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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175860
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】運動訓練装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61H1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082612
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 達也
(72)【発明者】
【氏名】日原 康太
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA04
4C046AA42
4C046AA45
4C046AA47
4C046BB04
4C046DD02
4C046DD08
4C046DD12
4C046DD14
4C046DD16
4C046DD33
4C046EE06
4C046EE32
4C046FF22
4C046FF27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者に適した操作部の軌道を自動で設定する運動訓練装置、およびプログラムを提供する。
【解決手段】運動訓練装置は、運動訓練モードと、軌道設定モードとを実行可能である。運動訓練モードでは、使用者が操作する操作部3を設定された目標軌道TLに沿って移動させるように、操作部を駆動するモータを制御する。軌道設定モードでは、所定の軌道に沿って操作部を移動させ、操作部に作用する力を検出する力センサの入力値が所定の閾値になった位置を記憶し、記憶した位置に基づいて、運動訓練モードにおける目標軌道TLを設定する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY平面で移動可能な操作部と、
X軸およびY軸方向駆動モータを有し、前記操作部をXY平面で駆動する駆動部と、
前記操作部を操作する使用者から前記操作部に作用するX軸およびY軸方向の力Fx,Fyを検出する力センサと、
前記XY平面における前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、
前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
使用者が操作する前記操作部を設定された第1の軌道に沿って移動させるように、前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する運動訓練モードと、
第2の軌道に沿って前記操作部を移動させ、前記力センサの入力値が所定の閾値になった位置を記憶し、前記記憶した位置に基づいて、前記運動訓練モードにおける前記第1の軌道を設定する軌道設定モードと、を実行可能である、
ことを特徴とする運動訓練装置。
【請求項2】
前記軌道設定モードでは、前記制御部が前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御して前記操作部を前記第2の軌道に沿って移動させた場合に、前記力センサの入力値が所定の閾値になった位置に基づいて前記第1の軌道を設定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の運動訓練装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記軌道設定モードにおいて、前記力センサの入力値が所定の閾値となる位置を複数記憶し、
前記軌道設定モードで設定される前記第1の軌道は、記憶された前記複数の位置を結ぶ線の範囲内で設定される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の運動訓練装置。
【請求項4】
前記軌道設定モードで設定される前記第1の軌道は、記憶された前記複数の位置を結ぶ線である、
ことを特徴とする、請求項3に記載の運動訓練装置。
【請求項5】
前記第2の軌道は、ホームポジションから前記操作部を互いに異なる複数の方向に移動させる軌道である、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の運動訓練装置。
【請求項6】
前記第2の軌道は、ホームポジションを通り、互いに直径が異なる複数の円である、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の運動訓練装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記軌道設定モードで設定された前記第1の軌道に基づいて前記運動訓練モードを実行している際に、前記力センサの入力値が所定の閾値を超える位置があった場合には、前記力センサの入力値が所定の閾値を超えないように、前記軌道設定モードで設定された前記第1の軌道を変更する、
ことを特徴とする、請求項1ないし6の何れか1項に記載の運動訓練装置。
【請求項8】
XY平面で移動可能な操作部と、
X軸およびY軸方向駆動モータを有し、前記操作部をXY平面で駆動する駆動部と、
前記操作部を操作する使用者から前記操作部に作用するX軸およびY軸方向の力Fx,Fyを検出する力センサと、
前記XY平面における前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、
前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、使用者が操作する前記操作部を設定された第1の軌道に沿って移動させるように、前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する運動訓練モードを実行可能な運動訓練装置に用いられるプログラムであって、
第2の軌道に沿って前記操作部を移動させ、前記力センサの入力値が所定の閾値になった位置を記憶する第1工程と、
前記第1工程で記憶した位置に基づいて、前記運動訓練モードにおける前記第1の軌道を設定する第2工程と、をコンピュータにより実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の平面運動を支援可能な運動訓練装置、及び、運動訓練装置に用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運動機能を向上させるために様々な運動訓練が行われている。例えば、机上を拭くような動作で肩や肘を屈伸させるワイピング訓練や傾斜したボード上で手を上下方向に滑動させるサンディング訓練が広く行われている。そして、これらの運動訓練を支援するために種々の運動訓練装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、XY平面で移動可能な操作部と、X軸およびY軸方向駆動モータを有し操作部をXY平面で駆動する駆動部と、操作部に作用するX軸およびY軸方向の力Fx,Fyを検出する力センサと、力センサで検出されたX軸およびY軸方向の力Fx,Fyに基づいてX軸およびY軸方向駆動モータを制御する制御部とを備えた運動訓練装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-89621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運動訓練装置を用いて訓練を行う場合、例えば、使用者が操作部を掴みその上から訓練指導者が使用者の手をとって使用者の上肢状況に応じた動作範囲で操作部を移動させることで、操作部が辿る軌道を設定していた。