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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175961
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/06 20060101AFI20221117BHJP
   G05G 1/44 20080401ALI20221117BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20221117BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20221117BHJP
【FI】
B60T7/06 B
B60T7/06 A
B60T7/06 E
G05G1/44
G05G5/03 Z
G05G1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082790
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北斗 大輔
(72)【発明者】
【氏名】柳田 悦豪
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 昌志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健悟
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰久
【テーマコード(参考)】
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
3D124AA35
3D124BB01
3D124CC03
3D124CC56
3D124DD14
3D124DD26
3D124DD27
3D124DD42
3D124DD62
3J070AA32
3J070BA17
3J070BA51
3J070BA71
3J070CA47
3J070CB02
3J070CC04
3J070CC07
3J070CD35
3J070DA02
(57)【要約】
【課題】反力発生機構を備えたペダル装置において、踏力特性を安定させると共に、重量の増加を最小限に抑える。
【解決手段】ペダルパッド40は、運転者の足により踏込操作されることで所定の軸心CL周りに搖動する。センサユニット50は、ペダルパッド40の搖動角に応じた信号を出力する。反力発生機構30は、ペダルパッド40に印加される運転者の踏力に対する反力を発生させる。第1ハウジング10は、ペダルパッド40の搖動の軸心CLに設けられる回転軸41、センサユニット50および反力発生機構30の少なくとも1つを保持または覆うものである。第2ハウジング20は、第1ハウジング10よりヤング率の大きい剛体部21により構成されるか、または、そのような剛体部21を少なくとも一部に有し、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を剛体部21により支持する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者によるペダル操作量に応じた電気信号を車両の電子制御装置(110)に送信するオルガン式のペダル装置において、
運転者の足により踏込操作されることで所定の軸心(CL)周りに搖動するペダルパッド(40)であって、前記ペダルパッドのうち運転者に踏まれる部位が前記軸心に対して車両搭載時の天地方向における上方に配置される前記ペダルパッドと、
前記ペダルパッドの搖動角に応じた信号を出力するセンサユニット(50)と、
前記ペダルパッドに印加される運転者の踏力に対する反力を発生させる弾性部材(31~34)を有する反力発生機構(30)と、
前記ペダルパッドの搖動の軸心に設けられる回転軸(41)、前記センサユニットおよび前記反力発生機構の少なくとも1つを保持または覆う第1ハウジング(10)と、
前記第1ハウジングよりヤング率の大きい剛体部(21)により構成されるか、または、前記剛体部を少なくとも一部に有し、前記反力発生機構のうち前記ペダルパッドとは反対側の部位を前記剛体部により支持する第2ハウジング(20)と、を備えるペダル装置。
【請求項2】
前記剛体部は、前記反力発生機構のうち前記ペダルパッドとは反対側の部位と車体(2)との間に配置される、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記第2ハウジングは、前記反力発生機構を支持する部位(22)と、車体に固定される部位(23)とが前記剛体部により一体に形成されている、請求項1または2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記剛体部は、金属である、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項5】
前記第1ハウジングは、前記反力発生機構を挿入可能な開口部(15)を少なくとも1方向に有し、前記開口部を塞ぐ前記第2ハウジングと共に前記反力発生機構を覆っている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項6】
前記第1ハウジングは、前記ペダルパッドの前記回転軸を回転可能に支持する軸受部(16)を有している、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項7】
前記第2ハウジングは、前記ペダルパッドの前記回転軸を回転可能に支持する軸受部(26)を有している、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項8】
前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングが設けられる側に前記反力発生機構の有する前記弾性部材を撓みの無い状態で挿入可能な最大の開口部(15)を有し、前記最大の開口部が前記第2ハウジングにより塞がれる構成となっている、請求項1ないし7のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項9】
前記反力発生機構は、複数の前記弾性部材を有している、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項10】
前記弾性部材は、少なくとも1つの板ばね(31)を含んでおり、
前記板ばねは前記第2ハウジングの前記剛体部に固定されている、請求項1ないし9のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項11】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとは固定部材(60)により固定されており、
前記固定部材は、前記ペダル装置が車体に取り付けられた状態で前記車体側となる位置から前記第2ハウジングに設けられた穴部(201)を通り前記第1ハウジングに固定されている、請求項1ないし10のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項12】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとは、スナップフィットにより固定されており、
前記スナップフィットの有する係止爪(103)は、前記ペダル装置が車体に取り付けられた状態で乗員から見えない位置に配置されている、請求項1ないし10のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項13】
前記第1ハウジングまたは前記第2ハウジングの一方に設けられた穴部(201)と、前記第1ハウジングまたは前記第2ハウジングの他方から突出して前記穴部を挿通する柱部(105)、および、前記柱部と連続した材料で一体に形成されて前記穴部より大きく形成された大径部(106)とにより、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとがかしめ固定されている、請求項1ないし10のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項14】
前記第1ハウジングに設けられた第1位置決め部(63、65)と、前記第2ハウジングに設けられた第2位置決め部(64、66)とが嵌合する位置決め構造(62)により、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの組付け位置が定められている、請求項1ないし13のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項15】
前記ペダル装置は、車両のアクセルペダル装置またはブレーキペダル装置の一方であり、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの外縁よりも外側に延びて前記アクセルペダル装置または前記ブレーキペダル装置の他方を支持する固定部(200)を有している、請求項1ないし14のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項16】
前記ペダル装置は、前記センサユニットの出力信号に基づく前記電子制御装置の駆動制御によりブレーキ回路が車両の制動に必要な液圧を発生させるブレーキバイワイヤシステムに使用されるブレーキペダル装置である、請求項1ないし14のいずれか1つに記載のペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペダルパッドのうち運転者に踏まれる部位が搖動の軸心に対して車両搭載時の天地方向における上方に配置されるオルガン式のペダル装置が知られている。オルガン式のペダル装置は、アクセルペダル装置またはブレーキペダル装置などとして用いられる。
【0003】
特許文献1には、オルガン式のアクセルペダル装置が記載されている。このペダル装置は、ペダルパッドに印加される運転者の踏力に対する反力を発生させる反力発生機構としてのコイルばねがハウジングの内側に設けられている。そのコイルばねのうちペダルパッドとは反対側の部位は、ハウジングの内壁に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-189535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のペダル装置では、運転者の踏力がペダルパッドに印加されると、コイルばねが撓む。そして、そのコイルばねの弾性力は、ペダルパッドと共にハウジングの内壁にも作用する。そのため、仮に、コイルばねからハウジングの内壁に作用する荷重によってハウジングが変形すると、コイルばねからペダルパッドに対して安定した反力を出すことが困難になるといった問題が生じる。
【0006】
