(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175949
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】水道凍結防止用電力制御装置、及び水道凍結防止用電力制御装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
H05B3/00 310D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082745
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】392013361
【氏名又は名称】テムコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 淳
【テーマコード(参考)】
3K058
【Fターム(参考)】
3K058AA11
3K058AA81
3K058CA25
3K058CA71
3K058CB02
(57)【要約】
【課題】水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給をより適切に行う。
【解決手段】水道凍結防止装置10(水道凍結防止用電力制御装置)であって、予め設定された第1の温度よりも低い温度になった場合にオンの状態になる温度スイッチが実装される基板を収容するケース104と、温度スイッチがオンの状態になった場合に電流が流れる発熱用抵抗と、ケース104内に充填されている樹脂で構成される樹脂部106とを備え、温度スイッチは、第1の温度よりも高い第2の温度よりも高い温度になった場合にオフの状態になり、発熱用抵抗は、外気温が第2の温度よりも低い場合でも温度スイッチがオフになり得るようにケース104内で発熱するための抵抗であり、樹脂部106の樹脂は、発熱用抵抗と温度スイッチとの間をつながないように、基板を覆う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給を制御する水道凍結防止用電力制御装置であって、
前記ヒータへ電力を供給する電力供給部と、
温度に応じてオンの状態とオフの状態とが切り替わり、予め設定された第1の温度よりも低い温度になった場合にオンの状態になり、前記電力供給部に前記ヒータへ電力を供給させる温度スイッチと、
前記温度スイッチが実装される基板と、
前記基板を収容するケースと、
前記ケース内に配設されて、前記温度スイッチがオンの状態になった場合に電流が流れることで発熱する発熱用抵抗と、
前記基板を覆うように前記ケース内に充填されている樹脂で構成される樹脂部と
を備え、
オンの状態になっている前記温度スイッチは、前記第1の温度よりも高い第2の温度よりも高い温度になった場合にオフの状態になり、
前記発熱用抵抗は、前記ケースの外の温度である外気温が前記第2の温度よりも低い場合でも前記温度スイッチがオフになり得るように前記ケース内で発熱するための抵抗であり、
前記樹脂部の前記樹脂は、前記発熱用抵抗と前記温度スイッチとの間をつながないように、前記基板を覆うことを特徴とする水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項2】
前記ケース内に前記基板が設置された状態で前記基板から前記温度スイッチへ向かう側を上側と定義した場合、
前記発熱用抵抗は、前記基板との間に前記温度スイッチを挟むように、前記温度スイッチの上側に配設され、
前記ケース内において、前記樹脂は、前記基板よりも上側において前記発熱用抵抗の位置にまで達しない高さまで充填されていることを特徴とする請求項1に記載の水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項3】
前記温度スイッチにおいてオフの状態からオンの状態に変化する周期が120秒以内になり、かつ、オンの状態とオフの状態との切り替わりの繰り返しが10分間以上にわたって継続する現象を短周期スイッチ現象と定義した場合、
前記発熱用抵抗と前記温度スイッチとの間をつながないように前記樹脂で前記基板を覆うことで、前記外気温が前記第1の温度よりも低い環境で前記短周期スイッチ現象が発生することを防止していることを特徴とする請求項1又は2に記載の水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項4】
前記ケースの少なくとも一部の面には、前記ケースの外面において外気に触れる表面積を増加させる凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項5】
前記基板において前記温度スイッチが実装される位置には、前記基板を貫通する貫通孔であるスイッチ位置貫通孔が形成されており、
前記温度スイッチは、前記基板の前記スイッチ位置貫通孔を介して、前記樹脂部の前記樹脂と接触していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項6】
前記基板には、前記スイッチ位置貫通孔と異なる位置に、前記ケース内への前記樹脂の充填時に前記樹脂の通り道になる貫通孔である樹脂通過孔が更に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項7】
前記ケースには、
前記ケース内への前記樹脂の充填時に前記樹脂を通すための孔である樹脂充填孔と、
前記樹脂の充填時に前記ケースの外へ空気を逃がすための孔である空気孔と
が形成されており、
前記基板において前記温度スイッチが実装されている面を前記基板の表面と定義し、前記表面と反対側の面を前記基板の裏面と定義し、前記表面と前記裏面とをつなぐ面を前記基板の側面と定義した場合、
前記基板は、前記裏面と前記ケースとの間に隙間を空け、かつ、前記樹脂の充填時に前記基板の前記裏面側から前記表面側に流れる前記空気を通過させる流路となる隙間が前記側面における所定の部分と前記ケースとの間にできるように、前記ケース内に設置されており、
前記ケースの前記樹脂充填孔と、前記基板の前記樹脂通過孔とは、前記樹脂の充填時に前記樹脂充填孔に注入される前記樹脂が前記基板の前記樹脂通過孔に向かうように、位置を揃えて形成されていることを特徴とする請求項6に記載の水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項8】
水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給を制御する水道凍結防止用電力制御装置の製造方法であって、
前記ヒータへ電力を供給する電力供給部に前記ヒータへの電力の供給を行わせる温度スイッチ、及び、前記温度スイッチがオンの状態になった場合に電流が流れることで発熱する発熱用抵抗を基板に実装する基板実装工程と、
前記温度スイッチ及び前記発熱用抵抗が実装されている前記基板をケースに収容する収容工程と、
前記基板を覆うように前記ケース内に樹脂を充填する樹脂充填工程と
を備え、
前記温度スイッチは、温度に応じてオンの状態とオフの状態とが切り替わるスイッチであり、予め設定された第1の温度よりも低い温度になった場合にオンの状態になり、
オンの状態になっている前記温度スイッチは、前記第1の温度よりも高い第2の温度よりも高い温度になった場合にオフの状態になり、
前記発熱用抵抗は、前記ケースの外の温度である外気温が前記第2の温度よりも低い場合でも前記温度スイッチがオフになり得るように前記ケース内で発熱するための抵抗であり、
前記樹脂充填工程において、前記樹脂が前記発熱用抵抗と前記温度スイッチとの間をつながずに前記樹脂が前記基板を覆うように、前記ケース内に前記樹脂を充填することを特徴とする水道凍結防止用電力制御装置の製造方法。
【請求項9】
水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給を制御する水道凍結防止用電力制御装置であって、
前記ヒータへ電力を供給する電力供給部と、
温度に応じてオンの状態とオフの状態とが切り替わり、予め設定された第1の温度よりも低い温度になった場合にオンの状態になり、前記電力供給部に前記ヒータへ電力を供給させる温度スイッチと、
前記温度スイッチが実装される基板と、
前記基板を収容するケースと、
前記ケース内に配設されて、前記温度スイッチがオンの状態になった場合に電流が流れることで発熱する発熱用抵抗と、
前記基板を覆うように前記ケース内に充填されている樹脂で構成される樹脂部と
を備え、
オンの状態になっている前記温度スイッチは、前記第1の温度よりも高い第2の温度よりも高い温度になった場合にオフの状態になり、
前記発熱用抵抗は、前記ケースの外の温度である外気温が前記第2の温度よりも低い場合でも前記温度スイッチがオフになり得るように、前記ケース内で発熱し、
前記温度スイッチにおいてオフの状態からオンの状態に変化する周期が150秒以内になり、かつ、オンの状態とオフの状態との切り替わりの繰り返しが10分間以上にわたって継続する現象を短周期スイッチ現象と定義した場合、前記外気温が前記第1の温度よりも低い環境で前記短周期スイッチ現象が発生しないことを特徴とする水道凍結防止用電力制御装置。
【請求項10】
水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給を制御する水道凍結防止用電力制御装置であって、
前記ヒータへ電力を供給する電力供給部と、
温度に応じてオンの状態とオフの状態とが切り替わり、予め設定された第1の温度よりも低い温度になった場合にオンの状態になり、前記電力供給部に前記ヒータへ電力を供給させる温度スイッチと、
前記温度スイッチが実装される基板と、
前記基板を収容するケースと、
前記ケース内に配設されて、前記温度スイッチがオンの状態になった場合に電流が流れることで発熱する発熱用抵抗と、
前記基板を覆うように前記ケース内に充填されている樹脂で構成される樹脂部と
を備え、
前記基板には、前記ケース内への前記樹脂の充填時に前記樹脂の通り道になる貫通孔である樹脂通過孔が形成されており、
前記ケースには、
前記ケース内への前記樹脂の充填時に前記樹脂を通すための孔である樹脂充填孔と、
前記樹脂の充填時に前記ケースの外へ空気を逃がすための孔である空気孔と
