(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175788
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】自動調理設備
(51)【国際特許分類】
A47J 44/00 20060101AFI20221117BHJP
A47L 15/24 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A47J44/00
A47L15/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082481
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 裕士
(72)【発明者】
【氏名】石渡 英治
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 祥平
【テーマコード(参考)】
3B082
4B053
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA08
4B053AA01
4B053BA19
4B053BJ02
4B053BL01
(57)【要約】
【課題】多種多様な具材を用いた多種多様な料理を簡便に自動調理可能な自動調理設備を提供すること。
【解決手段】具材を保管する具材ストッカー112を設備後方域に複数有する貯蔵装置110と、この貯蔵装置110の前方となる設備前方域に配置して具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置120と、貯蔵装置110と調理装置120との中間域に配置されて貯蔵装置側から調理装置側へ具材を運搬する運搬容器Cを保持する多関節ロボットアーム150と、貯蔵装置110と調理装置120と多関節ロボットアーム150とを少なくとも駆動制御する調理制御装置180とを備え、具材ストッカー112の供給口が、貯蔵装置110の前面で上下方向かつ左右方向に具材の種類毎に配列されて設けられ、具材ストッカー112毎の供給口112aと調理装置120の調理容器121とが、多関節ロボットアーム150の可動範囲内に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材を調理する自動調理設備であって、
前記具材を保管する具材ストッカーを設備後方域に複数有する貯蔵装置と、
該貯蔵装置の前方となる設備前方域に配置して前記具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置と、
前記貯蔵装置と前記調理装置との中間域に配置されて前記貯蔵装置側から前記調理装置側へ前記具材を運搬する運搬容器を保持する多関節ロボットアームと、
前記貯蔵装置と前記調理装置と前記多関節ロボットアームとを少なくとも駆動制御する調理制御装置とを備え、
前記具材ストッカーの供給口が、前記貯蔵装置の前面で上下方向かつ左右方向に前記具材の種類毎に配列されて設けられ、
前記具材ストッカー毎の供給口と前記調理装置の調理容器とが、前記多関節ロボットアームの可動範囲内に配置され、
前記調理制御装置が、前記貯蔵装置と前記多関節ロボットアームとを駆動制御して前記具材ストッカーの供給口から前記具材を前記運搬容器に放出させ、前記多関節ロボットアームと前記調理装置とを駆動制御して前記運搬容器に入った具材を前記調理装置の調理容器に投入させ、前記調理装置を駆動制御して前記調理容器に入った具材を撹拌調理させることを特徴とする自動調理設備。
【請求項2】
前記調理制御装置が前記多関節ロボットアームにより前記具材を前記運搬容器から前記調理装置の調理容器に移す際に、前記調理制御装置が前記調理容器の開口部を前記多関節ロボットアームに向けて傾かせている、または、前記調理制御装置が前記調理容器の開口部を鉛直上方に向かせていることを特徴とする請求項1に記載の自動調理設備。
【請求項3】
前記調理制御装置が前記多関節ロボットアームにより前記運搬容器を前記具材ストッカーの供給口まで移動させた後に、前記調理制御装置が前記具材ストッカーの供給口を開口させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動調理設備。
【請求項4】
前記調理装置の調理容器に液体食材を供給する液体食材供給装置が、前記調理装置の側方域に付設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動調理設備。
【請求項5】
前記調理制御装置が、前記液体食材供給装置を駆動制御し、
前記調理装置が、前記調理容器を加熱する容器加熱手段を有し、
前記液体食材供給装置が、前記液体食材を貯蔵する貯蔵タンクと、該貯蔵タンクから前記液体食材を汲み上げるポンプと、該ポンプから前記調理装置の調理容器に前記液体食材を供給する供給ホースとを有し、
前記調理制御装置が前記調理装置の容器加熱手段で前記調理容器を加熱している間、前記調理制御装置が前記液体食材供給装置の供給ホースを前記調理装置の調理容器の上方から退避させていることを特徴とする請求項4に記載の自動調理設備。
【請求項6】
前記調理装置の調理容器または前記運搬容器の少なくとも一方を洗浄する洗浄装置を備えていること特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動調理設備。
【請求項7】
未使用の運搬容器を多数平積み保管する運搬容器保管庫を備え、
