(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175791
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】自動調理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20221117BHJP
A47J 36/16 20060101ALI20221117BHJP
A47J 36/34 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A47J27/14 D
A47J27/14 E
A47J36/16 Z
A47J36/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082484
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 裕士
(72)【発明者】
【氏名】石渡 英治
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 祥平
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA03
4B054AA04
4B054CD10
4B055AA24
4B055BA56
4B055CD58
4B055EA02
4B055EA05
(57)【要約】
【課題】料理や料理の分配される皿を汚さずに調理容器を清掃する自動調理装置を提供すること。
【解決手段】制御ユニット160が、容器保持ユニット130の回動駆動機構と回動ユニット150とを駆動制御して、具材Iを調理容器110に供給する具材供給装置から具材Iを調理容器110に受け取らせる具材受取姿勢と、調理容器110を調理台120に対して前傾させた状態で調理容器110を容器自転機構133により自転させて具材Iを撹拌する調理姿勢と、容器保持ユニット130を調理台120に対して調理姿勢よりも前傾させて調理容器110を容器保持ユニット130の前方側に配置された皿Dに向けて俯けた盛付姿勢と、容器保持ユニット130の自転支持機構134をベースフレーム131に対して後傾させて容器保持ユニット130の後方側で調理容器110を洗浄する洗浄姿勢とのいずれかに容器保持ユニット130を変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理台の前後方向で起伏自在に枢設して有底円筒状の調理容器を保持する容器保持ユニットと、前記調理台と前記容器保持ユニットとの間に設けて前記容器保持ユニットを前記調理台に対して起伏させる回動ユニットと、前記容器保持ユニットおよび前記回動ユニットを駆動制御する制御ユニットとを備え、前記調理容器に収容された具材を少なくとも撹拌調理する自動調理装置であって、
前記容器保持ユニットが、前記回動ユニットと連結するベースフレームと、該ベースフレームに設けて前記調理容器の深さ方向に延びる中心軸を中心として前記調理容器を自転させる容器自転機構と、前記ベースフレームに枢設して前記調理容器の自転を支持する自転支持機構と、該自転支持機構を前記ベースフレームに対して前記調理台の前後方向で起伏自在に回動させる回動駆動機構とを有し、
前記容器保持ユニットの前記調理台に対する枢軸が、前記容器保持ユニットの前記自転支持機構の前記ベースフレームに対する回動軸よりも前方側に離間して配置され、
前記制御ユニットが、前記容器保持ユニットの回動駆動機構と前記回動ユニットとを駆動制御して、前記具材を前記調理容器に供給する具材供給装置から前記具材を前記調理容器に受け取らせる具材受取姿勢と、前記調理容器を前記調理台に対して前傾させた状態で前記調理容器を前記容器自転機構により自転させて前記具材を撹拌する調理姿勢と、前記容器保持ユニットを前記調理台に対して前記調理姿勢よりも前傾させて前記調理容器を前記容器保持ユニットの前方側に配置された皿に向けて俯けた盛付姿勢と、前記容器保持ユニットの自転支持機構を前記ベースフレームに対して後傾させて前記容器保持ユニットの後方側で前記調理容器を洗浄する洗浄姿勢とのいずれかに前記容器保持ユニットを変化させることを特徴とする自動調理装置。
【請求項2】
前記調理容器の開口部が、前記洗浄姿勢において下方に向けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動調理装置。
【請求項3】
前記容器保持ユニットが、前記調理姿勢において前記調理容器の外底面と離間対向して前記調理容器を加熱する容器加熱部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動調理装置。
【請求項4】
前記調理容器が、前記容器保持ユニットに対して着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動調理装置。
【請求項5】
