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特開2022-175784プラスチックボトル、蓋材付きプラスチックボトルおよびプリフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175784
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】プラスチックボトル、蓋材付きプラスチックボトルおよびプリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082474
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 紗奈
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛久
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033CA20
3E033DA06
3E033DA08
3E033DB01
3E033DD02
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】充填された飲料を取り出しやすくするとともに、リサイクル性を向上させることが可能な、プラスチックボトル、蓋材付きプラスチックボトルおよびプリフォームを提供する。
【解決手段】プラスチックボトル10は、開口21が設けられた円筒部20と、円筒部20の下方に設けられた胴部30と、胴部30の下方に設けられた底部40とを備えている。円筒部20、胴部30および底部40は、それぞれポリエチレンテレフタレートを含んでいる。円筒部20は、上端に形成されたフランジ部22を有している。開口21の口径をD1とし、胴部30の最大径をD2としたとき、
1≦D2/D1≦4
という関係を満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックボトルにおいて、
開口が設けられた円筒部と、
前記円筒部の下方に設けられた胴部と、
前記胴部の下方に設けられた底部とを備え、
前記円筒部、前記胴部および前記底部は、それぞれポリエチレンテレフタレートを含み、
前記円筒部は、上端に形成されたフランジ部を有し、
前記開口の口径をD1とし、
前記胴部の最大径をD2としたとき、
1≦D2/D1≦4
という関係を満たす、プラスチックボトル。
【請求項2】
前記フランジ部の幅は、1mm以上15mm以下である、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記円筒部の重量をW1とし、前記胴部および前記底部の重量の合計をW2としたとき、
1≦W2/W1≦10
という関係を満たす、請求項1または2に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記円筒部は、サポートリングを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記胴部は、前記円筒部側から前記底部側に向けて拡径する第1拡径部と、前記第1拡径部の下方に設けられ、前記円筒部側から前記底部側に向けて縮径する縮径部と、前記縮径部の下方に設けられ、前記円筒部側から前記底部側に向けて拡径する第2拡径部と、を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラスチックボトルと、
前記プラスチックボトルの前記開口を封止する蓋材とを備える、蓋材付きプラスチックボトル。
【請求項7】
プリフォームにおいて、
開口が設けられた円筒部と、
前記円筒部の下方に設けられた胴部と、
前記胴部の下方に設けられた底部とを備え、
前記円筒部は、上端に形成されたフランジ部を有し、
前記円筒部、前記胴部および前記底部は、それぞれポリエチレンテレフタレートを含む、プリフォーム。
【請求項8】
前記フランジ部の幅は、1mm以上15mm以下である、請求項7に記載のプリフォーム。
【請求項9】
前記円筒部の重量をW3とし、前記胴部および前記底部の重量の合計をW4としたとき、
1≦W4/W3≦10
という関係を満たす、請求項7または8に記載のプリフォーム。
【請求項10】
前記円筒部は、サポートリングを有する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項11】
前記胴部は、大径部と、前記大径部の下方に設けられ、前記円筒部側から前記底部側に向けて縮径する縮径部と、前記縮径部の下方に設けられた小径部と、を有する、請求項7乃至10のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチックボトル、蓋材付きプラスチックボトルおよびプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食品等の内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが知られている(例えば、特許文献1)。このような内容液を収容するプラスチックボトルは、金型内にプリフォームを挿入し、2軸延伸ブロー成形することにより製造される。