(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175778
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/63 20200101AFI20221117BHJP
【FI】
D06F33/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082466
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】香月 淳吾
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA05
3B167AB24
3B167AB29
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA55
3B167JA41
3B167KA76
3B167KB16
3B167LC10
3B167LC20
3B167LD12
3B167LD15
3B167LE06
3B167LF22
3B167LG08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外槽内に供給される空気流量が減少して、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下するのを防止する。
【解決手段】本発明の洗濯乾燥機は、略円筒形状のドラムを回転自在に収容する外槽と、外槽の上部周面壁に形成された開口から流出した空気が通過する排気ダクトと、排気ダクト内を通過する空気流を発生させるファン67と、排気ダクト内を通過する空気流量に応じて移動する移動部材と、移動部材80の位置に基づいてファン67の回転数を制御する制御手段とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状のドラムを回転自在に収容する外槽と、
前記外槽の上部周面壁に形成された開口から流出した空気が通過する排気ダクトと、
前記排気ダクト内を通過する空気流を発生させるファンと、
前記排気ダクト内を通過する空気流量に応じて移動する移動部材と、
前記移動部材の位置に基づいて前記ファンの回転数を制御する制御手段とを備えることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記排気ダクトは、
前記開口を介して前記外槽内と連通する第1排気ダクトと、
前記第1排気ダクトの上方に配置された第2排気ダクトとを有しており、
前記第2排気ダクトは、その下面に形成された連通穴を介して前記第1排気ダクト内と連通しており、
前記移動部材は、
前記連通穴を閉塞する閉塞位置をとり得る蓋部材と、
前記蓋部材が前記連通穴を開放して前記閉塞位置からの距離が変化するように前記蓋部材を支持する支持部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記排気ダクト内に配置され、前記排気ダクト内を流れる空気が通過するフィルタを備え、
前記移動部材は、前記フィルタの詰まり状態に応じて移動することを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記フィルタ詰まりが発生したことを報知する報知手段を備え、
前記制御手段は、前記移動部材の位置に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記フィルタは、その少なくとも一部が平面視で前記連通穴と重なるように配置されることを特徴とする請求項3または4に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【0002】
従来の洗濯乾燥機として、外槽と、外槽内において回転自在に配置された略円筒形状のドラムと、外槽の周面壁の右上部に配置された吸気ダクトと、外槽の周面壁の左上部に配置された排気ダクトを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。排気ダクトは、外槽の周面壁に形成された開口を介して外槽内と連通する第1排気ダクトと、第1排気ダクトの上方に配置され、排気ダクト連結管を介して第1排気ダクトと連通する第2排気ダクトとを有している。第2排気ダクトの内部には、ファン及びフィルタが配置されている。
【0003】
