(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175816
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】水槽の撹拌方法
(51)【国際特許分類】
B01F 27/61 20220101AFI20221117BHJP
B01F 27/80 20220101ALI20221117BHJP
【FI】
B01F7/02 A
B01F7/16 B
B01F7/16 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082525
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛久
(72)【発明者】
【氏名】眞島 薫
【テーマコード(参考)】
4G078
【Fターム(参考)】
4G078AA02
4G078BA03
4G078CA12
4G078CA23
4G078DA01
(57)【要約】
【課題】特定の形状を有する水槽内の水を、効率的に撹拌する。
【解決手段】水槽は、向かい合う第1側壁91と第2側壁92、向かい合う第3側壁93と第4側壁94、及び、底壁95を有し、第1側壁及び第2側壁の長さLと水深Dとの比が所定比となるような水深の深い水槽である。撹拌方法は、水中撹拌機(水中ミキサ1)を、第3側壁の近傍の位置の水面近くにおいて、第3側壁から離れる方向の斜め下向きに水を吐出する向きで設置し、水中撹拌機の運転に伴い、水槽内を第1側壁から第2側壁の方を向いて、第1側壁と第2側壁とが対向する方向に沿って見た場合に、第3側壁の近傍の水面近くから、底壁、第4側壁、及び水面に沿うように水が流れて、第3側壁の近傍の水面近くに戻る水流を発生させることによって、水槽内の水を撹拌する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の水槽内の水を撹拌する方法であって、
前記水槽は、向かい合う第1側壁と第2側壁、向かい合う第3側壁と第4側壁、及び、底壁を有し、前記第1側壁及び前記第2側壁の長さと水深との比が所定比となるような水深の深い水槽であり、
水中撹拌機を、前記第3側壁の近傍の位置の水面近くにおいて、前記第3側壁から離れる方向の斜め下向きに水を吐出する向きで設置し、
前記水中撹拌機の運転に伴い、前記水槽内を前記第1側壁から前記第2側壁の方を向いて、前記第1側壁と前記第2側壁とが対向する方向に沿って見た場合に、前記第3側壁の近傍の水面近くから、前記底壁、前記第4側壁、及び水面に沿うように水が流れて、前記第3側壁の近傍の水面近くに戻る水流を発生させることによって、前記水槽内の水を撹拌する、
撹拌方法。
【請求項2】
請求項1に記載の撹拌方法において、
前記第1側壁及び前記第2側壁の長さLと水深Dとの比L/Dは、0.8~2.0である、
撹拌方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撹拌方法において、
前記第1側壁の長さをLとした場合に、
前記水中撹拌機は、前記第3側壁からL/4の範囲に設置されている、
撹拌方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の撹拌方法において、
前記水中撹拌機は、鉛直下向きに対して、5~30°の角度範囲で設置されている、
撹拌方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の撹拌方法において、
前記水中撹拌機は、前記水面から1.5mの深さの範囲に設置されている、
撹拌方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の撹拌方法において、
前記第1側壁の長さLと前記第3側壁の長さWの比L/Wは、1.5~5.0であり、
前記水中撹拌機は、前記水槽内に一台、設置されている、