そして、このようなプラスチックボトルには内容液が収容されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭59-10014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプラスチックボトルは、口部から飲料を取り出しにくくなり得るという課題がある。また、近年、海洋汚染の問題や環境負荷の低減を目的として、プラスチックをリサイクルできる容器が求められている。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、充填された飲料を取り出しやすくするとともに、リサイクル性を向上させることが可能な、プラスチックボトル、蓋材付きプラスチックボトルおよびプリフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によるプラスチックボトルは、開口が設けられた円筒部と、前記円筒部の下方に設けられた胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部とを備え、前記円筒部、前記胴部および前記底部は、それぞれポリエチレンテレフタレートを含み、前記円筒部は、上端に形成されたフランジ部を有し、前記開口の口径をD1とし、前記胴部の最大径をD2としたとき、
1≦D2/D1≦4
という関係を満たす、プラスチックボトルである。
【0007】
一実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記フランジ部の幅は、1mm以上15mm以下であってもよい。
【0008】
一実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記円筒部の重量をW1とし、前記胴部および前記底部の重量の合計をW2としたとき、
1≦W2/W1≦10
という関係を満たしてもよい。
【0009】
一実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記円筒部は、サポートリングを有してもよい。
【0010】
一実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記胴部は、前記円筒部側から前記底部側に向けて拡径する第1拡径部と、前記第1拡径部の下方に設けられ、前記円筒部側から前記底部側に向けて縮径する縮径部と、前記縮径部の下方に設けられ、前記円筒部側から前記底部側に向けて拡径する第2拡径部と、を有してもよい。
【0011】
一実施の形態による蓋材付きプラスチックボトルは、一実施の形態によるプラスチックボトルと、前記プラスチックボトルの前記開口を封止する蓋材とを備える、蓋材付きプラスチックボトルである。
【0012】
一実施の形態によるプリフォームは、開口が設けられた円筒部と、前記円筒部の下方に設けられた胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部とを備え、前記円筒部は、上端に形成されたフランジ部を有し、前記円筒部、前記胴部および前記底部は、それぞれポリエチレンテレフタレートを含む、プリフォームである。
【0013】
一実施の形態によるプリフォームにおいて、前記フランジ部の幅は、1mm以上15mm以下であってもよい。
【0014】
一実施の形態によるプリフォームにおいて、前記円筒部の重量をW3とし、前記胴部および前記底部の重量の合計をW4としたとき、
1≦W4/W3≦10
という関係を満たしてもよい。
【0015】
一実施の形態によるプリフォームにおいて、前記円筒部は、サポートリングを有してもよい。
【0016】
一実施の形態によるプリフォームにおいて、前記胴部は、大径部と、前記大径部の下方に設けられ、前記円筒部側から前記底部側に向けて縮径する縮径部と、前記縮径部の下方に設けられた小径部と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、プラスチックボトルに充填された飲料を取り出しやすくするとともに、プラスチックボトルのリサイクル性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施の形態による蓋材付きプラスチックボトルを示す正面図である。
図2図2は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す部分垂直断面図である。
図3図3は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す平面図である。
図4図4は、一実施の形態によるプリフォームを示す部分垂直断面図である。
図5図5(a)-(c)は、一実施の形態によるプラスチックボトルの製造方法を示す断面図である。
図6図6は、一実施の形態によるプラスチックボトルの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1乃至図5は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ蓋材付きプラスチックボトル1を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
【0020】
蓋材付きプラスチックボトルの構成