乾燥行程が行われる際、ファンが駆動されることにより、洗濯物を乾燥させるための空気が吸気ダクトから外槽内へ供給されるとともに、外槽内の空気が排気ダクトから排出される。排気ダクト内において流れ込んだ空気に含まれる埃、塵及びリント(糸屑、毛羽など)がフィルタにより捕獲される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗濯乾燥機において、乾燥行程が行われる際、ファンを所定回転数で駆動して、外槽内に供給される空気流量が略一定に維持されるのが一般的である。しかしながら、乾燥行程において排気ダクト内に流れ込んだ埃などがフィルタにより捕獲されて、フィルタ詰まりが発生した場合、フィルタの抵抗が大きくなる。すると、ファンを所定回転数で駆動しているにもかかわらず、外槽内に供給される空気流量が減少し、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下してしまう。
【0006】
なお、フィルタに埃などが詰まって外槽内に供給される空気流量が減少する場合に限らず、何らかの要因で外槽内に供給される空気流量が減少した場合も同様に、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下する問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、乾燥行程において外槽内に供給される空気流量が減少して乾燥行程の乾燥効率が著しく低下するのを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る洗濯乾燥機は、略円筒形状のドラムを回転自在に収容する外槽と、前記外槽の上部周面壁に形成された開口から流出した空気が通過する排気ダクトと、前記排気ダクト内を通過する空気流を発生させるファンと、前記排気ダクト内を通過する空気流量に応じて移動する移動部材と、前記移動部材の位置に基づいて前記ファンの回転数を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る洗濯乾燥機において、前記排気ダクトは、前記開口を介して前記外槽内と連通する第1排気ダクトと、前記第1排気ダクトの上方に配置された第2排気ダクトとを有しており、前記第2排気ダクトは、その下面に形成された連通穴を介して前記第1排気ダクト内と連通しており、前記移動部材は、前記連通穴を閉塞する閉塞位置をとり得る蓋部材と、前記蓋部材が前記連通穴を開放して前記閉塞位置からの距離が変化するように前記蓋部材を支持する支持部材とを備えることが好適である。
【0010】
本発明に係る洗濯乾燥機において、前記排気ダクト内に配置され、前記排気ダクト内を流れる空気が通過するフィルタを備え、前記移動部材は、前記フィルタの詰まり状態に応じて移動することが好適である。
【0011】
本発明に係る洗濯乾燥機において、前記フィルタ詰まりが発生したことを報知する報知手段を備え、前記制御手段は、前記移動部材の位置に基づいて前記報知手段を制御することが好適である。
【0012】
本発明に係る洗濯乾燥機において、前記フィルタは、その少なくとも一部が平面視で前記連通穴と重なるように配置されることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乾燥行程において何らかの要因で外槽内に供給される空気流量が減少したとしても、その空気流量に応じて移動する移動部材の位置に基づいてファンの回転数が制御されるため、外槽内に供給される空気流量が減少して、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下するのを防止できる。
【0014】
本発明によれば、ファンが停止されているときに蓋部材が第2排気ダクトの下面に形成された連通穴を閉塞するため、洗い行程や濯ぎ行程において上記の連通穴から排気ダクト内に進入した水がフィルタに付着するのを防止できる。
【0015】
本発明によれば、移動部材が排気ダクト内のフィルタの詰まり状態に応じて移動するため、フィルタが詰まることにより外槽内に供給される空気流量が減少した場合でも、外槽内に供給される空気流量が減少して、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下するのを防止できる。
【0016】
本発明によれば、フィルタが詰まった場合に、報知手段によりフィルタ詰まりの発生を知らせることができる。
【0017】
