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特開2022-175957人物認証装置、人物認証方法、人物認証プログラム、及び人物認証システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175957
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】人物認証装置、人物認証方法、人物認証プログラム、及び人物認証システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221117BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221117BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20221117BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H04N5/232 290
G06T7/00 660Z
G06T7/90 Z
G06T1/00 400H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082780
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】近野 恵
(72)【発明者】
【氏名】紺野 剛史
【テーマコード(参考)】
5B047
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
5B047AA23
5B047AB04
5B047BB06
5B047BC11
5B047BC12
5B047CB04
5C122DA11
5C122DA19
5C122EA01
5C122FA18
5C122FH11
5C122FH14
5C122GG03
5C122HA65
5C122HB01
5C122HB09
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA05
5L096FA79
5L096GA30
5L096GA40
5L096GA41
(57)【要約】
【課題】夜間に撮影された映像における、人物の認証の失敗を抑制する。
【解決手段】画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得する取得部と、第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集する収集部と、 前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する認証部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得する取得部と、
第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集する収集部と、
前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する認証部と、
を有する人物認証装置。
【請求項2】
前記対応関係は、前記第1画像データの前記第1色が、前記第2画像データにおいて前記第2色に変化する確率を含む
請求項1記載の人物認証装置。
【請求項3】
前記収集部は、前記所持品の色を使用しない人物認証で前記対象人物を特定し、前記対応関係を収集する
請求項1記載の人物認証装置。
【請求項4】
前記収集部は、前記所持品の色を使用しない人物認証で所定以上の確率で前記対象人物であると認証された人物の所持品を、前記対象人物の所持品とみなし、前記対応関係を収集する
請求項1記載の人物認証装置。
【請求項5】
前記認証部は、さらに、前記比較人物に対して前記人物認証を行い、前記人物認証における前記比較人物が前記対象人物とである確率を示す人物確率と、前記色彩確率とに基づき、前記比較人物が前記対象人物である確率を算出する
請求項3記載の人物認証装置。
【請求項6】
前記対応関係は、前記第1画像データの前記第1色が、前記第2画像データにおいて何色に変化するのかを示す変化色情報を含む
請求項1記載の人物認証装置。
【請求項7】
撮影位置と光源の種別との対応示す光源情報を有し、
前記取得部は、前記光源情報から前記光源の種別を取得する
請求項1記載の人物認証装置。
【請求項8】
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得し、
第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集し、
前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する
人物認証方法。
【請求項9】
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得する処理と、
第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集する処理と、