図1に示すように、蓋材付きプラスチックボトル1は、プラスチックボトル10と、プラスチックボトル10の後述する開口21を封止する蓋材50とを備えている。ここでは、まず、プラスチックボトル10について説明する。
【0021】
(プラスチックボトル)
図1乃至図3に示すように、プラスチックボトル10は、開口21が設けられた円筒部20と、円筒部20の下方に設けられた胴部30と、胴部30の下方に設けられた底部40とを備えている。
【0022】
このうち円筒部20は、後述するフランジ部22またはサポートリング23が形成された領域を除き円筒形状となっている。この円筒部20には、上述したように開口21が設けられている。円筒部20の開口21は、使用者が飲料を取り出すためのものである。この開口21は、平面視円形状をもっている。開口21の口径D1(図2参照)は、12mm以上45mm以下とすることが好ましく、25mm以上40mm以下であることがより好ましく、一例として28mmであってもよい。口径D1が12mm以上であることにより、プラスチックボトル10に充填された飲料を消費者が取り出しやすくなり得る。また、口径D1が25mm以上であることにより、内容物の粘度が高い場合や、内容物が固形物である場合においても、プラスチックボトル10内に内容物を容易に充填できる。また、口径D1が45mm以下であることにより、開口21が大きくなり過ぎることを抑制でき、プラスチックボトル10のバランスが悪くなることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10を正立させた際に、プラスチックボトル10が転倒してしまうことを抑制できる。また、円筒部20全体の高さH1(上下方向距離、図2参照)は、7mm以上40mm以下とすることが好ましい(図2参照)。
【0023】
円筒部20は、上端に形成されたフランジ部22を有している。フランジ部22は、プラスチックボトル10の天面を構成する部分であり、飲料を飲む際に直接口を付ける部分である。このフランジ部22は、平面視円環形状であり、水平方向に向けて突出している。フランジ部22の上面は、平坦面になっている。
【0024】
フランジ部22の幅Wf(径方向距離、図3参照)は、1mm以上15mm以下とすることが好ましい。フランジ部22の幅Wfが1mm以上であることにより、フランジ部22に蓋材50をシールしやすくすることができる。また、蓋材50がフランジ部22にシールされる部分の面積を大きくすることができるため、蓋材50とフランジ部22との間のシール強度を大きくすることができ、蓋材付きプラスチックボトル1の密封性を向上できる。また、フランジ部22の幅Wfが15mm以下であることにより、円筒部20の口当たりを良好にすることができる。また、フランジ部22の幅Wfが15mm以下であることにより、飲み心地を良好にすることかでき、飲料を飲む際に、飲料が口の横からこぼれ落ちることを抑制することができる。また、フランジ部22の幅Wfが15mm以下であることにより、フランジ部22を射出成形によって作製する際の成形性が低下することを抑制できる。さらに、フランジ部22の幅Wfが15mm以下であることにより、蓋材50がフランジ部22にシールされる部分の面積が大きくなり過ぎることを抑制でき、蓋材50とフランジ部22との間のシール強度が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、消費者が蓋材付きプラスチックボトル1を開封する際に、蓋材50がプラスチックボトル10から剥離し難くなることを抑制できる。
【0025】
フランジ部22の高さH2(上下方向距離、図2参照)は、0.5mm以上3mm以下とすることが好ましい。フランジ部22の高さH2が0.5mm以上であることにより、フランジ部22の剛性が低下することを抑制でき、フランジ部22に蓋材50をシールする際に、シール不良が発生することを効果的に抑制できる。また、フランジ部22の高さH2が3mm以下であることにより、円筒部20の口当たりおよび飲み心地を良好にすることかできる。
【0026】
さらに、円筒部20は、サポートリング23を有している。サポートリング23は、円筒部20の下部に設けられている。このサポートリング23は、平面視円環形状であり、水平方向に向けて突出している。このように、円筒部20がサポートリング23を有していることにより、プラスチックボトル10の搬送性を向上できる。サポートリング23の下面からフランジ部22の上面までの高さH3(上下方向距離、図2参照)は、5mm以上30mm以下とすることが好ましい。
【0027】
このような円筒部20の外径D11は、15mm以上48mm以下とすることが好ましい。
【0028】
ここで、円筒部20には、蓋材50が、例えばヒートシールによってシールされるように構成されている。このため、円筒部20には、図示しないキャップが螺着されるネジ部が設けられていない。これにより、円筒部20を作製するために使用する樹脂量を低減できる。また、円筒部20には、例えばフィルムからなる蓋材50がシールされるように構成されている。このため、蓋材付きプラスチックボトル1を作製する際に、使用する樹脂量が多くなり得るキャップを準備する必要もない。この結果、蓋材付きプラスチックボトル1を作製するための樹脂量を低減できる。
【0029】
