(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175919
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】温室装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/00 20180101AFI20221117BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20221117BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20221117BHJP
【FI】
A01G9/00 B
A01G7/00 601Z
A01G7/00 601A
A01G31/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021082698
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】503314705
【氏名又は名称】ユングハインリヒ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロールヴァ, フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】カヴェリウス, イェルク
(72)【発明者】
【氏名】リープハーバー, マルクス
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA15
2B022DA17
2B022DA19
2B022DA20
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA40
2B314MA42
2B327NE01
2B327TA04
2B327UA08
2B327UB03
2B327UB10
2B327UB22
2B327UB24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利用可能なスペースを効果的に利用する温室を提供する
【解決手段】コンパクトなかたちで温室装置を設計することである。この目的のために、温室装置は、複数のブロック貯蔵要素の少なくとも1つのスタックが収容可能であるブロック貯蔵システムを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロック貯蔵要素(3)の少なくとも1つのスタックが収容可能であるブロック貯蔵システム(1)を備えることを特徴とする、温室装置。
【請求項2】
少なくとも1つの供給装置及び/又は少なくとも1つのデータ伝達デバイスを備える少なくとも1つのコンテナ受入スペース(2)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の温室装置。
【請求項3】
積卸スペースが、前記コンテナ受入スペース(2)の下方に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の温室装置。
【請求項4】
前記ブロック貯蔵要素(3)が、照明器具()を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項5】
前記供給装置及び/又は前記データ伝達デバイスは、貯蔵状態への収納及び/又は取り出しの方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の温室装置。
【請求項6】
前記コンテナ受入スペース(2)は、最下段のブロック貯蔵要素受入位置と、前記最下段のブロック貯蔵要素受入位置の上方に配置される少なくとも1つの他のブロック貯蔵要素受入位置とを備え、前記供給装置及び/又は前記データ伝達デバイスは、最上段のブロック貯蔵要素受入位置から始まり、前記最下段のブロック貯蔵要素受入位置の上方で終端することを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項7】
前記ブロック貯蔵要素受入スペース(20)の異なる角部に、異なる前記供給装置及び/又は前記データ伝達デバイスが配置されることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項8】
前記供給装置がエネルギー伝達デバイスを備えることを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項9】
前記ブロック貯蔵要素受入スペース(2)に配置される少なくとも1つのブロック貯蔵要素(3)は、前記エネルギー伝達デバイス及び/又は前記データ伝達デバイスに対する少なくとも1つのカウンターパート(8)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の温室装置。
