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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175729
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20221117BHJP
   G01N 33/28 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N33/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082383
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB09
2G059DD12
2G059DD13
2G059EE01
2G059GG02
2G059GG03
2G059KK01
2G059KK03
2G059LL01
2G059MM01
2G059NN02
(57)【要約】
【課題】発光素子や受光素子の位置ずれが発生しても確実に汚染度を測定することができる。
【解決手段】内部を液体が通過する配管であって、少なくとも一部が光透過性の材料で形成された配管と、光を連続して照射する第1発光素子と、第1発光素子が設けられた第1基板と、を有する光照射部と、光を連続して受光する第1受光素子と、第1受光素子が設けられた第2基板と、を有する受光部と、第1基板及び第2基板が設けられている筐体と、受光部からの出力信号に基づいて、液体の汚染度を測定する汚染度測定部と、を備える。筐体には孔が設けられており、孔には配管が挿入されており、第1発光素子と第1受光素子とは配管を挟んで配置されている。第1発光素子の光軸は、第1受光素子の受光領域と重なる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を液体が通過する配管であって、少なくとも一部が光透過性の材料で形成された配管と、
光を連続して照射する第1発光素子と、前記第1発光素子が設けられた第1基板と、を有する光照射部と、
光を連続して受光する第1受光素子と、前記第1受光素子が設けられた第2基板と、を有する受光部と、
前記第1基板及び前記第2基板が設けられている筐体と、
前記受光部からの出力信号に基づいて、前記液体の汚染度を測定する汚染度測定部と、
を備え、
前記筐体には孔が設けられており、当該孔には前記配管が挿入されており、
前記第1発光素子と前記第1受光素子とは、前記配管を挟んで配置されており、
前記第1発光素子の光軸は、前記第1受光素子の受光領域と重なる
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記光照射部は、少なくとも、光を連続して照射する第2発光素子を有し、
前記受光部は、少なくとも、光を連続して受光する第2受光素子を有し、
前記第2発光素子と前記第2受光素子とは、前記配管を挟んで配置されており、
前記第2発光素子の光軸は、前記第2受光素子の受光領域と重なる
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第2発光素子は、前記第1発光素子に隣接して設けられており、
前記第2受光素子は、前記第1受光素子に隣接して設けられており、
前記汚染度測定部は、前記第1受光素子からの出力信号と前記第2受光素子からの出力信号との差分に基づいて前記液体の汚染度を測定する
ことを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記汚染度測定部は、前記第1受光素子からの出力信号に基づいて粒径が第1範囲に含まれる粒子を検出し、前記第2受光素子からの出力信号に基づいて粒径が前記第1範囲と異なる第2範囲に含まれる粒子を検出する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1発光素子の光軸と、前記第1受光素子の光軸とのずれが50μm以下である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受光部で変換した電気信号を第1の倍率で増幅して生成した信号である粒子検出信号と、受光部で変換した電気信号を第1の倍率より小さい第2の倍率で増幅して生成した信号である気泡検出信号とに基づいて、液体の汚染度を測定するための信号を生成する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-45033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、1つの発光素子から照射された光を2つの受光素子で受光するため、2つの受光素子に光を均等に当てる必要がある。