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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176016
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】潤滑剤供給式部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 45/02 20060101AFI20221117BHJP
   B65G 51/03 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B65G45/02
B65G51/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021105218
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
(57)【要約】
【課題】部品の搬送空気の気流中に液状の潤滑剤を供給して、部品供給通路内面に良好な潤滑剤の塗布領域を形成すること。
【解決手段】 部品供給通路9に搬送空気を噴射して、部品1を目的箇所へ到達させる形式のものにおいて、搬送空気の気流中に液状の潤滑剤41を供給する供給ユニット200が設けられており、搬送空気中に供給された潤滑剤41が微細粒子になって流下するように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給通路に搬送空気を噴射して、部品を目的箇所へ到達させる形式のものにおいて、
前記搬送空気の気流中に液状の潤滑剤を供給する供給ユニットが設けられていることを特徴とする潤滑剤供給式部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品供給通路に搬送空気を噴射し、部品を目的箇所へ到達させる部品供給装置において、潤滑剤を搬送空気流中に供給する装置を設けたものに関している。
【背景技術】
【0002】
特開2007-320769号公報には、通路部材に形成された部品供給通路に搬送空気を噴射して、部品を目的箇所へ到達させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-320769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、部品供給通路内の部品に搬送空気を噴射して、高速で目的箇所へ部品を到達させることが記載されているが、部品が部品供給通路の内面に擦れながら搬送されてゆく際の滑動性については、何も触れていない。
【0005】
通常、直径9mm程度の鉄製の円板型部品を目的箇所へ到達させる場合には、部品供給通路を形成する合成樹脂製の送給ホースが用いられ、その長さは2~3mに及ぶことがある。このような場合、部品供給通路の内面に対する部品の摩擦抵抗をできるだけ小さくし、とくに送給ホースが湾曲しているような箇所では、部品に作用する遠心力によって、湾曲部の部品供給通路内面が溝状に局部的に摩耗し、部品の滑動性が低下したり、送給ホースの交換を早期の内に行ったりする必要が発生する。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、部品の搬送空気の気流中に液状の潤滑剤を供給して、部品供給通路内面に良好な潤滑剤の塗布領域を形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、
部品供給通路に搬送空気を噴射して、部品を目的箇所へ到達させる形式のものにおいて、
前記搬送空気の気流中に液状の潤滑剤を供給する供給ユニットが設けられていることを特徴とする潤滑剤供給式部品供給装置である。
【発明の効果】
【0008】
部品供給通路に搬送空気が吹き込まれることによって、部品はねじ締め装置などの目的箇所へ到達する。搬送空気の気流中に液状の潤滑剤が供給されると、液状の潤滑剤は気流中に流れ込むのと同時に、液体は気流によって微細化され、微粒子の状態で搬送空気とともに流下してゆく。微細化された潤滑剤は、部品の表面に付着するとともに、部品供給通路の内面にも付着する。
【0009】
潤滑剤が塗布された状態の部品が、部品供給通路の内面に接触したり、微細化された潤滑剤が気流に乗って部品供給通路の下流の方へ飛散したりするため、部品供給通路の内面に潤滑剤の付着膜が形成され、その形成長さは十分に長い領域として確保することができる。潤滑剤の付着膜が部品供給通路の長距離にわたって形成されるのは、上記のような表面に潤滑剤が付着した部品が遠方まで搬送されることや、微細化粒となった潤滑剤が搬送空気によって遠方まで流下するためである。
