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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017582
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】鶏卵容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/32 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
B65D85/32 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184806
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2017201530の分割
【原出願日】2017-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】303055235
【氏名又は名称】エフピコダイヤフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雄二
【テーマコード(参考)】
3E096
【Fターム(参考)】
3E096AA04
3E096BA26
3E096BB09
3E096CA06
3E096CB03
3E096DA01
3E096DA04
3E096DA13
3E096DA23
3E096DA26
3E096DB02
3E096DB06
3E096DC02
3E096EA01Y
3E096FA12
3E096GA01
(57)【要約】
【課題】ラベルを外から視認し得る鶏卵容器を提供する。
【解決手段】鶏卵を収容する身部分1と、屈曲自在の連結部3を介して身部分1と連結された蓋部分2とよりなり、身部分1は、複数の鶏卵を離間させた状態で保持する隔壁12と、この隔壁12が十字形に交叉する部分に形成された角錐台形または円錐台形の第1の突出部14~17と、を有し、蓋部分2は、内側に配置されるラベルLを視認可能な平坦面20と、側壁21と、閉蓋状態において、身部分1の長手方向両端の2つの第1の突出部14,17に対向する位置に形成され、第1の突出部14,17と突き合わさって柱状体を形成する、角錐台形または円錐台形の2つの第2の突出部24,27と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鶏卵を収容する身部分と、身部分の一側辺に屈曲自在の連結部を介して連結された蓋部分とよりなる、合成樹脂シートの成型品である鶏卵容器において、
身部分は、複数の鶏卵を互いに離間させた状態で保持する隔壁と、隔壁が十字形に交叉する部分に形成された角錐台形または円錐台形の第1の突出部と、を有し、
蓋部分は、容器の内側に配置されるラベルを視認可能な平坦面と、側壁と、閉蓋状態において、身部分の長手方向両端の2つの第1の突出部に対向する位置に形成され、第1の突出部と突き合わさって柱状体を形成する、角錐台形または円錐台形の2つの第2の突出部と、を有し、
鶏卵を入れた閉蓋状態において、蓋部分の側壁と2つの第2の突出部がラベルの縁部を囲んで位置決めすると共に、各鶏卵と蓋部分の平坦面がラベルを上下に保持し、
2つの第2の突出部は、角錐台形または円錐台形を縦方向に裁断した裁断面を有し、
両裁断面は、互いに対向するように配置されて、閉蓋状態において、鶏卵によって相対的に押し上げられたラベルの対向する両縁部を位置決めすることを特徴とする鶏卵容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鶏卵を包装、輸送、販売するために使用する鶏卵容器に関し、特にバーコード(POSマーク)、生産者、鶏卵のサイズ、消費期限などを印刷したラベルを挿入して、外から視認し得るように構成したものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂シートを成型した鶏卵容器は、身部分と、蓋部分と、これら2つの部分を屈曲自在に連結する連結部分とからなり、身部分および蓋部分には、隔壁によって仕切られ、各隔壁の交叉部に角錐台形または円錐台形の突出部が形成された複数個(例えば、5個2列で10個)の鶏卵を入れる収納凹部およびフランジ部が形成されている。
【0003】
このような鶏卵容器においては、身部分および蓋部分に凹凸が有って、ラベルを貼り付けることが困難であった。そこで、下記特許文献1に記載のように、蓋部分にラベルを貼り付け得る平坦面を形成した鶏卵容器が提案されている。
【0004】
この平坦面に貼り付けるラベルLは、紙または合成樹脂シートなどの表面に、バーコード(POSマーク)、生産者、鶏卵の大きさ(L、M、S)、消費期限などが印刷されたもので、裏面には粘着層が形成されている。
