(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175771
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ワークフロー作成・変更支援システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/10 20180101AFI20221117BHJP
【FI】
G06F8/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082457
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 理教
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BA04
5B376BC08
(57)【要約】
【課題】ワークフローチャート作成・変更の効率を向上させる。
【解決手段】ワークフロー作成支援システムは、業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報、および規定情報で定められた規定が満たされていないときのユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を予め記憶する記憶部2と、ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更するフローチャート描画部3と、ユーザの操作が規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定する規定未達判定部4と、ユーザの操作が規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、規定を満たしていないことを規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知する規定未達通知部5を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報、および前記規定情報で定められた規定が満たされていないときのユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を予め記憶するように構成された記憶部と、
ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更するように構成されたフローチャート描画部と、
前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定するように構成された規定未達判定部と、
前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、規定を満たしていないことを前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知するように構成された規定未達通知部とを備えることを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項2】
請求項1記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記規定未達通知部は、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うことを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項3】
請求項2記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記規定未達通知部は、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所に加えて、前記ワークフローチャートの描画領域全体において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うことを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記フローチャート描画部は、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更することを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項5】
請求項4記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記フローチャート描画部は、前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていると判定された場合に、前記ブロックの配置先の位置の表示を変更することで、規定を満たしていることをユーザに通知することを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項6】
請求項4または5記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記フローチャート描画部は、前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定され、かつユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否することを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項7】
業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報、および前記規定情報で定められた規定が満たされていないときのユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を予め記憶するように構成された記憶部と、
ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更するように構成されたフローチャート描画部と、
前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定するように構成された規定未達判定部とを備え、
前記フローチャート描画部は、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更し、ユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否することを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記規定未達時表示情報は、ユーザ別またはユーザ共通で予め設定され、
前記規定未達通知部は、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、このユーザに対応する前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザへの通知を行うことを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記ワークフローチャートに配置された、業務で発生する処理を表象するブロックをユーザが選択してアプリケーションを呼び出す操作をしたときに、選択されたブロックによって表象される処理で利用するアプリケーションを、前記規定情報に基づいて呼び出すように構成されたフローチャート実行部をさらに備えることを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援システムにおいて、
