(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017597
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】光ファイバを利用した太陽光発電ユニット、及びそれを適用した発電システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/054 20140101AFI20220118BHJP
【FI】
H01L31/04 620
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185902
(22)【出願日】2021-11-15
(62)【分割の表示】P 2019561761の分割
【原出願日】2017-12-18
(31)【優先権主張番号】10-2017-0061730
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0076827
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0159690
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0159691
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0159692
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519239665
【氏名又は名称】▲裴▼ 錫晩
【氏名又は名称原語表記】BAE Suk Man
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲裴▼ 錫晩
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA22
5F151JA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】占有面積を画期的に減らしながらも、発電効率を大きく上昇させることができる太陽光発電ユニット、及びそれを適用する発電システムを提供する。
【解決手段】光波を多数の光ファイバ1021によって輸送する輸送部10b、そして輸送部10bからの光ファイバ1021によって入射する光波を利用して電気を発生させる発電部10aを具備し、発電部10aは、ソーラーパネル101の光入射面に対面するように、多数の光ファイバ1021を、平面状またはシート状に配列させている光ガイド部102を具備し、多数光ファイバ1021の外周面には、内部進行光波を屈折させ、ソーラーパネル101にフォワーディングさせるウィンドウが多数形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光波を多数の光ファイバによって輸送する輸送部と、
前記輸送部からの光ファイバによって入射する光波を利用して電気を発生させる発電部と、を具備し、
前記発電部は、
前記光波によって電気を発生させるソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルの光入射面に対面するように、前記多数の光ファイバを、平面状またはシート状に配列させている光ガイド部と、を具備し、
前記ソーラーパネルの光入射面に対向する前記多数の光ファイバの外周面に、内部を進む光波を屈折させ、前記ソーラーパネルにフォワーディングさせるウィンドウが多数形成されており、
前記ソーラーパネルに対する前記光波の局所的集中によるソーラーパネルの局所的欠陥を防止するように、前記ソーラーパネルと光ファイバは、任意に設定された距離dをおいて相互離隔されており、
前記光ファイバのうち少なくとも一つはU字形に曲げられて前記光波が進む2つの経路を提供する相互並んだ第1部分及び第2部分を含み、
前述の第1部分及び第2部分の同方向の両先端部には前記光波が入射し、
前記光ファイバ上の第1部分及び第2部分には、前記ウィンドウが多数形成されている太陽光発電ユニット。
【請求項2】
前記ソーラーパネルと光ファイバは、0.8mm~1.4mmの距離dをおいて相互離隔されている請求項1に記載の太陽光発電ユニット。
【請求項3】
前記光ファイバは、コア、及びコアを覆うクラッドを含み、前記クラッドには、前記ウィンドウが形成されており、前記ウィンドウの底に、前記コアの表面が露出されている請求項1に記載の太陽光発電ユニット。
【請求項4】
前記光ガイド部は、光ファイバを固定する固定プレートをさらに含み、
前記固定プレートには、前記光ファイバが挿入される溝型チャネルが形成されている請求項1に記載の太陽光発電ユニット。
【請求項5】