前記調理容器が、前記調理容器の内底面または内側面に設けて前記調理容器の内部空間に向けて突出する撹拌部材を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動調理装置に関するものであって、特に、調理容器に収容された具材を少なくとも撹拌調理する自動調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食業界では調理人の確保、調理スキルの維持、調理環境の整備等の諸事情から、調理業務の自動化が進展している。
そこで、従来の自動調理装置としては、自転自在に撹拌調理する深鍋と、この深鍋の外周壁面に横付けして隣接配置した誘導加熱プレートと、深鍋を具材の受取姿勢、具材の加熱混合姿勢、料理の分配姿勢および深鍋の清掃姿勢を呈するそれぞれの位置に動作させる駆動機構とを備えた自動調理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0329419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような自動調理装置では、料理の分配姿勢と深鍋の清掃姿勢とにおける深鍋が、共に装置手前側に位置するように構成されている。
したがって、清掃姿勢で深鍋を清掃する際の清掃水が料理の分配された皿に向けて飛び散るため、料理自体や料理の分配される皿が汚れる恐れがあった。
【0005】
また、上述したような自動調理装置には、誘導加熱プレートが深鍋の外周壁面に横付けして隣接配置されていることにより、誘導加熱プレートが深鍋の外周壁面の母線上で最接近した加熱状態となるため、深鍋に対する熱伝達効率を充分に発揮することができず、その結果、短時間で強火の火力を必要とする、例えば、炒め物などの料理を短時間で調理することができないという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の主たる目的は、料理や料理の分配される皿を汚さずに調理容器を清掃する自動調理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、調理台の前後方向で起伏自在に枢設して有底円筒状の調理容器を保持する容器保持ユニットと、前記調理台と前記容器保持ユニットとの間に設けて前記容器保持ユニットを前記調理台に対して起伏させる回動ユニットと、前記容器保持ユニットおよび前記回動ユニットを駆動制御する制御ユニットとを備え、前記調理容器に収容された具材を少なくとも撹拌調理する自動調理装置であって、前記容器保持ユニットが、前記回動ユニットと連結するベースフレームと、該ベースフレームに設けて前記調理容器の深さ方向に延びる中心軸を中心として前記調理容器を自転させる容器自転機構と、前記ベースフレームに枢設して前記調理容器の自転を支持する自転支持機構と、該自転支持機構を前記ベースフレームに対して前記調理台の前後方向で起伏自在に回動させる回動駆動機構とを有し、前記容器保持ユニットの前記調理台に対する枢軸が、前記容器保持ユニットの前記自転支持機構の前記ベースフレームに対する回動軸よりも前方側に離間して配置され、前記制御ユニットが、前記容器保持ユニットの回動駆動機構と前記回動ユニットとを駆動制御して、前記具材を前記調理容器に供給する具材供給装置から前記具材を前記調理容器に受け取らせる具材受取姿勢と、前記調理容器を前記調理台に対して前傾させた状態で前記調理容器を前記容器自転機構により自転させて前記具材を撹拌する調理姿勢と、前記容器保持ユニットを前記調理台に対して前記調理姿勢よりも前傾させて前記調理容器を前記容器保持ユニットの前方側に配置された皿に向けて俯けた盛付姿勢と、前記容器保持ユニットの自転支持機構を前記ベースフレームに対して後傾させて前記容器保持ユニットの後方側で前記調理容器を洗浄する洗浄姿勢とのいずれかに前記容器保持ユニットを変化させることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された自動調理装置の構成に加えて、前記調理容器の開口部が、前記洗浄姿勢において下方に向けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された自動調理装置の構成に加えて、前記容器保持ユニットが、前記調理姿勢において前記調理容器の外底面と離間対向して前記調理容器を加熱する容器加熱部を有していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された自動調理装置の構成に加えて、前記調理容器が、前記容器保持ユニットに対して着脱自在に装着されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された自動調理装置の構成に加えて、前記調理容器が、前記調理容器の内底面または内側面に設けて前記調理容器の内部空間に向けて突出する撹拌部材を有していることを報知することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御ユニットが、容器保