が形成されており、
前記基板において前記温度スイッチが実装されている面を前記基板の表面と定義し、前記表面と反対側の面を前記基板の裏面と定義し、前記表面と前記裏面とをつなぐ面を前記基板の側面と定義した場合、
前記基板は、前記裏面と前記ケースとの間に隙間を空け、かつ、前記樹脂の充填時に前記基板の前記裏面側から前記表面側に流れる前記空気を通過させる流路となる隙間が前記側面における所定の部分と前記ケースとの間にできるように、前記ケース内に設置されており、
前記ケースの前記樹脂充填孔と、前記基板の前記樹脂通過孔とは、前記樹脂の充填時に前記樹脂充填孔に注入される前記樹脂が前記基板の前記樹脂通過孔に向かうように、位置を揃えて形成されていることを特徴とする水道凍結防止用電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道凍結防止用電力制御装置、及び水道凍結防止用電力制御装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道の凍結(水道管の凍結)を防止するための水道凍結防止装置が広く用いられている。水道凍結防止装置では、例えば、温度に応じてオン・オフが切り替わる温度スイッチ(感温スイッチ)を用いて、水道凍結防止用のヒータへの電力の供給を制御する。また、水道凍結防止装置の構成として、温度スイッチの近傍に配置した発熱用抵抗(模擬発熱抵抗)が発生する熱を利用する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような発熱用抵抗を用いる場合、例えば水道凍結防止用のヒータへの電力の供給を連続的に行わなくても水道の凍結が生じない環境条件において、発熱用抵抗が発生する熱を利用して、温度スイッチのオン期間を間欠的に小刻みにすることができる。また、これにより、例えば、水道凍結防止用のヒータでの消費電力を大幅に低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水道凍結防止装置等の水道凍結防止用電力制御装置において、温度スイッチの近傍に発熱用抵抗を配置して、温度スイッチのオン期間を間欠的に小刻みにしようとする場合、水道の凍結を適切に防止でき、かつ、水道凍結防止用のヒータでの消費電力を適切に低減できるように、構成部品の選定を行う必要がある。しかし、本願の発明者は、このようにして構成部品の選定を適切に行った場合にも、多数の製品を製造すると、同じ構成でありながら、一部の製品において、温度スイッチの切り替わりの頻度が過度に多くなる場合があることを見出した。この場合、温度スイッチのオン・オフの切り替わりが過度に頻繁に生じることで、例えば、意図した温度制御ができなくなることや、製品寿命が短くなること等が考えられる。そのため、水道凍結防止用電力制御装置においては、このような現象を適切に防止して、水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給をより適切に行うことが望まれる。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる水道凍結防止用電力制御装置、及び水道凍結防止用電力制御装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明者は、水道凍結防止用電力制御装置に関し、一部の製品で温度スイッチの切り替わりの頻度が過度に多くなる原因を究明するために、鋭意研究を行った。そして、防水等の目的で製品のケース内に充填した樹脂の充填の仕方がこの現象に大きく関連していることを見出した。より具体的に、本願の発明者は、防水等の目的で、水道凍結防止用電力制御装置のケース内に、公知の方法(例えば、ポッティングの方法等)で樹脂の充填を行うことを考えた。そして、この場合において、温度スイッチと発熱用抵抗との間の領域への樹脂の入り込み方について、製品の個体毎のばらつきが大きくなる場合があることに着目した。また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような樹脂の入り込み方の違いにより、発熱用抵抗から温度スイッチへの熱の伝わり方について、個体毎の差が大きくなることを見出した。また、その結果として、このような樹脂の入り込み方の違いにより、一部の製品で温度スイッチの切り替わりの頻度が過度に多くなっていることを見出した。そして、ケース内に充填される樹脂で構成される樹脂部について、発熱用抵抗と温度スイッチとの間をつながないように構成することで、発熱用抵抗から温度スイッチへの熱の伝わり方が製品によってばらつくことを防ぎ、このような問題を適切に防止し得ることを見出した。
【0006】
また、本願の発明者は、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給を制御する水道凍結防止用電力制御装置であって、前記ヒータへ電力を供給する電力供給部と、温度に応じてオンの状態とオフの状態とが切り替わり、予め設定された第1の温度よりも低い温度になった場合にオンの状態になり、前記電力供給部に前記ヒータへ電力を供給させる温度スイッチと、前記温度スイッチが実装される基板と、前記基板を収容するケースと、前記ケース内に配設されて、前記温度スイッチがオンの状態になった場合に電流が流れることで発熱する発熱用抵抗と、前記基板を覆うように前記ケース内に充填されている樹脂で構成される樹脂部とを備え、オンの状態になっている前記温度スイッチは、前記第1の温度よりも高い第2の温度よりも高い温度になった場合にオフの状態になり、前記発熱用抵抗は、前記ケースの外の温度である外気温が前記第2の温度よりも低い場合でも前記温度スイッチがオフになり得るように前記ケース内で発熱するための抵抗であり、前記樹脂部の前記樹脂は、前記発熱用抵抗と前記温度スイッチとの間をつながないように、前記基板を覆う。
【0007】
このように構成した場合、発熱用抵抗から温度スイッチへの熱の伝わり方について、例えば、設計上で意図した伝わり方の範囲になるように適切に管理することができる。また、これにより、例えば、温度スイッチの切り替わりの頻度が過度に多くなること等を適切に防止することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給をより適切に行うことができる。
【0008】
また、この構成において、ケース内に基板が設置された状態で基板から温度スイッチへ向かう側を上側と定義した場合、発熱用抵抗について、例えば、基板との間に温度スイッチを挟むように、温度スイッチの上側に配設することが考えられる。また、この場合、ケース内において、樹脂は、例えば、基板よりも上側において発熱用抵抗の位置にまで達しない高さまで充填される。このように構成すれば、例えば、発熱用抵抗と温度スイッチとの間をつながない状態で、樹脂によって基板を適切に覆うことができる。
【0009】
この構成において、温度スイッチの切り替わりが頻繁に生じる現象については、例えば、温度スイッチにおいてオフの状態からオンの状態に変化する周期が短くなる短周期スイッチ現象等と考えることができる。また、短周期スイッチ現象については、例えば、温度スイッチにおいてオフの状態からオンの状態に変化する周期が120秒以内になり、かつ、オンの状態とオフの状態との切り替わりの繰り返しが10分間以上にわたって継続する現象等と定義することができる。そして、このような短周期スイッチ現象については、例えば上記の第1の温度よりも外気温が低い環境で生じやすくなると考えられる。そのため、この構成においては、例えば、発熱用抵抗と温度スイッチとの間をつながないように樹脂で基板を覆うことで、外気温が第1の温度よりも低い環境で短周期スイッチ現象が発生することを防止することが考えられる。このように構成すれば、例えば、温度スイッチの切り替わりの頻度が過度に多くなることをより適切に防止することができる。短周期スイッチ現象については、例えば、水道凍結防止用電力制御装置に求められる性能等に応じて、上記と異なる周期や継続時間を用いて定義すること等も考えられる。
【0010】
また、短周期スイッチ現象が発生する場合、例えば温度スイッチが短時間で切れやすくなることで、水道管内の水の温度(以下、水道管の温度という)を適切に高めることが難しくなること等も考えられる。これに対し、上記のように構成すれば、例えば、短周期スイッチ現象を防止することで、水道管の温度を適切に高め、水道の凍結をより適切に防止することができる。
【0011】
また、この構成において、ケース内に充填する樹脂としては、ポッティング用の公知の樹脂等を好適に用いることができる。また、このような樹脂としては、例えば、空気よりも熱伝導率が高い樹脂を用いることが考えられる。そして、この場合、この構成について例えば、ケース内に樹脂を充填することで、ケースの周囲の温度を温度スイッチに伝わりやすくしていると考えることができる。しかし、この場合において、上記のようにしてケース内に樹脂を充填すると、樹脂の量が減ること等の影響により、ケースの外と温度スイッチとの間での熱伝導性が低下すること等も考えられる。そのため、この構成では、例えばケースの表面積を増やすことで、ケースの外と温度スイッチとの間での熱伝導性を高めることも考えられる。より具体的に、この場合、例えば、ケースの外面において外気に触れる表面積を増加させる凹凸をケースの少なくとも一部の面に形成すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、ケースの外と温度スイッチとの間での熱伝導性を適切に高めることができる。
【0012】
また、この構成のように、ケース内に樹脂を充填する場合、ケース内の樹脂を介して温度スイッチの放熱をすること等も考えられる。そして、この場合、例えば、基板に貫通孔を形成することで、温度スイッチの下面と樹脂とを接触させること等が考えられる。より具体的に、この場合、例えば、スイッチが実装される位置に基板を貫通する貫通孔であるスイッチ位置貫通孔が形成されている基板を用いることが考えられる。また、この場合、温度スイッチは、例えば、基板のスイッチ位置貫通孔を介して、樹脂部の樹脂と接触する。このように構成した場合、温度スイッチが発生する熱について、例えば、樹脂部の樹脂を介して、ケースの外部へ放出されやすくなる。また、より具体的に、この場合、スイッチ位置貫通孔を介して温度スイッチの下面と樹脂とを接触させることで、例えば、下面の側から効率的に温度スイッチの放熱を行うことができる。また、基板にスイッチ位置貫通孔を形成することで、例えば、基板と温度スイッチとの間に熱がこもること等を防止すること等も可能になる。そのため、このように構成すれば、例えば、温度スイッチの放熱をより適切かつ効率的に行うことができる。