該運搬容器保管庫が、前記多関節ロボットアームの可動範囲内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動調理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動調理設備に関するものであって、特に、調理容器に収容された具材を少なくとも撹拌調理する自動調理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食業界では調理人の確保、調理スキルの維持、調理環境の整備等の諸事情から、調理の自動化が進展するとともに、豊かな食文化の発展に伴って多種多様な食材による多種多様な料理の自動化が求められている。
そこで、従来の自動調理設備としては、設備上方域に配置されて貯留した複数種の食材をそれぞれ所要の分量で分配する食材保持分配モジュールと、この食材保持分配モジュールのほぼ下方域に配置されて食材を調理する調理モジュールと、これらの食材保持分配モジュールと調理モジュールとの中間域に配置されて食材保持分配モジュールより分配された食材を調理モジュールへ運ぶ移送モジュールとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10154762号明細書(特に、
図15、
図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような自動調理設備は、食材保持分配モジュールが調理モジュールのほぼ上方域に配置されていることによって、異なる食材を貯留した食材保持分配モジュールを水平方向に隣接させて配列しなければならないため、多種多様な料理に応じた多種多様な食材を取り揃えようとすると、設備全体の間口が長大化したり、食材保持分配モジュールから調理モジュールへの食材の移送操作が困難になったり、結局のところ、自動調理設備として保持できる食材の種類が制限されてしまうことで多種多様な料理を調理できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、多種多様な具材を用いた多種多様な料理を簡便に自動調理可能な自動調理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、具材を調理する自動調理設備であって、前記具材を保管する具材ストッカーを設備後方域に複数有する貯蔵装置と、該貯蔵装置の前方となる設備前方域に配置して前記具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置と、前記貯蔵装置と前記調理装置との中間域に配置されて前記貯蔵装置側から前記調理装置側へ前記具材を運搬する運搬容器を保持する多関節ロボットアームと、前記貯蔵装置と前記調理装置と前記多関節ロボットアームとを少なくとも駆動制御する調理制御装置とを備え、前記具材ストッカーの供給口が、前記貯蔵装置の前面で上下方向かつ左右方向に前記具材の種類毎に配列されて設けられ、前記具材ストッカー毎の供給口と前記調理装置の調理容器とが、前記多関節ロボットアームの可動範囲内に配置され、前記調理制御装置が、前記貯蔵装置と前記多関節ロボットアームとを駆動制御して前記具材ストッカーの供給口から前記具材を前記運搬容器に放出させ、前記多関節ロボットアームと前記調理装置とを駆動制御して前記運搬容器に入った具材を前記調理装置の調理容器に投入させ、前記調理装置を駆動制御して前記調理容器に入った具材を撹拌調理させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された自動調理設備の構成に加えて、前記調理制御装置が前記多関節ロボットアームにより前記具材を前記運搬容器から前記調理装置の調理容器に移す際に、前記調理制御装置が前記調理容器の開口部を前記多関節ロボットアームに向けて傾かせている、または、前記調理制御装置が前記調理容器の開口部を鉛直上方に向かせていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された自動調理設備の構成に加えて、前記調理制御装置が前記多関節ロボットアームにより前記運搬容器を前記具材ストッカーの供給口まで移動させた後に、前記調理制御装置が前記具材ストッカーの供給口を開口させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された自動調理設備の構成に加えて、前記調理装置の調理容器に液体食材を供給する液体食材供給装置が、前記調理装置の側方域に付設されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載された自動調理設備の構成に加えて、前記調理制御装置が、前記液体食材供給装置を駆動制御し、前記調理装置が、前記調理容器を加熱する容器加熱手段を有し、前記液体食材供給装置が、前記液体食材を貯蔵する貯蔵タンクと、該貯蔵タンクから前記液体食材を汲み上げるポンプと、該ポンプから前記調理装置の調理容器に前記液体食材を供給する供給ホースとを有し、前記調理制御装置が前記調理装置の容器加熱手段で前記調理容器を加熱している間、前記調理制御装置が前記液体食材供給装置の供給ホースを前記調理装置の調理容器の上方から退避させていることを報知することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された自動調理設備の構成に加えて、前記調理装置の調理容器または前記運搬容器の少なくとも一方を洗浄する洗浄装置を備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動調理設備の構成に加えて、未使用の運搬容器を多数平積み保管する運搬容器保管庫を備え、該運搬容器保管庫が、前記多関節ロボットアームの可動範囲内に配置されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の自動調理設備によれば、具材を保管する具材ストッカーを設備後方域に複数有する貯蔵装置と、この貯蔵装置の前方となる設備前方域に配置して具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