前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する処理と、
をコンピュータに実行させる人物認証プログラム。
【請求項10】
画像を撮影する複数の撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した画像データを取得し、前記画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得し、第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集し、前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する人物認証装置と、
を有する人物認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物認証装置、人物認証方法、人物認証プログラム、及び人物認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯などの用途において、防犯カメラなどの映像から、特定の人物を認証する人物認証技術の需要が高まっている。人物認証技術を用いたシステムには、例えば、道路周辺などに設置したカメラで撮影した映像を解析し、対象となる人物を検出し、連続した映像上で対象人物を追跡する人物照合システムがある。例えば、警察は、ある犯罪の容疑者を対象人物とし、複数箇所に設置された防犯カメラ映像から、同一人物を対応付け、対象人物を追跡する。対象人物の認証は、例えば、顔の特徴から対象人物を特定する顔認証などが用いられる。
【0003】
映像から人物を特定する技術は、以下に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-332071号公報
【特許文献2】特開2010-147560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、犯罪の多い夜間に撮影された映像では、防犯灯などの周囲の光の関係で、同一人物であっても、撮影した場所によって、映り方が変化する。この場合、同一人物の検出に失敗する場合がある。
【0006】
そこで、一開示は、夜間に撮影された映像における、人物の認証の失敗を抑制する人物認証装置、人物認証方法、人物認証プログラム、及び人物認証システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得する取得部と、第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集する収集部と、前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する認証部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
一開示は、夜間に撮影された映像における、人物の認証の失敗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、人物認証システム10の構成例を示す図である。
図2図2は、画像処理装置100の構成例を表す図である。
図3図3は、人物追跡処理S100の処理フローチャートの例を示す図である。
図4図4は、色彩情報収集処理S200の処理フローチャートの例を示す図である。
図5図5は、対象人物の移動の軌跡の例を示す図である。
図6図6は、各地点における対象人物の画像の例を示す図である。
図7図7は、防犯灯マップの例を示す図である。
図8図8は、画像毎対象人物認証処理S300の処理フローチャートの例を示す図である。
図9図9は、色彩データの例を示す図である。
図10図10は、第2の実施の形態における画像毎対象人物認証処理S400の処理フローチャートの例を示す図である。
図11図11は、正解色を記憶する色彩データの例を示す図である。
図12図12は、複数の色に対応する色彩データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。
【0011】
<人物認証システム10の構成例>
図1は、人物認証システム10の構成例を示す図である。人物認証システム10は、画像処理装置(人物認証装置)100、カメラ200-1~3、及びネットワーク300を有する。人物認証システム10は、カメラ200-1~3で撮影した映像の画像データを解析し、特定の人物を探索するシステムである。
【0012】
カメラ200-1~3(以降、カメラ200と呼ぶ場合がある)は、人物などを撮影する撮影装置である。カメラ200は、例えば、道路や住宅などに設置される、例えば、監視カメラである。カメラ200は、ネットワーク300を介して画像処理装置100と接続し、撮影した映像の画像データを画像処理装置100に送信する。カメラ200は、例えば、映像として動画を撮影し、所定サイズ又は所定時間の動画データを、継続して画像処理装置100に送信する。また、カメラ200は、常時又は定期的に、動画や静止画を撮影する。
【0013】
