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特開2022-175938画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175938
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/00 20060101AFI20221117BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G06T5/00
G06T1/00 330B
G06T1/00 340A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082723
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 典昭
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 達哉
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057BA02
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB12
5B057CB16
5B057CB19
5B057CC03
5B057CE08
5B057CG01
5B057CG09
5B057DA06
5B057DB02
5B057DC09
5B057DC36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セキュリティ性が高くかつ復元可否を制御可能な機微情報の隠ぺいを行う画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、認識部153と、加工部154と、暗号化部156と、合体部157と、を有する。認識部153は、撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する。加工部154は、認識部153によって認識された部分が隠れるように撮影された画像を加工する。暗号化部156は、認識部153によって認識された部分に関するデータを暗号化する。合体部157は、加工部154によって加工された画像のデータと、暗号化部156によって暗号化されたデータとを合体させる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された部分が隠れるように前記撮影された画像を加工する加工部と、
前記認識部によって認識された部分に関するデータを暗号化する暗号化部と、
前記加工部によって加工された画像のデータと、前記暗号化部によって暗号化されたデータとを合体させる合体部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記加工部は、前記認識部によって認識された部分を所定のパターンに置き換えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記暗号化部は、前記認識部によって認識された部分を含む領域の画像を暗号化することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記認識部によって認識された部分を含む矩形の領域であって、横幅が前記撮影された画像の横幅と等しい領域の画像を暗号化することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記加工部によって加工された画像を所定のフォーマットのデータにエンコードするエンコード部をさらに有し、
前記合体部は、前記エンコード部によってエンコードされたデータと前記暗号化部によって暗号化されたデータとを合体させた1つのファイルを生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する認識工程と、
前記認識工程によって認識された部分が隠れるように前記撮影された画像を加工する加工工程と、
前記認識工程によって認識された部分に関するデータを暗号化する暗号化工程と、
前記加工工程によって加工された画像のデータと、前記暗号化工程によって暗号化されたデータとを合体させる合体工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
画像処理装置と、端末と、を有する画像処理システムによって実行される画像処理方法であって、
前記画像処理装置は、
撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する認識工程と、
前記認識工程によって認識された部分が隠れるように前記撮影された画像を加工する加工工程と、
前記認識工程によって認識された部分に関するデータを暗号化する暗号化工程と、
前記加工工程によって加工された画像のデータと、前記暗号化工程によって暗号化されたデータとを合体させる合体工程と、
を実行し、
前記端末は、
前記画像処理装置から取得した前記合体されたデータに含まれる前記加工された画像のデータをデコードするデコード工程と、
前記端末に前記画像処理装置によって暗号化されたデータを復号するための情報が与えられている場合、前記暗号化されたデータを復号して得られた画像を前記デコード工程によってデコードされた画像と合成する合成工程と、
を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する認識手順と、
前記認識手順によって認識された部分が隠れるように前記撮影された画像を加工する加工手順と、
前記認識手順によって認識された部分に関するデータを暗号化する暗号化手順と、
