(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175834
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】太陽光パネル掃除システム、及び掃除経路生成装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/00 20060101AFI20221117BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221117BHJP
H02S 40/10 20140101ALI20221117BHJP
H02S 40/12 20140101ALI20221117BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B08B1/00
G05D1/02 H
H02S40/10
H02S40/12
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082559
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢二
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F151
5H301
【Fターム(参考)】
3B116AA31
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA35
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3B201AB54
3B201BA02
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3B201BB21
3B201BB93
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5F151JA15
5H301AA01
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】太陽光パネル上の汚れを掃除用走行体によって効率よく掃除する。
【解決手段】太陽光パネル掃除システム100は、太陽光パネルS上を走行し、太陽光パネルS上の汚れを検出する検出用走行体1と、検出用走行体1の検出結果に基づいて、太陽光パネルS上の汚れ位置を含む汚れマップを生成するマップ生成部30aと、生成された汚れマップに基づいて、太陽光パネルSの掃除を行うための掃除経路を生成する掃除経路生成部30bと、生成された掃除経路に基づいて太陽光パネルS上を走行し、太陽光パネルSの掃除を行う掃除用走行体2とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネル上を走行し、前記太陽光パネル上の汚れを検出する検出用走行体と、
前記検出用走行体の検出結果に基づいて、前記太陽光パネル上の前記汚れの汚れ位置を含む汚れマップを生成するマップ生成部と、
生成された前記汚れマップに基づいて、前記太陽光パネルの掃除を行うための掃除経路を生成する掃除経路生成部と、
生成された前記掃除経路に基づいて前記太陽光パネル上を走行し、前記太陽光パネルの掃除を行う掃除用走行体と、
を備える太陽光パネル掃除システム。
【請求項2】
前記マップ生成部は、前記検出用走行体の検出結果に基づいて前記太陽光パネル上の前記汚れの汚れ度合を検出し、前記太陽光パネル上の前記汚れ位置及び前記汚れ度合を含む前記汚れマップを生成し、
前記掃除経路生成部は、前記汚れ度合が所定の基準汚れ度合よりも高い場合、当該汚れの前記汚れ位置を前記掃除用走行体が複数回通過するように前記掃除経路を生成する、請求項1に記載の太陽光パネル掃除システム。
【請求項3】
前記マップ生成部は、前記検出用走行体の検出結果に基づいて前記太陽光パネル上の前記汚れの汚れ度合を検出し、前記太陽光パネル上の前記汚れ位置及び前記汚れ度合を含む前記汚れマップを生成し、
前記掃除経路生成部は、前記掃除経路に沿って前記掃除用走行体が走行するときの走行速度を更に生成するとともに、前記汚れ度合が高い場合、前記汚れ度合が低い場合に比べて当該汚れの前記汚れ位置を前記掃除用走行体が通過するときの速度が低くなるように前記走行速度を生成し、
前記掃除用走行体は、生成された前記掃除経路及び前記走行速度に基づいて前記太陽光パネル上を走行する、請求項1に記載の太陽光パネル掃除システム。
【請求項4】
前記マップ生成部は、前記検出用走行体の検出結果に基づいて前記太陽光パネル上の前記汚れの汚れ度合を検出し、前記太陽光パネル上の前記汚れ位置及び前記汚れ度合を含む前記汚れマップを生成し、
前記掃除経路生成部は、前記掃除経路を生成する際に、前記掃除経路上に存在する前記汚れの前記汚れ度合を含めて前記掃除経路を生成し、
前記掃除用走行体は、前記掃除経路に含まれる前記汚れ度合に応じて掃除の態様を変更する、請求項1に記載の太陽光パネル掃除システム。
【請求項5】
前記太陽光パネルには、前記掃除用走行体のバッテリを充電するための充電装置が設置された充電ポイントが設けられており、
前記掃除経路生成部は、前記バッテリが所定電力量以下となる前に前記掃除用走行体が前記充電ポイントに立ち寄るように前記掃除経路を生成し、
前記掃除用走行体は、前記充電ポイントにおいて前記バッテリを充電する、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽光パネル掃除システム。
【請求項6】
前記掃除用走行体は、前記充電ポイントに到着して前記バッテリの充電を行う前に、前記充電装置の送電部を掃除する、請求項5に記載の太陽光パネル掃除システム。
【請求項7】
太陽光パネル上の汚れの汚れ位置を含む汚れマップに基づいて、掃除用走行体を前記太陽光パネル上で走行させて掃除を行うための掃除経路を生成する掃除経路生成部を備える、掃除経路生成装置。
【請求項8】
前記汚れマップは、前記太陽光パネル上の前記汚れの汚れ度合を更に含み、
前記掃除経路生成部は、前記汚れ度合が所定の基準汚れ度合よりも高い場合、当該汚れの前記汚れ位置を前記掃除用走行体が複数回通過するように前記掃除経路を生成する、請求項7に記載の掃除経路生成装置。
【請求項9】
前記汚れマップは、前記太陽光パネル上の前記汚れの汚れ度合を更に含み、