ところで、一般に、ブレーキペダル装置に用いられるコイルばねは、アクセルペダル装置に用いられるコイルばねに比べて弾性力の大きなものが用いられる。そのため、特許文献1に記載のペダル装置の構成をブレーキペダル装置に適用した場合、上記の問題が発生する懸念が大きくなる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、反力発生機構を備えたペダル装置において、ハウジングの変形を防ぐことで踏力特性を安定させると共に、重量の増加を最小限に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、運転者によるペダル操作量に応じた電気信号を車両の電子制御装置(110)に送信するオルガン式のペダル装置において、ペダルパッド(40)、センサユニット(50)、反力発生機構(30)、第1ハウジング(10)および第2ハウジング(20)を備える。ペダルパッドは、運転者の足により踏込操作されることで所定の軸心(CL)周りに搖動する。また、ペダルパッドは、運転者に踏まれる部位が軸心に対して車両搭載時の天地方向における上方に配置される。センサユニットは、ペダルパッドの搖動角に応じた信号を出力する。反力発生機構は、ペダルパッドに印加される運転者の踏力に対する反力を発生させる弾性部材(31~34)を有する。第1ハウジングは、ペダルパッドの搖動の軸心に設けられる回転軸(41)、センサユニットおよび反力発生機構の少なくとも1つを保持または覆うものである。第2ハウジングは、第1ハウジングよりヤング率の大きい剛体部(21)により構成されるか、または、そのような剛体部を少なくとも一部に有し、反力発生機構のうちペダルパッドとは反対側の部位を剛体部により支持する。
【0009】
これによれば、ペダル装置は、第1ハウジングと第2ハウジングを備え、反力発生機構のうちペダルパッドとは反対側の部位を、第2ハウジングの剛体部により支持する構成である。この構成により、運転者からペダルパッドに踏力が印加され反力発生機構から剛体部に高荷重が入力される場合でも、剛体部の変形量は小さいものとなる。そのため、反力発生機構はペダルパッドに対して安定した反力を出すことが可能である。したがって、このペダル装置は、反力発生機構を支持する部位に剛体部といった必要最低限の部材の追加をすることで、踏力特性を安定させると共に、ペダル装置の重量の増加を最小限に抑えることができ、軽量化を実現できる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
図2】第1実施形態に係るペダル装置を図1とは別方向から視た斜視図である。
図3】第1実施形態に係るペダル装置を第2ハウジング側から視た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図5】第1実施形態に係るペダル装置が使用されるブレーキバイワイヤシステムの構成図である。
図6】第2実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図7図6のVII-VII線の断面図である。
図8】第2実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの組付け方法を説明するための説明図である。
図9】第2実施形態に係るペダル装置において各部材の組付け方法を説明するための説明図である。
図10】第2実施形態に係るペダル装置において各部材の組付け方法を説明するための図9に続く説明図である。
図11】第2実施形態に係るペダル装置において各部材の組付け方法を説明するための図10に続く説明図である。
図12】第3実施形態に係るペダル装置において、図7に相当する部位を示す断面図である。
図13A】第3実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの組付け方法を説明するための説明図である。
図13B】第3実施形態の変形に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの組付け方法を説明するための説明図である。
図14】第4実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図15図14のXV-XV線の断面図である。
図16】第5実施形態に係るペダル装置において、図15に相当する部位を示す断面図である。
図17】第6実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図18図17のXVIII-XVIII線の断面図である。
図19】第7実施形態に係るペダル装置において、図17に相当する部位を示す断面図である。
図20】第8実施形態に係るペダル装置が備える第2ハウジングの斜視図である。
図21】第9実施形態に係るペダル装置が備える第2ハウジングの斜視図である。
図22】第10実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図23】第11実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図24】第12実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドの搖動の軸心に垂直な断面図である。
図25図24のXXV方向の矢視図である。
図26】第13実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図27】第14実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図28】第15実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図29】第16実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図30】第17実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図31】第18実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図32】第19実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法を示す断面図である。
図33】第20実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法および位置決め構造を示す断面図である。
図34】第20実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの位置決め構造の例を示す図である。
図35】第20実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの位置決め構造の別の例を示す図である。
図36】第20実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの位置決め構造のさらに別の例を示す図である。
図37】第21実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの固定方法および位置決め構造を示す断面図である。
図38】第22実施形態に係るペダル装置において第1ハウジングと第2ハウジングとの位置決め構造を示す斜視図である。
図39図38のXXXIX-XXXIX線の断面図である。
図40】第23実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1図5を参照しつつ説明する。本実施形態のペダル装置1は、車両に搭載され、運転者の踏力により踏み込み操作されるオルガン式のペダル装置である。オルガン式のペダル装置1とは、ペダルパッド40のうち運転者に踏まれる部位が搖動の軸心CLに対して車両搭載時の天地方向における上方に配置される構成のものをいう。なお、図1図4に記載した3次元座標は、ペダル装置1が車両に搭載された状態の上下方向、前後方向、左右方向を示すものである。
【0014】
オルガン式のペダル装置1は、ペダルパッド40に印加される運転者の踏力の増加に応じてペダルパッド40のうち搖動の軸心CLより車両前方の部位が車室内のフロア2側またはダッシュパネル側に搖動する。このようなペダル装置1は、アクセルペダル装置またはブレーキペダル装置などとして用いられる。本実施形態では、ペダル装置1の一例として、ブレーキペダル装置について説明する。なお、以下の説明では、ペダル装置1が取り付けられる車両のフロア2またはダッシュパネルを、車体という。
【0015】
まず、本実施形態のペダル装置1が使用されるブレーキバイワイヤシステム100について説明する。
図5に示すように、ブレーキバイワイヤシステム100とは、ペダル装置1のセンサユニット50から出力される電気信号に基づき、車両に搭載される電子制御装置(以下、ECU110という)の駆動制御によりブレーキ回路120が車両の制動に必要な液圧を発生させてホイールシリンダ131~134を駆動するシステムである。
【0016】
図5に例示したブレーキバイワイヤシステム100では、ECU110が第1ECU111と第2ECU112とで構成されている。また、ブレーキ回路120が第1ブレーキ回路121と第2ブレーキ回路122とで構成されている。
【0017】
ペダル装置1のセンサユニット50から出力される電気信号は、第1ECU111と第2ECU112に伝送される。第1ECU111は、図示しないマイコンおよび駆動回路などを有している。第1ECU111は、第1ブレーキ回路121の有するモータ123などに電力を供給し、第1ブレーキ回路121を駆動制御する。また、第2ECU112も図示しないマイコンおよび駆動回路などを有している。第2ECU112は、第2ブレーキ回路122の有する図示しない電磁弁やモータなどを駆動制御する。
【0018】
第1ブレーキ回路121は、リザーバ124、モータ123、ギヤ機構125、マスターシリンダ126などを有している。リザーバ124は、ブレーキ液を貯蔵する。モータ123はギヤ機構125を駆動する。ギヤ機構125は、マスターシリンダ126の有するマスターピストン127を、マスターシリンダ126の軸方向に往復移動させる。マスターピストン127の移動により、リザーバ124からマスターシリンダ126に供給されたブレーキ液の液圧が増加し、その液圧は第1ブレーキ回路121から第2ブレーキ回路122に供給される。
【0019】
第2ブレーキ回路122は、第2ECU112からの制御信号に応じて各ホイールシリンダ131~134の液圧を制御することで、通常制御、ABS制御およびVSC制御などを行うための回路である。なお、ABSはAnti-lock Braking Systemの略であり、VSCはVehicle Stability Controlの略である。なお、各車輪に配置されたホイールシリンダ131~134は、それぞれの車輪に設けられたブレーキバッドを駆動する。
【0020】
車両に乗車する運転者がペダル装置1のペダルパッド40を踏み込み操作すると、そのペダルパッド40の搖動角(すなわち、ペダル操作量)に応じた信号がセンサユニット50から第1ECU111と第2ECU112に出力される。第1ECU111は、車両を減速させるため、モータ123を駆動する。これにより、モータ123の回転数が大きくなると、マスターシリンダ126は、リザーバ124から供給されるブレーキ液の圧力を増加させる。そのブレーキ液の液圧は、第1ブレーキ回路121から第2ブレーキ回路122に伝わる。
【0021】