本発明によれば、平面視でフィルタと連通穴とが重ならないように配置される場合と比べて、フィルタの面積を大きくできる。そのため、フィルタが詰まることにより排気ダクト内を通過する空気流量が減少するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を左側方から見た概略断面図である。
【
図2】洗濯乾燥機1を前方右斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】洗濯乾燥機1を前方左斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、第2吸気ダクト63を鉛直面で切断したときの拡大断面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のa
2-a
2線での断面図である。
【
図5】第2吸気ダクト63の下面に形成された連通穴64周辺の拡大断面図である。
【
図7】乾燥行程においてファン67の回転数の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の洗濯乾燥機1について、図に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を左側方から見た概略断面図である。なお、
図1は、
図3のa
1-a
1線での断面図である。
図2は、洗濯乾燥機1を前方右斜め上方から見た斜視図である。
図3は、洗濯乾燥機1を前方左斜め上方から見た斜視図である。
図3では、洗濯乾燥機1の一部の構造の図示を省略している。
【0021】
本実施形態の洗濯乾燥機1は、
図1に示すように、コインランドリーなどで使用される業務用の洗濯乾燥機である。
【0022】
洗濯乾燥機1は、
図1に示すように、やや縦長の筐体2によって外殻が構成されており、筐体2内の略中央部に、外槽3が設けられている。外槽3は、外部の給水設備などから供給される水を溜めるものであり、略水平な方向に延びる円筒形状に形成されている。外槽3の中央部が円形に開口されており、その開口されている部分が、洗濯物を出し入れするための外槽出入口6として形成されている。
【0023】
筐体2の前面の略中央部には、外槽出入口6に対応して、外槽出入口6よりやや大きい円形の開口10が外槽出入口6と同心円状に形成されている。開口10には、洗濯物を出し入れする際に使用者が開けるための開閉扉としての扉11が開閉自在に装着されている。扉11は、後述するドラム5の洗濯物出入口20の扉も兼用している。
【0024】
筐体2の背面には、外部の給水設備などに接続される給水口12が備えられており、給水口12と外槽3とは給水管13により接続される。給水管13の途中部に取り付けられた給水バルブ15が「開」にされることによって、給水口12から給水管13を介して供給される水が外槽3へ流れ込み、外槽3内に溜められる。
【0025】
外槽3の最下部には、排水口16が形成されており、排水口16には、排水管17が接続されている。排水管17の途中部に取り付けられた排水バルブ18が「開」にされることによって、外槽3に溜められた水が排水管17を介して機外に排出される。
【0026】
外槽3内には、洗濯物が収容されるドラム5が配置されている。ドラム5は、円筒形状に形成され、中心軸Nを中心に回転自在に設けられている。ドラム5は、その前面中央部に形成され、洗濯物を出し入れするための洗濯物出入口20を有している。ドラム5の周面壁には、ほぼ全周にわたって多数の孔5aが穿孔されており、この孔5aを介してドラム5の内部は外槽3と連通している。これにより、たとえば、洗い行程時に外槽3に溜められた水は、孔5aを通過してドラム5内にも流入する。
【0027】
ドラム5の後面壁には、中心軸Nに沿って後方へ突出する回転軸30が備えられている。回転軸30の中央部は、外槽3の軸受31により回転自在に保持されており、回転軸30の後端部には、ドラムプーリ32が取り付けられている。
【0028】
外槽3の後方下寄りには、ドラム5を回転駆動させるためのモータ33が配置されている。モータ33には、その駆動力を伝達するための駆動軸34が回動自在に備えられている。駆動軸34は前方に向かって延び、その前端部にモータプーリ35が取り付けられている。そして、ドラムプーリ32とモータプーリ35との間には、所定の張力でベルト36が掛け回されており、モータ33が駆動されると、その駆動力がモータプーリ35、ベルト36およびドラムプーリ32を介して回転軸30に伝達され、ドラム5が回転される。