【0010】
部品供給通路内面に上記のような潤滑剤の付着膜が形成されるので、部品は円滑に搬送され、高速搬送が実現し短時間供給が達成される。潤滑剤の付着膜が形成されているので、部品供給通路内面に小さな傷があったり、部品表面に固形状の不純物がこびりついていたりしても、部品が部品供給通路内面にひっかかるようなことがない。
【0011】
さらに、潤滑剤の付着膜が形成されているので、部品の擦れによって部品供給通路内面の摩耗量が問題にならないレベルに管理することができ、送給ホース交換を、実質的になくすことができる。
【0012】
本発明は、潤滑剤供給式部品供給装置であるが、後述の搬送空気における潤滑剤の挙動に注目した方法発明として存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】装置全体の断面図と部分箇所の断面図である。
図2】通路部材の平面図と断面図である。
図3】部品の斜視図である。
図4】作動空気や信号線を書き添えた制御系統図である。
図5】供給ユニットの事例を示す断面図である。
図6】別の供給ユニットの事例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の潤滑剤供給式部品供給装置を実施するための形態を説明する。
【実施例0015】
図1図6は、本発明の実施例を示す。
【0016】
部品供給装置全体は、符号100で示されている。
【0017】
最初に、送給される部品について説明する。
【0018】
送給される部品としては、種々な形態のものがある。図3(A)に示すように、部品1は、円板型の本体2の中央部に円筒型の突起3が一体的に設けられたもので、突起3には雌ねじ4が形成されている。いわゆる円板型のナットである。あるいは、図3(B)に示す部品1は、直方体型の本体2の中央に通孔5が設けられている。本実施例では、前者の図3(A)に示した部品が送給される。
【0019】
つぎに、通路部材について説明する。
【0020】
通路部材6は、部品送給の制御を行う部分であり、傾斜による滑降搬送がなされたり、通路部材6を水平姿勢で設置して、通路部材6に搬送振動を付与する、直進フィーダ形式としたりしたものであり、ここでは傾斜による滑降形式である。図1(B)に示すように、細長い板部材で作られた滑動板7に、部品形状に適した断面形状の細長いカバー板8が固定されて閉断面構造とされ、これによって部品供給通路9が形成されている。ここでは、滑動板7とカバー板8は、ステンレス鋼を用いて構成されている。
【0021】
部品供給通路9の断面形状は、部品1の外形形状に適したものとされ、本体2が通過する広幅部10と突起3が通過する小幅部11が設けられた、いわゆる凸字型である。広幅部10や小幅部11と部品1との間に、空隙12が形成され、部品1が円滑に滑降できるようにしてある。滑動板7の中央部に、浅い深さの溝7aが形成され、防錆油などの不純物を排出したり、本体2の下面の摩擦抵抗を低減させたりしている。なお、見やすくするために、図2(A)においてはカバー板8を外した状態を図示してある。
【0022】
部品供給通路9の断面形状は上記のように凸字型であるから、図2(C)に示すように、部品供給通路内面は、符号19a、19b、19c、19d、19e、19fが付された6つが存在している。部品1が後述の搬送空気噴射口27からの噴射空気で搬送されるときには、部品1の表面がいずれか1つまたは複数の内面19a~19fを擦りながら搬送されてゆく。図2(C)に2点鎖線で示した場合は、内面19b、19d、19eの3つの内面に擦れている。別の部品形状の場合には、部品供給通路9の断面形状も変化したものとされるので、部品が擦れる箇所や擦れる箇所数も変化する。
【0023】
装置の機枠などの静止部材13にパーツフィーダ14が取り付けられ、ここから伸びている供給ホース15が、通路部材6の上側に接合されている。供給ホース15は、ウレタン樹脂やポリプロピレン樹脂などの合成樹脂材料で作られている。パーツフィーダ14の出口部分に吹き込まれた搬送空気によって、部品1が通路部材6へ送給される。
【0024】
通路部材6の下側端部には、接手金具16を介して送給ホース17が接続してある。部品1は、送給ホース17を通過して、ねじ締め機などの目的箇所へ到達する。送給ホース17の通路断面形状は、図1(B)、図2(B)、図2(C)に示した通路部材6の部品供給通路断面形状と同じである。したがって、送給ホース17の部品供給通路9にも、図6に示すように、符号19a、19b、19c、19d、19e、19fが付された6つ内面が存在している。送給ホース17もウレタン樹脂やポリプロピレン樹脂などの合成樹脂材料で作られている。
