(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175763
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】締結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20221117BHJP
F16B 39/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F16B5/02 E
F16B39/02 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082441
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】采女 貴寛
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001KA19
3J001KB06
(57)【要約】
【課題】組立時の作業性の向上が図られた、コネクタとPCU等の機器とを締結させる締結構造を提供すること。
【解決手段】コネクタ61と機器50とを締結させる締結構造であって、コネクタ61は、コネクタ側ネジ穴602を有し、機器50は、コネクタ側ネジ穴602よりも直径が大きい機器側ネジ穴502を有し、コネクタ側ネジ穴602に螺合可能な直径を有する締結ボルト65であって、機器50から機器側ネジ穴502を通して、コネクタ側ネジ穴602に螺合してコネクタ61と機器50とを締結させる締結ボルト65を備える締結構造である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと機器とを締結させる締結構造であって、
前記コネクタは、コネクタ側ネジ穴を有し、
前記機器は、前記コネクタ側ネジ穴よりも直径が大きい機器側ネジ穴を有し、
前記コネクタ側ネジ穴に螺合可能な直径を有する締結ボルトであって、前記機器から前記機器側ネジ穴を通して、前記コネクタ側ネジ穴に螺合して前記コネクタと前記機器とを締結させる締結ボルトを備える締結構造。
【請求項2】
前記コネクタ側ネジ穴に挿入不能であり且つ前記機器側ネジ穴に螺合可能な押出ボルトであって、前記機器から前記コネクタを取り外す際に、前記機器側ネジ穴に螺合されることにより前記コネクタを押し出して取り外し可能な押出ボルトを備える請求項1に記載の締結構造。
【請求項3】
コネクタと機器とを締結させる締結構造であって、
前記コネクタに固定された締結ボルトを備え、
前記機器は、
前記締結ボルトよりも直径が大きいスルーホールと、
前記スルーホールよりも直径が大きい機器側ネジ穴と、
前記スルーホールよりも外径が大きく前記機器側ネジ穴よりも外径が小さいナットと、を有し、
前記締結ボルトは、前記機器側ネジ穴に配置された前記ナットに、前記スルーホールを通して螺合して前記コネクタと前記機器とを締結させる締結構造。
【請求項4】
前記スルーホールに挿入不能であり且つ前記機器側ネジ穴に螺合可能な押出ボルトであって、前記機器から前記コネクタを取り外す際に、前記機器側ネジ穴に螺合されることにより前記コネクタを押し出して取り外し可能な押出ボルトを備える請求項3に記載の締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、モータの駆動力により走行する、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両が知られている(例えば、特許文献1)。電動車両は、搭載されるバッテリの電力がモータに伝達されることで、モータが駆動され走行する。モータは、パワーコントロールユニット(PCU)によりモータへ供給される電力が適切に制御されることにより、電動車両が走行するように適切に駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両においては、バッテリが車両の後部に配置され、PCUが車両の前部に配置される構成とされる場合がある。このような場合には、バッテリとPCUとを電気的に接続するケーブルを短くするために、ケーブルの端部に設けられたコネクタを、PCUの後部に設けられたPCU側のコネクタに電気的に接続するように配置する構成が考えられる。
【0005】
しかし、PCUの後部にコネクタを配置すると、車両衝突時(事故時)に、PCUの後方に配置されているダッシュパネルとPCUとによって、コネクタに電気的に接続されているケーブルが潰されないようにすることを考慮する必要があり、このため、PCU側のコネクタに接続されたケーブル側のコネクタから、ケーブルが下向きに延びるように配置して、衝突時対策をとる必要がある。
【0006】
しかし、この場合、車両の前後方向において、コネクタとダッシュパネルとの距離が短くスペースが少ないため、PCU側のコネクタの下側から、ケーブル側のコネクタを上方向に向けて接続しなくてはならないため、組立時の作業性の向上が求められていた。