持ユニットの回動駆動機構と回動ユニットとを駆動制御して、容器保持ユニットを具材受取姿勢と、調理姿勢と、盛付姿勢と、洗浄姿勢とのいずれかに変化させることにより、容器保持ユニットを具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢の順番に変化させるだけで、具材を撹拌調理して皿に盛り付けられるため、容器保持ユニットを具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢、洗浄姿勢の順番に変化させることを繰り返すと、大量の料理を自動で調理することができるだけでなく、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
すなわち、請求項1に係る発明の自動調理装置によれば、容器保持ユニットの調理台に対する枢軸が、容器保持ユニットの自転支持機構のベースフレームに対する回動軸よりも前方側に離間して配置され、制御ユニットが、容器保持ユニットの回動駆動機構と回動ユニットとを駆動制御して、容器保持ユニットを調理台に対して調理姿勢よりも前傾させて調理容器を容器保持ユニットの前方側に配置された皿に向けて俯けた盛付姿勢と、容器保持ユニットの自転支持機構をベースフレームに対して後傾させて容器保持ユニットの後方側で調理容器を洗浄する洗浄姿勢とに少なくとも容器保持ユニットを変化させることにより、盛付姿勢における調理容器の前後方向の位置と洗浄姿勢における調理容器の前後方向の位置とが、単一の回転軸によって調理容器を調理台の前後方向に対して回動させた場合に比べて前後方向に遠ざかるため、調理容器を洗浄姿勢において洗浄する際に、調理容器の内面を洗浄する洗浄水や調理容器の内面に付着した汚れが皿に飛び散りにくくなり、料理や料理の盛り付けられる皿を汚さずに調理容器を清掃することができる。
【0014】
請求項2に係る発明の自動調理装置によれば、請求項1に係る発明の自動調理装置が奏する効果に加えて、調理容器の開口部が、洗浄姿勢において下方に向けられていることにより、調理容器の内面が洗浄水によって洗浄されている際に、調理容器の内面に付着した汚れが洗浄水と共に流下するため、調理容器を洗浄姿勢で洗浄した後に、調理容器の内面に洗浄水や汚れを残しにくくすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明の自動調理装置によれば、請求項1または請求項2に係る発明の自動調理装置が奏する効果に加えて、容器保持ユニットが、調理姿勢において調理容器の外底面と離間対向して調理容器を加熱する容器加熱部を有していることにより、調理姿勢において容器保持ユニットの容器加熱部が調理容器の外底面との間で十分な対向面積を確保しながら調理容器の底部を加熱するため、調理姿勢において調理容器を滑らかに自転させつつ調理容器をムラなく加熱することができる。
【0016】
請求項4に係る発明の自動調理装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の自動調理装置が奏する効果に加えて、調理容器が、容器保持ユニットに対して着脱自在に装着されていることにより、装置全体を分解することなく調理容器のみを取り外すことが可能になるため、調理容器を簡便に保守メンテナンスすることができる。
【0017】
請求項5に係る発明の自動調理装置によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係る発明の自動調理装置が奏する効果に加えて、調理容器が、調理容器の内底面または内側面に設けて調理容器の内部空間に向けて突出する撹拌部材を有していることにより、調理姿勢において調理容器を自転させている際に、調理容器の鉛直下方側に具材が偏っても十分に撹拌されるため、具材を撹拌ムラなく均一に撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例である自動調理装置100の左斜視図。
【
図2】
図1に示す自動調理装置100から調理容器110を取り外した状態の要部拡大右斜視図。
【
図4】
図1に示す自動調理装置100のシステム構成図。
【
図5】
図1に示す自動調理装置100の具材受取姿勢における右側面図。
【
図6A】
図1に示す自動調理装置100の調理姿勢における右側面図。
【
図6B】
図1に示す自動調理装置100の調理姿勢における要部断面図。
【
図7】
図1に示す自動調理装置100の盛付姿勢における左側面図。
【
図8】
図1に示す自動調理装置100の洗浄姿勢における左側面図。
【
図9A】本発明の第2実施例である自動調理装置200の容器脱落防止部234eを閉状態とした要部断面図。
【
