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特開2022-175731回転電機用油供給装置および回転電機システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175731
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】回転電機用油供給装置および回転電機システム
(51)【国際特許分類】
   F16N 7/02 20060101AFI20221117BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20221117BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20221117BHJP
   F16N 27/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F16N7/02
H02K5/20
H02K9/19 A
F16N27/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082388
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉山 慎吾
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605CC04
5H605DD13
5H605EB01
5H609PP02
5H609PP11
5H609QQ05
5H609QQ11
5H609RR01
5H609RR28
5H609RR37
5H609RR46
5H609RR50
(57)【要約】
【課題】停電時においてタンクから油供給対象へ供給する油の量および供給時間を確保しやすい回転電機用油供給装置を得る。
【解決手段】回転電機用油供給装置3は、タンク52と、案内部67と、を備える。タンク52は、油供給対象よりも上方に配置され、油100を貯留し、上下方向の位置が互いに異なる複数の口52d,52eが設けられている。案内部67は、複数の口52d,52eと油供給対象とを接続し、重力によって複数の口52d,52eから流出した油100を、油供給対象に案内する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の油供給対象に油を供給する回転電機用油供給装置であって、
前記油供給対象よりも上方に位置し、前記油を貯留し、上下方向の位置が互いに異なる複数の口が設けられたタンクと、
前記複数の口と前記油供給対象とを接続し、重力によって前記複数の口から流出した前記油を、前記油供給対象に案内する案内部と、
を備える回転電機用油供給装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記複数の口にそれぞれが接続された複数の配管と、前記複数の配管のそれぞれに設けられた複数のオリフィスと、を有し、
前記複数のオリフィスの径は、前記オリフィスと対応する前記口の上下方向の位置が高いほど大きい、請求項1に記載の回転電機用油供給装置。
【請求項3】
前記タンクは、前記上下方向に延びた壁を有し、
前記複数の口は、前記壁に設けられた、請求項1または2に記載の回転電機用油供給装置。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一つに記載の回転電機用油供給装置と、
前記回転電機と、
を備える回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機用油供給装置および回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトとシャフトを支持する軸受と軸受および油を収容した油槽とを有した回転電機と、油槽に油供給する回転電機用油供給装置と、を備える回転電機システムが知られている。この種の回転電機用油供給装置として、回転電機の通常稼働時に油槽に油を供給する電動ポンプと、停電によって電動ポンプが動作不能となった場合に、油槽に油を供給する停電用油供給部と、を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-201439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記停電用油供給部は、油を貯留するタンクと、タンクと回転電機の油槽とを接続した配管と、を有し、停電時には、タンク内の油が重力によって配管を通って油槽に流れるようになっている。