第2ECU112は、通常制御、ABS制御およびVSC制御などを実行する。例えば、第2ECU112は、運転者によるペダルパッド40の操作に応じた制動を行う通常制御において、第2ブレーキ回路122の有する各電磁弁などの駆動を制御し、第1ブレーキ回路121から供給される液圧が第2ブレーキ回路122を介して各ホイールシリンダ131~134に供給されるようにする。したがって、各ホイールシリンダ131~134により駆動されるブレーキパッドがそれに対応するブレーキディスクと摩擦接触し、各車輪が制動されることで車両が減速する。
【0022】
また、例えば、第2ECU112は、車両の各車輪速度および車速に基づいて、各車輪のスリップ率を演算し、その演算結果に基づいてABS制御を実行する。ABS制御では、各ホイールシリンダ131~134に供給される液圧が調整され、各車輪がロックに至ることが抑制される。また、例えば、第2ECU112は、ヨーレート、操舵角、加速度、各車輪速度および車速等に基づいて車両の横滑り状態を演算し、その演算結果に基づいてVSC制御を実行する。VSC制御では、車両の旋回を安定させるための制御対象車輪を選定し、その車輪に対応するホイールシリンダ131~134の液圧を増加させることで、車両の横滑りを抑制する。そのため、車両の走行が安定する。なお、第2ECU112は、上述した通常制御、ABS制御およびVSC制御に加えて、図示しない他のECUからの信号に基づき、衝突回避制御および回生協調制御などを行ってもよい。
【0023】
次に、ペダル装置1について説明する。
図1図4に示すように、ペダル装置1は、第1ハウジング10、第2ハウジング20、反力発生機構30、ペダルパッド40およびセンサユニット50などを備えている。
【0024】
第1ハウジング10は、ペダルパッド40の回転軸41、センサユニット50および反力発生機構30の少なくとも1つを保持または覆う部材である。本実施形態の第1ハウジング10は、例えば樹脂により形成されている。第1ハウジング10は、上壁11、左側壁12、右側壁13、前壁14などを有する箱状に形成されている。本実施形態の第1ハウジング10の内側には、センサユニット50および反力発生機構30などを配置するための空間が設けられている。
【0025】
第1ハウジング10は、反力発生機構30を挿入可能な開口部15を少なくとも1方向に有している。具体的には、本実施形態の第1ハウジング10は、最大の開口部15を、ペダル装置1が設置される車体側に有している。また、本実施形態の第1ハウジング10は、最大の開口部15を、ペダルパッド40の搖動方向の一方側に有しているということもできる。第1ハウジング10の有する最大の開口部15は、ペダル装置1の製造工程において、反力発生機構30の有する弾性部材を撓みの無い状態で挿入可能な大きさである。そして、第1ハウジング10の有する最大の開口部15は、第2ハウジング20により塞がれる構成となっている。このように、本実施形態の第1ハウジング10は第2ハウジング20と共に反力発生機構30を覆っている。
【0026】
また、本実施形態の第1ハウジング10は、ペダルパッド40の搖動の軸心CLに設けられる回転軸41を回転可能に支持する円筒状の軸受部16を有している。ペダルパッド40の回転軸41は、軸受部16に回転可能に設けられている円柱状のシャフトである。ペダルパッド40の回転軸41の軸心CL上またはその軸心CLの周りには、回転軸41の回転角度を検出するセンサユニット50が設けられている。したがって、本実施形態の第1ハウジング10は、ペダルパッド40の回転軸41およびセンサユニット50の一部を保持し、且つ、それらを覆っている。
【0027】
センサユニット50は、回転軸41の軸心CL上またはその軸心CLの周りに設けられていることで、回転軸41の回転角度を直接検出することが可能である。センサユニット50として、例えば、ホールICまたは磁気抵抗素子などを用いた非接触式のセンサ回路、或いは、接触式のセンサ回路を採用することが可能である。センサユニット50は、第1ハウジング10の外側に設けられたコネクタ51から、回転軸41の回転角度に応じた信号を車両のECU110に出力する。なお、回転軸41の回転角度とペダルパッド40の搖動角(すなわち、ペダル操作量)とは同一である。
【0028】
第2ハウジング20は、第1ハウジング10に対してペダルパッド40が搖動する方向の一方側に設けられている。そして、第2ハウジング20は、第1ハウジング10の有する最大の開口部15を塞ぐように設けられている。本実施形態の第2ハウジング20は、第1ハウジング10のうち車両前方側の部位から車両後方側の部位に亘り連続して延びている。第1ハウジング10と第2ハウジング20とは、例えば、第2ハウジング20の車体側の面から第1ハウジング10側に挿通するボルト60などの固定部材により固定されている。なお、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定方法は、これに限らず、後述する第13~第22実施形態で説明するように、種々の方法を採用することが可能である。
【0029】
第2ハウジング20は、第1ハウジング10よりヤング率の大きい部材により構成されるか、または、第1ハウジング10よりヤング率の大きい部材を少なくとも一部に有している。以下の説明では、第1ハウジング10よりヤング率の大きい部材を「剛体部21」と呼ぶ。剛体部21は、例えば金属で構成することが可能である。剛体部は、高鋼性部と言い替えることもできる。本実施形態の第2ハウジング20は、全体が剛体部21により構成されている。本実施形態の第2ハウジング20は、例えば金属材のプレス加工、板金加工、冷間鍛造、温間鍛造などにより製造することが可能である。
【0030】
なお、第2ハウジング20が樹脂部の一部に剛体部21を有する構成については、後述する第11、第12実施形態で説明する。
【0031】
第2ハウジング20は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位と車体との間に配置されている。そして、第2ハウジング20は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。なお、本実施形態では、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位は、反力発生機構30が有する板ばね31の一端311に相当する。本実施形態の第2ハウジング20は全体が剛体部21で構成されているので、反力発生機構30から高荷重が入力される場合でも、第2ハウジング20のうち反力発生機構30を支持する部位22の変形量は小さいものとなる。なお、反力発生機構30を支持する部位22は、ばね受部とも呼ばれる。
【0032】
また、第2ハウジング20は、反力発生機構30を支持する部位22に加えて、車体に固定される部位23を一体に有している。第2ハウジング20において、反力発生機構30を支持する部位22と、車体に固定される部位23とは、剛体部21により一体に形成されている。車体に固定される部位23は、第1ハウジング10よりも左側および右側にそれぞれ延出しており、板厚方向に通じる穴24が設けられている。そして、第2ハウジング20は、その穴24に対して図示しないボルトなどが挿通され、車両のフロア2またはダッシュパネルに固定される。なお、ダッシュパネルは、車両のエンジンルーム等の車室外と車室内とを区切る隔壁であり、バルクヘッドと呼ばれることもある。
【0033】
ペダルパッド40は、例えば金属または樹脂などにより板状に形成され、フロア2に対して斜めに配置される。具体的には、ペダルパッド40は、その上端部が車両前方となり、下端部が車両後方となるように斜めに配置される。そして、ペダルパッド40のうち上側の部位には、運転者に踏まれる部位として厚肉部42が設けられている。厚肉部42はペダルパッド40の搖動の軸心CLに対して車両搭載時の天地方向における上方に配置されている。なお、ペダルパッド40は、図1図4に示した配置に限らず、例えば、フロア2に対して略垂直に配置してもよい。
【0034】
ペダルパッド40の裏面には、連結プレート43が設けられている。連結プレート43は、ペダルパッド40の裏面に固定される裏板部44と、その裏板部44に対してほぼ垂直に設けられる側板部45を一体に有している。連結プレート43の有する側板部45は、回転軸41に固定されている。上述したように、回転軸41は、第1ハウジング10の軸受部16に回転可能に支持されている。そのため、ペダルパッド40は、運転者の足により踏込操作されることで、回転軸41の軸心CL周りに正回転方向および逆回転方向に所定角度範囲内で搖動する。
なお、連結プレート43が裏板部44と側板部45を有する構成とすることで、ペダルパッド40と回転軸41とを離れた位置に配置し、その回転軸41の周りの空間にセンサユニット50を容易に設けることが可能である。
【0035】
反力発生機構30は、ペダルパッド40に印加される運転者の踏力に対する反力を発生させる機構である。ペダル装置1は、反力発生機構30を備えることで、ペダルパッド40とマスターシリンダ126との機械的な接続を廃止しても、従来のブレーキシステムと同様の反力を得ることが可能である。なお、従来のブレーキシステムとは、ペダルパッドとマスターシリンダとが機械的に接続しており、ペダルパッドがマスターシリンダから液圧による反力を得られる構成をいうものである。
【0036】
本実施形態では、反力発生機構30は、複数の弾性部材を有している。具体的には、反力発生機構30は、複数の弾性部材として、板ばね31、大径コイルばね33、小径コイルばね34を有している。反力発生機構30が複数の弾性部材を有する構成とすることで、ペダルパッド40の搖動角(すなわち、ペダル操作量)の変化に対して反力発生機構30の反力を多段階に変化させることが可能となる。これにより、反力発生機構30は、従来のブレーキシステムに特有である多段反力特性を再現することができる。
【0037】
板ばね31は、荷重を受けていない状態でフロア2側に凸の曲面となるように曲がっている。板ばね31の一端311(すなわち、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位)は、ペダルパッド40の回転軸41と第2ハウジング20との間に配置されている。そして、板ばね31の一端311は、第2ハウジング20のうち反力発生機構30を支持する部位22に固定されている。
【0038】
一方、板ばね31の他端312には、下ホルダ35、大径コイルばね33、ばね座36、小径コイルばね34、上ホルダ37、連結ロッド70などが、この順に設けられている。下ホルダ35は、板ばね31の他端312に固定されている。大径コイルばね33は、板ばね31側の端部が下ホルダ35に支持され、ペダルパッド40側の端部がばね座36に支持されている。小径コイルばね34は、板ばね31側の端部がばね座36に支持され、ペダルパッド40側の端部が上ホルダ37に支持されている。連結ロッド70は、ペダルパッド40側の端部がペダルパッド40に固定され、板ばね31側の端部が上ホルダ37に対し摺動可能に接している。なお、連結ロッド70は、ペダルパッド40側の端部がペダルパッド40に搖動可能に接続され、板ばね31側の端部が上ホルダ37に搖動可能に接続される構成としてもよい。連結ロッド70は、第1ハウジング10に設けられた上開口部17を挿通している。なお、上開口部17は、小径コイルばね34および上ホルダ37が挿通可能な大きさに形成されている。
【0039】