【請求項10】
前記カウンターパート(8)が相補デバイスを備えることを特徴とする、請求項8又は9に記載の温室装置。
【請求項11】
前記カウンターパート(8)がクランプデバイスを備えることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項12】
前記エネルギー伝達デバイス及び/又は前記データ伝達デバイスは、導体レール(6)を備え、前記カウンターパート()は、スライド接点を備えることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項13】
前記カウンターパート(8)は、相次ぐように配置される少なくとも2つのスライド接点を備えることを特徴とする、請求項8~12のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項14】
前記供給装置は、流体及び/又は養分の供給デバイスを備えることを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の温室装置。
【請求項15】
前記流体及び/又は養分の供給デバイスは、少なくとも1つの弁及び/又は少なくとも1つの貯蔵タンク及び/又は少なくとも1つのポンプ及び/又は少なくとも1つの給送要素及び/又は少なくとも1つの流出要素及び/又は少なくとも1つの処理デバイスを備えることを特徴とする、請求項14に記載の温室装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の温室装置は、例えば、植栽領域にわたって配置されるフィルム構造を備える。全ての植物が均一な光を受け取るように、温室装置は、一般的に、畑を覆って配置される。ガラス構造もまた、フィルム構造の代替物として使用される。いずれの場合にも、太陽光線は通過して植物に到達しなければならず、それによって、防水シート構造又はガラス構造の一定程度の透明性が必要とされる。前述の畑の代わりに、温室装置は、植栽テーブルにかけ渡されることもできる。植物の世話、水やり及び収穫を可能にするために、通路が温室装置の内側に生成されるが、この通路上では、植物は育たない、又は、植物はある区域でのみ育つ。このため、このタイプの温室装置のフロア計画は、通常、非常にたっぷりとしたサイズとされる。
【0003】
別の温室装置は、バーティカル・ファーミングとして称されるものである。ここでは、植物は、ホール内に配置される複数のラック内で育てられる。ラック装置は、植物が成長する複数の段階につながる。上記の温室装置と同様に、世話、水やり及び収穫のための通路が、バーティカル・ファーミングでのラック同士の間に設けられなければならない。これにより、世話、収穫、水やり等のための自由な移動の十分な量を有するために、最小限にくっつけられなければならない個々のラック同士の間に、一定程度の距離がもうけられることになる。これ故、上述した畑の場合と同じサイズのフロア計画では、より大きな植栽領域のための場所が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、温室装置で利用可能なスペースを効果的に利用することである。この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0005】
温室装置は、複数のブロック貯蔵要素の少なくとも1つのスタックが収容可能であるブロック貯蔵システムを備える。ブロック貯蔵システムは、非常に高い詰め込み密度を有することを特徴とする。実施形態に応じて、ブロック貯蔵システムは、上方から又は下方からのいずれかから、積み重ね可能なブロック貯蔵要素を詰め込まれることができる。全ての生育段階にある植物が、ブロック貯蔵要素内に配置されることができる。ブロック貯蔵要素は積み重ね可能であるため、このタイプのブロック貯蔵システム内では、非常に高いスペース収穫高を達成することができる。さらに、ブロック貯蔵システムは、環境の影響から遮蔽されることができ、それにより、植物にとって最適な生育条件を生みだすことができる。従って、このように構成される温室装置は、コンパクトに設計される。
【0006】
好ましくは、温室装置は、少なくとも1つの供給装置及び/又は少なくとも1つのデータ伝達デバイスを備える少なくとも1つのブロック貯蔵要素受入スペースを備える。この供給装置を介して、植物は、必要に応じて、光、流体、養液、適切な雰囲気等の供給を適宜受けることができる。データ伝達デバイスを用いることによって、例えば、センサ、弁、スイッチ等からのデータが伝達されることができる。これにより、データは、供給装置を使用して植物の生育を最適化するのに役立つことができる。
【0007】