図9B】本発明の第2実施例である自動調理装置200の容器脱落防止部234eを開状態とした要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、調理台の前後方向で起伏自在に枢設して有底円筒状の調理容器を保持する容器保持ユニットと、調理台と容器保持ユニットとの間に設けて容器保持ユニットを調理台に対して起伏させる回動ユニットと、容器保持ユニットおよび回動ユニットを駆動制御する制御ユニットとを備え、調理容器に収容された具材を少なくとも撹拌調理する自動調理装置であって、容器保持ユニットが、回動ユニットと連結するベースフレームと、このベースフレームに設けて調理容器の深さ方向に延びる中心軸を中心として調理容器を自転させる容器自転機構と、ベースフレームに枢設して調理容器の自転を支持する自転支持機構と、この自転支持機構をベースフレームに対して調理台の前後方向で起伏自在に回動させる回動駆動機構とを有し、容器保持ユニットの調理台に対する枢軸が、容器保持ユニットの自転支持機構のベースフレームに対する回動軸よりも前方側に離間して配置され、制御ユニットが、容器保持ユニットの回動駆動機構と回動ユニットとを駆動制御して、具材を調理容器に供給する具材供給装置から具材を調理容器に受け取らせる具材受取姿勢と、調理容器を調理台に対して前傾させた状態で調理容器を容器自転機構により自転させて具材を撹拌する調理姿勢と、容器保持ユニットを調理台に対して調理姿勢よりも前傾させて調理容器を容器保持ユニットの前方側に配置された皿に向けて俯けた盛付姿勢と、容器保持ユニットの自転支持機構をベースフレームに対して後傾させて容器保持ユニットの後方側で調理容器を洗浄する洗浄姿勢とのいずれかに容器保持ユニットを変化させ、料理や料理の分配される皿を汚さずに調理容器を清掃するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0020】
例えば、本発明の自動調理装置は、主に飲食店の店舗内に設置されるが、本発明の自動調理装置の設置場所はこれに限られるものではなく、フードコート、事業所、家庭等に設置されてもよい。
【0021】
例えば、本発明の自動調理装置が調理する具材は、米や麺、野菜、魚、穀物、各種調味料等いかなる食材であってもよい。
【実施例0022】
以下、
図1乃至
図8に基づいて、本発明の第1実施例である自動調理装置100を説明する。
【0023】
<1.自動調理装置の概要>
まず、
図1乃至
図4に基づいて、自動調理装置100の概要について説明する。
図1は本発明の第1実施例である自動調理装置100の左斜視図であり、
図2は
図1に示す自動調理装置100から調理容器110を取り外した状態の要部拡大右斜視図であり、
図3Aは
図1に示す調理容器の平面図であり、
図3Bは
図3AのIIIB-IIIB断面図であり、
図4は
図1に示す自動調理装置100のシステム構成図である。
【0024】
自動調理装置100は、具材を撹拌調理して料理を自動調理する装置であり、
図1に示すように、具材を収容する有底円筒状の調理容器110と、床面Fに載置される調理台120と、この調理台120の前後方向で起伏自在に枢設して調理容器110を保持する容器保持ユニット130と、調理台120と容器保持ユニット130との間に設けて容器保持ユニット130を調理台120に対して起伏させる回動ユニット140と、調理容器110を洗浄する洗浄ユニット150と、容器保持ユニット130と回動ユニット140と洗浄ユニット150とを少なくとも制御する制御ユニット160とを備えている。
【0025】
<1.1.調理容器>
調理容器110は、
図1に示すように、有底円筒状の金属製容器であり、上端に形成された上方鍔部111と、この上方鍔部111の下方に形成された下方鍔部112とを有している。
上方鍔部111および下方鍔部112は、
図3Aに示すように、平面視において円形であり、上方鍔部111は、下方鍔部112よりも大径になっている。
【0026】
さらに、調理容器110の内底面113は、
図3に示すように、平坦になっている。
そして、
図3Aおよび
図3Bに示すように、円柱状の底面突出部113aが、内底面113から上端側に向けて突出している。
この底面突出部113aには、C字状の連結部材114を
図3Bに示す締付部材115で締め付けることによって取り付けられている。
連結部材114には、
図3Aに示すように、調理容器110の内部空間PSに向けて突出する撹拌部材116が取り付けられている。
この調理容器110の内底面113に連結部材114を介して設けられた撹拌部材116は、
図3Bに示すように、L字状の部材であり、調理容器の内側面117と離間している。
【0027】
<1.2.調理台>
調理台120は、
図1に示すように、4本の脚を有する直方体状の台であり、水平な上面121は平坦になっている。
調理台120の上面121の前方側には、
図1に示すように、皿Dが配置されており、調理台120の上面121の後方側には、
図2に示すように、容器保持ユニット130を起伏自在に支持する一対の容器保持ユニット支持部122および回動ユニット140の一端が取り付けられる回動ユニット支持部123が形成されている。
【0028】
ここで、上述した容器保持ユニット支持部122は、
図1および
図2に示すように、容器保持ユニット130の前方側の両側面に形成され、上面121から鉛直上方に向かって突出している。
