(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175758
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】防水ファン
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20221117BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20221117BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082434
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】高桑 宗仙
(72)【発明者】
【氏名】クオン ヒョクジュン
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605BB05
5H605BB19
5H605DD09
5H605EB06
5H605FF06
5H605GG04
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA01
5H611UB01
5H611UB02
(57)【要約】
【課題】熱応力が繰り返し作用しても回路基板に水が浸入しにくい防水ファンを提供する。
【解決手段】回転軸線X回りに回転可能な回転翼Wを有するロータ3と、回転軸線Xに対して径方向に延びる複数のステータコア41と各々のステータコア41に巻かれた巻き線42とを有するステータ4と、前方Fに開口した収容空間54を有するフレーム5と、巻き線42に電気的に接続され収容空間54に収容される回路基板6と、ステータ4および回路基板6を覆い収容空間54の開口を閉塞する防水樹脂部7と、を備える。回路基板6を外筒部52の内周面52aから離間した位置において位置決めする、位置決め部材10が収容空間54に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線回りに回転可能な回転翼を有するロータと、
前記回転軸線に対して径方向に延びる複数のステータコアと、各々の前記ステータコアに巻かれた巻き線とを有するステータと、
前記回転軸線の一方側に開口した収容空間を有するフレームと、
前記巻き線に電気的に接続され、前記収容空間に収容される回路基板と、
前記ステータおよび前記回路基板を覆い前記収容空間の開口を閉塞する防水樹脂部と、
を備え、
前記回路基板を前記収容空間の内壁から離間した位置において位置決めする、位置決め部材が前記収容空間に設けられている、防水ファン。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記防水樹脂部とは異なる樹脂で構成されている、請求項1に記載の防水ファン。
【請求項3】
前記位置決め部材に設けられた嵌合部が前記回路基板の外縁に設けられた被嵌合部に篏合することにより、前記位置決め部材が前記回路基板を位置決めしている、請求項1に記載の防水ファン。
【請求項4】
前記収容空間は、前記回転軸線の他方側に底面を有し、
前記位置決め部材は、
前記収容空間の前記底面と接触するベース部と、
前記ベース部から前記回転軸線の一方側に延びる突出部を有し、
前記突出部が前記回路基板と接触している、請求項1に記載の防水ファン。
【請求項5】
前記ロータは、軸受に支持された回転軸部を有し、
前記フレームは、
前記軸受を支持する内筒部と、
前記内筒部より大径の外筒部と、
前記回転軸線の他方側で前記内筒部と前記外筒部とを接続し、前記収容空間の底面を構成する底部と、
前記底部の径方向端部から前記回転軸線の一方側に延びる外筒部と、を有し、
前記内筒部の外周面と、前記底部の前記回転軸線の一方側の面と、前記外筒部の内周面とにより前記収容空間が構成されている、請求項1に記載の防水ファン。
【請求項6】
前記内筒部は、
前記ステータに挿通された小径部と、
前記小径部よりも大径で、前記小径部よりも前記回転軸線の他方側に位置する大径部と、を有し、