【0029】
外槽3の周面壁の右上部には、
図2に示すように、第1吸気ダクト50が設けられている。第1吸気ダクト50の下面(外槽3の周面壁の外周面)の中央部やや前寄りには、流入口51が略長方形状に形成されており、吸気ダクト50は、流入口51を介して外槽3と連通している。第1吸気ダクト50の上面後部には、吸気ダクト流入口52が円形状に形成されている。
【0030】
第1吸気ダクト50の上方には、第2吸気ダクト53が設けられている。第2吸気ダクト53は、図示しない固定部材で筐体2に固定されている。第2吸気ダクト53の前寄りの下端部には、吸気ダクト流入口54が形成されており、機外と連通している。第2吸気ダクト53の吸気ダクト流入口54が形成されている側とは反対側の他端の下端部には、吸気ダクト流出口55が円形状に形成されている。第1吸気ダクト50の吸気ダクト流入口52と第2吸気ダクト53の吸気ダクト流出口55とは、吸気ダクト連結管56によって連結されている。
【0031】
第2吸気ダクト50の内部には、ヒータ57が配置されている。ヒータ57は、例えば外部のガス供給路(図示せず)から供給されるガスを燃焼させ、その燃焼熱により周囲の空気を加熱するガスヒータであり、このヒータ57をONにすることによって第2吸気ダクト53内の空気は加熱される。つまり、乾燥行程時において、洗濯物を乾燥させるための加熱空気はヒータ57の加熱によって生成される。
【0032】
外槽3の周面壁の左上部には、
図3に示すように、外槽3内の空気を機外へ排気するための乾燥風路となる排気ダクト60が設けられている。排気ダクト60は、第1排気ダクト61と、第2排気ダクト63と、第1排気ダクト61と第2排気ダクト63とを接続する排気ダクト連結管65とを有している。
【0033】
第1排気ダクト61は、正面、背面、上面、左側面および外槽3の周面壁によって構成される下面を備えており、前後方向に延びる中空の箱状部材である。第1排気ダクト61の下面(外槽3の周面壁の外周面)の後部には、開口60aが略長方形状に形成されており、第1排気ダクト61は、開口60aを介して外槽3と連通している。また、第1排気ダクト61の上面には、
図1に示すように、排気ダクト流出口62が円形状に形成されている。
【0034】
第2排気ダクト63は、第1排気ダクト61の上方に設けられており、略直方体形状の前後方向に延びる中空の箱状部材である。第2排気ダクト63は、図示しない固定部材で筐体2に固定されており、第2排気ダクト63の前寄りの下端部には、
図1に示すように、排気ダクト流出口である連通穴64が形成されている。第1排気ダクト61の排気ダクト流出口62と第2排気ダクト63の連通穴64とは、排気ダクト連結管65によって連結されている。
【0035】
また、第2排気ダクト63の連通穴64が形成されている側とは反対側の他端の上端部には、排気ダクト流出口66が形成されている。排気ダクト流出口66は、筐体2の上面から外部に突出しており、外槽3と機外とは、第1排気ダクト61、排気ダクト連結管65および第2排気ダクト63を含む排気ダクト60を介して連通している。
【0036】
第2排気ダクト63の内部には、ファン67が配置されている。ファン67は、例えば乾燥行程時において駆動され、ドラム5および外槽3内の空気を排気ダクト60内を通過させて、排気ダクト流出口66から機外へ流出させるためのものである。
【0037】
また、
図1に示すように、第2排気ダクト63の内部においてファン67と連通穴64との間には、フィルタ68が設けられている。フィルタ68は、前側から後側へ向かって斜め上側へ傾斜して、第2排気ダクト63内部を連通穴64側とファン67側とを区切るように設けられており、連通穴64からの空気に含まれる埃や塵やリント(糸屑、毛羽など)を捕獲する。
【0038】
第2排気ダクト63の内部において、フィルタ68の下端部は、
図4(a)に示すように、フィルタ支持台68aにより支持される。フィルタ支持台68aは、連通穴64よりもファン67側において鉛直方向に延びる鉛直部68a
1と、鉛直部68a
1の上端からファン67と反対方向に延びる水平部68a
2とを有している。水平部68a
2の先端は、連通穴64の上方においてフィルタ68の下端部を支持している。そのため、水平部68a