本発明は、組立時の作業性の向上が図られた、コネクタとPCU等の機器とを締結させる締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、コネクタ(例えば、後述のケーブル側コネクタ61)と機器(例えば、後述のPCU50)とを締結させる締結構造であって、前記コネクタは、コネクタ側ネジ穴(例えば、後述のコネクタ側ネジ穴602)を有し、前記機器は、前記コネクタ側ネジ穴よりも直径が大きい機器側ネジ穴(例えば、後述の機器側ネジ穴502)を有し、前記コネクタ側ネジ穴に螺合可能な直径を有する締結ボルト(例えば、後述の締結ボルト65)であって、前記機器から前記機器側ネジ穴を通して、前記コネクタ側ネジ穴に螺合して前記コネクタと前記機器とを締結させる締結ボルトを備える締結構造を提供する。
【0008】
本発明によれば、機器は、コネクタ側ネジ穴よりも直径が大きい機器側ネジ穴を有しているため、締結ボルトを、機器側ネジ穴に螺合させずにコネクタ側ネジ穴に螺合させることにより、コネクタと機器とを締結することができる。このため、車両上側からの組み付けに対応したコネクタとすることができ、かつ簡素な構成で機器に対するコネクタの離脱構造とすることが可能となるため、コスト低減が可能であり、組立時の作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0009】
そして、締結構造は、前記コネクタ側ネジ穴に挿入不能であり且つ前記機器側ネジ穴に螺合可能な押出ボルト(例えば、後述の押出ボルト55)であって、前記機器から前記コネクタを取り外す際に、前記機器側ネジ穴に螺合されることにより前記コネクタを押し出して取り外し可能な押出ボルトを備える。
【0010】
このため、機器側ネジ穴に押出ボルトを螺合させることにより、コネクタを機器から押し出して、取り外すことが可能となる。これにより、機器側から、コネクタを機器に対して取り外すことが可能となり、組立時にコネクタを機器から取り外す際の作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0011】
また、本発明は、コネクタ(例えば、後述のケーブル側コネクタ61)と機器(例えば、後述のPCU50)とを締結させる締結構造であって、前記コネクタに固定された締結ボルト(例えば、後述の締結ボルト65A)を備え、前記機器は、前記締結ボルトよりも直径が大きいスルーホール(例えば、後述のスルーホール504A)と、前記スルーホールよりも直径が大きい機器側ネジ穴(例えば、後述の機器側ネジ穴502A)と、前記スルーホールよりも外径が大きく前記機器側ネジ穴よりも外径が小さいナット(例えば、後述のナット67A)と、を有し、前記締結ボルトは、前記機器側ネジ穴に配置された前記ナットに、前記スルーホールを通して螺合して前記コネクタと前記機器とを締結させる締結構造を提供する。
【0012】
本発明によれば、締結ボルトをコネクタに固定しておくことができるため、コネクタに締結ボルトを仕込んだ構成とすることができる。このため、コネクタを作業者が手で押さえた状態で組み付ける必要がなくなり、組み立て作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0013】
そして、締結構造は、前記スルーホールに挿入不能であり且つ前記機器側ネジ穴に螺合可能な押出ボルト(例えば、後述の押出ボルト55A)であって、前記機器から前記コネクタを取り外す際に、前記機器側ネジ穴に螺合されることにより前記コネクタを押し出して取り外し可能な押出ボルトを備える。
【0014】
このため、機器側ネジ穴に押出ボルトを螺合させることにより、コネクタを機器から押し出して、取り外すことが可能となる。これにより、機器側から、コネクタを機器に対して取り外すことが可能となり、組立時にコネクタを機器から取り外す際の作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、組立時の作業性の向上が図られた、コネクタとPCU等の機器とを締結させる締結構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る締結構造が設けられる車両の前部のエンジンルームを示す説明図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る締結構造の機器側コネクタとPCUとDCケーブルと走行モータとトランスミッションとの位置関係を示す説明図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る締結構造が設けられる車両の前部のエンジンルームにおける、走行モータとトランスミッションとPCUとダッシュパネルとの位置関係を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