停電用油供給部は、停電等で回転電機への通電が遮断され、シャフトの回転が止まるまでの間、その回転数に応じた量の油を油槽(軸受)に供給することが求められる。しかしながら、従来のタンクは、油槽へ油を供給する口が一つであるため、油槽に供給する必要な油の量および必要な供給時間を確保するのが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、停電時においてタンクから油供給対象へ供給する油の量および供給時間を確保しやすい回転電機用油供給装置および回転電機システムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の回転電機用油供給装置は、回転電機の油供給対象に油を供給する回転電機用油供給装置であって、前記油供給対象よりも上方に位置し、前記油を貯留し、上下方向の位置が互いに異なる複数の口が設けられたタンクと、前記複数の口と前記油供給対象とを接続し、重力によって前記複数の口から流出した前記油を、前記油供給対象に案内する案内部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回転電機用油供給装置によれば、停電時においてタンクから油供給対象へ供給する油の量および供給時間を確保しやすい回転電機用油供給装置および回転電機システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の回転電機システムの構成を例示的に示す構成図であって、通常稼働時の状態の図である。
図2図2は、実施形態の回転電機システムの回転電機を例示的に示す断面図である。
図3図3は、実施形態の回転電機システムにおける油供給装置の二つのオリフィス板を示す例示的な断面図である。
図4図4は、実施形態の回転電機システムの構成を例示的に示す構成図であって、停電時の状態の図である。
図5図5は、実施形態の回転電機システムにおける油供給装置が供給する油の量(油量)と時間との関係を示す図である。
図6図6は、比較例の回転電機システムにおける油供給装置が供給する油の量(油量)と時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0010】
なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
<回転電機システム1>
図1は、実施形態の回転電機システム1の構成を例示的に示す構成図であって、通常稼働時の状態の図である。図1に示されるように、回転電機システム1は、回転電機2と、回転電機2に油100を供給する油供給装置3と、を備える。油供給装置3は、回転電機用油供給装置の一例である。
【0012】
<回転電機2>
図2は、実施形態の回転電機システム1の回転電機2を例示的に示す断面図である。図2に示されるように、回転電機2は、筐体11と、回転子12と、固定子13と、軸受16と、油槽17と、を有する。
【0013】
筐体11は、箱型に形成されている。筐体11は、回転子12の一部と固定子13と、を収容している。
【0014】
回転子12は、シャフト14と、回転子鉄心15と、を有する。シャフト14のうち軸方向の両端部の間の部分に回転子鉄心15が固定されている。
【0015】
シャフト14は、回転中心軸Ax回りに回転可能に二つの軸受16を介して筐体11に支持されている。換言すると、二つの軸受16は、シャフト14を筐体11に対して回転可能に支持している。二つの軸受16は、軸方向において回転子鉄心15の両側に位置している。すなわち、軸方向で二つの軸受16の間に回転子鉄心15が位置している。
【0016】
シャフト14の軸方向の両端部14a,14bは、筐体11から筐体11の外部に突出している。一方の端部14aは、結合対象(不図示)と結合される。また、シャフト14における二つの軸受16と回転子鉄心15とのそれぞれの間には、内扇18が固定されている。内扇18は、シャフト14と一体に回転する。
【0017】
二つの軸受16は、筐体21に支持されている。軸受16は、例えば、すべり軸受やころがり軸受等である。軸受16は、油100によって潤滑される。軸受16は、筐体21に設けられた油槽17内に配置されている。油槽17には、油100(図1参照)が入れられる。油槽17は、密閉部とも称される。油槽17は、油供給対象の一例である。
【0018】
固定子13は、固定子鉄心19と、固定子巻線20と、を有する。固定子鉄心19は、筐体11に固定されている。すなわち、固定子13は、筐体11に固定されている。固定子鉄心19は、径方向における回転子鉄心15の外側に位置し、回転子鉄心15を囲む円筒状に形成されている。固定子巻線20は、軸方向に延びるように固定子鉄心19の内周部19aに形成された複数のスロット(不図示)内を貫通して、固定子鉄心19に固定されている。
