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特開2022-176025ラミネート構造を形成するための自動化システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176025
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ラミネート構造を形成するための自動化システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/54 20060101AFI20221117BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20221117BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20221117BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20221117BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/06
A63B53/04 C
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】53
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021139917
(22)【出願日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】17/321,315
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】502330377
【氏名又は名称】テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・グリーニー
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ビーチ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・クラウス
(72)【発明者】
【氏名】コニー・シャオ
(72)【発明者】
【氏名】タイソン・シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ペイ-ヤオ・リン
【テーマコード(参考)】
2C002
4F205
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH01
2C002MM02
4F205AA36
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG01
4F205AJ08
4F205HA33
4F205HA45
4F205HK23
4F205HW02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】未硬化予備含浸繊維強化ポリマー層からバッキング紙を自動除去する為のシステム及び方法を提供する。
【解決手段】未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたパネル110からバッキング層120を除去する方法は、パネルをエッジ係合ツール112に対してバッキング分離方向に方向付ける工程を含む。また、パネルをエッジ係合ツールに対してバッキング分離位置Bに位置付ける工程を含む。更に、パネルがバッキング分離方向A及びバッキング分離位置にあるときに、エッジ係合ツールのバッキング係合フィーチャ114が、バッキング層のエッジ部分のみでバッキング層に係合し、バッキング層のエッジ部分122だけがパネルから分離するように、エッジ係合ツールを移動させる工程を含む。更にバッキング層のエッジ部分を把持されたときに、全体がパネルから分離するように、バッキング層を移動させる工程を含む。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたパネルからバッキング層を除去する方法であって、前記バッキング層は、前記バッキング層と前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のタック力によって、前記パネルの広い表面に対して固定され、面一となっており、
前記パネルを、エッジ係合ツールに対してバッキング分離方向に方向付ける工程と、
前記パネルを、前記エッジ係合ツールに対してバッキング分離位置に位置付ける工程と、
前記パネルが前記バッキング分離方向及び前記バッキング分離位置にあるときに、前記エッジ係合ツールのバッキング係合フィーチャが、前記バッキング層のエッジ部分のみで前記バッキング層に係合し、前記バッキング層の前記エッジ部分だけが前記パネルから分離するように、前記パネルに対して前記エッジ係合ツールを移動させる工程と、
前記エッジ部分が前記パネルから分離した後、前記バッキング層の前記エッジ部分を把持し、把持されたときに、前記バッキング層の全体が前記パネルから分離するように、前記パネルに対して前記バッキング層を移動させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記エッジ係合ツールはプレートを含み、前記バッキング係合フィーチャは前記プレートから突出する複数の突起を含み、
前記エッジ係合ツールを移動させる工程は、前記パネルが前記バッキング分離方向に方向付けられ、前記バッキング分離位置に位置付けられているときに、前記プレートが、前記パネルに対してプレート角度で角度が付けられ、前記エッジ部分のリーディングエッジと平行な面に沿って移動するとき、前記プレートの前記複数の突起のみが前記バッキング層の前記エッジ部分のみと係合するように、前記面に沿って前記プレートを往復運動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレートは、前記面に沿って前方向と後方向に往復運動し、
前記前方向は、前記後方向と反対方向であり、
前記複数の突起と前記バッキング層の前記エッジ部分との間の各係合により、前記バッキング層の前記パネルからの少なくとも部分的な分離がもたらされ、
前記プレートが前記前方向に移動するときに、前記複数の突起が前記エッジ部分に係合し、
前記プレートが前記後方向に移動するときに、前記バッキング層の前記パネルからの少なくとも部分的な分離が維持されるように、前記複数の突起は、前記プレートが前記後方向に移動するとき前記エッジ部分と実質的に係合しない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の突起のそれぞれは、前記前方向を向いている鋭い側と、前記後方向を向いている鈍い側とを含み、
前記複数の突起と前記バッキング層の前記エッジ部分との係合は、前記バッキング層のエッジ部分を少なくとも部分的に貫通する前記複数の突起の鋭い側を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プレート角度は、斜角である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記プレート角度は、鋭角である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プレートを往復運動させることは、前記プレートの前記複数の突起が、前記バッキング層の前記エッジ部分のみに少なくとも2回係合するように、前記プレートを少なくとも2回往復運動させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記エッジ係合ツールはホイールを含み、前記バッキング係合フィーチャは前記ホイールの周りに円周方向に離間した歯を含み、