しかしながら、測定装置を建設機械に設けて高温下で動作させる場合には、発光素子や受光素子の取付基板等が熱変形することで、2つの受光素子に光が均等に当たらなくなり、汚染度が測定できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、発光素子や受光素子の位置ずれが発生しても確実に汚染度を測定することができる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る測定装置は、例えば、内部を液体が通過する配管であって、少なくとも一部が光透過性の材料で形成された配管と、光を連続して照射する第1発光素子と、前記第1発光素子が設けられた第1基板と、を有する光照射部と、光を連続して受光する第1受光素子と、前記第1受光素子が設けられた第2基板と、を有する受光部と、前記第1基板及び前記第2基板が設けられている筐体と、前記受光部からの出力信号に基づいて、前記液体の汚染度を測定する汚染度測定部と、を備え、前記筐体には孔が設けられており、当該孔には前記配管が挿入されており、前記第1発光素子と前記第1受光素子とは、前記配管を挟んで配置されており、前記第1発光素子の光軸は、前記第1受光素子の受光領域と重なることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る測定装置によれば、内部を液体が通過する配管であって、少なくとも一部が光透過性の材料で形成された配管が筐体に設けられた孔に挿入されており、第1発光素子が設けられた第1基板と第1受光素子が設けられた第2基板が筐体に設けられている。第1発光素子と第1受光素子とは配管を挟んで配置されており、第1発光素子の光軸は第1受光素子の受光領域と重なる。これにより、発光素子や受光素子の位置ずれが発生しても確実に汚染度を測定することができる。
【0008】
前記光照射部は、少なくとも、光を連続して照射する第2発光素子を有し、前記受光部は、少なくとも、光を連続して受光する第2受光素子を有し、前記第2発光素子と前記第2受光素子とは、前記配管を挟んで配置されており、前記第2発光素子の光軸は、前記第2受光素子の受光領域と重なってもよい。これにより、汚染度の測定精度を向上させることができる。この場合は、発光素子及び受光素子の数が3個以上の場合を含む。
【0009】
前記第2発光素子は、前記第1発光素子に隣接して設けられており、前記第2受光素子は、前記第1受光素子に隣接して設けられており、前記汚染度測定部は、前記第1受光素子からの出力信号と前記第2受光素子からの出力信号との差分に基づいて前記液体の汚染度を測定してもよい。これにより、気泡の影響を除去して汚染度を測定することができる。
【0010】
前記汚染度測定部は、前記第1受光素子からの出力信号に基づいて粒径が第1範囲に含まれる粒子を検出し、前記第2受光素子からの出力信号に基づいて粒径が前記第1範囲と異なる第2範囲に含まれる粒子を検出してもよい。これにより、粒子の直径毎に汚染度を測定することができる。
【0011】
前記第1発光素子の光軸と、前記第1受光素子の光軸とのずれが50μm以下であってもよい。これにより、発光素子や受光素子の位置ずれが発生したときに受光素子に入射する光の強度を強くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光素子や受光素子の位置ずれが発生しても確実に汚染度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】測定装置1の概略を示す断面図である。
図2】測定装置1の電気的な構成の概略を示すブロック図である。
図3】測定装置2の概略を示す断面図である。
図4】測定装置2の電気的な構成の概略を示すブロック図である。
図5】測定装置3の概略を示す断面図である。
図6】測定装置3の電気的な構成の概略を示すブロック図である。
図7】従来の測定装置100の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の測定装置は、建設機械、油圧機器等の、液体を用いて所望の動作を行う装置の所望の位置に設けられ、液体の汚染度を測定するものである。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、測定装置1の概略を示す断面図である。なお、図1では、断面を示すハッチングを一部省略する。測定装置1は、主として、光照射部10と、受光部20と、筐体30と、配管39とを有する。
【0016】
光照射部10は、主として、発光素子11と、発光素子11が設けられた基板15とを有する。発光素子11は、例えば、LEDであり、配管39内に光を照射する。