前記固定プレートは、前記光ファイバからの光波を、前記ソーラーパネルに反射させる反射機能を有する請求項4に記載の太陽光発電ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽光発電ユニットの多数からなる多数太陽光発電ユニットが一つの集積されている多重発電部と、
前記多数太陽光発電ユニットの輸送部が一つに集積されている多重輸送部と、
前記多重輸送部に太陽光を集中させる光学系とを具備する太陽光発電システム。
【請求項7】
光波が入射する光入射部を含む多重輸送部を冷却するクーリングシステムをさらに具備する請求項6に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、光ファイバを利用した太陽光発電ユニット、及びそれを適用した発電システムに係り、具体的には、POF(plastic optical fiber)光ファイバアレイ(array)シート、及びそれに対応するソーラーセル(solar cell)を利用した太陽光発電ユニット、及びそれを適用した発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無限エネルギー源である太陽光を利用する太陽光発電は、高エネルギーの太陽光が入射する構造物に、ソーラーセルが多数設けられたパネルまたはシートを利用する。そのような太陽光発電システムは、光電変換効率が高くなく、従って、大容量発電のためには、非常に広い設置地域が要求される。
【0003】
太陽光は、非常に広範囲の波長領域を有しているが、400~700nm範囲の可視光線領域を含む。そのような太陽は、波長帯域別に、強度が一定していない。現在、太陽光発電に普遍的に使用される高純度の結晶シリコン系のソーラーパネルは、500~850nmの波長領域に対してのみ90%ほど吸収し、それ以外の波長については、効率が低いか、あるいはほとんど吸収することができない。
太陽光発電システムのソーラーパネルユニットは、太陽光をソーラーパネルの平面に直接到逹させ、ソーラーパネルを直接照光させる直下方式と、ソーラーパネルに反射鏡または集光レンズなどを活用する集光方式とに分けられる。建物屋上や地上に設ける太陽光発電施設は、直下方式が主に適用されるが、それは、レンズや鏡を利用する集光方式に比べて効率が落ちる。そのような直下方式の欠点を補う集光方式は、複雑な光学構造、及びそれを支持する構造体を含むことになる。従って、それら従来のソーラーパネルは、製造コスト高くて、また高集光(high condensation of light)によるソーラーパネルの寿命短縮を避けることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、占有面積を画期的に減らしながらも、発電効率を大きく上昇させることができる太陽光発電ユニット、及びそれを適用する発電システムを含むことである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、また、製作コストが少なく、また設置コストが低減された太陽光発電ユニット、及びそれを適用する発電システムを含むことである。
本発明が解決しようとする課題は、また、熱衝撃からソーラーパネルを効果的に保護し、ソーラーパネルの寿命を延ばすことができる太陽光発電ユニット、及びそれを適用する発電システムを含むことである
【課題を解決するための手段】
【0006】
1またはそれ以上の実施形態によれば、
太陽からの光波を多数の光ファイバ(optical fiber)によって輸送する輸送部と、
前記輸送部からの光ファイバによって入射する光波を利用して電気を発生させる発電部と、を具備し、
前記発電部は、
前記光波によって電気を発生させるソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルの光入射面に対面するように、前記多数の光ファイバを、平面状またはシート状に配列させている光ガイド部と、を具備し、
前記ソーラーパネルの光入射面に対向する前記多数の光ファイバの外周面に、内部を進行する光波を屈折させ、前記ソーラーパネルにフォワーディングさせるウィンドウが多数形成されている太陽光発電ユニットが提供される。
【0007】
1またはそれ以上の実施形態によれば、
多数太陽光発電ユニットの発電部が一つに集積されている多重発電部と、
前記多数太陽光発電ユニットの輸送部が一つに集積されている多重輸送部と、
前記多重輸送部に太陽光を集中させる光学系と、を含み、
前記太陽光発電ユニットは、
太陽からの光波を一方向に輸送する多数の光ファイバを含む光波輸送部と、
前記光波輸送部の光ファイバを介して入射する光波を利用して発電する発電部と、を含み、
前記発電部は、
前記光波によって電気を発生させるソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルの光入射面に対面するように、前記多数の光ファイバを、平面状またはシート状に配列させている光ガイド部と、を具備し、