前記エッジ係合ツールを移動させる工程は、前記パネルが前記バッキング分離方向に方向付けられ、前記バッキング分離位置に位置付けられているときに、前記ホイールの歯のみが前記バッキング層の前記エッジ部分に繰り返し係合するように、前記バッキング層の前記エッジ部分のリーディングエッジと平行な軸の周りに前記ホイールを回転させることと、前記ホイールを回転させるとき、前記ホイールを、前記パネルの前記広い表面と平行なホイール方向に並進させることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記バッキング層は、更に、前記エッジ部分に対して前記パネルの反対側の端部に第2のエッジ部分を含み、
前記エッジ係合ツールは、更に、第2のホイールを含み、前記バッキング係合フィーチャは、更に、前記第2のホイールの周りに円周方向に離間した第2の歯を含み、
前記エッジ係合ツールを移動させる工程は、更に、前記第2のホイールの前記第2の歯のみが前記バッキング層の前記第2のエッジ部分に繰り返し係合し、前記バッキング層の前記第2のエッジ部分だけが前記パネルから分離するように、前記バッキング層の前記第2のエッジ部分のトレーリングエッジと平行な第2の軸の周りに前記ホイールの回転方向と反対の回転方向に前記第2のホイールを回転させることと、前記第2のホイールを回転させるとき、前記ホイールを、前記パネルの前記広い表面と平行で前記ホイール方向と反対の第2のホイール方向に並進させることとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
更に、把持装置が前記バッキング層の前記エッジ部分を把持しているときであって、前記第2のエッジ部分が前記パネルから分離した後、前記バッキング層の前記第2のエッジ部分を第2の把持装置で把持することと、
前記第2の把持装置によって把持され、前記パネルに対して前記把持装置を移動させるとき、前記バッキング層の全体が前記パネルから分離するように、前記パネルに対して前記第2の把持装置を移動させることとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パネルは、前記広い表面とは反対側にある第2の広い表面を含み、
第2のバッキング層は、前記第2のバッキング層と前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間の第2のタック力によって、前記パネルの前記第2の広い表面に対して固定され、面一となり、
更に、前記バッキング層の全体を前記パネルから分離した後、以下:
前記パネルを、第2のエッジ係合ツールに対して第2のバッキング分離方向に方向付けること、及び
前記パネルを、前記第2のエッジ係合ツールに対して第2のバッキング分離位置に位置付けること
の少なくともいずれかの工程と、
前記パネルが前記第2のバッキング分離方向及び前記第2のバッキング分離位置の少なくともいずれかにあるときに、前記第2のエッジ係合ツールの第2ツールバッキング係合フィーチャが、前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分のみに係合し、前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分だけが前記パネルから分離するように、前記パネルに対して前記第2のエッジ係合ツールを移動させる工程と、
前記第2バッキング層エッジ部分が前記パネルから分離した後、前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分を把持し、把持されたときに、前記第2のバッキング層の全体が前記パネルから分離するように、前記第2バッキング層エッジ部分を前記パネルに対して移動させる工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記バッキング層の前記エッジ部分を把持する工程は、前記バッキング層の前記エッジ部分を把持装置で把持することを含み、
前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分を把持する工程は、前記第2バッキング層エッジ部分を第2の把持装置で把持することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パネルを前記第2のエッジ係合ツールに対して前記第2のバッキング分離方向に方向付ける工程は、前記パネルをひっくり返すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のエッジ係合ツールは第2ツールプレートを含み、前記第2ツールバッキング係合フィーチャは前記第2ツールプレートから突出する複数の第2のツール突起を含み、
前記第2のエッジ係合ツールを移動させる工程は、前記パネルが前記第2のバッキング分離方向に方向付けられ、前記第2のバッキング分離位置に位置付けられているときに、前記第2ツールプレートの前記複数の第2ツール突起のみが前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分のみと係合するように、前記パネルに対して第2プレート角度で角度が付けられ、前記第2バッキング層エッジ部分の第2バッキング層リーディングエッジと平行な第2の面に沿って前記第2ツールプレートを往復運動させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
往復運動時の前記第2ツールプレートは、往復運動時の前記プレートと同一平面又は平行である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
往復運動時の前記第2ツールプレートは、往復運動時の前記プレートに対して角度が付けられる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
往復運動時の前記第2ツールプレートと往復運動時の前記プレートとの間の角度は、90°以下である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パネルの方向付け、前記パネルの位置付け、前記エッジ係合ツールの移動、及び前記エッジ部分の把持の各工程が自動化される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
更に、前記パネルを前記バッキング分離方向に方向付けた後、前記パネルを前記バッキング分離位置に位置付けた後、及び前記エッジ係合ツールを移動させる前に、前記パネルの前記広い表面に対して前記バッキング層を押圧することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記広い表面に対して前記バッキング層を押圧することは、前記バッキング層に沿ってローラを転がすことを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記パネルは、積層された配置で複数の層を含み、
前記複数の層のそれぞれは、一方向繊維を含み、
前記複数の層のうちの少なくとも1つの一方向繊維は、前記複数の層のうちの少なくとも別の1つの一方向繊維と異なる方向に方向付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
更に、前記エッジ係合ツールを移動させる工程の間、前記パネルの温度を72°以下に維持する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記パネルの温度を72°以下に維持する工程は、68°未満の温度で前記パネルに空気を吹き付けることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたパネルからバッキング層を除去するための自動化システムであって、前記バッキング層は、前記バッキング層と前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のタック力によって、前記パネルの広い表面に対して固定され、面一となっており、前記自動化システムは、