る締結構造において機器側コネクタとケーブル側コネクタとが締結される前の状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る締結構造において機器側コネクタとケーブル側コネクタとが締結された状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る締結構造において機器側コネクタとケーブル側コネクタとが締結された後に、締結ボルトが外され、押出ボルトが螺合している状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る締結構造において押出ボルトがケーブル側コネクタを押出している状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る締結構造において機器側コネクタとケーブル側コネクタとが締結される前の状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る締結構造において機器側コネクタとケーブル側コネクタとが締結された状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る締結構造において機器側コネクタとケーブル側コネクタとが締結された後に、締結ボルトが外され、押出ボルトが螺合される前の状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る締結構造において押出ボルトがケーブル側コネクタを押出している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、車両の前部のエンジンルームを示す説明図である。
図2は、機器側コネクタ51とPCU50とDCケーブル60と走行モータ30とトランスミッション40との位置関係を示す説明図である。
図3は、車両の前部のエンジンルームにおける、走行モータ30とトランスミッション40とPCU50とダッシュパネル12との位置関係を示す説明図である。
【0018】
各図において、矢印Frは車体前方向を示し、矢印Rrは車体後方向を示し、矢印Upは車体上方向を示し、矢印Lは車幅方向左方向を示し、矢印Rは車幅方向右方向を示す。なお、各図において、説明の都合上、部品の図示を適宜省略する。
【0019】
図1に示すように、車両のエンジンルームを有する車体前部10は、左右一対のフロントサイドフレーム11等を備えている。左右一対のフロントサイドフレーム11は、それぞれ、車体の前後方向に向けて延びるように車幅方向の左右に設けられている。これら左右一対のフロントサイドフレーム11は、それぞれ、フロントサイドフレーム11の前端に設けられた図示しないバンパービームブラケットを介して、図示しないバンパービームの左右後部に接続される。
【0020】
フロントサイドフレーム11の後方には、前後方向を向くように配置されてエンジンルームと車室とを前後に区切るダッシュパネル12が設けられている。ダッシュパネル12の前側には、エンジン20と、走行モータ30及びトランスミッション40と、電力制御装置であるパワーコントロールユニット(以下「PCU」という)50と、が設けられている。エンジン20と、走行モータ30及びトランスミッション40は、フロントサイドフレーム11に懸架されている。PCU50は、
図2、
図3に示すように、走行モータ30及びトランスミッション40の上方に配置されている。
【0021】
エンジン20は、図示しないエンジン電子制御装置からの指令に基づいて駆動する。走行モータ30は、PCU50を介して図示しない高圧バッテリから供給される電力により駆動力を発生させ、駆動力によりトランスミッション40を介して図示しない車輪を回転させる。走行モータ30は、回生を行うことにより生成した電力を、PCU50に配置された機器側コネクタ51と、ケーブル側コネクタ61と、DCケーブル60とを通して、車両の後部に配置された図示しない高圧バッテリ等に出力する。
【0022】
次に、締結構造の詳細について説明する。
図4は、締結構造において機器側コネクタ51とケーブル側コネクタ61とが締結される前の状態を示す断面図である。
図5は、締結構造において機器側コネクタ51とケーブル側コネクタ61とが締結された状態を示す断面図である。
図6は、締結構造において機器側コネクタ51とケーブル側コネクタ61とが締結された後に、締結ボルト65が外され、押出ボルト55が螺合している状態を示す断面図である。
図7は、締結構造において押出ボルト55がケーブル側コネクタ61を押出している状態を示す断面図である。
【0023】
締結構造は、図示しない高圧バッテリからの電力を供給するDCケーブル60の端部に設けられたケーブル側コネクタ61(
図4等参照)と、機器としてのPCU50の後側に設けられた機器側コネクタ51とを締結するための締結構造である。
【0024】
機器側コネクタ51は、