前記多数光ファイバの外周面に、内部を進行する光波を屈折させ、前記ソーラーパネルにフォワーディングさせるウィンドウが多数形成されている太陽光発電システムが提供される。
【0008】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記光ファイバのうち少なくとも一つは、第1部分及び第2部分を含み、前述の第1部分及び第2部分の一端は、相互連結され、第1部分及び第2部分の他端には、前記光波が入射し、前記光ファイバ上の第1部分及び第2部分には、前記ウィンドウが多数形成されてもいる。
【0009】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記ソーラーパネルと光ファイバは、任意に設定された距離dをおいて相互離隔されている。
【0010】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記ソーラーパネルと光ファイバは、0.8mm~1.4mmの距離dを置いて相互離隔される。
【0011】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記光ファイバは、コア、及びコアを覆うクラッドを含み、前記クラッドには、前記ウィンドウが形成されており、前記ウィンドウの底に、前記コアの表面が露出される。
【0012】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記光ガイド部は、光ファイバを固定する固定プレートをさらに含み、前記固定プレートには、前記光ファイバが挿入される溝型チャンネルが形成される。
【0013】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記固定プレートは、前記光ファイバからの光波を、前記ソーラーパネルに反射させる反射機能を有することができる。
【発明の効果】
【0014】
1またはそれ以上の実施形態によれば、移動性、コスト及び設置面積を顕著に低めながらも、大容量の太陽光発電所及び中小型発電システムを大衆的に普及させることができる。特に、従来の太陽光発電所を設けるとき、小さくない面積を確保するために発生する環境破壊と、周辺環境の変化による寿命低下による管理コストの増大とを革新的に改善することができ、特に、家庭用太陽光電気、敷地確保が困難な地域での太陽光発電、宇宙工学、大型船舶、電気自動車、携帯用電気製品等、幅広い応用分野がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットを概略的に図示する図面である。
【
図2】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットの発電部での光波進行経路を概略的に示す図面である。
【
図3】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、光ガイド部の概略的構造を示す図面である。
【
図4】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、固定プレートの部分抜粋図である。
【
図5】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、固定プレートとソーラーパネルとの結合状態において、光ファイバとソーラーパネルとの離隔状態を例示する断面図である。
【
図6】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、光ファイバの具体的な構造を例示する図面である。
【
図7】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、光ファイバを介した光波の進行、及びウィンドウを介した出力について説明する概略的縦断面図である。
【
図8】一つまたは他の実施形態による光ファイバのウィンドウを介した実際の出光場面を示す写真である。
【
図9】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、光ファイバのウィンドウを介した光波の出光について説明する光ファイバの抜粋斜視図である。
【
図10】(a)及び(b)は、
図9に図示された光ファイバのウィンドウを介した光波の出光を例示する縦断面図及び横断面図である。
【
図11】(a)は、光ファイバに形成されたウィンドウを介した光波の出力を例示し、(b)は、光ファイバがソーラーパネルに密着されたときの光波の入射形態を示し、(c)は、光ファイバとソーラーパネルとが所定間隔で離隔されたとき、光波の入射形態を例示する図面である。
【