エッジ係合ツールと、
把持装置と、を含み、
前記エッジ係合ツールはバッキング係合フィーチャを含み、前記エッジ係合ツールは、前記エッジ係合ツールの前記バッキング係合フィーチャが、前記バッキング層のエッジ部分のみと係合して、前記バッキング層のエッジ部分だけが前記パネルから分離するように、前記パネルに対して可動であり、
前記把持装置は、前記エッジ部分が前記パネルから分離されたときに前記エッジ部分を把持するように構成され、前記エッジ部分が前記把持装置によって把持されたときに、前記バッキング層の全体が前記パネルから分離するように、前記パネルに対して可動であることを特徴とする、自動化システム。
【請求項25】
前記エッジ係合ツールはプレートを含み、
前記バッキング係合フィーチャは、前記プレートから突出した複数の突起を含み、
前記プレートは、前記パネルに対してプレート角度で固定され、
前記プレートは、前記パネルに対して前記プレート角度で角度が付けられ、前記エッジ部分のリーディングエッジと平行な面に沿って往復運動するように選択的に動作可能である、請求項24に記載の自動化システム。
【請求項26】
前記プレートは、前記面に沿って、前記パネルに向かって前方向に、及び前記パネルから離れて後方向に往復運動し、
前記複数の突起のそれぞれは、前記前方向を向いている鋭い側と、前記後方向を向いている鈍い側とを含む、請求項25に記載の自動化システム。
【請求項27】
前記プレート角度は、斜角である、請求項25に記載の自動化システム。
【請求項28】
前記プレート角度は、鋭角である、請求項27に記載の自動化システム。
【請求項29】
更に、第2ツールバッキング係合フィーチャを含む第2のエッジ係合ツールを含み、
前記パネルは、前記広い表面とは反対側にある第2の広い表面を含み、
第2のバッキング層は、前記第2のバッキング層と前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のタック力によって、前記パネルの前記第2の広い表面に対して固定され、面一となっており、
前記第2のエッジ係合ツールは第2ツールプレートを含み、前記第2ツールバッキング係合フィーチャは、前記第2ツールプレートから突出する複数の第2ツール突起を含み、
前記第2ツールプレートは、前記パネルに対して第2のプレート角度で固定され、
前記第2ツールプレートは、前記パネルに対して前記第2のプレート角度で角度が付けられ、前記第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分の第2バッキング層リーディングエッジと平行な面に沿って往復運動するように選択的に動作可能である、請求項25に記載の自動化システム。
【請求項30】
往復運動時の前記第2ツールプレートは、往復運動時の前記プレートと同一平面又は平行である、請求項29に記載の自動化システム。
【請求項31】
往復運動時の前記第2ツールプレートは、往復運動時の前記プレートに対して角度が付けられる、請求項29に記載の自動化システム。
【請求項32】
前記エッジ係合ツールは、ホイールを含み、
前記バッキング係合フィーチャは、前記ホイールの周りに円周方向に離間した歯を含み、
前記ホイールは、前記バッキング層の前記エッジ部分のリーディングエッジと平行な軸の周りを回転し、前記ホイールが回転している間、前記パネルの前記広い表面と平行に並進するように選択的に動作可能である、請求項24に記載の自動化システム。
【請求項33】
前記バッキング層は、更に、前記エッジ部分に対して前記パネルの反対側の端部に第2のエッジ部分を含み、
前記エッジ係合ツールは、更に、第2のホイールを含み、
前記バッキング係合フィーチャは、更に、前記第2のホイールの周りに円周方向に離間した第2の歯を含み、
前記第2のホイールは、前記バッキング層の前記第2のエッジ部分のトレーリングエッジと平行な軸の周りで、前記ホイールの回転方向と反対の回転方向に回転し、前記第2のホイールが回転している間、前記パネルの前記広い表面と平行に並進するように選択的に動作可能である、請求項32に記載の自動化システム。
【請求項34】
更に、前記バッキング層が前記パネルの前記広い表面に接着固定されたときに、前記バッキング層に沿って転がるように選択的に動作可能なローラを含む、請求項24に記載の自動化システム。
【請求項35】
ラミネート構造を形成する方法であって、
第1のパネルと、前記第1のパネルに固定されたバッキング層とを、エッジ係合ツールに対するバッキング分離方向に方向付け、前記第1のパネルは、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成され、前記バッキング層は、前記バッキング層と、前記第1のパネルの前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のバッキング/パネル間タック力によって、前記第1のパネルの前記第1パネル広表面に固定される工程と、
前記第1のパネルを、前記エッジ係合ツールに対するバッキング分離位置に位置付ける工程と、
前記第1のパネルが前記バッキング分離方向及び前記バッキング分離位置にあるときに、前記エッジ係合ツールのバッキング係合フィーチャが、前記バッキング層のエッジ部分のみで前記バッキング層と係合し、前記バッキング層の前記エッジ部分だけが前記第1のパネルから分離するように、前記第1のパネルに対して前記エッジ係合ツールを移動させる工程と、
前記エッジ部分が前記第1のパネルから分離した後、前記バッキング層の前記エッジ部分を把持し、把持されたときに、前記バッキング層の全体が前記第1のパネルの前記第1パネル広表面から分離するように、前記バッキング層を前記パネルに対して移動させる工程と、
前記第1のパネルを、前記第1のパネルが、前記第1のパネルの前記予備含浸繊維強化ポリマーと前記第2のパネルの前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のパネル間タック力によって、前記第2のパネルに直接固定され、前記第1のパネルと前記第2のパネルとが前記ラミネート構造を形成するように、前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成される第2のパネルに積層する工程とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項36】
前記第1のパネルを前記第2のパネルに積層する工程は、前記第1パネル広表面が、前記パネル間タック力によって、前記第2のパネルの第2パネル広表面に直接固定されるように、前記第1のパネルを前記第2のパネルに積層することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のパネルは、前記第1パネル広表面とは反対側にある前記第2の第1パネル広表面を含み、
第2のバッキング層は、前記第2のバッキング層と前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間の第2のタック力によって、前記パネルの前記第2の第1パネル広表面に対して固定され、面一とされ、
前記第1のパネルを第2のパネルに積層する工程は、前記第1のパネルを、第2のエッジ係合ツールに対する第2のバッキング分離位置に位置付けることを含み、
更に、
前記第1のパネルが前記第2のバッキング分離位置にあるときに、前記第2のエッジ係合ツールの第2ツールバッキング係合フィーチャが、前記第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分のみと係合し、前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分だけが前記パネルから分離するように、前記第1のパネルに対して前記第2のエッジ係合ツールを移動させることと、