撹拌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、水槽の撹拌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撹拌機を使って、平面視で矩形状の水槽内の水を撹拌する技術が記載されている。具体的に特許文献1では、水中撹拌機を、水槽の一側壁の近傍かつ、底壁の近くにおいて、底面に沿って水を吐出する水平向きの姿勢で設置している。特許文献1に記載されている水中撹拌機はまた、鉛直軸を中心とした首振り機構を有している。
【0003】
特許文献2にも、撹拌機を使って、平面視で矩形状の水槽内の水を撹拌する技術が記載されている。具体的に特許文献2では、撹拌機を、水槽の一側壁の近傍かつ、水面の近くにおいて、真下に向かって水を吐出する姿勢で設置している。特許文献2に記載されている水槽には、撹拌機の真下の底壁に、反射板を設置しており、この反射板が、撹拌機からの下向流を、水平流に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4075332号公報
【特許文献2】特許第4716039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術は、撹拌機が首振り機構を備えており、その構成が複雑である。また、特許文献2に記載された技術は、反射板を水槽内に設置しなければならない。
【0006】
ここで、
図5は、従来における撹拌機の設置例を示している。
図5に示される水槽90は、向かい合う第1側壁901及び第2側壁902と、向かい合う第3側壁903及び第4側壁904と、底壁905とを備え、X方向の長さが比較的長くてY方向の幅が比較的短くかつ、水深(Z方向の深さ)が比較的深い形状を有する矩形の水槽90である。
【0007】
従来において、水中に浸漬される水中撹拌機は、特許文献1にも記載されているように、回転軸が水平方向に伸びるように配設される。水槽90内の水面近くと、底壁近くとのそれぞれにおいて十分に水を撹拌させようとすると、
図5に例示するように、4台の水中撹拌機10が必要である。つまり、第3側壁903と第1側壁901との角部の近傍において、水面近くと、底壁905近くとのそれぞれに1台ずつ、水中撹拌機10が設置され、第4側壁904と第2側壁902との角部の近傍において、水面近くと、底壁905近くとのそれぞれに1台ずつ、水中撹拌機10が設置される。第3側壁903と第1側壁901との角部の近傍に設置された2台の水中撹拌機10は、平面視で、第2側壁902の方に向かって斜めに水を吐出する向きで設置され、第4側壁904と第2側壁902との角部の近傍に設置された2台の水中撹拌機10は、平面視で、第1側壁901の方に向かって斜めに水を吐出する向きで設置される。これにより、4台の水中撹拌機10それぞれから水が吐出されることにより、
図5に矢印で例示するような水流が水槽90内に生じて、水槽90内の全体が撹拌できる。しかしながら、この撹拌構成は、多数の水中撹拌機10が必要であり、経済的でない。
【0008】
ここに開示する技術は、特定の形状を有する水槽内の水を、効率的に撹拌する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、ここに開示する技術は、矩形の水槽内の水を撹拌する方法に係る。ここで、前記水槽は、向かい合う第1側壁と第2側壁、向かい合う第3側壁と第4側壁、及び、底壁を有し、前記第1側壁及び前記第2側壁の長さと水深との比が所定比となるような水深の深い水槽である。そして、この撹拌方法は、
水中撹拌機を、前記第3側壁の近傍の位置の水面近くにおいて、前記第3側壁から離れる方向の斜め下向きに水を吐出する向きで設置し、
前記水中撹拌機の運転に伴い、前記水槽内を前記第1側壁から前記第2側壁の方を向いて、前記第1側壁と前記第2側壁とが対向する方向に沿って見た場合に、前記第3側壁の近傍の水面近くから、前記底壁、前記第4側壁、及び水面に沿うように水が流れて、前記第3側壁の近傍の水面近くに戻る水流を発生させることによって、前記水槽内の水を撹拌する。
【0010】