前記掃除経路生成部は、前記掃除経路に沿って前記掃除用走行体が走行するときの走行速度を更に生成するとともに、前記汚れ度合が高い場合、前記汚れ度合が低い場合に比べて当該汚れの前記汚れ位置を前記掃除用走行体が通過するときの速度が低くなるように前記走行速度を生成する、請求項7に記載の掃除経路生成装置。
【請求項10】
前記太陽光パネルには、前記掃除用走行体のバッテリを充電するための充電装置が設置された充電ポイントが設けられており、
前記掃除経路生成部は、前記バッテリが所定電力量以下となる前に前記掃除用走行体が前記充電ポイントに立ち寄るように前記掃除経路を生成する、請求項7~9のいずれか一項に記載の掃除経路生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル掃除システム、及び太陽光パネルの掃除を行うための掃除経路を生成する掃除経路生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電を行う太陽光パネルを掃除する装置として、自走式の走行体がある。このような走行体が、例えば、特許文献1に記載されている。この走行体は、汚れを検出するためのカメラと、太陽光パネル上の汚れを除去する掃除具とを搭載している。そして、この走行体は、移動しながらカメラによって周囲の汚れを検出しつつ、搭載された掃除具によって汚れを除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような走行体では、太陽光パネル上の汚れを検出するために、汚れが無かったとしても一旦はその領域に接近してセンシングを行う必要がある。このため、掃除具を搭載したまま、汚れの検出のために不必要に走行する必要が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、太陽光パネル上の汚れを掃除用走行体によって効率よく掃除可能な太陽光パネル掃除システム、及び掃除経路生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る太陽光パネル掃除システムは、太陽光パネル上を走行し、太陽光パネル上の汚れを検出する検出用走行体と、検出用走行体の検出結果に基づいて、太陽光パネル上の汚れの汚れ位置を含む汚れマップを生成するマップ生成部と、生成された汚れマップに基づいて、太陽光パネルの掃除を行うための掃除経路を生成する掃除経路生成部と、生成された掃除経路に基づいて太陽光パネル上を走行し、太陽光パネルの掃除を行う掃除用走行体と、を備える。
【0007】
この太陽光パネル掃除システムでは、検出用走行体による汚れの検出結果に基づいて汚れマップが生成され、汚れマップに基づいて掃除用走行体の掃除経路が生成される。掃除用走行体は、生成された掃除経路に基づいて太陽光パネル上を走行し、掃除を行う。このように、掃除用走行体は、生成された掃除経路に基づいて効率よく走行して掃除を行うことができる。以上のように、太陽光パネル掃除システムは、太陽光パネル上の汚れを掃除用走行体によって効率よく掃除することができる。
【0008】
上記の太陽光パネル掃除システムにおいて、マップ生成部は、検出用走行体の検出結果に基づいて太陽光パネル上の汚れの汚れ度合を検出し、太陽光パネル上の汚れ位置及び汚れ度合を含む汚れマップを生成し、掃除経路生成部は、汚れ度合が所定の基準汚れ度合よりも高い場合、当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体が複数回通過するように掃除経路を生成してもよい。この場合、掃除用走行体は、汚れ度合が高い部分を複数回通過することができ、より確実に汚れを除去することができる。
【0009】
上記の太陽光パネル掃除システムにおいて、マップ生成部は、検出用走行体の検出結果に基づいて太陽光パネル上の汚れの汚れ度合を検出し、太陽光パネル上の汚れ位置及び汚れ度合を含む汚れマップを生成し、掃除経路生成部は、掃除経路に沿って掃除用走行体が走行するときの走行速度を更に生成するとともに、汚れ度合が高い場合、汚れ度合が低い場合に比べて当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体が通過するときの速度が低くなるように走行速度を生成し、掃除用走行体は、生成された掃除経路及び走行速度に基づいて太陽光パネル上を走行してもよい。この場合、掃除用走行体は、汚れ度合が高い部分を低速で走行することができ、低速で走行しながらより確実に汚れを除去することができる。
【0010】
上記の太陽光パネル掃除システムにおいて、マップ生成部は、検出用走行体の検出結果に基づいて太陽光パネル上の汚れの汚れ度合を検出し、太陽光パネル上の汚れ位置及び汚れ度合を含む汚れマップを生成し、掃除経路生成部は、掃除経路を生成する際に、掃除経路上に存在する汚れの汚れ度合を含めて掃除経路を生成し、掃除用走行体は、掃除経路に含まれる汚れ度合に応じて掃除の態様を変更してもよい。この場合、掃除用走行体は、汚れ度合に応じて掃除の態様を変更することによって、より確実に汚れを除去することができる。
【0011】
上記の太陽光パネル掃除システムにおいて、太陽光パネルには、掃除用走行体のバッテリを充電するための充電装置が設置された充電ポイントが設けられており、掃除経路生成部は、バッテリが所定電力量以下となる前に掃除用走行体が充電ポイントに立ち寄るように掃除経路を生成し、掃除用走行体は、充電ポイントにおいてバッテリを充電してもよい。この場合、太陽光パネル掃除システムは、バッテリの残電力量が不足することによって太陽光パネル上で掃除用走行体が停止してしまうことを抑制できる。
【0012】
上記の太陽光パネル掃除システムにおいて、掃除用走行体は、充電ポイントに到着してバッテリの充電を行う前に、充電装置の送電部を掃除してもよい。この場合、太陽光パネル掃除システムは、充電装置の送電部の汚れによる送電不良を抑制できる。
【0013】
本発明の他の一側面に係る掃除経路生成装置は、太陽光パネル上の汚れの汚れ位置を含む汚れマップに基づいて、掃除用走行体を太陽光パネル上で走行させて掃除を行うための掃除経路を生成する掃除経路生成部を備える。
【0014】
この掃除経路生成装置では、汚れマップに基づいて掃除用走行体の掃除経路が生成される。掃除用走行体は、生成された掃除経路に基づいて走行することにより、太陽光パネル上を効率よく走行して掃除を行うことができる。以上のように、掃除経路生成装置は、太陽光パネル上の汚れを掃除用走行体によって効率よく掃除することができる。
【0015】