【0005】
このような粘着層を有するラベルは、高価なものであって、また、使用済みの鶏卵容器を回収して再生原料として使用する際に、貼着されたラベルの剥離に多大の手数を要し、しかも、剥がすときに粘着層の糊残りが生じてリサイクルを困難にするという問題があった。
【0006】
そこで、鶏卵容器の中に鶏卵とともに粘着層を有しない紙などのラベルを挿入するように構成した鶏卵容器が提案されている。
【0007】
例えば、下記特許文献2に開示された鶏卵容器は、透明な合成樹脂シートを成型したものであって、図5の平面図および図6の断面図に示すように、身部分1には、複数の収容凹部11と、隣接する収容凹部11の間に形成された隔壁部12と、隔壁部12が十字形に交叉する部分に上向きに形成された突出部14~17を備え、さらに、収容凹部11の周囲にフランジ19が形成されている。
【0008】
身部分1と屈曲自在な連結部分3を介して一体に形成された蓋部分2は、閉蓋状態において平坦な天面となる平面面20と、この平坦面20の周囲に形成された四面の側壁21と、これら側壁21で囲まれる開口の周囲にフランジ29が形成されている。
【0009】
この蓋部分2のフランジ29は、閉蓋状態において、身部分1のフランジ19と重なり合わさって、粘着テープなどによる封緘に利用される。
【0010】
身部分1の収容凹部11は、鶏卵Eの下部(鋭端側)を収納し得る大きさおよび形状を有しており、閉蓋状態において、鶏卵Eの上部(球形側)と閉じた蓋部分2の天面20の内面が接近してラベルLを保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実用新案登録第2510027号公報
【特許文献2】特開2017-19550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
鶏卵を入れた容器は、梱包、輸送、店舗における陳列の際に、複数段に積み重ねて取り扱われており、荷崩れや鶏卵の破損を防ぐためにも積み重ねに耐え得る強度が必要である。
【0013】
上記特許文献2に開示された鶏卵容器においては、蓋部分2の天面となる平面部20に突出部を設けない代わりに、身部分1から蓋部分2の平面部20に到達する高さの突出部140~170を形成して、閉蓋状態においてラベルを天面に押しつけて保持させており、この突出部140~170の高さは、従来の鶏卵容器に比してほぼ2倍の高さである。
【0014】
この突出部は、閉蓋状態においてラベルを保持するとともに、蓋部分2の天面20を支えることで、積み重ねに耐え得る強度を付与することもできる。
【0015】
しかし、合成樹脂シートを真空成型またはブロー成型して、このように高い突出部を形成すると、厚み方向に大きく引き伸ばされるので薄くなり、鶏卵容器を複数段で積み重ねた際に、突出部が支柱の機能を果たせなくなる。そのために、原材料の合成樹脂シートに、従来の鶏卵容器の製造に使用されているシートより厚いものを使用しなければならずコスト・アップになっていた。
【0016】
また、このような合成樹脂シートを成型して高い突出部を形成するには、高度な技術を要しなければ実現できず、歩留まりを向上させることは容易ではない。
【0017】
未使用の鶏卵容器は、開蓋状態で数百枚積み重ねて段ボールで梱包した後に、輸送される。このように高い突出部が存在すると、ケース内において突出部周辺が大きなデッドスペースとなり、突出部が輸送による衝撃を受けやすく、大きく変形してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明の鶏卵容器は、複数の鶏卵を収容する身部分と、この身部分の一側辺に屈曲自在の連結部を介して連結された蓋部分とよりなる鶏卵容器において、上記身部分には、複数の鶏卵を互いに離間させた状態で保持する隔壁と、この隔壁が十字形に交叉する部分に形成された角錐台形または円錐台形の第1の突出部とを有し、上記蓋部分には、内側に配置されるラベルを視認可能にする平坦面および側壁を有し、閉蓋状態において、身部分の長手方向両端の2つの上記第1の突出部に対向する位置に形成された角錐台形または円錐台形の2つの第2の突出部を有し、鶏卵を入れた閉蓋状態において、ラベルは、蓋部分の長手方向の側壁と上記2つの第2の突出部とにより位置決めされて、各鶏卵と蓋部分の平坦面との間に保持される。
【0019】
この発明の鶏卵容器の他の実施形態は、蓋部分に形成した第2の突出部が、縦方向に裁断した裁断面を有し、両裁断面が内側を向いて対向するように配置されている。
【発明の効果】
【0020】
この発明の鶏卵容器によると、身部分から蓋部分の天面部を支える高い突出部を備えることなく、廉価に製造することができるとともに、容器の変形による鶏卵の破損を軽減することができ、かつ、未使用の鶏卵容器を輸送する際も突出部を変形することなく輸送することができる。また、封入されたラベルも蓋部分の長手方向の側壁と2つの突出部とにより安定的に位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の第1の実施形態の鶏卵容器の内面を示す斜視図、
