔41aと、接合部材4が接合位置X1からずれることを抑えるための突起41bと、を備える。本実施形態において、取付孔41aは、第1建材2の長手方向に延びた長孔である。取付孔41aを長孔とすることにより、取付手段5によって接合部材4を第1建材2にスライド移動可能に取り付けることができる。移動可能に取り付けとは、取付手段5によって接合部材4と第1建材2とが一体化され、接合部材4が自重又は外力によって第1建材2に対し相対的に移動可能なことをいう。なお、取付孔41aは、例えば、丸孔などであってもよい。
【0027】
本実施形態において、取付部41は、取付孔41aと第2貫通孔21aとを連通させて取付手段5によって第1建材2に取り付けられている。本実施形態において、取付手段5は、リベットであるが、例えば、ねじとナットやピンとEリングなどの組み合わせであってもよい。建材接合構造1は、第2建材3を第1建材2に接合するためのねじ止めを削減できるものであるが、このようなねじ部材の適用を妨げるものではない。
【0028】
突起41bは、第1建材2側(右方向)に突出して配置されている。本実施形態において、突起41bは、円柱状のダボであるが、これに限られない。本実施形態においては、突起41bは、接合位置X1で嵌込穴21bに嵌る位置に配置されているが、これに限られない。
【0029】
図2~
図5に示すように、第1建材2は、第1平坦部22の前後方向における第1溝部21と反対側の端部から左方向に起立する一対の第1起立部23,23と、第1起立部23の後端部から前後方向の第1溝部21側に延びる一対の第1屋根部24,24と、第1建材2を補強するための補強部材25と、を備える。斯かる構成によれば、第1建材2の強度を高めることができる。なお、第1建材2は、例えば、第1起立部23、第1屋根部24及び/又は補強部材25を備えない、という構成であってもよく、第1起立部23及び/又は第1屋根部24を前後方向の片側のみに備える、という構成であってもよい。
【0030】
補強部材25は、前後方向に沿って配置され一対の第1屋根部24,24に固定(例えば、ねじ止め)されている。本実施形態において、補強部材25は、断面略L字状に形成されているが、斯かる形状に限られない。補強部材25は、上下方向(第1建材2の長手方向)における複数箇所に配置されていてもよい。
【0031】
第2建材3は、第2平坦部32の前後方向における第2溝部31と反対側の端部から上方向に起立する一対の第2起立部33,33と、第2起立部33の上端部から前後方向の第2溝部31側に延びる一対の第2屋根部34,34と、を備える。斯かる構成によれば、第2建材3の強度を高めることができる。なお、第2建材3は、例えば、第2起立部33及び/又は第2屋根部34を備えていない、という構成であってもよく、第1起立部23及び/又は第1屋根部24を前後方向の片側のみに備える、という構成であってもよい。
【0032】
第1建材2は、第1建材2の上端部から上方向に突出する第1突出部26を備える。第1突出部26は、第1平坦部22(の一部)、第1起立部23及び第1屋根部24を突出させて構成しているが、これに限られず、第1平坦部22、第1起立部23及び第1屋根部24のうち少なくとも何れかの一部を上方向に突出させて構成してもよい。本実施形態において、第1突出部26は、第1平坦部22の前後方向における第1起立部23側の端部から第1屋根部24までを上方向に突出させた断面略U字状に形成されているが、斯かる形状に限られない。第1突出部26を断面略U字状とすることにより、第1突出部26の強度を上げることができる。
【0033】
本実施形態において、第1突出部26は、第1建材2の前後方向の両端側にそれぞれ配置されている。なお、第1建材2は、例えば、第1突出部26を備えていない、という構成であってもよく、第1突出部26を前後方向の片側のみに備える、という構成であってもよい。第1突出部26は、作業者の怪我防止の観点から、後述する第2突出部35と上下方向において面一であることが好ましい。
【0034】
第2建材3は、第1突出部26を係合することが可能な第2切欠部35aを有する第2突出部35を備える。本実施形態において第2突出部35は、第2屋根部34から第2建材3の長手方向(左方向)に突出して配置され、略四角形状に形成されているが、これに限られない。第1突出部26を第2建材3の長手方向で係合することにより、建材接合構造1において第2建材3の長手方向の接合強度を高めることができる。
【0035】