上記の掃除経路生成装置において、汚れマップは、太陽光パネル上の汚れの汚れ度合を更に含み、掃除経路生成部は、汚れ度合が所定の基準汚れ度合よりも高い場合、当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体が複数回通過するように掃除経路を生成してもよい。この場合、掃除経路生成装置は、汚れ度合が高い部分については掃除用走行体を複数回通過させることができ、掃除用走行体によってより確実に汚れを除去させることができる。
【0016】
上記の掃除経路生成装置において、汚れマップは、太陽光パネル上の汚れの汚れ度合を更に含み、掃除経路生成部は、掃除経路に沿って掃除用走行体が走行するときの走行速度を更に生成するとともに、汚れ度合が高い場合、汚れ度合が低い場合に比べて当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体が通過するときの速度が低くなるように走行速度を生成してもよい。この場合、掃除経路生成装置は、汚れ度合が高い部分については掃除用走行体を低速で走行させることができ、掃除用走行体を低速で走行させながらより確実に汚れを除去させることができる。
【0017】
上記の掃除経路生成装置において、太陽光パネルには、掃除用走行体のバッテリを充電するための充電装置が設置された充電ポイントが設けられており、掃除経路生成部は、バッテリが所定電力量以下となる前に掃除用走行体が充電ポイントに立ち寄るように掃除経路を生成してもよい。この場合、掃除経路生成装置は、バッテリの残電力量が不足することによって太陽光パネル上で掃除用走行体が停止してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の種々の側面によれば、太陽光パネル上の汚れを掃除用走行体によって効率よく掃除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る太陽光パネル掃除システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、検出用走行体の概略構成を示す側面図である。
図2(b)は、掃除用走行体の概略構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は、検出用走行体の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、掃除用走行体の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、充電装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1に示されるように、太陽光パネル掃除システム100は、太陽光パネルSの上面(受光面Sa)の掃除を行う。太陽光パネルSは、1又は複数の太陽光パネル体によって構成されている。また、太陽光パネルSは、受光面Saが太陽の方向を向くように、水平方向に対して受光面Saが傾斜するように設置されている。例えば、太陽光パネル掃除システム100は、非常に広い受光面Saを有するメガソーラーにおける太陽光パネルSの掃除を行う。
【0022】
太陽光パネル掃除システム100は、検出用走行体1、掃除用走行体2、制御装置3、及び充電装置4を備えている。なお、
図1では、太陽光パネル掃除システム100が検出用走行体1と掃除用走行体2とを1台ずつ備える場合を示しているが、太陽光パネル掃除システム100に設けられる検出用走行体1の台数及び掃除用走行体2の台数は、それぞれ1台ずつに限定されない。また、検出用走行体1の台数と掃除用走行体2の台数とは、互いに異なっていてもよい。例えば、太陽光パネル掃除システム100は、検出用走行体1の台数よりも多い台数の掃除用走行体2を備えていてもよい。
【0023】
検出用走行体1は、自走式の走行体であり、太陽光パネルS(受光面Sa)上の汚れを検出する。掃除用走行体2は、自走式の走行体であり、太陽光パネルS(受光面Sa)上の掃除を行う。制御装置3は、検出用走行体1で検出された汚れを、掃除用走行体2によって掃除をさせる制御を行う。充電装置4は、太陽光パネルSに設定された充電ポイントPに設置されている。充電装置4は、検出用走行体1及び掃除用走行体2に対して電力を供給し、それぞれに搭載されたバッテリ14及び24(
図3及び
図4参照)を充電する。以下、太陽光パネル掃除システム100の各部の詳細について説明する。
【0024】
[検出用走行体]
図2(a)及び
図3に示されるように、検出用走行体1は、太陽光パネルSの受光面Sa上を走行し、受光面Sa上の汚れを検出する。検出用走行体1は、検出用ECU(Electronic Control Unit)10、汚れセンサ11、通信部12、受電コイル部13、及びバッテリ14を含んで構成されている。
【0025】
汚れセンサ11は、太陽光パネルSの受光面Sa上の汚れを検出するためのセンサである。汚れセンサ11としては、汚れを検出するための周知の種々のセンサを用いることができる。例えば、汚れセンサ11は、光沢度計、照度計、可視光カメラ、赤外線カメラ等の少なくともいずれかを含んでいてもよい。汚れセンサ11は、検出用走行体1の周囲(例えば、進行方向の前方)の受光面Saを検出範囲とし、受光面Sa上の汚れを検出する。
【0026】
通信部12は、制御装置3と無線通信を行う通信機器である。通信部12は、制御装置3と直接通信を行ってもよく、太陽光パネルS近傍に設けられたアクセスポイント及び通信ネットワーク等を介して通信を行ってもよい。
【0027】
受電コイル部13は、検出用走行体1が充電ポイントPに到着したときに、充電装置4から電力の供給を受ける。受電コイル部13は、充電装置4から非接触で電力の供給を受けるための受電コイルを含んでいる。受電コイル部13は、例えば、検出用走行体1の本体部1aの下面に設けられている。受電コイル部13の受電面は、受光面Sa側を向いている。受電コイル部13によって受電された電力によって、検出用走行体1に搭載されたバッテリ14の充電が行われる。
【0028】
バッテリ14は、検出用走行体1を走行させるため及び各部を動作させるための電力源となる。
【0029】
検出用ECU10は、検出用走行体1における各部の動作を制御する。検出用ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などを有する電子制御ユニットである。検出用ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをCPUで実行することにより各種の機能が実現される。検出用ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0030】