前記規定情報を予め作成するように構成された規定登録部と、
前記規定未達時表示情報を予め作成するように構成された規定未達時表示登録部とをさらに備えることを特徴とするワークフロー作成・変更支援システム。
【請求項11】
業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報を参照し、ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定する第1のステップと、
前記ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更する第2のステップと、
前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、ユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を参照し、規定を満たしていないことを前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知する第3のステップとを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項12】
請求項11記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記第3のステップは、前記第1のステップで前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項13】
請求項12記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記第3のステップは、前記第1のステップで前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所に加えて、前記ワークフローチャートの描画領域全体において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記第2のステップは、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更するステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項15】
請求項14記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記第2のステップは、前記第1のステップで前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていると判定した場合に、前記ブロックの配置先の位置の表示を変更することで、規定を満たしていることをユーザに通知するステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項16】
請求項14または15記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記第2のステップは、前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定され、かつユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否するステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項17】
業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報を参照し、ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定する第1のステップと、
前記ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更する第2のステップとを含み、
前記第2のステップは、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更し、ユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否するステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記規定未達時表示情報は、ユーザ別またはユーザ共通で予め設定され、
前記第3のステップは、前記第1のステップで前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、このユーザに対応する前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザへの通知を行うステップを含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記ワークフローチャートに配置された、業務で発生する処理を表象するブロックをユーザが選択してアプリケーションを呼び出す操作をしたときに、選択されたブロックによって表象される処理で利用するアプリケーションを、前記規定情報に基づいて呼び出す第4のステップをさらに含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【請求項20】
請求項11乃至19のいずれか1項に記載のワークフロー作成・変更支援方法において、
前記規定情報を予め作成する第5のステップと、
前記規定未達時表示情報を予め作成する第6のステップとをさらに含むことを特徴とするワークフロー作成・変更支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークフローチャート作成・変更の効率を向上させることができるワークフロー作成・変更支援システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顧客の現場作業や作業手順をワークフローチャートで記載することがある。ワークフローチャートは、処理(主に図形)と流れ(ライン、矢印)で構成される。顧客の要件を開発者がモデル化し共有化することを補助する技術として、特許文献1に開示された業務モデル図作成支援プログラムがある。
【0003】
ワークフローチャートは、例えば特許文献1に開示されたようなアプリケーションを利用して作成される。ワークフローチャート作成時には、業務に合わせた規定(必須項目、構成順番や個数など)がある。規定は別資料(規程)としてまとめられ、文書として作成され、複数の作業者(ワークフローチャートの作成者やレビューをするレビューアなど)間で共有される。必要に応じて、規程を参照しながらワークフローチャートを作成することになる。
【0004】