【0019】
<油供給装置3>
図1に示されるように、油供給装置3は、電動ポンプ51と、タンク52と、逆止弁53と、配管部54と、を備える。
【0020】
電動ポンプ51は、主タンク(不図示)に貯留された油100を吸引し、吸引した油100を配管部54に吐出する。電動ポンプ51は、電気によって動作する。
【0021】
タンク52は、電動ポンプ51から吐出された油100の一部を貯留する。タンク52は、例えば、方形に形成され、底壁52aと、天壁52bと、四つの側壁52cと、を有する。なお、図1では、四つの側壁52cのうち三つだけが示されている。側壁52cは、上下方向に延びて、底壁52aと天壁52bとを接続している。側壁52cは、壁の一例である。タンク52は、ランダウンタンクとも称される。
【0022】
また、タンク52には、二つの出入口52d,52eと、一つの出口52fと、が設けられている。二つの出入口52d,52eは、一つの側壁52cに設けられている。二つの出入口52d,52eは、油槽17(軸受16)よりも上方に位置している。二つの出入口52d,52eは、上下方向の位置が互いに異なる。出入口52eは、出入口52dよりも上方に位置している。また、出口52fは、一例として、出入口52d,52eが設けられた側壁52cとは別の側壁52cに設けられている。出口52fは、二つの出入口52d,52eよりも上方に位置している。二つの出入口52d,52eは、複数の口の一例である。
【0023】
配管部54は、主給油管61と、分岐給油管62と、排油管63と、オーバーフロー管64と、を有する。配管部54には、油100が流れる。
【0024】
主給油管61は、電動ポンプ51と回転電機2の油槽17(図2)の入口とを接続している。主給油管61には、逆止弁53が設けられている。
【0025】
分岐給油管62は、主給油管61における逆止弁53と油槽17との間の部分からタンク52へ分岐している。すなわち、分岐給油管62は、主給油管61とタンク52とを接続している。分岐給油管62は、第1部分62aと、第2部分62bと、第3部分63cと、分岐点63dと、を有する。第1部分62aは、主給油管61と分岐点63dとを接続している。第2部分62bは、分岐点63dとタンク52の出入口52dとを接続している。第3部分63cは、分岐点63dとタンク52の出入口52eとを接続している。すなわち、第2部分62bと第3部分62cとは取り付け高さが異なる。第2部分62bと第3部分62cとは、複数の配管の一例である。
【0026】
分岐給油管62と、主給油管61における分岐給油管62と接続された部分と油槽17に接続された部分との間の部分(以後、下流側部分とも称する)61aとは、案内部67を構成している。案内部67は、出入口52d,52eと油槽17とを接続し、重力によって出入口52d,52eから流出した油100を、油槽17に案内するものである。また、案内部67とタンク52とは、停電用油供給部を構成している。
【0027】
第2部分62bおよび第3部分62cには、それぞれ、オリフィス板65,66が設けられている。
【0028】
図3は、実施形態の回転電機システム1における油供給装置3の二つのオリフィス板65,66を示す例示的な断面図である。図3に示されるように、二つのオリフィス板65,66には、それぞれオリフィス65a,66aが設けられている。オリフィス65a,66aは、それぞれ出入口52d,52eと対応している。オリフィス66aの径は、オリフィス65aの径よりも大きい。すなわち、オリフィス65a,66aの径は、オリフィス65a,66aと対応する出入口52d,52eの上下方向の位置が高いほど大きい。なお、オリフィス65a,66aの径は、同じであってもよいし、オリフィス65a,66aと対応する出入口52d,52eの上下方向の位置が高いほど小さくてもよい。オリフィス65a,66aは、案内部67に含まれる。
【0029】
図1に示される主給油管61に設けられた逆止弁53は、電動ポンプ51から油槽17およびタンク52に向かって油100が流れるのを許容し、油槽17およびタンク52から電動ポンプ51に向かって油100が流れるのを制限する。
【0030】
排油管63は、油槽17の出口と主タンクとを接続している。オーバーフロー管64は、タンク52の出口52gと排油管63とを接続している。
【0031】
<油100の流れ>