前記回路基板は、前記小径部と前記大径部との間の段差部により前記回転軸線の方向に位置決めされ、前記位置決め部材により前記回転軸線の周方向に位置決めされている、請求項5に記載の防水ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、回路基板などを含む電子部品が樹脂で覆われた防水ファンが知られている。特許文献1に記載の防水ファンでは、回路基板の底面に、フレームから延ばしたベース側凸部を突き当てることにより、回路基板をフレームに支持している。このベース側凸部は防水ファンの径方向の外側の部位に設けられているので、回路基板を安定して支持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フレームには強度が要求されるので金属が用いられている。電子部品(回路基板などを含む)を覆う防水樹脂は、フレームをなす金属とは線膨張性係数が大きく異なるため、防水ファンに繰り返し熱応力が作用すると、防水樹脂とフレームの界面に隙間が生じる虞がある。すると、この隙間から水が浸入する虞がある。
【0005】
このような場合、特許文献1に記載の防水ファンでは、回路基板がフレームに支持されているため、隙間からフレームを伝って水が浸入し、浸入した水が回路基板に到達してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、熱応力が繰り返し作用しても回路基板に水が浸入しにくい防水ファンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る防水ファンは、
回転軸線回りに回転可能な回転翼を有するロータと、
前記回転軸線に対して径方向に延びる複数のステータコアと、各々の前記ステータコアに巻かれた巻き線とを有するステータと、
前記回転軸線の一方側に開口した収容空間を有するフレームと、
前記巻き線に電気的に接続され、前記収容空間に収容される回路基板と、
前記ステータおよび前記回路基板を覆い前記収容空間の開口を閉塞する防水樹脂部と、を備え、
前記回路基板を前記収容空間の内壁から離間した位置において位置決めする、位置決め部材が前記収容空間に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱応力が繰り返し作用しても回路基板に水が浸入しにくい防水ファンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る防水ファンの正面図である。
【
図2】
図1に示す防水ファンのA-A線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る防水ファン1の正面図である。
図1に示すように、防水ファン1は、回転軸部20の軸線回りに回転可能な複数(図に示す例では、5枚)の回転翼Wと、当該回転翼Wの外周を囲む円筒状のケーシングCと、を備える。防水ファン1は、回転翼Wの回転によって、回転軸部20の軸線の方向(図において表裏方向)の一方から他方へ流れる気流を生じさせる。なお、以降の説明において便宜的に、回転軸部20の軸線の方向を「回転軸線X」の方向と呼ぶことがある。また、回転軸線Xと直交する方向を「径方向」と呼ぶことがある。
【0012】
複数の回転翼Wは、インペラ21の周囲に放射状に取り付けられている。インペラ21は、略カップ状に形成されており、回転軸部20の周囲を囲うように設けられている。なお、
図1に示す防水ファン1では、ステータ4の内部の様子を破線で描いている。
【0013】
インペラ21に取り付けられた回転翼Wは、当該回転翼Wの回転により、回転翼WとケーシングCとの間に気流を生じさせる。回転翼Wは、回転軸線Xの一方側から他方側へ向けて気流を生じさせる形状及び構造に形成されている。また、回転翼Wを囲むケーシングCは、矩形状に形成された枠部22と、当該枠部22の中央に区画形成されて、気流を案内する円形状の風洞部23と、を有する。
【0014】
図2は、
図1のA-A線における断面図である。なお、以降の説明において便宜的に、回転軸線Xの一方側を前方F、回転軸線Xの一方側とは反対の他方側を後方Bと呼ぶことがある。
【0015】
図2に示すように、防水ファン1は、回転翼Wを回転駆動させるためのモータ2を備える。モータ2は、回転翼Wが取り付けられているインペラ21の内部に設けられている。モータ2は、例えば、アウターロータ型のブラシレスモータにより構成される。モータ2は、ステータ4と、当該ステータ4の外周に配置されるロータ3と、を有する。なお、
図2では、ロータ3については簡略して表記している。
【0016】
ロータ3は、略カップ状のロータカバー31と、当該ロータカバー31の中心部にブッシュ(不図示)によって圧入された回転軸部20と、ロータカバー31に固定された永久磁石33と、を有する。
【0017】