図2】第1の実施形態の鶏卵容器を示す平面図、
図3】第1の実施形態の鶏卵容器の外面を示す斜視図、
図4】この発明の第2の実施形態の鶏卵容器の内面を示す斜視図、
図5】従来の鶏卵容器の一例を示す平面図、
図6】従来の鶏卵容器の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の第1の実施形態の鶏卵容器は、図1の斜視図および図2の平面図に示すように、合成樹脂シートを成型して、複数個の鶏卵を互いに離間させた状態で保持する収納凹部11を有する身部分1と、この身部分1と屈曲自在な連結部分3を介して連結された蓋部分2とよりなる鶏卵容器において、原材料の合成樹脂シートの厚みを厚くすることなく、ラベルを視認し易い場所に安定的に配置可能であり、かつ積み重ねたときに荷崩れすることなく、運搬に耐え得る強度を有するように構成したものである。
【0023】
この発明の鶏卵容器の身部分1には、複数の鶏卵を互いに離間させた状態で、例えば5個づつ2列に10個の鶏卵を保持するように、隔壁12によって仕切られた複数の鶏卵を入れる収納凹部11が形成されており、各隔壁12が十字形に交叉する部分には、角錐台形または円錐台形の突出部14~17が長手方向に4個配列されており、収納凹部11の周囲にはフランジ部19が形成されている。
【0024】
図1および図2に示すように、蓋部分2には、閉蓋状態において、身部分1の長手方向両端の2つの突出部14、17に対向する位置に角錐台形または円錐台形の2つの突出部24、27が下向きに形成されている。これら2つの突出部24、27は、角錐台形または円錐台形の中心線からずれた面で縦方向に裁断した形状を有し、それらの裁断面241、271は内側を向いて対向するように配置されている。
【0025】
さらに、蓋部分2には、閉蓋状態において、身部分1の両端の2つの突出部14、17を除く中間の突出部15、16に対向する位置には、突出部を形成することなく、鶏卵とともに入れられたラベルLを保持する平坦面20が形成されている。
【0026】
蓋部分2の周囲にはフランジ部29が形成されており、閉蓋状態においては、身部分1のフランジ部19と重なり合うものであって、粘着テープなどによる封緘に使用する。
【0027】
図3の外面の斜視図に示すように、蓋部分2の平坦面20の外側の四隅には、四分の一円形の凸条28が形成されており、鶏卵を入れた状態で鶏卵容器を積重ねたとき、身部分1の収納凹部11の外側に突出した四隅の先端部111が、四分の一円形の凸条28の中に嵌まって横滑りすることなく、荷崩れしないように構成されている。
【0028】
身部分1の各収納凹部11に鶏卵を入れて、開蓋状態の蓋部分2の平坦面20にラベルLを入れて蓋部分2を閉じると、ラベルLは、各鶏卵と蓋部分2の平坦面20との間に保持され、蓋部分2の側壁21と2つの突出部24、27により囲まれて位置決めされる。
【0029】
このように構成された鶏卵容器を複数段に積み重ねても、蓋部分2の平坦面20に2つの突出部24、27を設けているので、この2つの突出部24、27が身部分の2つの突出部14、17と突き合わさって柱状体を形成するので、蓋部分の平坦面20に荷重がかかることなく、上層段の荷重を下層段に伝達できるから、入れられた鶏卵を破損することはないのである。
【0030】
(第2の実施の形態)
以上で説明した第1の実施形態においては、蓋部分2の平坦面20に設けた角錐台形または円錐台形の2つの突出部24、27は、その中心線からずれた面で縦方向に裁断した形状を有し、それらの裁断面241、271は内側を向いて対向するように配置されているが、第2の実施形態においては、図4の斜視図に示すように、2つの突出部240、270に裁断面241、271を形成しないように構成したものである。
【0031】
身部分1の各収納凹部11に鶏卵を入れて、開蓋状態の蓋部分2の平坦面20にラベルLを入れて蓋部分2を閉じると、ラベルLは、各鶏卵と蓋部分2の平坦面20との間に保持され、蓋部分の側壁21と2つの突出部240、270の側面とにより位置決めされる。
【0032】
なお、ラベルLとして、長方形のものに限ることなく、図4に示すように、蓋部分2の2つの突出部240、270に嵌まる切欠きL2を形成して位置決めしてもよいのである。
【符号の説明】
【0033】
1 身部分
11 収納凹部
12 隔壁
14~17 突出部
19、29 フランジ部
2 蓋部分
20 平坦面
21 側壁
24、27 突出部
240、270 突出部
28 四分の一円形の凸条
3 連結部分
L ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6