前記第2バッキング層エッジ部分が前記第1のパネルから分離した後、前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分を把持し、把持されたときに、前記第2のバッキング層の全体が前記第1のパネルから分離するように、前記第2バッキング層エッジ部分を前記第1のパネルに対して移動させることとを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記エッジ係合ツールを移動させ、前記バッキング層の前記エッジ部分を把持する工程は、前記第1のパネルを前記第2のパネルに積層する工程の後に行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のパネル及び前記第2のパネルのそれぞれは、積層された配置で複数の層を含み、
前記第1のパネル及び前記第2のパネルの前記複数の層のそれぞれは、一方向繊維を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のパネルの前記複数の層のうちの少なくとも1つの前記一方向繊維は、前記第1のパネルの前記複数の層のうちの少なくとも別の1つの一方向繊維と異なる方向に方向付けられており、
前記第2のパネルの前記複数の層のうちの少なくとも1つの前記一方向繊維は、前記第2のパネルの前記複数の層のうちの少なくとも別の1つの一方向繊維と異なる方向に方向付けられている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のパネル及び前記第2のパネルの少なくともいずれかの前記複数の層は、前記一方向繊維が0°に方向付けられている第1の層、前記一方向繊維が+45°に方向付けられている第2の層、前記一方向繊維が90°に方向付けられている第3の層、及び前記一方向繊維が-45°に方向付けられている第4の層を含む4つの層からなる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のパネル及び前記第の2パネルの両方の前記複数の層は、前記一方向繊維が0°に方向付けられている第1の層、前記一方向繊維が+45°に方向付けられている第2の層、前記一方向繊維が90°に方向付けられている第3の層、及び前記一方向繊維が-45°に方向付けられている第4の層を含む4つの層からなる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のパネル及び前記第2のパネルの少なくともいずれかの前記複数の層は、0°に方向付けられた一方向繊維をそれぞれが有する4つの層からなる、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のパネルの前記複数の層は、第1の積層体及び第2の積層体として配置され、
前記第2の積層体は前記第1の積層体に積層され、
前記第1の積層体の層は整列され、
前記第2の積層体の層は整列されず、
前記第2の積層体の前記層のそれぞれは細長ストリップを含み、
前記第2の積層体の前記細長ストリップはクラスタを形成し、
前記第1パネル広表面は、前記バッキング層が前記第1の積層体及び前記クラスタの両方の部分に固定されるように、前記第1の積層体及び前記クラスタの部分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
更に、前記細長ストリップを互いに対して異なる角度で前記第1の積層体に自動的に別々に適用して、前記第2の積層体の前記クラスタを形成する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記細長ストリップを前記第1の積層体に自動的に別々に適用する工程は、前記細長ストリップの方向付けを維持しながら、前記細長ストリップに対して前記第1の積層体を徐々に回転させることを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
更に、前記エッジ係合ツールを移動させる工程の前に、前記第1のパネルが前記第2のパネルに積層されたときに、前記エッジ係合ツールと前記第2のパネルとの間の、前記第1パネル広表面に垂直な積層方向の距離を調整する工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のパネル及び前記第2のパネルのそれぞれは、積層された配置で複数の層を含み、
更に、
前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたシートを複数の層に超音波で切断する工程と、
前記複数の層の第1のセットを積層して前記第1のパネルを形成する工程と、
前記複数の層の第2のセットを積層して前記第2のパネルを形成する工程とを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項49】
更に、前記第1のパネルが前記第2のパネルに積層された後、前記未硬化予備含浸繊維強化ポリマーが硬化されるように、前記第1のパネル及び前記第2のパネルを互いに押圧及び加熱する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
更に、前記第1のパネル及び前記第2のパネルを押圧及び加熱する工程の後に、
前記第1のパネル又は前記第2のパネルの一方の外表面を粗面化して、粗面化された外表面を形成する工程と、
前記粗面化された外表面を清浄して、清浄された粗面化外表面を形成する工程と、
前記清浄された粗面化外表面にプライマー層を適用する工程と、
前記プライマー層にインクを適用する工程とを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
更に、ポリマー層を前記プライマー層及び前記インクの上に押圧成形して、切断前ラミネート構造を形成する工程を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
更に、前記切断前ラミネート構造を切断して、所定形状を有する切断後ラミネート構造を形成する工程を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記切断後ラミネート構造は、ゴルフクラブヘッドの打球プレートを含む、請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、繊維強化ポリマーから形成されるラミネート構造を形成することに関し、より詳細には、繊維強化ポリマーから形成されるパネルからバッキング層を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
ラミネート構造は、繊維強化ポリマーの各層の積層により形成することができる。一般には、積層された層のそれぞれは、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成される。未硬化予備含浸繊維強化ポリマーが使用されるのは、硬化前に任意の様々な形状に成形することができるからである。層の輸送、保管、取り扱い中に未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの損傷又は汚染を防ぐために、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーが積層された各層は、層に貼付されたバッキング紙を有することができる。層を硬化させる前に、バッキング紙は除去される。しかし、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーを損傷することなく、効率的に自動化された方法でバッキング紙を除去することは、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの粘着性及びバッキング紙の薄さのために困難である場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本願の主題は、現在の技術水準、特に、現在利用可能な技術では、依然として完全には解決されていない未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの層からバッキング紙を除去する方法の欠点に対応している。したがって、本願の主題は、先行技術における前記欠点の少なくともいくつかを克服する、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの層からバッキング紙を自動的に除去するための自動化システム及び関連する方法を提供することを目的としている。