アプリケーションを連携して業務を実施する際に、呼び出すアプリケーションに必要な情報を含めて、汎用ソフトウェアを利用してワークフローチャートを作成しても、実作業時にはそのアプリケーションを個別に起動しなければならない。特許文献1に開示された技術では、汎用の描画ソフトウェアで書かれたワークフローチャートを解析して、別ソフトウェアでワークフローチャートが規定にあっているかを確認するが、ワークフローチャートから外部アプリケーションを呼び出すことはできない。
【0005】
また、特許文献1に開示された技術では、ワークフローチャートの図形とライン接続方法について、決められたルールに従っているかを検証するが、ユーザからの検証指示に従ってワークフローチャートが規定にあっているかを検証する。したがって、特許文献1に開示された技術では、ユーザの描画操作と同時にリアルタイムで検証することができないため、ユーザが検証指示を出すまで間違ったワークフローチャートを作成してしまう可能性があり、検証後にワークフローチャートを修正する手間が発生してしまう可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ワークフローチャート作成・変更にかかる作業時間を減らし、ワークフローチャート作成・変更の効率を向上させることができるワークフロー作成・変更支援システムおよび方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ワークフローチャート上で業務に利用するアプリケーションを呼び出すことが可能なワークフロー作成・変更支援システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワークフロー作成・変更支援システムは、業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報、および前記規定情報で定められた規定が満たされていないときのユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を予め記憶するように構成された記憶部と、ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更するように構成されたフローチャート描画部と、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定するように構成された規定未達判定部と、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、規定を満たしていないことを前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知するように構成された規定未達通知部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例において、前記規定未達通知部は、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うことを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例において、前記規定未達通知部は、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所に加えて、前記ワークフローチャートの描画領域全体において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例において、前記フローチャート描画部は、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更することを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例において、前記フローチャート描画部は、前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていると判定された場合に、前記ブロックの配置先の位置の表示を変更することで、規定を満たしていることをユーザに通知することを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例において、前記フローチャート描画部は、前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定され、かつユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムは、業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報、および前記規定情報で定められた規定が満たされていないときのユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を予め記憶するように構成された記憶部と、ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更するように構成されたフローチャート描画部と、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定するように構成された規定未達判定部とを備え、前記フローチャート描画部は、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更し、ユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否することを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例において、前記規定未達時表示情報は、ユーザ別またはユーザ共通で予め設定され、前記規定未達通知部は、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、このユーザに対応する前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザへの通知を行うことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例は、前記ワークフローチャートに配置された、業務で発生する処理を表象するブロックをユーザが選択してアプリケーションを呼び出す操作をしたときに、選択されたブロックによって表象される処理で利用するアプリケーションを、前記規定情報に基づいて呼び出すように構成されたフローチャート実行部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援システムの1構成例は、前記規定情報を予め作成するように構成された規定登録部と、前記規定未達時表示情報を予め作成するように構成された規定未達時表示登録部とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法は、業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報を参照し、ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定する第1のステップと、前記ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更する第2のステップと、前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、ユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