しかしながら、近年、リハビリが必要な患者(使用者)の数が増えてきており、使用者毎に訓練指導者が上述のような作業を行うことは負担となる。このため、運動訓練装置により使用者に適した操作部の軌道を自動で設定できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運動訓練装置は、XY平面で移動可能な操作部と、X軸およびY軸方向駆動モータを有し、前記操作部をXY平面で駆動する駆動部と、前記操作部を操作する使用者から前記操作部に作用するX軸およびY軸方向の力Fx,Fyを検出する力センサと、前記XY平面における前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、使用者が操作する前記操作部を設定された第1の軌道に沿って移動させるように、前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する運動訓練モードと、第2の軌道に沿って前記操作部を移動させ、前記力センサの入力値が所定の閾値になった位置を記憶し、前記記憶した位置に基づいて、前記運動訓練モードにおける前記第1の軌道を設定する軌道設定モードと、を実行可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のプログラムは、XY平面で移動可能な操作部と、X軸およびY軸方向駆動モータを有し、前記操作部をXY平面で駆動する駆動部と、前記操作部を操作する使用者から前記操作部に作用するX軸およびY軸方向の力Fx,Fyを検出する力センサと、前記XY平面における前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、使用者が操作する前記操作部を設定された第1の軌道に沿って移動させるように、前記X軸およびY軸方向駆動モータを制御する運動訓練モードを実行可能な運動訓練装置に用いられるプログラムであって、第2の軌道に沿って前記操作部を移動させ、前記力センサの入力値が所定の閾値になった位置を記憶する第1工程と、前記第1工程で記憶した位置に基づいて、前記運動訓練モードにおける前記第1の軌道を設定する第2工程と、をコンピュータにより実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運動訓練装置により使用者に適した操作部の軌道を自動で設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の運動訓練システムの外観斜視図。
図2】第1の実施形態の運動訓練装置の装置本体の斜視図。
図3】第1アクチュエータ機構の詳細を示す断面図。
図4】第2アクチュエータ機構の詳細を示す断面図。
図5】操作部の構成を示す分解斜視図。
図6】運動訓練システムの制御部のブロック図。
図7】自動モードにおいて、操作部から力センサへの入力値が所定の範囲内の場合に、操作部に作用する力と速度ベクトルとの関係を説明する図。
図8】自動モードにおいて、操作部から力センサへの入力値が所定の範囲を超える場合に、操作部に作用する力と速度ベクトルとの関係を説明する図。
図9】自動モードにおいて、操作部から力センサへの入力値が所定の範囲を超える場合に、操作部に作用する力と速度ベクトルとの関係を説明する図。
図10】自動モードにおいて、操作部から力センサへの入力値が所定の範囲を超える場合に、操作部に作用する力と速度ベクトルとの関係を説明する図。
図11】自動モードにおいて、操作部から力センサへの入力値が所定の範囲を超えかつ所定の値を超える場合に、操作部に作用する力と速度ベクトルとの関係を説明する図。
図12】力センサにより検出される合成力の大きさや方向を示す第1チャートと、エンコーダにより検出された操作部3の位置を軌跡と共に示す第2チャートを示す図。
図13】軌道設定モードで操作部を移動させる軌道の一例を示す図。
図14】軌道設定モードで操作部を移動させた場合の第1チャートを示す図。
図15】軌道設定モードで設定された軌道の一例を示す図。
図16】軌道設定モードの流れを示すフローチャート。
図17】第2の実施形態において、軌道設定モードで操作部を移動させる軌道の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本発明が適用可能な第1の実施形態の運動訓練装置について説明する。なお、本実施形態の運動訓練装置は略水平な載置面に載置され、例えば、使用者(運動訓練者)の上肢の運動機能向上を目的として行われる運動訓練に使用される(図1参照)。運動訓練装置1は、図1に示すように、操作部3を有し、使用者Uは運動訓練装置1の前側に位置し、例えば上肢運動訓練を行うために、右腕ULを前方に伸ばして操作部3を右手で把持している。尚、本明細書中では、図1の運動訓練装置1における使用者Uの手前側を前側、奥側を後側と称することとする。
【0011】
運動訓練装置1は、装置本体100と、PC(パーソナルコンピューター)70とを有する。また、本実施形態では、これら装置本体100及びPC70に加えて、運動訓練装置1の情報を表示するモニター76を含めて運動訓練システム1000を構成している。なお、PC70は、運動訓練システム1000全体を制御する制御部であり、制御プログラムがインストールされた汎用性のあるPCでも良いし、運動訓練装置1専用のものであっても良い。いずれにしても、制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0012】
装置本体100は、XY平面(載置面および基台2と平行な水平面)で移動可能な操作部3、操作部3をXY平面で駆動する駆動部200などを有する。これら操作部3や駆動部200は、基台2上に配置されている。駆動部200は、X軸およびY軸方向駆動モータとしての第1モータ6及び第2モータ30を有する。具体的には、駆動部200は、第1モータ6を有し、操作部3をX軸方向(図2の矢印Xの方向)に移動させる第1アクチュエータ機構AXと、第2モータ30を有し、操作部3及び第1アクチュエータ機構AXをY軸方向(図2の矢印Yの方向)に移動させる第2アクチュエータ機構AYとを備えている。
【0013】
操作部3は、ハンドル部材62に作用するX軸およびY軸方向の力を検出する力センサ60(図5参照)を備えている。PC70は、力センサ60、モータ制御部27,31及びモニター76に接続されている。X軸およびY軸方向駆動モータ6,30は、XY平面での操作部3の位置を検出する位置検出手段としてのエンコーダ6a、30a(図6)と一体に構成されている。
【0014】
これらの構成により、制御部としてのPC70は、力センサ60やエンコーダ6a、30aからの入力値に基づいて、モータ制御部27,31を介して第1モータ6及び第2モータ30の駆動を制御し、操作部3をXY平面上で移動させ、訓練情報や操作部3の移動軌跡等をモニター76に表示する。
【0015】