【0013】
また、この構成において、基板に対して、スイッチ位置貫通孔とは別の貫通孔を更に形成すること等も考えられる。この場合、例えば、ケース内への樹脂の充填時に樹脂の通り道になる貫通孔を基板に更に形成すること等が考えられる。より具体的に、この場合、基板には、例えば、スイッチ位置貫通孔と異なる位置に、ケース内への樹脂の充填時に樹脂の通り道になる貫通孔である樹脂通過孔が更に形成される。このように構成すれば、例えば、ケース内への樹脂の充填をより容易かつ適切に行うことができる。
【0014】
また、この場合、ケースとしては、例えば、ケース内への樹脂の充填時に樹脂を通すための孔である樹脂充填孔と、樹脂の充填時にケースの外へ空気を逃がすための孔である空気孔とが形成されている構成を用いることが考えられる。また、基板は、例えば、裏面とケースとの間に隙間を空け、かつ、樹脂の充填時に基板の裏面側から表面側に流れる空気を通過させる流路となる隙間が基板の側面における所定の部分とケースとの間にできるように、ケース内に設置される。この場合、基板の表面については、例えば、基板において温度スイッチが実装されている面等と考えることができる。基板の裏面については、例えば、表面と反対側の面等と考えることができる。基板の側面については、例えば、表面と裏面とをつなぐ面等と考えることができる。また、この場合、ケースの樹脂充填孔と、基板の樹脂通過孔とについて、例えば、樹脂の充填時に樹脂充填孔に注入される樹脂が基板の樹脂通過孔に向かうように、位置を揃えて形成することが好ましい。このように構成すれば、例えば、ケース内への樹脂の充填をより適切に行うことができる。
【0015】
また、本発明の構成について、例えば、上記の水道凍結防止用電力制御装置の製造方法に着目して考えることもできる。この場合、水道凍結防止用電力制御装置の製造方法は、例えば、温度スイッチ及び発熱用抵抗を基板に実装する基板実装工程、基板をケースに収容する収容工程、及びケース内に樹脂を充填する充填工程等を備える。また、本発明の構成について、例えば、短周期スイッチ現象の発生を防止する観点や、ケースの樹脂注入孔と基板の樹脂通過孔との関係に着目した観点等で考えることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、水道の凍結防止用のヒータへの電力の供給をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水道凍結防止装置10について説明をする図である。
図1(a)は、正面側から見た水道凍結防止装置10の全体の構成の一例を示す写真である。
図1(b)は、裏面側から見た水道凍結防止装置10の全体の構成の一例を示す写真である。
図1(c)は、水道凍結防止装置10における本体部12の構成の一例を示す写真である。
【
図2】回路部102の構成について説明をする図である。
図2(a)は、回路部102の構成の一例を電源プラグ14及び雌コネクタ16と共に示す回路図である。
図2(b)、(c)は、実際に作成した回路部102の試作品を示す写真である。
【
図3】ケース104への樹脂の充填の仕方等について説明をする図である。
図3(a)は、回路部102を基板200の側面側から示す。
図3(b)は、ケース104への樹脂の充填の仕方の一例を示す。
図3(c)は、ケース104への樹脂の充填の仕方を本例と異ならせた構成を示す。
【
図4】サンプルA及びサンプルBを用いて行った実験の結果を示すグラフである。
【
図5】水道凍結防止装置10の各部の様々な特徴について説明をする図である。
図5(a)は、本例の本体部12におけるケース104の形状、及びケース104内への基板200の設置の仕方の一例を示す。
図5(b)は、本体部12の断面を示す。
図5(c)は、サンプルCの構成を示す。
【
図6】サンプルCを用いて行った実験の結果を示すグラフである。
図6(a)は、18Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
図6(b)は、418Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
【
図7】サンプルA用いて行った実験の結果を示すグラフである。
図7(a)は、18Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
図7(b)は、418Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水道凍結防止装置10について説明をする図である。
図1(a)は、所定の正面側から見た水道凍結防止装置10の全体の構成の一例を示す写真である。
図1(b)は、正面側とは反対の裏面側から見た水道凍結防止装置10の全体の構成の一例を示す写真である。
図1(c)は、水道凍結防止装置10における本体部12の構成の一例を示す写真であり、本体部12の筐体を構成するケースとして透光性の部品を用いたサンプル品の写真により、本体部12の構成の一例を示す。
【0019】
本例において、水道凍結防止装置10は、水道の凍結防止用のヒータ(以下、凍結防止用ヒータという)への電力の供給を制御する水道凍結防止用電力制御装置の一例であり、本体部12、電源プラグ14、及び雌コネクタ16を備える。本体部12は、凍結防止用ヒータへの電力の供給を制御する機能を実現する部分であり、電源プラグ14を介して電力を受け取り、雌コネクタ16を介して、凍結防止用ヒータへ電力を供給する。また、本例において、本体部12は、回路部102、ケース104、及び樹脂部106を有する。
【0020】
回路部102は、凍結防止用ヒータへの電力の供給を制御する電子回路を構成する部分である。本例において、回路部102は、基板、温度スイッチ、及び発熱用の抵抗等を有する。回路部102の具体的な構成については、後に更に詳しく説明をする。ケース104は、回路部102を収容する外装部分であり、回路部102において温度スイッチ等が実装される基板を収容する。ケース104としては、例えばプラスチックのケース等を好適に用いることができる。本例において用いるケース104の形状についても、後に更に詳しく説明をする。
【0021】
樹脂部106は、ケース104内に充填される樹脂で構成される部分である。この場合、ケース104内に樹脂が充填されていることについては、例えば、ケース104における少なくとも一部が樹脂で満たされていること等と考えることができる。また、本例において、樹脂部106は、回路部102における基板等を覆うことで、回路部102に対する防水用の構成として機能する。樹脂部106を構成する樹脂としては、ポッティング用の公知の樹脂等を好適に用いることができる。この場合、ケース104への樹脂の充填は、公知のポッティングの方法(以下、ポッティング法という)で行うことができる。より具体的に、本例において、樹脂部106を構成する樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を用いる。また、樹脂部106を構成する樹脂は、ポッティング法により、回路部102における基板を覆うようにケース104内に充填される。このように構成すれば、例えば、回路部102に対する防水を適切に行うことができる。また、ケース104への樹脂の充填は、ポッティング法以外の方法で行ってもよい。また、本例において、樹脂部106を構成する樹脂としては、空気よりも熱伝導率が高い樹脂を用いる。このように構成すれば、例えば、ケース104の周囲の温度を回路部102における温度スイッチに伝わりやすくすることができる。ケース104への樹脂の充填の仕方についても、後に更に詳しく説明をする。
【0022】
電源プラグ14は、本体部12へ電力を供給するための構成であり、電源コンセントに接続されることで、電源コンセントから供給される電力を本体部12へ供給する。また、本例において、電源プラグ14は、100V用のプラグであり、100Vの交流電圧で電源コンセントから供給される電力を本体部12へ供給する。雌コネクタ16は、凍結防止用ヒータへ電力を供給する電力供給部の一例であり、凍結防止用ヒータの電源プラグに接続されることで、本体部12における回路部102の制御に従って、凍結防止用ヒータへ電力を供給する。本例によれば、例えば、凍結防止用ヒータへの電力の供給を適切に行うことができる。
【0023】
尚、上記及び以下において説明をする点を除き、本例における水道凍結防止装置10は、公知の水道凍結防止装置と同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、回路部102における温度スイッチや発熱用の抵抗等を用いて凍結防止用ヒータへの電力の供給を制御する基本的な原理等については、特開2015-14172号公報(特許文献1)に開示されている水道凍結防止装置の場合と同一又は同様である。また、水道凍結防止装置10の基本的な動作の原理については、例えば、インターネットの以下のURLで公開されている「FTC 比例制御システム」の資料等から理解できる。
URL:https://temco-eco.jp/shoene/ftc.pdf
【0024】
続いて、本体部12における回路部102の構成について、更に詳しく説明をする。
図2は、回路部102の構成について説明をする図である。
図2(a)は、回路部102の構成の一例を電源プラグ14及び雌コネクタ16と共に示す回路図である。
図2(b)、(c)は、実際に作成した回路部102の試作品を示す写真であり、回路部102における基板200の表側及び裏側のそれぞれから見た回路部102の構成の例を示す。図中に示すように、本例において、回路部102は、基板200、温度スイッチ202、発熱用抵抗204、電源接続表示部212、及び電力供給表示部214を有する。
【0025】