を参照し、規定を満たしていないことを前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知する第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例において、前記第3のステップは、前記第1のステップで前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例において、前記第3のステップは、前記第1のステップで前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、前記ワークフローチャート上の前記規定を満たしていない箇所に加えて、前記ワークフローチャートの描画領域全体において、前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によって前記ユーザへの通知を行うステップを含むことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例において、前記第2のステップは、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記第1のステップで前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていると判定した場合に、前記ブロックの配置先の位置の表示を変更することで、規定を満たしていることをユーザに通知するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記ブロックを前記画面上の描画領域に移動させる前記ユーザの操作、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除させる前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定され、かつユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否するステップを含むことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法は、業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報を参照し、ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定する第1のステップと、前記ユーザの操作に応じて画面上にワークフローチャートを作成するか、または画面上のワークフローチャートを変更する第2のステップとを含み、前記第2のステップは、業務で発生する処理を表象するブロックを前記規定情報に基づいて前記画面上のパレット領域に表示し、前記ユーザの操作に応じて前記ブロックを前記画面上の描画領域に配置することで前記ワークフローチャートを作成・変更するか、または前記描画領域に配置済みの前記ブロックを移動または削除することで前記ワークフローチャートを変更し、ユーザの操作対象の前記ブロックの配置、移動または削除が前記規定情報で不可とされている場合に、このブロックの配置、移動または削除を拒否するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例において、前記規定未達時表示情報は、ユーザ別またはユーザ共通で予め設定され、前記第3のステップは、前記第1のステップで前記ユーザの操作が前記規定情報で定められた規定を満たしていないと判定した場合に、このユーザに対応する前記規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザへの通知を行うステップを含むことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例は、前記ワークフローチャートに配置された、業務で発生する処理を表象するブロックをユーザが選択してアプリケーションを呼び出す操作をしたときに、選択されたブロックによって表象される処理で利用するアプリケーションを、前記規定情報に基づいて呼び出す第4のステップをさらに含むことを特徴とするものである。
また、本発明のワークフロー作成・変更支援方法の1構成例は、前記規定情報を予め作成する第5のステップと、前記規定未達時表示情報を予め作成する第6のステップとをさらに含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、規定未達判定部と規定未達通知部とを設け、記憶部に規定情報と規定未達時表示情報とを予め登録しておくことにより、ユーザがワークフローチャートを規定に従って作成・変更できているかをユーザの描画操作と同時にリアルタイムで確認できるようにしたので、ワークフローチャート作成・変更にかかる作業時間を減らし、ワークフローチャート作成・変更の効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明では、ユーザ別に規定未達時表示情報を設定しておくことにより、ユーザ別に作り変えられたインタフェースを実現することができ、ユーザの満足度を向上させることができる。また、本発明では、多くの人が利用し易いユニバーサルデザイン対応を実現することができる。
【0020】
また、本発明では、フローチャート実行部を設けることにより、ワークフローチャート上で業務に利用するアプリケーションを呼び出すことができ、アプリケーションを立ち上げる時間と手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムの規定定義部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、ワークフローチャートを作成・変更する作業者の処理とワークフロー作成・変更支援システムの処理とを含むワークフローチャート作成・変更処理の流れを示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成画面の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成画面の例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成・変更方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成・変更方法を説明する図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施例における規定未達時の表示例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施例における規定未達時の表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムのフローチャート実行部の動作を説明するフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施例における規定未達時の表示例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3の実施例における規定未達時の表示例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第1~第3の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムを実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の原理]