次に、胴部30について説明する。胴部30は、円筒部20の下端に連結され、円筒部20から下方に向けて延びている。また、胴部30の水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部30が楕円筒形状、または四角形筒形状等の多角形筒形状等の筒形状を有していてもよい。この胴部30の最大径D2(外径、図2参照)は、20mm以上120mm以下とすることが好ましく、一例として48.0mmであってもよい。胴部30の最小径D3(外径、図2参照)は、20mm以上80mm以下とすることが好ましく、一例として38mmであってもよい。さらに、胴部30の厚みT1は、0.1mm以上0.4mm以下とすることが好ましい。なお、胴部30の厚みT1(図2参照)は、胴部30の全体にわたって略均一になっていてもよい。
【0030】
図2に示すように、胴部30は、円筒部20側から底部40側に向けて拡径する第1拡径部31と、第1拡径部31の下方に設けられ、円筒部20側から底部40側に向けて縮径する縮径部32と、縮径部32の下方に設けられ、円筒部20側から底部40側に向けて拡径する第2拡径部33と、を有している。なお、本実施の形態では、第1拡径部31と縮径部32との境界において、胴部30の外径が最大になっている。また、本実施の形態では、縮径部32と第2拡径部33との境界において、胴部30の外径が最小になっている。
【0031】
このうち第1拡径部31は、円筒部20の下端に連結されており、正面視でプラスチックボトル10の外側に凸となるように湾曲した輪郭をもっている。この第1拡径部31の高さH4(上下方向距離、図2参照)は、10mm以上120mm以下とすることが好ましい。
【0032】
縮径部32は、第1拡径部31の下端に連結されている。この縮径部32は、第1拡径部31に連結された第1湾曲部321と、第1湾曲部321の下方に設けられた傾斜部322と、傾斜部322の下方に設けられた第2湾曲部323とを含んでいる。このうち、第1湾曲部321は、正面視でプラスチックボトル10の外側に凸となるように湾曲している。また、傾斜部322は、正面視で直線状に延びており、下方に向かうにつれてプラスチックボトル10の内側に向かうように傾斜している。さらに、第2湾曲部323は、正面視でプラスチックボトル10の内側に凸となるように湾曲している。
【0033】
この縮径部32の全体の高さH5(上下方向距離、図2参照)は、10mm以上80mm以下とすることが好ましい。この際、第1湾曲部321の高さH51(上下方向距離、図2参照)は、1mm以上45mm以下とすることが好ましい。また、傾斜部322の高さH52(上下方向距離、図2参照)は、4mm以上45mm以下とすることが好ましい。さらに、第2湾曲部323の高さH53(上下方向距離、図2参照)は、1mm以上25mm以下とすることが好ましい。
【0034】
第2拡径部33は、縮径部32の下端に連結されている。このように、縮径部32の下方に第2拡径部33を設けることにより、プラスチックボトル10の容量を大きくすることができる。この第2拡径部33は、縮径部32に連結された第3湾曲部331と、第3湾曲部331の下方に設けられた第4湾曲部332とを含んでいる。このうち、第3湾曲部331は、正面視でプラスチックボトル10の内側に凸となるように湾曲している。また、第4湾曲部332は、正面視でプラスチックボトル10の外側に凸となるように湾曲している。
【0035】
ここで、第2拡径部33の第3湾曲部331の外面は、正面視において、上述した縮径部32の第2湾曲部323の外面と滑らかに連続している。これにより、消費者がプラスチックボトル10を握った際に、消費者の指が第2湾曲部323および第3湾曲部331にフィットして、消費者がプラスチックボトル10を持ちやすくすることができる。なお、滑らかに連続しているとは、滑らかに連続している場合のほか、設計上滑らかに連続しているが、製造上不可避的に生じる誤差や、プラスチックボトル10の製造後に、これらに熱や圧力等による変形が生じている場合も含む。
【0036】
この第2拡径部33の全体の高さH6(上下方向距離、図2参照)は、15mm以上200mm以下とすることが好ましい。この際、第3湾曲部331の高さH61(上下方向距離、図2参照)は、3mm以上150mm以下とすることが好ましい。また、第4湾曲部332の高さH62(上下方向距離、図2参照)は、5mm以上100mm以下とすることが好ましい。
【0037】
底部40は、平面視円形状であり、胴部30の第2拡径部33の下端に連結されている。底部40は、平面視円環形状の接地部41と、接地部41の径方向内側に位置する凹部42とを有している。凹部42は、接地部41から上方に向かって凹んでいる。底部40の外径D4(図2参照)は、20mm以上120mm以下とすることが好ましい。なお、底部40の平面形状は、楕円形状、または四角形形状等の多角形形状であっても良い。
【0038】
ここで、プラスチックボトル10は、上述した開口21の口径をD1とし、上述した胴部30の最大径をD2としたとき、
1≦D2/D1≦4