置と、貯蔵装置と調理装置との中間域に配置されて貯蔵装置側から調理装置側へ具材を運搬する運搬容器を保持する多関節ロボットアームと、貯蔵装置と調理装置と多関節ロボットアームとを少なくとも駆動制御する調理制御装置とを備え、具材ストッカーの供給口が、貯蔵装置の前面で上下方向かつ左右方向に具材の種類毎に配列されて設けられ、具材ストッカー毎の供給口と調理装置の調理容器とが、多関節ロボットアームの可動範囲内に配置されていることにより、貯蔵装置に多種多様の具材が貯蔵されていても多関節ロボットアームが鉛直方向にも可動して具材を運搬容器に受け取れるため、調理制御装置によって、多関節ロボットアームが具材ストッカーの供給口から排出される具材を運搬容器で受け取ると共に運搬容器に入った具材を調理装置の調理容器に投入し、調理装置が調理容器に入った具材を撹拌調理して調理することが可能となり、多種多様な具材を用いた多種多様な料理を簡便に自動調理することができる。
【0014】
請求項2に係る発明の自動調理設備によれば、請求項1に係る発明の自動調理設備が奏する効果に加えて、調理制御装置が多関節ロボットアームにより具材を運搬容器から調理装置の調理容器に移す際に、調理制御装置が調理容器の開口部を多関節ロボットアームに向けて傾かせている、または、調理制御装置が調理容器の開口部を鉛直上方に向かせていることにより、多関節ロボットアームが運搬容器に入っている具材を調理容器内に入れ易くなるため、運搬容器に入っている具材を調理容器に投入する際に、具材を確実に投入することができる。
【0015】
請求項3に係る発明の自動調理設備によれば、請求項1または請求項2に係る発明の自動調理設備が奏する効果に加えて、調理制御装置が多関節ロボットアームにより運搬容器を具材ストッカーの供給口まで移動させた後に、調理制御装置が具材ストッカーの供給口を開口させることにより、運搬容器が具材ストッカーの供給口まで移動した状態で具材が運搬容器に放出されるため、具材ストッカーから運搬容器に具材を確実に放出することができる。
【0016】
請求項4に係る発明の自動調理設備によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の自動調理設備が奏する効果に加えて、調理装置の調理容器に液体食材を供給する液体食材供給装置が、調理装置の側方域に付設されていることにより、具材を撹拌調理する際に、具材が液体食材によって味付けされるため、より多様な料理を調理することができる。
【0017】
請求項5に係る発明の自動調理設備によれば、請求項4に係る発明の自動調理設備が奏する効果に加えて、調理制御装置が調理装置の容器加熱手段で調理容器を加熱している間、調理制御装置が液体食材供給装置の供給ホースを調理装置の調理容器の上方から退避させていることにより、液体食材供給装置の供給ホースが容器加熱手段によって加熱されないため、液体食材供給装置の供給ホースからの発火を防ぐことができる。
【0018】
請求項6に係る発明の自動調理設備によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に係る発明の自動調理設備が奏する効果に加えて、調理装置の調理容器または運搬容器の少なくとも一方を洗浄する洗浄装置を備えていることにより、調理容器または運搬容器の少なくとも一方を洗浄することで、調理容器または運搬容器の少なくとも一方を未使用のものに交換することなく繰り返し使えるため、より効率的に料理を自動調理することができる。
【0019】
請求項7に係る発明の自動調理設備によれば、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に係る発明の自動調理設備が奏する効果に加えて、運搬容器保管庫が、多関節ロボットアームの可動範囲内に配置されていることにより、多関節ロボットアームが使用済みの運搬容器を未使用の運搬容器に取り替えるだけで次の新しい料理を調理可能となるため、より効率的に料理を自動調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施例である自動調理設備100の右斜視図。
【
図5】
図1に示す調理装置120の調理装置本体122の右斜視図。
【
図6】
図1に示す自動調理設備100のシステム構成図。
【
図12】本発明の第2実施例である自動調理設備200の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の自動調理設備は、具材を保管する具材ストッカーを設備後方域に複数有する貯蔵装置と、この貯蔵装置の前方となる設備前方域に配置して具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置と、貯蔵装置と調理装置との中間域に配置されて貯蔵装置側から調理装置側へ具材を運搬する運搬容器を保持する多関節ロボットアームと、貯蔵装置と調理装置と多関節ロボットアームとを少なくとも駆動制御する調理制御装置とを備え、具材ストッカーの供給口が、貯蔵装置の前面で上下方向かつ左右方向に具材の種類毎に配列されて設けられ、具材ストッカー毎の供給口と調理装置の調理容器とが、多関節ロボットアームの可動範囲内に配置され、調理制御装置が、貯蔵装置と多関節ロボットアームとを駆動制御して具材ストッカーの供給口から具材を運搬容器に放出させ、多関節ロボットアームと調理装置とを駆動制御して運搬容器に入った具材を調理装置の調理容器に投入させ、調理装置を駆動制御して調理容器に入った具材を撹拌調理させることにより、多種多様な具材を用いた多種多様な料理を簡便に自動調理可能なものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0022】