【0025】
部品供給通路9は、ステンレス鋼製の通路部材6だけに形成されているものではなく、図1(A)の送給ホース17に符号9で示したように、送給ホース17おいても形成されている。後述の潤滑剤は、搬送空気噴射口27の後流側領域全体に及ぶものであり、潤滑作用は主に送給ホース17において行われる。
【0026】
つぎに、切り出し機構について説明する。
【0027】
切り出し機構18は、列状になって部品供給通路9内で待機している部品1から、最先の部品1つだけを送り出す機能を果たすもので、エスケープ機構とも言われている。部品列は、部品1a、1b、1c、1d、1e、1fの6個によって構成されている。
【0028】
最先の部品1aの滑降を禁止する第1規制部材20が、部品供給通路9内に突出して本体2の前側を受け止めることによって、部品列全体の滑降が抑止されている。第1規制部材20の進退動作は、電磁ソレノイドやエアシリンダなど種々な進退駆動手段を用いることができる。ここではエアシリンダ21であり、そのピストンロッドが第1規制部材20を構成している。ピストンロッドにも同じ符号20が付してある。
【0029】
2番目の部品1bの滑降を禁止する第2規制部材22が、部品供給通路9内に突出して突起3の前側を受け止めることによって、部品1b以降の部品列の滑降が抑止されている。第2規制部材22の進退動作は、電磁ソレノイドやエアシリンダなど種々な進退駆動手段を用いることができる。ここではエアシリンダ23であり、そのピストンロッドが第2規制部材22を構成している。ピストンロッドにも同じ符号22が付してある。
【0030】
図1は、第1規制部材20、第2規制部材22が部品供給通路9内に突出している状態を示している。ここで、エアシリンダ20の後退動作で第1規制部材20が後退すると、最先の部品1aだけが図1の左方へ滑降し、送給ホース17の入口付近まで移動する。ここまで滑降してきた部品1aは2点鎖線で示してある。その後、第1規制部材20が部品供給通路9内へ突出し、第2規制部材22が部品供給通路9から後退すると、2番目の部品1bが滑降して第1規制部材20で受け止められる。これと同時に、第2規制部材22が部品供給通路9内に進入して3番目の部品1cが受け止められる。
【0031】
上記のような動作を繰り返して、1個ずつの部品が送り出される。なお、各エアシリンダ21、23には、第1規制部材20、第2規制部材22が部品供給通路9内へ進出した状態と、部品供給通路9から退出した状態を検知するセンサー24、25が取り付けられている。これらのセンサー24、25は、一般的に採用されている静電容量型近接センサーである。
【0032】
図1は、切り出し機構18の動作で、最先の部品1aが送り出されて送給ホース17の入口付近に到達した部品1aを、上述のように2点鎖線で示してある。したがって、このときの待機部品列の最先部品は、2番目に位置していた部品1bということになる。
【0033】
つぎに、搬送空気噴射口について説明する。
【0034】
通路部材6の左側下端(搬送方向側)近くに、部品1を高速で目的箇所へ到達させるための搬送空気噴射口27が、滑動板7に設けてある。滑動板7に、搬送方向に空気を噴射できるように傾斜させた空気孔28を開けることによって、搬送空気噴射口27が形成してある。切り出し機構18から滑降してきた1個の部品1a(2点鎖線図示)が搬送空気噴射口27を通過した直後に、当部品1aを検知するセンサー29が、送給ホース17に取り付けてある。なお、空気孔28に空気供給管30が接続してあり、この空気供給管30は、後述の空気切換弁から伸びてきている。なお、センサー29は、エアシリンダ21、23に取り付けられたセンサー24や25と同様な形式である。
【0035】
図1から明らかなように、搬送空気噴射口27は、2点鎖線図示の部品1aと待機している最先部品1bとの間の通路部材6に設けてある。すなわち、空間Sの部分の滑動板7に開口させてある。
【0036】
第1規制部材20で停止させられている部品1aの滑降開始を確実に行わせるために、補助噴口31が開けられ、そこに空気供給管32が接続されている。防錆油などで本体2の下面が滑動板7の表面に粘着している場合に、補助噴口31からの噴射空気で粘着部を剥離させて、円滑な滑降開始を行うようになっている。
【0037】
つぎに、対向空気噴射口について説明する。
【0038】