【0017】
受光部20は、主として、受光素子21と、受光素子21が設けられた基板25とを有する。受光素子21は、例えばフォトダイオード(PD)であり、光の照射による透過光を検出する。
【0018】
発光素子11と受光素子21とは、配管39を挟んで配置されている。また、発光素子11の光軸ax1は、受光素子21の受光領域と重なる。なお、受光領域とは、入射した光を検出可能な領域であり、受光素子21は、受光領域に入射した光を電気信号に変換する。例えば、受光素子21がフォトダイオードである場合には、環状電極に囲まれた内側の領域が受光領域である。
【0019】
なお、図1では、発光素子11の光軸ax1は受光素子21の光軸ax2と一致しているが、光軸ax1と光軸ax2とは一致していなくてもよい。
【0020】
配管39は、少なくとも一部が光透過性の材料で形成されており、測定対象である油、水等の液体が内部を通過する。配管39の光透過性材料で形成された部分に対し、一方から発光素子11が光を照射し、反対側で受光素子21が光を受光する。
【0021】
なお、配管39は全体が光透過性の材料で形成されたものであってもよいし、一部に光を導入及び導出するための窓が形成されたものであってもよい。図1では、配管39は、全体が光透過性の材料で形成されている。
【0022】
配管39は、筐体30の内部に設けられている。筐体30は、主として、第1筐体31と、第2筐体32と、第3筐体33とを有する。
【0023】
第1筐体31は、両端にそれぞれ設けられた穴31aと、2つの穴31aを連通する孔31bと、が設けられている。穴31aの中心軸と孔31bの中心軸は略一致する。
【0024】
孔31bには配管39が挿入されており、穴31aにはそれぞれ第2筐体32が挿入されている。また、穴31aには、第2筐体32の外側に第3筐体33の一部が挿入されている。穴31aには雌ねじ部31cが形成されており、第2筐体32及び第3筐体33の外周面に形成された雄ねじ部32a、33aが螺合することにより、第2筐体32及び第3筐体33が穴31aに設けられる。
【0025】
第2筐体32及び第3筐体33には、それぞれ孔32b、33bが設けられている。孔32b、33bは、配管39の中空部と連通しており、液体の流路となる。
【0026】
なお、本実施の形態では、第2筐体32と第3筐体33とは別部材であるが、第2筐体32と第3筐体33とは一つの部材であってもよい。
【0027】
第1筐体31は、凹部31d、31eを有する。凹部31dには基板15が設けられ、凹部31eには基板25が設けられている。凹部31dの底面には孔31gが設けられており、孔31gに発光素子11が設けられている。また、凹部31eの底面には孔31fが設けられており、発光素子11から照射された光は、配管39及び孔31fを通って受光素子21に入射する。
【0028】
図2は、測定装置1の電気的な構成の概略を示すブロック図である。測定装置1は、汚染度測定部41と、出力部43と、表示部45と、を有する。また、光照射部10は、駆動回路17を有し、受光部20はアンプ27を有する。
【0029】
発光素子11は、駆動回路17により駆動される。この駆動回路17は、発光素子11の発光量を一定とする定電流回路等を含む。駆動回路17は、発光素子11から連続して光を照射させる。そして、受光素子21は、発光素子11から照射されて液体を通った光を連続して受光する。なお、駆動回路17は、受光素子21の受光量をフィードバックするAPC回路を含んでもよい。
【0030】
受光素子21の出力信号は、アンプ27により増幅された後に汚染度測定部41に入力される。汚染度測定部41は、受光素子21からの出力信号に基づいて、液体の汚染度を測定する。液体に粒子が含まれていると、粒子により光が遮られた分だけ受光素子21に光が入射しない。汚染度測定部41は、受光素子21からの出力信号が遮られた回数及び時間に基づいて、液体に含まれる粒子の量、すなわち汚染度を測定する。汚染度測定部41の処理は公知の方法を用いることができるため、説明を省略する。
【0031】
汚染度測定部41には、出力部43が接続される。出力部43には、ディスプレイ、処理装置、記憶装置、通信機械、建設機械等が接続されている。測定結果は、ディスプレイに表示されたり、記憶装置に記憶されたり、通信機械を介して建設機械に出力され、建設機械で表示されたりするようになっている。本実施の形態では、出力部43には表示部45が接続されている。なお、出力部43は、ネットワーク(有線、無線を問わない)を介して測定結果を外部の出力装置等に出力するようにしてもよい。
【0032】