という関係を満たしている。このように、1≦D2/D1という関係を満たすことにより、胴部30に対して開口21が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10のバランスが悪くなることを抑制できる。この結果、プラスチックボトル10を正立させた際に、プラスチックボトル10が転倒してしまうことを抑制できる。また、D2/D1≦4という関係を満たすことにより、胴部30に対して開口21が小さくなり過ぎることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10に充填された飲料を消費者が取り出しやすくすることができる。さらに、D2/D1≦4という関係を満たすことにより、開口21に対して胴部30が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、消費者が胴部30を掴み難くなることを抑制できる。
【0039】
また、プラスチックボトル10は、円筒部20の重量をW1とし、胴部30および底部40の重量の合計をW2としたとき、
1≦W2/W1≦10
という関係を満たすことが好ましい。このように、1≦W2/W1という関係を満たすことにより、胴部30および底部40の重量の合計W2に対して円筒部20の重量W1が重くなり過ぎることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10のバランスが悪くなることを抑制できる。この結果、プラスチックボトル10を正立させた際に、プラスチックボトル10が転倒してしまうことを抑制できる。また、W2/W1≦10という関係を満たすことにより、円筒部20の重量W1に対して胴部30および底部40の重量の合計W2が重くなり過ぎることを抑制できる。ここで、重量W1に対して重量の合計W2が重くなり過ぎた場合、胴部30および底部40に使用する樹脂量が多くなり過ぎる場合がある。この場合、環境負荷が大きくなり得る。一方、W2/W1≦10という関係を満たすことにより、環境負荷を低減できる。また、W2/W1≦10という関係を満たすことにより、胴部30および底部40に使用する樹脂量が多くなり過ぎることを抑制できるため、プラスチックボトル10の容量が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、蓋材付きプラスチックボトル1を上下反転させた際に、プラスチックボトル10内に充填された内容物の重量によって、蓋材50がフランジ部22から剥がされてしまうことを抑制できる。
【0040】
このようなプラスチックボトル10の円筒部20、胴部30および底部40は、射出成形により得られたプリフォーム10A(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製される。この円筒部20、胴部30および底部40は、互いに一体的に形成されている。なお、プラスチックボトル10の全高H7(上下方向距離、図2参照)は、70mm以上320mm以下とすることが好ましい。
【0041】
また、円筒部20、胴部30および底部40は、それぞれポリエチレンテレフタレートを含んでいる。すなわち、プラスチックボトル10を形成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられている。これにより、プラスチックボトル10のリサイクル性を向上できるようになっている。なお、プラスチックボトル10のリサイクル性を考慮した場合、プラスチックボトル10は無色透明であることが好ましい。また、プラスチックボトル10に用いられるポリエチレンテレフタレートは、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートであってもよく、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートであってよい。
【0042】
このようなプラスチックボトル10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。
【0043】
また、プラスチックボトル10の周囲に、図示しないシュリンクフィルム等のフィルムやストレッチラベル等のラベルが貼着されていても良い。このフィルムやラベルには、プラスチックボトル10に収容される内容物に関する情報(文字、図柄等)が印刷されていても良い。また、プラスチックボトル10の外面に、プラスチックボトル10に収容される内容物に関する情報が印刷されていても良い。
【0044】
(蓋材)
次に、蓋材50について説明する。
【0045】
蓋材50は、樹脂製のフィルムによって構成されている。これにより、キャップを使用する場合と比較して、蓋材付きプラスチックボトル1を、弱い力で開封しやすくすることができる。蓋材50は、平面視略円形状を有しており、プラスチックボトル10のフランジ部22の平坦な上面に全周にわたってシールされている。このような蓋材50は、ポリエチレンテレフタレートを含んでいることが好ましい。これにより、蓋材付きプラスチックボトル1のリサイクル性を向上できる。蓋材50としては、例えば以下の層構成の積層体を用いることができる。
【0046】
(1)(外側)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm/ナイロンフィルム(Ny)15μm/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)30μm以上60μm以下(内側)
(2)(外側)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm/アルミニウム箔7μm/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)30μm(内側)
