(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175762
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電池監視装置
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082439
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】本多 一隆
(72)【発明者】
【氏名】朝長 幸拓
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AB03
2G035AC01
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD14
2G035AD47
2G035AD55
2G035AD65
(57)【要約】
【課題】フィルタ回路の構成が異なる際にも対応できると共に、通常経路と診断経路とを切り替えるために必要なスイッチ素子の数を削減できる電池監視装置を提供する。
【解決手段】単位セルI1~I25を上位側セル群1Uと下位側セル群1Dとにグループ分けし、フィルタ回路群2を介して電池監視装置11を接続する。電池監視装置11は、A/Dコンバータ8U,8Dを内蔵する上位側及び下位側AFE回路7U及び7Dを設ける。マルチプレクサ4を、一端が各単位セルの端子V,端子Sにそれぞれ接続され、他端が上位側及び下位側配線部5U及び5Dにおける4つの配線の何れかに接続される複数のスイッチ素子3で構成する。分割配線部5とAFE回路7U及び7Dの差動入力端子との間に、複数のスイッチ素子9からなる6個の極性反転スイッチ6(U1)~6(D3)を配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位セル(I1~I25)を、上位側セル群(1U,1UU,1DU)と下位側セル群(1D,1UD,1DD)とにグループ分けしたものにフィルタ回路群(2)を介して接続され、
前記上位側セル群に対応して設けられる上位側奇数第1配線及び上位側偶数第1配線並びに上位側奇数第2配線及び上位側偶数第2配線と、
前記下位側セル群に対応して設けられる下位側奇数第1配線及び下位側偶数第1配線並びに下位側奇数第2配線及び下位側偶数第2配線と
一端が各単位セルの第1端子側,第2端子側にそれぞれ接続され、他端が奇数第1配線及び偶数第1配線,奇数第2配線及び偶数第2配線の何れかに接続される複数のスイッチ素子(3)からなるマルチプレクサ(4)と、
A/Dコンバータ(8U,8D)を内蔵する上位側フロントエンド回路(7U,7UU,7DU)及び下位側フロントエンド回路(7D,7UD,7DD)と、
前記上位側奇数第1配線及び前記上位側偶数第1配線と前記上位側フロントエンド回路の差動入力端子との間に配置され、前記差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる上位側第1スイッチ群(6(U2))と、
前記上位側奇数第2配線及び前記上位側偶数第2配線と前記上位側フロントエンド回路の差動入力端子との間に配置され、前記差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる上位側第2スイッチ群(6(U1))と、
前記上位側奇数第2配線及び前記上位側偶数第2配線又は前記上位側奇数第1配線及び前記上位側偶数第1配線と前記下位側フロントエンド回路の差動入力端子との間に配置され、前記差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる上位側第3スイッチ群(6(U3))と、
前記下位側奇数第1配線及び前記下位側偶数第1配線と前記下位側フロントエンド回路の差動入力端子との間に配置され、前記差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる下位側第1スイッチ群(6(D2))と、
前記下位側奇数第2配線及び前記下位側偶数第2配線と前記下位側フロントエンド回路の差動入力端子との間に配置され、前記差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる下位側第2スイッチ群(6(D3))と、
前記下位側奇数第1配線及び前記下位側偶数第1配線又は前記下位側奇数第2配線及び前記下位側偶数第2配線と前記上位側フロントエンド回路の差動入力端子との間に配置され、前記差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる下位側第3スイッチ群(6(D1))とを備える電池監視装置。
【請求項2】
前記マルチプレクサと、前記上位側第1~第3スイッチ群及び前記下位側第1~第3スイッチ群を制御することで、各単位セルの電圧を検出する通常経路と、前記単位セルからフロントエンド回路までの経路中の故障を検出する際に、前記電圧と比較するための電圧を検出する診断経路とを切り替える制御回路(10)を備える請求項1記載の電池監視装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記2つのフロントエンド回路の一方によって前記上位側セル群の単位セルの電圧を前記通常経路により検出するように制御し、
前記2つのフロントエンド回路の他方によって前記下位側セル群の単位セルの電圧を前記通常経路により検出するように制御する請求項2記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記2つのフロントエンド回路の一方によって前記上位側セル群の単位セルの電圧を前記診断経路により検出するように制御し、