図1の説明に戻る。測定装置1は建設機械等に設けられており、機械の作動時には、測定装置1は100度以上の環境下で用いられる。高温環境下では、基板15、25が熱変形し、これにより光軸ax1、ax2と略直交する方向(図1の紙面左右方向)に発光素子11や受光素子21が移動する。
【0033】
しかしながら、発光素子11と受光素子21とが1:1で対応しているため、発光素子11や受光素子21の位置のずれが生じても、発光素子11の正面近傍から照射される強い光が受光素子21に入射する。
【0034】
本実施の形態によれば、熱変形により光軸ax1と光軸ax2とのずれが生じても、発光素子11の正面近傍から照射される強い光が受光素子21に入射するため、測定装置1が確実に汚染度を測定することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、光軸ax1が受光素子21の受光領域と重なるように、光照射部10及び受光部20を筐体30に設けたが、受光素子21に入射する光の強度を強くするためには、光軸ax1と受光素子21の光軸とのずれが50μm以下であることが望ましい。
【0036】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、1組の発光素子と受光素子を有したが、発光素子及び受光素子の数はこれに限られない。本発明の第2の実施の形態は、2組の発光素子と受光素子を有する形態である。以下、第2の実施の形態にかかる測定装置2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0037】
図3は、測定装置2の概略を示す断面図である。なお、図3では、断面を示すハッチングを一部省略する。測定装置2は、主として、光照射部10Aと、受光部20Aと、筐体30Aと、配管39とを有する。
【0038】
光照射部10Aは、主として、2つの発光素子11と、基板15とを有する。2つの発光素子11は隣接して設けられている。受光部20Aは、主として、2つの受光素子21と、基板25とを有する。2つの受光素子21は隣接して設けられている。発光素子11の光軸ax1は、それぞれ、受光素子21の受光領域と重なる。図3では、発光素子11の光軸ax1は、それぞれ、受光素子21の光軸ax2と一致しているが、光軸ax1と光軸ax2とは一致していなくてもよい。
【0039】
以下、上流側の発光素子11及び受光素子21を発光素子11a及び受光素子21aとし、下流側の発光素子11及び受光素子21を発光素子11b及び受光素子21bとする。
【0040】
筐体30Aは、主として、第1筐体31Aと、第2筐体32と、第3筐体33とを有する。第1筐体31Aは、凹部31d、31eと、凹部31dの底面に設けられた孔31hと、凹部31eの底面に設けられた孔31iと、を有する。孔31hには2つの発光素子11が挿入されている。発光素子11から照射された光は、配管39及び孔31iを通って受光素子21に入射する。
【0041】
図4は、測定装置2の電気的な構成の概略を示すブロック図である。測定装置2は、汚染度測定部41Aと、出力部43と、表示部45と、を有する。また、光照射部10Aは、駆動回路17を有し、受光部20Aはアンプ27及び加減算器28を有する。
【0042】
駆動回路17は、2つの発光素子11を駆動し、2つの発光素子11の出力を同じにする。2つの受光素子21は、それぞれ、発光素子11から照射されて液体を通った光を連続して受光する。2つの受光素子21の出力信号は、それぞれ、アンプ27により増幅される。受光素子21aの信号を増幅するアンプ27をアンプ27aとし、受光素子21bの信号を増幅するアンプ27をアンプ27bとする。
【0043】
受光素子21aの出力信号はアンプ27aにより増幅された後に加減算器28に入力され、受光素子21bの出力信号はアンプ27bにより増幅された後に加減算器28に入力される。そして、加減算器28からは受光素子21(21a、21b)の差動出力が得られる。受光素子21からの出力信号は連続した信号であるため、受光素子21の差動出力も連続した信号である。
【0044】
差動出力は、汚染度測定部41Aに入力される。そして、汚染度測定部41Aは、受光素子21の差動出力を基に、配管39内を流れる液体に含まれる粒子の量を測定する。以下、粒子Dがx1→x5の位置に向かって流路を流れている場合を例に、汚染度測定部41Aが粒子の量を測定する原理について説明する。
【0045】
発光素子11a、11bの出力が同じであるため、粒子D等の不純物粒子が無いとき、受光素子21に入る光量が同量となり、差動出力は0となる。粒子Dが位置x1の位置にある場合には、受光素子21に入る光量は同量なので差動出力は0となる。
【0046】