搬送空気噴射口27から搬送空気が噴射されると、2点鎖線図示の最先の部品1aは勢いよく矢線の方へ搬送され、目的箇所に到達する。送給ホース17内の部品1aと部品供給通路9の内面との間には、上記空隙12と同様な隙間が存在しているので、この空隙12を通過する空気量は少なくなる。そのため、最先の部品1aの後方の空気圧が高くなり、搬送空気噴射口27から第1規制部材20で受け止められている部品1bまでの空間Sにおいて、搬送方向とは逆向きの逆空気流が発生する。この逆空気流は、矢線33で示されている。搬送空気噴射口27から第1規制部材20で受け止められている部品1bまでの区間は、符号Lで示されている。
【0039】
上記のような逆空気流33が発生すると、第1規制部材20が後退しても、最先の部品1aが逆流空気の動圧を受けて滑降開始ができなかったり、列をなして待機している部品1b~1fが後ずさりをするようにして、押し戻されたりする、という現象が発生する。
【0040】
このような問題を解消するために、部品供給通路9に開口し、搬送空気によって生じる部品搬送方向とは逆向きの逆空気流33に対向させた状態で対向空気流を噴射する対向空気噴射口34が、通路部材6に設けられている。図2(B)に示すように、カバー部材8に斜め方向の空気孔35が開けられ、空気供給管36が接合してある。空気孔35は先端部の対向空気噴射口34が低くなるように傾斜させてあり、対向空気噴射口34は本体2と突起3の境界部分に向かって開口している。図2(A)には、空気供給管36が2点鎖線で図示されている。このようにして、対向空気噴射口34から噴射された空気は、ほぼ搬送方向に流れる。
【0041】
対向空気噴射口34から対向空気流が噴射されると、その空気は空隙12を通って空間Sに流れ込む。ここで逆空気流33と衝突して両空気流が打ち消し合う。実際には、衝突した両空気流が乱流となって、符号33で示すような整然とした空気流が消滅するか、またはそのような空気流が弱体化されるものと考えられる。このようにして、逆空気流33の流速がなくなってしまうか、または部品1bを押し戻すことができない程度の低速流となる。
【0042】
つぎに、補助対向空気噴射口について説明する。
【0043】
上記の対向空気噴射口34の開口箇所は、逆空気流33が実質的に消滅した状態になるので、後続の部品1b~1fの逆戻り防止にも十分に効くが、待機部品列の最先の部品1aの逆戻り防止に最も効果的に効く。万一のことを考えて、後続の部品1b~1fの逆戻りを防止するために、部品列の最後部付近に補助対向空気噴射口38が設けてある。この設け方は、前述の対向空気噴射口34の場合と同じであり、空気孔39や空気供給管40が同様にして配置してある。
【0044】
補助対向空気噴射口38から噴射された空気は、空隙12を通過して区間Sに到り、ここで逆空気流33の流速を低減またはなくしてしまう。部品1aを少しでも高速で搬送する場合には、搬送空気噴射口27からの空気噴射を強めるのであるが、それにともなって逆空気流33も強くなる。このような場合に備えて、補助対向空気噴射口38を配置することが、重要となる。
【0045】
なお、上述の説明では、逆空気流33の流速がなくなるか、あるいは微弱な空気流になるという現象を主体にしているが、対向空気噴射口34や補助対向空気噴射口38からの空気の動圧が部品に作用している要素も、副次的に機能している。
【0046】
つぎに、潤滑剤の供給ユニットについて説明する。
【0047】
例えば、部品1の本体2の直径が8mm位の小型軽量なものとなれば、部品の慣性力を十分に利用することができない。とくに、送給ホース17の長さが2m~3mに及ぶとともに湾曲している場合には、この問題が深刻なものとなる。このような現象は、図2(C)において部品1が部品供給通路内面19a、19b、19c、19d、19e、19fのいずれかに擦れながら搬送されることが、大きく影響する。
【0048】
このような問題を解消するために、搬送空気の気流中に液状の潤滑剤を供給する。搬送空気の気流中に供給された潤滑剤41は、気流とともに流下する際に微細化粒になり、気流中に浮遊しながら流下してゆく。気流中を流下する潤滑剤微粒子が部品1に付着すると、その部品が部品供給通路内面19a~19fに擦りつけられるときに、潤滑剤41が部品供給通路内面19a~19fに塗り付けられた状態になり、内面19a~19fに潤滑剤の付着膜が形成される。
【0049】
さらに、気流中に浮遊しながら流下する潤滑剤微粒子が内面19a~19fに付着し、潤滑剤41の付着膜が形成される。換言すると、潤滑剤41が塗布された状態の部品1が、部品供給通路9の内面19a~19fに接触したり、微細化された潤滑剤41が気流に乗って部品供給通路9の下流の方へ飛散したりするため、部品供給通路9の内面19a~19fに潤滑剤41の付着膜が形成される。