例えば、本発明の自動調理設備は、主に飲食店の店舗内に設置されるが、本発明の自動調理設備の設置場所については、これに限られるものではなく、フードコート、事業所、家庭等に設置されてもよい。
【0023】
例えば、本発明の自動調理設備が調理する具材については、米や麺、野菜、魚、穀物、各種調味料等いかなる食材であってもよい。
【0024】
例えば、本発明の貯蔵装置における具材ストッカーの供給口の具体的な配置形態については、貯蔵装置の前面で上下方向かつ左右方向に具材の種類毎に配列されて設けられていれば如何なる配置形態であってもよく、貯蔵装置の前面が床面などの設置面に対してやや前傾又は後傾に傾斜したり、各供給口の位置が多少なりとも前後方向にオフセットされたり、あるいは、これらの組み合わせた配置形態であってもよい。
【0025】
例えば、具材ストッカー毎の供給口および調理装置の調理容器の具体的な配置位置は、具材ストッカー毎の供給口と調理装置の調理容器とが多関節ロボットアームの可動範囲内に配置されていれば如何なる配置であってもよく、調理装置が貯蔵装置と正対してもよいし、貯蔵装置の前方かつ側方に配置されていてもよい。
【実施例0026】
以下、
図1乃至
図11に基づいて、本発明の第1実施例である自動調理設備100を説明する。
【0027】
<1.自動調理設備の構造>
図1乃至
図6に基づいて、自動調理設備100の構造について説明する。
ここで、
図1は、本発明の第1実施例である自動調理設備100の右斜視図であり、
図2は、
図1に示す自動調理設備100の平面図であり、
図3は、
図1に示す自動調理設備100の右側面図であり、
図4は、
図1に示す貯蔵装置110の背面図であり、
図5は、
図1に示す調理装置120の調理装置本体122の右斜視図であり、
図6は、
図1に示す自動調理設備100のシステム構成図である。
なお、
図2および
図3では、貯蔵装置110の冷蔵庫111の扉を閉めている。
【0028】
まず、自動調理設備100は、具材を撹拌調理して料理を自動調理する設備であり、
図1乃至
図3に示すように、全体として床面Fに載置されている。
そして、この自動調理設備100は、具材を保管する貯蔵装置110と、具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置120と、この調理装置120の調理容器121に液体食材を供給する液体食材供給装置130と、調理装置120の調理容器121を洗浄する洗浄装置140とを備えている。
さらに、自動調理設備100は、貯蔵装置110と調理装置120との中間域に配置されて貯蔵装置110側から調理装置120側へ具材を運搬する運搬容器Cを保持する多関節ロボットアーム150と、未使用の皿Dを多数平積み保管する皿保管庫160と、未使用の運搬容器Cを多数平積み保管する運搬容器保管庫170と、
図6に示すような自動調理設備100の各装置を統合制御する調理制御装置180とを備えている。
【0029】
<1.1.貯蔵装置>
そして、
図2に示すように、前述した具材を保管する貯蔵装置110は、設備後方域に配置されている。
この貯蔵装置110は、
図1乃至
図4に示すように、床面Fに載置される直方体状の冷蔵庫111と、具材を保管する複数個の具材ストッカー112と、この具材ストッカー112の露出部分を覆うフードカバー113と、冷蔵庫111および具材ストッカー112を制御するコントローラー114とを有している。
【0030】
図4に示すように、上述した冷蔵庫111の内部には、棚111aが上下方向に複数段設置されている。
【0031】
さらに、具材ストッカー112は、
図4に示すように、棚111aに載置されており、左右方向に配列されている。
したがって、具材ストッカー112に保管されている具材は、貯蔵装置110によって冷蔵保管されている。
なお、本実施例では、1つの具材ストッカー112には、単一種類の具材のみが保管されている。
【0032】
また、具材ストッカー112は、前後方向に引き出し自在となっており、具材ストッカー112を冷蔵庫111より後方へ引き出すことで補充しなければならない具材を具材ストッカー112に投入することができる。
【0033】
さらに、
図1に示すように、具材ストッカー112の前端側は、冷蔵庫111に収容された状態において、冷蔵庫111から突出している。
この冷蔵庫111より突出した具材ストッカー112の前端下部には、
図3に示すように、開閉自在な供給口112aが形成されている。
すなわち、供給口112aは、
図1に示すように、貯蔵装置110の前面で上下方向かつ左右方向に具材の種類毎に配列されて設けられている。
そして、具材ストッカー112毎の供給口112a(すなわち、すべての供給口112a)は、
図2に示すように、多関節ロボットアーム150の可動範囲RA内に配置されている。
【0034】
フードカバー113は、
図1等に示すように、冷蔵庫111より突出した具材ストッカー112の前端上方を覆う左右方向に延びる部材であり、供給口112aから放出された具材が供給口112aの直下の具材ストッカー112に付着することを防いでいる。
【0035】
コントローラー114は、少なくとも冷蔵庫111内の温度調整と具材ストッカー112の供給口112aの開閉とを制御する。
【0036】
<1.2.調理装置>
調理装置120は、
図2に示すように、貯蔵装置110の前方となる設備前方域に配置されている。
そして、この調理装置120は、有底円筒状の金属製容器である調理容器121と、調理装置本体122とを複数有している。
調理装置本体122は、床面Fに載置される調理台122aと、調理容器121を保持する容器保持ユニット122bと、調理台122aと容器保持ユニット122bとの間に設けて容器保持ユニット122bを調理台122aに対して起伏させる回動ユニット122cと、容器保持ユニット122bと回動ユニット122cと少なくとも制御するコントローラー123とを備えている。
【0037】
ここで、