前記2つのフロントエンド回路の他方によって前記下位側セル群の単位セルの電圧を前記診断経路により検出するように制御する請求項2又は3記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記2つのフロントエンド回路の一方によって前記上位側及び前記下位側セル群の単位セルの電圧を前記通常経路により検出するように制御し、
前記2つのフロントエンド回路の他方によって前記上位側及び前記下位側セル群の単位セルの電圧を前記診断経路により検出するように制御する請求項2から4の何れか一項に記載の電池監視装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記マルチプレクサにおいて、前記上位側セル群に属する単位セルの1つと、前記下位側セル群に属する単位セルの1つとにそれぞれ接続されているスイッチ素子を同時にオンする請求項2から5の何れか一項に記載の電池監視装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記フィルタ回路の構成が、各単位セルの電圧を検出するための検出端子と、各単位セルの電圧を均等化するための均等化端子とが半共通である半共通型と、前記検出端子と前記均等化端子とが分離している分離型との何れについても、前記通常経路と前記診断経路とが切り替え可能である請求項2から6の何れか一項に記載の電池監視装置。
【請求項8】
前記フィルタ回路が分離型であるフィルタ回路群を備え、
前記検出端子間と前記均等化端子間とにおいて前記フィルタ回路の時定数が、同一に設定されている請求項7記載の電池監視装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記フロントエンド回路の差動入力端子間を短絡することで、前記A/Dコンバータのオフセット電圧を検出可能とする請求項2から8の何れか一項に記載の電池監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位セルを直列に接続して構成される組電池にフィルタ回路を介して接続され、各単位セルを監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組電池を構成する各単位セルに接続されるフィルタ回路には、大別すると、
図32に示す半共通型とも称される単独RC型と、
図33に示す分離型とも称されるπ型又は対地型との2種類がある。フィルタの構成は、OEM(Original Equipment Manufacturing)先が要求する仕様に応じて決定される。そして、フィルタ回路の構成が異なれば、監視装置で検出する端子も異なるため、監視装置内部の配線の経路も異なる。
【0003】
また、単位セルの監視を行うには、一般に、単位セルの端子電圧を検出するための通常経路と、フィルタ回路が備える抵抗素子での電圧降下を利用して故障を検知するための診断経路とを切り替える必要がある。
図32及び
図33に示すように、1つの単位セルに対応して、4つの端子Vn,Sn,Sn+1,Vn-1が設けられている。
【0004】
図32に示す単独RC型の場合、通常経路は端子Vn-Sn間となり、診断経路は端子Sn+1-Vn-1間となる。一方、
図33に示す対地型の場合、通常経路は端子Vn-Vn-1間となり、診断経路は端子Sn+1-Sn間となる。尚、フィルタ回路がπ型の場合は、
図32において、上端が端子Vnに接続されているコンデンサの下端が、グランドに替えて端子Vn-1に接続される。
図33に示す分離型のフィルタ回路では、端子Vを通常経路の検出経路となる検出専用端子として用い、端子Sを均等化経路の均等化専用端子として用いるという意味で両端子の用途が分離している。一方、
図32に示す半共通型のフィルタ回路では、端子Vが検出専用端子として用いられているのに対して、端子Sが検出端子と均等化端子を兼用しているという意味で、両端子の用途が半共通化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、1つの監視装置によって検出経路が異なる単独RC型とπ型又は対地型との双方のフィルタ回路に対応させることは困難であると共に、単純に通常経路と診断経路とを切り替えようとすると、マルチプレサを構成するスイッチ素子が倍増することになる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルタ回路の構成が異なる際にも対応できると共に、通常経路と診断経路とを切り替えるために必要なスイッチ素子の数を削減できる電池監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の電池監視装置によれば、複数の単位セルを、上位側セル群と下位側セル群とにグループ分けしたものにフィルタ回路群を介して接続される。マルチプレクサを、一端が各単位セルの第1端子側,第2端子側にそれぞれ接続され、他端が奇数第1配線及び偶数第1配線,奇数第2配線及び偶数第2配線の何れかに接続される複数のスイッチ素子で構成する。
【0009】
A/Dコンバータを内蔵する上位側及び下位側フロントエンド回路を設け、各配線と各フロントエンド回路の差動入力端子との間に、差動入力端子への入力極性の反転が可能となる複数のスイッチ素子からなる各スイッチ群を、以下のように対応させて配置する。
上位側奇数及び偶数第1配線-上位側フロントエンド回路:上位側第1スイッチ群
上位側奇数及び偶数第2配線-上位側フロントエンド回路:上位側第2スイッチ群
上位側奇数及び偶数第2配線-下位側フロントエンド回路:上位側第3スイッチ群