この構成により、運転者がペダルパッド40に踏力を印加し、ペダルパッド40が第1ハウジング10側および第2ハウジング20側に搖動すると、ペダルパッド40から連結ロッド70を介して反力発生機構30の各部材に荷重が印加される。そのため、反力発生機構30を構成する板ばね31と大径コイルばね33と小径コイルばね34は、それぞれのばね定数に応じて撓みつつ、運転者がペダルパッド40に印加した踏力に対する反力を発生させる。具体的に、ペダルパッド40から連結ロッド70を介して反力発生機構30の各部材に荷重が印加されると、大径コイルばね33と小径コイルばね34は、そのばね軸方向に撓む。また、板ばね31は、下ホルダ35を固定する他端312側の部位が第2ハウジング20側に近づくように撓む。なお、反力発生機構30および連結ロッド70の構成は上記に例示したものに限るものでなく、種々の構成を採用することが可能である。
【0040】
連結ロッド70の周りには、被覆部材71が設けられている。被覆部材71は、例えばゴムなどにより筒状かつ蛇腹状に形成されたものである。被覆部材71は、筒状の一方の側が連結ロッド70の途中に設けられた溝72に嵌合し、筒状の他方の側が第1ハウジング10の上開口部17に嵌合している。被覆部材71は、第1ハウジング10の上開口部17から第1ハウジング10の内側に異物や水などが侵入することを防ぐものである。
【0041】
図1図4に示したペダル装置1は、ペダルパッド40に対して運転者の踏力が印加されていない状態(すなわち、ペダルパッド40の初期位置)のものである。ペダルパッド40の初期位置は、図示しない全閉ストッパにより規制されている。
【0042】
そして、図示は省略するが、ペダル装置1は、ペダルパッド40に対して運転者の踏力が印加されると、ペダルパッド40が回転軸41の軸心CL周りに搖動し、ペダルパッド40のうち軸心CLに対して車両上方の部位がフロア2側またはダッシュパネル側に移動する。このとき、センサユニット50は、回転軸41の回転角度(すなわち、ペダルパッド40の搖動角)に応じた信号を車両のECU110に出力する。ECU110は、ブレーキ回路120を駆動制御して車両の制動に必要な液圧を発生させ、その液圧によりブレーキパッドを駆動して車両を減速または停止させる。
【0043】
次に、第1実施形態のペダル装置1の製造方法について説明する。
第1実施形態のペダル装置1の製造方法では、まず、第1ハウジング10に対し回転軸41とペダルパッド40とを組み付けて第1のサブアッシーを構成する。その一方で第2ハウジング20に反力発生機構30を組み付けて第2のサブアッシーを構成する。そして、第1ハウジング10と第2ハウジング20とをボルト60などの固定部材で固定し、第1のサブアッシーと第2のサブアッシーとを組み付ける。このとき、第2ハウジング20に組み付けられた反力発生機構30の有する複数の弾性部材は、第1ハウジング10の有する最大の開口部15から第1ハウジング10の内側に撓みの無い状態で配置することが可能である。その後、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを固定すればよい。
なお、第1ハウジング10の内側に配置した複数の弾性部材を撓ませるには、例えば、ペダルパッド40に取り付けておいた連結ロッド70で弾性部材を押圧してもよく、または、上ホルダ37に取り付けておいた連結ロッド70をペダルパッド40で押圧してもよい。或いは、治具などを使用して複数の弾性部材を撓ませてもよい。このように、第1実施形態のペダル装置1は、各部材を容易に組み立てることが可能であり、製造工程における各部材の組み付け性を向上できる。
【0044】
以上説明した第1実施形態のペダル装置1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、ペダル装置1は、第1ハウジング10よりヤング率の大きい剛体部21により構成された第2ハウジング20により、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持する構成である。これにより、運転者からペダルパッド40に踏力が印加され反力発生機構30から第2ハウジング20に高荷重が入力される場合でも、剛体部21により構成された第2ハウジング20の変形量は小さいものとなる。そのため、反力発生機構30はペダルパッド40に対して安定した反力を出すことが可能である。したがって、このペダル装置1は、反力発生機構30を支持する部位22に第2ハウジング20といった必要最低限の部材の追加をすることで、踏力特性を安定させると共に、ペダル装置1の重量の増加を最小限に抑えることができ、軽量化を実現できる。
【0045】
(2)第1実施形態では、剛体部21により構成された第2ハウジング20は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位(第1実施形態では、板ばね31の一端311)と車体との間に配置される。
これによれば、運転者からペダルパッド40に踏力が印加され反力発生機構30から第2ハウジング20に高荷重が入力される場合でも、剛体部21により構成された第2ハウジング20の変形量を小さくすることが可能である。
【0046】
(2)第1実施形態では、第2ハウジング20は、反力発生機構30を支持する部位22に加えて、車体に固定される部位23を一体に有している。
これによれば、第2ハウジング20のうち車体に固定される部位23を用いてペダル装置1と車体とを固定することで、車両搭載時のペダル装置1の変形を抑制できる。したがって、踏力特性を安定させると共に、ペダル装置1の重量の増加を最小限に抑えることができ、軽量化を実現できる。
【0047】
(3)第1実施形態では、第2ハウジング20は、金属により形成されている。
これによれば、第1ハウジング10よりヤング率の大きい剛体部21として金属が例示される。
【0048】
(4)第1実施形態では、第1ハウジング10は、反力発生機構30を挿入可能な開口部15を少なくとも1方向に有し、その開口部15を塞ぐ第2ハウジング20と共に反力発生機構30を覆っている。
これによれば、第1ハウジング10の内側に配置される反力発生機構30に異物が侵入することを抑制することができる。
【0049】
(5)第1実施形態では、第1ハウジング10は、ペダルパッド40の回転軸41を回転可能に支持する軸受部16を有している。
これによれば、運転者からペダルパッド40に踏力が印加され反力発生機構30から第2ハウジング20に高荷重が入力される場合でも、第2ハウジング20から第1ハウジング10への荷重伝達が分断されるので、第1ハウジング10はその荷重の影響を受けにくい。そのため、第1ハウジング10に軸受部16を設けることで、ペダルパッド40の搖動を安定させることができ、センサユニット50の出力信号の信頼性を向上できる。
また、ペダル装置1の製造工程において、第1ハウジング10に対し回転軸41とペダルパッド40とを組み付けて第1のサブアッシーを構成し、その一方で第2ハウジング20と反力発生機構30とを組み付けて第2のサブアッシーを構成することが可能である。そして、第1のサブアッシーと第2のサブアッシーとを組み付けることで、ペダル装置1を容易に組み立てることが可能となり、ペダル装置1の組み付け性を向上できる。
【0050】
(6)第1実施形態では、第1ハウジング10は、第2ハウジング20が設けられる側に反力発生機構30の有する弾性部材を撓みの無い状態で挿入可能な最大の開口部15を有し、その最大の開口部15が第2ハウジング20により塞がれる構成となっている。
これによれば、ペダル装置1の製造工程において、第1ハウジング10の有する最大の開口部15から第1ハウジング10と第2ハウジング20との間に反力発生機構30の有する弾性部材を撓みの無い状態で配置することが可能である。そのため、第1ハウジング10と第2ハウジング20との間に反力発生機構30を組み付ける際に、反力発生機構30の有する弾性部材を撓ませるための治具を必要としない。したがって、このペダル装置1は、各部材を容易に組み立てることが可能であり、組み付け性を向上できる。
【0051】
(7)第1実施形態では、反力発生機構30は、複数の弾性部材を有している。
これによれば、ペダル操作量の変化に対して反力発生機構30の反力を多段階に変化させることが可能となるので、従来のブレーキシステムに特有である多段反力特性を再現することができる。
【0052】
(8)第1実施形態では、複数の弾性部材は、少なくとも1つの板ばね31を含んでいる。その板ばね31は第2ハウジング20の剛体部21に固定されている。
これによれば、仮に、反力発生機構30の弾性部材をコイルばねのみで構成した場合、「コイルばねの線径×巻き数」と「撓み量」とを合わせた空間が必要となる。それに対し、反力発生機構30の弾性部材に板ばね31を用いた場合、「板ばね31の板厚」と「撓み量」とを合わせた空間があればよい。そのため、コイルばねを設置するために必要な空間に比べて、板ばね31を設置するために必要な空間は小さいものとなる。したがって、このペダル装置1は、反力発生機構30の弾性部材に板ばね31を用いることで、第1ハウジング10内の容積を小さくすることが可能となる。その結果、このペダル装置1は、体格を小型化することができる。
【0053】
(9)第1実施形態のペダル装置1は、センサユニット50の出力信号に基づくECU110の駆動制御によりブレーキ回路が車両の制動に必要な液圧を発生させるブレーキバイワイヤシステム100に使用されるブレーキペダル装置である。
これによれば、このペダル装置1をブレーキバイワイヤシステム100に使用することで、ペダル装置1のセンサユニット50から出力される検出精度の高い電気信号に基づき、ECU110の駆動制御により、正確な車両制動制御を実現することができる。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態について図6図11を参照しつつ説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して反力発生機構30の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
図6および図7に示すように、第2実施形態のペダル装置1も、第1ハウジング10、第2ハウジング20、反力発生機構30、ペダルパッド40およびセンサユニットなどを備えている。なお、第2実施形態以降に参照する各図では、各構成を簡略化して示すと共に、センサユニットの図示を省略している。
【0056】
第1ハウジング10は、最大の開口部15を、ペダル装置1が設置される車体側に有している。第1ハウジング10の開口部15は、第2ハウジング20により塞がれる構成となっている。第2ハウジング20は、第1ハウジング10よりヤング率の大きい剛体部21により構成されている。第2実施形態の第2ハウジング20も、全体が剛体部21により構成されている。
【0057】
反力発生機構30は、1つの弾性部材とおよび上ホルダ37を有している。1つの弾性部材は、コイルばね32により構成されている。コイルばね32のうちペダルパッド40とは反対側の下端部は、第2ハウジング20により支持されている。第2実施形態では、コイルばね32の下端部321が、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位に相当する。すなわち、第2ハウジング20は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。第2実施形態においても、第2ハウジング20は全体が剛体部21で構成されている。そのため、反力発生機構30から高荷重が入力される場合でも、第2ハウジング20のうち反力発生機構30を支持する部位22の変形量は小さいものとなる。