図1に示すように、調理台122aは、4本の脚を有する直方体状の台であり、水平な上面は平坦になっている。
さらに、この調理台122aの上面の前方側には、
図1に示すように、皿Dが配置されている。
【0038】
そして、前述した容器保持ユニット122bは、
図5に示すように、枢軸A1を中心に調理台122aの前後方向で起伏自在となるように調理台122aに枢設されている。
また、この容器保持ユニット122bは、
図5に示すように、回動ユニット122cと連結するベースフレーム122b1と、調理容器121を加熱する容器加熱手段122b2と、ベースフレーム122b1に設けて調理容器121の深さ方向に延びる中心軸を中心として調理容器121を自転させる容器自転機構122b3と、ベースフレーム122b1に枢設して調理容器121の自転を支持する自転支持機構122b4と、この自転支持機構122b4をベースフレーム122b1に対して調理台122aの前後方向に起伏自在に回動させる回動駆動機構122b5とを有している。
【0039】
ベースフレーム122b1は、側面視で扇形状となっており、
図5に示すように、前方に向かって傾斜する傾斜面を有している。
この傾斜面の前端からは、傾斜面に対してほぼ垂直に立ち上がる垂直面が形成されている。
【0040】
さらに、
図5に示すように、前述した容器加熱手段122b2は、ベースフレーム122b1の傾斜面に嵌め込まれている。
ここで、この容器加熱手段122b2は、表面が平坦であると共にベースフレーム122b1の傾斜面とほぼ面一になっている。
そして、この容器加熱手段122b2の表面は、調理容器121の外底面と離間対向している。
また、容器加熱手段122b2の内部には、コイルが設置されており、容器加熱手段122b2は、誘導加熱によって調理容器121を加熱する。
【0041】
さらに、前述した容器自転機構122b3は、ベースフレーム122b1に埋め込まれており、
図5に示すように、一部がベースフレーム122b1の垂直面から露出している円柱状のローラーと、このローラーを回転させる駆動モーターとを有している。
【0042】
また、
図5に示すように、前述した自転支持機構122b4は、回動軸A2を中心にベースフレーム122b1の前後方向で起伏自在となるようにベースフレーム122b1に枢設されている。
この自転支持機構122b4は、回動駆動機構122b5と係合するウォームギアと、調理容器121が挿入される環状部材と、この環状部材から調理容器121の脱落を防ぐ容器脱落防止部(
図3に示す調理容器121の下方鍔部121aを挟持する2つの押さえローラー)と、調理容器121が自転している際の偏心を抑制する容器偏心抑制部(調理容器121の外側面と当接する2つのローラー)とを有している。
【0043】
さらに、
図5に示すように、前述した回動駆動機構122b5は、ベースフレーム122b1の右側面に取り付けられた駆動モーターと、この駆動モーターの先端に取り付けられて駆動モーターと共に回転する伝達軸とを有している。
そして、この伝達軸は、
図5に示すように、外周に自転支持機構122b4のウォームギアと螺合する斜歯が形成された円筒ウォームである。
また、ベースフレーム122b1の底面が調理台122aの上面とほぼ平行を保って離間している
図5において、伝達軸は、上下方向に伸びている。
したがって、駆動モーターが駆動すると伝達軸が回転し、駆動モーターの動力は伝達軸と螺合している自転支持機構122b4のウォームギアを介して自転支持機構122b4の連結軸に伝達される。
よって、自転支持機構122b4が、ベースフレーム122b1に対して起伏する。
【0044】
図3に示すように、回動ユニット122cは、一端側が調理台122aと連結されたアクチュエーター122c1と、このアクチュエーター122c1の他端側と連結されてアクチュエーター122c1の長手方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に延びる連結軸122c2とを有している。
アクチュエーター122c1は、長手方向に伸縮自在となっている。
連結軸122c2は、
図5に示すように、容器保持ユニット122bのベースフレーム122b1の左側面と連結している。
【0045】
以上のように構成された調理装置120は、コントローラー123が容器保持ユニット122bの回動駆動機構122b5と回動ユニット122cとを駆動制御することで、具材を運搬容器Cから調理容器121に受け取らせる具材受取姿勢と、調理容器121を調理台122aに対して前傾させた状態で調理容器121を容器自転機構122b3により自転させて具材を撹拌する調理姿勢と、容器保持ユニット122bを調理台122aに対して調理姿勢よりも前傾させて調理容器121を容器保持ユニット122bの前方側に配置された皿Dに向けて俯けた盛付姿勢と、容器保持ユニット122bの自転支持機構122b4をベースフレーム122b1に対して後傾させて容器保持ユニット122bの後方側で調理容器121を洗浄する洗浄姿勢とのいずれかに容器保持ユニット122bを変化させている。
なお、調理装置120の調理容器121の開口部121bは、具材受取姿勢において、多関節ロボットアーム150の可動範囲RA内に配置されている。
【0046】
また、容器保持ユニット122bの調理台122aに対する枢軸A1は、
図5に示すように、側面視において容器保持ユニット122bの自転支持機構122b4のベースフレーム122b1に対する回動軸A2よりも前方側に離間して配置されている。
これにより、盛付姿勢における調理容器121の前後方向の位置と、洗浄姿勢における調理容器121の前後方向の位置とが、単一の回転軸によって調理容器121を調理台122aの前後方向に対して回動させた場合に比べて前後方向に遠ざかるため、調理容器121を洗浄姿勢において洗浄する際に、調理容器121の内面を洗浄する洗浄水や調理容器121の内面に付着した汚れが皿Dに飛び散りにくくなり、料理や料理の盛り付けられる皿Dを汚さずに調理容器121を清掃することができる。