図12】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、光ガイド部の概略的構造を示す図面である。
【
図13】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットにおいて、
図12に図示された固定プレートの部分抜粋図である。
【
図14】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットによる、本発明による太陽光発電システムを例示する図面である。
【
図15】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットによる本発明による太陽光発電システムを例示する図面である。
【
図16】一つまたは他の実施形態により、光波輸送部の冷却構造を有する発電システムの上部構造を例示し、
図14及び
図15に例示された発電システムにおいて、光波輸送部の冷却構造を有する発電システムの上部構造を示す図面である。
【
図17】一つまたは他の実施形態による太陽光発電システムに適用される冷却システムを例示する図面である。
【
図18】一つまたは他の実施形態による太陽光発電ユニットによる太陽光発電システムを例示する図面である。
【
図19】
図17及び
図18に図示された発電システムが、大面積の設置空間及び敷地を要求する従来発電システムを代替することを対比して示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照し、本発明概念の望ましい実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明概念による実施形態は、さまざまな他の形態にも変形され、本発明概念の範囲は、以下で説明する実施形態によって限定されるものであると解釈されるものではない。本発明概念の実施形態は、当業界で当業者に、本発明概念についてさらに完全に説明するために提供されるものであると解釈されることが望ましい。同一符号は、始終同一要素を意味する。さらに、図面での多様な要素と領域は、概略的に示されている。従って、本発明概念は、添付された図面に示された相対的な大きさや間隔によって制限されるものではない。
【0017】
第1、第2というような用語は、多様な構成要素についての説明に使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明概念の権利範囲を外れずに、第1構成要素は、第2構成要素とも命名され、反対に、第2構成要素は、第1構成要素とも命名される。
【0018】
本明細書で使用された用語は、単に特定実施形態についての説明に使用されたものであり、本発明概念を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」というような表現は、明細書に記載された特徴、個数、段階、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、個数、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。
【0019】
また、取り立てての定義がない限り、ここに使用される全ての用語は、技術用語と科学用語とを含め、本発明概念が属する技術分野において当業者が共通して理解しているところと同一意味を有する。また、一般的に使用される、事前に定義されているような用語は、関連技術の脈絡において、それらが意味するところと一貫する意味を有すると解釈されなければならず、ここに明示的に定義されていない限り、過度に形式的な意味に解釈されるものではないと理解されるものである。
【0020】
添付図面において、例えば、製造技術及び/または公差により、図示された形状の変形が予想されることができる。従って、本発明の実施形態は、本明細書に図示された領域の特定形状に制限されるものであると解釈されてはならず、例えば、製造過程でもたらされる形状の変化を含まなければならない。ここに使用される全ての用語「及び/または」は、言及された構成要素のそれぞれ、及び1以上の全ての組み合わせを含む。
【0021】
図1は、1またはそれ以上の実施形態による太陽光発電ユニット10を利用する太陽光発電システムを概略的に図示する。
【0022】
図面において、参照番号10aは、光波による電気発生が起こる発電部10aを示し、10bは、発電部10aに、発電エネルギーである光波を輸送する光ファイバ(optical fiber)を含む光波輸送部10bを示す。
【0023】