本願発明者らの検討によると、水中撹拌機を、第3側壁の近傍の位置の水面近くにおいて、第3側壁から離れる方向の斜め下向きに水を吐出する向きで設置すれば、水中撹拌機の運転に伴い、第3側壁の近傍の水面近くから、底壁、第4側壁及び水面に沿うように水が流れて、第3側壁の近傍の水面近くに戻る水流が発生することがわかった。つまり、水中撹拌機を斜め下向きに設置するという、従来は行われていなかった新たな設置態様を採用することにより、1台の水中撹拌機によって、水面近くと底壁近くとの両方を撹拌できる。この撹拌方法によると、従来に比べて、水槽に設置する水中撹拌機の台数を減らすことができる。
【0011】
また、水中撹拌機を、水面近くに設置するため、水中撹拌機を底壁近くに設置させる場合に必要な設備が省略できる。また、特許文献2に記載されているような、水流の向きを変える設備も不要である。
【0012】
従って、前記の撹拌方法は、経済的に、水槽内の水を撹拌できる。
【0013】
ここで、第1側壁、第2側壁、第3側壁、及び、第4側壁を有する矩形の水槽は、これら第1側壁、第2側壁、第3側壁、及び、第4側壁のそれぞれが、一つの平面によって構成されることに限定されない。例えば、何れかの側面が、段差を有していてもよい。
【0014】
前記第1側壁及び前記第2側壁の長さLと水深Dとの比L/Dは、0.8~2.0である、としてもよい。
【0015】
前述した構成は、水深が深い水槽において、少ない水中撹拌機によって、水を効率的に撹拌することに適している。
【0016】
前記第1側壁の長さをLとした場合に、
前記水中撹拌機は、前記第3側壁からL/4の範囲に設置されている、としてもよい。
【0017】
水中撹拌機が、第3側壁から離れると、水中撹拌機と第3側壁との間において、水が撹拌されにくい。水中撹拌機は第3側壁に近いことが好ましい。
【0018】
前記水中撹拌機は、鉛直下向きに対して、5~30°の角度範囲で設置されている、としてもよい。
【0019】
水中撹拌機を、鉛直下向きに水を吐出するように設置すると、底壁に沿って第3側壁から第4側壁へと向かう方向の水流が発生しにくくなる。水中撹拌機は、鉛直下向きに対して、5~30°の角度範囲で設置させることによって、第3側壁の近傍の水面近くから、底壁、第4側壁、及び水面に沿うような水流を、効果的に発生させることができる。
【0020】
前記水中撹拌機は、前記水面から1.5mの深さの範囲に設置されている、としてもよい。
【0021】
水中撹拌機が水面から離れると、水中撹拌機と水面との間において、水が撹拌されにくい。水中撹拌機は水面に近いことが好ましい。
【0022】
前記第1側壁の長さLと前記第3側壁の長さWの比L/Wは、1.5~5.0であり、
前記水中撹拌機は、前記水槽内に一台、設置されている、としてもよい。
【0023】
第3側壁の長さが短い、つまり、幅の狭い水槽においては、水中撹拌機を、前記の通りに設置することによって、1台の水中撹拌機によって、水槽の全体について、水を撹拌することができる。従って、水槽の撹拌設備の経済性が大幅に向上する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、前記の撹拌方法によると、水槽内の水を効率的に撹拌できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図2は、水槽に対する水中ミキサの設置例を示す図である。
【
図3】
図3は、別の形状の水槽に対する水中ミキサの設置例を示す図である。
【
図5】
図5は、従来における、水中ミキサの設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、撹拌方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する撹拌方法は例示である。
【0027】
図1は、水中撹拌機としての水中ミキサ1を示している。水中ミキサ1は、水槽、例えば下水処理場、各種工場等での貯水場、池湖水、濠、養魚場等内に設置され、水槽内の水を撹拌する。
【0028】
水中ミキサ1は、水中ミキサ本体2と、フレーム3と、を備えている。水中ミキサ本体2とフレーム3とは、別体であり、例えばボルト・ナットを含む締結部材を利用して、一体化される。フレーム3は、水中ミキサ本体2に対して、脱着可能に取り付けられる。
【0029】
