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  • 特開-全周囲計測用傾斜計 図1
  • 特開-全周囲計測用傾斜計 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176009
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】全周囲計測用傾斜計
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/06 20060101AFI20221117BHJP
   G01C 9/12 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G01C9/06 E
G01C9/12 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021103640
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】302004849
【氏名又は名称】樋田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】樋田 一弘
(57)【要約】      (修正有)
【課題】絶対的精度の保持が容易な傾斜計を提供する。
【解決手段】角度センサー(c)からの変位出力を利用して動的に筒型フレームを入力傾斜角に追従させ電気的偏差分をゼロ位法で平衡点まで駆動する、安定静止後のフレームの移動角と角度センサー(d)の差分から読み出す傾斜面が変位すると角度センサー(c)も変位が生じる、角度センサー(d)と錘の角度を重力方向に正確に一致させている傾斜角変位に応じて角度センサー(c)から変位出力を生じその信号はモーター制御回路に入力される、モーターの出力結果は角度差がゼロになるまでステーター角度をゼロとする平衡点まで追従し偏差信号を中和する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解能として表現できない2つのアナログ式角度センサー(c),(d)2組を同軸配置し傾斜角を全円周面に亘って測定する傾斜計について記す、お互いの角度センサーは円筒状フレーム(筐体)に対照的に内蔵し傾斜面角度を伝えるブロックa(h)は角度センサー(c)の可動軸(c`)に接続固定する、
別の独立し重力方向に垂下した腕の錘(b)は可動軸(d`)ローターに固定接続する、錘は一体となしたU字型部品で角度センサー(c),(d)の筐体(ステーター)フレーム(e)の変位と可動軸(d`)相互間に生じた角度差から傾斜角を求める、
従来にない特徴として2つの角度計のうち(c)の角度センサーからの出力を利用して動的に筒型フレームを入力傾斜角に追従させ電気的偏差分をゼロ位法で平衡点まで駆動する、
安定静止後のフレーム(e)の移動角と角度センサー(d)の差分から読み出す手法である、
角度センサーの分解能を定義すれば現有の性能は公示上10度変位で1000μストレインを出力し1度あたり確実に10/1000x2の確度を有する、
(1000μストレインとは角度センサーのローター側に加えた電圧1ボルトに対する出力として250mVである)
ゼロ位法によりフレームを回動させる機能は必要になるがこの要素の付加により誤差要因を減じて高精度に傾斜角を求める事が可能になる、
従来傾斜計は多くの支点や機構内の機械的負荷、外乱要因などによって絶対的精度保持が難であった、此に考案した角度センサー組立て構造体は角度センサーが持つ磁気回路がリング状のため磁気に対して無極性でそのリングに同一な2種類の巻線を行い差動式接続により外乱要因に抵抗性を持ち長期時間軸に対して偶力構造のため機構的変化が少なく安定な性能を保持し信頼性の向上に寄与する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【説明項目の分類と傾斜変化への計測手段】
【0001】
a 測定変位面
b 地球重心方向を指す錘
c 角度センサー本体 c` 入力軸 c`-aは結合を表す
d 角度センサー本体 d` 入力軸 d`-bは結合を表す
e フレームが変位した角度
f ダンパー(振動減衰器)
g 角度センサーを回転させる駆動機構
【傾斜面計測に対する機器の誤差要因】
【発明の概要】
【0002】
a:測定したい傾斜面を高精度で360度の円周を連続的に測定し傾斜角度を求めるための1軸回転テーブル型として計画した、(a)底面は水平回転機構(s)を有する板上に設置される、
測定する面円盤(a)の傾きは端面付近の二箇所に板状のブロック材(h)を立ち上げU字構造となった左右側面の底面から離れた位置に両ブロックを貫通する同軸上に回転軸受(y)を設け例えば左片方は角度センサー(c`)軸に固定し対面側の角度センサー(d)の軸に対する部分を自由回転が可能な案内にする、ベアリングによる方式である。
【0003】
b:自重方向を指す錘(b)は(c,d)の角度センサーのローター軸を利用し前述のU字内面の同軸上に吊り下げる、錘を吊る腕2本は錘と一体となし角度センサー(d`)の軸に固定され、相対面の角度センサー(c`)軸を案内とし自由回動させる、
(b)に於ける錘は如何なる場合でも重力方向を指す基準とする。
【0004】
c:角度センサー(c)特性は傾斜角に応じ出力の大きさと出力ゼロに於て位相が逆転する特性を持ち傾斜量の検出に適した差動トランス形式の検出器で軸に直結するローターの磁気回路に交流電圧を供給しステーター側を励振しその信号を出力する、