下位側奇数及び偶数第1配線-下位側フロントエンド回路:下位側第1スイッチ群
下位側奇数及び偶数第2配線-下位側フロントエンド回路:下位側第2スイッチ群
下位側寄数及び偶数第1配線-上位側フロントエンド回路:下位側第3スイッチ群
尚、上位側第3スイッチ群及び下位側第3スイッチ群については、上記の接続に替えて、下記の組み合わせで接続しても良い。
上位側奇数及び偶数第1配線-下位側フロントエンド回路:上位側第3スイッチ群
下位側寄数及び偶数第2配線-上位側フロントエンド回路:下位側第3スイッチ群
尚、請求項1において、上位側第3スイッチ群及び下位側第3スイッチ群について記載した「又は」の接続関係は任意ではなく、上記のような両者の対応関係があることをここで付記しておく。
【0010】
すなわち、上位側セル群に対して上位側フロントエンド回路を設け、下位側セル群に対して下位側フロントエンド回路を設けることで、それぞれのセル群で独立して電圧を測定できる。また、マルチプレクサと各スイッチ群との間を、上位側, 下位側のそれぞれにおいて、奇数及び偶数第1配線並びに奇数及び偶数第2配線からなる4つの配線と極性反転スイッチとを介して接続することで、マルチプレクサを構成するスイッチ素子の増加を抑制できる。
【0011】
更に、下位側フロントエンド回路に接続可能な上位側第3スイッチ群と、上位側フロントエンド回路に接続可能な下位側第3スイッチ群とを設けることで、上位側及び下位側セル群と、上位側及び下位側フロントエンド回路との間の接続を、より柔軟に切り替えることができ、通常経路と診断経路の同時検出が可能になる。
【0012】
請求項2記載の電池監視装置によれば、制御回路は、マルチプレクサと、上位側第1~第3スイッチ群及び下位側第1~第3スイッチ群を制御することで、各単位セルの電圧を検出する通常経路と、単位セルからフロントエンド回路までの経路中に故障が発生している際に前記電圧と比較するための電圧を検出する診断経路とを切り替える。このように制御すれば、それぞれのセル群について通常経路と診断経路とを切り替えて測定した電圧を比較することで、故障検知を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の電池監視装置によれば、制御回路は、一方のフロントエンド回路によって上位側セル群の単位セルの電圧を通常経路により検出するように制御し、他方のフロントエンド回路によって下位側セル群の単位セルの電圧を通常経路により検出するように制御する。これにより、それぞれのセル群について通常経路による電圧測定を並行して行うことができる。
【0014】
請求項4記載の電池監視装置によれば、制御回路は、一方のフロントエンド回路によって上位側セル群の単位セルの電圧を診断経路により検出するように制御し、他方のフロントエンド回路によって下位側セル群の単位セルの電圧を診断経路により検出するように制御する。これにより、それぞれのセル群について診断経路による電圧測定を並行して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態であり、電池監視装置の構成を示す図
【
図2】フィルタ回路がπ型/対地型である場合に、下位側セル群の各単位セルについて、2つのAFE回路で通常経路と診断経路に並行して接続する制御シーケンスを示す図
【
図3】上位側セル群の各単位セルについて、2つのAFE回路で通常経路と診断経路に並行して接続する制御シーケンスを示す図
【
図4】測定対象が単位セルI1である場合の接続経路を示す図
【
図5】測定対象が単位セルI12である場合の接続経路を示す図
【
図6】測定対象が単位セルI13である場合の接続経路を示す図
【
図7】測定対象が単位セルI24である場合の接続経路を示す図
【
図8】測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す図
【
図9】第2実施形態であり、フィルタ回路がπ型/対地型である場合に、上位側及び下位側セル群の各単位セルについて通常経路に接続する制御シーケンスを示す図
【
図10】測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す図
【
図11】測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す図
【
図12】測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す図
【
図13】測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す図
【
図14】第3実施形態であり、フィルタ回路がπ型/対地型である場合に、上位側及び下位側セル群の各単位セルについて診断経路に接続する制御シーケンスを示す図
【
図15】測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す図
【
図16】測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す図
【
図17】測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す図
【
図18】測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す図
【
図19】第4実施形態であり、フィルタ回路が単独RC型である場合に、上位側及び下位側セル群の各単位セルについて通常経路に接続する制御シーケンスを示す図
【
図20】測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す図