対象人物400-1~3(以降、対象人物400と呼ぶ場合がある)は、探索する対象となる人物である。対象人物400は、移動方向D1の方向に、時間経過に伴い移動する。そして、対象人物400は、移動先において、カメラ200に撮影される。
【0014】
画像処理装置100は、カメラ200から取得した画像データを解析し、画像データに映る対象人物400を検出する、例えば、コンピュータやサーバマシンである。
【0015】
ネットワーク300は、例えば、インターネットである。また、ネットワークは、ローカルネットワークや、無線で構成されたネットワークであってもよい。
【0016】
人物認証システム10において、移動する対象人物400を、カメラ200が撮影する。画像処理装置100は、対象人物400を画像データから探索する。
【0017】
画像処理装置100は、映像データから人物を検出し、検出した人物が対象人物であるか否かを認証する。画像処理装置100は、検出した人物を、対象人物の外観(服装の色を除く)と比較し、認証(第1認証)を行う。そして、画像処理装置100は、第1認証に加え、対象人物の服装(所持品)の色を用いた認証(第2認証)を行う。画像処理装置100は、第2認証において、画像の撮影位置の防犯灯(光源、灯)による色の変化を考慮する。画像処理装置100は、防犯灯による色の変化を、例えば、対象人物の追跡の事前あるいは初期期間に取得した画像データから収集する。画像処理装置100は、第2認証を行うことで、人物の認証精度を向上させる。
【0018】
<画像処理装置100の構成例>
図2は、画像処理装置100の構成例を表す図である。画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、ストレージ120、メモリ130、通信回路140、及びアクセラレータ150を有する。
【0019】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ120は、人物検出プログラム121、人物追跡プログラム122、及び防犯灯マップ123を記憶する。
【0020】
防犯灯マップ123は、例えば、画像の撮影位置と、撮影位置周辺を照らす防犯灯(光源)の種別との対応関係を記憶するマップや位置情報リストなどの光源情報である。
【0021】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0022】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0023】
通信回路140は、ネットワーク300を介して、カメラ200と通信を行う回路である。通信回路140は、例えば、NIC(Network Interface Card)である。また、通信回路140は、無線及び有線のいずれでネットワーク300と接続されてもよい。
【0024】
アクセラレータ150は、例えば、CPU110の命令に従い特定の処理を行う、GPU(Graphics Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)である。アクセラレータ150は、ハードウェアアクセラレータであり、例えば、画像処理や演算処理などを行う。
【0025】
CPU110は、人物検出プログラム121を実行することで、人物検出処理を行う。人物検出処理は、画像データから人物を検出する処理である。画像処理装置100は、取得した画像データを解析(画像処理)し、画像に映る人物を検出する。
【0026】
CPU110は、人物追跡プログラム122を実行することで、取得部、収集部、及び認証部を構築し、人物追跡処理を行う。人物追跡処理は、対象人物を画像データから人物を検出する処理である。画像処理装置100は、取得した画像データを解析(画像処理)し、画像に映る対象人物を検出する。人物追跡処理は、例えば、色彩情報収集処理、画像毎対象人物認証処理を有する。
【0027】
CPU110は、人物追跡プログラム122が有する色彩情報収集モジュール1221を実行することで、色彩情報収集処理を行う。色彩情報収集処理は、色彩データを収集する処理である。色彩データは、防犯灯(光源)の種別と、対象人物の服(所持品)の色との対応関係を記憶するデータである。色彩データは、例えば、ある防犯灯の下での色が、別の種別の防犯灯の下では何色に映るか(何色に変化するか)を、記憶するデータである。
【0028】
CPU110は、人物追跡プログラム122が有する画像毎対象人物認証モジュール1222を実行することで、画像毎対象人物認証処理を行う。画像毎対象人物認証処理は、色彩データを使用しない(対象人物の服の色を使用しない)認証と、色彩データに基づく第2認証とに基づき、画像に映る人物が対象人物である確率を算出する処理である。また、画像毎対象人物認証処理は、画像に映る人物が対象人物であるか否かを判定する処理であってもよい。
【0029】
<人物追跡処理について>
人物追跡処理について説明する。人物追跡処理は、例えば、犯人や行方不明者などの対象人物を、カメラ200で撮影した映像で追跡する処理である。
【0030】
図3は、人物追跡処理S100の処理フローチャートの例を示す図である。画像処理装置100は、人物追跡処理S100において、対象人物を特定する(S100-1)。対象人物は、追跡する対象となる人物である。