【0058】
上ホルダ37は、コイルばね32のうちペダルパッド40側の上端部322に設けられている。上ホルダ37とペダルパッド40とは、連結ロッド70により接続されている。連結ロッド70は、ペダルパッド40側の端部がペダルパッド40に固定され、板ばね31側の端部が上ホルダ37に摺動可能に接している。なお、連結ロッド70は、ペダルパッド40側の端部がペダルパッド40に搖動可能に接続され、板ばね31側の端部が上ホルダ37に搖動可能に接続される構成としてもよい。連結ロッド70は、第1ハウジング10に設けられた上開口部17を挿通している。第2実施形態では、上開口部17は、上ホルダ37の外径より小さく形成されている。すなわち、上開口部17は、連結ロッド70が挿通可能な大きさであり、上ホルダ37は挿通できない大きさとなっている。
【0059】
次に、第2実施形態のペダル装置1の製造方法について説明する。
図8に示すように、第2実施形態のペダル装置1も、第1実施形態と同じく、第1ハウジング10に対し回転軸41とペダルパッド40とを組み付けて第1のサブアッシーを構成し、その一方で第2ハウジング20に反力発生機構30を組み付けて第2のサブアッシーを構成する。そして、図8の矢印Aに示すように、第1ハウジング10の開口部15から反力発生機構30を挿入しつつ、第1のサブアッシーと第2のサブアッシーとを組み付ける。なお、図8では、ペダルパッド40を省略している。
【0060】
第2実施形態のペダル装置1の製造方法を、図9図11を参照し、詳細に説明する。
まず、図9に示すように、反力発生機構30の有するコイルばね32を第2ハウジング20に設置し、コイルばね32の上に上ホルダ37を設置する。これにより、第2のサブアッシーを構成する。このとき、コイルばね32は、ほぼ自由長の状態にある。なお、コイルばね32は、少し撓んでいても問題ない。
【0061】
次に、図10に示すように、第1ハウジング10に対し回転軸41とペダルパッド40とを組み付けた第1のサブアッシーを、第2のサブアッシーの上に持ってゆく。そして、図10の矢印B、Cに示すように、第1ハウジング10の内側にコイルばね32と上ホルダ37を挿入し、コイルばね32を撓ませつつ、第1ハウジング10を第2ハウジング20に当接するまで移動させる。なお、このとき、第2ハウジング20を第1ハウジング10側に移動してもよい。
【0062】
続いて、図11に示すように、第1ハウジング10と第2ハウジング20とをボルトなどの固定部材で固定し、第1のサブアッシーと第2のサブアッシーとを組み付ける。このように、第2実施形態のペダル装置1も、各部材を容易に組み立てることが可能であり、製造工程における各部材の組み付け性を向上できる。
【0063】
以上説明した第2実施形態のペダル装置1は、第1実施形態と同様の構成から第1実施形態と同様の作用効果を奏することが可能である。また、第2実施形態では、反力発生機構30の有する弾性部材の撓み方向と、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組み付け方向とが、軸心CLに垂直な仮想平面に対して平行となっている。そのため、ペダル装置1の製造工程において、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを組み付ける際に、反力発生機構30の有する弾性部材を撓ませつつ組み付けることができる。
【0064】
なお、第2実施形態の変形例として、図示は省略するが、第1ハウジング10を第2ハウジング20に移動させる際にコイルばね32を撓ませる方法として、図10に示した方法の他に、次のような方法を採用してもよい。例えば、ペダルパッド40に連結ロッド70を予め取り付けておき、その連結ロッド70の下端部で上ホルダ37を押圧してコイルばね32を撓ませる方法を採用してもよい。或いは、上ホルダ37に連結ロッド70を予め取り付けておき、ペダルパッド40で連結ロッド70の上端部を押圧してコイルばね32を撓ませる方法を採用してもよい。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態について図12および図13を参照しつつ説明する。第3実施形態は、第1実施形態等に対して第1ハウジング10と第2ハウジング20の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図12図13Aおよび図13Bに示すように、第3実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10は、右側壁13の一部と底壁の一部に開口部15を有している。なお、第1ハウジング10の底壁とは、ペダル装置1が設置される車体側の壁である。
【0067】
一方、第2ハウジング20は、L字形に形成され、第1ハウジング10の開口部15を塞ぐ構成となっている。第2ハウジング20は、第1ハウジング10よりヤング率の大きい剛体部21により構成されている。第3実施形態の第2ハウジング20も、全体が剛体部21により構成されている。
【0068】
反力発生機構30は、1つの弾性部材とおよび上ホルダ37を有している。1つの弾性部材は、コイルばね32により構成されている。コイルばね32のうちペダルパッド40とは反対側の下端部は、第2ハウジング20により支持されている。第3実施形態では、コイルばね32の下端部321が、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位に相当する。すなわち、第2ハウジング20は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。第2ハウジング20は、剛体部で構成されているので、反力発生機構30から高荷重が入力される場合でも、第2ハウジング20の変形量は小さいものとなる。
【0069】
次に、第3実施形態のペダル装置1の製造方法について説明する。
図13Aおよび図13Bに示すように、第3実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同じく、第1ハウジング10に対し回転軸41とペダルパッド40とを組み付けて第1のサブアッシーを構成し、その一方で第2ハウジング20に反力発生機構30を組み付けて第2のサブアッシーを構成する。そして、図13Aの矢印D1または図13Bの矢印D2に示すように、第1ハウジング10の開口部15の側方または下方から反力発生機構30を挿入しつつ、第1のサブアッシーと第2のサブアッシーとを組み付ける。なお、図13Aおよび図13Bでは、ペダルパッド40を省略している。
【0070】
以上説明した第3実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0071】
(第4~第10実施形態)
次に説明する第4~第10実施形態は、第1実施形態等に対して、主に、ペダルパッド40の回転軸41および軸受部16の構成について説明するものであり、その他の構成については概ね第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
(第4実施形態)
図14および図15に示すように、第4実施形態では、第1実施形態等と同様に、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部16が第1ハウジング10に設けられている。具体的には、第1ハウジング10に設けられた軸受部16は、回転軸41のうち軸心CL方向の一端と他端を支持している。ペダルパッド40は、回転軸41のうち中央部に固定されている。
【0073】
なお、第4実施形態においても、第1ハウジング10は、底壁の一部に開口部15を有している。第1ハウジング10の開口部15は、剛体部21により構成された第2ハウジング20により塞がれている。第2ハウジング20は、コイルばね32を設置するためのばね受部27を有している。そして、第2ハウジング20は、反力発生機構30の有するコイルばね32のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。そのため、反力発生機構30から高荷重が入力される場合でも、第2ハウジング20の変形量は小さいものとなる。
【0074】
以上説明した第4実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様に、反力発生機構30から第2ハウジング20に高荷重が入力される場合、第2ハウジング20から第1ハウジング10への荷重伝達が分断されるので、第1ハウジング10はその荷重の影響を受けにくい。そのため、第1ハウジング10に軸受部16を設けることで、ペダルパッド40の搖動を安定させることができ、センサユニットの出力信号の信頼性を向上できる。
【0075】
また、ペダル装置1の製造工程において、第1ハウジング10に対し回転軸41とペダルパッド40とを組み付けて第1のサブアッシーを構成し、その一方で第2ハウジング20と反力発生機構30とを組み付けて第2のサブアッシーを構成することが可能である。そして、第1のサブアッシーと第2のサブアッシーとを組み付けることで、ペダル装置1を容易に組み立てることが可能となり、ペダル装置1の組み付け性を向上できる。
【0076】
このように、第4実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0077】
(第5実施形態)
第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。図16に示すように、第5実施形態でも、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部16が第1ハウジング10に設けられている。具体的には、第1ハウジング10に設けられた軸受部16は、回転軸41のうち中央部を支持している。ペダルパッド40は、回転軸41のうち軸心CL方向の一端と他端に固定されている。
【0078】
第5実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0079】
(第6実施形態)
図17および図18に示すように、第6実施形態では、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部26が第2ハウジング20に設けられている。具体的には、第2ハウジング20に設けられた軸受部26は、回転軸41のうち軸心CL方向の一端と他端を支持している。ペダルパッド40は、回転軸41のうち中央部に固定されている。
【0080】
また、第2ハウジング20は、軸受部26から車両前方へ延びており、その途中にコイルばね32を設置するためのばね受部27を有している。コイルばね32は、反力発生機構30の有する弾性部材の一例である。すなわち、第2ハウジング20は、反力発生機構30の有する弾性部材のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。
【0081】
第1ハウジング10は、反力発生機構30の有する弾性部材としてのコイルばね32と、そのコイルばね32の上端部に設けられる上ホルダ37を覆っている。第1ハウジング10は、ペダル装置1が設置される車体側に最大の開口部15を有している。そして、第1ハウジング10の有する最大の開口部15は、第2ハウジング20により塞がれる構成となっている。なお、第6実施形態の第1ハウジング10は、軸受部26および回転軸41を覆っていない。