【
図21】測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す図
【
図22】測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す図
【
図23】測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す図
【
図24】第5実施形態であり、フィルタ回路が単独RC型である場合に、上位側及び下位側セル群の各単位セルについて、2つのAFE回路で診断経路に接続する制御シーケンスを示す図
【
図25】測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す図
【
図26】測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す図
【
図27】測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す図
【
図28】測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す図
【
図29】第6実施形態であり、上位側,下位側AFE回路のオフセット電圧を測定する接続形態を示す図
【
図30】第7実施形態であり、50個の単位セルで構成される組電池に、2つの電池監視装置をフィルタ回路群を介して接続した構成を示す図
【
図31】第8実施形態であり、フィルタ回路がπ型の場合の通常経路及び診断経路を示す図
【
図32】フィルタ回路が単独RC型の場合の通常経路及び診断経路を示す図
【
図33】フィルタ回路が対地型の場合の通常経路及び診断経路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1に示すように組電池1は、例えば25個の単位セルI1~I25を直列に接続して構成されているが、本実施形態では、単位セルI1~I12を下位側セル群1Dとし、単位セルI13~I25を上位側セル群1Uとして2つのセル群に分けている。各単位セルI1~I25には、それぞれにフィルタ回路が接続されるが、
図1では1つのフィルタ回路群2として示している。
【0017】
フィルタ回路群2の図中右側には、各単位セルI1~I25に対応した端子V0~V25,S1~S26が配置されている。端子V,Sと単位セルとの接続関係は、フィルタ回路群2におけるフィルタのタイプに応じて
図31,
図32に準じている。また単位セルの高電位端子は第1端子に相当し、低電位端子は第2端子に相当する。
【0018】
上位側,下位側のAFE(Analog Front End)回路7U,7Dは、それぞれ上位側セル群1U,下位側セル群1Dに対応して設けられており、A/Dコンバータ8U,8Dや図示しないレベルシフタ等を内蔵している。そして、フィルタ回路群2とAFE回路7U,7Dとの間には、マルチプレクサ4,分割配線部5及び極性反転スイッチ部6が配置されている。
【0019】
マルチプレクサ4を構成するスイッチ素子3(V0)~3(S26)の一端は、それぞれ上記の52の端子V0~V25,S1~S26に接続されている。スイッチ素子3は、例えばNチャネルMOSFETである。下位側セル群1D,上位側セル群1Uのセル数はそれぞれ12個,13個であるから、スイッチ素子3は、それらのセルの直列電圧分の耐圧を備えている。
【0020】
分割配線部5は、上位側配線部5Uと下位側配線部5Dとに2分されている。これらの配線部5U,5Dはそれぞれ4本の配線VO,VE,SE,SOからなり、各配線には、各端子に対応するマルチプレクサ4のスイッチ素子3が以下のように接続される。
配線 端子
VO Vの奇数番目
VE Vの偶数番目
SO Sの奇数番目
SE Sの偶数番目
【0021】
例えば、一端が端子V1に接続されるスイッチ素子3(V1)の他端は配線VOに接続され、一端が端子S1に接続されるスイッチ素子3(S1)の他端は配線SOに接続されている。一端が端子S26に接続されるスイッチ素子3(S26)の他端は配線SEに接続され、一端が端子V24に接続されるスイッチ素子3(V24)の他端は配線VEに接続されている。尚、端子S13,V12については、他端が上位側配線部5Uに接続されるスイッチ素子3(S13U),3(V12U)と、他端が下位側配線部5Dに接続されるスイッチ素子3(S13D),3(V12D)とを備えている。これらのうち
図1では、図示の都合上、スイッチ素子3(S13U),3(S13D)のみに符号を付している。
【0022】
極性反転スイッチ部6は、6つの極性反転スイッチ6(U1~U3,D1~D3)からなり、各スイッチ6(U1~U3,D1~D3)は、4つのスイッチ素子9(1~4)を用いた4端子スイッチとして対称に構成されている。スイッチ素子9は、例えばNチャネルMOSFETである。スイッチ6の入力端子IN(+)には、スイッチ素子9(1)及び9(2)の一端が接続され、入力端子IN(-)には、スイッチ素子9(3)及び9(4)の一端が接続されている。スイッチ6の出力端子OUT(+)には、スイッチ素子9(1)及び9(3)の他端が接続され、出力端子OUT(-)には、スイッチ素子9(2)及び9(4)の他端が接続されている。
【0023】
各配線と、極性反転スイッチ6の入力端子I(+),I(-)との接続関係は、以下の様になっている。
配線 極性反転スイッチ
SO,SE 6(U1)
VO,VE 6(U2)
SO,SE 6(U3)
VO,VE 6(D1)
VO,VE 6(D2)
SO,SE 6(D3)