基板200は、温度スイッチ202及び発熱用抵抗204等の素子が実装されるプリント基板である。また、本例において、基板200には、複数の貫通孔302、304が形成されている。これらの貫通孔のうち、貫通孔302は、スイッチ位置貫通孔の一例であり、温度スイッチ202が実装される位置において基板200を貫通する。貫通孔304は、スイッチ位置貫通孔と異なる位置に形成される樹脂通過孔の一例である。基板200に貫通孔302、304を形成する理由については、後に更に詳しく説明をする。
【0026】
温度スイッチ202は、温度に応じてオンの状態とオフの状態とが切り替わるスイッチであり、予め設定された第1の温度の一例である所定の通電開始温度(ON温度)よりも低い温度になった場合にオンの状態になる。本例において、温度スイッチ202は、電源プラグ14における一方の電極と、雌コネクタ16における一方の電極との間に配設される。また、電源プラグ14の他方の電極と、雌コネクタ16の他方の電極とは、温度スイッチ202を介さずに、電気的に接続されている。これにより、温度スイッチ202は、オンの状態で、雌コネクタ16に、凍結防止用ヒータへ電力を供給させる。また、オンの状態になっている温度スイッチ202は、通電開始温度よりも高い所定の通電停止温度(OFF温度)になった場合にオフの状態になり、雌コネクタ16から凍結防止用ヒータへの電力の供給を停止させる。通電停止温度は、第2の温度の一例である。温度スイッチ202としては、バイメタルサーモスイッチ(サーモスタット)等の公知の温度スイッチを好適に用いることができる。また、本例において、通電開始温度は、4℃程度である。通電停止温度は、14℃程度である。この場合、バイメタルサーモスイッチ等において生じる精度のばらつき等を考慮すると、実際の通電開始温度については、例えば、4±3℃程度(1~7℃程度)になると考えることができる。また、実際の通電停止温度については、例えば、14±3℃程度(11~17℃程度)になると考えることができる。
【0027】
尚、上記のように、本例の温度スイッチ202において、通電開始温度と通電停止温度との差は、10℃程度である。また、本例における温度スイッチ202の用い方や、温度スイッチ202として用いるバイメタルサーモスイッチ等の特性を考慮して、より一般化して考えた場合、通電開始温度と通電停止温度との差について、8℃以上(例えば、8~12℃程度)になると考えることができる。そして、この場合、例えば温度スイッチ202のみを用いて凍結防止用ヒータへの電力の供給を制御しようとすると、例えば冬期及びその前後の間は常にオンの状態になるような温度スイッチ202の使い方で電力の制御を行うことになると考えられる。また、その結果、凍結防止用ヒータでの電力の消費量が増大し、高額な電気料金がかかることになる。これに対し、本例においては、発熱用抵抗204と共に温度スイッチ202を用い、FTC(フローティング・サーマル・コントロール)制御を行うことで、凍結防止用ヒータでの消費電力を低減(節電)しつつ、水道管内の水が凍結する水道の凍結を防止する。
【0028】
発熱用抵抗204は、ケース104(
図1参照)内に温度スイッチ202と共に配設される発熱用の抵抗器(ダミー抵抗)であり、温度スイッチ202がオンの状態になった場合に電流が流れることで発熱する。発熱用抵抗204としては、公知の酸化金属抵抗等を好適に用いることができる。また、
図2(a)の回路図に示すように、本例において、発熱用抵抗204の一方側の端子は、温度スイッチ202と雌コネクタ16の一方の電極との間に電気的に接続される。また、他方側の端子は、電源プラグ14の他方側の電極と雌コネクタ16の他方側の電極とを接続する配線に電気的に接続される。この場合、発熱用抵抗204について、例えば、温度スイッチ202よりも雌コネクタ16に近い側において凍結防止用ヒータと並列に接続されると考えることもできる。また、本例において、発熱用抵抗204は、例えば
図2(b)に示すように、温度スイッチ202の上側において、温度スイッチ202の近傍に配設される。この場合、上側については、例えば、温度スイッチ202における基板200と反対の側等と考えることができる。また、温度スイッチ202の上側については、例えば、ケース104内に基板200が設置された状態で基板200から温度スイッチ202へ向かう側等と考えることもできる。
【0029】
このように構成した場合、例えば、温度スイッチ202がオンの状態になると、発熱用抵抗204が発熱することで、温度スイッチ202が感知する温度が上昇することが考えられる。また、その結果、例えば環境の条件によっては、基板200が収容されるケース104の外の温度である外気温が温度スイッチ202の通電停止温度よりも低い状態であっても、温度スイッチ202が感知する温度が通電停止温度を超える場合がある。より具体的に、外気温が通電停止温度よりも低い状態であっても、例えば風速が弱い等の条件によって水道管の熱が奪われにくい条件になっており、水道の凍結が生じにくい場合には、ケース104からも熱が奪われにくくなるため、発熱用抵抗204が発熱することでケース104内の温度が上昇し、温度スイッチ202が検知する温度について、外気温及び通電停止温度よりも高い温度になることが考えられる。また、その結果、外気温が通電停止温度よりも低い状態で、温度スイッチ202がオフになることが考えられる。そのため、本例によれば、例えば、水道の凍結が生じにくい条件に応じて温度スイッチ202をオフの状態にすることで、凍結防止用ヒータで消費する電力を低減する省電力を適切に実現できる。また、この場合、発熱用抵抗204について、例えば、外気温が通電停止温度よりも低い場合でも温度スイッチ202がオフになり得るようにケース104内で発熱するための抵抗等と考えることができる。これに対し、例えば風速が強い等の条件によって水道管の熱が奪われやすい条件になっており、水道の凍結が生じやすい場合には、ケース104の中で発熱用抵抗204が発生する熱も奪われやすくなる。そのため、発熱用抵抗204が発熱しても、温度スイッチ202は、オンの状態を保ち、凍結防止用ヒータへの電力の供給が継続されることになる。また、これにより、例えば、水道の凍結を適切に防止することができる。そのため、本例によれば、例えば、凍結防止用ヒータで消費する電力を適切に低減しつつ、水道の凍結を適切に防止することができる。
【0030】
尚、発熱用抵抗204の抵抗値(電気抵抗値)に関し、例えば発熱用抵抗204の抵抗値を大きくした場合、温度スイッチ202がオンの状態での発熱用抵抗204の発熱量が減ることで、温度スイッチ202が感知する温度への影響が小さくなる。この場合、温度スイッチ202がオンの状態を維持しやすくなるため、水道の凍結防止の観点では、好ましいといえる。しかし、この場合、省電力の効果については、小さくなる。反対に、温度スイッチ202の抵抗値を小さくした場合、オンの状態になった温度スイッチ202がオフの状態に変化しやすくなるため、省電力の効果は、大きくなる。しかし、この場合、水道管の温度が十分に高まる前に温度スイッチ202がオフの状態に変化することが生じやすくなることで、水道が凍結しやすくなる。そのため、発熱用抵抗204の抵抗値については、水道の凍結を適切に防止でき、かつ、上記のように省電力を実現できるように設定することが考えられる。より具体的に、本例において、発熱用抵抗204としては、例えば10kオーム(例えば9~13kオーム程度、好ましくは、9.1~12kオーム程度)程度の酸化金属抵抗を用いることが考えられる。
【0031】
電源接続表示部212は、電源プラグ14から電力が供給されていることを発光ダイオード(LED)の点灯によって表示するための素子群である。本例において、電源接続表示部212は、例えば
図2(a)に示すように、この順番で直接に接続される抵抗、発光ダイオード、及びダイオードで構成され、温度スイッチ202よりも電源プラグ14に近い側において電源プラグ14の一方の電極と他方の電極とをつなぐ。また、これにより、電源接続表示部212は、温度スイッチ202の状態に関わらず、電源プラグ14から回路部102へ電力が供給されている場合に、発光ダイオードを点灯させる。電力供給表示部214は、温度スイッチ202がオンの状態になって凍結防止用ヒータに電力を供給する状態になっていることを発光ダイオードの点灯によって表示するための素子群である。本例において、電力供給表示部214は、例えば
図2(a)に示すように、この順番で直接に接続される抵抗、発光ダイオード、及びダイオードで構成され、温度スイッチ202よりも雌コネクタ16に近い側において雌コネクタ16の一方の電極と他方の電極とをつなぐ。また、これにより、電力供給表示部214は、温度スイッチ202がオンの状態になっている場合に、発光ダイオードを点灯させる。本例によれば、例えば、凍結防止用ヒータへ適切に電力を供給して、水道の凍結を適切に防止することができる。また、温度スイッチ202及び発熱用抵抗204等を有する回路部102を用いることで、例えば、凍結防止用ヒータの消費電力を適切に低減することができる。
【0032】
ここで、上記においても説明をしたように、本例の水道凍結防止装置10において、ケース104の中には、樹脂が充填される。そして、この場合、上記のようにして適切に発熱用抵抗204の抵抗値等を設定したとしても、樹脂の充填の仕方によっては、水道凍結防止装置10の機能を適切に発揮できなくなる場合もある。そこで、以下、ケース104への樹脂の充填の仕方等について、更に詳しく説明をする。
【0033】
図3は、ケース104への樹脂の充填の仕方等について説明をする図である。
図3(a)は、回路部102を基板200の側面側から示す図であり、
図2(b)、(c)に示した回路部102の試作品の写真を示す。上記においても説明をしたように、本例において、温度スイッチ202及び発熱用抵抗204等が実装された基板200は、水道凍結防止装置10の本体部12におけるケース104(
図1参照)内に収容される。そして、ケース104の中には、樹脂が充填されて、樹脂部106(
図1参照)が形成される。また、本例において、この樹脂の充填については、図中に破線でSW上面位置として示す温度スイッチ202の上面の位置に合わせて行う。
【0034】
より具体的に、