粒子Dがx2の位置にある場合には、受光素子21aの受光量は粒子Dにより遮られて受光素子21bの受光量よりも少なくなり、差動出力は負の値を持つ。粒子Dがx3の位置にくると、受光素子21に入る光量が再び同一となり、差動出力は0となる。粒子Dがx4の位置にくると、粒子Dがx2の位置にある場合とは逆に、受光素子21bの受光量が不純物に遮られ、差動出力は正の値を持つことになる。そして、粒子Dが光路を通過しx5の位置までくると、受光素子21の光量が同一となり差動出力は0となる。
【0047】
このように、2つの受光素子21への光路を粒子Dが片方ずつ遮ることにより、差動出力信号は正負の値を持つ波形を出力し、粒子Dの量に比例して波形数が増加する。その結果、汚染度測定部41Aは、液体に含まれる粒子の量、すなわち汚染度を測定する。
【0048】
また、汚染度測定部41Aは、2つの受光素子21からの差動出力信号から気泡の影響を除去する。差動出力信号において、気泡は粒子より大きい信号として出力される。以下、汚染度測定部41Aが気泡の影響を除去する処理について説明する。
【0049】
汚染度測定部41Aは、加減算器28から出力された差動出力信号を取得し、この差動出力信号を第1の倍率で増幅し、全波整流して、粒子検出信号を生成する。また、汚染度測定部41Aは、差動出力信号を第2の倍率で増幅し、全波整流して、気泡検出信号を生成する。
【0050】
気泡を検出したときには、粒子を検出したときに比べて、差動出力信号の波高値が大きな値となる。第2の倍率を第1の倍率より低くすることで、気泡検出信号では、粒子の検出結果は波形として現れず、気泡の検出結果のみが波形として現れる。
【0051】
汚染度測定部41Aは、気泡検出信号に基づいて気泡抑制信号を生成する。気泡抑制信号は、Low、Highの2値からなる信号である。気泡検出信号の値が閾値以上でない場合には、気泡抑制信号をLowとし、気泡検出信号の値が閾値以上の場合には、気泡抑制信号をHighとする。
【0052】
気泡抑制信号がLowの場合には、汚染度測定部41Aは、粒子検出信号を積分して汚染度測定信号を得る。気泡抑制信号がHighの場合には、汚染度測定部41Aは、気泡抑制信号がHighとなる直前の粒子検出信号を積分して汚染度測定信号を得る。
【0053】
そして、汚染度測定部41Aは、汚染度測定信号に基づいて液体の汚染度を判定する。例えば、汚染度測定部41Aは、汚染度測定信号の値に基づいて、NAS等級法、ISO清浄度等の評価方法を用いて汚染度を判定する。そして、汚染度測定部41Aは、判定した汚染度を出力部43に出力する。出力部43は、汚染度を表示部45に出力する。
【0054】
図3の説明に戻る。測定装置2は、測定装置1と同様、100度以上の環境下で用いられるため、基板15、25が熱変形し、光軸ax2が移動し、発光素子11や受光素子21の位置がずれてしまう。
【0055】
本実施の形態では、発光素子11と受光素子21とが1:1で対応しているため、発光素子11や受光素子21の位置のずれが生じても、発光素子11の正面近傍から照射される強い光が受光素子21に入射する。
【0056】
本実施の形態によれば、熱変形により発光素子11や受光素子21の位置のずれが生じても、発光素子11から照射された光が確実に受光素子21に入射するため、測定装置1が確実に汚染度を測定することができる。
【0057】
例えば、図7に示す従来の測定装置100のように、1つの発光素子11から照射された光を2つの受光素子21で受光する場合には、2つの受光素子21の中間に発光素子11の光軸ax1を配置させる。そして、発光素子11の正面近傍から照射される強い光は2つの受光素子21に入射せず、発光素子11から斜めに照射される光が受光素子21に入射する。
【0058】
したがって、熱変形により発光素子11や受光素子21の位置がずれると、2つの受光素子21のうちの1つの受光素子21に光が入射しなくなる。例えば、図7の点線に示すように、2つの受光素子21が紙面左側にずれると、紙面右側の受光素子21には光が入射するが、紙面左側の受光素子21に光が入射しなくなる。その結果、測定装置100で汚染度が測定できなくなるおそれがある。
【0059】
それに対し、本実施の形態では、1つの発光素子11から照射された光を1つの受光素子21で受光するため、発光素子11から照射された光が確実に受光素子21に入射する。したがって、熱変形により汚染度が測定できない事態を防ぐことができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、2組の発光素子11と受光素子21を有するため、気泡の影響を除去して汚染度を測定することができる。その結果、汚染度を精度よく測定することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、2つの発光素子11が隣接して設けられており、2つの受光素子21が隣接して設けられているが、2つの発光素子11及び2つの受光素子21は隣接していなくてもよい。ただし、2つの受光素子21の出力の差分から気泡の影響を除去して汚染度を測定するためには、2つの発光素子11及び2つの受光素子21が隣接していることが望ましい。