極性反転スイッチ6(U2),6(U1),6(U3)は上位側第1~第3スイッチ群に相当し、極性反転スイッチ6(D2),6(D3),6(D1)は下位側第1~第3スイッチ群に相当する。
【0024】
AFE回路7Uの入力端子IN(+),IN(-)には、極性反転スイッチ6(U1),6(U2),6(D1)の出力端子OUT(+),OUT(-)が接続されている。AFE回路7Dの入力端子IN(+),IN(-)には、極性反転スイッチ6(U3),6(D2),6(D3)の出力端子OUT(+),OUT(-)が接続されている。ロジック回路で構成される制御回路10は、マルチプレクサ4及び極性反転スイッチ部6を構成する各スイッチ素子3,9のオンオフを制御する。以上において、組電池1及びフィルタ回路群2を除いたものが、電池監視装置11を構成している。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。
<π型/対地型フィルタ回路:通常経路,診断経路並行測定>
本実施形態では、フィルタ回路群2のタイプがπ型又は対地型である場合に、1つの単位セルについてAFE回路7U側で通常経路による電圧を測定するのに並行して、AFE回路7D側で診断経路による電圧を測定する場合を示す。
【0026】
図2は、下位側セル群1Dの単位セルI1~I12について、AFE回路7Uの差動入力端子に順次端子Vn,Vn-1を接続すると同時に、AFE回路7Dの差動入力端子に順次端子Sn+1,Snを接続する制御シーケンスを示す。この場合はn=1~12である。
【0027】
図3は、上位側セル群1Uの単位セルI13~I25について、AFE回路7Uの差動入力端子に順次端子Vn,Vn-1を接続すると同時に、AFE回路7Dの差動入力端子に順次端子Sn+1,Snを接続する制御シーケンスを示す。この場合はn=13~25である。
【0028】
図4以降では、制御回路10の図示を省略し、スイッチ素子をオンしている経路に太線を重ねて示す。薄い太線は通常経路を示し、濃い太線は診断経路を示す。
図4は、測定対象が単位セルI1である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V1,V0とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(D1)を介して行われる。また、診断経路;端子S2,S1とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3)を介して行われる。
【0029】
また、図示が煩雑になることを避けるため
図4にのみ破線で示すが、実際には、通常経路や診断経路の形成に関わらない極性反転スイッチ部6を構成するスイッチ素子9がフローティング状態になることを回避するため、マルチプレクサ4において端子S14,V13,S13,V12に繋がるスイッチ素子3もオンにしている。この場合に、各セル群1D,1Uにそれぞれ対応するマルチプレクサ4のスイッチ素子3を同期させて切り替えることで、下位側,上位側の極性反転スイッチ6に印加される電圧が低減されるので、これらに高耐圧のスイッチ素子を用いる必要がなく、各セル群1D,1Uのセル数に応じた耐圧を備えるスイッチ素子3を用いれば良い。
【0030】
図5は、測定対象が単位セルI12である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V12,V11とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(D1)を介して極性を反転させて行われる。また、診断経路;端子S13,S12とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3)を介して極性を反転させて行われる。
【0031】
図6は、測定対象が単位セルI13である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V13,V12とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して行われる。また、診断経路;端子S14,S13とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(U3)を介して行われる。
【0032】
図7は、測定対象が単位セルI24である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V24,V23とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して極性を反転させて行われる。また、診断経路;端子S25,S24とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(U3)を介して極性を反転させて行われる。
【0033】
図8は、測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V25,V24とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して行われる。また、診断経路;端子S26,S25とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(U3)を介して行われる。
【0034】
以上のように本実施形態によれば、25個の単位セルI1~I25を上位側セル群1Uと下位側セル群1Dとにグループ分けし、これらにフィルタ回路群2を介して電池監視装置11を接続する。電池監視装置11に、A/Dコンバータ8U,8Dを内蔵する上位側AFE回路7U,下位側AFE回路7Dを設ける。マルチプレクサ4を、一端が各単位セルの端子V,端子Sにそれぞれ接続され、他端が上位側及び下位側配線部5U及び5Dにおける配線VO,VE,SO,SEの何れかに接続される複数のスイッチ素子3で構成する。