図3(a)に示すように、本例において、発熱用抵抗204は、基板200との間に温度スイッチ202を挟むように、温度スイッチ202の上側に配設される。また、本例において、温度スイッチ202の上面は、温度スイッチ202において熱を感知する感熱部分になっている。そのため、発熱用抵抗204について、例えば、温度スイッチ202の感熱部分の直上に配設されていると考えることができる。また、温度スイッチ202において、上面の感熱部分は、アルミで形成されている。
【0035】
また、本例において、樹脂部106を構成する樹脂は、基板200よりも上側において、発熱用抵抗204の位置にまで達しない高さまで充填される。この場合、樹脂について、例えば、温度スイッチ202の上面に合わせた高さであり、かつ、発熱用抵抗204には触れない高さにまで充填されると考えることができる。また、樹脂が充填される高さが発熱用抵抗204の位置にまで達しないことについては、例えば、発熱用抵抗204に樹脂が触れないようにケース104内の上側部分を除いてケース104内に樹脂が充填されること等と考えることができる。また、この場合、樹脂部106を構成する樹脂について、例えば、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間をつながないように基板200を覆うと考えることもできる。温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間を樹脂がつながないことについては、例えば、温度スイッチ202と発熱用抵抗204とに挟まれる領域に樹脂が入り込まないこと等と考えることができる。温度スイッチ202と発熱用抵抗204とに挟まれる領域に樹脂が入り込まないことについては、例えば、この領域に入り込んだ樹脂が発熱用抵抗204から温度スイッチ202へ熱を伝える実質的な経路にならないこと等と考えることができる。また、温度スイッチ202と発熱用抵抗204とに挟まれる領域に樹脂が入り込まないことについて、例えば、温度スイッチ202における感熱部分と発熱用抵抗204との間に樹脂が付着しないこと等と考えることもできる。
【0036】
尚、図示した構成等から自明なように、本例において、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間とは、発熱用抵抗204における足(リード線)を除いた部分である発熱用抵抗204の本体部分と温度スイッチ202との間のことである。そのため、発熱用抵抗204の足の部分と温度スイッチ202との間については、樹脂が充填されていてもよい。より具体的に、本例の発熱用抵抗204では、足の一部が樹脂に埋まり、かつ、本体部分が樹脂に埋まらない状態になる。
【0037】
また、本例において、樹脂は、例えば
図3(b)に示すように充填される。
図3(b)は、ケース104への樹脂の充填の仕方の一例を示す図であり、
図1(c)に示したサンプル品の写真と同じ写真について、符号を省略して示す。また、以下においては、
図3(b)に示すサンプル品について、サンプルAと呼ぶ。サンプルAにおいて、温度スイッチ202としては、仕様上の通電開始温度が4±3℃であり、通電停止温度が14±3℃のバイメタルサーモスイッチを用いた。また、発熱用抵抗204としては、10kオームの酸化金属抵抗を用いた。
【0038】
これに対し、本例と異なる状態になるように樹脂を充填した場合、樹脂は、例えば
図3(c)に示すように充填される。
図3(c)は、ケース104への樹脂の充填の仕方を本例と異ならせた構成を示す図であり、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間に樹脂が入り込むように樹脂を充填したサンプル品の写真を示す。また、以下においては、
図3(c)に示すサンプル品について、サンプルBと呼ぶ。サンプルBは、樹脂の充填の仕方のみをサンプルAと異ならせたサンプルである。
【0039】
上記においても説明をしたように、本例において、樹脂部106を構成する樹脂としては、空気よりも熱伝導率が高い樹脂を用いる。そして、この場合、サンプルBにおいては、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間に樹脂が入り込むことで、サンプルAと比べて、発熱用抵抗204が発生する熱が温度スイッチ202へ伝わりやすくなる。そのため、温度スイッチ202がオンの状態になって発熱用抵抗204が発熱を開始した場合、温度スイッチ202が感知する温度は、サンプルBにおいて、サンプルAよりも早く上昇する。また、その結果、温度スイッチ202がオンの状態からオフの状態に切り替わるタイミングについても、サンプルBにおいて、サンプルAよりも早くなる。この場合、サンプルBにおいて、本来の設定よりも早いタイミングで温度スイッチ202がオフの状態になることで、水道管の温度を適切に高めることが難しくなることが考えられる。また、温度スイッチ202の切り替わりが過度に頻繁に生じることで、温度スイッチ202の寿命が短くなること等も考えられる。また、本願の発明者は、サンプルA及びサンプルBを用いて様々な実験を行うことで、サンプルBにおいてこれらの問題が生じることを実際に確認した。
【0040】
図4は、サンプルA及びサンプルBを用いて行った実験の結果を示すグラフである。この実験では、+10℃から-12℃まで1時間あたり2℃ずつ外気温(雰囲気温度)を下げ、その後、1時間あたり2℃ずつ、+10℃まで外気温を上げて、サンプルA及びサンプルBにおける温度スイッチ202の動作と、水道管の温度の変化とを確認した。この場合、水道管の温度については、例えば、サンプルA及びサンプルBのそれぞれから電力の供給を受ける凍結防止用ヒータにより加熱がされる水道管内の水の温度等と考えることができる。また、図示の便宜上、
図4では、実験を行った期間の一部についてのみ、温度スイッチ202の動作、水道管の温度、及び外気温(雰囲気温度)を図示している。
【0041】
この実験において、サンプルAでは、外気温が+2℃の時点で温度スイッチ202がオンの状態になり、動作を開始した。この場合、動作の開始については、例えば、温度スイッチ202がオンの状態になることで凍結防止用ヒータへの電力の供給を開始すること等と考えることができる。また、徐々に低下する外気温に応じて温度スイッチ202がオンの状態になり、凍結防止用ヒータへの電力の供給が開始される温度については、例えば、水道凍結防止装置10の動作開始温度等と考えることができる。動作の開始時点において、温度スイッチ202は、通常、オンの状態を保つのではなく、図中に示すように、オンの状態とオフの状態とが適宜切り替わる状態になる。そして、外気温が-10℃になった時点で、温度スイッチ202がオンの状態を保つフル通電の状態になった。この場合、温度スイッチ202がオンの状態を保つフル通電の状態になる温度について、例えば、フル通電温度等と考えることができる。また、サンプルAにおいて、動作の開始後、外気温の上昇によって温度スイッチ202が継続的にオフの状態になるまでの間である動作時の水道管の温度は、最低で+5℃、最高で+13℃、平均で+9℃になった。また、動作の開始から外気温が-12℃に到達するまでの間での温度スイッチ202のオン/オフ回数は、31回であり、最少のオン/オフ間隔は、120秒であった。
【0042】
これに対し、サンプルBでも、外気温が+2℃の時点で温度スイッチ202がオンの状態になり、動作を開始した。しかし、サンプルBの場合、外気温が-10℃になっても、フル通電の状態にならなかった。また、サンプルBの動作時において、水道管の温度は、最低で+3℃、最高で+4℃、平均で+3.5℃になった。また、動作の開始から外気温が-12℃に到達するまでの間での温度スイッチ202のオン/オフ回数は、107回であり、最少のオン/オフ間隔は、75秒であった。
【0043】
このように、サンプルBにおいては、サンプルAと比べて、温度スイッチ202のオンの状態とオフの状態とが短い周期で切り替わる現象が生じている。そして、この場合、温度スイッチ202の寿命が短くなることで、水道凍結防止装置10の製品寿命が極端に短くなることが考えられる。より具体的に、サンプルBでのオン/オフの切り替わりの回数は、サンプルAの3倍程度になっている。そして、この場合、サンプルBでの製品寿命について、サンプルAの1/3程度になると考えることができる。更に、サンプルBでは、オンの状態になった温度スイッチ202が短時間で切れる早切れが生じることで、水道管の温度を適切に高めることができなくなっている。この点に関し、様々な悪条件が重なった場合でも水道の凍結を適切に防ぐためには、上記の実験で得られる水道管の平均の温度について、+10℃前後の温度にすることが望まれる。そのため、サンプルBの結果については、水道管の温度が好ましい温度(狙った温度)に保たれていないことを示しているといえる。より具体的に、サンプルBにおいては、狙った温度に対し、平均で-5.5℃程度のずれが生じているといえる。これに対し、サンプルAにおいては、樹脂の充填の仕方がサンプルBと異なることで、温度スイッチ202においてオンの状態とオフの状態とが切り替わる頻度がサンプルBと比べて大幅に少なくなっている。また、水道管の温度についても、適切な温度への加熱を行えているといえる。
【0044】
ここで、上記においても説明をしたように、発熱用抵抗204の抵抗値については、水道の凍結を適切に防止でき、かつ、上記のように省電力を実現できるように設定することが考えられる。これに対し、サンプルBにおいては、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間に樹脂が入り込み、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間を樹脂がつないでいることで、上記のような問題が生じていると考えられる。しかし、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間を樹脂がつなぐことで発熱用抵抗204から温度スイッチ202へ熱が伝わりやすくなるのであれば、サンプルAのように樹脂を充填しなくても、サンプルBでの熱の伝わり方に合わせて、発熱用抵抗204の抵抗値を選択すればよいようにも思われる。より具体的に、発熱用抵抗204から温度スイッチ202へ熱が伝わりやすくなる条件に合わせて発熱用抵抗204の抵抗値を設定するのであれば、例えば、抵抗値を大きくして、発熱用抵抗204での発熱量を減らせばよいようにも思われる。また、本願の発明者は、サンプルBと同様に樹脂を充填したサンプルにおいて、発熱用抵抗204の抵抗値を様々に異ならせる実験等も更に行っている。そして、発熱用抵抗204の抵抗値を大きくすることで温度スイッチ202のオンの状態とオフの状態とが切り替わる周期を長くすることが可能であること等も確認した。
