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  • 特開-動物用靴下 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175760
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】動物用靴下
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A01K13/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082436
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】506422342
【氏名又は名称】株式会社すとろーはうす
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】南 恵太
(72)【発明者】
【氏名】南 恵美
(72)【発明者】
【氏名】南 良高
(57)【要約】
【課題】動物の足から脱げにくく、且つ、動物の足に簡単に装着できる動物用靴下を提供する。
【解決手段】動物用靴下1は、内周に動物の足が挿入される筒状の靴下本体2と、両端3a、3aが靴下本体2に接続された、伸縮性を有するループ状の紐状部材3とを備える。靴下本体2を動物の足に履かせた後、ループ状の紐状部材3を引き伸ばしながら、その内周に靴下本体2を挿入することにより、靴下本体2の外周に紐状部材3を巻回することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の足が挿入される筒状の靴下本体と、一部が前記靴下本体に接続された、伸縮性を有するループ状の紐状部材とを備えた動物用靴下。
【請求項2】
前記紐状部材の両端が前記靴下本体に接続された請求項1に記載の動物用靴下。
【請求項3】
前記紐状部材を捻じることにより小ループを形成し、前記紐状部材を引き伸ばしながら前記小ループの内周に前記靴下本体を挿入することにより、前記小ループを前記靴下本体の外周に巻回可能である請求項1又は2に記載の動物用靴下。
【請求項4】
前記紐状部材が一本の紐で形成された請求項1~3の何れか1項に記載の動物用靴下。
【請求項5】
前記靴下本体と前記紐状部材とが編物で一体に形成された請求項1~4の何れか1項に記載の動物用靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
犬等の動物に治療を施した後、動物が患部を舐めてしまうことを防止するために、下記の特許文献1に示されているような術後服を着せることがある。しかし、このような術後服を着せても足は露出するため、足に薬を塗布した場合、動物が自分で足を舐めて薬が取れてしまうことがある。また、足以外の部分(例えば目や顔など)に患部がある場合、足が露出していると、動物が自分の足の爪で患部を引っ掻いて傷つけてしまう恐れがある。
【0003】
例えば、下記の特許文献2に示されているような靴下を動物の足に履かせれば、動物が自分で足を舐めて薬が取れる事態や、自分の足の爪で目や顔などを引っ掻いてしまう事態を防止できる。このような靴下は、屋内での滑り防止や、屋外の散歩時における足の保護等の目的で、動物の足に着用されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-060410号公報
【特許文献2】実用新案登録第3197313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、動物の足は、通常、毛が下向きに生えているため、靴下を履かせる方向(上向き)には移動しにくく、靴下が脱げる方向(下向き)には移動しやすい。このため、動物が歩いたり足を舐めたりするだけで靴下が脱げてしまうことが多い。また、動物自身が靴下を噛んで引っ張ることで足から脱がせてしまうこともある。
【0006】
上記特許文献2には、靴下にベルトを取り付け、このベルトで靴下の滑り落ちを防止することが示されている。ベルトは、靴下の外周に巻回された後、面ファスナーやボタン等で固定される。この場合、動物の足に靴下をはかせた状態で、その外周からベルトを巻回し、面ファスナー同士、あるいはボタンとボタンホールとの位置を合わせて装着する作業が必要になるため、手間がかかる。
【0007】
そこで、本発明は、動物の足から脱げにくく、且つ、動物の足に簡単に装着できる動物用靴下を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、動物の足が挿入される筒状の靴下本体と、一部が前記靴下本体に接続された、伸縮性を有するループ状の紐状部材とを備えた動物用靴下を提供する。
【0009】
上記の動物用靴下では、靴下本体を動物の足に履かせた後、ループ状の紐状部材を引き伸ばしながらその内周に靴下本体を挿入することにより、紐状部材を靴下本体の外周に巻回することができる。この紐状部材の収縮力で靴下本体を外周から締め付けることにより、靴下本体が動物の足から脱げにくくなる。この場合、面ファスナー等の固定手段の位置合わせを行う必要がないため、動物の足に靴下を履かせる作業が簡略化される。
【0010】
上記の動物用靴下では、例えば、紐状部材の両端を前記靴下本体に接続することにより、紐状部材をループ状にすることができる。
【0011】