検出用ECU10は、機能的には、位置検出部10a、走行制御部10b、及び充電制御部10cを含んでいる。
【0031】
位置検出部10aは、太陽光パネルS上における検出用走行体1の位置を検出する。位置検出部10aは、例えば、GPS[Global Positioning System]信号を用いる等、周知の種々の方法によって検出用走行体1の位置を検出することができる。
【0032】
また、位置検出部10aは、汚れセンサ11の検出結果と、汚れセンサ11が汚れの検出を行うときの検出用走行体1の位置と、を含む汚れ情報を生成する。位置検出部10aは、生成した汚れ情報を通信部12を介して制御装置3に送信する。この汚れ情報は、太陽光パネルS上における汚れの有無、及び汚れが存在する場合の汚れの位置を表している。
【0033】
走行制御部10bは、太陽光パネルS上において検出用走行体1を自動で走行させる制御を行う。走行制御部10bは、バッテリ14の電力によって作動する図示しない電動モータによって車輪15(
図2(a)参照)を駆動させ、検出用走行体1を走行させる。なお、走行制御部10bは、位置検出部10aで検出された検出用走行体1の位置、及び検出用走行体1の外部状況等に基づいて、周知の方法によって検出用走行体1を自動で走行させる。例えば、検出用走行体1は、検出用走行体1の外部状況として、検出用走行体1に搭載されたライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]及び/又は可視光カメラの検出結果を用いることができる。
【0034】
また、走行制御部10bは、太陽光パネルSの受光面Saの全体について汚れセンサ11によって汚れの検出が可能なように、汚れを検出するための汚れ検出経路を生成する。そして、走行制御部10bは、生成した汚れ検出経路に沿って、太陽光パネルS上で検出用走行体1を走行させる。なお、走行制御部10bは、自身で汚れ検出経路を生成する以外にも、例えば、通信部12を介して制御装置3から汚れ検出経路を取得し、取得した汚れ検出経路に沿って検出用走行体1を走行させてもよい。
【0035】
なお、走行制御部10bは、バッテリ14が所定電力量以下となる前に検出用走行体1が充電ポイントPに立ち寄るように汚れ検出経路を生成する。但し、事前の想定よりも早くバッテリ14の残電力量が低下する場合が考えられる。このため、走行制御部10bは、バッテリ14の残電力量を監視する。そして、想定よりも早くバッテリ14が所定電力量以下となりそうな場合、走行制御部10bは、元の汚れ検出経路から逸れて充電ポイントPへ向かう経路を生成し、充電ポイントPへ向かって検出用走行体1を走行させる。充電ポイントPにおいてバッテリ14の充電が行われた後、走行制御部10bは、再び元の汚れ検出経路に向けて検出用走行体1を走行させてもよい。
【0036】
充電制御部10cは、検出用走行体1が充電ポイントPに到着したときに、受電コイル部13が充電装置4との間で行う受電の制御を行う。また、充電制御部10cは、受電コイル部13が受電した電力によってバッテリ14を充電する制御を行う。
【0037】
なお、検出用走行体1の構造の一例が
図2(a)に示されているが、検出用走行体1の構造については
図2(a)に示される構造に限定されない。
【0038】
[掃除用走行体]
図2(b)及び
図4に示されるように、掃除用走行体2は、制御装置3で生成された掃除経路に基づいて太陽光パネルSの受光面Sa上を走行し、受光面Saの掃除を行う。掃除用走行体2は、掃除用ECU20、掃除部21、通信部22、受電コイル部23、及びバッテリ24を含んで構成されている。
【0039】
掃除部21は、受光面Saを掃除するための掃除具を備えている。掃除部21は、掃除具として、例えば、掃除ブラシ、洗浄水、及び洗剤等を備えている。掃除部21は、受光面Sa上の汚れがある部分に掃除用走行体2が到着したときに作動し、汚れの除去作業を行う。つまり、掃除部21は、受光面Sa上の汚れが無い部分については、作動しない。但し、掃除部21は、掃除用ECU20の掃除制御部20cからの指示によっては、掃除用走行体2の走行中に常時掃除を行う構成であってもよい。
【0040】
通信部22は、制御装置3と無線通信を行う通信機器である。通信部22は、制御装置3と直接通信を行ってもよく、太陽光パネルS近傍に設けられたアクセスポイント及び通信ネットワーク等を介して通信を行ってもよい。
【0041】
受電コイル部23は、掃除用走行体2が充電ポイントPに到着したときに、充電装置4から電力の供給を受ける。受電コイル部23は、充電装置4から非接触で電力の供給を受けるための受電コイルを含んでいる。受電コイル部23は、例えば、掃除用走行体2の本体部2aの下面に設けられている。受電コイル部23の受電面は、受光面Sa側を向いている。受電コイル部23によって受電された電力によって、掃除用走行体2に搭載されたバッテリ24の充電が行われる。
【0042】
バッテリ24は、掃除用走行体2を走行させるため及び掃除部21等の各部を動作させるための電力源となる。
【0043】
掃除用ECU20は、掃除用走行体2における各部の動作を制御する。掃除用ECU20は、検出用ECU10と同様の構成を有する電子制御ユニットである。
【0044】
掃除用ECU20は、機能的には、位置検出部20a、走行制御部20b、掃除制御部20c、及び充電制御部20dを含んでいる。
【0045】
位置検出部20aは、太陽光パネルS上における掃除用走行体2の位置を検出する。位置検出部10aは、例えば、GPS信号を用いる等、周知の種々の方法によって掃除用走行体2の位置を検出することができる。
【0046】
走行制御部20bは、太陽光パネルS上において掃除用走行体2を自動で走行させる制御を行う。走行制御部20bは、バッテリ24の電力によって作動する図示しない電動モータによって車輪25(
図2(b)参照)を駆動させ、掃除用走行体2を走行させる。なお、走行制御部20bは、位置検出部20aで検出された掃除用走行体2の位置、及び掃除用走行体2の外部状況等に基づいて、周知の方法によって掃除用走行体2を自動で走行させる。例えば、掃除用走行体2は、掃除用走行体2の外部状況として、掃除用走行体2に搭載されたライダー及び/又は可視光カメラの検出結果を用いることができる。
【0047】
なお、走行制御部20bは、通信部22を介して制御装置3から掃除経路を取得する。走行制御部20bは、取得した掃除経路に沿って太陽光パネルS上で掃除用走行体2を走行させる。また、走行制御部20bは、掃除経路と共に走行速度を取得する場合がある。この場合、走行制御部20bは、取得した走行速度に従って掃除経路に沿って掃除用走行体2を走行させる。