【0045】
しかし、発熱用抵抗204の抵抗値の設定においては、温度スイッチ202の切り替わりの周期が短くなることを防止すること以外に、上記のように、水道の凍結を適切に防止できることや、省電力を適切に実現できること等を更に考慮することが必要になる。また。温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間を樹脂がつないでいる場合、樹脂を介して、外気温の影響が発熱用抵抗204に及びやすくなること等も考えられる。そして、これらの点を考慮した場合、発熱用抵抗204の抵抗値を決定するための工数が増大することや、部品の選択の自由度が低下すること等が考えられる。
【0046】
これに対し、本例においては、サンプルAのように、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間を樹脂がつながない構成を用いることで、発熱用抵抗204の抵抗値について、より容易かつ適切に決定することが可能になっている。また、これにより、例えば、温度スイッチ202の切り替わりの周期が短くなることで水道凍結防止装置10の製品寿命が短くなることを適切に防止しつつ、水道の凍結防止や省電力等を適切に実現している。また、この場合、樹脂を介して発熱用抵抗204から温度スイッチ202へ熱が過剰に伝わることを防止することで、例えば、発熱用抵抗204から温度スイッチ202への熱の伝わり方について、設計上で意図した伝わり方の範囲になるように適切に管理すること等も可能になる。そのため、本例によれば、例えば、水道凍結防止装置10において、凍結防止用ヒータへの電力の供給をより適切に行うことができる。
【0047】
ここで、温度スイッチ202の切り替わりが頻繁の生じる現象については、例えば、オフの状態からオンの状態に変化する周期が短くなる短周期スイッチ現象等と考えることができる。また、より具体的に、短周期スイッチ現象については、例えば、温度スイッチ202においてオフの状態からオンの状態に変化する周期が120秒以内になり、かつ、この周期でのオンの状態とオフの状態との切り替わりの繰り返しが10分間以上にわたって継続する現象等と定義することができる。また、このような短周期スイッチ現象については、通常、温度スイッチ202の通電開始温度よりも外気温が低い環境で生じると考えられる。これに対し、本例においては、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間をつながないように樹脂で基板200を覆うことで、外気温が通電開始温度よりも低い環境で短周期スイッチ現象が発生することを防止している。
【0048】
尚、短周期スイッチ現象については、水道凍結防止装置10に求められる性能等に応じて、上記と異なる周期や継続時間を用いて定義すること等も考えられる。例えば、オフの状態からオンの状態に変化する周期については、90秒以内、又は3分以内等として、短周期スイッチ現象を定義することもできる。また、オンの状態とオフの状態との切り替わりの繰り返しが生じる継続時間については、例えば、5分以上、又は15分以上等として、短周期スイッチ現象を定義することもできる。また、本例の水道凍結防止装置10においては、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間を樹脂がつながないこと以外にも、ケース104内に樹脂を充填することに関連する様々な特徴を水道凍結防止装置10の各部が有している。そこで、以下、このような様々な特徴について、詳しく説明をする。
【0049】
図5は、水道凍結防止装置10の各部の様々な特徴について説明をする図である。
図5(a)は、水道凍結防止装置10の本体部12(
図1参照)におけるケース104の形状、及びケース104内への基板200の設置の仕方の一例を示す。
図5(a)において、左側の図は、ケース104の上面を示す写真である。ケース104の上面については、例えば、基板200において温度スイッチ202及び発熱用抵抗204が実装されている側を覆う面等と考えることができる。また、
図5(a)における中央の図は、ケース104の上面を構成する部分の裏側の写真である。
図5(a)における右側の図は、ケース104内への基板200の設置の仕方の一例を示す。
図5(b)は、本体部12の断面を示す図である。
図5(b)において、左側の図は、ケース104の長手方向と平行な平面による本体部12の断面を簡略化して示す。右側の図は、ケース104の長手方向と直行する平面による本体部12の断面を簡略化して示す。
【0050】
上記においても説明をしたように、本例においては、空気よりも熱伝導率が高い樹脂をケース104内に充填することで、ケース104の周囲の温度を温度スイッチ202に伝わりやすくしている。このように構成すれば、例えば、外気温に応じて温度スイッチ202を適切に動作させることができる。しかし、ケース104への樹脂の充填について、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との間に樹脂が入り込まないように充填を行う場合、樹脂の量が減ることや、感熱部分である温度スイッチ202の上面とケース104との間に樹脂が充填されなくなることで、ケース104の外と温度スイッチ202との間での熱伝導性が低下すること等も考えられる。また、その結果、例えば、温度スイッチ202の感度への影響が生じること等も考えられる。
【0051】
これに対し、本例においては、ケース104の外面において外気に触れる表面積を増加させる凹凸をケース104の少なくとも一部の面に形成することで、ケース104の表面積を増やし、ケース104の外と温度スイッチ202との間での熱伝導性を高めている。また、より具体的に、このような凹凸について、例えば
図5(a)に示すように、ケース104の上面に複数の凹部402を形成することで形成している。
【0052】
また、この場合において、凹部402の深さについては、例えば
図5(b)における右側の断面図に示すように、ケース104内で樹脂が充填される高さよりも凹部402の底の位置が低い位置になる深さにしている。このような構成については、例えば、凹部402の一部がケース104内の樹脂に埋まる構成等と考えることもできる。このように構成した場合、例えば、凹部402の底について、空気を介さずにケース104内の樹脂と接触させることができる。また、これにより、例えば、凹部402の位置において、ケース104の周囲の温度を樹脂へより効率的に伝えることができる。そのため、本例によれば、例えば、ケース104の外と温度スイッチ202との間での熱伝導性を適切に高めることができる。凹部402を形成したケース104の表面積については、凹部402を形成しない構成の場合と比べ、例えば、1.2倍以上程度(例えば、1.2~1,3倍程度)にすることが考えられる。より具体的に、
図5(a)に示す構成の場合、ケース104の表面積は、同サイズで凹部402を形成しない場合と比べて約1.22倍の4271.52mm
2になっている。
【0053】
また、上記においても説明をしたように、基板200には、複数の貫通孔302、304が形成されている。そして、本例においては、基板200における貫通孔302、304についても、ケース104内に樹脂を充填することに関連する特徴であると考えることができる。より具体的に、本例において、基板200における複数の貫通孔302、304のうち、温度スイッチ202が実装される位置において基板200を貫通する貫通孔302は、ケース104内の樹脂を介して温度スイッチ202の放熱を行うための貫通孔である。このような貫通孔302を形成することで、温度スイッチ202は、貫通孔302を介して、樹脂部106を構成する樹脂と接触する。このように構成した場合、温度スイッチ202が発生する熱について、例えば、樹脂部106の樹脂を介してケース104の外部へ効率的に放出することができる。また、この場合、温度スイッチ202の位置に貫通孔302を形成することで、例えば、基板200と温度スイッチ202との間に熱がこもること等を適切に防止することもできる。そのため、本例によれば、例えば、温度スイッチ202の放熱をより適切かつ効率的に行うことができる。
【0054】
ここで、温度スイッチ202においては、電流が流れるという構造上、動作中に熱が発生することになる。そして、この場合、温度スイッチ202の放熱が不十分であると、温度スイッチ202が発生する熱によって温度スイッチ202の周囲の温度が上昇し、通電停止温度を超えることで、外気温と無関係に温度スイッチ202がオフの状態になる場合がある。特に、凍結防止用ヒータへ供給する電力が大きくなり、温度スイッチ202に定格の電流(例えば、7A程度)程度以上の電流が流れると、温度スイッチ202における発熱の影響が大きくなると考えられる。そして、このような温度スイッチ202の誤動作が生じると、外気温が低い状態で温度スイッチ202がオフの状態になることで、水道の凍結が生じるおそれがある。これに対し、本例によれば、例えば、温度スイッチ202のこのような誤動作を適切に防止することができる。また、温度スイッチ202においては、一般的に、接点があることで実装時に基板200に近い側になる下面付近において、熱が発生しやすくなる。また、本例においても、例えば、このような温度スイッチ202を用いることが考えられる。そして、この場合、貫通孔302を介して温度スイッチ202の下面と樹脂とを接触させることで、例えば、温度スイッチ202の下面の側から効率的に温度スイッチ202の放熱を行うことができる。
【0055】
また、基板200における複数の貫通孔302、304のうち、貫通孔304は、貫通孔302と異なり、ケース104内により適切に樹脂を充填するための貫通孔である。また、この点に関し、上記においても説明をしたように、ケース104内への樹脂の充填については、例えば、ポッティング法で行うことが考えられる。そして、この場合、例えば