以下、図2図5に基づいて各構成について詳細に説明する。操作部3は、第1スライダーブロック4(第1保持部材)に取付プレート5を介して取り付けられており、第1スライダーブロック4と一体となって移動するように構成されている。第1スライダーブロック4は、XY平面上のX軸方向に延設した第1ガイドロッド9aおよび9bに沿ってスライド可能に設けられている。そして、第1ベルト10の一部は、ベルト固定プレート28とビス29によって第1スライダーブロック4に固定されている。これにより、第1ベルト10が第1モータ(X軸方向駆動モータ)6によって回転駆動すると、第1スライダーブロック4は第1ガイドロッド9a,9bに沿ってX軸方向にスライド移動する。
【0016】
図3に示す通り、第1アクチュエータ機構AXの第1モータ6の駆動は、軸13、プーリー14、ベルト15、プーリー17および軸16を介してプーリー18に伝達される。第1モータ6は支持板21に設けられており、支持板21は支持板11に固定されている。支持板11は、軸16を回転可能に支持し、第2スライダーブロック7とモータ制御部27を固定支持している。なお、支持板11及び第2スライダーブロック7を併せて第1ガイドロッド9a,9bの一端およびプーリー18を保持する第2保持部材という。
【0017】
X軸方向において第1モータ6の反対側には、支持板12,24が設けられている。支持板12,24は、軸19を回転可能に支持し、第3スライダーブロック8を固定支持している。軸19にはプーリー20が設けられており、プーリー18とプーリー20との間に第1ベルト10が架け渡されている。また、第1ガイドロッド9a,9bの一端は第2スライダーブロック7に固定支持され、第1ガイドロッド9a,9bの他端は第3スライダーブロック8に固定支持されている。なお、支持板12,24及び第3スライダーブロック8を併せて第1ガイドロッド9a,9bの他端およびプーリー20を保持する第3保持部材という。
【0018】
上述した通り、第1スライダーブロック4は、第1ベルト10の一部が固定されており、第1モータ6を駆動するとプーリー18が回転してプーリー20と共に第1ベルト10が回転する。このため、第1スライダーブロック4は、第1ガイドロッド9a,9bに沿ってX軸方向にスライド移動する。なお、第1ベルト10と第1ガイドロッド9a,9bは、それぞれX軸方向に平行で且つ第1ベルト10の両側に第1ガイドロッド9aと9bが配置され、基台2からの高さ位置は略同一となっている。
【0019】
図2に示す様に、第1アクチュエータ機構AXが有する第2スライダーブロック7と第3スライダーブロック8は、第2ガイドロッド55と第3ガイドロッド48に対してY軸方向にスライド移動可能に支持されている。そして、第2ベルト53と第3ベルト46が回転することで、第1アクチュエータ機構AX全体がY軸方向に移動可能となっている。図3に示す通り、第2ベルト53の一部は、第2スライダーブロック7に固定された支持板21に設けられたベルト固定プレートにビス23によって固定されている。また、第3ベルト46の一部は、第3スライダーブロック8に固定された支持板24に設けられたベルト固定プレート25にビス26によって固定されている。そして、第2アクチュエータ機構AYの第2モータ(Y軸方向駆動モータ)30が回転駆動することによって第3ベルト46および第2ベルト53が回転し、それにより第1アクチュエータ機構AXはY軸方向にスライド移動する。
【0020】
次に、図2図4を用いて第2アクチュエータ機構AYについて説明する。第2アクチュエータ機構AYは、第1アクチュエータ機構AXをY軸方向に移動させるための機構である。第2モータ30およびモータ制御部31は、基台2に設けられた支持板34,支柱33および支持板32からなる支持フレームの上部に設けられている。この支持フレームは使用者Uと反対の装置奥側(基台2のモニター76側)の中央部に固定されている。
【0021】
第2モータ30には不図示の軸およびプーリーが設けられており、プーリー36との間でベルト37が架け渡されている。支持板32と34との間には軸35が回転可能に支持され、この軸35にはプーリー36,38および39が設けられており、プーリー36の回転力が軸35を通じてプーリー38および39に伝達される。
【0022】
支持フレーム32、34のX軸方向の両側には、コの字に形成された支持板45a,52aが設けられている。支持板45aは、軸43を回転可能に支持しており、軸43にプーリー42と44aが設けられている。プーリー38とプーリー42にはベルト40が架け渡されており、第2モータ30の回転駆動をベルト37,プーリー36,軸35,プーリー38,ベルト40,プーリー42および軸43を介してプーリー44aに伝達する。つまり、ベルト40は、第2モータ30の駆動を第3ベルト46に伝達するための第5ベルトである。
【0023】
支持板45a近傍にはガイド支持部47aが設けられており、第3ガイドロッド48の一端を支持している。また、基台2上で支持板45aのY軸方向における反対側(装置右手前側)には、支持板45aの対となる支持板45bとガイド支持部47aの対となるガイド支持部47bとが配置されている。
【0024】
支持板45bは、軸43bを回転可能に支持し、軸43bにはプーリー44aの対となるプーリー44bが設けられている。第3ベルト46はプーリー44aと44bとの間で架け渡されており、上述した通りその一部が第3スライダーブロック8と一体に移動するベルト固定プレート25に固定されている。また、ガイド支持部47bは、第3ガイドロッド48の他端を支持し、ガイド支持部47aと共に第3ガイドロッド48を固定支持している。第3ベルト46と第3ガイドロッド48とはそれぞれY軸方向に平行に延設され、基台2からの高さ位置は略同一となっている。
【0025】
X軸方向において支持フレームに対して支持板45aの反対側(基台2の左奥側)には、支持板52aが配置されている。支持板52aは、軸49を回転可能に支持しており、軸49にプーリー50と51aが設けられている。プーリー39とプーリー50には、ベルト41が架け渡されており、第2モータ30の回転駆動をベルト37,プーリー36,軸35,プーリー39,ベルト41,プーリー50および軸49を介してプーリー51aに伝達する。つまり、ベルト41は、第2モータ30の駆動を第2ベルト53に伝達するための第4ベルトである。
【0026】
支持板52a近傍にはガイド支持部54aが設けられており、第2ガイドロッド55の一端を支持している。また、基台2上で支持板52aのY軸方向における反対側(装置左手前側)には支持板52aの対となる支持板52bとガイド支持部54aの対となるガイド支持部54bとが配置されている。
【0027】
支持板52bは軸49bを回転可能に支持し、軸49bにはプーリー51aの対となるプーリー51bが設けられている。第2ベルト53は、プーリー51aと51bとの間で架け渡されており、上述した通りその一部が第2スライダーブロック7と一体に移動するベルト固定プレート22に固定されている。また、ガイド支持部54bは、第2ガイドロッド55の他端を支持し、ガイド支持部54aと共に第2ガイドロッド55を固定支持している。第3ベルト46と第3ガイドロッド48とは、それぞれY軸方向に平行に延設され、基台2からの高さ位置は略同一となっている。
【0028】
上述した通り、第2モータ30の回転駆動はプーリー44aとプーリー51aに伝達され、第3ベルト46と第2ベルト53が回転する。これにより、第3ベルト46と第2ベルト53にそれぞれ固定された第3スライダーブロック8と第2スライダーブロック7(つまり第1アクチュエータ機構AX全体)が第3ガイドロッド48と第2ガイドロッド55に沿ってY軸方向にスライド移動する。