【0048】
なお、制御装置3から取得される掃除経路は、掃除用走行体2のバッテリ24が所定電力量以下となる前に掃除用走行体2が充電ポイントPに立ち寄る経路となっている。但し、事前の想定よりも早くバッテリ24の残電力量が低下する場合が考えられる。このため、走行制御部20bは、バッテリ24の残電力量を監視する。そして、想定よりも早くバッテリ24が所定電力量以下となりそうな場合、走行制御部20bは、元の掃除経路から逸れて充電ポイントPへ向かう経路を生成し、充電ポイントPへ向かって掃除用走行体2を走行させる。充電ポイントPにおいてバッテリ24の充電が行われた後、走行制御部20bは、再び元の掃除経路に向けて掃除用走行体2を走行させてもよい。
【0049】
掃除制御部20cは、掃除部21の動作を制御する。ここで、制御装置3から取得された掃除経路には、受光面Sa上に存在する汚れの汚れ位置が含まれている。このため、掃除制御部20cは、掃除経路に沿って走行する掃除用走行体2が汚れ位置に到達したときに、掃除部21を作動させて汚れの除去を行う。
【0050】
また、掃除経路には、受光面Sa上に存在する汚れの汚れ状態が含まれる場合がある。この場合、掃除制御部20cは、汚れ状態に応じて、掃除部21が行う掃除の態様を変更してもよい。例えば、掃除制御部20cは、汚れ状態に含まれる汚れ度合に応じて、掃除部21が行う掃除の態様を変更してもよい。一例として、掃除制御部20cは、汚れの度合が高い場合には、掃除ブラシが強く受光面Saに押しつけられるように掃除部21の制御を行ってもよい。また、例えば、掃除制御部20cは、汚れ状態に含まれる汚れの種類に応じて、掃除部21が行う掃除の態様を変更してもよい。一例として、掃除制御部20cは、汚れの種類に応じて、散布する洗剤の種類、及び/又は掃除ブラシの押し付け強さ等を変更してもよい。
【0051】
また、掃除制御部20cは、掃除用走行体2が充電ポイントPに到着してバッテリ24の充電を行う前に、充電装置4の送電コイル部41の送電面(送電コイル部41の上面(送電部))(
図6参照)の掃除を行うように掃除部21を制御する。
【0052】
充電制御部20dは、掃除用走行体2が充電ポイントPに到着したときに、受電コイル部23が充電装置4との間で行う受電の制御を行う。また、充電制御部20dは、受電コイル部23が受電した電力によってバッテリ24を充電する制御を行う。
【0053】
なお、掃除用走行体2の構造の一例が
図2(b)に示されているが、掃除用走行体2の構造については
図2(b)に示される構造に限定されない。
【0054】
[制御装置]
図5に示されるように、制御装置3は、検出用走行体1で検出された汚れ情報を取得する。そして、制御装置3は、汚れ情報に基づいて、受光面Sa上の汚れを除去するように掃除用走行体2を走行させる。制御装置3は、検出用走行体1及び掃除用走行体2とは別体として、例えば、太陽光パネル掃除システム100の制御室等に設置されたサーバ、又はクラウド上のサーバ等によって構成されている。
【0055】
より詳細には、制御装置3は、制御用ECU30、及び通信部31を含んで構成されている。通信部31は、検出用走行体1及び掃除用走行体2と無線通信を行う通信機器である。通信部31は、検出用走行体1及び掃除用走行体2と直接通信を行ってもよく、太陽光パネルS近傍に設けられたアクセスポイント及び通信ネットワーク等を介して通信を行ってもよい。
【0056】
制御用ECU30は、検出用ECU10と同様の構成を有する電子制御ユニットである。制御用ECU30は、機能的には、マップ生成部30a、及び掃除経路生成部(掃除経路生成装置)30bを含んでいる。
【0057】
マップ生成部30aは、検出用走行体1による汚れの検出結果に基づいて、太陽光パネルSの受光面Sa上の汚れを示す汚れマップを生成する。具体的には、マップ生成部30aは、検出用走行体1から送信された汚れ情報を通信部31を介して取得する。マップ生成部30aは、取得した汚れ情報に基づいて汚れマップを生成する。ここでは、マップ生成部30aは、汚れ情報に基づいて、太陽光パネルSの受光面Sa上における汚れの汚れ位置及び汚れ状態を含む汚れマップを生成する。
【0058】
マップ生成部30aは、汚れセンサ11の検出結果に基づいて、周知の種々の方法に基づいて汚れの有無及び汚れの範囲を検出することができる。また、マップ生成部30aは、汚れセンサ11が汚れの検出を行うときの検出用走行体1の位置に基づいて、汚れの位置を検出することができる。
【0059】
マップ生成部30aは、汚れ情報に含まれる汚れセンサ11の検出結果に基づいて、汚れの汚れ状態を検出することができる。この汚れ状態には、例えば、汚れ度合、及び汚れの種類等が含まれている。例えば、マップ生成部30aは、汚れセンサ11の検出結果(可視カメラ又は赤外線カメラの撮像画像等)に対して周知の画像処理を行うことにより、汚れ度合及び汚れの種類等の汚れ状態を検出することができる。
【0060】
掃除経路生成部30bは、マップ生成部30aによって生成された汚れマップに基づいて、掃除用走行体2によって太陽光パネルSの受光面Saの掃除を行うための掃除経路を生成する。この掃除経路には、受光面Sa上に存在する汚れの汚れ位置が含まれている。ここでは、掃除経路生成部30bは、汚れマップに基づいて、受光面Sa上の汚れている箇所を順次巡るように掃除経路を生成する。例えば、掃除経路生成部30bは、受光面Sa上の複数の汚れている箇所を最短経路で順次巡るように、掃除経路を生成することができる。
【0061】
掃除経路生成部30bは、生成した掃除経路を通信部31を介して掃除用走行体2に送信する。掃除用走行体2は、掃除経路生成部30bから送信された掃除経路を通信部22を介して受信する。これにより、掃除用走行体2は、掃除経路に沿って走行することにより、受光面Sa上の汚れ箇所を順次巡り、汚れの除去を行うことができる。
【0062】
なお、汚れている箇所において、汚れが広範囲に及んでいることがある。この場合、掃除経路生成部30bは、当該広範囲に及ぶ汚れを掃除用走行体2が除去できるように、汚れている領域内を往復しながら走行する掃除経路を生成してもよい。これにより、掃除用走行体2は、汚れが広範囲に及ぶ場合であっても、当該汚れの除去を行うことができる。
【0063】