【0004】
以下は、本明細書に開示される主題の、請求されている又は請求されていない例の非網羅的な一覧である。
【0005】
本明細書では、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたパネルからバッキング層を除去する方法が開示される。バッキング層は、バッキング層と未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のタック力によって、パネルの広い表面に対して固定され、面一(flush)となる。前記方法は、パネルを、エッジ係合(edge-engagement)ツールに対してバッキング分離方向に方向付ける工程を含む。前記方法はまた、パネルを、エッジ係合ツールに対してバッキング分離位置に位置付ける工程を含む。前記方法は、更に、パネルがバッキング分離方向及びバッキング分離位置にあるときに、エッジ係合ツールのバッキング係合フィーチャが、バッキング層のエッジ部分のみでバッキング層に係合し、バッキング層のエッジ部分だけがパネルから分離するように、パネルに対してエッジ係合ツールを移動させる工程を含む。前記方法は、更に、エッジ部分がパネルから分離した後、バッキング層のエッジ部分を把持し、把持されたときに、バッキング層の全体がパネルから分離するように、パネルに対してバッキング層を移動させる工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例1を特徴付ける。
【0006】
エッジ係合ツールはプレートを含み、バッキング係合フィーチャはプレートから突出する複数の突起を含む。エッジ係合ツールを移動させる工程は、パネルがバッキング分離方向に方向付けられ、バッキング分離位置に位置付けられているときに、プレートが、パネルに対してプレート角度で角度が付けられ、エッジ部分のリーディングエッジと平行な面に沿って移動するとき、プレートの複数の突起のみがバッキング層のエッジ部分のみと係合するように、前記面に沿ってプレートを往復運動させることを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例2を特徴付けるものであり、例2は、前記例1に係る主題も含む。
【0007】
プレートは、面に沿って前方向と後方向に往復運動する。前方向は、後方向と反対方向である。複数の突起とバッキング層のエッジ部分との間の各係合により、バッキング層のパネルからの少なくとも部分的な分離がもたらされる。プレートが前方向に移動するときに、複数の突起がエッジ部分に係合する。プレートが後方向に移動するときに、バッキング層のパネルからの少なくとも部分的な分離が維持されるように、複数の突起は、プレートが後方向に移動するとき、エッジ部分と実質的に係合しない。本段落の前述した主題は、本開示の例3を特徴付けるものであり、例3は、前記例2に係る主題も含む。
【0008】
複数の突起のそれぞれは、前方向を向いている鋭い側と、後方向を向いている鈍い側とを含む。複数の突起とバッキング層のエッジ部分との係合は、バッキング層のエッジ部分を少なくとも部分的に貫通する複数の突起の鋭い側を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例4を特徴付けるものであり、例4は、前記例3に係る主題も含む。
【0009】
プレート角度は、斜角である。本段落の前述した主題は、本開示の例5を特徴付けるものであり、例5は、前記例2から4のいずれかに係る主題も含む。
【0010】
プレート角度は、鋭角である。本段落の前述した主題は、本開示の例6を特徴付けるものであり、例6は、前記例5に係る主題も含む。
【0011】
プレートを往復運動させることは、プレートの複数の突起が、バッキング層の前記エッジ部分のみに少なくとも2回係合するように、プレートを少なくとも2回往復運動させることを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例7を特徴付けるものであり、例7は、前記例2から6のいずれかに係る主題も含む。
【0012】
エッジ係合ツールはホイールを含み、バッキング係合フィーチャはホイールの周りに円周方向に離間した歯を含む。エッジ係合ツールを移動させる工程は、パネルがバッキング分離方向に方向付けられバッキング分離位置に位置付けられているときに、ホイールの歯のみが前記バッキング層のエッジ部分に繰り返し係合するように、バッキング層の前記エッジ部分のリーディングエッジと平行な軸の周りにホイールを回転させることと、ホイールを回転させるとき、ホイールを、パネルの前記広い表面と平行なホイール方向に並進させることとを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例8を特徴付けるものであり、例8は、前記例1に係る主題も含む。
【0013】
バッキング層は、更に、エッジ部分に対してパネルの反対側の端部に第2のエッジ部分を含む。エッジ係合ツールは、更に、第2のホイールを含み、バッキング係合フィーチャは、更に、第2のホイールの周りに円周方向に離間した第2の歯を含む。エッジ係合ツールを移動させる工程は、更に、前記第2のホイールの前記第2の歯のみがバッキング層の第2のエッジ部分に繰り返し係合し、バッキング層の第2のエッジ部分だけがパネルから分離するように、バッキング層の前記第2のエッジ部分のトレーリングエッジと平行な第2の軸の周りにホイールの回転方向と反対の回転方向に第2のホイールを回転させることと、第2のホイールを回転させるとき、ホイールを、パネルの広い表面と平行でホイール方向と反対の第2のホイール方向に並進させることとを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例9を特徴付けるものであり、例9は、前記例8に係る主題も含む。
【0014】
前記方法は、更に、把持装置(gripper)がバッキング層のエッジ部分を把持しているときであって、第2のエッジ部分がパネルから分離した後、バッキング層の第2のエッジ部分を第2の把持装置で把持することを含む。前記方法は、更に、第2の把持装置によって把持され、パネルに対して前記把持装置を移動させるとき、バッキング層の全体がパネルから分離するように、パネルに対して第2の把持装置を移動させることを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例10を特徴付けるものであり、例10は、前記例9に係る主題も含む。
【0015】
