(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175991
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ファンフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20221117BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20221117BHJP
B01D 46/48 20060101ALI20221117BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20221117BHJP
B03C 3/155 20060101ALI20221117BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20221117BHJP
B03C 3/47 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F7/003
F24F7/06 101A
B01D46/48
B01D46/42 Z
B03C3/155 A
B03C3/40 A
B03C3/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082832
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 真人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋行
(72)【発明者】
【氏名】安達 東彦
(72)【発明者】
【氏名】徳永 太一
【テーマコード(参考)】
3L058
4D054
4D058
【Fターム(参考)】
3L058BG03
3L058BG05
3L058BK02
3L058BK05
3L058BK10
4D054AA15
4D054BA01
4D054BC08
4D054BC31
4D054EA22
4D058JA01
4D058KC02
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA13
4D058QA19
4D058QA21
4D058SA04
4D058UA21
4D058UA30
(57)【要約】
【課題】
天井部に設置した排気用のFFUにおいて、吸い込み面に付着した塵埃を室内に落下させないファンフィルタユニットを提供する。
【解決手段】
天井部に取り付けられ、ファン3とフィルタ4を備える排気用のファンフィルタユニットであって、前記フィルタ4の下方に、運転停止時に、フィルタ4に付着した塵埃の落下を防止する塵埃落下防止手段を設け、前記塵埃落下防止手段は、開口部21を備える2枚のパンチング板5,6を相対的に移動可能とし、運転停止時は2枚のパンチング板の開口部を互い違いに配置し、吸込み口を閉鎖して塵埃の落下を防ぎ、運転時は2枚のパンチング板の開口部が重なる位置に移動させ、吸込み口を開放して空気を通すことを特徴とするものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部に取り付けられ、ファンとフィルタを備える排気用のファンフィルタユニットであって、
前記フィルタの下方に、運転停止時に、フィルタに付着した塵埃の落下を防止する塵埃落下防止手段を設けたファンフィルタユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記塵埃落下防止手段は、
開口部を備える2枚のパンチング板を相対的に移動可能とし、
運転停止時は2枚のパンチング板の開口部を互い違いに配置し、吸込み口を閉鎖して塵埃の落下を防ぎ、
運転時は2枚のパンチング板の開口部が重なる位置に移動させ、吸込み口を開放して空気を通すことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のファンフィルタユニットにおいて、
ファンから前記パンチング板に通じるダクトを設け、風圧により前記パンチング板を移動させて、前記吸込み口の閉鎖と開放を行うことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記ダクトの先端部にバルーンを配置し、前記パンチング板の押し出しに前記バルーンを用いることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項5】
請求項3に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記ダクトの先端部にシリンダとピストンを配置し、前記パンチング板の押し出しに前記ピストンを用いることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項6】
請求項2に記載のファンフィルタユニットおいて、
前記パンチング板に電動シリンダを取り付け、前記パンチング板の移動に電動シリンダを用いることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項7】
請求項2~6の何れか1項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記パンチング板の移動機構にレールを設けたことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項8】
請求項2~6の何れか1項に記載のファンフィルタユニットおいて、
前記パンチング板の上部に防塵マットを取付け、前記防塵マットにより落下する塵埃を吸着することを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項9】
請求項2~6の何れか1項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記パンチング板の開口部の周縁に上方に向かう出っ張りを設けたことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項10】
請求項1に記載のファンフィルタユニットにおいて、
2枚のパンチング板を上下方向に離して配置し、2枚のパンチング板の開口部を互い違いに配置し、塵埃の直接落下を防止することを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のファンフィルタユニットおいて、
前記パンチング板の上部に防塵マットを取付け、前記防塵マットにより落下する塵埃を吸着することを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記塵埃落下防止手段は、