【0031】
画像処理装置100は、色彩情報収集処理を行う(S200)。色彩情報収集処理S200は、対象人物の服などの所持品の色を収集し、防犯灯種別と対応づけてデータベース化する処理である。色は、対象人物の身に着けている所持品の色に関する情報であり、例えば、上着、ズボン、スカートなどの服の色を含む。また、色は、例えば、帽子、靴、手袋などの色を含む。色彩情報収集処理S200については、後述する。
【0032】
画像処理装置100は、色彩情報収集処理S200が完了すると、次の画像を取得し(S100-2)、画像毎対象人物認証処理を行う(S300)。画像毎対象人物認証処理S300は、色彩情報や他の外観情報に基づき、画像に映る人物が対象人物であるか否かを判定する(あるいは、対象人物である度合いや確率を算出する)処理である。画像毎対象人物認証処理S300については、後述する。
【0033】
画像処理装置100は、画像毎対象人物認証処理S300の完了後、追跡終了条件を満たすか否かを判定し(S100-3)、追跡終了条件を満たす場合(S100-3のYes)、処理を終了する。一方、画像処理装置100は、追跡終了条件を満たさない場合(S100-3のNo)、再度画像を取得し(S100-2)、画像毎対象人物認証処理S300を実行する。
【0034】
追跡終了条件は、対象人物の追跡を終了する条件である。追跡終了条件は、例えば、対象人物を検出できない(見失う)など、画像毎対象人物認証処理S300の認証結果に基づく条件であってもよい。また、追跡終了条件は、追跡時間や次の画像の有無などの、物理的条件であってもよい。さらに、追跡終了条件は、対象人物を追跡する必要性の消失や、対象人物が撮影できない建物内に入ったことなど、追跡の必要性や可能性に関する条件であってもよい。
【0035】
<色彩情報収集処理>
図4は、色彩情報収集処理S200の処理フローチャートの例を示す図である。画像処理装置100は、画像を取得する(S200-1)。画像処理装置100は、画像から対象人物を検索する(S200-2)。なお、処理S200-2における検索では、服装の色など、色彩による人物の特定を行わない。画像処理装置100は、処理S200-2において、例えば、対象人物が有するカバンや帽子などの特徴的な所持品を検出し、同じ所持品を持つ人を紐づけることで、対象人物の検索を行う。以降、色彩情報収集処理S200において収集されるデータを、色彩データと呼ぶ場合がある。また、以降、色彩データとして収集する対象は、対象人物の服(特に上着)の色を例として説明するが、ズボン、靴、帽子、カバン、皮膚など、対象人物が身に着けているものの色や対象人物の一部の色であってもよい。
【0036】
画像処理装置100は、対象人物を検出しない場合(S200-3のNo)、次の画像を取得する(S200-1)。一方、画像処理装置100は、対象人物を検出すると(S200-2のYes)、画像の撮影位置に対応する防犯灯の種別を抽出する(S200-4)。画像処理装置100は、例えば、防犯灯マップ123から防犯灯の種別を特定し、抽出する。
【0037】
画像処理装置100は、対象人物の服の色を特定する(S200-5)。色は、例えば、「赤」、「黄色」、「RED」など、色の名称で特定されてもよいし、RGBカラーモデル、YUV方式、YCbCr方式、及びYPbPr方式など、数値で特定されてもよい。
【0038】
画像処理装置100は、特定した色に関する情報を、色彩データとして集計する(S200-6)。
【0039】
画像処理装置100は、終了条件を満たす場合(S200-7のYes)、処理を終了する。一方、画像処理装置100は、終了条件を満たさない場合(S200-7のNo)、次の画像を取得する(S200-1)。終了条件は、色彩情報収集処理S200を終了する条件であって、例えば、収集した色彩データの量(数)、色彩情報収集処理S200を実行する時間、処理を行った画像の枚数、又は時刻などに応じた条件である。
【0040】
以下、画像や防犯灯マップを用いて、色彩情報収集処理S200の例について説明する。
【0041】
図5は、対象人物の移動の軌跡の例を示す図である。対象人物は、地点P1から、地点P2を経由し、地点P3へと、歩いて移動する。そして、対象人物は、地点P1、地点P2、地点P3において、例えば、防犯カメラなどで撮影される。
【0042】
図6は、各地点における対象人物の画像の例を示す図である。画像G1は、地点P1で撮影された対象人物の画像である。画像G2は、地点P2で撮影された対象人物の画像である。画像G3は、地点P3で撮影された対象人物の画像である。
【0043】
画像処理装置100は、色彩情報収集処理S200において、画像G1を取得し(図4のS200-1)、対象人物を特定する(図4のS200-2、S200-3のYes)。画像処理装置100は、画像G1の撮影位置に対応する防犯灯の種別を、防犯灯マップから抽出する(S200-4)。
【0044】
図7は、防犯灯マップの例を示す図である。図7は、エリアA1が防犯灯Aに照らされているエリアであって、エリアA2が防犯灯Bに照らされているエリアであることを示す。画像処理装置100は、防犯灯マップより、画像G1を撮影した地点P1が、防犯灯Aに照らされていることを抽出する(図4のS200-4)。