【0082】
以上説明した第6実施形態も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。さらに、第6実施形態のペダル装置1は、第2ハウジング20が軸受部26を有し、且つ、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。これによれば、ペダルパッド40の搖動の軸心CLと反力発生機構30との距離の位置精度を向上することが可能となる。したがって、ペダル装置1の各部材の組み付け公差による反力発生機構30の反力のばらつきを抑制することができる。
【0083】
(第7実施形態)
第7実施形態は、第6実施形態の変形例である。図19に示すように、第7実施形態でも、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部26が第2ハウジング20に設けられている。具体的には、第2ハウジング20に設けられた軸受部26は、回転軸41のうち中央部を支持している。ペダルパッド40は、回転軸41のうち軸心CL方向の一端と他端に固定されている。
【0084】
第7実施形態のペダル装置1も、第6実施形態等と同様の構成から第6実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0085】
(第8実施形態)
第8実施形態も、第6実施形態の変形例である。図20では、第8実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20のみを示している。第2ハウジング20は、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部26を有している。具体的には、第2ハウジング20に設けられた軸受部26は、回転軸41のうち軸心CL方向の一端と他端を支持する構成とされている。
【0086】
また、第2ハウジング20は、軸受部26に対して車体側の部位に、第1実施形態で説明した反力発生機構30を構成する板ばね31の一端311を支持する部位22(すなわち、ばね受部22)を有している。ばね受部22には、板ばね31の一端311をボルトなどにより固定するためのねじ穴221が設けられている。板ばね31は、反力発生機構30の有する弾性部材の一例である。すなわち、第2ハウジング20は、反力発生機構30の有する弾性部材のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持可能な構成とされている。
【0087】
また、第2ハウジング20は、ばね受部22から車両前方へ延びており、その途中に、車体に固定される部位23を有している。車体に固定される部位23は、左側および右側にそれぞれ延出しており、板厚方向に通じる穴24が設けられている。そして、第2ハウジング20は、その穴24に対して図示しないボルトなどが挿通され、車両のフロア2またはダッシュパネルに固定される。なお、第2ハウジング20は、軸受部26と、反力発生機構30を支持するばね受部22と、車体に固定される部位23とが剛体部21により一体に形成されている。
【0088】
以上説明した第8実施形態も、第6、第7実施形態等と同様の構成から、第6、第7実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0089】
(第9実施形態)
第9実施形態も、第8実施形態と同じく、第6、第7実施形態の変形例である。図21では、第9実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20のみを示している。第2ハウジング20は、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部26を有している。
【0090】
また、第2ハウジング20は、軸受部26に対して車体側の部位に、第1実施形態で説明した板ばね31の一端311を支持するためのばね受部22を有している。第2ハウジング20は、反力発生機構30の有する弾性部材のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持可能な構成とされている。
【0091】
以上説明した第9実施形態も、第6~第8実施形態等と同様の構成から、第6~第8実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0092】
(第10実施形態)
図22に示すように、第10実施形態では、ペダルパッド40の回転軸41を支持する軸受部材46がフロア2またはダッシュパネル(すなわち車体)に直接取り付けられる構成となっている。
第2ハウジング20は、軸受部材46から離れた位置でフロア2またはダッシュパネル(すなわち車体)に取り付けられる構成となっている。第2ハウジング20は、コイルばね32を設置するためのばね受部27を有している。そのコイルばね32は、反力発生機構30の有する弾性部材の一例である。すなわち、第2ハウジング20は、反力発生機構30の有する弾性部材のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。
【0093】
第1ハウジング10は、反力発生機構30の有する弾性部材としてのコイルばね32と、そのコイルばね32の上端部に設けられる上ホルダ37を覆っている。第1ハウジング10は、ペダル装置1が設置される車体側に最大の開口部15を有している。そして、第1ハウジング10の有する最大の開口部15は、第2ハウジング20により塞がれる構成となっている。
【0094】
以上説明した第10実施形態も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。さらに、第10実施形態のペダル装置1は、第1ハウジング10および第2ハウジング20の構成を簡素にすることができる。
【0095】
(第11~第12実施形態)
次に説明する第11~第12実施形態は、第4実施形態等に対して、第2ハウジング20の構成の一部を変更したものであり、その他の構成については第4実施形態等と同様であるため、第4実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0096】
(第11実施形態)
図23に示すように、第11実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20は、第1ハウジング10よりヤング率の大きい剛体部21と、その剛体部21をモールドする樹脂部28を有している。第2ハウジング20の有する剛体部21と樹脂部28は、インサート成形により一体に形成されている。
【0097】
第2ハウジング20の有する剛体部21は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位と車体との間に配置されている。第11実施形態では、第2ハウジング20は、反力発生機構30側に剛体部21が配置され、車体側に樹脂部28が配置されている。剛体部21には、コイルばね32を設置するためのばね受部27が設けられている。コイルばね32は、反力発生機構30の有する弾性部材の一例である。すなわち、第2ハウジング20の剛体部21は、反力発生機構30の有する弾性部材のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。
【0098】
以上説明した第11実施形態も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。また、第11実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20は、剛体部21を少なくとも一部に有し、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を剛体部21により支持する構成である。そのため、運転者からペダルパッド40に踏力が印加され反力発生機構30から剛体部21に高荷重が入力される場合でも、剛体部21の変形量は小さいものとなる。したがって、反力発生機構30はペダルパッド40に対して安定した反力を出すことが可能である。このように、このペダル装置1は、反力発生機構30を支持する部位22に剛体部21といった必要最低限の部材の追加をすることで、踏力特性を安定させると共に、ペダル装置1の重量の増加を最小限に抑えることができ、軽量化を実現できる。
【0099】
(第12実施形態)
図24に示すように、第12実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20も、剛体部21と樹脂部28を有している。第2ハウジング20の有する剛体部21と樹脂部28は、インサート成形により一体に形成されている。
【0100】
第2ハウジング20の有する剛体部21は、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位と車体との間に配置されている。第12実施形態では、第2ハウジング20は、反力発生機構30側に樹脂部28が配置され、車体側に剛体部21が配置されている。樹脂部28には、コイルばね32を設置するためのばね受部27が設けられている。コイルばね32は、反力発生機構30の有する弾性部材の一例である。第2ハウジング20の剛体部21は、樹脂部28に設けられたばね受部27の車体側に配置されている。この構成により、第2ハウジング20の剛体部21は、反力発生機構30の有する弾性部材のうちペダルパッド40とは反対側の部位を支持している。
【0101】
図25に示すように、第2ハウジング20の剛体部21は、反力発生機構30を支持する部位(すなわち、ばね受部27)に加えて、車体に固定される部位23を一体に有している。第2ハウジング20の剛体部21は、反力発生機構30を支持する部位(すなわち、ばね受部27)と、車体に固定される部位23とが一体に形成されている。車体に固定される部位23は、第1ハウジング10よりも左側および右側にそれぞれ延出しており、板厚方向に通じる穴24が設けられている。そして、第2ハウジング20は、その穴24に対して図示しないボルトなどが挿通され、車両のフロア2またはダッシュパネルに固定される。
【0102】
以上説明した第12実施形態も、第1実施形態等と同様の構成から第1実施形態等と同様の作用効果を奏することが可能である。また、第12実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20も、剛体部21を少なくとも一部に有し、反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を剛体部21により支持する構成である。そのため、第12実施形態のペダル装置1も、第11実施形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0103】
(第13~第22実施形態)
次に説明する第13~第22実施形態は、第1実施形態等に対して、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定方法について説明するものであり、その他の構成については第1実施形態等と同様である。詳細には、第13~第15実施形態は、固定部材としてのボルト60を使用した固定方法の例である。第16~第18実施形態は、スナップフィットによる固定方法の例である。第19実施形態は、加締めによる固定方法の例である。第20~第22実施形態は、それらの固定方法に位置決め構造を追加した例である。