2は、連通穴64の一部を覆うように配置されており、平面視でフィルタ68の下端部近傍は、連通穴64に重なるように配置される。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第2排気ダクト63の内部において、連通穴64の周辺には、移動部材80が配置される。移動部材80は、蓋部材81と、蓋部材81を支持する支持部材82とを有している。支持部材82は、蓋部材81の上面に対して略平行に取り付けられる。蓋部材81は、連通穴64を閉塞する閉塞位置をとり得る部材である。支持部材82は、フィルタ支持台68aの鉛直部68a
1近傍に配置された支点82aを支点として上下方向に揺動可能に構成される。すなわち、支持部材82が支点82aを支点として揺動すると、蓋部材81が上下方向に移動する。
【0040】
図5に示すように、蓋部材81が最下位置にある場合、蓋部材81は、連通穴64を閉塞する閉塞位置に配置される。これに対して、蓋部材81が、閉塞位置から最も上方に離れた最大開口位置にある場合、蓋部材81の上面がフィルタ支持台68aの水平部68a
2の先端に接触する位置に配置される。蓋部材81は、最下位置と最大開口位置との間において移動可能であり、その位置に応じて閉塞位置からの距離が変化する。
【0041】
支持部材82は、支点82aに対して揺動自在に取り付けられており、ファン67が駆動されてないとき、蓋部材81は、その自重により最下位置に配置される。例えば、洗濯時は、ファン67は停止されており風を発生させないので、蓋部材81は、閉塞位置に配置される。よって、洗い行程において、仮にドラム5が高速で回転することにより、第2排気ダクト63の連通穴64に向かって水ハネが発生しても、連通穴64は蓋部材81で塞がれており、その水は蓋部材81に衝突して第2排気ダクト63内に進入しない。そのため、水がフィルタ68に到達することはなく、フィルタ68が濡れることはない。
【0042】
なお、蓋部材81の下面の外周部には、全周にわたってゴムパッキン83が取り付けられている。そのため、蓋部材81が閉塞位置にあるとき、蓋部材81の外周部と連通穴64の周縁部と間の密閉性は高まる。
【0043】
乾燥運転の際には、ファン67が発生する風により蓋部材81がフィルタ68側に吸い寄せられて連通穴64が開く。そのとき、蓋部材81は風路を塞いでいないので、通常通りの乾燥風を通すことができる。乾燥行程において、蓋部材81が、最下位置と最大開口位置との間の何れの位置に配置されるかは、連通穴64を介して第2排気ダクト63内に流入する空気流量に応じて決まる。
【0044】
支点82aには、移動部材80の位置に応じてオン状態/オフ状態が切り替わる位置スイッチ85が取り付けられている。位置スイッチ85は、蓋部材81が最大開口位置に配置されるように支持部材82が上方に揺動した場合にオン状態となり、蓋部材81が最大開口位置より下方に配置されるように支持部材82が上方に揺動した場合にオフ状態となる。本実施形態において、位置スイッチ85は、蓋部材81が最大開口位置にあるか否かを検出するために使用される。
【0045】
上述したように、乾燥行程においてファン67が駆動されると、その負圧により引っ張られて、蓋部材81が上方に向かって移動する。その際、ファン67の回転数が大きいほど、蓋部材81は、最下位置から離れるように移動して、蓋部材81の開口角度により、乾燥風路の有効断面積が全閉~最大開放まで変化する。
【0046】
本実施形態の洗濯乾燥機1では、乾燥行程においてファン67を所定回転数以上で駆動することにより、ファン67による乾燥風の風圧で吸い上げられて上方に回転して開いた蓋部材81の開口角度を一定以上になるように、すなわち、蓋部材81が最大開口位置に配置されるように、ファン67の回転を制御して風量を増減する。
【0047】
図6は、洗濯乾燥機1の制御ブロック図である。洗濯乾燥機1の制御部100は、
図6に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、洗濯乾燥機1の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。洗濯乾燥機1の運転動作は、制御部100によって制御される。制御部100には、位置スイッチ85と、ファン67と、フィルタ詰まり表示部2aとが接続されている。
【0048】
本実施形態の洗濯乾燥機1では、乾燥行程のファン67の回転数として所定回転数があらかじめ設定されている。そのため、乾燥行程の開始時において、通常、ファン67が所定回転数で駆動されると、その回転数の負圧により蓋部材81が引っ張られて、蓋部材81が最大開口位置に配置されるように設定される。なお、上記の設定は、フィルタ68に埃などがほとんど詰まってない状態(フィルタ詰まりが発生していない状態)で行われる。