【0047】
<1.3.液体食材供給装置>
図2に示すように、液体食材供給装置130は、調理装置120の後方側の右側方域に付設されている。
この液体食材供給装置130は、
図1乃至
図3に示すように、液体食材(例えば、液体調味料、水、スープなど)を貯蔵する複数の貯蔵タンク131と、この貯蔵タンク131が載置される載置台132と、貯蔵タンク131から液体食材を汲み上げるポンプ133と、このポンプ133から調理装置120の調理容器121に液体食材を供給する供給ホース134とを有している。
【0048】
1つの貯蔵タンク131には、1種類の液体食材が貯蔵されている。
ポンプ133および供給ホース134は、少なくとも貯蔵タンク131の個数に応じた個数となっており、さらに調理効率化のために、調理容器121の個数も加味した個数となっている。
供給ホース134は、不図示のホース移動機構により、上下前後左右方向にそれぞれ移動自在となっている。
【0049】
<1.4.洗浄装置>
洗浄装置140は、
図2及び
図3に示すように、調理装置120の後方に隣接配置されており、上面141が前方に向かって傾斜している。
上面141には、
図2および
図3に示すように、円筒状の開口部141aが形成されており、この開口部141aの内側には洗浄水を噴射する洗浄ノズル142が設置されている。
また、洗浄装置140は、
図3に示すように、給水源(不図示)と洗浄ノズル142とを結ぶ流路に配置されて流路を開閉する電磁弁143を有している。
【0050】
自動調理設備100がこの洗浄装置140を備えていることにより、自動調理設備100は調理をする度に調理後の調理容器121を未使用の調理容器121に交換することなく繰り返し使うことができる。
【0051】
<1.5.多関節ロボットアーム>
図3に示すように、多関節ロボットアーム150は、床面Fに設置され、5軸のロボットアーム本体151と、このロボットアーム本体151の先端に接続されて運搬容器Cを保持する容器保持機構152とを有している。
容器保持機構152は、運搬容器Cを保持する爪152aと、運搬容器Cとの間で負圧を発生させて運搬容器Cを吸着する吸着パッド(不図示)とを有している。
多関節ロボットアーム150が容器保持機構152を有していることにより、ロボットアーム本体151を駆動させて運搬容器Cを傾けたとしても、運搬容器Cが容器保持機構152の爪152aから脱落しにくくなっている。
【0052】
<1.6.皿保管庫、運搬容器保管庫>
図1および
図2に示すように、皿保管庫160は、多関節ロボットアーム150の側方域に付設されている。
この皿保管庫160には、未使用の皿Dが多数平積み保管されている。
【0053】
運搬容器保管庫170は、
図2に示すように、調理装置120の前方側の右側方域(すなわち、液体食材供給装置130の前方)に付設され、多関節ロボットアーム150の可動範囲RA内に配置されている。
この運搬容器保管庫170により、自動調理設備100は、多関節ロボットアーム150が使用済みの運搬容器Cを未使用の運搬容器Cに取り替えるだけで次の新しい料理を調理可能となるため、より効率的に料理を自動調理することができる。
【0054】
<1.7.調理制御装置>
調理制御装置180は、少なくとも6に示すように、貯蔵装置110を制御する貯蔵装置制御部181と、調理装置120を制御する調理装置制御部182と、液体食材供給装置130を制御する液体食材供給装置制御部183と、洗浄装置140を制御する洗浄装置制御部184と、多関節ロボットアーム150を制御する多関節ロボットアーム制御部185とを有している。
【0055】
<2.自動調理設備による自動調理>
次に、
図3および
図7乃至
図11に基づいて、自動調理設備100による自動調理について説明する。
図7は、調理容器への具材投入を説明する図であり、
図8は、調理容器への液体食材投入を説明する図であり、
図9は、撹拌調理を説明する図であり、
図10は、皿への料理の盛り付けを説明する図であり、
図11は、調理容器の洗浄を説明する図である。
なお、下記の手順は、あくまで一例であり、下記の手順に限定されるものではない。
【0056】
<2.1.具材の取り出し>
まず、
図3に基づき、具材の取り出しを説明する。
自動調理設備100は、所定の料理を調理する料理調理指示を受け取ると、調理制御装置180は、多関節ロボットアーム150のロボットアーム本体151を駆動制御して、運搬容器保管庫170より未使用の運搬容器Cを把持する。
【0057】
次に、調理制御装置180は、貯蔵装置110と多関節ロボットアーム150とを駆動制御して、具材ストッカー112の供給口112aから具材を運搬容器Cに放出させる。
【0058】
具体的には、調理制御装置180は、多関節ロボットアーム150のロボットアーム本体151を駆動制御して、運搬容器Cを所定の料理に必要な具材が入った貯蔵装置110の具材ストッカー112の供給口112aの直下まで移動させる。
図3のように運搬容器Cが所定の料理に必要な具材が入った貯蔵装置110の具材ストッカー112の供給口112aの直下に到達した後、調理制御装置180は、この具材ストッカー112の供給口112aを開口させ、所定の料理に必要な量を具材ストッカー112から運搬容器Cに放出させる。
以降、運搬容器Cに所定の料理に必要な具材が全て入るまで、具材ストッカー112から運搬容器Cへの具材の放出を繰り返す。
【0059】
なお、運搬容器Cが所定の料理に必要な具材の入った具材ストッカー112の供給口112aの直下に到達したか否かの検知は、具材ストッカー112に設けた運搬容器検知機構に基づいてもよいし、多関節ロボットアーム150の姿勢及び位置に基づいてもよい。