【0029】
ここで、図4を参照するとベルト40とベルト41とは、X軸方向に平行に延設しているが、高さ方向の位置(基台2からの距離)が異なっている。具体的には、ベルト40の下方にベルト41が配置されている。そして、この高さ方向において、第3ベルト46、第3ガイドロッド48、第2ベルト53および第2ガイドロッド55は、ベルト40とベルト41との間で略同一高さに配置されている。
【0030】
また、図2及び図3を参照すると、操作部3をX軸方向に移動させるための第1ガイドロッド9a,9bおよび第1ベルト10は、操作部3および第1アクチュエータ機構AXをY軸方向に移動させるための第3ガイドロッド48と第2ガイドロッド55との間で、且つ、Y軸方向に平行に配置された第3ガイドロッド48,第3ベルト46,第2ガイドロッド55および第2ベルト53に対して直交するX軸方向に延設するように配置されている。そして、これらの第1ベルト10,第1ガイドロッド9a・9b,第3ベルト46,第3ガイドロッド48,第2ベルト53および第2ガイドロッド55は、高さ方向においてベルト40とベルト41との間に配置されている。これにより、運動訓練装置の高さ方向の寸法を薄く構成することができる。
【0031】
言い換えると、図4において基台2からプーリー44a,51aの上端までの距離(XY平面と直交する方向、つまり高さ)をL1、基台2からプーリー44a,51aの下端までの距離をL2、基台2からプーリー38,42の下端までの距離をL3、基台2からプーリー39,50までの距離をL4としたときに、以下の関係が成り立つように各部材が配置されている。「L1>L2」「L3>L1」「L2>L4」。よって、「L3>L1>L2>L4」となり、プーリー44aとプーリー51aとはL3とL4との間に配置されている。そして、ベルトはそれぞれプーリーの上端と下端との間で架け渡されており、第3ベルト46,第2ベルト53の高さ方向における中央と第3ガイドロッド48,第2ガイドロッド55の高さ方向の中央とが略同一で、第3ガイドロッド48の上端がベルト40に干渉せず、第2ガイドロッド55の下端がベルト41に干渉しないように配置されている。
【0032】
また、図3において基台2とプーリー18,19の上端までの距離がL1、基台2とプーリー18,19の下端までの距離がL2となるように配置されている。以上から、第1ベルト10、第1ガイドロッド9a,9b、第3ベルト46、第3ガイドロッド48、第2ベルト53および第2ガイドロッド55は、高さ方向においてL3とL4との間、すなわちプーリー38,42の下端とプーリー39,50の上端との間で重複して配置されている。
【0033】
また、第1ベルト10は第1ガイドロッド9a,9bに挟まれるように配置されている。よって、使用者Uが操作部3に力を加えた際に第1ガイドロッド9aまたは9bを中心に回転する力を受けることができ、回転方向の移動を抑えることができる。
【0034】
操作部3は、図1に示すように第1スライダーブロック4の前方向に配置され、図5に示すように、比較的短い垂直な操作ロッド61と、その上端に設けられたハンドル部材62とからなる。本実施形態のハンドル部材62は、使用者Uの上肢ULの運動機能を訓練するために片手で掴むことができるように、比較的厚い小型の円形ディスク状に形成されている。ハンドル部材62は、使用者Uが掴んだ手で回すことができるように、操作ロッド61を中心に回動可能に取り付けられる。
【0035】
また、操作部3は、操作ロッド61に一体に設けられた力センサ60を有する。力センサ60は、取付プレート5を介して、第1アクチュエータ機構AXのスライダーブロック4に一体に固定されている。力センサ60は、使用者Uが自力で操作部3を動かす能動訓練モード及び操作部3の力で上肢又は下肢を動かす受動訓練モードのいずれにおいても、ハンドル部材62から操作ロッド61に作用する使用者Uの力を検出する。本実施形態では、力センサ60として、歪みゲージを用いた6軸力覚センサが採用されている。
【0036】
一般に、6軸力覚センサは、直交する3軸方向x,y,zの力(Fx,Fy,Fz)とx,y,z3軸周りのモーメント(Mx,My,Mz)とを検出することができる。本実施形態では、6軸力覚センサを、そのX軸及びY軸が、第1アクチュエータ機構AXの左右方向(第1ガイドロッド9a,9bと平行な方向)及び前後方向(第3ガイドロッド48および第2ガイドロッド55と平行な方向)とそれぞれ一致するように配向する。
【0037】
これにより、力センサ60は、使用者Uの上肢又は下肢が操作部3を動かし又は該操作部により動かされるとき、操作ロッド61が使用者Uの上肢又は下肢から直接受ける力を、前後方向の力成分と左右方向の力成分とそれらに直交する垂直方向の力成分とに分けて、更に前後方向、左右方向及び垂直方向の各軸周りにそれぞれ作用するモーメントとして、検出することができる。
【0038】
実際の運動訓練装置1の使用において、力センサ60が検出する前後方向(Y軸方向)、左右方向(X軸方向)及び垂直方向(XY平面と直交する高さ方向)の力成分は、第1及び/又は第2駆動モータ6、30の回転力と使用者Uが操作部3に及ぼす力との差分、即ち操作部3が使用者Uの上肢又は下肢から受ける抗力として検出される。
【0039】
上述のように、運動訓練装置1は、第1モータ6及び第2モータ30を制御するための制御部としてのPC70を備える。PC70は、図6に示すように、駆動制御部71と、信号制御部72と、表示制御部73と、メモリ74と、それらを制御管理するための制御CPU75とを備える。
【0040】
駆動制御部71は、モータ制御部27,31を介して第1モータ6及び第2モータ30に接続され、それらの駆動を制御する。モータ制御部27,30は、PC70の中に組み込んでもよい。信号制御部72は、力センサ60及びエンコーダ6a、30aに接続され、力センサ60及びエンコーダ6a、30aから出力される信号を受信する。表示制御部73は、モニター76に接続され、該モニター76の表示を制御する。メモリ74は、運動訓練装置1を動作させるためのプログラムに加えて、例えば使用者Uの個人データや訓練履歴等の訓練に関するデータを保存する。
【0041】
制御CPU75は、力センサ60、エンコーダ6a,30a、および不揮発性のメモリ74から入力される情報に基づいて操作部3の速度を求め、駆動制御部71に電流値(出力電流Ii、デューティ)を出力して、第1モータ6及び第2モータ30への電力供給を制御する。
【0042】
なお、本実施形態では、操作部3を取付プレート5を介して第1スライダーブロック4と高さ方向において重複する位置に設け、操作部3の下端が基台2から浮いている状態で固定する態様を示したが、取付プレート5の下面に自由回転するコロなどの摺動部材を設けて基台2上で滑らかに動くようにした上で取付プレート5の下面と基台2とが接触するように構成してもよい。これにより、使用者Uによる下方にかかる力を基台2で受けることができる。また、操作部3を第1スライダーブロック4の上部に取り付けるようにしてもよい。そうすることで操作部3の可動領域がより装置奥側に広げることができる。
【0043】
次に、本実施形態の運動訓練装置1を含む運動訓練システム1000の動作について説明する。従来、運動訓練装置1により使用者Uが運動訓練を行う際には、例えば、使用者Uが操作部3を掴みその上から訓練指導者が使用者Uの手をとって使用者Uの上肢状況に応じた動作範囲で操作部3を移動させることで、操作部3が辿る軌道を設定していた。そして、使用者Uのみが操作部3を掴み設定された軌道を辿ることで、使用者Uによる操作部3の位置とそのときに操作部3が受ける負荷とを検出する運動訓練モードを行なっていた。