本発明では、実行アプリケーションを含む特殊なフローチャート描画アプリケーションを用いて、業務のフローチャートを作成・変更する。フローチャートを、図形にラインが結線される形で表現する。図形またはライン上に処理を配置し、フローチャートを作成・変更していく。これにより、図形とラインの結線にかかる確認・修正時間を軽減し、規定に違反したフローチャートの作成・変更を制限する。
【0023】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムの構成を示すブロック図である。ワークフロー作成・変更支援システムは、規定定義部1と、記憶部2と、フローチャート描画部3と、規定未達判定部4と、規定未達通知部5と、フローチャート実行部6と、表示装置7と、キーボードやマウス等の入力装置8とを備えている。
【0024】
フローチャート描画部3と規定未達判定部4と規定未達通知部5とフローチャート実行部6と表示装置7と入力装置8とは、ワークフロー作成・変更支援装置9を構成している。
規定定義部1と記憶部2とは、システムの中核をなすワークフロー作成・変更支援装置9の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。
【0025】
図2は規定定義部1の構成を示すブロック図である。規定定義部1は、業務の処理に必要な規定とワークフローチャートの作成・変更上の規定とを定めた規定情報を予め作成する規定登録部10と、規定情報で定められた規定が満たされていないときのユーザへの通知の表示方法を定めた規定未達時表示情報を予め作成する規定未達時表示登録部11とを備えている。
【0026】
次に、ワークフローチャートを作成・変更するユーザの処理とワークフロー作成・変更支援システムの処理とを含むワークフローチャート作成・変更処理の流れを
図3に示す。
最初に、ワークフローチャートを作成しようとするユーザは、業務で発生する作業と作業の手順とを調査・分類する。また、ユーザは、業務実行に必要なアプリケーションを特定し、アプリケーションの呼び出しに必要な項目を調査・分析する(
図3ステップS1)。
【0027】
例えばソフトウェア開発などの業務では、アプリケーションを利用する。アプリケーションには、ユーザが作業を行い、作業結果を記録する作業記録のためのアプリケーションと、ユーザの上長などがユーザの作業を確認し、作業の確認結果を記録する承認記録のためのアプリケーションなどがある。呼び出した作業記録アプリケーションで作業を行うためには作業対象を特定することが必要になる。同様に、呼び出した承認記録アプリケーションで作業の承認を行うためには承認対象を特定することが必要になる。
【0028】
ユーザによる調査・分析の結果、本発明では、ワークフローチャートを作成する際の決まりとして以下の(I)~(VII)のような決まりが定められたとする。
【0029】
(I)業務は、名称で識別する。この(I)の決まりにより、ワークフローチャート上で上記の作業記録処理を表象する作業記録処理ブロック、ワークフローチャート上で上記の承認記録処理を表象する承認記録処理ブロック、ワークフローチャート上で業務を並列に分けた後に合流させる分割(分岐)/合流処理ブロックには、それぞれ名称が必須となる。
【0030】
(II)業務は、基本的に直列に行われる。この(II)の決まりにより、上記の作業記録処理ブロック、承認記録処理ブロック、分割/合流処理ブロックは、ワークフローチャート上において1本のラインで結合される。
【0031】
(III)業務には、並列で実施するものがある。この並列実施に対応するため、ワークフローチャート上で業務を並列に分けた後に合流させる分割/合流処理ブロックを用意する必要がある。
【0032】
(IV)並列作業は、2~x個まで可能とする。この2~x個(例えばx=10)の並列作業に対応するため、分割/合流処理ブロックから出る2~x本のラインを用意する必要がある。
【0033】
(V)並列作業の流れは、ラインで表し、名称で識別する。この(V)の決まりにより、分割/合流処理ブロックから出る2~x本のラインにはそれぞれ名称が必須となる。
【0034】
(VI)並列作業は、アプリケーションを1つ以上利用する。この(VI)のアプリケーションの利用を実現するため、2~x本のライン上のそれぞれには、作業記録処理ブロックまたは承認記録処理ブロックを1つ以上配置することが必要になる。
【0035】
(VII)並列作業の流れをさらに並列に分けることはしない。この(VII)の決まりにより、2~x本のライン上に分割/合流処理ブロックを配置することは不可となる。
【0036】
ワークフローチャートを作成しようとするユーザは、以上のような調査・分析の結果から、業務規定情報、ワークフローチャート作成・変更規定情報、および規定未達時表示情報を作成する。
【0037】
まず、規定定義部1の規定登録部10は、ユーザからの入力に従って規定情報を作成する(
図3ステップS2)。
作業記録処理の規定情報は、処理名称と、ブロックに表示する識別用の名称と、作業対象の情報と、利用するアプリケーションを指定する情報(API(Application Programming Interface)、URL(Uniform Resource Locator)など)と、規定未達時のブロックの配置、移動、削除の可否情報とを含む。
【0038】
承認記録処理の規定情報は、処理名称と、ブロックに表示する識別用の名称と、承認対象の情報と、利用するアプリケーションを指定する情報と、規定未達時のブロックの配置、移動、削除の可否情報とを含む。
分割/合流処理の規定情報は、処理名称と、ブロックに表示する識別用の名称と、ラインの名称と、規定未達時のブロックの配置、移動、削除の可否情報とを含む。
【0039】
並列処理の規定情報は、並列処理の始まりと終わりにそれぞれ分割/合流処理ブロックを配置することを規定する情報、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のラインを2~x本まで設定可能とすることを規定する情報、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のライン上に作業記録処理または承認記録処理のブロックを1つ以上配置することを規定する情報、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のライン上への分割/合流処理ブロックの配置を不可とすることを規定する情報とを含む。
ワークフローチャートの規定情報は、処理のブロックが1本のラインで結合されることを規定する情報を含む。
【0040】
次に、規定定義部1の規定未達時表示登録部11は、ユーザからの入力に従って規定未達時表示情報を作成する(
図3ステップS3)。
規定未達時表示情報は、対象の規定を満たしていないと判断する未達条件の情報と、未達時の表示方法を定めた情報とを含む。
【0041】