なお、バリア層としてアルミニウム箔ではなく、蒸着フィルムを使用してもよい。
【0047】
なお、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0048】
(プリフォーム)
次に、図4により、上述したプラスチックボトル10を製造する際に用いられるプリフォーム10Aの構成について説明する。
【0049】
図4に示すように、プリフォーム10Aは、開口21Aが設けられた円筒部20Aと、円筒部20Aの下方に設けられた胴部30Aと、胴部30Aの下方に設けられた底部40Aとを備えている。
【0050】
このうち円筒部20Aは、後述するフランジ部22Aまたはサポートリング23Aが形成された領域を除き円筒形状となっている。この円筒部20Aには、上述したように開口21Aが設けられている。円筒部20Aの開口21Aは、プラスチックボトル10の開口21に対応するものである。
【0051】
また、円筒部20Aは、上端に形成されたフランジ部22Aを有している。このフランジ部22Aは、プラスチックボトル10のフランジ部22に対応するものであり、フランジ部22と略同一の形状を有している。すなわち、プリフォーム10Aのフランジ部22Aの幅は、プラスチックボトル10のフランジ部22の幅Wf(図3参照)と等しくなっており、フランジ部22Aの幅は、1mm以上15mm以下とすることが好ましい。
【0052】
さらに、円筒部20Aは、サポートリング23Aを有している。このサポートリング23Aは、プラスチックボトル10のサポートリング23に対応するものであり、サポートリング23と略同一の形状を有している。このように、円筒部20Aがサポートリング23Aを有していることにより、プリフォーム10Aの搬送性を向上できる。
【0053】
次に、胴部30Aについて説明する。胴部30Aは、円筒部20Aの下端に連結され、円筒部20Aから下方に向けて延びている。また、胴部30Aの水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部30Aが楕円筒形状、または四角形筒形状等の多角形筒形状等の筒形状を有していてもよい。
【0054】
胴部30Aは、大径部31Aと、大径部31Aの下方に設けられ、円筒部20A側から底部40A側に向けて縮径する縮径部32Aと、縮径部32Aの下方に設けられた小径部33Aと、を有している。
【0055】
このうち大径部31Aは、円筒部20Aのサポートリング23Aの下端に連結されており、円筒形状をもっている。この大径部31Aの高さH8(上下方向距離)は、2mm以上10mm以下とすることが好ましい。また、大径部31Aの外径D5は、15mm以上48mm以下とすることが好ましく、28mm以上43mm以下であることがより好ましい。
【0056】
縮径部32Aは、大径部31Aの下端に連結されている。この縮径部32Aは、正面視で直線状に延びており、下方に向かうにつれてプリフォーム10Aの内側に向かうように傾斜している。この縮径部32の高さH9(上下方向距離)は、5mm以上80mm以下とすることが好ましい。
【0057】
小径部33Aは、縮径部32Aの下端に連結されており、円筒形状をもっている。この小径部33Aの高さH10(上下方向距離)は、5mm以上80mm以下とすることが好ましい。また、小径部33Aの外径D6は、10mm以上35mm以下とすることが好ましい。
【0058】
底部40Aは、上述したプラスチックボトル10の底部40に対応するものであり、略半球形状を有している。
【0059】
ここで、プリフォーム10Aは、円筒部20Aの重量をW3とし、胴部30Aおよび底部40Aの重量の合計をW4としたとき、
1≦W4/W3≦10
という関係を満たすことが好ましい。このように、1≦W4/W3という関係を満たすことにより、プリフォーム10Aから作製されたプラスチックボトル10において、胴部30および底部40の重量の合計W2に対して円筒部20の重量W1が重くなり過ぎることを抑制できる。また、W4/W3≦10という関係を満たすことにより、プリフォーム10Aから作製されたプラスチックボトル10において、円筒部20の重量W1に対して胴部30および底部40の重量の合計W2が重くなり過ぎることを抑制できる。
【0060】
このようなプリフォーム10Aの円筒部20A、胴部30Aおよび底部40Aは、合成樹脂製ペレットを射出成形することにより作製されたものである。この円筒部20、胴部30および底部40は、互いに一体的に形成されている。なお、胴部30Aおよび底部40Aの合計高さ(上下方向距離)H11は、20mm以上150mm以下とすることが好ましい。
【0061】
また、円筒部20A、胴部30Aおよび底部40Aは、それぞれポリエチレンテレフタレートを含んでいる。すなわち、プリフォーム10Aを形成する材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられている。これにより、プリフォーム10Aから作製されるプラスチックボトル10のリサイクル性を向上できるようになっている。
【0062】
蓋材付きプラスチックボトルの製造方法
次に図5(a)-(c)により、蓋材付きプラスチックボトル1の製造方法について述べる。
【0063】