【0104】
(第13実施形態)
図26に示すように、第13実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10は、左側壁12および右側壁13のうち第2ハウジング20側の部位からそれぞれ外側へ延びるフランジ部18を有している。フランジ部18には、板厚方向に通じる穴19が設けられている。一方、第2ハウジング20には、フランジ部18の穴19に対応する位置に、ねじ穴29が設けられている。ねじ穴29の内壁には、雌ねじが設けられている。そして、固定部材としてのボルト60は、第1ハウジング10の外側からフランジ部18の穴19に挿通され、第2ハウジング20のねじ穴29に螺合している。この構成により、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが固定されている。
【0105】
以上説明した第13実施形態では、ペダル装置1を車体に取り付けた状態で、固定部材としてのボルト60が乗員から見える位置に配置される構成である。したがって、ペダル装置1を車体に取り付けた状態でボルト60を取り外すことが可能であり、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを必要に応じて分解することができる。
【0106】
(第14実施形態)
図27に示すように、第14実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10は、左側壁12および右側壁13に、第2ハウジング20側に開口するねじ穴101を有している。ねじ穴101の内壁には、雌ねじが設けられている。一方、第2ハウジング20には、第1ハウジング10のねじ穴101に対応する位置に、板厚方向に通じる穴部201が設けられている。第2ハウジング20に設けられた穴部201は、第1ハウジング10側の小径穴202と、車体側の大径穴203により構成されている。小径穴202は固定部材としてのボルト60の軸が通る大きさであり、大径穴203はボルト60の頭部が納まる大きさである。小径穴202と大径穴203との間には段差面204が設けられている。
【0107】
そして、固定部材としてのボルト60は、第2ハウジング20の外側から大径穴203と小径穴202に通され、第1ハウジング10のねじ穴101に螺合している。ボルト60の頭部は、大径穴203に納まった状態で、段差面204に当接している。この構成により、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが固定されている。
【0108】
以上説明した第14実施形態では、ペダル装置1を車体に取り付けた状態で、固定部材としてのボルト60が乗員から見えない位置に配置される構成である。そのため、ペダル装置1を車体に取り付けた状態ではボルト60を取り外すことができない。したがって、このペダル装置1は、いたずらに分解されることを防ぐことができる。
【0109】
(第15実施形態)
図28に示すように、第15実施形態のペダル装置1が備える第2ハウジング20は、第1ハウジング10より外側に延出した部位から第1ハウジング10の左側壁12および右側壁13に沿って立ち上がる立壁部205を有している。立壁部205には、第1ハウジング10側に通じる穴206が設けられている。一方、第1ハウジング10の左側壁12および右側壁13には、立壁部205の穴206に対応する位置に、ねじ穴102が設けられている。ねじ穴102の内壁には、雌ねじが設けられている。そして、固定部材としてのボルト60は、立壁部205の外側から立壁部205の穴206に挿通され、第1ハウジング10のねじ穴102に螺合している。この構成により、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが固定されている。
【0110】
以上説明した第15実施形態では、ペダル装置1を車体に取り付けた状態で、固定部材としてのボルト60が乗員から見える位置に配置される構成である。したがって、ペダル装置1を車体に取り付けた状態でボルト60を取り外すことが可能であり、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを必要に応じて分解することができる。
【0111】
(第16実施形態)
図29に示すように、第16実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10は、左側壁12および右側壁13のうち第2ハウジング20側を向く面から第2ハウジング20側に突出するスナップフィット用の係止爪103を有している。係止爪103の先端には、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが向き合う方向に対して交差する方向に突出する先端突起104が設けられている。
【0112】
一方、第2ハウジング20には、第1ハウジング10の係止爪103に対応する位置に、板厚方向に通じる穴部201が設けられている。第2ハウジング20に設けられた穴部201は、第1ハウジング10側の小径穴202と、車体側の大径穴203により構成されている。小径穴202は係止爪103が通る大きさであり、大径穴203は係止爪103の先端突起104が納まる大きさである。小径穴202と大径穴203との間には段差面204が設けられている。
【0113】
そして、第1ハウジング10から突出する係止爪103は、第2ハウジング20の小径穴202から大径穴203に通され、その係止爪103の先端突起104が大径穴203に納まった状態で段差面204に係止されている。この構成により、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが固定されている。
【0114】
以上説明した第16実施形態では、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定にスナップフィットを採用することで、組み付け性を向上することができる。また、第16実施形態では、ペダル装置1を車体に取り付けた状態で、スナップフィット用の係止爪103が乗員から見えない位置に配置される構成である。そのため、ペダル装置1を車体に取り付けた状態ではスナップフィットを取り外すことができない。したがって、このペダル装置1は、いたずらに分解されることを防ぐことができる。
【0115】
(第17実施形態)
第17実施形態は、第16実施形態の変形例である。図30に示すように、第17実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10も、スナップフィット用の係止爪103を有している。第17実施形態では、係止爪103のほぼ全周に先端突起104が設けられている。
【0116】
第17実施形態においても、第1ハウジング10から突出する係止爪103は、第2ハウジング20の小径穴202から大径穴203に通され、その係止爪103の先端突起104が大径穴203に納まった状態で段差面204に係止されている。この構成により、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが固定されている。
【0117】
以上説明した第17実施形態も、第16実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0118】
(第18実施形態)
図31に示すように、第18実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10は、左側壁12および右側壁13の途中に外側に突出するスナップフィット用の係止爪103を有している。係止爪103は、第2ハウジング20側から遠ざかるに従い次第に肉厚が厚くなる傾斜形状とされている。一方、第2ハウジング20は、第1ハウジング10より外側に延出した部位から第1ハウジング10の左側壁12および右側壁13に沿って立ち上がる立壁部205を有している。立壁部205のうち第1ハウジング10の係止爪103に対応する箇所には、係止爪103を係止するための穴210が設けられている。
【0119】
第1ハウジング10の左側壁12および右側壁13から突出する係止爪103は、第2ハウジング20の立壁部205に設けられた穴210に嵌合し、立壁部205の穴のうち車体とは反対側の内壁面211に係止されている。この構成により、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが固定されている。
【0120】
以上説明した第18実施形態では、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定にスナップフィットを採用することで、組み付け性を向上することができる。また、第18実施形態では、ペダル装置1を車体に取り付けた状態で、スナップフィット用の係止爪103が乗員から見える位置に配置される構成である。そのため、ペダル装置1を車体に取り付けた状態でスナップフィット用の係止爪103を取り外すことが可能であり、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを必要に応じて分解することができる。
【0121】
(第19実施形態)
第19実施形態では、第1ハウジング10と第2ハウジング20とは加締めにより固定される。図32に示すように、第19実施形態のペダル装置1が備える第1ハウジング10は、左側壁12および右側壁13のうち第2ハウジング20側を向く面から第2ハウジング20側に突出する柱部105および大径部106を有している。第1ハウジング10と柱部105と大径部106は、連続した材料で一体に形成されている。また、大径部106は、柱部105よりも大きく形成されている。なお、図32の破線107に示したように、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを固定する前の状態では、柱部105と大径部106とは同じ大きさであり、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを固定する際に大径部106は熱加締めによって柱部105よりも大きくなるように加工成形される。
【0122】
一方、第2ハウジング20には、第1ハウジング10の柱部105および大径部106に対応する位置に、板厚方向に通じる穴部201が設けられている。第2ハウジング20に設けられた穴部201は、第1ハウジング10側の小径穴202と、車体側の大径穴203により構成されている。小径穴202は柱部105が通る大きさであり、大径穴203は大径部106が納まる大きさである。小径穴202と大径穴203との間には段差面204が設けられている。
【0123】
第1ハウジング10と第2ハウジング20とを組み付ける際、図32の破線107に示した突起を、第2ハウジング20に設けられた穴部201に挿通する。そして、その突起の先端を加熱して潰すといった熱加締めを行うことで、大径部106を形成する。これにより、第1ハウジング10と第2ハウジング20とがかしめ固定される。
【0124】