【0044】
しかしながら、近年、リハビリが必要な患者(使用者)の数が増えてきており、使用者毎に訓練指導者が上述のような作業を行うことは負担となる。また、訓練指導者の数は限られており、訓練指導者が一人の使用者に多くの時間を取りにくい。そこで、本実施形態では、運動訓練装置1により使用者に適した操作部3の軌道(第1の軌道)を自動で設定する軌道設定モードを実行可能としている。軌道設定モードについては後述し、まず、運動訓練モードについて説明する。
【0045】
[運動訓練モード]
まず、運動訓練モードには、使用者Uが自ら軌道設定モードで設定された軌道をなぞるように操作部3を移動させる能動訓練モード(アシストモード、トレーニングモード)と、自動的に軌道を辿る操作部3に引っ張られて運動する受動訓練モード(自動モード)とがある。受動訓練モードは主としてリハビリ中の人を対象とする運動訓練モード、能動訓練モードはリハビリ最終段階の人や健常者を対象とする運動訓練モードとして想定されている。
【0046】
[自動モード]
上述の運動訓練モードのうち、自動モードについて説明する。自動モードとは、使用者Uが操作する操作部3を目標軌道(第1の軌道)に沿って移動させるように、第1モータ6及び第2モータ30を制御するモードである。本実施形態の自動モードでは、使用者Uが操作する操作部3が目標軌道からずれた場合に目標軌道上の次の目標位置に導くように、第1モータ6及び第2モータ30を制御する。
【0047】
即ち、本実施形態において、PC70の制御CPU75は、操作部3から力センサ60への入力値(X軸およびY軸方向の力Fx,Fyの合成力Fの大きさ)が予め設定した所定の範囲内にある場合と、所定の範囲を超える場合とで、操作部3の駆動制御を切り替えて行う。所定の範囲は、第1の軌道(目標軌道TL)に沿って移動するように駆動される操作部3を、使用者Uから受ける抵抗力を無視して、強制的に第1モータ6及び第2モータ30によって移動させても、使用者Uへの過度な負担を生じさせないように、比較的小さい値に設定される。
【0048】
具体的には、自動モードでは、制御CPU75は、力センサ60により検出されるX軸およびY軸方向の力Fx,Fyの合成力Fの大きさが所定の範囲内である場合には、操作部3を目標軌道に沿って移動させるように第1モータ6及び第2モータ30を制御する。一方、合成力Fの大きさが所定の範囲を超える場合には、操作部3を現在位置から目標軌道上の次の目標位置に向かわせる大きさの第1速度ベクトルと、合成力Fの大きさに基づいた大きさの第2速度ベクトルとに応じて、操作部3を現在位置から移動させるように第1モータ6及び第2モータ30を制御する。
【0049】
このような自動モードの一例について、図7図11を用いて説明する。ここでは、制御CPU75が事前に設定した操作部3の自動モードにおける第1の軌道を目標軌道TLとし、訓練を行う使用者Uの操作によって、目標軌道TLから外れて操作部3が実際に移動する軌道を操作軌道AL(不図示)とする。
【0050】
また、各図において、操作軌道AL(不図示)上に符号LP0~LP4で示す小円は、実際に移動する操作部3の軌道位置をそれぞれ示している。各軌道位置LP0~LP4から延びる二重線の矢印K0~K4は、実際の操作部3に作用する速度ベクトルを示している。また、目標軌道TL上に符号TP0で示す小円は、操作部3の現在位置を、符号TP1~TP4で示す各小円は、それぞれ操作部3の現在位置に対する次の目標位置、即ち軌道位置LP1~LP4にそれぞれ対応する次の目標位置を示している。目標軌道TL上の位置TP0,TP1~TP4から延びる破線の矢印R0~R4は、目標軌道TLに沿って移動する操作部3に作用する速度ベクトルを示している。
【0051】
本実施形態において、操作部3の目標軌道TL上の各位置TP0,TP1~TP4は、現在位置TP0を運動訓練の開始点として、一定の時間間隔で設定される。この時間間隔Δtは、自動訓練モード及びアシストモードにおいて使用者のスムーズな運動訓練に支障を生じさせないように事前に設定する。制御CPU75は、運動訓練の開始と同時に、内蔵するカウンタにより現在位置TP0(LP0)を時刻t0として計時を開始し、かつΔtを加算して算出される各位置TP1~TP4の時刻t1~t4毎に、エンコーダ6a,30aから入力するパルス数に基づいて、操作部3の操作軌道AL上の現在位置LP1~LP4を決定する。尚、各図では、目標位置TP1~TP4および軌道位置LP1~LP4を4つずつ記載したが、これは単に説明を簡単にするためのものであって、実際には、目標軌道上により多くの目標位置が設定される。
【0052】
図7は、操作軌道AL上の軌道位置LP0において、操作部3から力センサ60への入力値が所定の範囲内にある場合を示している。同図において、操作部3の現在位置である操作軌道AL上の軌道位置LP0は、目標軌道TL上の位置TP0と同一である。所定の範囲は、その外郭を操作部3の中心Oを中心とする円Dで表している。操作部3の中心Oから延びる太い矢印FSは、使用者Uから操作部3に加えられる抵抗力の向きおよび大きさを表しており、その大きさ|FS|とその向きを表すX軸方向およびY軸方向成分は、力センサ60への入力値として検出される。
【0053】
図7に示すように、操作部3からの抵抗力FSが円D内にあるとき、操作部3から力センサ60への入力値の大きさ|FS|は、所定の範囲内にある。このとき、制御CPU75は、使用者Uから操作部3を介して作用する抵抗力FSを無視して、操作部3の駆動を制御する。具体的には、目標軌道TL上の現在位置LP0(=TP0)にある操作部3には、目標軌道TLの接線方向を向いた速度ベクトルR0のみが生じ、目標軌道TLに沿って移動するように、第1モータ6及び第2モータ30を制御する。従って、操作部3を掴んだ使用者Uの手は、操作部3と共に目標軌道TLに沿って運動訓練する。
【0054】
図8は、操作部3の現在位置LP0が、図7と同様に目標軌道TL上の位置TP0にあって、操作部3からの抵抗力FSが円Dの外側まで延長している場合を示している。この場合、操作部3から力センサ60への入力値の大きさ|FS|は、所定の範囲を超えているので、制御CPU75は、該入力値の大きさを考慮して、操作部3の駆動を制御する。
【0055】
具体的には、現在位置LP0=TP0にある操作部3を目標軌道TL上から外れさせるように作用する抵抗力FSに抗して、目標軌道TL上の位置に戻す向きに作用する復帰力FRが発生するように、第1モータ6及び第2モータ30を駆動させる。この復帰力FRは抵抗力FSよりも小さく、操作部3が目標軌道TL上にあるので、抵抗力FSと同じ作用線上で逆向きに発生する。
【0056】
このとき、抵抗力FSと復帰力FRとの差は、抵抗力FSと同じ向きの速度ベクトルM0で表すことができる。その結果、操作部3には、目標軌道TLに沿って移動させるようにその接線方向を向いた速度ベクトルR0と速度ベクトルM0との合成ベクトルである速度ベクトルK0が発生する。従って、操作部3は、現在位置LP0=TP0から次の目標位置TP1に向かう向きではなく、速度ベクトルK0の向きに、その大きさに対応する速度で移動する。
【0057】