【0045】
画像処理装置100は、色彩情報収集処理S200において、画像G1の対象人物の服の色を抽出する(図4のS200-5)。画像処理装置100は、図6の画像G1より、対象人物の服の色を「赤」と抽出する(図4のS200-5)。
【0046】
画像処理装置100は、対象人物の服の色「赤」を、防犯灯Aと対応づけて、色彩データとして集計する(図4のS200-6)。色彩データは、例えば、防犯灯の種別ごとに作成される。色彩データは、例えば、ある防犯灯の下の色と、他の防犯灯の下での色の関係を示すものである。画像処理装置100は、色彩データとして、例えば、防犯灯Aの下では「赤」である服の色が、防犯灯Bの下では「橙」に映ること(あるいは映る確率)、などを記憶する。
【0047】
画像処理装置100は、次の画像G2を取得し(図4のS200-1)、対象人物を特定する(図4のS200-2、S200-3のYes)。画像処理装置100は、画像G2の撮影位置に対応する防犯灯の種別を、防犯灯マップから抽出する(S200-4)。
【0048】
画像処理装置100は、防犯灯マップより、画像G2を撮影した地点P2が、防犯灯Bに照らされていることを抽出する(図4のS200-4)。
【0049】
画像処理装置100は、図6の画像G2より、対象人物の服の色を「橙」と抽出する(図4のS200-5)。
【0050】
画像処理装置100は、対象人物の服の色「橙」を、防犯灯Bと対応づけて、色彩データとして集計する(図4のS200-6)。
【0051】
さらに、画像処理装置100は、次の画像G3を取得し(図4のS200-1)、対象人物を特定する(図4のS200-2、S200-3のYes)。画像処理装置100は、画像G2の撮影位置に対応する防犯灯の種別を、防犯灯マップから抽出する(S200-4)。
【0052】
画像処理装置100は、防犯灯マップより、画像G3を撮影した地点P3が、防犯灯Bに照らされていることを抽出する(図4のS200-4)。
【0053】
画像処理装置100は、図6の画像G3より、対象人物の服の色を「橙」と抽出する(図4のS200-5)。
【0054】
画像処理装置100は、対象人物の服の色「橙」を、防犯灯Bと対応づけて、色彩データとして集計する(図4のS200-6)。
【0055】
上述したように、画像処理装置100は、終了条件を満たすまで、画像を取得し、対象人物の服の色と防犯灯の種別とを対応づけ、色彩データとして記憶する。
【0056】
なお、色彩情報収集処理S200は、例えば、終了条件を設定せずに、人物追跡処理S100の実行において処理される全ての画像に対して実行されてもよい。例えば、画像処理装置100は、人物追跡処理S100において、服の色による情報を用いないで対象人物を特定(検出)できる場合、当該特定した画像における対象人物の服の色を、色彩データに集計してもよい。これにより、色彩データのデータ量が増加し、人物追跡処理S100の実行時間が増加するに伴い、色彩データによる対象人物の認証の精度が向上する。
【0057】
<画像毎対象人物認証処理>
図8は、画像毎対象人物認証処理S300の処理フローチャートの例を示す図である。画像処理装置100は、画像の撮影位置の防犯灯の種別を抽出する(S300-1)。
【0058】
画像処理装置100は、未判定の人物が画像内に存在する場合(S300-2のYes)、画像から人物を抽出する(S300-3)。画像処理装置100は、例えば、画像における人物を全て検出し、検出した人物から任意の(又は画像が鮮明な順に)1人を選択することで、処理S300-3を実行する。
【0059】
画像処理装置100は、抽出人物が対象人物である第1確率を算出する(S300-4)。画像処理装置100は、処理S300-4において、服装の色による判定を行わない。第1確率(人物確率)は、例えば、第1認証(人物認証)による確率であって、抽出人物の顔や身長などの身体的な特徴に基づく確率である。また、第1確率は、例えば、抽出人物の身に着けているもの(帽子など)や、持ち物(カバンなど)などに基づく確率である。第1確率は、抽出人物の服の色に関する情報を使用せずに算出される確率である。
【0060】
画像処理装置100は、抽出人物の服装の色の基づき、抽出人物が対象人物である第2確率(色彩確率)を算出する。第2確率は、例えば、第2認証による確率であって、抽出人物の服の色と色彩データに基づき算出される(抽出される)確率である。
【0061】
画像処理装置100は、第1確率と第2確率より、抽出人物が対象人物であるか否かを判定する(S300-6)。画像処理装置100は、処理S300-6において、抽出人物が対象人物である確率(総合確率)を算出してもよい。画像処理装置100は、例えば、統合確率が閾値以上又は閾値より大きい場合、抽出人物が対象人物であるとみなす(判定する)。
【0062】
画像処理装置100は、抽出人物が対象人物であると判定した場合(S300-7のYes)、抽出人物を対象人物と特定し(S300-8)、処理を終了する。
【0063】
画像処理装置100は、抽出人物が対象人物でないと判定した場合(S300-7のNo)、未判定の人物が画像内に存在する場合(S300-2のYes)、次の人物を抽出する(S300-3)。