本実施形態において、第2突出部35は、第2建材3の前後方向の両側にそれぞれ配置されている。なお、第2建材3は、例えば、第2突出部35を備えていない、という構成であってもよく、第2突出部35を前後方向の片側のみに備える、という構成であってもよい。
【0036】
図8に示すように、第2建材3(の第2突出部35)は、第1突出部26に嵌めることが可能な第2切欠部35aを備える。本実施形態において、第2切欠部35aは、第2突出部35の第2起立部33側端部から前後方向に延びる長方形状の切欠であるが、これに限られない。本実施形態において、第2切欠部35aは、第2突出部35の右端部に配置されているが、これに限られない。
【0037】
図3及び
図4に示すように、第2建材3は、第1建材2との接合時に位置決めするための位置決め部36を備える。本実施形態において、位置決め部36は、第2建材3の左端部に配置されており、第1溝部21よりも若干大きく(例えば、0.5mm以下)カットされた形状である。
【0038】
位置決め部36を第2建材3に設けることにより、第1溝部21を位置決め部36に嵌めて第2建材3を第1建材2に接合することができる。これにより、例えば、接合前に第2建材3が前後方向に動くことを抑えることができ、第2建材3を第1建材2に接合することが容易になる。
【0039】
本実施形態において、第1建材2、第2建材3及び接合部材4は、一枚の板(例えば、金属板)を折り曲げることによって形成されているが、これに限られない。第1建材2、第2建材3及び接合部材4の材質は、同一であってもよく、それぞれが異なっていてもよい。
【0040】
本実施形態に係る建材接合構造1における第1建材2と第2建材3との接合手順を説明する。
【0041】
図4及び
図5に示すように、まずは、接合部材4を取付手段5で第1建材2に移動可能に取り付ける。次に、挿通部322を第1貫通孔22aに挿通してから、第2切欠部35aを第1突出部26に係合する。なお、第2切欠部35aを第1突出部26に係合してから、挿通部322を第1貫通孔22aに挿通してもよい。次に、
図2に示すように、不図示の道具を用いて接合部材4を退避位置X2から接合位置X1に移動させて、接合部材4を第1切欠部322aに嵌める。これにより、溶接やねじ止めなどを削減して第2建材3を第1建材2に接合することができる。接合部材4を移動させる道具としては、例えば、樹脂製の小型ハンマーを用いることができる。
【0042】
以上より、本実施形態に係る建材接合構造1は、第1建材2と、第2建材3と、第2建材3を第1建材2に接合するための接合部材4と、を備え、第1建材2は、第1貫通孔22aを備え、第2建材3は、第1貫通孔22aに挿通可能な挿通部322を備え、挿通部322は、接合部材4を嵌めることが可能な第1切欠部322aを備え、接合部材4は、第1切欠部322aに挿通部322が挿通された状態で第1貫通孔22aに嵌ることにより第2建材3を第1建材2に接合可能な接合位置X1と、挿通部322を第1貫通孔22aへ挿通する際に挿通部322と接合部材4との干渉を回避可能な退避位置X2と、を移動可能に第1建材2に取り付けられている、という構成が好ましい。
【0043】
斯かる構成によれば、挿通部322を第1貫通孔22aに挿通し、接合部材4を第1切欠部322aに嵌めることによって、第1建材2と第2建材3とを溶接やねじ止めなどを削減して接合することができる。また、例えば、第1建材2と第2建材3とを工事現場で容易に接合することができるので、第1建材2と第2建材3とを接合していない状態で工事現場に輸送することができ、第1建材2及び第2建材3の積載効率及び輸送効率を上げることができる。さらに、接合部材4を接合位置X1から退避位置X2に移動させることにより、第1建材2と第2建材3との接合を容易に解除することができる。
【0044】
また、本実施形態において、接合部材4は、第1建材2側(右方)に突出する突起41bを備え、第1建材2は、接合位置X1において突起41bを嵌め込むことが可能な嵌込穴21bを備える、という構成が好ましい。
【0045】
斯かる構成によれば、接合位置X1において突起41bを嵌込穴21bに嵌め込むことにより、接合部材4が接合位置X1からずれることを抑えることができる。これにより、第2建材3を第1建材2に接合した後に、接合部材4が接合位置X1からずれて第1切欠部322aから外れることを抑えることができる。
【0046】
また、本実施形態において、第1建材2は、第1建材2の長手方向に沿って延びる第1溝部21を備え、接合部材4は、第1溝部21に沿ってスライド移動可能に取り付けられている、という構成が好ましい。
【0047】