具体的には、発電部10aに属する参照番号「101」は、PV(photovoltaics)あるいはCIGS(copper indium gallium selenide)系のソーラーパネルあるいはソーラーフィルム(solar panel,solar cell;以下、ソーラーパネルとする)を示し、「102」は、前記光波輸送部10bを介して供給された太陽からの光波1をソーラーパネル101の光入射面に垂直した方向に注入(inject)または投写(project)する光ガイド部(light wave-guide part)である。前記ソーラーパネル101に対応する前記光ガイド部102の前面は、ソーラーパネル装着部を示す。そして、光ガイド部102の背面には、光ガイド部102の後方に進む光波をソーラーパネル101側に反射させ、光波1の損失を防止する高反射率、例えば、95%以上の反射率を有する反射板103が設けられ、このとき、反射板103は、選択的要素であり、そのような反射機能は、後述する固定プレート1022(
図3)によっても提供される。
【0024】
以上で簡略に説明された太陽光発電システムにおいては、平面または曲面の形態に配置される多数の光ファイバを利用して集光された太陽光波を一方向にガイドし、光ファイバに沿って進んだ光波を、進行方向と異なる方向、例えば、進行方向に対してほぼ垂直方向に屈折させる。
【0025】
図1を参照すれば、前記光ガイド部102は、多数並んで配置される光ファイバ1021を含み、光ガイド部102外部に延長された光ファイバ1021の端部が、1つの集まり(束)に集積され、前記光波輸送部10bを具現し、そのような束状の光輸送部10bの先端面に、光波入射部Aが設けられる。光波入射部Aは、前記光ファイバ1021の断面部が位置する任意平面上に位置するものであり、この部分に、レンズ光学系40により、太陽からの光波1が、前記光波入射領域に集中される。ここで、前記光波入射部Aに集中される熱による光ファイバの変形または損傷を防止するための冷却装置が、前記光波入射部Aが設けられる光ファイバ束周囲にも設けられるが、それについては、後述される。
【0026】
図2を参照すれば、発電部10aに属する光ガイド部102は、自発光(self luminescence)ではない外部光(external light source)を利用する面光源(surface light source,surface illuminant)であり、その平面に並んだ方向に入射された光波1を、その平面におよそ垂直した方向に投写または屈折させ、ソーラーパネル101に入射させる。そして、光ガイド部102の後方に位置した反射板103は、光ガイド部102の後方に進む光波1を、ソーラーパネル101に向けて反射させる。
【0027】
図1及び
図2において、ソーラーパネル101、光ガイド部102及び反射板103は、理解の一助とするために、相互分離された状態に図示されているが、実際は、サンドイッチ状に相互密着される。
【0028】
前記光ガイド部102は、面状光ガイド部102のエッジ側面に注入された光波1を、その平面に垂直した方向に出射させる面光源(planar light source)の形態を有するが、
図3と
図4は、そのような光ガイド部102の構造を概略的に示す。
【0029】
図3及び
図4を参考すれば、光ガイド部102は、多数並んで配列される多数の光ファイバ1021と、それをシート状または平面状に支持する固定プレート1022を含む。
【0030】
固定プレート1022は、所定間隔に配置された光ファイバ1021を、シート状または面状に維持させるものであり、光ファイバ1021と共に、1つの面状またはファイバ状の導光シート(light guide sheet)を形成する。
【0031】
光ファイバ1021は、その表面に紫外線遮断層が形成され、その直径は、0.1mm~1.5mmほどである。そのような光ファイバ1021は、1筋ずつ単方向で並んで配列され、光ファイバ1021間の配列間隔は、0.1mm~0.8mm以内である。光ファイバ1021にコーティングされる紫外線遮断層は、0.05~0.09mm厚を有することができる。そのような光ファイバは、ガラスまたはプラスチックの光ファイバでもある。この光ファイバ1021には、内部コアに沿って進む光波を外部に屈折させ、ソーラーパネルにフォワーディングさせる出光部としてのウィンドウまたはプリズム部、あるいはウィンドウが一定間隔に形成されるが、それについては後述する。
【0032】
プラスチック光ファイバは、高純度アクリルレジン(PMMA:polymethyl methacrylate)からなるコアと、フッ素ポリマー(F-PMMA:fluorine polymethyl methacrylate)から作られた薄クラッド層とを含んでもよい。前記固定プレート1022に形成されるチャネル1022cの深さは、前記光ファイバ1021の外周面一部が進入することができるほどの深さ、例えば、0.006~0.1mmの深さを有することができる。そして、選択的な要素である反射板103は、0.1mm~1.5mm厚を有することができる。