図9は、操作部3が図8の現在位置=軌道位置LP0から次の軌道位置LP1に移動したときに、操作部3からの抵抗力FSが円Dの外側まで延長している場合を示している。この場合も、操作部3から力センサ60への入力値の大きさ|FS|が、所定の範囲を超えているので、制御CPU75は、該入力値の大きさを考慮して、操作部3の駆動を制御する。
【0058】
具体的には、軌道位置LP1にある操作部3を更に目標軌道TL上から外れさせるように作用する抵抗力FSに抗して、軌道位置LP1に対応する目標軌道TL上の目標位置TP1、即ち操作部3が目標軌道TLに沿って移動していれば現在あるべき位置に戻す向きに作用する復帰力FRが発生するように、第1モータ6及び第2モータ30を駆動させる。この復帰力FRは、抵抗力FSよりも小さいが、軌道位置LP1とそれに対応する目標位置TP1との距離が大きくなるほど大きく、操作部3から目標軌道TL上の目標位置TP1に向かう向きに発生する。
【0059】
このとき、操作部3には、現在位置する軌道位置LP1から次の目標位置TP2を向いた速度ベクトルR1と、抵抗力FSと復帰力FRとの合力による速度ベクトルM1とが発生する。その結果、操作部3には、図9に示すように、速度ベクトルR1と速度ベクトルM1との合成ベクトルである速度ベクトルK1が発生する。従って、操作部3は、現在位置する軌道位置LP1から次の目標位置TP2に向かう向きではなく、速度ベクトルK1の向きに、その大きさに対応する速度で移動する。
【0060】
図10は、操作部3が図9の現在位置LP1から次の軌道位置LP2に移動したときに、操作部3からの抵抗力FSが円Dの外側まで延長している場合を示している。この場合も、操作部3から力センサ60への入力値の大きさ|FS|が、前記所定の範囲を超えているので、制御CPU75は、該入力値の大きさを考慮して、操作部3の駆動を制御する。
【0061】
具体的には、軌道位置LP1にある操作部3を更に目標軌道TL上から外れさせるように作用する抵抗力FSに抗して、軌道位置LP2に対応する目標軌道TL上の目標位置TP2、即ち操作部3が目標軌道TLに沿って移動していれば現在あるべき位置に戻す向きに作用する復帰力FRが発生するように、第1モータ6及び第2モータ30を駆動させる。この復帰力FRは、抵抗力FSよりも小さいが、軌道位置LP2とそれに対応する目標位置TP2との距離が、図9における軌道位置LP1と目標位置TP1との距離より大きいので、図9の場合によりも大きく、操作部3から目標軌道TL上の目標位置TP2に向かう向きに発生する。同図の例では、復帰力FRが、抵抗力FSと同じ作用線上で逆向きに発生している。
【0062】
このとき、操作部3には、現在位置する軌道位置LP2から次の目標位置TP3を向いた速度ベクトルR2と、抵抗力FSと復帰力FRとの合力による速度ベクトルM2とが発生する。その結果、操作部3には、図10に示すように、速度ベクトルR2と速度ベクトルM2との合成ベクトルである速度ベクトルK2が発生する。従って、操作部3は、現在位置する軌道位置LP2から次の目標位置TP3に向かう向きではなく、速度ベクトルK2の向きに、その大きさに対応する速度で移動する。
【0063】
次に、図11は、操作部3が図34と同じ軌道位置LP2に位置しているが、操作部3から作用する抵抗力FSが円Dの外側へ延長しているだけでなく、予め設定した所定の閾値を超えた場合を示している。このとき、図10の場合と同様に軌道位置LP2と目標位置TP2との距離に応じて発生させた復帰力FRに比して、抵抗力FSが過大なため、それらの差により発生する速度ベクトルM2も過大となって、操作部3の動きが速くなり過ぎる虞があり、かかる運転状態は使用者にとって危険である。
【0064】
そこで、本実施形態では、操作部3の動きが速くなっても、使用者にとって危険な運転状態とならない抵抗力FSの大きさに閾値を設定する。そして、制御CPU75は、抵抗力FSの大きさがこの閾値を超えたとき、復帰力FRおよび軌道位置LP2から次の目標位置TP3に向かう速度ベクトルR2を0にする。更に制御CPU75は、操作部3に対して、軌道位置LP2と目標位置TP2との距離に応じて発生させる復帰力FRよりも大きい制動力を、抵抗力FSと逆向きに作用させるように、第1モータ6及び第2モータ30を制御する。それにより、操作部3の速度ベクトルKSを小さくし、操作部3をゆっくりと抵抗力FSの向きに移動させることができるので、使用者への危険が回避される。
【0065】
図11の場合において、上述した実施形態では、復帰力FRおよび速度ベクトルR2を0にしたが、別の実施形態では、復帰力FRを軌道位置LP2と目標位置TP2との距離に応じて発生させる場合よりも小さく、かつ速度ベクトルR2を軌道位置LP2から次の目標位置TP3に向かう場合よりも小さくすることができる。これによっても、同様に、操作部3の速度ベクトルKSを小さくし、操作部3をゆっくりと移動させ、使用者への危険を回避することができる。
【0066】
[画面表示]
ここで、本実施形態で表示部としてのモニター76に表示される表示画面について説明する。本実施形態では、モニター76に、力センサ60により検出されるX軸およびY軸方向の力Fx,Fyの合成力Fの方向と大きさを同時に表示可能としている。なお、表示部は、モニターに限らず、合成力Fの方向と大きさが分かれば、ランプなどで表示するものであっても良い。以下、モニター76に表示する場合について説明する。
【0067】
図12に示すように、モニター76に、力センサ60により検出される合成力の大きさや方向を示す第1チャートと、位置検出手段としてのエンコーダ6a、30aにより検出された操作部3の位置を軌跡と共に示す第2チャートとを、同じ時系列で表示可能である。
【0068】
第1チャートは、同一の中心を有し半径が異なる複数の円からなるチャートであり、中心からの周方向の位置が合成力の方向を示し、中心からの距離が合成力の大きさを示すように、力センサ60の検出結果がプロットされる。図12に示す第2チャートは、使用者Uが操作部3を移動させる目標軌道と共に操作部3の位置をその移動軌跡と共に表示するチャートである。図示の例では、目標軌道を円としているが、目標軌道の形はこの限りではない。
【0069】
[軌道設定モード]
次に、上述の自動モードにおける目標軌道(第1の軌道)TLの設定について、図13ないし図16を用いて説明する。本実施形態における目標軌道を設定するための軌道設定モードは、第2の軌道に沿って操作部3を移動させ、力センサ60の入力値が所定の閾値になった位置を記憶し、記憶した位置に基づいて、自動モードにおける第1の軌道、即ち、目標軌道TLを設定するモードである。第2の軌道は、使用者の上肢の可動域を判断するために予め設定された軌道(以下、所定の軌道)である。
【0070】
所定の軌道は、例えば、図13に示すように、ホームポジション(HP)から操作部3を互いに異なる複数の方向に移動させる軌道である。本実施形態では、(1)~(5)の5つの軌道が所定の軌道である。なお、操作部3のホームポジションは、運動訓練装置1のXY平面において、図1の使用者U側の位置で、操作部3の操作の起点となる位置である。例えば、図2のX軸方向中央位置で、Y軸方向に関して図2の最も上側(使用者U側)の位置である。このようなホームポジションは、位置検出手段としてのエンコーダ6a、30aにより検出可能であるが、別途、ホームポジション検出用のセンサを設けても良い。
【0071】