以上説明した第19実施形態では、第1ハウジング10と第2ハウジング20とは、熱加締めにより固定される。そのため、柱部105と大径部106とを切断しない限り第1ハウジング10と第2ハウジング20とを分解することができなくなる。また、第19実施形態では、ペダル装置1を車体に取り付けた状態で、第1ハウジング10から突出する柱部105および大径部106が乗員から見えない位置に配置される構成である。したがって、このペダル装置1は、いたずらに分解されることを防ぐことができる。
【0125】
なお、第19実施形態の変形例として、図示は省略するが、第2ハウジング20に柱部および大径部を設け、第1ハウジング10側に穴部を設けて、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを加締めにより固定してもよい。
【0126】
(第20実施形態)
第20実施形態は、第13実施形態で説明した固定方法に対し、位置決め構造を追加した例である。図33に示すように、第20実施形態のペダル装置1が備える位置決め構造62は、第1ハウジング10のフランジ部18に設けられた第1位置決め部63と、第2ハウジング20に設けられた第2位置決め部64により構成されている。第20実施形態では、第1位置決め部63は、第1ハウジング10のフランジ部18から第2ハウジング20側に突出する凸部である。一方、第2位置決め部64は、第2ハウジング20のうち第1位置決め部63に対応する位置に設けられた凹部である。第1位置決め部63としての凸部と第2位置決め部64としての凹部とが嵌合することで、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組付け位置が精度よく定められる。なお、位置決め構造62は、固定部材としてのボルト60が取り付けられる箇所と同じ箇所に設けてもよく、或いは、ボルト60が取り付けられる箇所とは別の箇所に設けてもよい。
【0127】
図34図36では、位置決め構造62を構成する第1位置決め部63と第2位置決め部64の形状の例を示している。図34に示すように、第1位置決め部63を円柱状、第2位置決め部64をそれに対応した円筒状としてもよい。図35および図36に示すように、第1位置決め部63を四角柱状、第2位置決め部64をそれに対応した角筒状としてもよい。
なお、図示は省略するが、位置決め構造62を構成する凸部としてピンまたはリブなど種々の構成を採用でき、位置決め構造62を構成する凹部として溝または穴など種々の構成を採用できる。
【0128】
以上説明した第20実施形態では、位置決め構造62により、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組付け位置が精度よく定められている。これによれば、ペダル装置1は、位置決め構造62を備えることで、第1ハウジング10と第2ハウジング20とをボルト60のみで組み付ける場合に比べて、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組み付け位置の精度を高めることができる。
【0129】
なお、第20実施形態では、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定方法としてボルト60を採用したが、これに限らず、スナップフィットまたは加締めなどを採用してもよい。
【0130】
(第21実施形態)
図37に示すように、第21実施形態は、第14実施形態で説明した固定方法に対し、位置決め構造62を追加した例である。また、第21実施形態で説明する位置決め構造62は、第20実施形態で説明した位置決め構造62の変形例である。
第21実施形態のペダル装置1が備える位置決め構造62は、第1ハウジング10に設けられた第1位置決め部63と、第2ハウジング20に設けられた第2位置決め部64により構成されている。第21実施形態では、第1位置決め部63は、第1ハウジング10に設けられた凹部である。一方、第2位置決め部64は、第2ハウジング20のうち第1位置決め部63に対応する位置に設けられた凸部である。第1位置決め部63としての凹部と第2位置決め部64としての凸部とが嵌合することで、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組付け位置が精度よく定められる。なお、位置決め構造62は、固定部材としてのボルト60が取り付けられる箇所と同じ箇所に設けてもよく、或いは、ボルト60が取り付けられる箇所とは別の箇所に設けてもよい。
【0131】
以上説明した第21実施形態においても、位置決め構造62により、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組付け位置が精度よく定められている。これによれば、ペダル装置1は、位置決め構造62を備えることで、第1ハウジング10と第2ハウジング20とをボルト60のみで組み付ける場合に比べて、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組み付け位置の精度を高めることができる。
【0132】
なお、第21実施形態でも、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定方法として固定部材としてのボルト60を採用したが、これに限らず、スナップフィットまたは加締めなどを採用してもよい。
【0133】
(第22実施形態)
第22実施形態では、位置決め構造62のさらに別の例を説明する。図38および図39に示すように、第22実施形態のペダル装置1が備える位置決め構造62は、第1ハウジング10の左側壁12または右側壁13に設けられた第1位置決め部65と、第2ハウジング20の立壁部205に設けられた第2位置決め部66により構成されている。第22実施形態では、第1位置決め部65は、第1ハウジング10の左側壁12または右側壁13から外側に突出する凸部である。一方、第2位置決め部66は、第2ハウジング20の立壁部205に設けられた凹部である。第1位置決め部65としての凸部と第2位置決め部66としての凹部とが嵌合することで、第1ハウジング10と第2ハウジング20との組付け位置が精度よく定められる。
【0134】
以上説明した第22実施形態も、第20、第21実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0135】
(第23実施形態)
図40に示すように、第23実施形態のペダル装置1は、ブレーキペダル装置3とアクセルペダル装置4とが一体に構成されたものである。ブレーキペダル装置3とアクセルペダル装置4とは、共通の第2ハウジング20に設置されている。なお、アクセルペダル装置4は、アクセルバイワイヤ式のものが採用されている。アクセルバイワイヤとは、アクセルペダル400の搖動角(すなわち、アクセルペダルのストローク量)を検出するセンサユニットから出力される電気信号に基づき、車両に搭載されるECUにより電子制御スロットルの開閉を制御する、または走行用モータの駆動を制御するシステムである。
【0136】
ブレーキペダル装置3の構成は、第1実施形態で説明したものと実質的に同一の構成である。ただし、ブレーキペダル装置3の備える第2ハウジング20は、ブレーキペダル装置3の備える第1ハウジング10の外縁よりも外側に延びてアクセルペダル装置4のハウジング401を支持する固定部200を有している。第2ハウジング20のうちブレーキペダル装置3を支持する部位230と、アクセルペダル装置4を支持する固定部200とは連続した材料により一体に形成されている。
【0137】
第23実施形態においても、第2ハウジング20は、第1実施形態等と同様に、ブレーキペダル装置3の第1ハウジング10よりヤング率の大きい部材により構成されるか、または、第1ハウジング10よりヤング率の大きい部材を少なくとも一部に有している。そして、第2ハウジング20は、ブレーキペダル装置3の備える反力発生機構30のうちペダルパッド40とは反対側の部位を剛体部21により支持している。
【0138】
以上説明した第23実施形態では、第2ハウジング20は、ブレーキペダル装置3の備える第1ハウジング10の外縁よりも外側に延びてアクセルペダル装置4を支持する固定部200を有している。これによれば、ブレーキペダル装置3とアクセルペダル装置4とを一体化することが可能である。そのため、ブレーキペダル装置3の有するペダルパッド40とアクセルペダル装置4の有するアクセルペダル400との位置関係を維持した状態で、車両に組み付けることが可能となる。具体的には、ブレーキペダル装置3の有するペダルパッド40よりアクセルペダル400が乗員から遠い位置とされる位置関係を維持した状態で車両に組み付けることが可能となる。したがって、ブレーキペダル装置3とアクセルペダル装置4の車両への組み付け性を向上すると共に、車両の安全性を高めることができる。また、ブレーキペダル装置3とアクセルペダル装置4とを1部品として車両に容易に取り付けできる。
【0139】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、ペダル装置1の一例としてブレーキペダル装置について説明したが、これに限らず、ペダル装置1はアクセルペダル装置とすることもできる。または、ペダル装置1は、運転者が足で操作する種々の装置とすることもできる。
【0140】
(2)上記各実施形態では、ペダル装置1の一例として、ペダルパッド40とマスターシリンダ126とが機械的に接続されていないものについて説明したが、これに限らず、ペダル装置1はペダルパッド40とマスターシリンダ126とが機械的に接続されたものであってもよい。
【0141】
(3)上記各実施形態では、反力発生機構30の一例として板ばね31と複数のコイルばね33、34の組み合わせで構成したもの、1個のコイルばね32で構成したものについて説明した。これに限らず、反力発生機構30は、例えば複数個のコイルばね33、34で構成してもよく、或いは、1個または複数個の板ばね31で構成してもよい。或いは、ペダルパッド40とマスターシリンダ126とを機械的に接続し、運転者がペダルパッド40に印加する踏力に対する反力をマスターシリンダ126によって発生させる構成としてもよい。
【0142】
(4)上記各実施形態では、ブレーキバイワイヤシステム100がマスターシリンダ126によりブレーキ回路120を流れるブレーキ液に液圧を発生させるものについて説明したが、これに限らず、例えば液圧ポンプを用いてブレーキ回路120を流れるブレーキ液に液圧を発生させる構成としてもよい。
【0143】
(5)上記第1実施形態では、ECU110が第1ECU111と第2ECU112とで構成されているものを例示したが、これに限らず、ECU110は、1個または3個以上で構成してもよい。
【0144】
(6)上記第11、第12実施形態では、第2ハウジング20が樹脂部28の一部に剛体部21を有する構成について説明したが、剛体部21は、樹脂部28の中に埋め込まれていてもよい。
【0145】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0146】
1 ペダル装置
10 第1ハウジング
20 第2ハウジング
21 剛体部
30 反力発生機構
31~34 弾性部材
40 ペダルパッド
41 回転軸
50 センサユニット
CL 軸心
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