また、掃除経路生成部30bは、汚れマップに含まれる汚れ状態の汚れ度合に基づいて掃除経路を生成することができる。ここでは、掃除経路生成部30bは、受光面Sa上の汚れの汚れ度合が所定の基準汚れ度合よりも高い場合、当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体2が複数回通過するように掃除経路を生成することができる。このように、掃除経路生成部30bは、汚れ度合に応じて、当該汚れ上を掃除用走行体2が通過する回数を制御することができる。つまり、掃除経路生成部30bは、汚れ度合に応じて、掃除用走行体2による掃除の回数を制御することができる。
【0064】
掃除経路生成部30bは、汚れ度合に応じて生成した掃除経路を通信部31を介して掃除用走行体2に送信する。掃除用走行体2は、通信部22を介して掃除経路生成部30bから送信された掃除経路を受信する。掃除用走行体2は、汚れ度合に応じて生成された掃除経路に基づいて走行する。これにより、掃除用走行体2は、汚れている箇所を、汚れ度合に応じて1回又は複数回通過しながら、当該汚れの除去を行うことができる。
【0065】
さらに、掃除経路生成部30bは、掃除経路に沿って掃除用走行体2が走行するときの走行速度を更に生成することができる。この場合、掃除経路生成部30bは、受光面Sa上の汚れの汚れ度合が高い場合、汚れ度合が低い場合に比べて当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体2が通過するときの速度が低くなるように走行速度を生成することができる。このように、掃除経路生成部30bは、汚れ度合に応じて、当該汚れ上を掃除用走行体2が通過するときの速度を制御することができる。つまり、掃除経路生成部30bは、汚れ度合に応じて、掃除用走行体2の掃除部21が汚れの除去に掛ける時間を制御することができる。
【0066】
掃除経路生成部30bは、掃除経路と汚れ度合に応じて生成した走行速度とを、通信部31を介して掃除用走行体2に送信する。掃除用走行体2は、通信部22を介して、掃除経路と汚れ度合に応じて生成された走行速度とを受信する。そして、掃除用走行体2は、受信した掃除経路及び走行速度に基づいて受光面Sa上を走行する。これにより、掃除用走行体2は、汚れ度合に応じて汚れの除去に掛ける時間を変更しながら掃除を行うことができる。
【0067】
また、掃除経路生成部30bは、掃除経路を生成する際に、掃除経路上に存在する汚れの汚れ度合を含めて掃除経路を生成することができる。つまり、掃除経路には、掃除経路上に存在する汚れの汚れ度合の情報が含まれている。掃除経路生成部30bは、汚れ度合を含む掃除経路を、通信部31を介して掃除用走行体2に送信する。掃除用走行体2は、通信部22を介して、汚れ度合を含む掃除経路を受信する。そして、掃除用走行体2は、掃除経路に沿って受光面Sa上を走行する。その際、掃除用走行体2は、汚れ度合に応じて、掃除部21が行う掃除の態様を変更することができる。
【0068】
なお、掃除経路生成部30bは、掃除用走行体2のバッテリ24の残電力量を考慮して、掃除経路を生成する。具体的には、掃除経路生成部30bは、掃除用走行体2のバッテリ24が所定電力量以下となる前に、掃除用走行体2が充電ポイントPに立ち寄るように掃除経路を生成する。なお、掃除経路生成部30bは、掃除経路に沿って走行させたときの掃除用走行体2の走行距離等に基づいて、バッテリ24の残電力量が所定電力量以下となるか否かを判定することができる。あるいは、掃除経路生成部30bは、掃除経路を生成する際に、掃除用走行体2からバッテリ24の残電力量を通信部31を介して受信してもよい。この場合、掃除経路生成部30bは、受信したバッテリ24の残電力量に基づいて、バッテリ24が所定電力量以下となる前に充電ポイントPに立ち寄るように掃除経路を生成してもよい。
【0069】
つまり、掃除経路生成部30bは、掃除用走行体2のバッテリ24が所定電力量以下になると予想される場合、元の掃除経路から逸れて最寄りの充電ポイントPへ向かい、充電完了後に元の掃除経路に戻る経路を掃除経路として生成する。掃除用走行体2は、この掃除経路に沿って走行することにより、バッテリ24が所定電力量以下となる前に充電ポイントPにおいてバッテリ24の充電を行い、充電完了後に掃除を継続することができる。
【0070】
また、掃除経路生成部30bは、掃除用走行体2以外にも、検出用走行体1の汚れ検出経路を生成してもよい。この場合、掃除経路生成部30bは、太陽光パネルSの受光面Saの全体について汚れセンサ11によって汚れの検出が可能なように、汚れを検出するための汚れ検出経路を生成する。掃除経路生成部30bは、汚れ検出経路を、通信部31を介して検出用走行体1に送信する。検出用走行体1は、通信部12を介して、汚れ検出経路を受信する。そして、検出用走行体1は、受信した汚れ検出経路に沿って受光面Sa上を走行して汚れの検出を行うことができる。
【0071】
汚れ検出経路を生成する場合、掃除経路生成部30bは、検出用走行体1のバッテリ14の残電力量を考慮して、汚れ検出経路を生成する。具体的には、掃除経路生成部30bは、検出用走行体1のバッテリ14が所定電力量以下となる前に、検出用走行体1が充電ポイントPに立ち寄るように汚れ検出経路を生成する。なお、掃除経路生成部30bは、汚れ検出経路に沿って走行させたときの検出用走行体1の走行距離等に基づいて、バッテリ14の残電力量が所定電力量以下となるか否かを判定することができる。あるいは、掃除経路生成部30bは、汚れ検出経路を生成する際に、検出用走行体1からバッテリ14の残電力量を通信部31を介して受信してもよい。この場合、掃除経路生成部30bは、受信したバッテリ14の残電力量に基づいて、バッテリ14が所定電力量以下となる前に充電ポイントPに立ち寄るように汚れ検出経路を生成してもよい。
【0072】
つまり、掃除経路生成部30bは、検出用走行体1のバッテリ14が所定電力量以下になると予想される場合、元の汚れ検出経路から逸れて最寄りの充電ポイントPへ向かい、充電完了後に元の汚れ検出経路に戻る経路を汚れ検出経路として生成する。検出用走行体1は、この汚れ検出経路に沿って走行することにより、バッテリ14が所定電力量以下となる前に充電ポイントPにおいてバッテリ14の充電を行い、充電完了後に汚れの検出を継続することができる。
【0073】
また、例えば、制御装置3は、太陽光パネル掃除システム100のオペレータから、受光面Sa上の汚れの確認箇所の入力を受け付けることができる。汚れの確認箇所とは、例えば、受光面Sa上に異物が存在する可能性が高く、汚れの確認が必要と考えられる箇所等が挙げられる。汚れの確認箇所が入力された場合、掃除経路生成部30bは、汚れの確認箇所に向けて検出用走行体1を走行させ、汚れの確認箇所において汚れの検出を行うための汚れ検出経路を生成する。検出用走行体1は、この汚れ検出経路に基づいて走行することにより、オペレータによって指示された汚れ検出箇所において汚れの検出を行うことができる。