【0050】
上述のようにして部品供給通路内面19a~19fに、潤滑剤の付着膜を形成する手法には、種々なものが採用できる。潤滑剤41を搬送空気中に供給するため構造は、潤滑剤容器、吸い上げ管、開口、潤滑剤の開閉弁、制御装置などの組み合わせによって種々なタイプが採用できる。このような各種タイプを総括して供給ユニットと表現している。
【0051】
つぎに、1つ目の潤滑剤供給方式と潤滑剤の挙動を説明する。
【0052】
1つ目は、図1(A)に示すように、空気供給管30に潤滑剤を供給する方式である。液状の潤滑剤41が貯留された容器42が、空気供給管30に取り付けられ、潤滑剤41の液中に差し込んだ吸い上げ管43の上端が空気供給管30の内面に開口している。開口は、符号26で示されている。
【0053】
空気供給管30を流れる搬送空気の流速によって、液状の潤滑剤41が吸い上げ管43によって吸い上げられ、空気供給管30の内面に供給される。このようにして空気供給管30の内面に流出した液状の潤滑剤41は、空気供給管30内の気流にさらされて飛散し、微細粒子になって搬送空気流中を浮遊し、供給ホース17へ送られる。潤滑剤41の粒子は搬送空気の流れに乗って送給ホース17の内面19a~19fに付着し、そこに潤滑膜が形成される。
【0054】
また、部品1に付着した潤滑剤41が内面19a~19fに擦れることによっても、内面19a~19fに潤滑剤41の潤滑膜が形成される。
【0055】
潤滑剤41の例としては種々なものが採用できるが、ここではシリコンオイルまたはシリコンオイルを主成分とする液体が用いられる。他に、水溶性の潤滑剤を使用することも可能である。
【0056】
この方式では、供給ユニット200は、空気供給管30、容器4、吸い上げ管43、開口26などで構成されている。
【0057】
つぎに、2つ目の潤滑剤供給方式と潤滑剤の挙動を説明する。
【0058】
2つ目は、図5(A)に示すように、吸い上げ管43の先端部分47が空気供給管30内に突出しており、開口26は空気供給管30の中心またはその近傍に配置してある。また、先端部分47における潤滑剤通路の直径は小径となるように絞ってあり、こうすることによって潤滑剤の負圧吸引を促進している。いわゆる霧吹き現象である。ベルヌーイの定理に基づいている。また、開口26は、空気供給管30の中心部近傍に開口しているので、飛散した潤滑剤41の微粒子は空気流中に満遍なく分布し、気流に乗って遠方まで送られ、潤滑剤41の付着膜が広域にわたって形成されるという利点がある。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の1つ目の事例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0059】
この方式では、供給ユニット200は、空気供給管30、容器4、吸い上げ管43、開口26などで構成されている。
【0060】
つぎに、3つ目の潤滑剤供給方式と潤滑剤の挙動を説明する。
【0061】
3つ目は、図5(B)に示すように、図4に示した制御装置44を利用して潤滑剤41を空気供給管30内へ滴下させる供給方式である。送給ホース17の長さにもよるが、図1(A)に2点鎖線で示された部品1aを目的箇所へ到達させるために、制御装置44からの指令信号によって、ここでは搬送空気噴射口27から3秒間の空気噴射が行われ、この空気噴射と同時に所定量の潤滑剤41が供給される。この空気噴射や潤滑剤供給などが終了すると、つぎの部品が移動してくるまで空気噴射は休止している。つぎの部品(1b)がセンサー29で検知されると、再び空気供給管30内を搬送空気が流れて、潤滑剤41が供給される。
【0062】
上記3秒間の噴射信号が発信されるのと同時に、制御装置44から潤滑剤供給を可とする信号が開閉弁48に送信されると、開閉弁48が所定時間だけ開いて、1回の空気噴射に適した量の潤滑剤41が空気供給管30に供給される。符号49は、潤滑剤41を開閉弁48に供給する供給管を示す。また、符号50は、開閉弁48から潤滑剤41を空気供給管30に供給する供給管を示す。3つ目の場合は、潤滑剤41が空気供給管30内に滴下されるものであるから、滴下粒は搬送空気に吹き飛ばされるようにして微粒子化され、部品供給通路9へ移送される。また、3つ目の場合は、搬送空気流毎に潤滑剤供給をするのではなく、例えば、搬送空気流3回に1回の潤滑剤滴下をして、潤滑剤の付着膜形成状態を適正化することができる。
【0063】
この方式では、供給ユニット200は、空気供給管30、供給管50、開閉弁48、制御装置44、開口26などで構成されている。
【0064】