パネルは、広い表面の反対側にある第2の広い表面を含む。第2のバッキング層は、第2のバッキング層と未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間の第2のタック力によって、パネルの第2の広い表面に対して固定され、面一となる。前記方法は、更に、バッキング層の全体をパネルから分離した後、パネルを、第2のエッジ係合ツールに対して第2のバッキング分離方向に方向付けること、及びパネルを、第2のエッジ係合ツールに対して第2のバッキング分離位置に位置付けることの少なくともいずれかの工程を含む。前記方法はまた、バッキング層の全体をパネルから分離した後、パネルが第2のバッキング分離方向及び第2のバッキング分離位置の少なくともいずれかにあるときに、第2のエッジ係合ツールの第2ツールバッキング係合フィーチャが、第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分のみに係合し、第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分だけがパネルから分離するように、パネルに対して第2のエッジ係合ツールを移動させる少なくとも1つの工程を含む。前記方法は、更に、バッキング層の全体をパネルから分離した後、第2バッキング層エッジ部分がパネルから分離した後、第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分を把持すること、及び、把持されたときに、第2のバッキング層の全体がパネルから分離するように、第2バッキング層エッジ部分をパネルに対して移動させることの少なくともいずれかの工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例11を特徴付けるものであり、例11は、前記例1から10のいずれかに係る主題も含む。
【0016】
バッキング層のエッジ部分を把持する工程は、バッキング層のエッジ部分を把持装置で把持することを含む。第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分を把持する工程は、第2バッキング層エッジ部分を第2の把持装置で把持することを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例12を特徴付けるものであり、例12は、前記例11に係る主題も含む。
【0017】
パネルを第2のエッジ係合ツールに対して第2のバッキング分離方向に方向付ける工程は、パネルをひっくり返すことを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例13を特徴付けるものであり、例13は、前記例11から12のいずれかに係る主題も含む。
【0018】
第2のエッジ係合ツールは、第2ツールプレートを含み、第2ツールバッキング係合フィーチャは、第2ツールプレートから突出する複数の第2のツール突起を含む。第2のエッジ係合ツールを移動させる工程は、パネルが第2のバッキング分離方向に方向付けられ、第2のバッキング分離位置に位置するときに、前記第2ツールプレートの複数の第2ルーツ突起のみが、前記第2のバッキング層の前記第2バッキング層エッジ部分のみと係合するように、前記パネルに対して第2のプレート角度で角度が付けられ、第2バッキング層エッジ部分の第2のバッキング層リーディングエッジと平行な第2の面に沿って第2ツールプレートを往復運動させる。本段落の前述した主題は、本開示の例14を特徴付けるものであり、例14は、前記例11から13のいずれかに係る主題も含む。
【0019】
往復運動時の第2ツールプレートは、往復運動時のプレートと同一平面又は平行である。本段落の前述した主題は、本開示の例15を特徴付けるものであり、例15は、前記例14に係る主題も含む。
【0020】
往復運動時の第2ツールプレートは、往復運動時のプレートに対して角度が付けられる。本段落の前述した主題は、本開示の例16を特徴付けるものであり、例16は、前記例14に係る主題も含む。
【0021】
往復運動時の第2ツールプレートと往復運動時のプレートとの間の角度は、90°以下である。本段落の前述した主題は、本開示の例17を特徴付けるものであり、例17は、前記例16に係る主題も含む。
【0022】
パネルの方向付け、パネルの位置付け、エッジ係合ツールの移動、エッジ部分の把持の各工程が自動化される。本段落の前述した主題は、本開示の例18を特徴付けるものであり、例18は、前記例1から17のいずれかに係る主題も含む。
【0023】
前記方法は、更に、パネルをバッキング分離方向に方向付けた後、パネルをバッキング分離位置に位置付けた後、及びエッジ係合ツールを移動させる前に、パネルの広い表面に対してバッキング層を押圧することを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例19を特徴付けるものであり、例19は、前記例1から18のいずれかに係る主題も含む。
【0024】
広い表面に対してバッキング層を押圧することは、バッキング層に沿ってローラを転がすことを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例20を特徴付けるものであり、例20は、前記例19に係る主題も含む。
【0025】
パネルは、積層された配置で複数の層を含む。複数の層のそれぞれは、一方向繊維を含む。複数の層のうちの少なくとも1つの一方向繊維は、複数の層のうちの少なくとも別の1つの一方向繊維と異なる方向に方向付けられている。本段落の前述した主題は、本開示の例21を特徴付けるものであり、例21は、前記例1から20のいずれかに係る主題も含む。
【0026】
前記方法は、更に、エッジ係合ツールを移動させる工程の間、パネルの温度を72°以下に維持する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例22を特徴付けるものであり、例22は、前記例1から21のいずれかに係る主題も含む。
【0027】
パネルの温度を72°以下に維持する工程は、72°以下の温度でパネルに空気を吹き付けることを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例23を特徴付けるものであり、例23は、前記例22に係る主題も含む。
【0028】
更に、本明細書では、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたパネルからバッキング層を除去するための自動化システムが開示される。バッキング層は、バッキング層と未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のタック力によって、パネルの広い表面に対して固定され、面一となる。自動化システムは、エッジ係合ツールを含み、エッジ係合ツールはバッキング係合フィーチャを含み、エッジ係合ツールは、エッジ係合ツールのバッキング係合フィーチャがバッキング層のエッジ部分のみと係合して、バッキング層のエッジ部分だけがパネルから分離するように、パネルに対して可動である。自動化システムはまた、エッジ部分がパネルから分離されたときにエッジ部分を把持するように構成され、エッジ部分が把持装置によって把持されたときに、バッキング層の全体がパネルから分離するように、パネルに対して可動である把持装置を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例24を特徴付ける。
【0029】
エッジ係合ツールは、プレートを含む。バッキング係合フィーチャは、プレートから突出した複数の突起を含む。プレートは、パネルに対してプレート角度で固定される。プレートは、パネルに対してプレート角度で角度が付けられ、エッジ部分のリーディングエッジと平行な面に沿って往復運動するように選択的に動作可能である。本段落の前述した主題は、本開示の例25を特徴付けるものであり、例25は、前記例24に係る主題も含む。
【0030】
プレートは、面に沿って、パネルに向かって前方向に、及びパネルから離れて後方向に往復運動する。複数の突起のそれぞれは、前方向を向いている鋭い側と、後方向を向いている鈍い側とを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例26を特徴付けるものであり、例26は、前記例25に係る主題も含む。
【0031】
プレート角度は、斜角である。本段落の前述した主題は、本開示の例27を特徴付けるものであり、例27は、前記例25から26のいずれかに係る主題も含む。
【0032】
プレート角度は、鋭角である。本段落の前述した主題は、本開示の例28を特徴付けるものであり、例28は、前記例27に係る主題も含む。