【0049】
制御部100は、位置スイッチ85がオン状態またはオフ状態の何れであるかにより、蓋部材81が最大開口位置にあるか、または、蓋部材81が最大開口位置よりも下方にあるかを検知する。
【0050】
蓋部材81が最大開口位置にあるかを検知する点について説明する。洗濯乾燥機1において、乾燥運転が長時間行われることにより、フィルタ68の一部において埃などの詰まりが発生すると、フィルタ68の抵抗が増加して、ファン67が所定回転数で駆動されているにもかかわらず、排気ダクト60を通過する空気流量が減少する。すると、蓋部材81を引っ張る負圧が小さくなって、蓋部材81が最大開口位置よりも下方に移動する。そのため、制御部100は、蓋部材81が最大開口位置にあるかを検知することにより、フィルタ68においてフィルタ詰まりが発生しているか否かを判定する。
【0051】
制御部100は、蓋部材81が最大開口位置よりも下方にある場合(フィルタ68においてフィルタ詰まりが発生している場合)に、ファン67の回転数をあらかじめ設定された規定数(例えば50rpm)増加するように、ファン67の回転数を制御する。本実施形態では、ファン67の回転数が規定数増加するように制御された後、蓋部材81が最大開口位置にあるか否かが判定され、その後、蓋部材81が最大開口位置にあると判定されるまで、ファン67の回転数が規定数ずつ増加するように制御される。
【0052】
フィルタ詰まり表示部2aは、筐体2の前面に設けられており、例えばLEDなどを含んでいる。フィルタ詰まり表示部2aは、フィルタ68に埃などが詰まって空気が通過し難くなるフィルタ詰まりが発生した際に点灯されて、フィルタ詰まりの発生を知らせるためのものである。本実施形態において、制御部100は、乾燥行程を開始した後、蓋部材81が最大開口位置よりも下方にある場合に、フィルタ詰まりが発生していると判定して、フィルタ詰まり表示部2aを点灯する。
【0053】
乾燥行程においてファン67の回転数の制御方法について、
図7に基づいて説明する。
図7は、乾燥行程においてファン67の回転数の制御方法を説明するフローチャートである。
【0054】
<ステップS1>
ステップS1において、制御部100は、あらかじめ設定された所定回転数によりファン67を駆動して、乾燥行程を開始する。その後、ステップS2に進む。
【0055】
<ステップS2>
ステップS2において、制御部100は、蓋部材81が最大開口位置にあるか否かを判定する。制御部100により蓋部材81が最大開口位置にあると判定された場合、ステップS3に戻る。制御部100により蓋部材81が最大開口位置にないと判定された場合、ステップS4に進む。
【0056】
<ステップS3>
ステップS3において、制御部100は、乾燥行程の継続時間としてあらかじめ設定された所定時間が経過したか否かを判定する。制御部100により所定時間が経過したと判定された場合、処理を終了する。制御部100により所定時間が経過していないと判定された場合、ステップS2に戻る。
【0057】
<ステップS4>
ステップS4において、制御部100は、蓋部材81が最大開口位置にないため、フィルタ詰まり表示部2aを点灯する。その後、ステップS5に進む。
【0058】
本実施形態では、乾燥行程を開始した後で、制御部100により最初に蓋部材81が最大開口位置にないと判定された場合に、制御部100は、フィルタ詰まり表示部2aを点灯して、その後、乾燥行程が終了するまで、フィルタ詰まり表示部2aの点灯を継続する。
【0059】
<ステップS5>
ステップS5において、制御部100は、ファン67の回転数を規定数増加させる。その後、ステップS6に進む。
【0060】
<ステップS6>
ステップS6において、制御部100は、蓋部材81が最大開口位置にあるか否かを判定する。制御部100により蓋部材81が最大開口位置にあると判定された場合、ステップS3に進む。制御部100により蓋部材81が最大開口位置にないと判定された場合、ステップS5に戻る。
【0061】
本実施形態の洗濯乾燥機1は、略円筒形状のドラム5を回転自在に収容する外槽3と、外槽3の上部周面壁に形成された開口60aから流出した空気が通過する排気ダクト60と、排気ダクト60内を通過する空気流を発生させるファン67と、排気ダクト60内を通過する空気流量に応じて移動する移動部材80と、移動部材80の位置に基づいてファン67の回転数を制御する制御手段である制御部100とを備える。