また、回動ユニット支持部123は、
図1に示すように、容器保持ユニット130の後方左側面に形成され、上面121から鉛直上方に向かって突出している。
【0029】
<1.3.容器保持ユニット>
容器保持ユニット130は、回動ユニット140と連結するベースフレーム131と、調理容器110を加熱する容器加熱部132と、ベースフレーム131に設けて調理容器110の深さ方向に延びる中心軸PCを中心として調理容器110を自転させる容器自転機構133と、ベースフレーム131に枢設して調理容器110の自転を支持する自転支持機構134と、この自転支持機構134をベースフレーム131に対して調理台120の前後方向に起伏自在に回動させる回動駆動機構135とを有している。
【0030】
<1.3.1.ベースフレーム>
ベースフレーム131は、側面視で扇形状となっており、
図2では、底面131aが、調理台120の上面121とほぼ平行を保ちつつ離間している。
すなわち、ベースフレーム131は、
図2に示すように、前方に向かって傾斜する傾斜面131bを有している。
この傾斜面131bの前端からは、傾斜面131bに対してほぼ垂直に立ち上がる垂直面131cが形成されている。
【0031】
また、ベースフレーム131の前端側下方の両側面から、同軸上に延びる同径の回転軸131dが突出している。
この回転軸131dは、調理台120の容器保持ユニット支持部122によって軸支されている。
したがって、容器保持ユニット130は、調理台120の前後方向で起伏自在に枢設されている。
【0032】
さらに、ベースフレーム131の背面131eには、自転支持機構134と連結される連結基部131fが後方に向かって突出している。
【0033】
<1.3.2.容器加熱部>
容器加熱部132は、
図2に示すように、ベースフレーム131の傾斜面131bに嵌め込まれている。
ここで、この容器加熱部132は、表面132aが平坦であると共にベースフレーム131の傾斜面131bとほぼ面一になっている。
そして、容器加熱部132の表面132aは、調理容器110の外底面118と離間対向している。
【0034】
また、容器加熱部132の内部には、コイルが設置されており、容器加熱部132は、誘導加熱によって調理容器を加熱する。
【0035】
<1.3.3.容器自転機構>
容器自転機構133は、ベースフレーム131に埋め込まれており、
図2に示すように、一部がベースフレーム131の垂直面131cから露出している円柱状のローラー133aと、このローラー133aを回転させる駆動モーター133bとを有している。
【0036】
<1.3.4.自転支持機構>
自転支持機構134は、
図2に示すように、一対の支柱134aと、この一対の支柱134aを連結する連結軸134bと、ウォームギア134cと、環状部材134dと、環状部材134dから調理容器110の脱落を防ぐ容器脱落防止部134eと、調理容器110が自転している際の偏心を抑制する容器偏心抑制部134fとを有している。
【0037】
ここで、この支柱134aは、角柱状であり、ベースフレーム131の連結基部131fの左右に配置されている。
【0038】
そして、連結軸134bは、左右方向に伸びる円柱状の部材であり、ベースフレーム131の連結基部131fに回転自在に挿通されている。
この連結軸134bの回動軸Cは、連結軸134bの長手方向の中心軸と一致している。
また、連結軸134bの左端は支柱134aに連結されて固定されており、連結軸134bの右端は支柱134aを貫通してウォームギア134cに連結されている。
したがって、容器保持ユニット130の調理台120に対する枢軸UCは、側面視において容器保持ユニット130の自転支持機構134のベースフレーム131に対する回動軸Cよりも前方側に離間して配置されていることになる。
【0039】
さらに、前述した環状部材134dは、
図2に示すように、薄板状であり、後方側で支柱134aに接続されている。
そして、環状部材134dは、
図2では、調理台120の上面121とほぼ平行になっている。
環状部材134dには円形の開口部分134d1が形成されている。
この開口部分134d1の内径は、
図3に示す調理容器110の本体外径φ1よりも大きく、調理容器110の下方鍔部112の外径φ2よりも小さくなっている。
【0040】
容器脱落防止部134eは、
図2に示すように、ベース板134e1と、上側押さえローラー134e2と、下側押さえローラー134e3とを有している。
ベース板134e1は、環状部材134dから垂直に立ち上がる板材であり、本実施例では、平面視で等間隔に3つ配置されている。
上側押さえローラー134e2は、ベース板134e1から環状部材134dの開口部分134d1に向かって突出した回転軸に対して回転自在に取り付けられており、開口部分134d1の接線方向に回転している。