好ましくは、積卸スペースが、ブロック貯蔵要素受入スペースの下方に配置される。この構成を用いることによって、ブロック貯蔵要素受入スペースは、下方から積卸を受けることができ、それにより、ブロック貯蔵要素のスタックは、新しいブロック貯蔵要素それぞれを用いて底部から上方へと増加する。さらに、スタックは、積卸スペースを通じて再びばらされ、つまり、1つの最下段のブロック貯蔵要素がそれぞれ、下向きの方向に取り出される。重力は、スタックを形成するブロック貯蔵要素を下方に移動させる。ブロック貯蔵要素受入スペース内に1つのブロック貯蔵要素のみが配置される場合、このブロック貯蔵要素は、ブロック貯蔵要素受入スペース内の最下段の位置に位置する。この構成を通じて、ブロック貯蔵要素がブロック貯蔵要素受入スペース内に配置される限り、ブロック貯蔵要素は積卸スペースに隣接する取り出し位置に位置するため、空の状態での動作が回避される。
【0008】
好ましくは、ブロック貯蔵要素は、照明器具を備える。照明器具は、ブロック貯蔵要素の底部側に配置されることができ、それにより、照明器具が重力方向へ光るか又は照射する。照明機能に加えて、照明器具はまた、加温機能も果たすことができ、当該加温機能は、ブロック貯蔵要素内に配置される又はブロック貯蔵要素の下方に配置される、例えば、植物又は感光性物体のような、貯蔵されている物体を、照明及び/又は加熱することができる機能である。
【0009】
好ましくは、供給装置及び/又はデータ伝達デバイスは、取り入れ及び/又は取り出しの方向に沿って配置される。これにより、異なる高さを有する複数のブロック貯蔵要素が、例えば、供給のギャップ又はデータ伝達のギャップがない状態で、ブロック貯蔵要素受入スペース内に配置されることができる。
【0010】
好ましくは、ブロック貯蔵要素受入スペースは、最下段のブロック貯蔵要素受入位置と、重力方向の上段に配置される少なくとも1つのブロック貯蔵要素受入位置とを備え、供給装置及び/又はデータ伝達デバイスは、最上段のブロック貯蔵要素受入位置から始まり、最下段のブロック貯蔵要素受入位置の上方で終端する。よって、最下段のブロック貯蔵要素受入位置に配置されるブロック貯蔵要素は、エネルギーの供給を受けない。このことは、照明器具がブロック貯蔵要素の底部側に配置されることができ、それにより照明器具が重力方向で下向きに光る場合にも不要である。他のいかなるブロック貯蔵要素も最下段のブロック貯蔵要素の下方には配置されないため、最下段のブロック貯蔵要素の供給部及び照明器具は、もはや必要とされない。これ故、この構成を用いることによって、最下段のブロック貯蔵要素の上方に配置されるブロック貯蔵要素のみが、エネルギーの供給を受けることが保証される。その結果、最下段のブロック貯蔵要素受入位置におけるブロック貯蔵要素の制御のコストが回避される。さらに、この構成を用いることによって、材料及び組立のコストが低減され、その結果、より少ないコストしか発生しない。
【0011】
好ましくは、異なる供給装置及び/又はデータ伝達デバイスが、ブロック貯蔵要素受入スペースの異なる角部に配置される。このようにすることで、データ伝達デバイスとエネルギー伝達デバイスとの間の機能不良を防止することができる。さらに、この構成を用いることによって、様々な安全面が付随することができる。
【0012】
好ましくは、供給装置は、エネルギー伝達デバイスを備える。例えば、複数のブロック貯蔵要素内に配置される植物に光の供給を受けることができるようにするためには、照明器具がエネルギーの供給を受ければ有利である。照明器具に加えて、エネルギーデバイスは、例えば、センサ等の他のエネルギー消費体に接続されることができる。
【0013】
好ましくは、ブロック貯蔵要素受入スペースに配置される少なくとも1つのブロック貯蔵要素は、エネルギー伝達デバイス及び/又はデータ伝達デバイスに対する少なくとも1つのカウンターパートを備える。このデバイスを用いることによって、エネルギーを消費体に供給するために、ブロック貯蔵要素受入スペースからブロック貯蔵システムにエネルギーが伝達されることができる。考えられるエネルギー消費体は、例えば、センサ、照明器具、制御装置等である。
【0014】
好ましくは、カウンターパートは、相補デバイスを備える。相補デバイスを用いることによって、ブロック貯蔵要素の位置決めにおける誤差が補われることができる。その結果、カウンターパートとエネルギー伝達デバイス及び/又はデータ伝達デバイスとの相互作用が確保されることができる。
【0015】
好ましくは、カウンターパートは、クランプデバイスを備える。クランプデバイスは、カウンターパートの少なくとも一部をエネルギー伝達デバイス及び/又はデータ伝達デバイスに対して押し付け、それにより、カウンターパートとエネルギー伝達デバイス及び/又はデータ伝達装置との間に接触が確立される。クランプデバイスはさらに、エネルギー伝達デバイス及び/又はデータ伝達デバイスの凹凸を補うのに役立つ。
【0016】