【0033】
自動化システムは、更に、第2ツールバッキング係合フィーチャを含む第2のエッジ係合ツールを含む。パネルは、広い表面の反対側にある第2の広い表面を含む。第2のバッキング層は、第2のバッキング層と未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のタック力によって、パネルの第2の広い表面に対して固定され、面一となる。本段落の前述した主題は、本開示の例29を特徴付けるものであり、例29は、前記例25から28のいずれかに係る主題も含む。
【0034】
往復運動時の第2ツールプレートは、往復運動時のプレートと同一平面又は平行である。本段落の前述した主題は、本開示の例30を特徴付けるものであり、例30は、前記例29に係る主題も含む。
【0035】
往復運動時の第2ツールプレートは、往復運動時のプレートに対して角度が付けられる。本段落の前述した主題は、本開示の例31を特徴付けるものであり、例31は、前記例29に係る主題も含む。
【0036】
エッジ係合ツールは、ホイールを含む。バッキング係合フィーチャは、ホイールの周りに円周方向に離間した歯を含む。ホイールは、バッキング層のエッジ部分のリーディングエッジと平行な軸の周りを回転し、ホイールが回転している間、パネルの広い表面と平行に並進するように選択的に動作可能である。本段落の前述した主題は、本開示の例32を特徴付けるものであり、例32は、前記例24に係る主題も含む。
【0037】
バッキング層は、更に、エッジ部分に対してパネルの反対側の端部に第2のエッジ部分を含む。エッジ係合ツールは、更に、第2のホイールを含む。バッキング係合フィーチャは、更に、第2のホイールの周りに円周方向に離間した第2の歯を含む。第2のホイールは、バッキング層の第2のエッジ部分のトレーリングエッジと平行な軸の周りで、ホイールの回転方向と反対の回転方向に回転し、第2のホイールが回転している間、パネルの広い表面と平行に並進するように選択的に動作可能である。本段落の前述した主題は、本開示の例33を特徴付けるものであり、例33は、前記例32に係る主題も含む。
【0038】
自動化システムは、更に、バッキング層がパネルの広い表面に接着固定されたときに、バッキング層に沿って転がるように選択的に動作可能なローラを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例34を特徴付け、例34は、前記例24から33のいずれかに係る主題も含む。
【0039】
更に、本明細書では、ラミネート構造を形成する方法が開示される。前記方法は、第1のパネルと、前記第1のパネルに固定されたバッキング層とを、エッジ係合ツールに対するバッキング分離方向に方向付ける工程を含む。第1のパネルは、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成され、バッキング層は、バッキング層と、第1のパネルの未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のバッキング/パネル間タック力によって、第1のパネルの第1パネル広表面に固定される。前記方法はまた、第1のパネルを、エッジ係合ツールに対するバッキング分離位置に位置付ける工程を含む。前記方法は、更に、第1のパネルがバッキング分離方向及びバッキング分離位置にあるときに、エッジ係合ツールのバッキング係合フィーチャが、バッキング層のエッジ部分のみでバッキング層と係合し、バッキング層のエッジ部分だけが第1のパネルから分離するように、第1のパネルに対してエッジ係合ツールを移動させる工程を含む。前記方法は、更に、第1のパネルを、第1のパネルが、第1のパネルの予備含浸繊維強化ポリマーと第2のパネルの未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間のパネル間タック力によって、第2のパネルに直接固定され、第1のパネルと第2のパネルとがラミネート構造を形成する未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成される第2のパネルに積層する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例35を特徴付ける。
【0040】
第1のパネルを第2のパネルに積層する工程は、第1パネル広表面が、パネル間タック力によって、第2のパネルの第2パネル広表面に直接固定されるように、第1のパネルを第2のパネルに積層することを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例36を特徴付けるものであり、例36は、前記例35に係る主題も含む。
【0041】
第1のパネルは、第1パネル広表面の反対側にある第2の第1パネル広表面を含む。第2のバッキング層は、第2のバッキング層と未硬化予備含浸繊維強化ポリマーとの間の第2のタック力によって、パネルの第2の第1パネル広表面に対して固定され、面一となる。第1のパネルを第2のパネルに積層する工程は、第1のパネルを、第2のエッジ係合ツールに対する第2のバッキング分離位置に位置付けることを含む。前記方法は、更に、第1のパネルが第2のバッキング分離位置にあるときに、第2のエッジ係合ツールの第2ツールバッキング係合フィーチャが、第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分のみと係合し、第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分だけがパネルから分離するように、第1のパネルに対して第2のエッジ係合ツールを移動させることを含む。前記方法はまた、第2バッキング層エッジ部分が第1のパネルから分離した後、第2のバッキング層の第2バッキング層エッジ部分を把持し、把持されたときに、第2のバッキング層の全体が第1のパネルから分離するように、第2バッキング層エッジ部分を第1のパネルに対して移動させることを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例37を特徴付けるものであり、例37は、前記例36に係る主題も含む。
【0042】
エッジ係合ツールを移動させ、バッキング層のエッジ部分を把持する工程は、第1のパネルを第2のパネルに積層する工程の後に行われる。本段落の前述した主題は、本開示の例38を特徴付けるものであり、例38は、前記例35から37のいずれかに係る主題も含む。
【0043】
第1のパネル及び第2のパネルのそれぞれは、積層された配置で複数の層を含む。第1のパネル及び第2のパネルの複数の層のそれぞれは、一方向繊維を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例39を特徴付け、例39は、前記例35から38のいずれかに係る主題も含む。
【0044】
第1のパネルの複数の層のうちの少なくとも1つの一方向繊維は、第1のパネルの複数の層のうちの少なくとも別の1つの一方向繊維と異なる方向に方向付けられている。第2のパネルの複数の層のうちの少なくとも1つの一方向繊維は、第2のパネルの複数の層のうちの少なくとも別の1つの一方向繊維と異なる方向に方向付けられている。本段落の前述した主題は、本開示の例40を特徴付けるものであり、例40は、前記例39に係る主題も含む。
【0045】
第1のパネル及び第2のパネルの少なくともいずれかの複数の層は、一方向繊維が0°に方向付けられている第1の層、一方向繊維が+45に方向付けられている第2の層、一方向繊維が90°に方向付けられている第3の層、及び一方向繊維が-45°に方向付けられている第4の層を含む4つの層からなる。本段落の前述した主題は、本開示の例41を特徴付けるものであり、例41は、前記例40に係る主題も含む。
【0046】