【0062】
このような構成であると、乾燥行程において何らかの要因で外槽3内に供給される空気流量が減少したとしても、その空気流量に応じて移動する移動部材80の位置に基づいてファン67の回転数が制御されるため、外槽3内に供給される空気流量が減少して、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下するのを防止できる。
【0063】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、排気ダクト60は、開口60aを介して外槽3内と連通する第1排気ダクト61と、第1排気ダクト61の上方に配置された第2排気ダクト63とを有しており、第2排気ダクト63は、その下面に形成された連通穴64を介して第1排気ダクト61内と連通しており、移動部材80は、連通穴64を閉塞する閉塞位置をとり得る蓋部材81と、蓋部材81が連通穴64を開放して閉塞位置からの距離が変化するように蓋部材81を支持する支持部材82とを備える。
【0064】
このような構成であると、ファン67が停止されているときに蓋部材81が第2排気ダクト63の下面に形成された連通穴64を閉塞するため、洗い行程や濯ぎ行程において上記の連通穴64から第2排気ダクト63内に進入した水がフィルタ68に付着するのを防止できる。
【0065】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、排気ダクト60内に配置され、排気ダクト60内を流れる空気が通過するフィルタ68を備え、移動部材80は、フィルタ68の詰まり状態に応じて移動する。
【0066】
このような構成であると、移動部材80が排気ダクト60内のフィルタ68の詰まり状態に応じて移動するため、フィルタ68が詰まることにより外槽3内に供給される空気流量が減少した場合でも、外槽3内に供給される空気流量が減少して、乾燥行程の乾燥効率が著しく低下するのを防止できる。
【0067】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、フィルタ詰まりが発生したことを報知する報知手段であるフィルタ詰まり表示部2aを備え、制御部100は、移動部材80の位置に基づいてフィルタ詰まり表示部2aを制御する。
【0068】
このような構成であると、フィルタ68が詰まった場合に、フィルタ詰まり表示部2aによりフィルタ詰まりの発生を知らせることができる。
【0069】
本実施形態の洗濯乾燥機1において、フィルタ68は、その少なくとも一部が平面視で連通穴64と重なるように配置される。
【0070】
このような構成であると、平面視でフィルタ68と連通穴64とが重ならないように配置される場合と比べて、フィルタ68の面積を大きくできる。そのため、フィルタ68が詰まることにより排気ダクト60内を通過する空気流量が減少するのを抑制できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0072】
例えば上記実施形態では、排気ダクト60が、第1排気ダクト61と第2排気ダクト63と排気ダクト連結管65とを有しているが、排気ダクト60の構成は任意である。
【0073】
上記実施形態では、移動部材80が、蓋部材81と支持部材82とを有しているが、移動部材80の構成は任意である。例えば、移動部材80が、連通穴64を閉塞する閉塞位置をとり得る蓋部材81を含まないものでもよい。なお、移動部材80が、連通穴64を閉塞する閉塞位置をとり得る蓋部材81を含む場合、排気風路にリントフィルタを設けられたコインランドリー等のガス式衣類洗濯乾燥機において、ふとんを洗濯槽に貼りつく程度のやや速い回転数で洗う遠心力洗いが行われた場合でも、洗濯水を大量に巻き上げて、この巻き上げた水が排気風路側に入って、リントフィルタに水が付着してしまうのを防止できる。これにより、リントフィルタが濡れた状態だと掃除しにくくなり、また捕集したほこりが乾燥で固まっても掃除の妨げになる問題が発生しなくなる。
【0074】
上記実施形態では、移動部材80が、フィルタ詰まりが発生することにより排気ダクト60内を通過する空気流量が減少する場合について説明したが、それに限られない。本発明は、フィルタ詰まり以外の何らかの要因で排気ダクト60内を通過する空気流量が減少する場合にも適用できる。