好ましくは、エネルギー伝達デバイス及び/又はデータ伝達デバイスは、接触レールを備え、カウンターパートは、スライド接点を備える。接触レールもスライド接点も両方とも、大量に製造され、その結果、要素の費用効率が高く、このことは、温室装置のコストを最小限に抑える。さらに、貯蔵状態への収納及び取り出しのプロセスへの範囲内において、接触レール及びスライド接点の表面は、清浄化、研磨等を受け、それにより、エネルギー又はデータの良好な伝達が保証される。
【0017】
好ましくは、カウンターパートは、相次ぐように配置される少なくとも2つのスライド接点を備える。この構成を用いることによって、少なくとも1つのスライド接点、それ故カウンターパートが、供給装置及び/又はデータ伝達デバイスと相互作用する。このようすることで、供給装置及び/又はデータ伝達デバイス内で存在する可能性のあるギャップが埋められることができる。これ故、供給装置及び/又はデータ伝達デバイスとカウンターパートとの相互作用が保証される。
【0018】
好ましくは、供給装置は、流体及び/又は養分の供給デバイスを備える。流体及び/又は養分の供給デバイスは、ブロック貯蔵要素内に配置される植物に流体及び/又は養分を供給することができる。これ故、植物は、最適な生育条件に遭遇し、その結果、植物の生育が促進されることができる。
【0019】
好ましくは、流体及び/又は養分の供給デバイスは、少なくとも1つの弁及び/又は少なくとも1つの貯蔵タンク及び/又は少なくとも1つのポンプ及び/又は少なくとも1つの給送要素及び/又は少なくとも1つの流出要素及び/又は少なくとも1つの処理デバイスを備える。この構成を用いることによって、ブロック貯蔵要素内に配置される植物は、流体及び/又は養分の供給を受けることができる。これ故、植物は、最適な生育条件に遭遇し、その結果、収穫までの時間が短縮される。さらに、ブロック貯蔵システムの外部から流体及び/又は養分を植物に供給するために、ブロック貯蔵システムからブロック貯蔵要素を定期的に取り出すことは、もはや必要とされない。このことは、管理費用、それ故コストを低減する。
【0020】
本発明は、図面と関連して好ましい例示的な実施形態に基づいて以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図2は、ブロック貯蔵要素受入スペースを示す。
【
図3】
図3は、カウンターパート及び導体レールの詳細図を示す。
【
図4】
図4は、最下段のブロック貯蔵要素受入位置の概略図である。
【
図5】
図5は、コーナーガイドプロファイル部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ブロック貯蔵システムは、少なくとも1つのブロック貯蔵要素受入スペースを含む貯蔵装置を示す。積み重ね可能な複数のブロック貯蔵要素は、ブロック貯蔵要素受入スペースにおいて貯蔵状態への収納を受け、貯蔵状態からの取り出しを受けることができる。この目的のために、少なくとも1つのブロック貯蔵要素は、積卸スペースを通ってブロック貯蔵要素受入スペースにおいて貯蔵状態への収納を受けるか、又は貯蔵状態からの取り出しを受ける。積卸スペースは、重力方向でブロック貯蔵要素受入スペースの上方又は下方に配置されることができ、それにより、貯蔵状態への収納方向又は貯蔵状態からの取り出し方向は、重力方向又は重力方向の反対方向に方向付けられる。貯蔵状態への収納及び貯蔵状態からの取り出しの方向は、積卸スペースの配置によって決定される。積卸スペースがブロック貯蔵要素受入スペースの上方に配置される場合、貯蔵状態への収納方向は、重力方向であり、貯蔵状態からの取り出し方向は、重力方向とは反対である。積卸スペースが重力方向でブロック貯蔵要素受入スペースの下方に配置される場合、貯蔵状態への収納方向は、重力方向と反対に方向付けられ、貯蔵状態からの取り出し方向は、重力方向に方向付けられる。複数のブロック貯蔵要素がブロック貯蔵要素受入スペースにおいて貯蔵状態への収納を受けると、ブロック貯蔵要素スタックが形成される。ブロック貯蔵システムの他の用語は、積み重ね貯蔵システム又はコンテナ積み重ね貯蔵システムである。例示的な本実施形態では、ブロック貯蔵要素受入スペースは、重力方向で積卸スペースの上方に配置される。
【0023】