ロータカバー31は、インペラ21内に嵌入されている。ロータカバー31が嵌入されたインペラ21は、ブッシュ(不図示)を介して回転軸部20に固定されている。ロータカバー31は、例えば、炭素鋼鋳鋼品(SC材)などの磁性体で構成されている。ロータカバー31の径方向における内周面には、永久磁石33が周方向に並ぶように固着されている。ロータカバー31は、磁力線を閉じて電磁誘導効果を高める。
【0018】
回転軸部20は、軸受24(第一軸受24a,第二軸受24b)に回転可能に支持されている。軸受24は、後述するフレーム5の中央部に形成された筒状の内筒部51に固定されている。
【0019】
ステータ4は、回転翼Wよりも径方向の内側に配置される複数のステータコア41と、当該ステータコア41のそれぞれに巻かれた巻き線42と、を有する。
【0020】
各々のステータコア41は、回転軸線Xに対して径方向に延びている。ステータコア41は、薄い金属板を板厚方向へ複数枚積層して形成されている。ステータコア41の材料としては、例えば、珪素鋼板が用いられる。
【0021】
各々のステータコア41は、インシュレータ43を介して内筒部51の径方向における外周側に設けられている。インシュレータ43は、ステータコア41の前方Fの面に設けられた前インシュレータ43Aと、ステータコア41の後方Bの面に設けられた後インシュレータ43Bと、により構成されている。
前インシュレータ43Aには、回転軸線Xの方向に延びる前内側突出部と前外側突出部が設けられている。これら前内側突出部と前外側突出部との間に前スロット44Aが形成されている。
後インシュレータ43Bにも、回転軸線Xの方向に延びる後内側突出部と後外側突出部が設けられている。これら後内側突出部と後外側突出部との間に後スロット44Bが形成されている。
【0022】
巻き線42は、ステータコア41の周囲に巻かれている。巻き線42は、前スロット44Aおよび後スロット44Bの間に収容されている。巻き線42とステータコア41の前面との間には前インシュレータ43Aが位置しており、また、巻き線42とステータコア41の後面との間には後インシュレータ43Bが位置しているので、巻き線42がステータコア41と導通しない。また、回転軸線Xの方向から見て、前インシュレータ43Aの形状はステータコア41の形状よりも大きく、後インシュレータ43Bの形状はステータコア41の形状よりも大きい。このため、前インシュレータ43Aと後インシュレータ43Bとの間に位置する巻き線42もステータコア41と導通することもない。
【0023】
防水ファン1はさらに、フレーム5と、当該フレーム5に収容される回路基板6と、を備える。
【0024】
フレーム5は、防水ファン1における後方Bの位置に設けられている。フレーム5は概ねカップ状を呈している。フレーム5は、回転翼Wが取り付けられたインペラ21と、互いにカップ形状の内側を対向させた姿勢で回転軸線Xの方向に沿って設けられている。
【0025】
フレーム5は、径方向の内側に設けられる内筒部51と、内筒部51よりも大径で径方向の外側に設けられる外筒部52と、後方Bに設けられ、内筒部51と外筒部52とを接続する底部53と、を有する。そして、フレーム5は、回路基板6を収容するため、内筒部51と外筒部52と底部53とで構成される収容空間54を有する。
【0026】
内筒部51は、底部53の径方向における内側端部から連続して前方Fへ延びるように設けられている。内筒部51は、小径部51aと、大径部51bと、を有する。小径部51aは、内筒部51の前方F寄りの部分を構成する部位である。大径部51bは、内筒部51の後方B寄りの部分を構成する部位であり、小径部51aよりも大径である。小径部51aと大径部51bとの境には、両部の径の違いによって段差部51cが形成されている。段差部51cは、内筒部51の径方向における外側に形成されている。
【0027】
内筒部51の小径部51aは、ステータ4の中央部に挿通されている。小径部51aの径方向における内周面51dには、回転軸部20を支持する軸受24(第一軸受24a,第二軸受24b)が固定されている。また、小径部51aの径方向における外側には、ステータ4のステータコア41が配置されている。
【0028】
外筒部52は、底部53の径方向における外側端部から連続して前方Fへ延びるように設けられている。図に示す例の外筒部52は、前方Fへ延びる高さが内筒部51の高さよりも低く形成されている。外筒部52の高さは、少なくとも内筒部51に形成されている段差部51cの高さより高くなるように形成されている。
【0029】
底部53は、内筒部51の径方向における外周面から外筒部52の径方向における内周面に亘って径方向へ拡がるように設けられている。底部53は、ステータ4の後方Bを覆うように設けられている。
【0030】