【0064】
画像処理装置100は、未判定の人物が画像内に存在しない場合(S300-2のNo)、対象人物は画像に映っていないと判定し(S300-9)、処理を終了する。
【0065】
なお、画像処理装置100は、例えば、処理S300-6で統合確率を算出する場合、抽出人物ごとに対象人物であるか否かの判定(処理S300-7)を実行しなくてもよい。この場合、画像処理装置100は、判定した抽出人物のうち、最も統合確率が高い抽出人物を、対象人物と特定する。また、画像処理装置100は、判定した抽出人物のうち、統合確率が閾値より高い抽出人物を、対象人物の候補として選定してもよい。
【0066】
図9は、色彩データの例を示す図である。図9の色彩データは、防犯灯Aの下での色が、防犯灯Bの下では何色に映るか(何色に変化するか)の確率をリスト化したデータである。例えば、図9によると、防犯灯Aの下で「赤」の色の服は、防犯灯Bの下では「橙」に映る(変化する)確率が75%で、最も高確率であることがわかる。図9における確率は、色彩情報収集処理S200において、防犯灯Aの下では「赤」であった色が、複数の防犯灯Bの下で撮影された画像において映る色の出現度合いにより算出される値である。図9は、例えば、防犯灯Bの下で撮影された画像が100枚であった場合、75枚が橙であったことを示す。
【0067】
画像処理装置100は、画像毎対象人物認証処理S300において、図9の色彩データを用いて、第2確率を算出する(図8のS300-5)。画像処理装置100は、対象人物の服の色が、防犯灯Aの下では赤であり、防犯灯Bの画像データ内の抽出人物の服の色が橙である場合、第2確率を75%と算出する。そして、画像処理装置100は、第1確率と第2確率を用いて、抽出人物が対象人物である確率(統合確率)を算出し、認証を行う(図8のS300-6、S300-7)。
【0068】
第1の実施の形態において、画像処理装置100は、対象人物の服の色が何色に映るかを、防犯灯の種別ごとに収集する。そして、画像処理装置100は、服の色の変化の確率(防犯灯の種別の変化に応じた色の確率)に基づき、対象人物である確率(第2確率)を算出し、当該人物が対象人物であるか否か判定、あるいは確率を算出する。これにより、画像処理装置100は、防犯灯の種別による服の色の変化を考慮した対象人物の検出を行うことができ、対象人物の誤認識を抑制できる。
【0069】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、画像処理装置100は、画像毎対象人物認証処理S300において、服装の色が対象人物と一致する(あるいは一致する確率が所定値より高い)人物を画像より抽出し、選択人物が対象人物である確率を算出する。
【0070】
第2の実施の形態では、先行して服の色で認証を行う人物を抽出するため、明確に服の色が異なる他人を認証の対象から除くことができ、処理量の増大化を抑制することができる。
【0071】
<画像毎対象人物認証処理>
図10は、第2の実施の形態における画像毎対象人物認証処理S400の処理フローチャートの例を示す図である。画像処理装置100は、画像の撮影位置の防犯灯の種別を抽出する(S400-1)。
【0072】
画像処理装置100は、服装の色が一致する人物を、画像から抽出する(S400-2)。服装の色が一致するとは、例えば、防犯灯の下における変化の色が一致することを示す。例えば、画像処理装置100は、図9の色彩データの場合、防犯灯Bの下で撮影された画像から、最も高確率な橙の服の人物を抽出する。あるいは、画像処理装置100は、確率が所定値(例えば10%)以上の、橙と黒の服の人物を抽出してもよい。画像処理装置100は、確率が高い色の人物を抽出する。
【0073】
画像処理装置100は、未判定の人物が画像内に存在する場合(S400-3のYes)、画像から人物を選択する(S400-4)。
【0074】
画像処理装置100は、選択人物が対象人物である確率を算出する(S400-4)。画像処理装置100は、例えば、第1確率を算出する。
【0075】
画像処理装置100は、算出した確率より、選択人物が対象人物であるか否かを判定する(S400-6)。画像処理装置100は、例えば、確率が閾値以上又は閾値より大きい場合、選択人物が対象人物であるとみなす(判定する)。
【0076】
画像処理装置100は、選択人物が対象人物であると判定した場合(S400-7のYes)、選択人物を対象人物と特定し(S400-8)、処理を終了する。
【0077】
画像処理装置100は、選択人物が対象人物でないと判定した場合(S400-7のNo)、未判定の人物が画像内に存在する場合(S400-2のYes)、次の抽出人物を選択する(S400-3)。
【0078】
画像処理装置100は、未判定の人物が画像内に存在しない場合(S400-3のNo)、対象人物は画像に映っていないと判定し(S400-8)、処理を終了する。
【0079】
[その他の実施の形態]
色彩データは、変化する確率以外に、最も変化する確率が高い色(正解色)を記憶してもよい。図11は、正解色を記憶する色彩データの例を示す図である。図11によると、例えば、防犯灯Aの下では「橙」である色が、防犯灯Bの下では「赤」、防犯灯C及びDの下では「黒」に映ることを示す。