前記加工手順によって加工された画像のデータと、前記暗号化手順によって暗号化されたデータとを合体させる合体手順と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両から撮影した画像に写る人物の顔及び他の車両のナンバープレート等の機微情報を隠ぺいする技術が知られている。例えば、画像の機微情報に該当する部分に対して、塗りつぶしを行う方法やモザイク処理を行う方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-164275号公報
【特許文献2】特開2010-278650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、画像について、セキュリティ性が高くかつ復元可否を制御可能な機微情報の隠ぺいを行うことが困難であるという問題がある。例えば、従来の技術では塗りつぶしのような不可逆的な隠ぺい方法が用いられている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像について、セキュリティ性が高くかつ復元可否を制御可能な機微情報の隠ぺいを行うことができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、認識部と、加工部と、暗号化部と、合体部と、を有する。認識部は、撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する。加工部は、認識部によって認識された部分が隠れるように撮影された画像を加工する。暗号化部は、認識部によって認識された部分に関するデータを暗号化する。合体部は、加工部によって加工された画像のデータと、暗号化部によって暗号化されたデータとを合体させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像について、セキュリティ性が高くかつ復元可否を制御可能な機微情報の隠ぺいを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、画像の例を示す図である。
図3図3は、秘匿部分の認識について説明する図である。
図4図4は、画像の加工について説明する図である。
図5図5は、秘匿情報の暗号化及びデータの合体について説明する図である。
図6図6は、合体によって得られるデータのデータ構造の例を示す図である。
図7図7は、加工された画像の例を示す図である。
図8図8は、画像の選択画面の例を示す図である。
図9図9は、設定画面の例を示す図である。
図10図10は、画像の表示態様の例を示す図である。
図11図11は、画像処理装置の構成例を示す図である。
図12図12は、端末の構成例を示す図である。
図13図13は、端末の構成例を示す図である。
図14図14は、画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、端末の処理の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、画像の加工について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を用いて、実施形態に係る画像処理システムについて説明する。図1は、実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、画像処理システム1は、車両V、車両Vに搭載された画像処理装置10、端末20及び端末30を有する。
【0012】
画像処理装置10は、端末20及び端末30とネットワークNを介してデータを通信可能に接続されている。例えば、ネットワークNはインターネットである。
【0013】
画像処理システム1の処理の流れを説明する。図1に示すように、画像処理装置10は、カメラを用いて画像を撮影する(ステップS11)。
【0014】
例えば、画像処理装置10は車両Vの前方の画像を撮影する。このとき、撮影された画像には、車両Vの前方にある車両の後部に掲示されたナンバープレート、及び通行中の人物の顔といった、いわゆる機微情報が写る場合がある。
【0015】
図2は、画像の例を示す図である。図2の例では、画像処理装置10によって撮影された画像500に、車両のナンバープレート及び人物の顔が写っている。
【0016】
本実施形態の画像処理システム1は、画像に写り込んだ機微情報を適切に扱うことを1つの目的とする。具体的には、画像処理システム1によれば、画像を出力する端末の権限の有無に応じて、機微情報を表示するか否かを制御することができる。
【0017】
画像処理装置10は、秘匿部分を隠す加工を行った画像をエンコードし、さらに秘匿部分のデータを暗号化する(ステップS12)。
【0018】
秘匿部分は、事前に定められた機微情報を特定可能な画像の部分である。例えば、車両のナンバープレート、人物の顔等が機微情報に相当する。
【0019】
まず、画像処理装置10は、撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する。図3は、秘匿部分の認識について説明する図である。図3の例では、画像処理装置10は、車両のナンバープレート又は人物の顔を含む矩形の領域を秘匿部分として認識する。
【0020】
例えば、画像処理装置10は、ディープラーニング等の機械学習手法により生成された所定の画像認識モデルを用いて、秘匿部分のパターン認識を行うことができる。
【0021】
このとき画像処理装置10によって認識された部分を秘匿部分と呼ぶ。
【0022】
図4は、画像の加工について説明する図である。図4に示すように、画像処理装置10は、秘匿部分が隠れるように撮影された画像を加工する。
【0023】
例えば、画像処理装置10は、秘匿部分を、モザイク及び黒塗り等の所定のパターンに置き換える加工を行う。画像501は加工済みの画像である。これにより、秘匿部分を容易に隠すことができる。
【0024】