図5(a)の右側の図や
図5(b)の左側の図に示すように、少なくとも一部の辺においてケース104の内壁との間に隙間ができるサイズの基板200を用い、基板200の表側(上側)から樹脂を充填することで、基板200の裏側(下側)へ樹脂を回り込ませることになる。
【0056】
しかし、この場合、単に基板200とケース104との間の隙間から樹脂を回り込ませるのみであると、基板200の裏側において空気の逃げ道がなくなることで、基板200の裏側において、樹脂が充填されずに空気が残る空気だまりができやすくなる。そして、このような空気だまりができた場合、防水が不十分になることや、ケース104内に結露が発生しやすくなること等が考えられる。また、その結果、水道凍結防止装置10において、配線の短絡(ショート)等の問題が発生しやすくなる場合がある。また、配線の短絡により、発火や発煙等の問題が発生すること等も考えられる。これに対し、本例のように、基板200に貫通孔304を形成した場合、ケース104への樹脂の充填時に貫通孔304が樹脂の通り道になることで、このような空気だまりができること等を適切に防止することができる。そのため、本例によれば、例えば、ケース104内への樹脂の充填をより容易かつ適切に行うことができる。
【0057】
より具体的に、本例において、ケース104には、例えば
図5(a)に示すように、樹脂充填孔404及び複数の空気孔406が形成されている。この場合、樹脂充填孔404は、ケース104への樹脂の充填時に樹脂を通すための孔(貫通孔)である。複数の空気孔406は、樹脂の充填時にケース104の外へ空気を逃がすための孔(貫通孔)である。また、この場合、基板200は、基板200の裏面とケース104との間に隙間を空け、かつ、樹脂の充填時に基板200の裏面側から表面側に流れる空気を通過させる流路412となる隙間が基板200の側面における所定の部分とケース104との間にできるように、ケース104内に設置される。この場合、基板200の表面については、例えば、基板200において温度スイッチ202等が実装されている面等と考えることができる。基板200の裏面については、例えば、表面と反対側の面等と考えることができる。基板200の側面については、例えば、表面と裏面とをつなぐ面等と考えることができる。
【0058】
また、本例において、ケース104における樹脂充填孔404と、基板200における貫通孔304とは、例えば
図5(b)に示すように、基板200と垂直な方向から見た場合に樹脂充填孔404と貫通孔304とが重なるように、位置を揃えて形成される。また、これにより、樹脂充填孔404と貫通孔304とは、例えば、樹脂の充填時にケース104の樹脂充填孔404に注入される樹脂が基板200における貫通孔304に向かうように、位置を揃えて形成される。この場合、樹脂充填孔404及び貫通孔304について、例えば、樹脂充填孔404に注入される樹脂が貫通孔304を通過して基板200に裏面側へ回り込む位置に形成されていると考えることもできる。また、貫通孔304について、例えば、樹脂充填孔404の真下に形成されていると考えることもできる。
【0059】
このように構成した場合、ケース104における樹脂充填孔404から注入(充填)した樹脂は、基板200における貫通孔304を通り、基板200の裏面側の隙間の空間418に到達する。また、空間418に到達した樹脂は、空気の逃げ道となる流路412に向かって流れる。そして、樹脂に押し出された空気は、最終的に、ケース104における複数の空気孔406からケース104の外へ排出される。また、この場合、本例においては、基板200における貫通孔304がケース104における樹脂充填孔404の真下に形成されていることで、基板200の裏側の空間418に真っ先に樹脂を到達させることができる。また、基板200の裏側において、貫通孔304から進入した樹脂は、空気が逃げる方向へ流れることになる。更に、本例においては、基板200の側面における所定の位置を空気の流路412にすることで、空気の逃げ道を限定して、基板200の裏側における樹脂に流れ方を一定にする。
【0060】
この点に関し、例えば、ケース104内での樹脂の流れ方が不定になると、意図せずに樹脂が充填されない箇所等が生じ、上記においても説明をしたように、ケース104内に余計な空気溜まりが形成されること等が考えられる。そして、このような空気溜まりが形成されると、例えば、樹脂部106の全体としての熱伝導性が低下して、ケース104の外の温度が温度スイッチ202に伝わりにくくなることや、基板200に対する絶縁(防水)が不十分になること等が考えられる。また、屋外での長年の使用によって結露が生じやすくなること等が考えられる。そして、空気溜まりによって結露が生じると、例えば、回路のショートや火災の原因になること等も考えられる。これに対し、本例においては、上記の構成によって、例えばケース104内での樹脂の流れ方がほぼ完全に(ほぼ100%)確定するように、ケース104内での樹脂の流れ方を規定することができる。また、これにより、例えば、空気溜まりが形成されない状態で適切に樹脂を充填して、樹脂部106の熱伝導性を高めること、基板200を適切に絶縁(防水)すること、及び結露によるショートや火災の発生を防止すること等が可能になる。そのため、本例によれば、例えば、ケース104内への樹脂の充填をより適切に行うことができる。
【0061】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、ケース104の外面において外気に触れる表面積を増加させるために、ケース104の上面に、複数の凹部402を形成している。そして、この場合、ケース104の内部には、樹脂の充填により、例えば
図5(b)の右側の図に示すように、複数の独立した空間420が形成されることになる。そこで、本例においては、このような独立した空間420のそれぞれに対し、ケース104に空気孔406を形成する。このように構成すれば、例えば、ケース104内への樹脂の充填をより適切に行うことができる。
【0062】
また、水道凍結防止装置10については、例えば、住宅の水道管に対して既に設置されている凍結防止用ヒータと共に用いられることも多い。そして、この場合、水道凍結防止装置10について、水道凍結防止装置10の製品の仕様として定められている範囲よりも凍結防止用ヒータでの消費電力が大きくなる条件で水道凍結防止装置10が使用されること等も考えられる。そして、水道凍結防止装置10の使用目的等を考えると、水道凍結防止装置10においては、このような条件でもできるだけ水道の凍結を防止できることが望まれる。これに対し、本例においては、上記のような構成を用いることで、凍結防止用ヒータでの消費電力が大きい場合にも、より適切に水道の凍結を防止することができる。そこで、以下、上記において説明をしたサンプルAと、他のサンプル品であるサンプルCとを用いた実験の結果等を用いて、この点について、更に詳しく説明をする。
【0063】
図5(c)は、サンプルCの構成を示す。サンプルCは、ケース内に樹脂を充填しないことでサンプルAと異なる構成で作成したサンプル品である。また、サンプルCでは、温度スイッチ等が実装される基板として、温度スイッチの位置に貫通孔が形成されていない基板を用いている。尚、サンプル品の準備の都合等により、サンプルCでは、ケースや基板のサイズについても、サンプルAと異なっている。しかし、以下において説明をする実験の結果において、ケースや基板のサイズが異なることの影響は、無視できると考えられる。
【0064】
また、この実験では、消費電力が異なる2種類の凍結防止用ヒータに対してサンプルC及びサンプルAのそれぞれで電力を供給した場合について、外気温の変化に対する温度スイッチ202の動作及び水道管の温度の変化を確認した。また、消費電力が異なる2種類の凍結防止用ヒータとしては、消費電力が小さな負荷となる消費電力が18Wの凍結防止用ヒータ(以下、18Wのヒータという)と、消費電力が大きい負荷となる消費電力が418Wの凍結防止用ヒータ(以下、418Wのヒータという)とを用いた。また、この場合、消費電力が418Wのヒータは、サンプルA及びサンプルCでの仕様における負荷の上限である300Wを超える負荷となるヒータである。
【0065】
図6は、サンプルCを用いて行った実験の結果を示すグラフである。
図6(a)は、18Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
図6(b)は、418Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
図7は、サンプルA用いて行った実験の結果を示すグラフである。
図7(a)は、18Wのヒータを用いた実験の結果を示す。
図7(b)は、418Wのヒータを用いた実験の結果を示す。また、図示の便宜上、
図6及び
図7では、実験を行った温度範囲の一部についてのみ、実験の結果を図示している。
【0066】
図6(a)に一部の結果を示すように、18Wのヒータに対してサンプルCを用いて電力を供給した場合、動作開始温度は、+2℃になり、フル通電温度は、-5℃になった。また、実験で変化させた外気温の範囲において、水道管の温度は、最低で+6℃、最高で+17℃、平均で+11.5℃になった。この場合、サンプルCについて、18Wのヒータに対して、水道の凍結を適切に防止できる条件で電力を供給できていると考えることができる。また、
図6(b)に一部の結果を示すように、418Wのヒータに対してサンプルCを用いて電力を供給した場合も、動作開始温度は、+2℃になった。しかし、外気温を-10℃に低下させてもフル通電の状態にならなかった。そのため、フル通電温度について、18Wのヒータを用いる場合と比べ、-5℃を超える差が生じていると考えることができる。また、実験で変化させた外気温の範囲において、水道管の温度は、最低で+6℃、最高で+12℃、平均で+6℃になった。また、18Wのヒータを用いる場合と比べた水道管の温度差は、平均で、-5.5℃になった。この場合、418Wのヒータに対しサンプルCによって電力を供給した結果について、例えば、環境条件によっては水道の凍結が生じやすくなる結果であると考えることができる。