【0075】
上記実施形態では、フィルタ詰まりが発生したことを報知するフィルタ詰まり表示部2aを有し、蓋部材81が最大開口位置にない場合に、フィルタ詰まりが発生したと判定して、フィルタ詰まり表示部2aを点灯する場合を説明したが、それに限られない。例えば、蓋部材81が最大開口位置から所定距離離れた場合に、フィルタ詰まりが発生したと判定して、フィルタ詰まり表示部2aを点灯してもよい。
【0076】
上記実施形態では、フィルタ詰まりが発生したことを報知するフィルタ詰まり表示部2aを有する場合を説明したが、それに限られない。本発明の洗濯乾燥機1は、フィルタ詰まりが発生したことを報知する報知手段を有しなくてもよい。
【0077】
上記実施形態では、フィルタ詰まりが発生したことを報知する報知手段として、フィルタ詰まり表示部2aを有しているが、報知手段の構成は任意である。例えば、報知手段は、フィルタ詰まりが発生したことを音で報知するものでもよい。
【0078】
上記実施形態では、フィルタ68が、その少なくとも一部が平面視で連通穴64と重なるように配置される場合を説明したが、それに限られない。例えば、フィルタ68の全体が、平面視で連通穴64と異なる位置に配置されてもよい。
【0079】
上記実施形態では、移動部材80の位置に応じてオン状態/オフ状態が切り替わる位置スイッチ85を有しており、制御部100は、位置スイッチ85がオン状態またはオフ状態の何れであるかにより、蓋部材81が最大開口位置にあるか、または、蓋部材81が最大開口位置よりも下方にあるかを判定するが、それに限られない。例えば、支点82aに、位置スイッチ85の代わりに、支持部材82の角度を検出する角度センサが取り付けられもよい。その角度センサは、蓋部材81の開口角度(閉塞位置に対して蓋部材81が移動した角度)を検出可能である。
【0080】
上記実施形態では、乾燥工程において蓋部材81が最大開口位置にない場合に、ファン67の回転数が規定数増加するように制御され、その後、蓋部材81が最大開口位置にあると判定されるまで、ファン67の回転数が規定数ずつ増加するように制御されるが、ファン67の回転数を増加させる際の制御方法は任意である。
【0081】
例えば、上述したように支持部材82の角度を検出する角度センサを有している場合、制御部100は、蓋部材81の開口角度の減少度(蓋部材81の開口角度が最大開口位置にある場合と比べてどの程度小さいか)を検出して、その蓋部材81の開口角度の減少度に応じた回転数を増加させて、蓋部材81が最大開口位置に配置されるようにファン67の回転数を制御してもよい。すなわち、制御部100は、蓋部材81の開口角度の減少度が小さい場合、フィルタ68の詰まり状態はそれほど悪化していないと判定するのに対して、蓋部材81の開口の減少度が大きい場合、フィルタ68の詰まり状態はかなり悪化していると判定する。その場合、蓋部材81の開口角度の減少度に応じて、ファン67の回転数をどの程度大きくすると、蓋部材81が最大開口位置に配置されるようになるかについて、あらかじめ試験などにより、そのときのファン67の回転数、蓋部材81の開口角度の減少度とファン67の回転数の増加量との関係などを得て、制御部100に保存される。
【0082】
上記実施形態では、蓋部材81の下面の外周部にゴムパッキン83が取り付けられている場合を説明したが、それに限られない。例えば、ゴムパッキン83が連通穴64の周縁部に取り付けられている場合も、蓋部材81の外周部と連通穴64の周縁部と間の密閉性は高まる。また、蓋部材81の外周部と連通穴64の周縁部と間の密閉性を向上させるゴムパッキン83は無くてもよい。
【0083】
上記実施形態では、乾燥行程を開始した後で、制御部100により最初に蓋部材81が最大開口位置にないと判定された場合に、制御部100は、フィルタ詰まり表示部2aを点灯して、その後、乾燥行程が終了するまで、フィルタ詰まり表示部2aの点灯を継続する場合を説明したが、それに限られない。例えば、制御部100は、乾燥行程が終了した後も、フィルタ詰まり表示部2aの点灯を継続してもよい。
【0084】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 洗濯乾燥機
3 外槽
5 ドラム
60 排気ダクト
60a 開口
61 第1排気ダクト
63 第2排気ダクト
64 連通穴
67 ファン
68 フィルタ
80 移動部材
81 蓋部材
82 支持部材
100 制御手段