画像処理装置10は、秘匿部分に関するデータを暗号化する。例えば、画像処理装置10は、秘匿部分を含む領域の画像を暗号化する。これにより、暗号化されたデータを復号することで、秘匿部分の画像を変化させることなく復元することができる。
【0025】
図4の例では、画像処理装置10は、ナンバープレートの画像502を暗号化する。画像処理装置10は、画像をパスワード付きZIPファイルに変換(圧縮)することにより暗号化を行ってもよい。
【0026】
画像処理装置10は、複数の秘匿部分がある場合、それぞれの秘匿部分を個別に暗号化することができる。
【0027】
なお、画像処理装置10は、画像に限らず、秘匿部分を特定可能な文字列等のデータを暗号化するようにしてもよい。
【0028】
そして、画像処理装置10は、エンコードしたデータと暗号化したデータを合体させたデータ(以降、合体データ)を送信する(ステップS13)。
【0029】
これにより、セキュリティ性が高く、秘匿部分の復号を制御可能な合体データが得られる。
【0030】
画像処理装置10は、画像処理装置10によって加工された画像を所定のフォーマットのデータにエンコードする。画像処理装置10は、画像処理装置10によってエンコードされたデータと画像処理装置10によって暗号化されたデータとを合体させた1つのファイルを生成する。
【0031】
このように、画像処理装置10は、エンコードされたデータと暗号化されたデータを1つのファイルにまとめることで、合体後のデータを取り扱いやすくすることができる。
【0032】
なお、本実施形態における「エンコード」は、画像をH.264のような所定のフォーマットに変換することを意味する。また、「暗号化」は、パスワード等を用いてデータを秘匿化することを意味する。
【0033】
例えば、図5に示すように、画像処理装置10は、加工済みの画像501をH.264形式の映像データ501aに変換する。図5は、秘匿情報の暗号化及びデータの合体について説明する図である。
【0034】
また、画像処理装置10は、映像データ501と秘匿部分の画像502を暗号化した暗号化データ502aとを合体させる。
【0035】
図6は、合体によって得られるデータのデータ構造の例を示す図である。図6に示すように、映像データ501a及び暗号化データ502aは、mp4形式のコンテナに格納される。
【0036】
なお、暗号化データ502aは、図6のように映像データであってもよいし、静止画像データであってもよい。また、暗号化データ502aは、mp4形式の所定の拡張データ用の領域に格納されてもよいし、ビデオ部分のサイズをオーバーさせた領域に格納されてもよい。
【0037】
また、暗号化データ502aには、秘匿部分の画像が、映像データ501aによって出力される画像の各フレームのどの位置に該当するものであるかを示す座標の情報が含まれていてもよい。
【0038】
ここで、端末20は、機微情報を表示する権限を持っていないものとする。一方、端末30は、機微情報を表示する権限を持っているものとする。
【0039】
例えば、権限の有無は、暗号化部分を復号するためのキー、又は暗号化部分を復号するための機能を持つアプリケーションが備えられているか否かによって実現される。
【0040】
端末20は、権限を持っていないため、合体データに含まれる暗号化されたデータを復号せず、デコードした画像を表示する(ステップS14)。
【0041】
端末20は、図7に示すような加工された画像を出力する。図7は、加工された画像の例を示す図である。図7の例では、秘匿部分は隠れたままである。
【0042】
端末20が受け取る合体データには、暗号化データ503が含まれているが、端末20は権限を持っておらず、暗号化データ503を復号することができない。
【0043】
そのため、端末20は、映像データ501aをそのまま出力することになり、その結果、端末20は、図7のような加工された画像を表示する。
【0044】
一方、端末30は、権限を持っているため、合体データに含まれる暗号化されたデータを復号して得られた秘匿部分と、デコードした画像とを合成して表示する(ステップS15)。
【0045】
端末30は、例えばナンバープレート及び人物の顔を復元し、加工された画像に合成することができる。その結果、端末30は、図2のような撮影された画像と同等の画像を表示する。
【0046】
端末30は、図8に示すような選択画面から出力する画像の選択を受け付けてもよい。図8は、画像の選択画面の例を示す図である。端末30は、選択された画像に秘匿部分を合成して出力する。
【0047】
また、端末30は、図9に示すような設定画面から機能の設定を受け付けてもよい。図9は、設定画面の例を示す図である。
【0048】
設定画面において、まず、端末30は、秘匿解除をするか否かの設定を受け付ける。そして、端末30は、秘匿解除をする場合、秘匿部分の合成表示をするか否か、秘匿部分の単独表示をするか否か、及び解除対象の設定を受け付ける。
【0049】
例えば、秘匿部分としてナンバープレートと人物の顔の両方が存在する場合、端末30は、選択された方の秘匿部分のみを表示することができる。
【0050】
また、端末30は、図10に示すように、画像を地図及びG値等のパラメータとともに表示してもよい。図10は、画像の表示態様の例を示す図である。
【0051】
画像処理システム1の各装置の構成について説明する。画像処理装置10は、車両Vに搭載されたドライブレコーダであってもよい。
【0052】
また、画像処理装置10は、車両Vに搭載されたECU(Electronic Control Unit)、又は車両Vとの間でデータ通信が可能なサーバによって実現されてもよい。
【0053】
図11は、実施形態に係る画像処理装置の構成を示す機能ブロック図である。図11に示すように、画像処理装置10は、通信部11、カメラ12、マイク13、記憶部14及び制御部15を有する。
【0054】