【0035】
そして、分割配線部5とAFE回路7U及び7Dの差動入力端子IN(+),IN(-)との間に、複数のスイッチ素子9からなる6個の極性反転スイッチ6(U1)~6(D3)を配置する。これにより、上位側セル群1U,下位側セル群1Dで独立して電圧を測定できる。また、マルチプレクサ4と各極性反転スイッチ6との間に分割配線部5を配置し、各極性反転スイッチ6と共に用いることで、マルチプレクサ4を構成するスイッチ素子3の個数が増加することを抑制できる。
【0036】
この場合、AFE回路7Dに接続可能な上位側の極性反転スイッチ6(U3)と、AFE回路7Uに接続可能な下位側の極性反転スイッチ6(D1)とを設けることで、上位側及び下位側セル群1U及び1Dと、AFE回路7U及び7Dとの間の接続をより柔軟に切り替えることができ、通常経路と診断経路の同時検出が可能になる。
【0037】
そして、制御回路10は、マルチプレクサ4と極性反転スイッチ6とを制御することで、各単位セルI1~I25の電圧を検出する診断経路と、組電池1からAFE回路7までの経路中に故障が発生している際に前記電圧より降下した電圧を検出する通常経路とを切り替える。すなわち、フィルタ回路群2のタイプがπ型又は対地型である場合に、各経路によって測定した電圧を比較することで故障検知を行うことができる。
尚、通常経路で測定した電圧と、診断経路で測定した電圧とを比較することで検出する故障については、フィルタコンデンサのリークによるものだけでなく、その他マルチプレクサ4の故障や端子間の短絡故障等についても対応可能である。
【0038】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
<π型/対地型フィルタ回路:上位側,下位側通常経路並行測定>
図9に示すように第2実施形態は、フィルタ回路群2のタイプが同じくπ型又は対地型である場合に、AFE回路7D側で下位側セル群1Dについて通常経路による電圧を測定するのに並行して、AFE回路7U側で上位側セル群1Uについて通常経路による電圧を測定する場合を示す。AFE回路7Uの差動入力端子に上位側の端子Vn,Vn-1(n=13~25)を接続すると同時に、AFE回路7Dの差動入力端子に下位側の端子Vn,Vn-1(n=1~12)を接続する。薄い太線は上位側の通常経路を示し、濃い太線は下位側の通常経路を示す。このとき、同図に示すように、下位側セル群1D,上位側セル群1Uにそれぞれ対応するマルチプレクサ4のスイッチ素子3を、同期させて切り替える。
【0039】
図10は、測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V1,V0とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D2)を介して行われる。また、通常経路;端子V13,V12とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して行われる。
【0040】
図11は、測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V2,V1とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D2)を介して極性を反転させて行われる。また、通常経路;端子V14,V13とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して極性を反転させて行われる。
【0041】
図12は、測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V12,V11とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D2)を介して極性を反転させて行われる。また、通常経路;端子V24,V23とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して極性を反転させて行われる。
【0042】
図13は、測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V25,V24とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2)を介して行われる。
【0043】
以上のように第2実施形態によれば、フィルタ回路群2のタイプがπ型又は対地型である場合に、上位側セル群1U,下位側セル群1Dのそれぞれについて通常経路による電圧測定を並行して行うことができる。
【0044】
(第3実施形態)
<π型/対地型フィルタ回路:上位側,下位側診断経路並行測定>
図14に示すように第3実施形態は、フィルタ回路群2のタイプが同じくπ型又は対地型である場合に、AFE回路7D側で下位側セル群1Dについて診断経路による電圧を測定するのに並行して、AFE回路7U側で上位側セル群1Uについて診断経路による電圧を測定する場合を示す。AFE回路7Uの差動入力端子に上位側の端子Sn+1,Sn(n=13~25)を接続すると同時に、AFE回路7Dの差動入力端子に下位側の端子Sn+1,Sn(n=1~12)を接続する。薄い太線は上位側の診断経路を示し、濃い太線は下位側の診断経路を示す。
【0045】