まず、図4に示すプリフォーム10Aを準備する(図5(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10Aを作製しても良い。
【0064】
続いて、プリフォーム10Aを加熱し、その後、プリフォーム10Aをブロー成形用のブロー成形型60に装着する(図5(b)参照)。このブロー成形型60は、互いに分割された一対の胴部型61、62と、底部型63とを有している。この胴部型61、62および底部型63は、それぞれプラスチックボトル10の胴部30および底部40に対応する形状を有している。
【0065】
次に、図5(b)に示すように、ブロー用エアがプリフォーム10A内に吹き込まれることによって、ブロー成形型60のキャビティ内でプリフォーム10Aが成形品のプラスチックボトル10となるまで膨張する。このようにブロー成形型60内でプラスチックボトル10が成形された後、型開きし、プラスチックボトル10の完成品がブロー成形型60外へ取り出される。
【0066】
このようにして、図1乃至図3に示すプラスチックボトル10が得られる(図5(c)参照)。
【0067】
また、プラスチックボトル10を作製することと並行して、蓋材50を準備する。この際、所望の積層体をドライラミネート法等によって作製してもよい。その後、当該積層体を刃物等により所定の形状に打ち抜くことにより、蓋材50を作製する。
【0068】
次に、プラスチックボトル10に内容物を充填し、蓋材50によってプラスチックボトル10の開口21を封止する。この際、まず、プラスチックボトル10に内容物(図示せず)を充填する。次に、蓋材50をフランジ部22上に載置する。
【0069】
次いで、図示しないシール熱板等によって、蓋材50をフランジ部22にシールする。
【0070】
このようにして、プラスチックボトル10と、プラスチックボトル10の開口21を封止する蓋材50とを備える、蓋材付きプラスチックボトル1が得られる(図1参照)。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラスチックボトル10が、開口21が設けられた円筒部20と、円筒部20の下方に設けられた胴部30と、胴部30の下方に設けられた底部40とを備えている。また、円筒部20、胴部30および底部40が、それぞれポリエチレンテレフタレートを含んでいる。これにより、プラスチックボトル10のリサイクル性を向上できるようになっている。さらに、プラスチックボトル10が、開口21の口径をD1とし、胴部30の最大径をD2としたとき、
1≦D2/D1≦4
という関係を満たしている。このように、1≦D2/D1という関係を満たすことにより、胴部30に対して開口21が大きくなり過ぎることを抑制でき、プラスチックボトル10のバランスが悪くなることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10を正立させた際に、プラスチックボトル10が転倒してしまうことを抑制できる。また、D2/D1≦4という関係を満たすことにより、胴部30に対して開口21が小さくなり過ぎることを抑制でき、プラスチックボトル10に充填された飲料を消費者が取り出しやすくすることができる。さらに、D2/D1≦4という関係を満たすことにより、開口21に対して胴部30が大きくなり過ぎることを抑制でき、消費者が胴部30を掴み難くなることを抑制できる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、円筒部20が、上端に形成されたフランジ部22を有している。これにより、蓋材50を円筒部20にシールしやすくすることができる。このため、蓋材付きプラスチックボトル1の密封性を向上できる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、円筒部20が、サポートリング23を有している。これにより、プラスチックボトル10の搬送性を向上できる。
【0074】
さらに、本実施の形態によれば、胴部30が、円筒部20側から底部40側に向けて拡径する第1拡径部31と、第1拡径部31の下方に設けられ、円筒部20側から底部40側に向けて縮径する縮径部32と、縮径部32の下方に設けられ、円筒部20側から底部40側に向けて拡径する第2拡径部33と、を有している。これにより、消費者が胴部30を掴みやすくすることができる。
【0075】
なお、上述した本実施の形態において、円筒部20が、サポートリング23を有している例を示したが、これに限られない。例えば、図6に示すように、円筒部20が、サポートリングを有していなくてもよい。本変形例においても、プラスチックボトル10に充填された飲料を消費者が取り出しやすくすることができ、かつ、プラスチックボトル10のリサイクル性を向上できる。
【0076】
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 蓋材付きプラスチックボトル
10 プラスチックボトル
10A プリフォーム
20 円筒部
20A 円筒部
21 開口
21A 開口
22 フランジ部
22A フランジ部
23 サポートリング
23A サポートリング
30 胴部
30A 胴部
31 第1拡径部
31A 大径部
32 縮径部
32A 縮径部
33 第2拡径部
33A 小径部
40 底部
40A 底部
50 蓋材
図1
図2
図3
図4
図5
図6