通信部11は、他の装置とデータの通信を行うためのインタフェースである。画像処理装置10は、通信部11を介して端末20及び端末30との間で通信を行う。
【0055】
画像処理装置10の制御部15及び記憶部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0056】
記憶部14は、RAMやフラッシュメモリに対応する。RAMやフラッシュメモリは、モデル情報141及び画像データ142を記憶する。
【0057】
モデル情報141は、秘匿部を認識するためのモデルを構築するための情報である。画像データ142は、カメラ12によって撮影された画像をマイク13によって収集された音声を組み合わせたデータである。
【0058】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部15の判定部151、記録部152、認識部153、加工部154、エンコード部155、暗号化部156及び合体部157として機能する。
【0059】
なお、画像処理装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0060】
判定部151は、所定のイベントが発生したか否かを判定する。例えば、リアルタイムで計測中のG値が所定の条件を満たした場合、車両Vに衝撃が加わったと判定する。
【0061】
記録部152は、カメラ12によって撮影された画像及びマイク13によって収集された音声を記録する。記録部152は、画像及び音声を画像データ142として記憶部14に格納する。
【0062】
また、記録部152は、判定部151によってイベントが発生したと判定された場合に記録を開始してもよい。
【0063】
認識部153は、撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する。
【0064】
加工部154は、認識部153によって認識された部分が隠れるように撮影された画像を加工する。例えば、加工部154は、認識部153によって認識された部分を所定のパターンに置き換える。
【0065】
エンコード部155は、加工部154によって加工された画像を所定のフォーマットのデータにエンコードする。
【0066】
暗号化部156は、認識部153によって認識された部分に関するデータを暗号化する。例えば、暗号化部156は、認識部153によって認識された部分を含む領域の画像を暗号化する。
【0067】
合体部157は、加工部154によって加工された画像のデータと、暗号化部156によって暗号化されたデータとを合体させる。例えば、合体部157は、エンコード部155によってエンコードされたデータと暗号化部156によって暗号化されたデータとを合体させた1つのファイルを生成する。
【0068】
図12を用いて、機微情報を表示する権限を持たない端末(例えば、図1の端末20)の構成を説明する。図12は、端末の構成例を示す図である。
【0069】
図12に示すように、端末20は、通信部21、表示部22、操作部23、記憶部24及び制御部25を有する。
【0070】
通信部21は、他の装置とデータの通信を行うためのインタフェースである。端末20は、通信部21を介して画像処理装置10との間で通信を行う。
【0071】
表示部22は、ディスプレイ等の表示装置である。操作部23は、ボタン等の入力装置である。また、表示部22及び操作部23はタッチパネルディスプレイであってもよい。
【0072】
端末20の制御部25及び記憶部24は、例えばCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0073】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部25のデコード部251及び出力制御部252として機能する。
【0074】
なお、画像処理装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0075】
デコード部251は、画像処理装置10から受け取った合体データに含まれる画像データをデコードする。出力制御部252は、デコード部251によって得られた画像を表示部22に出力させる。
【0076】
このように、端末20は、合体データに含まれる暗号化データを復号しない。
【0077】
図13を用いて、機微情報を表示する権限を持つ端末(例えば、図1の端末30)の構成を説明する。図13は、端末の構成例を示す図である。
【0078】
図13に示すように、端末30は、通信部31、表示部32、操作部33、記憶部34及び制御部35を有する。
【0079】
通信部31は、他の装置とデータの通信を行うためのインタフェースである。端末30は、通信部31を介して画像処理装置10との間で通信を行う。
【0080】
表示部32は、ディスプレイ等の表示装置である。操作部33は、ボタン等の入力装置である。また、表示部32及び操作部33はタッチパネルディスプレイであってもよい。
【0081】
端末30の制御部35及び記憶部34は、例えばCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0082】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部35のデコード部351、復号部352、合成部353及び出力制御部354として機能する。
【0083】
なお、画像処理装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0084】
デコード部351は、画像処理装置10から受け取った合体データに含まれる画像データをデコードする。
【0085】
復号部352は、合体データに含まれる暗号化データを復号して秘匿部分の画像を得る。
【0086】
合成部353は、エンコードによって得られた画像と暗号化データの復号によって得られた秘匿部分を合成する。