図15は、測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S2,S1とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3)を介して行われる。また、診断経路;端子S14,S13とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1)を介して行われる。
【0046】
図16は、測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S3,S2とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3)を介して極性を反転させて行われる。また、診断経路;端子S15,S14とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1)を介して極性を反転させて行われる。
【0047】
図17は、測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S13,S12とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3)を介して極性を反転させて行われる。また、診断経路;端子S25,S24とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1)を介して極性を反転させて行われる。
【0048】
図18は、測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S26,S25とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1)を介して行われる。
【0049】
以上のように第3実施形態によれば、フィルタ回路群2のタイプがπ型又は対地型である場合に、上位側セル群1U,下位側セル群1Dのそれぞれについて診断経路による電圧測定を並行して行うことができる。
【0050】
(第4実施形態)
<単独RC型フィルタ回路:上位側,下位側通常経路並行測定>
図19に示すように第4実施形態は、フィルタ回路群2のタイプが単独RC型である場合に、AFE回路7D側で下位側セル群1Dについて通常経路による電圧を測定するのに並行して、AFE回路7U側で上位側セル群1Uについて通常経路による電圧を測定する場合を示している。下位側セル群1Dの単位セルI1~I12について、AFE回路7Dの差動入力端子に順次端子Vn,Sn(n=1~12)を接続すると同時に、AFE回路7Uの差動入力端子に順次端子Vn,Sn(n=13~25)を接続する。薄い太線は上位側の通常経路を示し、濃い太線は下位側の通常経路を示す。
【0051】
図20は、測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V1,S1とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D2),6(D3)を介して行われる。また、通常経路;端子V13,S13とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2),6(U1)を介して行われる。
【0052】
図21は、測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V2,S2とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D2),6(D3)を介して行われる。また、通常経路;端子V14,S14とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2),6(U1)を介して行われる。
【0053】
図22は、測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V12,S12とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D2),6(D3)を介して行われる。また、通常経路;端子V24,S24とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2),6(U1)を介して行われる。
【0054】
図23は、測定対象が単位セルI125である場合の接続経路を示す。この時、通常経路;端子V25,S25とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U2),6(U1)を介して行われる。
【0055】
以上のように第4実施形態によれば、フィルタ回路群2のタイプが単独RC型である場合に、上位側セル群1U,下位側セル群1Dのそれぞれについて通常経路による電圧測定を並行して行うことができる。
【0056】
(第5実施形態)
<単独RC型フィルタ回路:上位側,下位側診断経路並行測定>
図24に示すように第5実施形態は、フィルタ回路群2のタイプが同じく単独RC型である場合に、AFE回路7D側で下位側セル群1Dについて診断経路による電圧を測定するのに並行して、AFE回路7U側で上位側セル群1Uについて診断経路による電圧を測定する場合を示している。下位側セル群1Dの単位セルI1~I12について、AFE回路7Dの差動入力端子に順次端子Sn+1,Vn-1(n=1~12)を接続すると同時に、AFE回路7Uの差動入力端子に順次端子Sn+1,Vn-1(n=13~25)を接続する。薄い太線は上位側の診断経路を示し、濃い太線は下位側の診断経路を示す。
【0057】