水中ミキサ本体2は、従来の水中ミキサと同じ構造を有している。つまり、水中ミキサ本体2は、羽根車21と、羽根車21を回転させるモータを収容するケーシング22と、を備えている。羽根車21は、モータの回転軸の先端に取り付けられている。羽根車21は、モータの回転軸の方向に沿う方向に、水を吐出する。尚、符号23は案内板であり、案内板23は、羽根車21の周囲を囲むように配設されている。尚、符号24は、ケーシング22に接続されたケーブルであり、ケーブル24は、モータに給電等を行う。
【0030】
フレーム3は、水中ミキサ本体2と、後述するスライダ41との間に介在して、水中ミキサ本体2をスライダ41に対して取り付ける。フレーム3を介してスライダ41に取り付けられた水中ミキサ本体2は、水を斜め下向きに吐出する姿勢で、水槽9内に浸漬される。具体的に、水中ミキサ本体2の取付角度θ、つまり、鉛直下向きに対する、モータの回転軸の角度は、5~30°の範囲に設定される(
図2参照)。
【0031】
尚、フレーム3は、係止部34を有しており、係止部34には、吊り下げチェーン26が係止する。吊り下げチェーン26は、フレーム3を介して、水中ミキサ本体2を吊り下げる。
図1において、吊り下げチェーン26は、簡略して描かれている。
【0032】
尚、ここに開示する撹拌方法に適用可能な水中撹拌機は、
図1の構成に限定されない。様々な構成の水中撹拌機を、ここに開示する撹拌方法に適用可能である。
【0033】
次に、水中ミキサ1の水槽9内への設置について
図2を参照しながら説明する。水槽9は、第1側壁91、第2側壁92、第3側壁93、第4側壁94及び底壁95を備えている。第1側壁91と第2側壁92とは、Y方向に向かい合っている。第3側壁93と第4側壁94とは、X方向に向かい合っている。
【0034】
水槽9は、X方向に細長くかつ、水深が深い。より具体的に、図例の水槽9において、X方向の長さL、Y方向の幅W、Z方向の深さDの関係は、10:3:8である。この形状の水槽9に対して、水中ミキサ1は、1台のみ設置される。
【0035】
水槽9内には、昇降ガイド51が予め設置されている。昇降ガイド51は、第3側壁93の近傍であって、Y方向に対して、第3側壁93の中央部に設置されている。昇降ガイド51は、横断面四角形の角パイプであって、鉛直方向に伸びている。後述するように、水中ミキサ1は、水槽9の水面近くに設置されるため、昇降ガイド51の下端は、水面近くに位置している。水槽9の底壁95の近くまで昇降ガイド51を延ばす必要がなく、設置性、及び、経済性に優れている。
【0036】
昇降ガイド51には、スライダ41が取り付けられている。スライダ41は、昇降ガイド51に沿って上下方向に往復移動する。前述したように、水中ミキサ本体2は、フレーム3を介してスライダ41に取り付けられている。
【0037】
昇降ガイド51が第3側壁93の近傍に設置されているため、水中ミキサ本体2もまた、第3側壁93の近傍に設置されている。水中ミキサ本体2は、X方向について、第3側壁93からL/4の範囲(但しLは、X方向の水槽長さ)に設置される。
【0038】
尚、従来において、水中ミキサ本体を、真下に向けて水槽内に設置する場合、当該水中ミキサ本体は、水槽の中央に設置することが一般的である。
【0039】
水中ミキサ本体2は、水面近くに設置される。より具体的に、水中ミキサ本体2は、水面から1.5mの深さの範囲に設置されている。尚、水槽9の深さDは、例えば8mである。
【0040】
水中ミキサ1が運転すると、
図2の矢印で示すように、第3側壁93の近傍の水面近くから、斜め下方に水が吐出されるから、底壁95、第4側壁94、水面に沿うように水が流れる。そうして、第3側壁93の近傍の水面近くに戻るような循環水流が発生する。水深の深い水槽9において、一台の水中ミキサ1のみによって、水面近くと、底壁95近くとの両方において水流が発生する。この撹拌方法によると、水槽9内の水を、効率的に撹拌することができる。
【0041】
図5に示す従来例では、例えば出力750Wの水中撹拌機10(つまり、水中ミキサ)が4台必要であったところ、
図2に示す実施例では、同一形状の水槽9に対して、例えば出力1.5kWの水中ミキサ1が1台で、水槽9の全体を撹拌できる。この撹拌設備は、経済的である。