図4等に示すように、車両の下方向、より具体的には斜め後側下方向に向けて機器側コネクタ51の端子部分が開口するように、PCU50の筐体501に固定されて支持されている。このため、ケーブル側コネクタ61の端子部分は、車両の上側に向かって機器側コネクタ51の端子部分に挿入されて、端子同士が電気的に接続されるように構成されている。
【0025】
機器側コネクタ51が固定されている筐体501の部分に隣接する部分には、機器側コネクタ51の軸心方向に平行に筐体501を貫通する貫通孔である機器側ネジ穴502が形成されている。
【0026】
ケーブル側コネクタ61は、コネクタ筐体601により取り囲まれるように保持されている。コネクタ筐体601の一部は、機器側ネジ穴502が形成されている筐体501の部分に平行に延びる被締結部603を有しており、被締結部603には、ケーブル側コネクタ61の軸心方向に平行に被締結部603を貫通する貫通孔であるコネクタ側ネジ穴602が形成されている。
【0027】
機器側ネジ穴502は、コネクタ側ネジ穴602よりも直径が大きい。後述のように、機器側コネクタ51の端子部分にケーブル側コネクタ61の端子部分を挿入して、端子同士を電気的に接続したときに、機器側ネジ穴502とコネクタ側ネジ穴602とは、同軸的に配置される位置関係を有している。
【0028】
コネクタ側ネジ穴602には、PCU50へのケーブル側コネクタ61への締結時には、コネクタ側ネジ穴602に螺合可能な直径を有する締結ボルト65が螺合する。締結ボルト65の直径は、機器側ネジ穴502の直径よりも小さいため、締結ボルト65が機器側ネジ穴502に挿入されたときには、螺合していない状態となる。コネクタ側ネジ穴602よりも直径が大きい機器側ネジ穴502には、ケーブル側コネクタ61を機器側コネクタ51から取り外すときに、機器側ネジ穴502に螺合可能でありコネクタ側ネジ穴602に挿入不能な直径を有する押出ボルト55(
図6等参照)が螺合する。
【0029】
次に、ケーブル側コネクタ61の、PCU50の機器側コネクタ51への締結について説明する。
先ず、ケーブル側コネクタ61を、
図4における矢印Aに示すように、機器側コネクタ51の下側から機器側コネクタ51に対して接近させるとともに、被締結部603を筐体501の下側から筐体501に対して接近させてゆく。そして、機器側コネクタ51の端子部分にケーブル側コネクタ61の端子部分を挿入して、端子同士を電気的に接続するとともに、筐体501に被締結部603当接させるか又は近接した状態で対向させる。
【0030】
次に、
図4において矢印Bで示すように締結ボルト65を、機器側ネジ穴502に挿入してゆき、
図5に示すように、機器側ネジ穴502を通してコネクタ側ネジ穴602に螺合させる。これにより、機器側コネクタ51の端子とケーブル側コネクタ61の端子とが電気的に接続された状態で、被締結部603が筐体501に対して締結され固定される。被締結部603が筐体501に対して締結されているときには、締結ボルト65の直径は機器側ネジ穴502の直径よりも小さいため、締結ボルト65は、機器側ネジ穴502には螺合していない通された状態とされる。
【0031】
次に、PCU50の機器側コネクタ51に締結されたケーブル側コネクタ61の取り外しについて説明する。
先ず、
図5に示すように締結ボルト65がコネクタ側ネジ穴602に螺合している状態から、締結ボルト65を緩めて取り外す。次に、
図6において矢印Cで示すように、押出ボルト55を機器側ネジ穴502に螺合させてゆく。
【0032】
そして、押出ボルト55がねじ込まれ続けて機器側ネジ穴502を貫通すると、押出ボルト55の先端部が被締結部603に当接する。そして更に、押出ボルト55をねじ込んでゆくと、
図6において矢印Dで示すように、押出ボルト55の先端部が被締結部603を下方向へ押してゆき、
図7に示すように、被締結部603が筐体501から、筐体501の下方へ離れてゆく。これに伴い、機器側コネクタ51に対してケーブル側コネクタ61が機器側コネクタ51の下方へ押し出されて離れてゆき、機器側コネクタ51の端子とケーブル側コネクタ61の端子との電気的な接続が解除され、機器側コネクタ51からケーブル側コネクタ61が取り外される。
【0033】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、ケーブル側コネクタ61とPCU50とを締結させる締結構造におけるケーブル側コネクタ61は、コネクタ側ネジ穴602を有し、PCU50は、コネクタ側ネジ穴602よりも直径が大きい機器側ネジ穴502を有し、コネクタ側ネジ穴602に螺合可能な直径を有する締結ボルト65であって、PCU50から機器側ネジ穴502を通して、コネクタ側ネジ穴602に螺合してケーブル側コネクタ61とPCU50とを締結させる締結ボルト65を備える。
【0034】