収容空間54は、小径部51aおよび大径部51bを含む内筒部51の径方向における外周面51eと、底部53の前方Fの面53aと、外筒部52の径方向における内周面52aと、により構成されている。底部53の前方Fの面53aは、収容空間54の底面53aを構成する。収容空間54は、前方Fに開口する空間である。収容空間54は、ステータ4に向かって開口する空間である。
【0031】
収容空間54には、収容する回路基板6を位置決めする位置決め部材10が設けられている。位置決め部材10は、樹脂で構成されている。位置決め部材10は、収容空間54の後方Bの一部の領域を埋めるように、すなわち収容空間54の底面53a上を覆うように設けられている。位置決め部材10は、収容空間54の底面53aと接触して設けられるベース部11と、ベース部11から前方Fに延びる突出部12と、を有する。
【0032】
突出部12は、ベース部11の径方向における外側の端部から前方Fに向かって延びている。突出部12は、後方Bの後部分12bが外筒部52の内周面52aと接触するように設けられ、前方Fの前部分12fが外筒部52の内周面52aから離間した状態となるように設けられている。図に示す例では、突出部12の前部分12fと外筒部52の内周面52aとの間には、隙間55が形成されている。突出部12は、前部分12fの前方Fの先端部が内筒部51の段差部51cと同等の位置、あるいは段差部51cよりも前方Fへ延びた位置に設けられている。
【0033】
回路基板6は、収容空間54内において、内筒部51の段差部51cと位置決め部材10の突出部12の前部分12fとによって支持されている。回路基板6は、ステータ4の後方Bに配置されている。回路基板6は、円形状に形成されている。回路基板6の中央部には、フレーム5の内筒部51が挿通可能な開口が設けられている。回路基板6は、内筒部51の段差部51cによって回路基板6の径方向における内側部分が支持され、位置決め部材10の突出部12の前部分12fによって回路基板6の径方向における外側部分が支持されている。
【0034】
回路基板6は、内筒部51の段差部51cによって回転軸線Xの方向の位置が決定されている。また、回路基板6は、位置決め部材10の突出部12の前部分12fによって径方向の位置が決定されている。回路基板6の径方向における外側部分は、位置決め部材10の突出部12の前部分12fによって、外筒部52の内周面52aから離間した位置に位置決めされている。回路基板6には、防水ファン1を制御するための配線パターンが形成されている。回路基板6は、ステータコア41に巻回された巻き線42に電気的に接続されている。
【0035】
図3は、防水ファン1の回路基板6を通る径方向に沿った断面図である。
図3に示すように、回路基板6の外縁には、例えば、凹溝として形成された被嵌合部61が設けられている。被嵌合部61には回路基板6の位置を決める位置決め部材10が篏合する。位置決め部材10には、突出部12の前部分12fの先端部に回路基板6の被嵌合部61に嵌合する嵌合部13が設けられている。嵌合部13は、被嵌合部61の凹溝に対応する形状に形成されている。
【0036】
位置決め部材10の嵌合部13が回路基板6の被嵌合部61に篏合することにより、回路基板6の径方向における外側部分の位置が位置決め部材10によって位置決めされている。回路基板6の径方向における外側部分は、外筒部52の内周面52aに対して隙間55だけ離間した位置に位置決めされている。
【0037】
図2に戻り、防水ファン1はさらに、ステータ4および回路基板6を覆う防水樹脂部7を備える。防水樹脂部7は、電気絶縁性の合成樹脂で構成されている。例えば、防水樹脂部7は、熱硬化型のエポキシ樹脂で構成される。
【0038】
防水樹脂部7は、ステータ4および回路基板6を覆うように樹脂を充填することにより、収容空間54の開口を閉塞する。防水樹脂部7の樹脂は、収容空間54において、回路基板6とステータ4の間隙、回路基板6と位置決め部材10の間隙、位置決め部材10の突出部12の前部分12fと外筒部52の内周面52aとの隙間55などに充填されている。
【0039】
防水樹脂部7を構成する樹脂と、位置決め部材10を構成する樹脂とは、異なる樹脂で構成されている。
【0040】
ところで、防水樹脂部7に用いられる樹脂は、フレームとは異なる材料で構成される場合が多い。材料が異なる場合、線膨張係数の違いにより、周囲温度の変化に伴って防水樹脂部とフレームとの間に隙間が生じる。これは、特にフレームが金属材料の場合に生じやすい。防水用の樹脂とフレームとの間に隙間が生じた場合、その隙間に外部から水が浸入して、回路基板に到達する虞がある。