次に、油100の流れについて説明する。まずは、回転電機システム1の通常稼働時の油100の流れについて図1を参照して説明する。図1中の矢印は、回転電機システム1の通常稼働時の油100の流れの一例を示している。回転電機2および電動ポンプ51が通電されて動作を開始すると、シャフト14が回転するとともに、電動ポンプ51が主タンクから油100を吸引して吐出する。電動ポンプ51から吐出された油100の一部は、主給油管61を介して油槽17に供給されて軸受16を潤滑する。軸受16を潤滑した油100は、油槽17から排油管63を介して主タンクに戻る。また、電動ポンプ51から吐出された油の一部は、主給油管61から分岐給油管62に流入する。分岐給油管62に流入した油100は、第2部分62bおよび第3部分62cを通ってタンク52の出入口52d,52eに至り、出入口52d,52eからタンク52内に流入する。これにより、タンク52内に油が貯留される。タンク52内の油100の貯留量が所定の量に達すると、油100が出口52fからオーバーフロー管64に流出する。オーバーフロー管64に流出した油100は、オーバーフロー管64から排油管63を介して主タンクに戻る。
【0032】
次に、停電等によって電動ポンプ51が動作不能となった回転電機システム1の停電時の油100の流れについて図4を参照して説明する。図4は、実施形態の回転電機システム1の構成を例示的に示す構成図であって、停電時の状態の図である。図4中の矢印は、回転電機システム1の停電時の油100の流れの一例を示している。停電時には回転電機2および電動ポンプ51が停止する。このとき、シャフト14の回転数は、徐々に低くなり、最終的にシャフト14は停止する。また、油100は、重力を受けて次のように流れる。タンク52内の油100は、出入口52d,52eからそれぞれ分岐給油管62の第2部分62bおよび第3部分62cに流出して、第1部分62aおよび主給油管61の下流側部分61aを介して油槽17に供給されて軸受16を潤滑する。軸受16を潤滑した油100は、油槽17から排油管63を介して主タンクに戻る。これにより、停電時において電動ポンプ51が停止しても、少なくともシャフト14が停止するまでは、タンク52の油100が油槽17ひいては軸受16に供給される。よって、油100による軸受16の潤滑を十分に行うことができる。具体的には、本実施形態では、シャフト14(回転子12)の定格回数数からシャフト14(回転子12)の停止時までのシャフト14の回転(所謂フリーラン)時に必要な油の供給量と供給時間とを確保できる。ここで、シャフト14の回転数が高い程、軸受16の潤滑に必要な油の量(単位時間あたりの量)が多くなる。軸受16に潤滑に必要な油の量は、油槽17に供給すべき油の量である。すなわち、油槽17に供給すべき油の量は、シャフト14の回転数が高い程多くなる。以後、軸受16に潤滑に必要な油の量すなわち油槽17に供給すべき油の量を必要量とも称する。
【0033】
図5は、実施形態の回転電機システム1における油供給装置3が供給する油の量(油量)と時間との関係を示す図である。図5の縦軸は、停電時に油供給装置3が供給する油の量(油量)を示し、図5の横軸は、停電発生時点からの経過時間(図5では時間)を示している。線L1は、油供給装置3が供給する実際の油の量(油量)を示している。線L2は、油供給装置3が供給すべき油の量(油量)である必要量(設計値)を示している。停電発生時点から時刻t2までの間は、タンク52内の油100は、二つの出入口52d,52eの両方から流出して油槽17に供給される。このとき、時刻t1から時刻t2までは、タンク52の油100の油面100a(上面)が出入口52eの上端と下端との間に位置している。時刻t2以降は、二つの出入口52d,52eのうち出入口52dのみから油100が流出して油槽17に供給される。ここで、本実施形態では、シャフト14は、停電開始時点から規定時間tm(一例として30分)後に停止する。すなわち、停電開始時点から規定時間tmまで、油を油槽17に供給する必要がある。図5に示されるように、本実施形態では、規定時間tmまで、必要な量の油が油槽17(軸受16)に供給される。
【0034】
図6は、比較例の回転電機システムにおける油供給装置が供給する油の量(油量)と時間との関係を示す図である。比較例の油供給装置は、タンクの出入口が一つしか設けられていない点が本実施形態の油供給装置3に対して異なる。また、比較例には、オリフィスの径が大径の第1比較例と、オリフィスの径が第1比較例よりも小径の第2比較例とがある。図6の縦軸は、停電時に比較例の油供給装置が供給する油の量(油量)を示し、図6の横軸は、停電発生時点からの経過時間(図6では時間)を示している。線L3,L4は、それぞれ第1および第2の比較例の油供給装置が供給する実際の油の量(油量)を示している。線L5は、第1および第2比較例の油供給装置が供給すべき油の量(油量)である必要量(設計値)を示している。なお、第1および第2比較例の油量の必要量は、本実施形態の油量の必要量と同じである。図6に示されるように、第1比較例では、規定時間tmに達する前にタンク52内の油が無くなって油の供給が止まってしまう。一方、第2比較例では、停電時直後の比較的高回転でシャフトが回転しているときの油の供給量が、必要量に達しない。