上記の動物用靴下は、ループ状の紐状部材を捻じることにより小ループを形成し、紐状部材を引き伸ばしながら小ループの内周に靴下本体を挿入することにより、小ループを靴下本体の外周に巻回可能としてもよい。これにより、靴下本体の外周に紐状部材を多重に巻回することができるため、紐状部材による締め付け力が強くなり、靴下本体がより一層脱げにくくなる。また、小ループの内周に靴下本体を挿入する際に、紐状部材全体が引き伸ばされるため、作業がやりやすい。
【0012】
従来のように面ファスナー等でベルトを固定した場合、動物がベルトを噛んで引っ張ることで、面ファスナー等が外れる恐れがある。そこで、上記の動物用靴下において、ループ状の紐状部材を一本の紐で形成し、これを靴下本体の外周に巻回すれば、動物が噛んで引っ張っても紐状部材が外れることがない。
【0013】
上記の動物用靴下において、靴下本体と紐状部材とを編物で一体に形成すれば、これらを固定する別途の工程が不要となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の動物用靴下によれば、動物の足から脱げにくく、且つ、動物の足に簡単に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は、本発明の第1実施形態に係る動物用靴下の正面図であり、(B)は同下面図である。
図2】上記動物用靴下を動物の足に装着する手順を示す斜視図であり、紐状部材を靴下本体の外周に巻回する前の状態を示す。
図3】上記動物用靴下を動物の足に装着する手順を示す斜視図であり、紐状部材を靴下本体の外周に巻回している途中の状態を示す。
図4】上記動物用靴下を動物の足に装着する手順を示す斜視図であり、紐状部材を靴下本体の外周に巻回している途中の状態を示す。
図5】上記動物用靴下を動物の足に装着する手順を示す斜視図であり、紐状部材を靴下本体の外周への巻回が完了した状態を示す。
図6】(A)は、第2実施形態に係る動物用靴下の正面図であり、(B)は同下面図である。
図7】(A)は、第3実施形態に係る動物用靴下の正面図であり、(B)は同下面図である。
図8】第3実施形態に係る動物用靴下の他の例を示す正面図である。
図9】第4実施形態に係る動物用靴下の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1(A)(B)は、本発明の第1実施形態に係る動物用靴下1を示す。この動物用靴下1は、靴下本体2と、靴下本体2に接続された紐状部材3とを備える。
【0018】
靴下本体2は、筒状を成し、内周に動物の足先が挿入される(図2参照)。本実施形態の靴下本体2は、下端(つま先側)が閉塞し、上端(胴体側)が開口している。靴下本体2は伸縮性を有する素材で形成される。例えば、靴下本体2全体が編物で形成され、特に、同一素材の糸からなる編物で一体に形成される。靴下本体2のうち、底面(接地部分)を含む領域に、耐水性のコーティングを施してもよい。この他、靴下本体2を形成する編物を、場所によって特性の異なる糸で形成してもよい。例えば、靴下本体2のうち、底面を含む領域を高強度、高耐水性の糸で形成し、その他の領域を高伸縮性の糸で形成してもよい。また、靴下本体2は、編物で一体に形成する場合に限らず、例えば、複数の布を縫い合わせて形成してもよい。また、本実施形態では、靴下本体2が、動物の足に装着していない状態でストレートな筒状を成しているが(図1A参照)、これに限らず、例えば、動物の足に装着していない状態で、途中で屈曲した筒状としてもよい。また、靴下本体2の両端を開口させてもよい。
【0019】
紐状部材3は、例えば一本の紐で形成され、具体的には、断面略円形の紐や帯状の紐などで形成される。紐状部材3は、長さ方向に伸縮性を有する素材で形成され、例えば編物やゴムなどで形成される。紐状部材3はループ状をなし、その一部が靴下本体2に接続される。ループ状の紐状部材3は、靴下本体2との接続部を支点として、靴下本体2に対して自由に動かすことができる。本実施形態では、紐状部材3の両端3a、3aが靴下本体2に接続され、これにより紐状部材3がループ状とされる。紐状部材3は、靴下本体2のうち、底面(接地部分)よりも上方に接続される。図示例では、紐状部材3の両端3a、3aが、靴下本体2のうち、近接する2箇所に接続され、詳しくは、同じ周方向位置で、且つ、上下方向に僅かに離間した位置に接続される。
【0020】
本実施形態では、靴下本体2と紐状部材3とが編物で一体に形成される。これにより、靴下本体2と紐状部材3とが強固に接続されると共に、これらを固定する工程を省略できる。この他、靴下本体2と紐状部材3とを別体に形成した後、これらを縫合や接着等の適宜の手段により固定してもよい。この場合、紐状部材3を靴下本体2とは異なる素材で形成することができる。例えば、靴下本体2を編物で形成し、紐状部材3をゴムで形成することができる。
【0021】
以下、上記の動物用靴下1を動物(例えば、犬や猫)の足に装着する手順を説明する。
【0022】
まず、図2に示すように、靴下本体2の内周に動物の足を挿入する。本実施形態では、靴下本体2が伸縮性を有する素材(例えば編物)で形成されているため、靴下本体2の内周に動物の足を挿入することで、靴下本体2が引き伸ばされて動物の足に倣った形状となる。このとき、靴下本体2の外周にはループ状の紐状部材3が巻回されていないため、紐状部材3で靴下本体2の伸長性が阻害されることがなく、靴下本体2を動物の足にスムーズに履かせることができる。