例えば作業記録処理については、処理名称または作業対象が登録されていないことを未達条件とし、未達時に作業記録処理ブロックの右上に「○」を表示することを定めておく。承認記録処理については、処理名称または承認対象が登録されていないことを未達条件とし、未達時に承認記録処理ブロックの右上に「○」を表示することを定めておく。分割/合流処理については、処理名称またはラインの名称が登録されていないことを未達条件とし、未達時に分割/合流処理ブロックの右上に「○」を表示することを定めておく。
【0042】
並列処理のラインについては、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のライン上に作業記録処理ブロックまたは承認記録処理ブロックが1つ以上配置されていないことを未達条件とし、未達時にライン上の「○」を赤く塗りつぶすことを定めておく。また、並列処理のラインについては、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のライン上に分割/合流処理ブロックを配置することを未達条件とし、未達時にラインの表示(ラインの配色・太さ)を変更しないことを定めておく。
【0043】
さらに、並列処理のラインについては、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のライン上の作業記録処理ブロックまたは承認記録処理ブロックに分割/合流処理ブロックを配置することを未達条件とし、未達時に作業記録処理ブロックまたは承認記録処理ブロックの表示(ブロックの外枠の配色・太さ)を変更しないことを定めておく。
規定情報と規定未達時表示情報とは、記憶部2に格納される。
【0044】
規定情報と規定未達時表示情報の作成終了後、フローチャート描画部3は、表示装置7の画面に
図4に示すようなワークフローチャート作成画面100を表示する(
図3ステップS4)。ワークフローチャート作成画面100は、パレット領域101と、メイン描画領域102と、詳細領域103とに分かれる。フローチャート描画部3は、初期状態として、メイン描画領域102に、開始ブロック104と、終了ブロック105と、開始ブロック104と終了ブロック105とを結合するライン106とを表示する。開始ブロック104と終了ブロック105とは、削除できないものである。
【0045】
続いて、フローチャート描画部3は、記憶部2に記憶された規定情報に基づいて、作業記録処理を表象する作業記録処理ブロック107と承認記録処理を表象する承認記録処理ブロック108と分割/合流処理を表象する分割/合流処理ブロック109とを、
図5に示すようにワークフローチャート作成画面100のパレット領域101に表示する(
図3ステップS5)。作業記録処理ブロック107、承認記録処理ブロック108、分割/合流処理ブロック109のそれぞれには、規定情報で規定された識別用の名称が表示される。
【0046】
次に、ユーザは、入力装置8を操作して、パレット領域101上の所望の作業記録処理ブロック107、承認記録処理ブロック108、または分割/合流処理ブロック109をドラッグ&ドロップ操作によりメイン描画領域102に移動させることで、ワークフローチャートを作成する。フローチャート描画部3と規定未達判定部4と規定未達通知部5とは、ユーザの操作を受け(
図3ステップS6)、以下のような処理を行う。
【0047】
まず、規定未達判定部4は、ユーザの操作が記憶部2に記憶された規定情報で定められた規定を満たしているかどうかを判定する(
図3ステップS7)。
規定未達通知部5は、ユーザの操作が規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合(ステップS7においてNO)、規定を満たしていないことを、記憶部2に記憶された規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知する(
図3ステップS8)。
【0048】
フローチャート描画部3は、ユーザの操作が規定情報で定められた規定を満たしていないと判定された場合に、ユーザの操作対象の作業記録処理ブロック107、承認記録処理ブロック108または分割/合流処理ブロック109の配置、移動、削除が可能かどうかを判定する(
図3ステップS9)。フローチャート描画部3は、ユーザの操作対象の作業記録処理ブロック107、承認記録処理ブロック108または分割/合流処理ブロック109の規定情報で、規定未達時の当該ブロックの配置、移動、削除が可となっている場合(ステップS9においてYES)、ステップS12に進む。
【0049】
また、フローチャート描画部3は、ユーザの操作対象の作業記録処理ブロック107、承認記録処理ブロック108または分割/合流処理ブロック109の規定情報で、規定未達時の当該ブロックの配置、移動、削除が不可となっている場合(ステップS9においてNO)、ユーザの操作によるワークフローチャートの変更を拒否する(
図3ステップS10)。すなわち、ユーザは、後述のようにドロップ操作によって作業記録処理ブロック107、承認記録処理ブロック108、または分割/合流処理ブロック109のメイン描画領域102への配置を確定させることはできない。
【0050】
一方、フローチャート描画部3は、ユーザの操作が規定情報で定められた規定を満たしていると判定された場合(ステップS7においてYES)、ユーザのドラッグ操作中にユーザが選択したメイン描画領域102上の配置先の位置の表示を変更することで、規定を満たしていることをユーザに通知する(
図3ステップS11)。
図6の例では、ユーザがドラッグ操作によって作業記録処理ブロック107をメイン描画領域102のライン106上に移動させようとしている。このとき、フローチャート描画部3は、配置先を明確にし、かつユーザの操作が規定を満たしていることを通知するため、
図6の矢印で示すようにライン106と終了ブロック105の配色と太さを変更する。
【0051】
ユーザがドロップ操作によって配置の確定を指示すると(
図3ステップS12)、フローチャート描画部3は、描画を確定させる(
図3ステップS13)。
図7の例は、
図6の例でユーザがドロップ操作をした後の状態を示している。フローチャート描画部3は、描画を確定させるため、ステップS11で変更したライン106と終了ブロック105の配色と太さを通常の状態に戻し、開始ブロック104と新たに追加した作業記録処理ブロック107とをライン106で結合し、さらに作業記録処理ブロック107と終了ブロック105とをライン106で結合する。このとき、配置を自動調整するため、必要に応じて既存のラインやブロックを適宜移動させることは言うまでもない。
【0052】
フローチャート描画部3と規定未達判定部4と規定未達通知部5とは、以上のようなステップS6~S13の処理をユーザからワークフローチャート作成・変更終了の指示を受けるまで(
図3ステップS14)、繰り返し実行する。作成・変更されたワークフローチャートの情報は記憶部2に格納される。
【0053】
次に、規定未達時の表示例について説明する。
図8の例では、ユーザがドラッグ操作によって分割/合流処理ブロック109をメイン描画領域102の名称「ラインα」のライン106上に移動させようとしている。上記のとおり、開始の分割/合流処理ブロック109aと終了の分割/合流処理ブロック109bとの間のライン106上に分割/合流処理ブロック109をさらに配置することは未達条件に該当するので、規定未達通知部5は、該当する規定未達時表示情報で定められた表示方法、具体的には名称「ラインα」のライン106(