図1は電気的出力特性とを機能ブロックの接続形態を示す、
この角度センサーはアナログ方式で分解能は無限小、磁気回路の巻線は差動式で高感度の上インピーダンスが低く殆ど直流抵抗分に等価で本システムでは位相補正を必要としない、結果自身からの発生ノイズも又外来ノイズに対しては磁気回路が円形無極で影響が極めて少ない特性で機構に於いては偶力(機械的には微小であるが均等に変化)構造のため製作から定日数を経過すれば経年変化は無視することができる。
【0005】
d:角度センサー(d)は角度センサー(c)と全く同様の機能であるが(c)と目的が異なる点は角度に対する出力校正を必要とし準備する。
【0006】
f:振動減衰のためのダンパー目的に機械的な積分機能を軸上に4箇所設けている、フレーム(e)を回動させる駆動部(モーター)を除き回動部分相互間(a,b)と(c,d)関係図を(f)に示すが、目的とする方式には多様で此処では空隙部分に油脂グリースを使うダンピング防止構造としている、
その他に効果的な要素はフレームを回動するための摩擦駆動方式でフレーム両側面に二個の傾斜約2.5度傾いたローラーを押し当てすべり回転させ平衡点まで追尾を行う、停止後ブレーキとなって発振動を防ぐ事になる、
アナログ的に位置制御(この場合は平衡点ゼロの角度)を高精度で追従するためで制御システム(閉ループ回路)が成立しループゲインが(μβ<1)の状況に至る場合に発振し振動を生じる、ダンピングファクターが小さい場合は振動が生じても電子的平均化処理によって測定結果に悪影響を及ぼすことは無く機構が持つ摩擦量を中和し追従速度を早め好結果が得られる。
【0007】
g:角度センサーの構造は変位量がローターを通じて固定側(e)ステーターに伝え変化信号を得る事にあり、フレームと一体に組み上げた2個のセンサー全体を回動させる機構を必要とする、この時の振る舞いは角度センサー(c`)のみ軸が傾斜角追従を行い角度センサー(d`)軸は常に重力方向に固定されている,
フレーム(e)は微小な角度を求めるため低速緩慢な回転と停止固定機構更にブレーキが必要で特別な設計による摩擦ローラー方式とするが超音波モーターも適切と考えている、
基本的には同じ機能を求めるが一長一短あり製作コストを優先する、本説明では摩擦ローラーによってフレーム(e)の回動機構を示す。
【誤差に関係する要因のまとめ】
【0008】
1 ベアリング摩擦と軸空隙(ガタ)
組立て時、環境を整えた雰囲気で製作される、問題とする必要はない。
2 角度センサー(d)ローターへ供給のためのリード線反力の中和
角度センサー(d)のローターへの(き)電用に内部に持つ電線の反力が無視できない大きさの場合は錘が重力方向から僅かに逸脱する影響が考えられる、この場合(き)電用反トルクと重力方向へ向かう錘の重量及び角度との関係で有り角度センサー(d)の出力を補正する方法で試験結果とする手段がある、また此とは別に非接触(き)電を行う角度センサー(d)には回転トランスの内蔵でベアリング反力のみとなり完全に解決される。
リード線反力の大きさは一般的に1°当たり30mg/cmのトルクを有しているが回転トランスを採用すると最大その1/10程度に収まるデーターがある、計画する錘の重量は50g腕の長さ40mmと規定すれば重力方向からの偏差分は角度にして0.2°以下に収まる筈である。
3 温度、湿度、き電とその周波数移動、経年変化 等
何れも僅かでは在るが影響を受けるので定期校正によって性能を保証する。
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
従来の傾斜計は多くの支点や機構内の機械的負荷、外乱要因などによって絶対的精度保持が難である問題の解決手段を提供。
【発明が解決するための手段】
【0001】
此に利用する角度計センサーは磁気回路が無極性、差動式巻線によって外乱要因に抵抗を持ち(無反応)時間軸(経年)では偶力構造のため機構的変化が少なく安定な性能を長期間保持する。
【図面の簡単な説明】
図1】[角度センサーの電気的性能] 1[センサー出力特性図] 7ページ 2[センサー電気回路ブロック図] 3[傾斜計用制御増幅器ブロック図]
図2】[傾斜計組立 三面図] 8ページ
【符号の説明】
[a 測定変位面 h 傾斜面ブロック r モーター取付板
b 重力方向を指す錘 j モーター伝導ローラー s 傾斜受板
c 角度センサー本体 c`可動軸 k 摩擦受ローラー t 軸受取付板
d 角度センサー本体 d`可動軸 m フレーム受ローラー v フレーム回動軸
e フレームが変位した角度 n テンションばね w スプリング軸受
f ダンパー4箇所の機構的積分器 p モーター固定柱 x 傾斜板軸
g 角度センサーを回転させる駆動機構 q モーター本体 y 自由軸受]
【実施例
【制御システムと測定データー】
傾斜面が変位すると(a)と(b)との間、(a)と(c)角度センサー間も変位が生じる、始め(b),(d)間は角度センサー(d)と(b)の錘の角度を重力方向に正確に一致させてあるから変位に応じて角度センサー(c)から変位出力を生じその信号はモーター制御回路に入力される、モーターの出力結果は(a),(c)の角度差がゼロになるまでステーター(e)角度をゼロとする平衡点まで追従し偏差信号を中和する。
制御方式は零位法で(a)角度センサーの出力はゼロを境に位相が逆転するから制御目的に合致している。
前述の如く(b)のアームは重心方向を指していて角度センサー(d)の軸に固定されている、一方モーターによってセンサーの外周が回転した結果角度変位が(d)側に発生しその結果が傾斜変位量に相当する、勿論角度センサー(d)は予め出力の検定が終わっている事が要件である。
図1
図2