図13の(1)~(5)の軌道は、例えば、ホームポジションからそれぞれの方向に延びた直線の軌道である。また、(1)~(5)の軌道は、隣り合う軌道同士がなす角度が同じであり、ホームポジションを通るX軸と平行な線よりもY軸方向に関して使用者Uから離れる方向に設定されている。また、ホームポジションを通るY軸と平行な線(図13では(3)の軌道)を中心とした両側に均等に配置されている。
【0072】
このような所定の軌道は、図13のような5つの軌道に限らず、5つよりも少なくても多くても良い。また、所定の軌道は、ホームポジションから直線方向に延びる軌道に限らず、途中で折れ曲がる線、或いは、曲線でも良い。更には、1つの円、楕円、三角形などの多角形状であっても良く、円、楕円、三角形などの多角形状を複数組み合わせたものであっても良い。また、所定の軌道を複数パターン用意し、使用者に応じて選ぶようにしても良い。
【0073】
所定の軌道(第2の軌道)に沿う操作部3の移動は、操作者が自ら移動させるようにしても良いが、本実施形態では、例えば、使用者が操作部3を掴んだ状態で運動訓練装置1が上述の自動モードのように自動で操作部3を移動させるようにしている。そして、この際の力センサ60の入力値に基づいて、目標軌道TLを設定するようにしている。即ち、軌道設定モードでは、制御CPU75が第1モータ6及び第2モータ30を制御して自動で操作部3を所定の軌道に沿って移動させた場合に、力センサ60の入力値が所定の閾値になった位置に基づいて目標軌道TLを設定する。
【0074】
図14は、実際に使用者が操作部3を掴んだ状態で、図13の(1)~(5)の軌道に沿って操作部3を自動で移動させた場合の第1チャートである。上述のように、第1チャートは、力センサ60により検出される合成力の大きさや方向を示すものである。図14に示す(1)~(5)は、それぞれ図13の(1)~(5)の軌道に対応するものである。
【0075】
本実施形態では、所定の閾値を図14に示す第1チャートの最も外側の円(中心から3番目の円)に設定している。したがって、制御CPU75は、使用者が掴んだ操作部3を(1)~(5)の軌道に沿って移動させた時に、力センサ60の入力値が図14の最も外側の円に達したときの操作部3の位置を記憶する。この位置は、例えば、メモリ74(図6)に記憶される。
【0076】
図13は、(1)~(5)の軌道に沿って移動させた時にそれぞれ力センサ60の入力値が所定の閾値になった時点までを示している。例えば、(1)の軌道は、ホームポジションから近い位置で所定の閾値に達していることを示しており、(4)、(5)の軌道はホームポジションから比較的遠くで所定の閾値に達していることを示している。図13の例では、使用者は、ホームポジションに対して左側の可動域が狭く、右側の可動域が比較的広いことが分かる。可動域とは、使用者が操作部3を操作可能な領域である。
【0077】
なお、所定の閾値は、操作部3を、使用者Uから受ける抵抗力を無視して、強制的に第1モータ6及び第2モータ30によって移動させても、使用者Uへの過度な負担を生じさせないよう設定される値であり、使用者の上肢の可動域を判断するための値である。
【0078】
上述のように、制御CPU75は、軌道設定モードにおいて、力センサ60の入力値が所定の閾値となる位置を複数記憶する。そして、記憶された複数の位置を結ぶ線の範囲内で、目標軌道TLを設定する。即ち、記憶された複数の位置を結ぶ線がその使用者の可動域であり、この可動域内で目標軌道TLを設定する。例えば、図15に示すように、目標軌道TLを記憶された複数の位置を結ぶ線とする。
【0079】
図15は、上述のように設定された目標軌道TLを第2チャート上に示したものである。図15の(1)~(5)の点は、(1)~(5)の軌道に沿って移動させた時にそれぞれ力センサ60の入力値が所定の閾値になった時点のホームポジションに対する位置である。図15では、(1)~(5)の各点を番号順に滑らかな曲線で結んだものである。なお、各点は、直線で結んでも良いし、曲線又は直線で、ランダムに結んでも良い。例えば、ホームポジションから(1)→(3)→(5)→(2)→(4)のように結んでも良い。
【0080】
また、目標軌道TLは、このように各点を結ぶ線以外に、例えば、各点を番号順に直線で結んだ図形の各直線に内接する円や楕円であっても良い。この場合、全ての直線に内接しなくても何れかの複数の直線に内接するように、複数の円や楕円で目標軌道TLを設定しても良い。また、(1)~(5)の各点を番号順に直線又は曲線で結んだ範囲内であれば、例えば、予め、設定した円、三角形、四角形、星形などの図形を1ないし複数の軌道を目標軌道TLとして設定しても良い。何れにしても、上述のように使用者が操作部3を把持した状態で所定の軌道に沿って操作部3を移動させ、所定の閾値に達した位置に基づいて可動域を設定し、その可動域内で適宜、目標軌道TLを設定すれば良い。
【0081】
更に、本実施形態では、上述のように設定した目標軌道TLで自動モードを実行し、その目標軌道TLで力センサ60の入力値が所定の閾値を超えるような場合があれば、目標軌道TLを自動で変更可能としている。即ち、制御CPU75は、軌道設定モードで設定された目標軌道TLに基づいて自動モードを実行している際に、力センサ60の入力値が所定の閾値を超える位置があった場合には、力センサ60の入力値が所定の閾値を超えないように、軌道設定モードで設定された目標軌道TLを変更する。
【0082】
例えば、上述のように設定された目標軌道TLであっても、(1)~(5)の各点を結ぶ線上で所定の閾値を超える場合が考えられる。また、目標軌道TLに沿って運動することで、(1)~(5)の各点上であっても所定の閾値を超える場合も考えられる。このような場合、使用者の負担となるため、例えば、力センサ60の入力値が所定の閾値を超えた時点で、一旦、自動モードを停止し、力センサ60の入力値が所定の閾値を超えないように、再度、目標軌道TLを設定する。
【0083】
この際、自動モードにおいて力センサ60の入力値が所定の閾値を超えた位置を記憶しておき、その位置よりもホームポジション側の軌道を通るように目標軌道TLを設定する。例えば、上述の(2)の位置で所定の閾値を超えた場合、(2)の位置よりもホームポジション側にずらした位置を(2)の位置として再設定し、上述の場合と同様に、目標軌道TLを設定する。或いは、図15に示した目標軌道TLの図形、或いは、上述のように設定した図形よりも小さい相似形を目標軌道TLとして再設定しても良い。
【0084】
なお、再設定した目標軌道TLで自動モードを実行しても、再度、所定の閾値を超える位置がある場合には、もう一度、上述のように目標軌道TLを設定しても良いし、自動モードを停止し、警報を出すなどして、訓練指導者に通知するようにしても良い。
【0085】
上述の軌道設定モードのフローの一例について、図16を用いて説明する。軌道設定モードを開始すると、制御CPU75は、まず、所定の軌道の全ルートの動作が完了したか判断する(S101)。最初は全ルートの動作が完了していないので(S101のN)、軌道設定モードで操作部3を移動させる移動ルートとして、例えば、上述の(1)の軌道を設定する(S102)。軌道が設定されると、制御CPU75は、操作部3をスタート位置(ここではホームポジション)に移動させる(S103)。そして、使用者が操作部3を把持した状態で、例えば、訓練指導者がスタートボタンを押すなどすることで、操作部3が(1)の軌道に沿って移動を開始する(S104)。即ち、制御CPU75は、第1モータ6及び第2モータ30を制御して、(1)の軌道のゴール位置に向けて自動で操作部3の移動を開始する。この際、制御CPU75は、力センサ60の入力値(センサ値)を監視している(S105)。