【0074】
なお、検出用走行体1は、受光面Sa上の全面について汚れの検出処理が終了してから汚れの検出結果を制御装置3に送信することに限定されない。検出用走行体1は、受光面Sa上において汚れの検出しながら、常時、汚れの有無等の検出結果を制御装置3に送信してもよい。この場合、制御装置3は、汚れの検出結果を受信する毎に掃除経路を生成し、掃除経路を生成する毎に掃除用走行体2に掃除経路を送信してもよい。これにより、太陽光パネル掃除システム100は、検出用走行体1によって汚れの検出をしつつ、掃除用走行体2によって受光面Saの掃除を行うことができる。
【0075】
また、掃除経路生成部30bは、掃除用走行体2の掃除経路を生成する際に、掃除用走行体2が検出用走行体1に衝突しないように掃除経路を生成する。同様に、掃除経路生成部30bは、検出用走行体1の汚れ検出経路を生成する際に、検出用走行体1が掃除用走行体2に衝突しないように汚れ検出経路を生成する。例えば、掃除経路生成部30bは、太陽光パネルSの受光面Saを複数に区画分けする。そして、掃除経路生成部30bは、同一区画内に検出用走行体1及び掃除用走行体2が同時に走行しないように、掃除経路及び汚れ検出経路を生成してもよい。なお、検出用走行体1及び掃除用走行体2は、両者間で位置情報の送受信又は接近有無の情報等の送受信を行うことにより、互いに衝突を避けるように走行することもできる。
【0076】
[充電装置]
図1に示されるように、充電装置4は、太陽光パネルSの受光面Sa上に設置された充電ポイントPに設けられている。本実施形態において、充電ポイントPは、受光面Sa上の複数の所定の位置にそれぞれ設けられている。充電装置4は、複数の充電ポイントPにそれぞれ設けられている。充電装置4は、検出用走行体1及び掃除用走行体2に対して送電を行う。本実施形態において、充電装置4は、検出用走行体1及び掃除用走行体2に対して非接触で送電を行う。
【0077】
図6に示されるように、分電ボックス44は、太陽光パネルSによって発電された電力の一部を充電装置4に供給し、残りを送電装置へ供給する。その際、分電ボックス44は、送電用バッテリ43が充電可能なように太陽光パネルSの電力を変圧及び整流する。送電装置は、太陽光パネルSによって発電された電力を、電力を使用する各種の設備、及び蓄電装置等の電力の供給先へ送電する。
【0078】
充電装置4は、送電コイル部41、整流器42、送電用バッテリ43を備えている。送電用バッテリ43は、分電ボックス44から供給された電力を蓄える。この電力を用いることにより、充電装置4は、太陽光パネルSが発電をできない夜間等であっても、検出用走行体1及び掃除用走行体2に対して電力を供給することができる。
【0079】
整流器42は、送電用バッテリ43の電力を送電コイル部41へ供給する。その際、整流器42は、送電コイル部41によって送電可能なように、送電用バッテリ43の電力を変圧及び整流し、更に周波数変換等を行う。
【0080】
送電コイル部41は、検出用走行体1の受電コイル部13及び掃除用走行体2の受電コイル部23に対して非接触で電力を供給するための送電コイルを含んでいる。なお、送電コイル部41と検出用走行体1の受電コイル部13との間、及び、送電コイル部41と掃除用走行体2の受電コイル部23との間で行われるコイルを用いた非接触での送電方法については、周知の種々の方法を採用することができる。
【0081】
なお、本実施形態において、送電コイル部41の上面は、太陽光パネルSの受光面Saと同じ高さ位置となっている。これにより、検出用走行体1及び掃除用走行体2は、送電コイル部41に引っ掛かることなく充電ポイントPに到達することができる。
【0082】
充電装置4は、検出用走行体1が充電ポイントPに到着し、検出用走行体1の受電コイル部13と送電コイル部41とが対向している状態で、検出用走行体1に対して非接触で電力を供給する。充電装置4は、掃除用走行体2が充電ポイントPに到着し、掃除用走行体2の受電コイル部23と送電コイル部41とが対向している状態で、掃除用走行体2に対して非接触で電力を供給する。
【0083】
以上のように、この太陽光パネル掃除システム100において、制御装置3では、検出用走行体1による汚れの検出結果に基づいて汚れマップが生成され、汚れマップに基づいて掃除用走行体2の掃除経路が生成される。掃除用走行体2は、生成された掃除経路に基づいて太陽光パネルSの受光面Sa上を走行し、掃除を行う。このように、掃除用走行体2は、生成された掃除経路に基づいて、受光面Sa上を効率よく走行して掃除を行うことができる。以上のように、太陽光パネル掃除システム100は、太陽光パネルS上の汚れを掃除用走行体2によって効率よく掃除することができる。
【0084】
なお、検出用走行体1は、汚れを検出するための走行体であり、掃除ブラシ及び洗浄水等の掃除具を備えていない。このため、検出用走行体1は、掃除具を備えている場合に比べて小さな駆動力によって走行することができる。これにより、検出用走行体1は、掃除具を備えている場合に比べて高速走行が可能となり、太陽光パネルSの受光面Sa上の汚れを短時間で検出することができる。このように、検出用走行体1は、バッテリ14の電力消費量を抑制しつつ、太陽光パネルSの受光面Sa上の汚れを検出することができる。また、掃除用走行体2は、掃除を行うための掃除部21を搭載している。しかしながら、掃除用走行体2は、掃除経路に沿って走行することにより、太陽光パネルSの受光面Sa上の汚れ部分に向って効率よく走行することができる。これにより、掃除用走行体2は、自身が汚れを検出しながら掃除を行う場合に比べ、バッテリ24の電力消費量を抑制しつつ、効率よく掃除のための走行を行うことができる。
【0085】
制御装置3のマップ生成部30aは、太陽光パネルS上の汚れの汚れ度合を検出し、汚れ位置及び汚れ度合を含む汚れマップを生成する。掃除経路生成部30bは、汚れ度合が所定の基準汚れ度合よりも高い場合、当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体2が複数回通過するように掃除経路を生成することができる。この場合、掃除用走行体2は、汚れ度合が高い部分を複数回通過することができ、より確実に汚れを除去することができる。
【0086】