【0023】
次に、ループ状の紐状部材3を引き伸ばしながら靴下本体2の下方を回り込ませることにより、その内周に靴下本体2を挿入する(図3参照)。その後、ループ状の紐状部材3を捻じって小ループを形成する(図4参照)。具体的には、ループ状の紐状部材3を180°捻じることにより、内周に靴下本体2が挿入された第1小ループ4aと、内周に靴下本体2が挿入されていない第2小ループ4bを形成する。そして、紐状部材3を引き伸ばして第2小ループ4bを拡径させながら、第2小ループ4bを靴下本体2の下方を回り込ませてその内周に靴下本体2を挿入する(図5参照)。
【0024】
こうして第2小ループ4bを拡径させるときに、第2小ループ4bだけでなく、第1小ループ4aも含む紐状部材3全体が引き延ばされる。これにより、第2小ループ4bを、大きな力を要することなく十分に拡径させることができるため、第2小ループ4bの内周に靴下本体2を容易に挿入することができる。換言すると、第2小ループ4bを引き伸ばしながらその内周に靴下本体2を挿入できるように、紐状部材3の素材(伸縮性)や、紐状部材3の端部3a、3aの靴下本体2への接続位置(靴下本体2のつま先からの距離)が設定される。
【0025】
以上により、ループ状の紐状部材3が、引き伸ばされた状態で靴下本体2の外周に巻回される。本実施形態では、紐状部材3が靴下本体2の外周に多重(図示例では2重)に巻回される。このときの紐状部材3の弾性力(収縮力)により靴下本体2が外周から締め付けられ、これにより、靴下本体2が動物の足から脱げることを防止できる。
【0026】
尚、図5に示す状態から、紐状部材3をさらに捻じって小ループを形成し、この小ループを引き伸ばしながらその内周に靴下本体2を挿入することで、紐状部材3を靴下本体2の外周に3重以上巻回させてもよい。紐状部材3を巻回する回数を変えることで、紐状部材3による締め付け力を調整することができる。この他、靴下本体2の周長よりも短いループ状の紐状部材3を設け、この紐状部材3を靴下本体2の外周に一重だけ巻回してもよい。
【0027】
上記のように、動物用靴下1は、紐状部材3を引き伸ばしながらその内周に靴下本体2を挿入することで、紐状部材3を靴下本体2の外周に巻回することができる。このような作業は、面ファスナー等の固定手段を位置合わせする必要がないため、簡単に行うことができる。従って、例えば、一方の手で動物の足を押さえながら、他方の手でループ状の紐状部材3を靴下本体2の外周に巻回して、靴下本体2を動物の足に固定することができる。
【0028】
また、本実施形態では、紐状部材3が、途中に取り外し可能な固定手段(例えば面ファスナー等)を有さず、一本の紐で形成されている。これにより、動物が、足に巻回された紐状部材3を噛んで引っ張っても、紐状部材3が外れることが無いため、紐状部材3による靴下本体2の脱げ防止機能を維持することができる。
【0029】
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の点については説明を省略する。
【0030】
紐状部材3の靴下本体2への接続位置は、上記に限られない。例えば、図6に示す第2実施形態では、紐状部材3の両端3a、3aが、周方向に離間した2箇所で靴下本体2に接続されている。図示例では、紐状部材3の両端3a、3aが、靴下本体2のうち、同じ上下方向位置で、且つ、異なる周方向位置に接続される。詳しくは、紐状部材3の両端3a、3aが、靴下本体2のうち、周方向で位相が180°異なる位置に接続される。この他、紐状部材3の両端3a、3aを、靴下本体2の異なる軸方向位置に接続してもよい。
【0031】
紐状部材3の形状は上記に限られない。例えば、図7に示す第3実施形態では、全周で連続した無端ループ状の紐状部材3が設けられ、この無端ループ状の紐状部材3の一部3bが靴下本体2に接続される。具体的に、靴下本体2と紐状部材3とが別体に形成され、紐状部材3の一部3bが、縫合や接着等の適宜の手段で靴下本体2に固定される。尚、無端ループ状の紐状部材3は、上記のように靴下本体2に直接接続する他、図8に示すように、紐やテープ等からなる連結部5を介して靴下本体2に接続してもよい。
【0032】
図9に示す第4実施形態では、紐状部材3が複数(例えば2本)の紐6で形成され、これらの紐6の端部同士を接続することでループ状を成している。具体的には、各紐6の一端6aが靴下本体2に接続され、各紐6の他端6b(自由端)同士が接合手段7で接合される。接合手段7は、単純な引張力では取り外しできないものが好ましく、例えば、縫合、テープ、接着剤などを適用できる。この他、接合手段7として、2本の紐6の他端6b同士を結んでもよい。
【0033】
以上のような動物用靴下1を動物の足に装着し、靴下本体2で動物の足の患部や爪を覆うことにより、動物が、患部に塗布された薬剤を舐めること(グルーミング)や、自分の爪で足以外(例えば、目や顔など)の患部を引っ盧いて傷つけることを防止できる。この他、屋内での滑り防止や、屋外の散歩時における足の保護等の目的で、動物用靴下1を動物の足に装着してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 動物用靴下
2 靴下本体
3 紐状部材
4a 第1小ループ
4b 第2小ループ
5 連結部
6 紐
7 接合手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9