これにより、PCU50は、コネクタ側ネジ穴602よりも直径が大きい機器側ネジ穴502を有しているため、機器側ネジ穴502に締結ボルト65を螺合させずに、コネクタ側ネジ穴602に螺合させることにより、ケーブル側コネクタ61とPCU50とを締結することができる。このため、車両上側からの組み付けに対応したケーブル側コネクタ61とすることができ、かつ簡素な構成で機器に対するケーブル側コネクタ61の離脱構造とすることが可能となるため、コスト低減が可能であり、組立時の作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0035】
また、締結構造は、コネクタ側ネジ穴602に挿入不能であり且つ機器側ネジ穴502に螺合可能な押出ボルト55であって、PCU50からケーブル側コネクタ61を取り外す際に、機器側ネジ穴502に螺合されることによりケーブル側コネクタ61を押し出して取り外し可能な押出ボルト55を備える。
【0036】
これにより、機器側ネジ穴502に押出ボルト55を螺合させることにより、ケーブル側コネクタ61をPCU50から押し出して、取り外すことが可能となる。これにより、ケーブル側コネクタ61に対して上側に位置しているPCU50の側から、ケーブル側コネクタ61をPCU50に対して取り外すことが可能となり、組立時にケーブル側コネクタ61をPCU50から取り外す際の作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る締結構造においては、締結ボルト65Aが被締結部603Aに固定されている点、及び、筐体501Aにスルーホール504Aが形成されている点で、第1実施形態に係る締結構造とは異なる。なお、第2実施形態における機器側コネクタ及びケーブル側コネクタは、第1実施形態における機器側コネクタ51及びケーブル側コネクタ61と同一であるため、
図8~
図11においては、図示を省略し、説明についても省略する。
【0038】
図8は、締結構造において機器側コネクタ51(
図4等参照)とケーブル側コネクタ61(
図4等参照)とが締結される前の状態を示す断面図である。
図9は、締結構造において機器側コネクタ51とケーブル側コネクタ61とが締結された状態を示す断面図である。
図10は、締結構造において機器側コネクタ51とケーブル側コネクタ61とが締結された後に、締結ボルト65Aが外され、押出ボルト55Aが螺合される前の状態を示す断面図である。
図11は、締結構造において押出ボルト55Aがケーブル側コネクタ61を押出している状態を示す断面図である。
【0039】
図8等に示すように、筐体501Aには、機器側ネジ穴502Aとスルーホール504Aとが接続されて構成される貫通孔が形成されている。貫通孔の上側の部分は、押出ボルト55Aが螺合可能な機器側ネジ穴502Aにより構成されており、貫通孔の下側の部分は、スルーホール504Aにより構成されている。スルーホール504Aは締結ボルト65Aよりも直径が大きい。
【0040】
機器側ネジ穴502Aは、スルーホール504Aよりも直径が大きい。後述のように、機器側コネクタ51の端子部分にケーブル側コネクタ61の端子部分を挿入して、端子同士を電気的に接続したときに、機器側ネジ穴502Aと、スルーホール504Aと、コネクタ側ネジ穴602Aとは、同軸的に配置される位置関係を有している。
【0041】
押出ボルト55A、及び、締結ボルト65Aに螺合するナット67Aは、スルーホール504Aへ挿入不能である。ナット67Aは、スルーホール504Aよりも外径が大きく機器側ネジ穴502Aよりも外径が小さい。このため、ナット67Aは、機器側ネジ穴502Aに挿入可能である。
【0042】
被締結部603Aに形成されているコネクタ側ネジ穴602Aには、締結ボルト65Aが下側から上側へ向かって挿入されており、締結ボルト65Aは、コネクタ側ネジ穴602Aの上側開口の周囲に形成された凹部に嵌合して設けられたCリング66Aの内周面の雌ねじに螺合している。これにより、締結ボルト65Aは、被締結部603Aに固定されている。締結ボルト65Aが、機器側ネジ穴502Aに挿入されたナット67Aに螺合することにより、ケーブル側コネクタ61は、PCUの機器側コネクタ51に締結される。被締結部603Aが筐体501Aに対して締結されているときには、締結ボルト65Aの直径はスルーホール504Aの直径よりも小さいため、締結ボルト65Aは、スルーホール504Aを形成している筐体501Aの部分に接触していない状態で通された状態とされる。
【0043】
次に、ケーブル側コネクタ61の、PCUの機器側コネクタ51への締結について説明する。
先ず、ケーブル側コネクタ61(
図4等参照)を、機器側コネクタ51(
図4等参照)の下側から機器側コネクタ51に対して接近させるとともに、被締結部603Aを筐体501Aの下側から筐体501Aに対して接近させてゆく。また、ナット67Aを、機器側ネジ穴502Aの上側の開口から機器側ネジ穴502A内に入れて、機器側ネジ穴502Aとスルーホール504Aとが接続されている部分を形成している筐体501Aの段差の部分に配置する。