【0035】
<実施形態の効果>
以上のように、本実施形態では、油供給装置3(回転電機用油供給装置)は、回転電機2の油槽17(油供給対象)に油100を供給する。油供給装置3は、タンク52と、案内部67と、を備える。タンク52は、油槽17よりも上方に配置され、油100を貯留し、上下方向の位置が互いに異なる複数の出入口52d,52e(口)が設けられている。案内部67は、複数の出入口52d,52eと油槽17とを接続し、重力によって複数の出入口52d,52eから流出した油100を、油槽17に案内する。
【0036】
このような構成によれば、タンク52に上下方向の位置が互いに異なる複数の出入口52d,52eが設けられているので、時間経過に伴い、タンク52から油100が流出する出入口52d,52eの数が段階的に変化する。具体的には、停電発生直後は、出入口52d,52eの両方から油が流出するので比較的大量の油が油槽17に供給される。これにより、停電発生直後のシャフト14の回転数が比較的高い時期であって油槽17へ供給すべき油が比較的多くなる時期に、油槽17へ供給すべき油の量(必要量)を確保することができる。その後、出入口52d,52eのうち出入口52eからの油の流出が止まり、出入口52dからだけ比較的少量の油が流出する。これにより、停電発生からある程度時間が経過しシャフト14の回転数が比較的低い時期であって油槽17へ供給すべき油が比較的少なくて済むが油槽17への油の供給時間が比較的長い時期に、比較的少量の油を比較的長時間、油槽17へ供給することができる。すなわち、停電時においてタンク52から油槽17へ供給する油の量および供給時間を確保しやすい。
【0037】
また、本実施形態では、案内部67は、分岐給油管62の第1部分62aと、複数の出入口52d,52eにそれぞれが接続された分岐給油管62の第2部分62bおよび第3部分62c(配管)と、第2部分62bおよび第3部分62cのそれぞれに設けられた複数のオリフィス65a,66aと、主給油管61の下流側部分61aと、を有する。複数のオリフィス65a,66aの径は、オリフィス65a,66aと対応する出入口52d,52eの上下方向の位置が高いほど大きい。
【0038】
このような構成によれば、複数のオリフィス65a,66aの径が、オリフィス65a,66aと対応する出入口52d,52eの上下方向の位置が高いほど大きいので、停電発生直後のシャフト14の回転数が比較的高い時期であって油槽17へ供給すべき油が比較的多くなる時期には、オリフィス65a,66aの両方を油が通るので、油槽17へ供給する油の量(必要量)を確保することができる。また、停電発生からある程度時間が経過しシャフト14の回転数が比較的低い時期であって油槽17へ供給すべき油が比較的少なくて済むが油槽17への油の供給時間が比較的長い時期には、オリフィス65a,66aのうちオリフィス65aだけを通った比較的少量の油を比較的長時間、油槽17へ供給することができる。
【0039】
また、本実施形態では、タンク52は、上下方向に延びた側壁52c(壁)を有する。複数の出入口52d,52eは、側壁52cに設けられている。
【0040】
このような構成によれば、出入口52d,52eの上下位置を比較的容易に異なるものとすることができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、二つの口(出入口52d,52e)と二つの配管(第2部分62bおよび第3部分62c)とが設けられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、口および配管は、3つ以上であってもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…回転電機システム、2…回転電機、3…油供給装置(回転電機用油供給装置)、17…油槽(油供給対象)、52…タンク、52c…側壁(壁)、52d,52e…出入口(口)、62b…第2部分(配管)、62c…第3部分(配管)、65a,66a…オリフィス、67…案内部、100…油。
図1
図2
図3
図4
図5
図6