図1において、ブロック貯蔵システム1が示されている。ブロック貯蔵システム1は、多数のブロック貯蔵要素受入スペース2を備える。多数のブロック貯蔵要素3は、複数のブロック要素受入スペース2内で積み重ね可能であり且つ取り出し可能であるかたちで、配置されることができる。ブロック貯蔵要素3は、収納貯蔵及び取り出し領域4を通ってブロック貯蔵システム1内に移送され、ブロック貯蔵システム1から再び取り出されもする。本実施形態では、収納貯蔵及び取り出し領域4は、図示しないポートによって積卸スペースに接続される。次いで、ポートは、図示しない積卸スペースに接続され、積卸スペースは、少なくとも1つのブロック貯蔵要素受入スペースの下方に配置される。積卸スペース内には、移動可能な積卸車両が配置され、積卸車両は、複数のブロック貯蔵要素3をポートからコンテナ受入スペース2内に移送する。そうするために、積卸車両は、ブロック貯蔵要素3をポートからピックアップするが、これは、積卸車両が、持上装置を使用して、ブロック貯蔵要素を重力方向で下方から持ち上げ、その結果、当該ブロック貯蔵要素3が積卸車両上に配置されることにより、行われる。次に、積卸車両は、ブロック貯蔵要素3と共に、当該ブロック貯蔵要素3が貯蔵状態への収納を受けるべきブロック貯蔵要素受入スペース2に、移動する。当該ブロック貯蔵要素受入スペース2に到着すると、積卸車両は、せん断力の方向に逆らってブロック貯蔵要素を上方に持ち上げる。1つ以上のブロック貯蔵要素3が、充填されるべきブロック貯蔵要素受入スペース2内に既に配置されている場合、積卸車両は、貯蔵状態への収納をしようとしているブロック貯蔵要素3を、当該ブロック貯蔵要素3の上方に配置されているブロック貯蔵要素3と共に、持ち上げ、これにより、ブロック貯蔵要素スタックを形成する。ブロック貯蔵要素スタックが積卸車両によってある一定の高さよりも上方に持ち上げられてしまうと、ブロック貯蔵要素スタックを保持する複数の保持要素(図示せず)は動き、それにより、積卸車両の持上装置は、ブロック貯蔵要素3のない状態で再び下降されることができる。次いで、積卸車両は、フリーな状態になり、さらなるブロック貯蔵要素3に対して、貯蔵状態への収納又は貯蔵状態からの取り出しをすることができる。貯蔵状態からの取り出しプロセスの間、ブロック貯蔵要素受入スペース2内に配置されるブロック貯蔵要素スタックの最下段のブロック貯蔵要素2のみが、その都度取り出しを受けることができる。この目的のために、積卸車両は、取り出しを受けているブロック貯蔵要素3の下方に位置決めされ、保持要素が解除ポジションにまで動くように、当該ブロック貯蔵要素3又はブロック貯蔵要素スタックを持ち上げる。次に、積卸車両は、ブロック貯蔵要素スタックを下降させる。ブロック貯蔵要素スタックがある一定の距離下降されてしまうと、保持要素は動いて保持ポジションに戻り、残っているブロック貯蔵要素スタックをブロック貯蔵要素受入スペース2内に保持する。このとき、ブロック貯蔵要素スタックの最下段のブロック貯蔵要素3は、積卸車両上に配置され、当該積卸車両は、ブロック貯蔵システム3をポート装置(ポート)に移送する。ポート装置(ポート)からでは、ブロック貯蔵要素3は、さらなる搬送、点検、補修、貯蔵状態への再度の収納等を受けることができる。
【0024】
図2において、ブロック貯蔵要素受入スペース2が示されている。ブロック貯蔵要素受入スペース2内には、ブロック貯蔵要素3が配置される。さらに、ブロック要素受入スペース2は、一体化された導体レール6を含む少なくとも1つのコーナーガイドプロファイル部5を備える。ブロック貯蔵要素3は、ブロック貯蔵要素3の複数の角部に、カウンターパート8を備える積み重ねジオメトリ部7を含む。これにより、カウンターパート8は、ブロック貯蔵要素3が貯蔵状態にあるとき、導体レール6と相互作用する。積み重ねジオメトリ部7は、ブロック貯蔵要素3の少なくとも1つの角部に配置され、個々のブロック貯蔵要素2を互いから重力方向に間隔をあけて配置する。さらに、積み重ねジオメトリ部7は、積み重ねられたブロック貯蔵要素3の互いに対する移動を阻止する幾何学的な構成を備えることができる。
【0025】
図3において、コーナーガイドプロファイル部5、導体レール6、積み重ねジオメトリ部7及びカウンターパート8の詳細が図示されている。これにより、カウンターパート8は、図示しない相補デバイスと、図示しないクランプデバイスとを備えることができる。さらに、カウンターパート8は、相次ぐように配置される図示しない2つのスライド接点を備え、当該2つのスライド接点は、貯蔵状態において導体レール6と相互作用する。導体レール6とカウンターパート8とは互いに適応している。その結果、導体レール6もカウンターパート8も両方が、電流を伝達するために様々な電流の相を備えることができる。伝達されるべき電流の相の数に応じて、導体レール6及びカウンターパートは、1つの正極と1つの負極とのための2相設計を含むことができ、又は3相電流の伝達における3相も含むことができる。
【0026】
図4は、ブロック貯蔵要素受入スペース2内において導体レール7が配置される場所を模式的に示している。これにより、底部のブロック貯蔵要素3のカウンターパート8が導体レール7と相互作用しないことが認められる。導体レール7は、重力方向で最下段のブロック貯蔵要素受入位置の上方で途切れている。最下段のブロック貯蔵要素受入位置の下方には、積卸スペース9が配置されている。さらに、1つ以上の植栽コンテナ10が1つのブロック貯蔵要素3内に配置されることができる。生育の全ての段階における植物が、このタイプの植栽コンテナ10内に配置されることができる。