図8の110の部分)の配色と太さを変更しない方法で、規定を満たしていないことをユーザに通知する。
【0054】
また、
図8の例では、名称「ラインβ」のライン106上にブロックが配置されていない。上記のとおり、開始の分割/合流処理ブロック109aと終了の分割/合流処理ブロック109bとの間のライン106上に作業記録処理ブロック107または承認記録処理ブロック108が1つ以上配置されていないことは未達条件に該当するので、規定未達通知部5は、該当する規定未達時表示情報で定められた表示方法、具体的には名称「ラインβ」のライン106上の丸印111を赤く塗りつぶす方法で、規定を満たしていないことをユーザに通知する。
【0055】
ユーザが入力装置8を操作して、メイン描画領域102上のブロックをクリックすると、フローチャート描画部3は、選択されたブロックの規定情報を詳細領域103に表示する。
図9の例では、ユーザがメイン描画領域102上の作業記録処理ブロック107bをクリックして、作業記録処理ブロック107bの規定情報を詳細領域103に表示させた後に、詳細領域103上で作業対象の情報(
図9の112の部分)を削除した状態を示している。
【0056】
上記のとおり、作業記録処理の作業対象が登録されていないことは未達条件に該当するので、規定未達通知部5は、該当する規定未達時表示情報で定められた表示方法、具体的には作業記録処理ブロック107bの右上に丸印113を表示する方法で、規定を満たしていないことをユーザに通知する。
【0057】
例えば
図9の例のように、2つの表示(111,113)で規定が満たされていないことをユーザに通知すれば、ユーザは視覚的に内容を把握することができる。すなわち、ユーザは、修正すべき箇所が2箇所存在し、何を修正すればよいのかを把握することができる。
【0058】
上記の例では、ワークフローチャート上でブロックをクリックした例を説明しているが、例えばブロックをダブルクリックすると、対応するアプリケーションを呼び出すことが可能である。
図10は本実施例のフローチャート実行部6の動作を説明するフローチャートである。
【0059】
ユーザは、作成したワークフローチャートに従って業務を行いたい場合、入力装置8を操作して、メイン描画領域102上の所望のブロックをダブルクリックする。
フローチャート実行部6は、メイン描画領域102上のブロックがダブルクリックされると(
図10ステップS20においてYES)、選択されたブロックの規定情報に基づいて、このブロックの処理で利用するアプリケーションを呼び出す(
図10ステップS21)。
【0060】
フローチャート実行部6によって呼び出されるアプリケーションは、
図1に示すようにワークフロー作成・変更支援装置9にインストールされている内部アプリケーション12の場合もあれば、外部アプリケーション13の場合もある。
【0061】
ユーザは、起動したアプリケーションを利用して作業記録処理や承認記録処理などの業務を行い、業務を終えた時点でアプリケーションを終了する。
フローチャート実行部6は、アプリケーションが終了すると(
図10ステップS22においてYES)、画面表示をワークフローチャート作成画面100に戻す(
図10ステップS23)。
【0062】
以上のように、本実施例では、ユーザがワークフローチャートを規定に従って作成・変更できているかをユーザの描画操作と同時にリアルタイムで確認できるようにしたことにより、ワークフローチャート作成・変更にかかる作業時間を減らし、ワークフローチャート作成・変更の効率を向上させることができる。本実施例では、ユーザの操作が規定を満たしていないことを図形や色でユーザに通知することにより、ユーザは規定どおりかどうかをワークフローチャート上で確認しながらワークフローチャートを作成・変更することができる。
【0063】
ユーザは、ワークフローチャート全体の修正すべき箇所を容易に認識することができ、ワークフローチャート全体を俯瞰してみることにより、作業量の概算を把握でき、計画的に作業を進められる。また、ユーザは、修正すべき箇所を探す手間を省くことができ、修正すべき箇所に容易にたどり着くことができる。また、本実施例では、ユーザの操作が規定を満たしていないときに操作を制限することで、不要な配置や結線の作業を低減することができ、ワークフローチャート作成・変更の知識が少ないユーザでも規定をあまり意識せずにワークフローチャートが作成・変更できるようになる。
【0064】
したがって、本実施例によれば、ユーザが規定未達時表示情報が表示されないワークフローチャートを目標とすることで、ユーザの知識によらず一定の品質のワークフローチャートを作成・変更することができる。
また、本実施例では、未達条件毎に未達時の表示方法を定めることができるので、規定の重要度に応じた表示が可能となる。
【0065】
さらに、本実施例では、業務で利用するアプリケーションの呼び出しに必要な情報を規定情報として定義しておくことにより、ワークフローチャート上で業務に利用するアプリケーションを呼び出すことができる。したがって、本実施例では、ワークフローチャートを作成・変更するアプリケーションとは別のアプリケーションをワークフローチャートから呼び出すことができ、別アプリケーションを立ち上げる時間と手間を軽減することができる。
【0066】
なお、本実施例では、業務が終わり、アプリケーションを終了した時点でワークフローチャート作成画面に戻るようにしているが、利用するアプリケーションによってはワークフローチャート作成画面に戻れないことも有り得る。本発明では、アプリケーションの終了後にワークフローチャート作成画面に戻ることは必須の構成要件ではない。
【0067】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図11は本発明の第2の実施例に係るワークフロー作成・変更支援システムの構成を示すブロック図である。本実施例のワークフロー作成・変更支援システムは、規定定義部1と、記憶部2と、フローチャート描画部3と、規定未達判定部4と、規定未達通知部5aと、フローチャート実行部6と、表示装置7と、入力装置8とを備えている。フローチャート描画部3と規定未達判定部4と規定未達通知部5aとフローチャート実行部6と表示装置7と入力装置8とは、ワークフロー作成・変更支援装置9aを構成している。
【0068】
第1の実施例では、規定未達時表示情報は各ユーザに共通である。一方、本実施例では、ワークフロー作成・変更支援システムを使用するユーザ別に規定未達時表示情報を予め用意するようにした。ワークフロー作成・変更支援システムは、ワークフロー作成・変更支援装置9aにログインするユーザに固有のユーザIDによってユーザを識別することができる。
【0069】
本実施例の処理の流れは
図3、
図10で説明したとおりなので、第1の実施例と異なる規定未達通知部5aの動作について説明する。
規定未達通知部5aは、規定未達判定部4がユーザの操作が規定情報を満たしていないと判定した場合(
図3ステップS7においてNO)、規定を満たしていないことを、記憶部2に記憶された規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザに通知する(
図3ステップS8)。このとき、規定未達通知部5aは、ユーザに対応する規定未達時表示情報を記憶部2から取得し、取得した規定未達時表示情報で指定された表示方法によってユーザへの通知を行う。他の構成については第1の実施例で説明したとおりである。