【0033】
前記光ファイバ1021は、前記固定プレート1022に対して、下部側一部が固定されている。そのために、
図4及び
図5に図示されているように、前記固定プレート1022の上面には、前記光ファイバ1021が固定される溝またはチャネル1022cが形成されている。このとき、チャネル1022の深さは、光ファイバ1021の直径より大きく、従って、光ファイバ1021の表面は、チャネル1022cの開口部の下方に位置する。従って、
図5に図示されているように、固定プレート1022がソーラーパネル101に密着固定されたとき、光ファイバ1021の表面は、ソーラーパネル101の入射面(図面において底面である)から所定距離dを置いて離隔されている。そのように、所定距離dを置いて光ファイバ1021をソーラーパネル101から離隔させることにより、光ファイバ1021から、光が入射するソーラーパネル101を保護することができる。しかし、他の実施形態によれば、前記光ファイバ1021は、前記ソーラーパネル101に密着しても良い(d=0)。
【0034】
本実施形態においては、四角形の固定プレート1022に、多数の光ファイバの一側部分が固定され、その他側部分は、自由に1筋ずつ個別的に延長されている。従って、前記固定プレート1022は、基本的に、ソーラーパネル101に対応する大きさを有する。
【0035】
そのような固定プレート1022は、前述のような反射板103の機能を含んでもよく、従って、固定プレート1022は、光ファイバ1021を固定するだけではなく、そこからの光波をソーラーパネルに反射させることにより、光利用効率を高めることができる。前記固定プレート1022による反射機能は、前記光ファイバ1021と固定プレート1022材料物質との屈折率差による界面反射(interface reflection)によっても得られ、一方では、前記チャネル1022cの底に、反射物質層(図示せず)をコーティングすることによっても得られる。そのような反射機能は、現存する多様な技術により、非常に多様にも具現され、従って、反射機能を具現する特定技術により、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0036】
一方、他の実施形態によれば、前記固定プレート1022は、前記光ファイバ1021全体を支持するように拡張された構造を有することができる。
【0037】
図6、
図7に図示されているように、前記光ファイバ1021は、コア1021aと、コア1021aを覆い包むクラッド1021bと、を含む。クラッド1021bには、ウィンドウW1が形成されるが、このウィンドウW1は、前記コア1021aに沿って進んだ光波が出光する部分であり、コア内での光波の導波を誘導するクラッドが覆われていない部分である。
【0038】
そのようなウィンドウW1は、前述のような光波出射領域に位置するものであり、ダイヤモンドカッティングなどの機械的加工により、Vカットによるスリット形、またはドリリルによって円形に形成しても良い。そのようなウィンドウW1は、
図7に図示されているように、コア1021aの表面が露出されるように、クラッド1021bに形成される。そのようなウィンドウW1は、コア1021a内部を進む光波1を、それに垂直方向に出射させるものに、光ファイバ1021のクラッド1021bに、適切な間隔と深さとで多数形成され、それは、設計仕様によっても調節される。
【0039】
図8は、本発明による光ファイバにおいて、ウィンドウを介した実際の出光場面を示す。
【0040】
図9は、他の実施形態による光ファイバを示す。
図9は、その表面に光波が出射する多数のウィンドウW2が一定間隔に形成されている光ファイバ1021の抜粋斜視図であり、
図10は、前記光ファイバ1021の断面図であり、(a)と(b)は、それぞれ前記ウィンドウW2の構造を示す縦断面図及び横断面図である。
【0041】
図9及び
図10に図示されているように、前記光ファイバ1021は、コア1021aと、コア1021aを覆い包むクラッド1021bと、を含む。クラッド1021bには、その内側のコア1021aに沿って進んだ光波1を、それに垂直方向に出射を許容する出光部としてのウィンドウW2が形成される。ウィンドウW2は、前述のような化学的な方法、レーザカッティングまたはダイヤモンドカッティングなどによっても形成される。
【0042】
本実施形態により、前記ウィンドウW2は、
図10に図示されているように、コア1021aの表面が露出されるように、クラッド1021bに形成され、そのようなウィンドウW2を加工するとき、コア1021aの表面を損傷させないようにしたり、あるいは損傷を最小化させることが必要である。コア1021aの表面、特に、前記ウィンドウW2の内部底に露出されるコア1021aの表面が粗くなれば、この部分での光散乱及び吸収などの否定的な要因による光損失が発生し、それにより、前記ウィンドウW2を介した光波の出力が低減してしまう。