高電圧電源と帯電電極を備え、
前記塵埃を帯電させ、前記パンチング板に吸着させることで、前記塵埃の落下を防止することを特徴とするファンフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームなどに設けるファンフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームにおいては、天井部に複数の給気用のファンフィルタユニット(以下、FFU:Fan Filter Unitともいう。)を配置し、クリーンルーム室内に清浄な空気を吹き出し、室内を清浄な状態に保っている。また、天井部に排気用のFFUを配置し、室内の空気を排気するために用いることがある。本発明は、排気用のFFUを対象とする。
【0003】
特許文献1には、「給気型および排気型として使用できるファンフィルタユニットを提供する。ファンフィルタユニットは、ファンフィルタユニット本体と、ファンフィルタユニットを設置場所に設置するための設置部と、を備える。ファンフィルタユニット本体は、筐体と、ファンと、フィルタと、空気を吸入する吸気部と、空気を排出する排気部と、を備える。ファンフィルタユニット本体は、吸気部および排気部の位置が変わる方向に回転可能に設置部と接続されている。」(要約参照)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天井部に設置したFFUを室内の空気を排気するために使用する場合、運転停止時に吸い込み面に付着した塵埃が室内に落下することが懸念されている。
【0006】
特許文献1には、ファンとフィルタを備えるファンフィルタユニットを回転させることにより、給気型と排気型として使用できるファンフィルタユニットが開示されているが、吸い込み面に付着した塵埃の室内への落下を防止することは考慮されていない。
【0007】
本発明は、天井部に設置した排気用のFFUにおいて、吸い込み面に付着した塵埃を室内に落下させないファンフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、本発明の「ファンフィルタユニット」の一例を挙げるならば、天井部に取り付けられ、ファンとフィルタを備える排気用のファンフィルタユニットであって、前記フィルタの下方に、運転停止時に、フィルタに付着した塵埃の落下を防止する塵埃落下防止手段を設けるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塵埃落下防止構造を設けることで、フィルタの吸い込み面に付着した塵埃を室内に落下させないファンフィルタユニットを提供することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明のFFUが適用されるクリーンルームの概略図である。
【
図4A】FFUの運転停止時の、2枚のパンチング板の配置図である。
【
図4B】FFUの運転時の、2枚のパンチング板の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明に先立って、クリーンルームについて説明する。
図1は、一般的なクリーンルームの概略図である。
図1において、クリーンルーム1の天井部には給気用のFFU2aが配置され、室外から空気を取り入れ、清浄な空気をクリーンルーム1の室内に吹き出す。図では、1つのFFU2aとして記載しているが、通常、クリーンルームの天井部には複数のFFU2aが配置されている。
【0013】
図2に、本発明のFFUが適用されるクリーンルームの概略図を示す。クリーンルーム1の天井部には給気用のFFU2aに加えて、排気用のFFU2bが配置され、排気時に、クリーンルーム室内の空気を取り入れ、塵埃などを除去して清浄化した空気を室外へ排出する。本発明のFFUは、
図2のように天井部に配置され、室内の空気を室外へ排気する場合に適用される。
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例0015】
図3は、実施例1の排気用のFFU2bの概略図である。図は、FFU2bの運転停止時の状態を示している。ファン3には、クリーンルーム側にフィルタ4が取り付けられている。フィルタ4の下方であるクリーンルーム室内側には、本発明の特徴構成である塵埃落下防止手段が設けられている。本実施例の塵埃落下防止手段は、フィルタ4の下側にパンチング板を2枚取り付ける構造である。パンチング板には、例えば丸穴からなる開口部が多数設けられている。1次側パンチング板5に対して、2次側パンチング板6がスライドして移動可能に設けられている。2次側パンチング板6は、ばね8により図の左方向に引っ張られている。また、ファン3から2次側パンチング板6の側面に向かうダクト7が設けられている。
【0016】
FFUの停止時には、2次側パンチング板6がばね8により左方向に引っ張られ、
図4Aに示すように、1次側パンチング板5の開口部21と2次側パンチング6の開口部21を互い違いに配置し、吸込み口を閉鎖している。
【0017】
FFUの運転時には、ファン3が回転しダクト7からの風圧により、2次側パンチング板6の側面を右方向に押圧する。そして、
図4Bに示すように、2枚のパンチング板の開口部21が重なる位置に2次側パンチング板6を移動させ、吸込み口を開放する。この際、例えば1次側パンチング板5にストッパを設けて置き、2次側パンチング板6が1次側パンチング板5とぶつかる位置で穴位置が合うような構造とすればよい。FFUが運転すると、ファン3の回転によりクリーンルーム室内の空気が室外に排気される。この時、クリーンルーム室内の塵埃などがフィルタ4の下面に付着する。
【0018】
FFUの運転終了後は、バネ8により2次側パンチング板6を初期位置に戻し、
図4Aに示すように、吸込み口を塞いで塵埃の室内への落下を防ぐ。
【0019】
FFUの使用を継続すると、パンチング板上に塵埃などが堆積するが、フィルタ4の交換時に清掃すればよい。
【0020】
本実施例によれば、排気用のFFUにおいて、フィルタの下側に移動可能な2枚のパンチング板を配置し、運転停止時にパンチング板の吸い込み口を塞ぐようにしたので、運転停止時に、フィルタへ付着した塵埃の室内への落下を防止することができる。
図に示すように、実施例1のFFUにおいて、ダクト7の空気の出口にバルーン9を配置する。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。バルーンを設けることにより、空気の漏れが少なくなり、2次側パンチング板6の側面を良好に押圧することができる。