【0062】
<第3の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、2組の発光素子と受光素子を有したが、発光素子及び受光素子の数はこれに限られない。本発明の第3の実施の形態は、3組の発光素子と受光素子を有する形態である。以下、第3の実施の形態にかかる測定装置3について説明する。なお、第1の実施の形態又は第2の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0063】
図5は、測定装置3の概略を示す断面図である。なお、図5では、断面を示すハッチングを一部省略する。測定装置3は、主として、光照射部10Bと、受光部20Bと、筐体30Bと、配管39とを有する。
【0064】
光照射部10Bは、主として、3つの発光素子11と、基板15とを有する。受光部20Bは、主として、3つの受光素子21と、基板25とを有する。発光素子11の光軸ax1は、それぞれ、受光素子21と重なる。図5では、発光素子11の光軸ax1は、それぞれ、受光素子21の光軸ax2と一致している。
【0065】
以下、最も上流側の発光素子11及び受光素子21を発光素子11a及び受光素子21aとし、中央の発光素子11及び受光素子21を発光素子11b及び受光素子21bとし、最も下流側の発光素子11及び受光素子21を発光素子11c及び受光素子21cとする。
【0066】
筐体30Bは、主として、第1筐体31Bと、第2筐体32と、第3筐体33とを有する。第1筐体31Bは、凹部31d、31eと、凹部31dの底面に設けられた孔31jと、凹部31eの底面に設けられた孔31kと、を有する。孔31jには2つの発光素子11が挿入されている。発光素子11から照射された光は、配管39及び孔31kを通って受光素子21に入射する。
【0067】
図6は、測定装置3の電気的な構成の概略を示すブロック図である。測定装置3は、汚染度測定部41Bと、出力部43と、表示部45と、を有する。また、光照射部10Bは、駆動回路17を有し、受光部20Bはアンプ27及び加減算器28を有する。
【0068】
駆動回路17は、3つの発光素子11を駆動する。3つの受光素子21は、それぞれ、発光素子11から照射されて液体を通った光を連続して受光する。2つの受光素子21の出力信号は、それぞれ、アンプ27により増幅される。受光素子21aの信号を増幅するアンプ27をアンプ27aとし、受光素子21bの信号を増幅するアンプ27をアンプ27bとし、受光素子21cの信号を増幅するアンプ27をアンプ27cとする。
【0069】
受光素子21aの出力信号はアンプ27aにより増幅された後に加減算器28に入力され、受光素子21bの出力信号はアンプ27bにより増幅された後に加減算器28に入力され、受光素子21cの出力信号はアンプ27cにより増幅された後に加減算器28に入力される。そして、加減算器28からは受光素子21a、21bの差動出力、受光素子21a、21cの差動出力及び受光素子21b、21cの差動出力が得られる。受光素子21及び受光素子13からの出力信号は連続した信号であるため、受光素子21の差動出力も連続した信号である。
【0070】
差動出力は、汚染度測定部41Bに入力される。そして、汚染度測定部41Bは、受光素子21の差動出力を基に、配管39内を流れる液体に含まれる粒子の量を測定する。まず、汚染度測定部41Bは、汚染度測定部41Aと同様に、2つの受光素子21(例えば、受光素子21a、21b)からの差動出力信号に基づいて、気泡の影響を除去して粒子の量を測定する。
【0071】
また、汚染度測定部41Bは、2つの受光素子(受光素子21a、21b)からの差動出力信号に基づいて粒径が第1範囲に含まれる粒子を検出し、2つの受光素子(受光素子21a、21c)からの差動出力信号に基づいて粒径が第2範囲に含まれる粒子を検出する。第2範囲は、第1範囲と異なる範囲である。また、粒径が第1範囲に含まれる粒子の検出に用いられる2つの受光素子と、粒径が第2範囲に含まれる粒子の検出に用いられる2つの受光素子とは、少なくとも1つが異なる。
【0072】
例えば、汚染度測定部41Bは、受光素子21a、21bからの差動出力信号に基づいて直径5~15μmの粒子の量を測定し、受光素子21a、21cからの差動出力信号に基づいて直径15~25μmの粒子の量を測定する。
【0073】