図25は、測定対象が単位セルI1,I13である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S2,V0とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3),6(D2)を介して行われる。また、診断経路;端子S14,V12とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1),6(U2)を介して行われる。
【0058】
図26は、測定対象が単位セルI2,I14である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S3,V1とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3),6(D2)を介して行われる。また、診断経路;端子S15,V13とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1),6(U2)を介して行われる。
【0059】
図27は、測定対象が単位セルI12,I24である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S13,V11とAFE回路7Dとの接続は、極性反転スイッチ6(D3),6(D2)を介して行われる。また、診断経路;端子S25,V23とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1),6(U2)を介して行われる。
【0060】
図28は、測定対象が単位セルI25である場合の接続経路を示す。この時、診断経路;端子S26,V24とAFE回路7Uとの接続は、極性反転スイッチ6(U1),6(U2)を介して行われる。
【0061】
以上のように第5実施形態によれば、フィルタ回路群2のタイプが単独RC型である場合に、上位側セル群1U,下位側セル群1Dのそれぞれについて診断経路による電圧測定を並行して行うことができる。
【0062】
(第6実施形態)
<上位側,下位側AFE回路のオフセット電圧測定>
第6実施形態では、例えば
図29に示すように、極性反転スイッチ6(D2)のスイッチ素子9(3)及び9(4)を同時にオンにし、極性反転スイッチ6(U2)のスイッチ素子9(3)及び9(4)を同時にオンにすることで、AFE回路7D,7Uそれぞれの差動入力端子を短絡する。この時の電圧をA/Dコンバータ8D,8Uで測定すれば、AFE回路7D,7Uの入力オフセット電圧Vosが得られる。その後に測定した電圧よりオフセット電圧Vosを減じることで、オフセット分を除いた電圧を得ることができる。
【0063】
(第7実施形態)
図30に示す第7実施形態は、第1実施形態における組電池1の上位側セル群1Uを、下記のように上位側セル群1UU,下位側セル群1UDに分けると共に、下位側セル群1Dを上位側セル群1DU,下位側セル群1DDに分けている。
セル群 単位セル
1UU I19~125
1UD I13~I18
1DU I7~I12
1DD I1~I6
【0064】
そして、上位側セル群1UU,下位側セル群1UDに対して2つのAFE回路7UU,7UDを備える電池監視装置11Uを配置し、上位側セル群1DU,下位側セル群1DDに対して2つのAFE回路7DU,7DDを備える電池監視装置11Dを配置した構成を示す。同図では、フィルタ回路のタイプはπ型/対地型であり、上位側の電池監視装置11Uでは、単位セルI13の通常経路及び診断経路に接続しており、下位側の電池監視装置11Dでは、単位セルI1の通常経路及び診断経路に接続した状態を示している。
【0065】
(第8実施形態)
図31に示す第8実施形態は、フィルタ回路群2のフィルタ回路がπ型である場合に、通常経路である端子Vn-Vn-1間と診断経路である端子Sn+1-Sn間とで、RCフィルタの時定数が等しくなるように設定されている場合である。この時、リークの発生等の故障がなければ、通常経路,診断経路のそれぞれで測定される電圧は等しくなり、故障が発生している側の経路では、他方の経路よりも測定電圧が低くなる。同図では、通常経路においてフィルタコンデンサにリークが発生している場合を示しており、診断経路で測定されるセル電圧に対して、通常経路では(2ΔV)の電圧降下が生じる。このように構成すれば、通常経路,診断経路のそれぞれで外乱ノイズに対するRCフィルタの時定数が等しくなることで、測定精度をより向上させることができる。
【0066】
(その他の実施形態)
スイッチ素子は、NチャネルMOSFETに限ることはない。
A/Dコンバータ8D,8Uについては、例えば一方を低速で高精度の変換を行うモードで動作させ、他方を高速で低精度の変換を行うモードで動作させても良い。
組電池1を構成する単位セルの数は、25個に限らない。
第1実施形態で述べたように、通常経路や診断経路の形成に関わらない極性反転スイッチ部6を構成するスイッチ素子9がフローティング状態になることを回避するため、前記スイッチ素子9に接続されているマルチプレクサ4のスイッチ素子3を適宜オンにすれば良い。
極性反転スイッチ6(U3)を、上位側配線部5Uの配線SO,SEに替えて配線VO,VEに接続すると共に、極性反転スイッチ6(D1)を、下位側配線部5Dの配線VO,VEに替えて配線SO,SE接続しても良い。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0067】
図面中、1は組電池、1Uは上位側セル群、1Dは下位側セル群、2はフィルタ回路群、3はスイッチ素子、4はマルチプレクサ、5は分割配線部、6(U1~U3,D1~D3)は極性反転スイッチ部6、7U,7DはAFE回路、8U,8DはA/Dコンバータ、9はスイッチ素子、10は制御回路を示す。