制御装置3の掃除経路生成部30bは、汚れの汚れ度合が高い場合、汚れ度合が低い場合に比べて当該汚れの汚れ位置を掃除用走行体2が通過するときの速度が低くなるように走行速度を生成することができる。この場合、掃除用走行体2は、汚れ度合が高い部分を低速で走行することができ、低速で走行しながらより確実に汚れを除去することができる。
【0087】
制御装置3の掃除経路生成部30bは、掃除経路を生成する際に、掃除経路上に存在する汚れの汚れ度合を含めて掃除経路を生成することができる。この場合、掃除用走行体2は、掃除経路に含まれる汚れ度合に応じて掃除の態様を変更することができる。これにより、掃除用走行体2は、汚れ度合に応じて掃除の態様を変更することによって、より確実に汚れを除去することができる。
【0088】
太陽光パネルS上の充電ポイントPの位置には、充電装置4が設けられている。掃除経路生成部30bは、掃除用走行体2のバッテリ24が所定電力量以下となる前に掃除用走行体2が充電ポイントPに立ち寄るように掃除経路を生成する。そして、掃除用走行体2は、生成された掃除経路に沿って走行し、充電ポイントPにおいてバッテリ24を充電する。この場合、太陽光パネル掃除システム100は、掃除用走行体2のバッテリ24の残電力量が不足することによって太陽光パネルS上で掃除用走行体2が停止してしまうことを抑制できる。
【0089】
同様に、掃除経路生成部30bは、検出用走行体1の汚れ検出経路を生成する場合には、検出用走行体1のバッテリ14が所定電力量以下となる前に検出用走行体1が充電ポイントPに立ち寄るように汚れ検出経路を生成する。そして、検出用走行体1は、生成された汚れ検出経路に沿って走行し、充電ポイントPにおいてバッテリ14を充電する。この場合、太陽光パネル掃除システム100は、検出用走行体1のバッテリ14の残電力量が不足することによって太陽光パネルS上で検出用走行体1が停止してしまうことを抑制できる。
【0090】
なお、掃除用走行体2は、充電ポイントPに到着してバッテリ24の充電を行う前に、充電装置4の送電コイル部41の上面を掃除してもよい。この場合、太陽光パネル掃除システム100は、送電コイル部41の上面の汚れによる送電不良を抑制できる。たとえば、受電コイル部13,23と送電コイル部41との間に導電性の汚れが存在する場合が考えられる。この場合、非接触による送電を行うために受電コイル部13,23と送電コイル部41との間に発生する磁場が、導電性の汚れによって誘導電流を発生させ、送電効率が低下する可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る太陽光パネル掃除システム100では、掃除用走行体2によって導電性の汚れを除去することができるため、送電効率の低下を抑制することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において太陽光パネル掃除システム100は、制御装置3が汚れマップを生成し、掃除経路を生成した。これに限定されず、マップ生成部30a及び掃除経路生成部30bが、検出用走行体1に設けられていてもよく、あるいは掃除用走行体2に設けられていてもよい。また、マップ生成部30aが検出用走行体1に設けられ、掃除経路生成部30bが掃除用走行体2に設けられていてもよい。この場合、検出用走行体1及び掃除用走行体2間で通信を行い、太陽光パネルSの掃除を行うことができる。
【0092】
マップ生成部30aは、検出用走行体1から取得した汚れ情報にカメラの撮像画像が含まれる場合、撮像画像の変化に基づいて、汚れの有無を検出してもよい。この場合、例えば、マップ生成部30aは、太陽光パネルSの設置時に撮像された画像と、検出用走行体1から取得した画像との差分に基づいて、汚れの有無及び汚れの位置を検出してもよい。
【0093】
また、掃除経路生成部30bは、検出用走行体1が充電ポイントPにおいて充電を行う前に、掃除用走行体2によって送電コイル部41の上面を掃除するように掃除経路を生成してもよい。
【0094】
また、制御装置3は、太陽光パネルS上の汚れの有無以外にも、検出用走行体1の汚れセンサ11の検出結果に基づいて太陽光パネルSの破損個所を検出してもよい。この破損個所の情報は、例えば、太陽光パネルSの保守修理に活用されてもよい。
【0095】
太陽光パネル掃除システム100は、太陽光パネルS上の汚れに代えて、太陽光パネルS上に積もる雪の除去を行ってもよい。この場合、制御装置3は、検出用走行体1の汚れセンサ11の検出結果に基づいて汚れに代えて雪の有無を検出する。そして、制御装置3は、太陽光パネルS上の雪を掃除用走行体2によって除去するための雪除去経路を生成する。掃除用走行体2は、生成された雪除去経路に沿って走行し、雪の除去を行ってもよい。
【0096】
制御装置3のマップ生成部30aは、太陽光パネルS上を走行する検出用走行体1から取得した汚れ情報に基づいて汚れマップを生成することに限定されない。例えば、制御装置3は、太陽光パネルS上を飛行する飛行体から太陽光パネルSの汚れの状況を取得してもよい。そして、制御装置3のマップ生成部30aは、検出用走行体1から取得した汚れ情報に加え、飛行体から取得した太陽光パネルSの汚れ状況に基づいて汚れマップを生成してもよい。
【0097】
また、検出用走行体1と充電装置4との間、及び、掃除用走行体2と充電装置4との間では、非接触での送電ではなく、有線によって送電が行われてもよい。この場合、掃除用走行体2は、検出用走行体1及び掃除用走行体2と電気的に接続される充電装置の接点部分(送電部)を、充電前に掃除してもよい。
【0098】
また、太陽光パネルSを構成する複数の太陽光パネル体同士の間には、隙間があってもよい。この場合、太陽光パネル体同士の間には、検出用走行体1及び掃除用走行体2が走行可能な連絡通路が設けられていてもよい。これにより、検出用走行体1及び掃除用走行体2は、太陽光パネル体同士の間に隙間があっても、連絡通路を介して太陽光パネル体同士の間を往来できる。
【0099】
なお、本開示は、再生可能エネルギーの普及・拡大に貢献することができる。このため、本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、及び、目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 検出用走行体
2 掃除用走行体
4 充電装置
24 バッテリ(掃除用走行体のバッテリ)
30a マップ生成部
30b 掃除経路生成部(掃除経路生成装置)
100 太陽光パネル掃除システム
P 充電ポイント
S 太陽光パネル