【0087】
出力制御部354は、合成部353によって合成された画像を表示部32に出力させる。
【0088】
このように、端末30は、合体データに含まれる暗号化データを復号して機微情報を表示する。
【0089】
図14は、画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、画像処理装置10は、イベントが発生するまで待機する(ステップS101、No)。例えば、イベントは車両Vへの衝撃である。
【0090】
画像処理装置10は、イベントが発生すると(ステップS101、Yes)、画像及び音声を記録する(ステップS102)。
【0091】
次に、撮影した画像(以降、全体画像)から秘匿部分を認識する(ステップS103)。
【0092】
ここで、秘匿部分がない場合(ステップS104、No)、画像処理装置10はステップS108に進む。
【0093】
一方、秘匿部分がある場合(ステップS104、Yes)、画像処理装置10は、全体画像における秘匿部分の領域を加工する(ステップS105)。
【0094】
そして、画像処理装置10は、秘匿部分の領域の画像を暗号化する(ステップS106)。また、画像処理装置10は、加工済みの全体画像をエンコードする(ステップS107)。
【0095】
画像処理装置10は、暗号化したデータとエンコードしたデータを合体させる(ステップS108)。画像処理装置10は、合体したデータを各端末に送信する(ステップS109)。
【0096】
図15は、端末の処理の流れを示すフローチャートである。端末は、画像の再生指示があるまで待機する(ステップS201、No)。図15の処理は、端末20及び端末30に共通であるものとする。
【0097】
まず、端末は、エンコードされたデータをデコードする(ステップS202)。
【0098】
ここで、秘匿部分を表示しない場合(ステップS203、No)、端末はステップS206に進む。
【0099】
一方、秘匿部分を表示する場合(ステップS203、Yes)、端末は暗号化されたデータを復号する(ステップS204)。なお、端末は、機微情報を表示する権限を持つ場合に秘匿部分を表示する。
【0100】
そして、端末は全体画像と秘匿部分を合成する(ステップS205)。
【0101】
その後、端末は指定された画像を表示する(ステップS206)。秘匿部分を表示する場合、端末はステップS205で合成した画像を表示する。
【0102】
上述してきたように、実施形態に係る画像処理装置10は、認識部153と、加工部154と、暗号化部156と、合体部157と、を有する。認識部153は、撮影された画像から秘匿対象の部分を認識する。加工部154は、認識部153によって認識された部分が隠れるように撮影された画像を加工する。暗号化部156は、認識部153によって認識された部分に関するデータを暗号化する。合体部157は、加工部154によって加工された画像のデータと、暗号化部156によって暗号化されたデータとを合体させる。
【0103】
このように、画像処理装置10は、秘匿部分を画像とは別に暗号化する。この結果、本実施形態によれば、画像について、セキュリティ性が高くかつ復元可否を制御可能な機微情報の隠ぺいを行うことができる。
【0104】
例えば、暗号化された秘匿部分のデータを復号するキーを持たない端末からは、暗号化された隠蔽部分を見ることはできない。このように、キーの付与によって秘匿部分の復元可否を制御することができる。
【0105】
例えば、観光業における景色の映像、及び教習所における事故映像等に画像が利用される場合、秘匿部分は必要ないため、そのような画像の利用を行う事業者にはキーが付与される。
【0106】
一方、車両に関する保険の評価、警察の捜査、マーケティング解析等に画像が利用される場合、秘匿部分の情報が必要になるため、そのような画像の利用を行う事業者にはキーが付与される。
【0107】
合体部157は、エンコード部155によってエンコードされたデータと暗号化部156によって暗号化されたデータとを合体させた1つのファイルを生成する。
【0108】
端末は画像処理装置10から取得した合体されたデータに含まれる加工された画像のデータをデコードし、端末に画像処理装置10によって暗号化されたデータを復号するための情報が与えられている場合、暗号化されたデータを復号して得られた画像をデコードした画像と合成する。
【0109】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0110】
例えば、画像処理装置10は、図16に示すような短冊状(帯状)の領域の画像511を秘匿部分のデータとみなしてもよい。図16は、画像の加工について説明する図である。
【0111】
この場合、暗号化部156は、認識部153によって認識された部分を含む矩形の領域であって、横幅が撮影された画像の横幅と等しい領域の画像を暗号化する。
【0112】
このように、一般的な画像の走査方向に沿った短冊状の領域を処理対象とすることで、画像に関する処理の負荷(メモリ使用量等)を低減させることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像処理システム
10 画像処理装置
11、21、31 通信部
12 カメラ
13 マイク
14、24、34 記憶部
15、25、35 制御部
20、30 端末
22、32 表示部
23、33 操作部
141 モデル情報
142 画像データ
151 判定部
152 記録部
153 認識部
154 加工部
155 エンコード部
156 暗号化部
157 合体部
251、351 デコード部
252、354 出力制御部
352 復号部
353 合成部
500、501、502 画像
N ネットワーク
V 車両
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