【0041】
これに対して、本実施形態に係る防水ファン1において、回路基板6を外筒部52の内周面52aから離間した位置において位置決めする、位置決め部材10が収容空間54に設けられている。この構成によれば、回路基板6の位置決めをする位置決め部材10がフレーム5の収容空間54内にフレーム5とは別部材として設けられている。そして、収容空間54に収容された回路基板6は、位置決め部材10によって収容空間54の内壁から隔てられて位置決めされている。このため、周囲温度の変化に伴ってフレーム5と防水樹脂部7との間に隙間が生じた場合、隙間からフレーム5を伝って浸入する水を、例えば、
図2の矢印Dに示すように浸透させることができるので、回路基板6まで到達しないようにできる。なお図示した例においては、位置決め部材10のうち、外筒部52の内周面52aから離間した位置に設けられた嵌合部13が回路基板6を位置決めされている。
【0042】
また、防水ファン1によれば、フレーム5は、軸受24を支持する内筒部51と、内筒部51より大径で底部53の径方向の外側端部から前方Fに延びる外筒部52と、後方Bで内筒部51と外筒部52とを接続し、収容空間54の底面を構成する底部53と、を有する。そして、内筒部51の外周面51eと、底部53の前方Fの底面53aと、外筒部52の内周面52aとにより収容空間54が構成されている。これにより、前方Fに開口する収容空間54内に回路基板6を囲うように収容することができる。
【0043】
また、防水ファン1によれば、内筒部51は、ステータ4に挿通された小径部51aと、小径部51aよりも大径で小径部51aよりも後方Bに位置する大径部51bと、を有する。そして、回路基板6は、小径部51aと大径部51bとの間の段差部51cにより回転軸線Xの方向に位置決めされ、位置決め部材10により回転軸線Xの周方向に位置決めされている。これにより、回路基板6を前後左右方向から位置決めすることができ、回路基板6を正確に位置決めすることが可能になる。
【0044】
一般的に、ロータ3とステータ4で構成されるモータ2部においては、径方向の内側の領域はステータ4が設けられているため水が浸入しにくい。これに対して、径方向の外側の領域には水が浸入しやすい。また、モータ2内で用いられる部材の位置決めに関しては、径方向の外側で位置決めした方が位置決め精度が高くなる。これに対して、本実施形態の防水ファン1によれば、フレーム5の外筒部52の内周面52aから離間する位置決め部材10の突出部12の前部分12fに設けられた嵌合部13が、回路基板6の外縁に設けられた被嵌合部61に篏合することにより、位置決め部材10が回路基板6を位置決めしている。このため、回路基板6に対する防水性能を高くできるとともに、回路基板6の位置決め精度を高くできる。
【0045】
また、防水ファン1によれば、位置決め部材10は、収容空間54の底面53aと接触するベース部11と、ベース部11から前方Fに延びる突出部12と、を有する。そして、位置決め部材10は、ベース部11が収容空間54の底面53a上を覆い、収容空間54の後方Bの一部の領域を埋めるように設けられ、前方Fに延びた突出部12が回路基板6を支持している。このように、収容空間54内に位置決め部材10を設けることで、収容空間54に充填する防水樹脂の量を減少させることができるので、防水樹脂の充填時間や硬化時間を短くすることができる。
【0046】
また、防水ファン1によれば、位置決め部材10は、防水樹脂部7とは異なる樹脂で構成されている。防水樹脂部7は、液状の防水樹脂を充填することにより形成する。このため、防水樹脂には充填しやすい特性が求められる。一方で、位置決め部材10にはそのような要請はないことから、例えば、安価な樹脂を用いることができる。このように、防水樹脂部7の樹脂と位置決め部材10の樹脂とを異ならせることができるため、材料選択の自由度を高めることができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0048】
1 防水ファン
2 モータ
3 ロータ
4 ステータ
5 フレーム
6 回路基板
7 防水樹脂部
10 位置決め部材
11 ベース部
12 突出部
12b 後部分
12f 前部分
13 嵌合部
20 回転軸部
21 インペラ
24 軸受
41 ステータコア
42 巻き線
51 内筒部
51a 小径部
51b 大径部
51c 段差部
51d 内周面
51e 外周面
52 外筒部
52a 内周面
53 底部
53a 底面
54 収容空間
55 隙間
61 被嵌合部
W 回転翼
X 回転軸線