下側押さえローラー134e3は、上側押さえローラー134e2よりも環状部材134dに近接しており、ベース板134e1から環状部材134dの開口部分134d1に向かって突出した回転軸に対して回転自在に取り付けられており、開口部分134d1の接線方向に回転している。
【0041】
このように構成された容器脱落防止部134eは、
図1に示すように、上側押さえローラー134e2と下側押さえローラー134e3とで調理容器110を調理容器110の中心軸PCを中心に自転自在としつつ調理容器110の下方鍔部112を上下方向から挟持している。
よって、調理容器110が中心軸PCを中心に自転をしている際は、上側押さえローラー134e2および下側押さえローラー134e3も回転する。
【0042】
さらに、前述した容器偏心抑制部134fは、環状部材134dの下面に取り付けられたスペーサー134f1と、上方ローラー134f2と、下方ローラー134f3とを有している。
上方ローラー134f2は、
図2に示すように、スペーサー134f1から環状部材134dに向かって鉛直上方に伸びた回転軸に対して回転自在に取り付けられ、開口部分134d1の接線方向に回転している。
下方ローラー134f3は、上方ローラー134f2と外径が等しく、
図2に示すように、スペーサー134f1から鉛直下方に伸びた回転軸に対して回転自在に取り付けられ、開口部分134d1の接線方向に回転している。
【0043】
したがって、容器偏心抑制部134fは、
図1に示すように、上方ローラー134f2と下方ローラー134f3とで調理容器110の側面と当接している。
また、調理容器110が中心軸PCを中心に自転をしている際は、上方ローラー134f2および下方ローラー134f3も回転する。
【0044】
<1.3.5.回動駆動機構>
回動駆動機構135は、
図2および
図4に示すように、ベースフレーム131の右側面131gに取り付けられた駆動モーター135aと、この駆動モーター135aの先端に取り付けられて駆動モーター135aと共に回転する伝達軸135bとを有している。
【0045】
そして、この伝達軸135bは、
図2に示すように、外周に自転支持機構134のウォームギア134cと螺合する斜歯が形成された円筒ウォームである。
また、ベースフレーム131の底面131aが調理台120の上面121とほぼ平行を保って離間している
図2において、伝達軸135bは上下方向に伸びている。
【0046】
したがって、駆動モーター135aが駆動すると伝達軸135bが回転し、駆動モーター135aの動力は伝達軸135bと螺合しているウォームギア134cを介して自転支持機構134の連結軸134bに伝達される。
これにより、自転支持機構134が、ベースフレーム131に対して起伏する。
【0047】
<1.4.回動ユニット>
回動ユニット140は、
図1に示すように、一端側が調理台120の回動ユニット支持部123と連結されたアクチュエーター141と、このアクチュエーター141の他端側と連結されてアクチュエーター141の長手方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に延びる連結軸142とを有している。
【0048】
そして、アクチュエーター141は、長手方向に伸縮自在となっている。
連結軸142は、
図1に示すように、容器保持ユニット130のベースフレーム131の左側面と連結している。
容器保持ユニット130のベースフレーム131の左側面と回動ユニット140の連結軸142との連結位置は、
図1に示すように、容器保持ユニット130の回転軸131dの上方である。
【0049】
<1.5.洗浄ユニット>
洗浄ユニット150は、
図1に示すように、調理台120の後方に配置されており、上面151が前方に向かって傾斜している。
上面151には、円筒状の開口部151aが形成されており、この開口部151aの内側には洗浄水を噴射する洗浄ノズル(不図示)が設置されている。
また、洗浄ユニット150は、
図1および
図4に示すように、給水源(不図示)と洗浄ノズルとを結ぶ流路に配置されて流路を開閉する電磁弁152を有している。
【0050】
<1.6.制御ユニット>
制御ユニット160は、
図1に示すように、調理台120の内部に設けられている。
また、制御ユニット160は、少なくとも
図4に示すように、容器保持ユニット130の容器加熱部132を制御する加熱制御部161と、容器保持ユニット130の容器自転機構133の駆動モーター133bを駆動制御する撹拌制御部162と、容器保持ユニット130の回動駆動機構135の駆動モーター135aと回動ユニット140のアクチュエーター141を駆動制御する姿勢制御部163と、洗浄ユニット150の電磁弁152bを制御する洗浄制御部164とを有している。
【0051】
<2.自動調理装置の動作(各種姿勢)>
次に、
図5乃至
図8に基づいて、自動調理装置100の動作について説明する。
図5は
図1に示す自動調理装置100の具材受取姿勢における右側面図であり、
図6Aは
図1に示す自動調理装置100の調理姿勢における右側面図であり、
図6Bは