【0043】
図11は、光ファイバ1021が、ソーラーパネル101と密着された場合(d=0)と、離隔された場合(d>0)とにおいて、光波の入射状態を比較して示す。
【0044】
図11の(a)は、光ファイバ1021のウィンドウW1,W2を介して、光波1が出射されながら拡散する状態を例示する。コアに沿って進んだ光波1が、クラッド1021bに形成されたウィンドウW1,W2に出合えば、光波1の一部が、ウィンドウW1,W2を介して、ソーラーパネル101に出射される。このとき、光波1は、所定の角度θに拡散(diverging)されながら、ソーラーパネル101に入射する。実験によれば、前記光波1の拡散は、およそ17°前後の角度を維持した。そのように、光波1が拡散される状態で、ソーラーパネル101が光ファイバ1021に密着している場合(b)に比べ、所定距離離隔されている場合(c)、ソーラーパネル101に入射する面積(スポットサイズ)が広くなる。それは、(b)の場合、光波1がソーラーパネル101に対して狭い面積に入射し、小さい入射領域(スポット)が形成され、(c)の場合、光波1が一定距離dを進みながら拡散され、広く拡張された面積で入射することにより、相対的に広い入射領域が形成されるということを意味する。結果として、(b)の場合のように、光ファイバ1021がソーラーパネル101に密着している場合、そうではない場合(c)に比べ、ソーラーパネル101に形成される入射領域での光のピーク強度が非常に高く維持される。
【0045】
太陽発電が進められながら、高エネルギーの光スポットがパネルに局所的に集中される状態を長期間維持するようになれば、ソーラーパネル101に、局所的欠陥、例えば、物性変化またはクラックが生してしまう。従って、そのようなピークによるソーラーパネルの損傷を防止する必要がある場合、ソーラーパネル101を保護するためには、光ファイバ1021を、ソーラーパネル101から所定距離dほど離隔させ、ソーラーパネル101に対する入射光の入射面積を広げながら、そのピークを低減させる必要がある。そのための多様な実験結果、0.8~1.2mmほど離隔させることにより、適切に入射光強度のピークを低くし、それと同時に、1つのウィンドウW1,W2を介して形成される入射面積(スポットサイズ)をさらに広くすることにより、光電変換効率を高めることができる。
【0046】
一方、本発明の他の実施例は、光波を、さらに効率的に使用することができる構造を提示する。
【0047】
図12及び
図13を参照すれば、固定プレート1022のチャネル1022cに固定される光ファイバ1021は、U字形に曲げられ、光波が進む2つの経路(path)を提供する相互並んだ第1部分P1と第2部分P2とを有する。第1部分P1と第2部分P2との同方向の先端部においては、光波1が共に入射する。従って、光ファイバ1021の両先端部に入射した光波1は、第1部分P1と第2部分P2とを進み、この過程において、第1部分P1と第2部分P2とに設けられるウィンドウW2を介して、ほとんどソーラーパネル101に出射することになる。
【0048】
そのような構造は、光波がある一部分、例えば、第1部分P1で使用された光波を、他の部分、例えば、第2部分P2に進行させることにより、さらに多くの光波がソーラーパネルに入射させ、それにより、光波利用効率を上昇させる。
【0049】
前述のような太陽光発電ユニット10は、多数集積され、大きい発電容量の発電システムを構築することができる。
【0050】
図14は、多数の太陽光発電ユニット10が、一方向に多数集積(積層)されている構造の多重発電部1000aを有する本発明による太陽光発電システム1000を概略的に図示する。
【0051】
ソーラーパネル101、光ガイド部102及び反射板103を含む発電ユニットが、多数積層された構造により、多重発電部1000aが具現される。このとき、各太陽光発電ユニット10の光ファイバ1021を1つの束にまとめ、1つの多重光波輸送部1000bが具現されて光波輸送部の光ファイバ先端部が1つの任意平面に位置し、光波入射面または入射部Aを具現する。前記入射部Aは、前述の通り、1つの束にまとめられた光ファイバ1021の断面を、ダイヤモンド湿式研削機によってカットティングした後、研磨剤で鏡面処理(mirror finishing)する。そのような光波入射部Aには、レンズ光学系40により、太陽からの光波1が集中される。
【0052】
本実施形態において、前記レンズ光学系40は、太陽光波を集中させるための単位レンズ光学系、または多数レンズを含む複合レンズ光学系をいずれも意味するが、特定の光学構造により、本発明の技術的範囲は、制限されるものではない。本発明の一実施形態によれば、前記光波入射部に光波を集中させる単一凸レンズ、または凸レンズアレイなどにる第1レンズ光学系、及び第2レンズ光学系として、太陽光を収斂させる単一フレネルレンズ、またはフレネルレンズアレイのような第2レンズ光学系を含んでもよい。