斯かる構成によれば、接合部材4を第1溝部21に沿ってスライド移動させることができる。これにより、接合部材4の移動操作が容易となり、接合部材4を第1切欠部322aに嵌め込むことが容易となる。即ち、第2建材3を第1建材2に接合することが容易になる。
【0048】
また、本実施形態に係る建材接合構造1は、第1建材2の端部(上端部)と第2建材3の端部(左端部)とが接合され、第1建材2は、第1建材2の端部(上端部)から突出する第1突出部26を備え、第2建材3は、第1突出部26を係合することが可能な第2切欠部35aを備える、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、第1突出部26を第2切欠部35aに係合することにより、第1建材2と第2建材3との接合強度を上げることができる。また、第1突出部26を第2切欠部35aに係合して挿通部322を第1貫通孔22aに挿通することにより、第1建材2と第2建材3とが相対的に動き難くすることができる。これにより、接合部材4を第1切欠部322aに嵌めることが容易となり、第2建材3を第1部材2に接合することが容易になる。
【0050】
なお、建材接合構造1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、建材接合構造1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0051】
(1)前述の実施形態において、第1建材2は、第1溝部21を備え、第2貫通孔21a及び嵌込穴21bは、第1溝部21に配置されている、という構成である。しかしながら、第1建材2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図9に示すように、第1建材2は、第1溝部21を備えず、第2貫通孔21a及び嵌込穴21bは、第1平坦部22に配置されている、という構成であってもよい。
【0052】
(2)前述の実施形態において、挿通部322は、前後方向の片側(第1溝部21側)のみに第1切欠部322aを備える、という構成である。しかしながら、挿通部322は、斯かる構成に限られない。例えば、
図9~
図11に示すように、挿通部322は、前後方向の両側に第1切欠部322aを備える、という構成であってもよい。なお、例えば、第1切欠部322aは、第1起立部23側(前側)のみに配置されている、という構成であってもよい。
【0053】
(3)前述の実施形態において、接合部材4は、断面略ハット形状に形成され、嵌込部42は、前後方向の両側に配置されている、という構成である。しかしながら、接合部材4は、斯かる構成に限られない。例えば、
図9及び
図10に示すように、接合部材4は、平板状であり、嵌込部42は、前後方向の一方(前側)のみに配置されている、という構成であってもよい。斯かる嵌込部42は、略U字状に形成されているが、斯かる形状に限られない。
【0054】
(4)前述の実施形態においては、接合部材4は、第1建材2に対して上下方向にスライド移動可能に取り付けられている、という構成である。しかしながら、接合部材4は、斯かる構成に限られない。例えば、
図9に示すように、接合部材4は、第1建材2に対して回転可能に取り付けられている、という構成であってもよい。
【0055】
(5)嵌込部42は、第1切欠部322aに嵌める側の端部に面取りなどが施されている、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、嵌込部42を第1切欠部322aに嵌めることが容易になる。
【0056】
(6)突起41bは、退避位置X2において第1建材2(第1溝部21)の外側に飛び出る、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、退避位置X2において、突起41bを第1建材2(第1溝部21)の端部に係合することができる。これにより、例えば、第1建材2の輸送時などにおいて、接合部材4が退避位置X2からずれることを抑えることができる。
【符号の説明】
【0057】
1:建材接合構造、2:第1建材、21:第1溝部、21a:第2貫通孔、21b:嵌込穴、22:第1平坦部、22a:第1貫通孔、23:第1起立部、24:第1屋根部、25:補強部材、26:第1突出部、3:第2建材、31:第2溝部、32:第2平坦部、321:第2平坦部本体、322:挿通部、322a:第1切欠部、33:第2起立部、34:第2屋根部、35:第2突出部、35a:第2切欠部、36:位置決め部、4:接合部材、41:取付部、41a:取付孔、41b:突起、42:嵌込部、5:取付手段、X1:接合位置、X2:退避位置