図1に示す自動調理装置100の調理姿勢における要部断面図であり、
図7は
図1に示す自動調理装置100の盛付姿勢における左側面図であり、
図8は
図1に示す自動調理装置100の洗浄姿勢における左側面図である。
【0052】
自動調理装置100は、使用者による操作に基づく調理指示を受け取ると、制御ユニット160が容器保持ユニット130の回動駆動機構135と回動ユニット140とを駆動制御して、容器保持ユニット130を具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢、洗浄姿勢に変化させることにより、料理を自動調理する。
【0053】
<2.1.具材受取姿勢>
まず、具材受取姿勢について
図5に基づいて説明する。
具材受取姿勢は、具材I(例えば、食材や液体調味料など。)を調理容器110に供給する具材供給装置(不図示)から具材を調理容器110に受け取らせる姿勢である。
【0054】
具体的には、
図5に示すように、具材受取姿勢では、ベースフレーム131の底面131aが調理台120の上面121とほぼ平行を保って離間していると共に自転支持機構134の環状部材134dが調理台120の上面121とほぼ平行を保っている。
したがって、具材受取姿勢では、調理容器110の上方鍔部111は、調理台120の上面と121とほぼ平行となっている。
【0055】
<2.2.調理姿勢>
次に、調理姿勢について
図6Aおよび
図6Bに基づいて説明する。
調理姿勢は、調理容器110を調理台120に対して(すなわち、水平面に対して)前傾させた状態で調理容器110を容器自転機構133により自転させて具材を調理容器110の中で撹拌する姿勢である。
【0056】
具体的には、
図6Aに示すように、調理姿勢では、ベースフレーム131の底面131aが調理台120の上面121とほぼ平行を保って離間していると共に自転支持機構134の環状部材134dがベースフレーム131の傾斜面131bとほぼ平行を保っている。
したがって、
図6Bに示すように、調理姿勢では、調理容器110の外底面118は容器加熱部132とほぼ平行を保ちつつ離間対向し、調理容器110の外側面119は容器自転機構133のローラー133aと当接している。
この状態で、容器加熱部132に通電して交流電流を印加することで、容器加熱部132に当該交流電流と同じ周波数で交番する磁束が発生し、調理容器110に誘導電流が発生して調理容器110が発熱する。
また、容器自転機構133の駆動モーター133bを回転させることで、ローラー133aを介して調理容器110が中心軸PCを中心に自転する。
この調理容器110の自転により、調理容器110に投入された具材が調理容器110の撹拌部材116によって撹拌される。
【0057】
このように、調理姿勢において容器保持ユニット130の容器加熱部132が調理容器110の外底面118との間で十分な対向面積を確保しながら調理容器110の底部を加熱しているため、調理姿勢において調理容器110を滑らかに自転させつつ調理容器110をムラなく加熱することができる。
【0058】
また、調理容器110が、撹拌部材116を有していることにより、調理姿勢において調理容器110を自転させている際に、調理容器110の鉛直下方側に具材が偏っても十分に撹拌されるため、具材Iを撹拌ムラなく均一に撹拌することができる。
なお、調理姿勢における容器加熱部132による調理容器110への加熱は、必ずしも断続的に行う必要は無く、料理内容に応じて適宜加熱したり加熱を止めたりしてもよい。
【0059】
<2.3.盛付姿勢>
次に、盛付姿勢について
図7に基づいて説明する。
盛付姿勢は、容器保持ユニット130を調理台120に対して調理姿勢よりも前傾させて調理容器110を容器保持ユニット130の前方側に配置された皿Dに向けて俯けた姿勢である。
【0060】
具体的には、
図7に示すように、盛付姿勢では、回動ユニット140のアクチュエーター141を伸ばしてベースフレーム131の底面131aが調理台120の上面121に対して傾斜させる共に自転支持機構134の環状部材134dがベースフレーム131の傾斜面131aとほぼ平行を保っている。
したがって、盛付姿勢では、調理容器110は皿Dに対して前傾になっている。
このとき、容器保持ユニット130の容器脱落防止部134eによって、調理容器110の下方鍔部112が挟持されているため、調理容器110は容器保持ユニット130から脱落することはない。
【0061】
なお、盛付姿勢において、容器加熱部132により調理容器110への加熱を行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0062】
<2.4.洗浄姿勢>
最後に、洗浄姿勢について
図8に基づいて説明する。
洗浄姿勢は、容器保持ユニット130の自転支持機構134をベースフレーム131に対して後傾させて容器保持ユニット130の後方側で調理容器110を洗浄する姿勢である。
【0063】
具体的には、