【0080】
また、色彩データは、複数の色の変化の確率の組み合わせであってもよい。図12は、複数の色に対応する色彩データの例を示す図である。図12では、対象人物が複数存在する場合や、対象人物の服の色が、同じ防犯灯Aの下でも、異なる複数の色に映る場合の、防犯灯Bでの変化の確率の例を示す図である。色彩データをこのように記憶することで、複数の対象人物、例えば橙の服の人物と青の服の人物を、防犯灯Bの画像から検出することができる。また、図12のように、複数の色を確率で記憶する場合、画像処理装置100は、対象人物の追跡において、正解色(例えば、ある防犯灯の下における対象人物の服の色で、最も出現確率の高い色)を決定し、当該正解色を基準として人物を検索することで、対象人物を追跡してもよい。
【0081】
以下、まとめると付記のようになる。
【0082】
(付記1)
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得する取得部と、
第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集する収集部と、
前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する認証部と、
を有する人物認証装置。
【0083】
(付記2)
前記対応関係は、前記第1画像データの前記第1色が、前記第2画像データにおいて前記第2色に変化する確率を含む
付記1記載の人物認証装置。
【0084】
(付記3)
前記収集部は、前記所持品の色を使用しない人物認証で前記対象人物を特定し、前記対応関係を収集する
付記1記載の人物認証装置。
【0085】
(付記4)
前記収集部は、前記所持品の色を使用しない人物認証で所定以上の確率で前記対象人物であると認証された人物の所持品を、前記対象人物の所持品とみなし、前記対応関係を収集する
付記1記載の人物認証装置。
【0086】
(付記5)
前記認証部は、さらに、前記比較人物に対して前記人物認証を行い、前記人物認証における前記比較人物が前記対象人物とである人物確率と、前記色彩確率とに基づき、前記比較人物が前記対象人物である確率を算出する
付記3記載の人物認証装置。
【0087】
(付記6)
前記対応関係は、前記第1画像データの前記第1色が、前記第2画像データにおいて何色に変化するのかを示す変化色情報を含む
付記1記載の人物認証装置。
【0088】
(付記7)
前記画像データを、撮影装置から取得するデータ取得部を有する
付記1記載の人物認証装置。
【0089】
(付記8)
撮影位置と光源の種別との対応示す光源情報を有し、
前記取得部は、前記光源情報から前記光源の種別を取得する
付記1記載の人物認証装置。
【0090】
(付記9)
前記所持品は、人物の服装を含む
付記1記載の人物認証装置。
【0091】
(付記10)
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得し、
第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集し、
前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する
人物認証方法。
【0092】
(付記11)
画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得する処理と、
第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集する処理と、
前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する処理と、
をコンピュータに実行させる人物認証プログラム。
【0093】
(付記12)
画像を撮影する複数の撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した画像データを取得し、前記画像データを撮影した位置に対応する光源の種別を取得し、第1種光源の下で撮影された第1画像データにおける対象人物の所持品の色と、第2種光源の下で撮影された第2画像データの前記対象人物の所持品の色との、対応関係を収集し、前記第1画像データの前記対象人物の所持品が第1色であるとき、前記第2画像データで所持品が第2色である比較人物が前記対象人物である確率を示す色彩確率を、前記対応関係に基づき算出する人物認証装置と、
を有する人物認証システム。
【符号の説明】
【0094】
10 :人物認証システム
100 :画像処理装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :人物検出プログラム
122 :人物追跡プログラム
1221 :色彩情報収集モジュール
1222 :画像毎対象人物認証モジュール
123 :防犯灯マップ
130 :メモリ
140 :通信回路
150 :アクセラレータ
200 :カメラ
300 :ネットワーク
400 :対象人物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12