【0053】
一方、前述のような本発明による発電システムは、
図15に図示されているように、円柱状にも具現される。
【0054】
それは、前述のような単位発電システム、すなわち、太陽光発電ユニット10を、平面上で一方向に積層し、それを丸く巻き、円柱状の発電部が具現された発電システムである。
【0055】
図15において、多数の太陽光発電ユニットを具備する発電システム1000の多重発電部1000aは、円柱形であり、そのような円柱形発電部1000aは、年輪状またはスパイラル状にロールされている単位発電システム、すなわち、太陽光発電ユニット10の集成体である。円柱状に集成された太陽発電ユニット10の全ての光ファイバ1021は、一つに集まった状態で、その先端部が1つの円筒形光ファイバ固定部1003により、1つの束に集積されている光波輸送部1000bの先端部に、前述のような鏡面処理された光波入射面または入射部Aが設けられる。
【0056】
図16は、光波輸送部1000bの冷却構造を有する発電システム1000の上部構造を図示する。
図16の発電システム100は、レンズ光学系40の第1レンズシステム41と、光波輸送部1000bが固定構造物1002によって一つに結合されている。前記光波輸送部1000bの下部には、
図14及び
図15に図示された形態の発電部1000が設けられる。前記光波輸送部1000bの周囲には、クーリングシステム1001が設けられている。
【0057】
一方、前記レンズ光学系40の複数のレンズシステムを具備することができ、本実施形態においては、前述の第1レンズシステム41と、それに対応する第2レンズシステム42とを具備する。例えば、前記第1レンズシステム41は、多数凸レンズによるアレイ、第2レンズシステム41は、フレネルレンズアレイによっても具現される。
【0058】
前記光ファイバ固定部1003は、一定の長さと直径とを有した金属、ガラスまたは陶磁器の材質を有した円筒形構造物であり、鏡面処理される光波入射部Aにおいて、光ファイバ間のギャップが防水処理される。
【0059】
前記クーリングシステム1001は、冷却水循環コイルの構造を有し、それにより、高温の熱エネルギーが集中される光波入射部Aを含む光ファイバの先端部を冷却させることにより、この部分の温度を5~80℃の範囲に維持するようにし、高熱による光ファイバの変形あるいは損傷を防止する。他の実施形態によれば、前記クーリングシステム1001は、多重輸送部の光ファイバまとまり(集積体)1000aだけではなく、冷却が必要な他のいかなる要素までにも拡張される。
【0060】
太陽からの光波を一次集光する第2レンズシステム42のフレネルレンズアレイは、別途の構造物により、第1レンズシステム41に対する相対的位置が固定される。
【0061】
図17は、1つのキャビネット1003に、複数の発電部1000aが構造として構成されたものであり、
図16に図示されているようなクーリングシステム1001が設けられた太陽光発電システムを例示する。それは、10Kw以下の電力が要求される都市型発電システムを例示し、
図18は、300Kw以上の規模を有する大型太陽光発電システムを例示する。
【0062】
図18に図示されたシステムには、太陽光発電に必要な全ての要素だけではなく、それを冷却させる設備、そして発電した電気を管理制御するシステムが含まれる。
図17に図示された発電システムも同様であるが、
図18に図示された発電システムは、
図1で説明された板状積層構造、すなわち、ソーラーパネル101、光ガイド部102及び反射板103が多重積層されたサンドイッチ構造を有することができる。
【0063】
前記光学レンズ系に、高温の熱集中を緩和させるために、紫外線(200nm~380nm)と可視光線(381nm~650nm)とを反射させ、赤外線(651nm~)を透過させるコールドミラー(cold mirror)を適用することにより、高温による光ファイバの変形または損傷の防止に効果的である。
【0064】
図19は、
図17及び
図18に図示された本発明による発電システムを、既存の大面積の設置空間及び敷地を要求する発電システムを代替することができるということを備えて示すイメージである。
【0065】
以上で説明したように、本発明の実施形態について詳細に記述されたが、本発明が属する技術分野において当業者であるならば、添付された特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を外れずに、本発明をさまざまに変形して実施することができるであろう。従って、本発明の今後の実施形態の変更は、本発明の技術を外れるものではない。