【0042】
水中ミキサ1は、水面近くに設置することが好ましい。水中ミキサ1を水面から離して設置すると、水中ミキサ1と水面との間の水が撹拌されにくくなる。水中ミキサ1は、水の吸い込みに支障がでない限度において、水面近くに設置することが好ましい。
【0043】
また、水中ミキサ1は、第3側壁93の近くに設置することが好ましい。水中ミキサ1を第3側壁93から離れた位置に設置すると、水中ミキサ1と第3側壁93との間の水が撹拌されにくくなるためである。前述したように、水中ミキサ本体2は、X方向について、第3側壁93からL/4の範囲に設置することが好ましい。
【0044】
ここで、この撹拌方法が適用できる水槽9の形状について説明をすると、X方向の長さLと水深Dとの比L/Dは、0.8~2.0であることが好ましい。つまり、この撹拌方法は、水深の深い水槽9について、一台の水中ミキサ1によって、水面近くと、底壁95近くとの両方において水流を効率的に発生させることができる。
【0045】
X方向の長さLとY方向の幅Wの比L/Wが1.5~5.0である場合、当該水槽9には、水中ミキサ1を1台設置すれば、水槽9の全体を撹拌できる。例えば
図3に示すように、Y方向の幅Wが広い水槽96には、複数台の水中ミキサ1を設置してもよい。複数台の水中ミキサ1は全て、第3側壁93の近傍に設置されている。尚、
図3では図示を省略するが、各水中ミキサ1は、
図2の下図に示すように、水面の近傍において、斜め下向きに設置されている。こうすることで、幅の広い水槽96も最小限の台数の水中ミキサ1によって、効率的に撹拌することができる。尚、図例では、3台の水中ミキサ1を設置しているが、例えば水中ミキサ1の設置台数を、2台に減らしてもよい。
【0046】
また、この撹拌方法が適用できる、矩形の水槽は、
図2又は
図3に例示するように、各側壁が一つの平面によって構成されることに限定されない。例えば何れかの側面が、段差を有していてもよい。
図4(a)は、第2側壁92が、X方向の中間部に段差921を有している。この形状の水槽97もまた、ここでいう矩形の水槽に含まれる。
図4(a)に示すように、段差921の長さ(つまり、Y方向の長さ)W’が、Y方向の幅Wに対して短い場合(例えばW/3以下である場合)、水中ミキサ1は、1台のみ設置すればよい。
【0047】
図4(b)に例示する水槽98のように、段差922の長さW’が長くなれば、複数台の水中ミキサ1を設置すればよい。
【0048】
また、
図4(c)に例示する、段差941を有する水槽99のように、水槽99の長さLに対して、L/4以下となる範囲で第4側壁94の一部分を、X方向に延長した形状の水槽99も、矩形の水槽に含まれ、この水槽99に対しても、水中ミキサ1は、1台のみ設置すればよい。
【0049】
また、
図4の段差は第3側壁93の側に有していてもよく、段差による複数の第3側壁93の近傍に水中ミキサ1を設置してもよい。
【0050】
また、
図2の上図、
図3、及び
図4の各図に示す水中ミキサ1は、水槽を上から見た場合に、その回転軸が矩形の水槽の第1又は第2側面91、92に平行で、第3又は第4側面93、94に直交するように設置されているが、水中ミキサ1の設置は、これに制限されない。水槽を上から見た場合に、水中ミキサ1の回転軸が矩形の水槽の側面に対して傾いて設置することは除外されない。例えば、水中ミキサ1の運転によって発生する水流が、水中ミキサ1に対向する第4側壁94にまで、十分に到達する限りにおいて、水中ミキサ1の回転軸が第1側壁91又は第2側壁92の方を向くように、水中ミキサ1を傾けて設置してもよい。また、水中ミキサ1を傾けて設置する場合、水中ミキサ1は、第1側壁91と第2側壁92との中間位置に設置することに限られない。水中ミキサ1は、第1側壁91と第2側壁92との中間位置よりも、第1側壁91寄りの位置、又は、第2側壁92寄りの位置に設置してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 水中ミキサ(水中撹拌機)
9 水槽
91 第1側壁
92 第2側壁
93 第3側壁
94 第4側壁
95 底壁
96 水槽
97 水槽
98 水槽
99 水槽