【0067】
これに対し、
図7(a)に一部の結果を示すように、18Wのヒータに対してサンプルAを用いて電力を供給した場合、動作開始温度は、+2℃になり、フル通電温度は、-6℃になった。また、実験で変化させた外気温の範囲において、水道管の温度は、最低で+5℃、最高で+16℃、平均で+10.5℃になった。この場合、サンプルAについて、18Wのヒータに対して、水道の凍結を適切に防止できる条件で電力を供給できていると考えることができる。また、
図7(b)に一部の結果を示すように、418Wのヒータに対してサンプルAを用いて電力を供給した場合、動作開始温度は、+2℃になり、フル通電温度は、-8℃になった。また、実験で変化させた外気温の範囲において、水道管の温度は、最低で+3℃、最高で+13℃、平均で+10.0℃になった。このように、418Wのヒータに対してサンプルAを用いて電力を供給した場合、フル通電温度について、18Wのヒータを用いる場合と比べ、-2℃の差が生じている。また、18Wのヒータを用いる場合と比べた水道管の温度差は、平均で、-0.5℃になっている。しかし、この程度の差については、凍結防止用ヒータの消費電力の差に対し、十分に小さい差になっていると考えることができる。そのため、サンプルAでは、418Wのヒータに対しても、水道の凍結を適切に防止できる条件で電力を供給できていると考えることができる。
【0068】
上記の結果に関し、サンプルCでは、凍結防止用ヒータの負荷が大きい場合に温度スイッチの早切れが生じ、狙いどおりの性能を発揮できていないと考えることができる。これは、凍結防止用ヒータの負荷が大きい場合において、温度スイッチに流れる電流が大きくなり、温度スイッチの発熱が大きくなっているためであると考えられる。また、サンプルCでは、特に発熱が大きくなる温度スイッチの下部の接点に対し、基板が断熱材として機能することで、温度スイッチの中に熱がこもりやすくなる。そのため、この影響でも、早切れが生じやすくなると考えられる。
【0069】
これに対し、サンプルAの場合、凍結防止用ヒータの負荷が大きくなると多少の早切れは生じるものの、その程度について、サンプルCと比べて大幅に低減することができる。また、その結果、負荷が大きな凍結防止用ヒータを用いる場合でも、水道の凍結を適切に防止することが可能になっているといえる。また、サンプルAにおいて、このように性能が改善している理由は、上記においても説明をしたように、ケース104内に樹脂を充填することで、温度スイッチ202を放熱しつつ、外気温が温度スイッチ202に伝わりやすくなっているためであると考えられる。また、この場合において、基板200における貫通孔302を介して温度スイッチ202の下部と樹脂とを接触させていることで、温度スイッチ202をより確実に放熱できていると考えることができる。また、以上の結果から、例えば、サンプルAにおいて、凍結防止用ヒータでの消費電力が大きい場合にもより適切に水道の凍結を防止することが確認できる。
【0070】
続いて、上記において説明をした構成に関する補足説明等を行う。水道凍結防止装置10は、通常、屋外に設置されることが多い。そのため、水道凍結防止装置10においては、適切に防水を行うことが望まれる。また、水道凍結防止装置10の価格や水道凍結防止装置10の使用目的等を考えると、水道凍結防止装置10の製造時には、生産を効率的に行うことが可能で、手間がかからず、かつ、製品の信頼性を適切に向上できる方法で水道凍結防止装置10を製造することが望まれる。また、この場合において、例えば、量産での歩留まりをほぼ100%にすることが望まれる。これに対し、上記においても説明をしたように、本例の水道凍結防止装置10においては、ポッティング法でケース104内にエポキシの樹脂を充填することで、低コストでの防水を実現している。しかし、水道凍結防止装置10の開発時において、ケース104内に樹脂を充填した試作品を製造したところ、一部の試作品において、温度スイッチ202のオンの状態とオフの状態とが短い周期で切り替わる現象が生じることを見出した。また、当初、このような現象が生じる理由は、不明であった。
【0071】
これに対し、本願の発明者は、様々な実験等を行うことで、ケース104内に充填した樹脂が発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間に入り込み、発熱用抵抗204から温度スイッチ202へ熱が伝わりやすくなったことで、このような現象が生じていることを見出した。そして、更なる鋭意研究により、ケース104内の樹脂により形成される樹脂部106について、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間をつながないように基板200を覆う構成とすることで、このような現象の発生を適切に防止得ることを見出した。この場合、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間を樹脂がつながないことについては、例えば、水道凍結防止装置10の製品の仕様として、樹脂の充填の仕方がこのように管理されていること等と考えることができる。また、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間を樹脂がつながないことについては、例えば、製造工程で適切に製造されて合格品となる水道凍結防止装置10について、個々の水道凍結防止装置10のみに着目するのではなく、水道凍結防止装置10の製品としての構成に着目した場合において、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間を樹脂がつながない構成になっていること等と考えることもできる。
【0072】
また、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間に樹脂が入り込むことをより防止するためには、例えば、他の部材を発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間に挟んだ状態で樹脂の充填を行うこと等も考えられる。この場合、例えば、樹脂よりも熱伝導率が低い素材で形成されている部材を発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間に挟み込むこと等が考えられる。また、このような部材としては、例えば、所定の位置に発熱用抵抗204を保持する形状の成形部品等を好適に用いることができる。このように構成すれば、例えば、温度スイッチ202と発熱用抵抗204との位置関係をより高い精度で規定することができる。また、発熱用抵抗204から温度スイッチ202へ伝わる熱の量を低減するためには、例えば、温度スイッチ202との間に隙間が空くように発熱用抵抗204を設置すること等も考えられる。
【0073】
また、短周期スイッチ現象の周期については、例えば、短いほど問題になるといえる。また、短周期スイッチ現象が継続する継続時間については、長いほど問題になるといえる。そのため、水道凍結防止装置10においては、より周期が短い短周期スイッチ現象や、より長時間継続する短周期スイッチ現象を防止することが、特に重要であるといえる。従って、水道凍結防止装置10においては、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間を樹脂がつながないことで、例えば、外気温が通電開始温度よりも低い環境において、少なくとも、オフの状態からオンの状態に変化する周期が90秒以内であり、継続時間が15分以上になる短周期スイッチ現象を防止することが特に望ましい。また、この場合、周期が80秒以内の短周期スイッチ現象を防止することがより望ましい。継続時間が20分以上の短周期スイッチ現象を防止することがより望ましい。また、水道凍結防止装置10の寿命が短くなることをより確実に防止する観点で考えた場合、温度スイッチ202の切り替わりの周期や継続時間について、より長い周期や短い継続時間についても、温度スイッチ202の切り替わりを防止することが望ましい。そのため、この観点では、例えば、オフの状態からオンの状態に変化する周期が3分以内で、5分以上の継続時間となる温度スイッチ202の切り替わりについても、防止することが望ましいといえる。
【0074】
また、短い周期で温度スイッチ202の切り替わりが生じた場合、温度スイッチ202の端子が短時間での接触を起こすことで、スパークが発生しやすくなること等も考えられる。また、スパークが原因となって水道凍結防止装置10において発火や発煙等が生じること等も考えられる。これに対し、本例においては、短周期スイッチ現象を防止することで、このような問題についても、生じにくくすることができる。
【0075】
また、水道凍結防止装置10については、例えば、基板実装工程、収容工程、充填工程等を備える製造方法で製造することが考えられる。この場合、基板実装工程とは、例えば、温度スイッチ202及び発熱用抵抗204等を基板200に実装する構成である。収容工程とは、例えば、温度スイッチ202及び発熱用抵抗204等が実装された基板200をケース104に収容する工程である。充填工程とは、基板200が収容されたケース104内に樹脂を充填して樹脂部106を形成する工程である。また、本例において、充填工程では、発熱用抵抗204と温度スイッチ202との間をつながずに樹脂が基板200を覆うように、ケース104内に樹脂を充填する。このように構成すれば、例えば、水道凍結防止装置10を適切に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えば水道凍結防止用電力制御装置等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0077】
10・・・水道凍結防止装置、12・・・本体部、14・・・電源プラグ、16・・・雌コネクタ、102・・・回路部、104・・・ケース、106・・・樹脂部、200・・・基板、202・・・温度スイッチ、204・・・発熱用抵抗、212・・・電源接続表示部、214・・・電力供給表示部、302・・・貫通孔、304・・・貫通孔、402・・・凹部、404・・・樹脂充填孔、406・・・空気孔、412・・・流路、418・・・空間、420・・・空間