【0086】
そして、制御CPU75は、力センサ60の入力値が所定の閾値以上になるか否かを判断し(S106)、力センサ60の入力値が所定の閾値未満であれば(S106のN)、操作部3が移動ルートのゴール位置に到達した否かを判断する(S107)。ゴール位置に到達してなければ(S107のN)、S106に戻る。
【0087】
S106において、力センサ60の入力値が所定の閾値以上となった場合(S106のY)、制御CPU75は、第1モータ6及び第2モータ30のモータを停止する(S108)。即ち、操作部3の移動を停止する。そして、操作部3の現在位置をメモリ74に保存する(S109)。即ち、力センサ60の入力値が所定の閾値以上となった操作部3の位置を記憶する。
【0088】
次いで、S101に戻り、全ルートの動作が完了したかを確認し、完了してなければ、S102に進む。例えば、操作部3を(1)の軌道に沿って移動させ、力センサ60の入力値が所定の閾値以上となった場合、その位置を記憶し、S102において、次の移動ルートとして、(2)の軌道を設定する。そして、操作部3をスタート位置に戻して、(2)の軌道に沿った移動を開始し、力センサ60の入力値が所定の閾値以上になるか否かを監視し、力センサ60の入力値が所定の閾値以上となった位置を保存する(S103~S109)。このような動作を(1)~(5)の軌道について繰り返す。
【0089】
なお、S106において、力センサ60の入力値が所定の閾値未満で(S106のN)、S107において操作部3が移動ルートのゴール位置に到達した場合(S107のY)。制御CPU75は、そのゴール位置をメモリ74に保存する(S109)。
【0090】
(1)~(5)の軌道について、上述の動作が完了した場合、即ち、全ルートの動作が完了した場合(S101のY)、制御CPU75は、S109でメモリ74に保存した位置から目標軌道TLを自動で生成する(S110)。そして、軌道設定モードを終了する。このように生成された目標軌道TLは、次に行う自動モードで使用される。
【0091】
本実施形態の場合、このように運動訓練装置1により使用者に適した操作部3の軌道を自動で設定できる。即ち、自動モードで使用する目標軌道TLを運動訓練装置1により自動で設定可能である。この際、使用者に操作部3を把持させた状態で所定の軌道に沿って自動で操作部3を移動させ、力センサ60の入力値が所定の閾値となった位置を記憶しておくことで、その使用者の可動域を判断できる。そして、このように判断した可動域の範囲内で目標軌道TLを設定するようにしている。このため、使用者に適した目標軌道が設定可能である。
【0092】
これにより、訓練指導者が目標軌道の設定作業を行う手間を省くことができ、訓練指導者の負担を減らすことができる。そして、訓練指導者の数が少なくても、多くの使用者に対して訓練を行い易くなる。
【0093】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図17を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、図12に示したように、可動域を判断するために操作部3を移動させる所定の軌道をホームポジションから放射状に延びる複数の直線とした。これに対して、本実施形態では、所定の軌道を、図17に破線で示すように、直径が異なる複数の円としている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同じ符号を付して説明及び図示を省略し、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0094】
本実施形態の場合、所定の軌道である複数の円は、全てX軸方向中央、且つ、Y軸方向の端部位置でホームポジションHPを通る。また、全ての円の中心は、ホームポジションHPを通るY軸上に位置する。即ち、小さい円から順番に操作部3を軌道に沿って移動させた場合に、ホームポジションHPから徐々に離れるように円が描かれるように、複数の円の軌道を設定している。
【0095】
また、図17に示すように、各円の軌道は、ホームポジションHPから放射状の延びる複数の直線(a)~(e)によって分けられた複数の領域β1~β4を有する。本実施形態においても、軌道設定モードを実行する場合には、制御CPU75が第1モータ6及び第2モータ30を制御して自動で操作部3を所定の軌道に沿って移動させた場合に、力センサ60の入力値が所定の閾値になった位置に基づいて目標軌道TLを設定する。この際、上述の複数の領域β1~β4毎に、力センサ60の入力値が所定の閾値になった位置を記憶する。そして、この記憶した位置に基づいて目標軌道TL域を設定する。
【0096】
即ち、領域β1において、力センサ60の入力値が所定の閾値になった位置がHPから2つ目の円であり、同様に、領域β2が3つ目の円、領域β3が4つ目の円、領域β4が5つ目の円で、それぞれ力センサ60の入力値が所定の閾値になった場合、各領域の所定の閾値になった位置を例えば曲線で結ぶことで、図17に太線で示す目標軌道TLが得られる。なお、これらの各位置を直線で結んで目標軌道としても良いし、直線で結ぶことで形成される多角形状の内接円を目標軌道としても良い。
【0097】
このような本実施形態のように、目標軌道を設定するための所定の軌道を複数の円としても、使用者に適した目標軌道を求めることができる。なお、複数の円は、楕円であっても良い。また、目標軌道を設定する際には、上述ように複数の領域を設定せずに、小さい方の円から順番に操作部3を軌道に沿って移動させ、最初に、力センサ60の入力値が所定の閾値になった円を目標軌道に設定しても良い。
【0098】
また、第1の実施形態、第2の実施形態ともに、軌道を設定する際に操作部3をホームポジションから離れる方向に移動させているが、この「ホームポジション」は軌道設定モードにおけるホームポジションであり、運動訓練装置1自体のホームポジションと異なる位置であってもよい。
【0099】
<他の実施形態>
上述の運動訓練装置1では、例えば、予めPC70に、上述の制御が可能なプログラムがインストールされているが、運動訓練装置1が備える制御部に上述のプログラムをインストールしても良い。或いは、既に設置されている運動訓練装置や運動訓練システムが備えるコンピュータにこのプログラムをインストールするようにしても良い。即ち、本発明は、上述の運動訓練装置1に用いられるプログラムであっても良い。
【0100】
このプログラムは、以下のような工程をコンピュータに実行させるプログラムでもある。即ち、プログラムは、次の2つの工程を有する。まず、第1工程では、所定の軌道(第2の軌道)に沿って操作部3を移動させ、力センサ60の入力値が所定の閾値になった位置を記憶する。第2工程では、第1工程で記憶した位置に基づいて、自動モードにおける目標軌道(第1の軌道)を設定する。
【符号の説明】
【0101】
1・・・運動訓練装置
3・・・操作部
6・・・第1モータ(X軸方向駆動モータ)
6a・・・エンコーダ(位置検出手段)
30・・・第2モータ(Y軸方向駆動モータ)
30a・・・エンコーダ(位置検出手段)
60・・・力センサ
70・・・PC(制御部)
75・・・制御CPU
200・・・駆動部
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