また、具材ストッカー112から運搬容器Cに放出する具材の量については、具材ストッカー112の供給口112aの開口時間であってもよいし、具材ストッカー112の内部に設けた具材計量機構および具材取り分け機構によってもよい。
【0060】
<2.2.具材の調理容器への投入>
次に、
図7に基づき、具材の調理容器121への投入について説明する。
調理制御装置180は、調理装置120と多関節ロボットアーム150とを駆動制御して、運搬容器Cに入った具材を調理装置120の調理容器121に投入する。
【0061】
具体的には、調理制御装置180は、
図7に示すような調理装置120に具材受取姿勢を取らせる。
すなわち、具材受取姿勢では、ベースフレーム122b1の底面が調理台122aの上面とほぼ平行を保って離間していると共に調理容器121の開口部121bを多関節ロボットアーム150に向かせて傾かせて多関節ロボットアーム150に対向させている。
この状態で、調理制御装置180は、多関節ロボットアーム150を駆動制御して、運搬容器Cを調理容器121の開口部121b付近まで移動させて、運搬容器Cを調理容器121に向けて傾ける。
これにより、運搬容器Cに入った具材が、調理容器122に投入される。
ここで、多関節ロボットアーム150が容器把持機構152を有していることにより、
図7のように運搬容器Cが傾いたとしても、運搬容器Cが多関節ロボットアーム150から脱落することはない。
【0062】
<2.3.液体食材の調理容器への供給>
次に、
図8に基づき、液体食材の調理容器121への供給について説明する。
調理制御装置180は、調理装置120と多関節ロボットアーム150とを駆動制御して、運搬容器Cに入った具材を調理装置120の調理容器121に供給する。
【0063】
具体的には、具材の調理容器121への投入が終了すると、調理制御装置180は、多関節ロボットアーム150に使用済みの運搬容器Cを不図示の容器載置台に置かせ、運搬容器保管庫170より未使用の運搬容器Cを把持させ、
図8のように調理装置120から退避させる。
そして、
図8に示すように、液体食材供給装置130の供給ホース134の先端を調理容器121の開口部121bの直上に位置するまで供給ホース134を伸ばす。
この状態で、調理制御装置180は、液体食材供給装置130のポンプ133を駆動して所定の料理に必要な液体食材を調理容器121に供給させる。
液体食材の調理容器121への供給が終了すると、調理制御装置180は、供給ホース134を調理装置120の上方から退避させる。
【0064】
<2.4.撹拌調理>
次に、
図9に基づき、具材の撹拌調理について説明する。
調理制御装置180は、調理装置120を駆動制御して
図9のような調理姿勢を取らせ、調理容器121に投入された具材を撹拌調理して、所定の料理を調理する。
【0065】
具体的には、調理制御装置180は、調理容器121を調理台122aに対して(すなわち、水平面に対して)前傾させた状態で調理容器121を容器自転機構122b3により中心軸PCを中心に自転させて、具材および液体食材を調理容器120の中で撹拌する。
この状態で、容器加熱手段122b2に通電して交流電流を印加することで、容器加熱手段122b2に当該交流電流と同じ周波数で交番する磁束が発生し、調理容器121に誘導電流が発生して調理容器121が発熱する。
この調理姿勢における容器加熱手段122b2による調理容器121への加熱は、必ずしも断続的に行う必要は無く、料理内容に応じて適宜加熱したり加熱を止めたりしてもよい。
【0066】
なお、調理制御装置180が調理装置120の容器加熱手段122b2で調理容器121を加熱している間、液体食材供給装置130の供給ホース134を調理装置120の調理容器121の上方から退避している。
これにより、供給ホース134が容器加熱手段122b2によって加熱された調理容器121によって加熱されないため、供給ホース134からの発火を防ぐことができる。
【0067】
<2.5.皿への料理の盛り付け>
次に、
図10に基づき、皿への料理の盛り付けについて説明する。
調理制御装置180は、調理装置120を駆動制御して
図10のような盛付姿勢を取らせ、調理容器121に入った料理を皿Dへ盛り付させる。
【0068】
具体的には、
図10に示すように、盛付姿勢では、調理制御装置180は、回動ユニット122cのアクチュエーター122c1を伸ばしてベースフレーム122b1の底面が調理台122aの上面に対して傾斜させる共に調理容器121の上方鍔部121cがベースフレーム122b1の傾斜面とほぼ平行を保たせている。
したがって、盛付姿勢では、調理容器121は皿Dに対して前傾になり、調理容器121内の料理が皿Dに向かって滑落する。
このとき、容器保持ユニット122bの容器脱落防止部によって調理容器121の下方鍔部121aが挟持されているため、調理容器121が容器保持ユニット122bから脱落することはない。
【0069】
なお、盛付姿勢において、容器加熱手段122b2により調理容器121への加熱を行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0070】
<2.6.調理容器の洗浄>
最後に、
図11に基づき、調理容器121の洗浄について説明する。
調理制御装置180は、調理装置120を駆動制御して
図11のような洗浄姿勢を取らせ、洗浄装置140に調理容器121を洗浄させる。
【0071】
具体的には、
図11に示すように、洗浄姿勢では、ベースフレーム122b1の底面を調理台122aのほぼ平行を保って離間させている共に調理容器121の上方鍔部121cが洗浄装置140の上面141とほぼ平行を保たせている。
したがって、洗浄姿勢では、調理容器121の内底面が洗浄装置140の開口部141aと対向している。
すなわち、調理容器121の開口部121bが、下方に向けられていることになる。