【0044】
次に、締結ボルト65Aをスルーホール504Aに挿入してゆく。そして、機器側コネクタ51の端子部分にケーブル側コネクタ61の端子部分を挿入して、端子同士を電気的に接続する。これにより、ケーブル側コネクタ61は、機器側コネクタ51に接続されて支持された状態となる。
【0045】
この状態で、締結を行う作業者が手でケーブル側コネクタ61を支持せずに、ナット67Aを締結ボルト65Aの先端部に螺合させる。これにより、締結ボルト65Aの先端は、スルーホール504Aを通してナット67Aに螺合することにより機器側ネジ穴502A内に位置する。これにより、機器側コネクタ51の端子とケーブル側コネクタ61の端子とが電気的に接続された状態で、被締結部603Aが筐体501Aに対して締結され固定される。
【0046】
次に、PCU50の機器側コネクタ51に締結されたケーブル側コネクタ61の取り外しについて説明する。
先ず、
図9に示すように締結ボルト65Aの先端部がナット67Aに螺合している状態から、ナット67Aを緩めて取り外す。次に、
図10において矢印Eで示すように、押出ボルト55Aを機器側ネジ穴502Aに螺合させてゆく。
【0047】
そして、押出ボルト55Aをねじ込んでゆくと、押出ボルト55Aの先端部が締結ボルト65Aの先端部に当接する。そして更に押出ボルト55Aをねじ込んでゆくと、
図11に示すように、押出ボルト55Aが締結ボルト65Aを下方向へ押してゆき、被締結部603Aが筐体501Aから、筐体501Aの下方へ離れてゆく。これに伴い、機器側コネクタ51に対してケーブル側コネクタ61が機器側コネクタ51の下方へ押し出されて離れてゆき、機器側コネクタ51の端子とケーブル側コネクタ61の端子との電気的な接続が解除され、機器側コネクタ51からケーブル側コネクタ61が取り外される。
【0048】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、ケーブル側コネクタ61とPCU50とを締結させる締結構造は、ケーブル側コネクタ61に固定された締結ボルト65Aを備え、PCU50は、締結ボルト65Aよりも直径が大きいスルーホール504Aと、スルーホール504Aよりも直径が大きい機器側ネジ穴502Aと、スルーホール504Aよりも外径が大きく機器側ネジ穴502Aよりも外径が小さいナット67Aと、を有し、締結ボルト65Aは、機器側ネジ穴502Aに配置されたナット67Aに、スルーホール504Aを通して螺合してケーブル側コネクタ61とPCU50とを締結させる。
【0049】
これにより、締結ボルト65Aをケーブル側コネクタ61に固定しておくことができるため、ケーブル側コネクタ61に締結ボルト65Aを仕込んだ構成とすることができ、ケーブル側コネクタ61を手で押さえた状態で組み付ける必要がなくなり、組み立て作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0050】
また、締結構造は、スルーホール504Aに挿入不能であり且つ機器側ネジ穴502Aに螺合可能な押出ボルト55Aであって、PCU50からケーブル側コネクタ61を取り外す際に、機器側ネジ穴502Aに螺合されることによりケーブル側コネクタ61を押し出して取り外し可能な押出ボルト55Aを備える。
【0051】
これにより、機器側ネジ穴502Aに押出ボルト55Aを螺合させることにより、ケーブル側コネクタ61をPCU50から押し出して、取り外すことが可能となる。これにより、PCU50側から、ケーブル側コネクタ61をPCU50に対して取り外すことが可能となり、組立時にケーブル側コネクタ61をPCU50から取り外す際の作業性の向上が図られた締結構造とすることが可能となる。
【0052】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、本実施形態では、機器はPCU50であったが、これに限定されない。
また、本実施形態では、機器側コネクタ51の下側にケーブル側コネクタ61が位置していたが、この構成に限定されず、例えば、機器側コネクタの上側にケーブル側コネクタが位置していてもよい。
また、本実施形態では、機器側ネジ穴502とコネクタ側ネジ穴602とは、同軸的に配置される位置関係を有しており、機器側ネジ穴502Aと、スルーホール504Aと、コネクタ側ネジ穴602Aとは、同軸的に配置される位置関係を有していたが、この構成に限定されない。例えば、機器側ネジ穴502には、締結ボルト65が挿入可能であればよく、また、スルーホール504A及び機器側ネジ穴502Aには、締結ボルト65Aが挿入可能であればよい。
【符号の説明】
【0053】
50…PCU(機器)
55、55A…押出ボルト
61…ケーブル側コネクタ(コネクタ)
65、65A…締結ボルト
67A…ナット
502、502A…機器側ネジ穴
504A…スルーホール
602…コネクタ側ネジ穴