【0070】
本実施例の規定未達時の表示例について説明する。
図12の例では、
図9の例と同様にユーザがメイン描画領域102上の作業記録処理ブロック107bをクリックして、作業記録処理ブロック107bの規定情報を詳細領域103に表示させた後に、詳細領域103上で作業対象の情報(
図12の112の部分)を削除した状態を示している。
【0071】
第1の実施例で説明したとおり、作業記録処理の作業対象が登録されていないことは未達条件に該当するので、規定未達通知部5aは、該当する規定未達時表示情報で定められた表示方法、具体的には作業記録処理ブロック107bの右上に星印114を表示する方法で、規定を満たしていないことをユーザに通知する。
【0072】
また、
図12の例では、
図8の例と同様に名称「ラインβ」のライン106上にブロックが配置されていない。第1の実施例で説明したとおり、開始の分割/合流処理ブロック109aと終了の分割/合流処理ブロック109bとの間のライン106上に作業記録処理ブロック107または承認記録処理ブロック108が1つ以上配置されていないことは未達条件に該当するので、規定未達通知部5aは、該当する規定未達時表示情報で定められた表示方法、具体的には名称「ラインβ」のライン106上の星印115を赤く塗りつぶす方法で、規定を満たしていないことをユーザに通知する。
このように、本実施例では、
図8、
図9の例とは異なる表示方法でユーザへの通知を行うことができる。
【0073】
本実施例では、ユーザ別に規定未達時表示情報を設定できるので、ユーザ別に作り変えられたUI(User Interface)を実現することができ、ユーザの満足度を向上させることができる。また、本実施例では、多くの人が利用し易いユニバーサルデザイン対応を実現することができる。
【0074】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第1、第2の実施例では、規定未達の箇所に印を表示したり、規定未達の箇所のラインの表示を変更しないようにしていたが、メイン描画領域全体の配色やマークを変更するようにしてもよい。本実施例においても、ワークフロー作成・変更支援システムの構成は第1、第2の実施例と同様であるので、
図1、
図11の符号を用いて説明する。
【0075】
本実施例では、記憶部2に予め登録する規定未達時表示情報を以下のように定めておく。例えば作業記録処理については、処理名称または作業対象が登録されていないことを未達条件とし、未達時に作業記録処理ブロックの右上に「○」を表示すると同時にメイン描画領域を黄色でぬりつぶすことを定めておく。承認記録処理については、処理名称または承認対象が登録されていないことを未達条件とし、未達時に承認記録処理ブロックの右上に「○」を表示すると同時にメイン描画領域を黄色でぬりつぶすことを定めておく。分割/合流処理については、処理名称またはラインの名称が登録されていないことを未達条件とし、未達時に分割/合流処理ブロックの右上に「○」を表示すると同時にメイン描画領域を黄色でぬりつぶすことを定めておく。
【0076】
並列処理のラインについては、開始の分割/合流処理ブロックと終了の分割/合流処理ブロックとの間のライン上に作業記録処理ブロックまたは承認記録処理ブロックが1つ以上配置されていないことを未達条件とし、未達時にライン上の「○」を赤く塗りつぶすと同時にメイン描画領域を黄色でぬりつぶすことを定めておく。
【0077】
本実施例の規定未達時の表示例について説明する。
図13の例では、
図9の例と同様にユーザがメイン描画領域102上の作業記録処理ブロック107bをクリックして、作業記録処理ブロック107bの規定情報を詳細領域103に表示させた後に、詳細領域103上で作業対象の情報(
図12の112の部分)を削除した状態を示している。また、
図8の例と同様に名称「ラインβ」のライン106上にブロックが配置されていない。
【0078】
本実施例の規定未達通知部5,5aは、
図8、
図9の例と同様に作業記録処理ブロック107bの右上に丸印113を表示し、名称「ラインβ」のライン106上の丸印111を赤く塗りつぶし、さらにメイン描画領域102全体を黄色でぬりつぶす方法で、規定を満たしていないことをユーザに通知する。
【0079】
本実施例では、規定未達時にメイン描画領域102全体の配色を変更しているが、メイン描画領域102全体にマークを表示するようにしてもよい。
【0080】
第1~第3の実施例では、ユーザがワークフロー作成・変更支援システムを使用してワークフローチャートを作成する場合について主に説明したが、本発明は描画領域に関する全ての操作(パレットからのブロックの配置、描画領域に配置済みのブロックの移動、描画領域に配置済みのブロックの削除)が対象となる。すなわち、本発明は、ワークフローチャートの作成時だけでなく、ワークフローチャートの変更時にも対応可能である。
【0081】
また、第1~第3の実施例では、規定未達時にステップS8の処理を行った上で、ステップS9の判定処理を行っているが、ステップS8の処理を行わずにステップS9の判定処理を行うようにしてもよい。すなわち、規定を満たしていないことをユーザに通知せずに、ブロックの配置、移動、削除が可能かどうかを判定し(ステップS9)、規定未達時の当該ブロックの配置、移動、削除が不可となっている場合に、ユーザの操作によるワークフローチャートの変更を拒否するようにしてもよい(ステップS10)。
【0082】
第1~第3の実施例で説明したワークフロー作成・変更支援システムは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を
図14に示す。
【0083】
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インタフェース装置(I/F)202とを備えている。I/F202には、表示装置7と入力装置8等が接続される。本発明のワークフロー作成・変更支援方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って第1~第3の実施例で説明した処理を実行する。
【0084】
第1~第3の実施例の構成のうち規定定義部1と記憶部2とを、ワークフロー作成・変更支援装置9,9aを構成するコンピュータによって実現してもよいし、他のコンピュータによって実現してもよい。また、内部アプリケーション12は、ワークフロー作成・変更支援装置9を構成するコンピュータによって実行されるが、外部アプリケーション13は、他のコンピュータによって実行される。また、ワークフロー作成・変更支援システムとアプリケーションの少なくとも一部がネットワーク上に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ワークフローチャートの作成・変更を支援する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…規定定義部、2…記憶部、3…フローチャート描画部、4…規定未達判定部、5,5a…規定未達通知部、6…フローチャート実行部、7…表示装置、8…入力装置、9,9a…ワークフロー作成・変更支援装置、10…規定登録部、11…規定未達時表示登録部、12…内部アプリケーション、13…外部アプリケーション。