【0072】
この状態で、調理制御装置180は、洗浄装置140の電磁弁143を開く。
これにより、洗浄水Wが洗浄ノズル142より噴射され、調理容器121の内面が洗浄される。
なお、調理容器121の開口部121bが、下方に向けられているので、調理容器121の内面が洗浄水Wによって洗浄されている際に、調理容器121の内面に付着した汚れが洗浄水と共に流下し、調理容器121を洗浄姿勢で洗浄した後に、調理容器121の内面に洗浄水や汚れを残しにくくすることができる。
【0073】
また、洗浄姿勢においては、容器保持ユニット122bの容器脱落防止部によって調理容器121の下方鍔部121aが挟持されているため、調理容器121は、容器保持ユニット122bから脱落することはない。
【0074】
<3.自動調理設備100が奏する効果>
以上説明した本発明の第1実施例である自動調理設備100によれば、具材を保管する具材ストッカー112を設備後方域に複数有する貯蔵装置110と、この貯蔵装置110の前方となる設備前方域に配置して具材を撹拌調理して料理を調理する調理装置120と、貯蔵装置110と調理装置120との中間域に配置されて貯蔵装置側から調理装置側へ具材を運搬する運搬容器Cを保持する多関節ロボットアーム150と、貯蔵装置110と調理装置120と多関節ロボットアーム150とを少なくとも制御する調理制御装置180とを備え、具材ストッカー112の供給口112aが、貯蔵装置110の前面で上下方向かつ左右方向に具材の種類毎に配列されて設けられ、具材ストッカー112毎の供給口112aと調理装置120の調理容器121とが、多関節ロボットアーム150の可動範囲内に配置されていることにより、貯蔵装置110に多種多様の具材が貯蔵されていても多関節ロボットアーム150が鉛直方向にも可動して具材を運搬容器Cに受け取れるため、調理制御装置180によって、多関節ロボットアーム150が具材ストッカー112の供給口112aから排出される具材を運搬容器Cで受け取ると共に運搬容器Cに入った具材を調理装置120の調理容器121に投入し、調理装置120が調理容器121に入った具材を撹拌調理して調理することが可能となり、多種多様な具材を用いた多種多様な料理を簡便に自動調理することができる。
【0075】
また、調理制御装置180が多関節ロボットアーム150により具材を運搬容器Cから調理装置120の調理容器121に移す際に、調理制御装置180が、調理容器121の開口部を多関節ロボットアーム150に向けて傾かせていることにより、多関節ロボットアーム150が運搬容器Cに入っている具材を調理容器121内に入れ易くなるため、運搬容器Cに入っている具材を調理容器121に投入する際に、具材を確実に投入することができる。
【0076】
また、調理制御装置180が、多関節ロボットアーム150により運搬容器Cを具材ストッカー112の供給口112aまで移動させた後に、具材ストッカー112の供給口112aを開口させることにより、運搬容器Cが具材ストッカー112の供給口112aまで移動した状態で具材が運搬容器Cに放出されるため、具材ストッカー112から運搬容器Cに具材を確実に放出することができる。
【0077】
また、調理装置120の調理容器121に液体食材を供給する液体食材供給装置130が、調理装置120の側方域に付設されていることにより、具材を撹拌調理する際に、具材が液体食材によって味付けされるため、より多様な料理を調理することができる。
【0078】
調理制御装置180が調理装置120の容器加熱手段122b2で調理容器121を加熱している間、調理制御装置180が、液体食材供給装置130の供給ホース134を調理装置120の調理容器121の上方から退避させていることにより、液体食材供給装置130の供給ホース134からの発火を防ぐことができる。
第2実施例の自動調理設備200は、第1実施例の自動調理設備100の調理装置120、液体食材供給装置130、洗浄装置140、皿保管庫160の位置を変更した自動調理設備である。
そして、第2実施例の自動調理設備200の多くの要素も、第1実施例の自動調理設備100と共通するので、共通する事項については、100番台の符号を200番台の符号に対応させて読み替えることにより、その詳しい説明を省略する。
例えば、上述した実施例において、貯蔵装置は、冷蔵庫を有していたが、具材ストッカーを設置できれば、冷凍庫を有していてもよいし、冷蔵冷凍装置を有さない貯蔵庫を有していてもよいし、冷蔵庫と冷凍庫と貯蔵庫とを合わせて有してもよい。
例えば、上述した実施例において、1つの具材ストッカーには、単一種類の具材のみが保管されていたが、1つの具材ストッカーに複数の具材をまとめて保管してもよい。
例えば、上述した実施例において、自動調理設備は、所定の料理を調理する料理調理指示により、具材の取り出し、具材の調理容器への投入、液体食材の調理容器への供給、撹拌調理、皿への料理の盛り付け、調理容器の洗浄を自動的に行っていたが、必ずしも一連の動作を自動的に行う必要はない。
すなわち、自動調理設備は、指示により、具材の取り出し、具材の調理容器への供給、液体食材の調理容器への供給、撹拌調理、皿への料理の盛り付け、調理容器の洗浄の一部だけを行ってもよい。
また、上記各動作の順番は、調理する料理や設置環境に応じて適宜入れ替えてもよい。
例えば、上述した実施例において、自動調理設備は、所定の料理に必要な具材を全て運搬容器に入れた後に調理容器に具材を投入していたが、具材を1つずつ調理容器に投入してもよい。
例えば、上述した実施例において、調理制御装置が多関節ロボットアームにより具材を運搬容器から調理装置の調理容器に移す際に、調理制御装置が調理容器の開口部を多関節ロボットアームに向けて傾かせていたが、調理制御装置が多関節ロボットアームにより具材を運搬容器から調理装置の調理容器に移す際に、調理制御装置が調理容器の開口部を鉛直上方に向かせてもよい。