【0027】
図5において、コーナーガイドプロファイル部5が、一体化された導体レール6と共に示されている。これにより、導体レールが上側領域11にのみ配置されていることが明確に認識できる。これにより、上側領域11は、最下段のブロック貯蔵要素受入位置の上方に配置される。下側領域12は、最下段のブロック貯蔵要素受入位置の領域に相当するが、下側領域12には、導体レールが配置されていない。
【0028】
植物が搭載されているブロック貯蔵要素3がブロック貯蔵システム内に貯蔵状態への収納を受け、植物が収穫の準備が整うまでブロック貯蔵システム内にとどまり、その後再び貯蔵状態から取り出される例示的なプロセスを、以下に説明する。
【0029】
ブロック貯蔵要素3は、収納貯蔵及び取り出し領域4に移送される。ブロック貯蔵要素3は、収納貯蔵及び取り出し領域4から、ポートを通って積卸スペース9内に移送される。積卸スペース9から始まるが、ブロック貯蔵要素3は、下方からブロック貯蔵要素受入スペース2内に移送される。これにより、追加のブロック貯蔵要素3が、ブロック貯蔵要素受入スペース2内に貯蔵状態への収納を受ける。ブロック貯蔵要素スタックが、ブロック貯蔵要素受入スペース2内で形成される。
【0030】
積卸スペース9からブロック貯蔵要素受入スペース2内へのブロック貯蔵要素3の移送の際、カウンターパート8がコーナーガイドプロファイル部5内に挿入される。ブロック貯蔵要素3が最下段のブロック貯蔵要素受入位置から上段のブロック貯蔵要素受入位置に移送されるとすぐに、カウンターパート8は導体レール6の上側領域11に係合する。これにより、カウンターパート8は導体レール6と相互作用する。導体レール6の下端における挿入領域において、導体レール6は、カウンターパート8の導体レール6への挿入プロセスを容易にする挿入構成を備えることができる。さらに、カウンターパート8の相補デバイス及びクランプデバイスを用いて、挿入プロセスをさらに容易にすることができる。
【0031】
カウンターパート8が一旦導体レール6と接触状態になると、ブロック貯蔵要素3の底部側に配置される照明器具は、例えば光ることができる。最下段のブロック貯蔵要素受入位置に配置されるブロック貯蔵要素3は、エネルギー伝達デバイスと相互作用せず、その結果、当該ブロック貯蔵要素上の照明器具は、光を供給することができない。最下段のブロック貯蔵要素3へのエネルギー供給の遮断はもはや必要ではなく、それにより、開ループ及び閉ループ制御の費用が低減される。
【0032】
流体及び/又は養分を植物に送達することができる供給装置(図示せず)を用いることによって、植物の生育過程の中での人間の介入が不要になる。流体及び/又は養分のこのタイプの供給装置はさらに、以下の要素を備えることができる。当該要素は、少なくとも1つの弁及び/又は少なくとも1つの貯蔵タンク及び/又は少なくとも1つのポンプ及び/又は少なくとも1つの給送要素及び/又は少なくとも1つの流出要素及び/又は少なくとも1つの処理デバイスである。これらの要素を用いることにより、流体及び/又は養分の供給装置を温室装置に適合させることができる。流体及び/又は養分は、処理デバイスによって再使用されることもできる。
【0033】
さらに、温室装置は、植物にとって最適な気候条件を可能にする空調システムを備えることができる。これにより、植物の生育は、例えば、加速又は減速されることができる。気候条件は、例えば、気温、空気のCО2含有量、湿気等を含む。
【0034】
ブロック貯蔵要素3は、植物が収穫の準備ができるまで又は移植の準備ができるまで、ブロック貯蔵システム1内に留まる。ブロック貯蔵要素3をブロック貯蔵システム1の外に貯蔵状態から取り出すためには、ブロック貯蔵要素スタックの最下段のブロック貯蔵要素3が、ブロック貯蔵要素受入スペース2の外に積卸スペースにそれぞれ移送される。積卸スペース9からは、ブロック貯蔵要素3は、ポートを通って、収納貯蔵及び取り出し領域内に移送される。収納貯蔵及び受け取り領域内において、収穫の準備ができている植物は、ブロック貯蔵要素3から取り出されることができ、ブロック貯蔵要素3は、再度の貯蔵状態への収納を受ける前に、新しい植物又は種子の搭載を受けることができる。ブロック貯蔵要素3を貯蔵状態へ戻す代わりに、ブロック貯蔵要素3は点検又は清掃を受けることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ブロック貯蔵システム
2 ブロック貯蔵要素受入スペース
3 ブロック貯蔵要素
4 収納貯蔵及び受け取り領域
5 コーナーガイドプロファイル部
6 導体レール
7 積み重ねジオメトリ部
8 カウンターパート
9 積卸スペース
10 植栽コンテナ
11 上側領域
12 下側領域
【外国語明細書】