つぎに、4つ目の潤滑剤供給方式と潤滑剤の挙動を説明する。
【0065】
4つ目は、図6に示すように、潤滑剤41を直接送給ホース17内に供給する供給方式である。送給ホース17の端部の上側に供給孔51が設けられ、開口26から潤滑剤41が滴下状態で供給されるようになっている。潤滑剤41は、供給孔51から直接部品供給通路9内に滴下し、搬送空気に吹き飛ばされるようにして微粒子化され、内面19a~19fへ移送される。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて3つ目の事例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。また、潤滑剤41が付着膜を形成してゆく過程も3つ目の場合と同じである。
【0066】
したがって、上述の1つ目から4つ目の供給方式を採用することにより、潤滑剤41は搬送空気の気流中に微細粒状態で浮遊し、部品供給通路9の内面19a~19fに潤滑剤の付着膜を形成する。あるいは、部品1に付着した潤滑剤が、内面19a~19fに塗り付けられる状態となる。部品1は、送給ホース17の部品供給通路9の内面19a~19fに形成された潤滑剤41の付着膜の存在をえて、摩擦抵抗の少ない条件下で搬送され、搬送速度の低下を最小限にして、目的箇所への到達を可とする。なお、付着膜の厚さは非常に薄いものなので、図示が困難であり、各図面には図示していない。
【0067】
この方式では、供給ユニット200は、送給ホース17、供給孔51、供給孔51に接続された供給管50、開閉弁48、制御装置44、開口26などで構成されている。
【0068】
つぎに、部品送給装置の動作を説明する。
【0069】
制御系統図である図4を中心にして動作説明をする。図4において、矢線は信号伝達線であり、それ以外の実線は作動空気の給排管である。各センサー24、25、29などからの信号は、制御装置44に伝達される。制御装置44は、シーケンス回路や簡単なコンピュータ装置で構成されている。制御装置44からの指令信号は空気切換弁45に伝達され、空気切換弁45では、指令信号に応じた空気切り換えがなされ、所定の順序で各エアシリンダや噴射口に送られる。
【0070】
エアシリンダ21に供給された作動空気によって、第1規制部材20が突出位置におかれ、最先の部品1aの滑降が禁止される。そのとき、エアシリンダ23に供給された作動空気によって、第2規制部材22によって2番目の部品1bの滑降も禁止されている。
【0071】
ここで、制御装置44からの指令信号によって、空気切換弁45が切り換えられてエアシリンダ21が作動し、第1規制部材20が後退すると、最先の部品1aだけが滑降する。このときに、補助噴口31からの空気噴射で本体2の粘着が剥離される。
【0072】
ついで、第1規制部材20が再び進出して第2規制部材22が後退すると、2番目の部品1bが滑降し、第1規制部材20で受け止められる。それと同時に第2規制部材22が再び進出して、3番目の部品1c以降の部品滑降を禁止する。この段階では、最先の部品1aは、図1に2点鎖線で示した位置に移動している。
【0073】
この移動位置の状態の段階で、搬送空気噴射口27から搬送空気が噴射されると、2点鎖線図示の部品1aは高速で搬送されて、目的箇所に到達する。制御装置44からの指令信号によって、搬送空気噴射口27からの空気噴射で生じた逆空気流33に対向させて、対向空気噴射口34から対向空気流を吹き付ける。このいわゆる衝突流によって、逆空気流33の流速がなくなるか、あるいは実害のない低速流となる。合わせて、制御装置44からの指令信号によって、補助対向空気噴射口38からも対向空気流が噴射されて、部品列の逆戻りを完全に防止する。
【0074】
対向空気噴射口34からの噴射開始時期は、搬送空気噴射口27からの噴射開始時期と相前後している。それは、3つの態様となっている。
【0075】
1つ目は、対向空気噴射口34からの噴射開始時期が、搬送空気噴射口27からの噴射開始時期と同時とされた場合である。搬送空気噴射口27と待機部品との間の部品供給通路空間Sにおいて、待機部品の方へ向かう逆空気流33に対向空気噴射口34からの噴射空気を同時期に衝突させるような現象となる。
【0076】
2つ目は、対向空気噴射口34からの噴射開始時期が、搬送空気噴射口27からの噴射開始時期よりも早い場合である。搬送空気噴射口27と待機部品との間の部品供給通路空間Sにおいて、搬送方向に向かう抑制空気流が既に形成されているので、搬送空気噴射口27からの空気は逆方向に向かうことができない現象となる。
【0077】