図8に示すように、洗浄姿勢では、ベースフレーム131の底面131aが調理台120の上面121とほぼ平行を保って離間している共に自転支持機構134の環状部材134dが洗浄ユニット150の上面151とほぼ平行を保っている。
したがって、洗浄姿勢では、調理容器110の上方鍔部111が洗浄ユニット150の上面151とほぼ平行になっていると共に調理容器110の内底面113が洗浄ユニット150の開口部151aと対向している。
すなわち、調理容器110の開口部が、下方に向けられていることになる。
これにより、調理容器110の内面(内底面113および内側面117)が洗浄水によって洗浄されている際に、調理容器110の内面に付着した汚れが洗浄水と共に流下するため、調理容器110を洗浄姿勢で洗浄した後に、調理容器110の内面に洗浄水や汚れを残しにくくすることができる。
【0064】
また、洗浄姿勢においては、容器保持ユニット130の容器脱落防止部134eによって、調理容器110の下方鍔部112が挟持されているため、調理容器110は容器保持ユニット130から脱落することはない。
【0065】
<3.自動調理装置100が奏する効果>
以上説明した自動調理装置100によれば、容器保持ユニット130の回動駆動機構135と回動ユニット140とを駆動制御して、容器保持ユニット130を具材受取姿勢と、調理姿勢と、盛付姿勢と、洗浄姿勢とのいずれかに変化させることにより、容器保持ユニット130を具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢の順番に変化させるだけで、具材Iを撹拌調理して皿Dに盛り付けられるため、容器保持ユニット130を具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢、洗浄姿勢の順番に変化させることを繰り返すと、大量の料理を自動で調理することができる。
【0066】
さらに、容器保持ユニット130の調理台120に対する枢軸UCが、容器保持ユニット130の自転支持機構134のベースフレーム131に対する回動軸Cよりも前方側に離間して配置され、制御ユニット160が、容器保持ユニット130の回動駆動機構135と回動ユニット140とを駆動制御して、容器保持ユニット130を調理台120に対して調理姿勢よりも前傾させて調理容器110を容器保持ユニット130の前方側に配置された皿Dに向けて俯けた盛付姿勢と、容器保持ユニット130の自転支持機構134をベースフレーム131に対して後傾させて容器保持ユニット130の後方側で調理容器110を洗浄する洗浄姿勢とに少なくとも容器保持ユニット130を変化させることにより、盛付姿勢における調理容器110の前後方向の位置と洗浄姿勢における調理容器110の前後方向の位置とが、単一の回転軸によって調理容器を調理台の前後方向に対して回動させた場合に比べて前後方向に遠ざかるため、調理容器110を洗浄姿勢において洗浄する際に、調理容器110の内面を洗浄する洗浄水や調理容器110の内面に付着した汚れが皿Dに飛び散りにくくなり、料理や料理の盛り付けられる皿Dを汚さずに調理容器110を清掃することができる。
第2実施例の自動調理装置200は、第1実施例の自動調理装置100の調理容器110を容器保持ユニット130の自転支持機構134から着脱自在とした自動調理装置である。
そして、第2実施例の自動調理装置200の多くの要素も、第1実施例の自動調理装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略する。
よって、第2実施例の自動調理装置200では、調理容器210が、容器保持ユニット230に対して着脱自在に装着されていることにより、装置全体を分解することなく調理容器210のみを取り外すことが可能になるため、調理容器210を簡便に保守メンテナンスすることができる。
例えば、上述した実施例において、回動ユニットは、ベースフレームの左側に設けられ、アクチュエーターおよび連結軸を有していたが、容器保持ユニットを調理台に対して起伏自在にできれば、回動ユニットの構成や配置はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した実施例において、容器保持ユニットの容器加熱部は、誘導電流によって調理容器を加熱するものであったが、容器加熱部の形態はこれに限定されるものではなく、調理容器を加熱できればいかなるものであってもよく、例えば電熱線による加熱により調理容器を加熱するラジエントヒーターであったり、シーズヒーターであったりしてもよい。
例えば、上述した実施例において、自動調理装置は、使用者による操作に基づく調理指示により、容器保持ユニットの姿勢を具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢、洗浄姿勢に自動変化させて自動調理していたが、必ずしも一連の姿勢変化を自動的に行う必要はない。
すなわち、自動調理装置は、使用者による操作に基づく指示により、容器保持ユニットの姿勢を具材受取姿勢、調理姿勢、盛付姿勢、洗浄姿勢のいずれかに変化させるだけであってもよい。