本実施の形態では、2つの受光素子21からの差動出力信号に基づいて、粒径が第1範囲に含まれる粒子及び粒径が第2範囲に含まれる粒子の量を測定するため、汚染度測定部41Bは、気泡の影響を除去してそれぞれの範囲の粒径の粒子の量を測定する。
【0074】
図5の説明に戻る。測定装置3は建設機械等に設けられており、機械の作動時には、測定装置2は100度以上の環境下で用いられる。この環境下では、基板15、25が熱変形する。基板25が熱変形することで光軸ax2が移動し、光軸ax1と光軸ax2とがずれてしまう。
【0075】
本実施の形態では、3組の発光素子11と受光素子21を有し、それぞれ発光素子11と受光素子21とが1:1で対応している。したがって、光軸ax1と光軸ax2とのずれが生じても、発光素子11の光軸ax1が受光素子21と重なる。そのため、発光素子11から照射された光は確実に受光素子21に入射する。
【0076】
本実施の形態によれば、熱変形が発生して、光軸ax1と光軸ax2とのずれが生じても、発光素子11から照射された光が確実に受光素子21に入射するため、測定装置1が確実に汚染度を測定することができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、2組以上の発光素子11と受光素子21を有するため、気泡の影響を除去して汚染度を測定することができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、2組以上の発光素子11と受光素子21を有するため、粒子の直径毎に汚染度を測定することができる。液体に含まれる粒子の大きさによって、その粒子の発生源や、粒子による油圧回路への影響の程度が異なる。したがって、粒子の大きさ毎に汚染度を測定することで、汚染の発生の主原因を特定したり、油圧装置の点検の必要性を判断したりすることができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、3組の発光素子11と受光素子21を有したが、発光素子11及び受光素子21の数はこれに限られず、4個以上であってもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、受光素子21a、21bからの差動出力信号に基づいて粒径が第1範囲に含まれる粒子を検出し、受光素子21a、21cからの差動出力信号に基づいて粒径が第2範囲に含まれる粒子を検出したが、差動出力信号を用いずに粒径が所定の範囲に含まれる粒子を検出してもよい。例えば、任意の1つの受光素子(例えば、受光素子21b)からの出力信号に基づいて粒径が第1範囲に含まれる粒子を検出し、粒径が第1範囲に含まれる粒子を検出に用いる受光素子とは異なる受光素子(例えば、受光素子21c)からの出力信号に基づいて粒径が第2範囲に含まれる粒子を検出してもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、差動出力信号に基づいて粒径が所定の範囲に含まれる粒子を検出するため、粒径が異なる2つの範囲にある粒子の量をそれぞれ測定するために測定装置が3つの受光素子21を備える必要があったが、粒径が異なる2つの範囲にある粒子の量を任意の異なる受光素子からの出力信号に基づいて測定する場合には、測定装置が2つの受光素子21を有すればよい。
【0082】
また、本実施の形態では、3つの発光素子11が隣接して設けられており、3つの受光素子21が隣接して設けられているが、3つの発光素子11及び3つの受光素子21は隣接していなくてもよい。ただし、気泡の影響が除去された汚染度を測定するためには、3つの発光素子11及び3つの受光素子21が隣接していることが望ましい。
【0083】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。
【符号の説明】
【0084】
1、2、3:測定装置
10、10A、10B:光照射部
11、11a、11b、11c:発光素子
15 :基板
17 :駆動回路
20、20A、20B:受光部
21、21a、21b、21c:受光素子
25 :基板
27、27a、27b、27c:アンプ
28 :加減算器
30、30A、30B:筐体
31、31A、31B:第1筐体
31a :穴
31b :孔
31c :雌ねじ部
31d :凹部
31e :凹部
31f、31g、31h、31i、31j、31k:孔
32 :第2筐体
32a :雄ねじ部
32b :孔
33 :第3筐体
33a :雄ねじ部
33b :孔
39 :配管
41、41A、41B:汚染度測定部
43 :出力部
45 :表示部
100 :測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7