3つ目は、対向空気噴射口34からの噴射開始時期が、搬送空気噴射口27からの噴射開始時期よりも遅い場合である。搬送空気噴射口27と待機部品との間の部品供給通路空間Sにおいて、待機部品の方へ向かう逆空気流33が待機部品に吹き付けられたり、待機部品がわずかに逆方向に押し戻されたりするが、対向空気噴射口34からの空気流が後発的に流れてきて、逆空気流33が押し返されて、逆空気流33の流速がなくなったり、後続の部品が逆戻りしない程度に低速化する現象となる。この場合には、遅れすぎにならないように噴射時期を選定する必要がある。
【0078】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。
【0079】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0080】
部品供給通路9に搬送空気が吹き込まれることによって、部品1はねじ締め装置などの目的箇所へ到達する。搬送空気の気流中に液状の潤滑剤41が供給されると、液状の潤滑剤41は気流中に流れ込むのと同時に、液体は気流によって微細化され、微粒子の状態で搬送空気とともに流下してゆく。微細化された潤滑剤41は、部品1の表面に付着するとともに、部品供給通路9の内面19a~19fにも付着する。
【0081】
潤滑剤41が塗布された状態の部品1が、部品供給通路9の内面19a~19fに接触したり、微細化された潤滑剤41が気流に乗って部品供給通路9の下流の方へ飛散したりするため、部品供給通路9の内面19a~19fに潤滑剤41の付着膜が形成され、その形成長さは十分に長い領域として確保することができる。潤滑剤41の付着膜が部品供給通路9の長距離にわたって形成されるのは、上記のような表面に潤滑剤41が付着した部品1が遠方まで搬送されることや、微細化粒となった潤滑剤41が搬送空気によって遠方まで流下するためである。
【0082】
部品供給通路内面19a~19fに上記のような潤滑剤41の付着膜が形成されるので、部品1は円滑に搬送され、高速搬送が実現し短時間供給が達成される。潤滑剤41の付着膜が形成されているので、部品供給通路内面19a~19fに小さな傷があったり、部品表面に固形状の不純物がこびりついていたりしても、部品1が部品供給通路内面19a~19fにひっかかるようなことがない。
【0083】
さらに、潤滑剤41の付着膜が形成されているので、部品1の擦れによって部品供給通路内面19a~19fの摩耗量が問題にならないレベルに管理することができ、送給ホース17の交換を、実質的になくすことができる。
【0084】
潤滑剤41の粘性が高い場合には、部品表面に付着した潤滑剤41が部品供給通路9の内面19a~19fに塗りつけられるようにして、部品供給通路9の内面19a~19fに潤滑剤41の付着膜が形成されて行くが、微細化しにくいので気流中に飛散する液量は少なくなり、長距離にわたる部品供給通路内面19a~19fに、潤滑剤41の付着膜を形成しにくくなる。したがって、部品1の表面積、部品供給通路内面19a~19fと部品1の接触面積、搬送空気の流速などの諸条件を考慮して、潤滑剤41の粘性を選択するのが望ましい。
【0085】
他方、部品1の表面積、部品供給通路内面19a~19fと部品1の接触面積、搬送空気の流速などの諸条件に適合させて潤滑剤41の粘性を低くした場合には、搬送空気の気流中に飛散する液量が増大し、微細化した粒子状になって部品供給通路9の内面19a~19fに潤滑剤41の付着膜が形成されて行くが、部品表面に付着する潤滑剤41の量は少なくなり、上記の粒子飛散が支配的になる。したがって、上述の粘性の高い潤滑剤41の場合よりも、広い範囲にわたって潤滑剤41の付着膜が形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
上述のように、本発明の装置によれば、部品の搬送空気の気流中に液状の潤滑剤を供給して、部品供給通路内面に良好な潤滑剤の塗布領域を形成する。したがって、自動車の車体組み立て工程や、家庭電化製品の板金組み立て工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 部品
1a~1f 待機部品
2 本体
3 突起
4 雌ねじ
6 通路部材
7 滑動板
8 カバー板
9 部品供給通路
12 空隙
18 切り出し機構
19a~19f 内面
20 第1規制部材
22 第2規制部材
27 搬送空気噴射口
33 逆空気流、矢線
34 対向空気噴射口
38 補助対向空気噴射口
41 潤滑剤
100 部品供給装置
200 供給ユニット
S 空間
L 区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6