第1のパネル及び第の2パネルの両方の複数の層は、一方向繊維が0°に方向付けられている第1の層、一方向繊維が+45に方向付けられている第2の層、一方向繊維が90°に方向付けられている第3の層、及び一方向繊維が-45°に方向付けられている第4の層を含む4つの層からなる。本段落の前述した主題は、本開示の例42を特徴付けるものであり、例42は、前記例40に係る主題も含む。
【0047】
第1のパネル及び第2のパネルの少なくともいずれかの複数の層は、0°に方向付けられた一方向繊維をそれぞれが有する4つの層からなる。本段落の前述した主題は、本開示の例43を特徴付けるものであり、例43は、前記例39に係る主題も含む。
【0048】
第1のパネルの複数の層は、第1の積層体及び第2の積層体として配置される。第2の積層体は、第1の積層体に積層される。第1の積層体の層は整列される。第2の積層体の層は整列されない。第2の積層体の各層は、細長ストリップを含む。第2の積層体の細長ストリップがクラスタを形成する。第1パネル広表面は、バッキング層が第1の積層体及びクラスタの両方の部分に固定されるように、第1の積層体及びクラスタの部分を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例44を特徴付けるものであり、例44は、前記例39から43のいずれかに係る主題も含む。
【0049】
前記方法は、更に、細長ストリップを互いに対して異なる角度で第1の積層体に自動的に別々に適用して、第2の積層体のクラスタを形成する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例45を特徴付けるものであり、例45は、前記例44に係る主題も含む。
【0050】
細長ストリップを第1の積層体に自動的に別々に適用する工程は、細長ストリップの方向付けを維持しながら、細長ストリップに対して第1の積層体を徐々に回転させることを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例46を特徴付けるものであり、例46は、前記例45に係る主題も含む。
【0051】
前記方法は、更に、エッジ係合ツールを移動させる工程の前に、第1のパネルが第2のパネルに積層されたときに、エッジ係合ツールと第2のパネルとの間の、第1パネル広表面に垂直な積層方向の距離を調整する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例47を特徴付けるものであり、例47は、前記例35から46のいずれかに係る主題も含む。
【0052】
第1のパネル及び第2のパネルのそれぞれは、積層された配置で複数の層を含む。前記方法は、更に、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されたシートを複数の層に超音波で切断する工程と、複数の層の第1のセットを積層して第1のパネルを形成する工程と、複数の層の第2のセットを積層して第2のパネルを形成する工程とを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例48を特徴付けるものであり、例48は、前記例35から47のいずれかに係る主題も含む。
【0053】
前記方法は、更に、第1のパネルが第2のパネルに積層された後、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーが硬化されるように、第1のパネル及び第2のパネルを互いに押圧及び加熱する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例49を特徴付けるものであり、例49は、前記例48に係る主題も含む。
【0054】
前記方法は、第1のパネル及び第2のパネルを押圧及び加熱する工程の後に、第1のパネル又は第2のパネルの一方の外表面を粗面化して、粗面化された外表面を形成する工程と、粗面化された外表面を清浄して、清浄された粗面化外表面を形成する工程、清浄された粗面化外表面にプライマー層を適用する工程と、プライマー層にインクを適用する工程とを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例50を特徴付けるものであり、例50は、前記例49に係る主題も含む。
【0055】
前記方法は、更に、ポリマー層をプライマー層及びインクの上に押圧成形して、切断前ラミネート構造を形成する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例51を特徴付けるものであり、例51は、前記例50に係る主題も含む。
【0056】
前記方法は、更に、切断前ラミネート構造を切断して、所定形状を有する切断後ラミネート構造を形成する工程を含む。本段落の前述した主題は、本開示の例52を特徴付けるものであり、例52は、前記例51に係る主題も含む。
【0057】
切断後ラミネート構造は、ゴルフクラブヘッドの打球プレートを含む。本段落の前述した主題は、本開示の例53を特徴付けるものであり、例53は、前記例52に係る主題も含む。
【0058】
本開示の主題の記載された特徴、構造、利点、及び/又は特性は、1以上の例及び/又は実施において任意の好適な方法で組み合わせることができる。以下の記載において、本開示の主題の例に対する十分な理解を与えるために、多くの具体的詳細が提供される。関連技術の当業者は、本開示の主題が、特定の例又は実施の具体的な特徴、詳細、構成要素、材料、及び/又は方法のうちの1以上がなくても実施できることを認識する。他の例では、特定の例及び/又は実施においては、全ての例又は実施に存在するとは限らない更なる特徴及び利点が認識され得る。更に、ある場合には、本開示の主題の態様を曖昧にすることを避けるために、周知の構造、材料、又は操作について詳細には示さない又は記載しない。本開示の主題の特徴及び利点は、以下の記載及び添付の特許請求の範囲からよりよく明らかになる又は以下に示される主題を実施することによって理解できる。
【0059】
主題の利点をより容易に理解できるようにするために、上で簡単に記載した主題のより具体的な記載を、添付図面に示される具体例を参照することによって提供する。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれている訳ではないが、主題の特定の例のみを示しており、その範囲の限定とみなされないことを理解しつつ、主題は、これらの図面を使用することによって更に具体的且つ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、本発明の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第1段階にある、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムのエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0061】
図2A図2Aは、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第2段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0062】
図2B図2Bは、本開示の1以上の例に係る、図2Aのエッジ係合ツールの一部の概略側面拡大図である。
【0063】
図3A図3Aは、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第3段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0064】
図3B図3Bは、本開示の1以上の例に係る、図3Aのエッジ係合ツールの一部の概略側面拡大図である。
【0065】
図4A図4Aは、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第4段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0066】
図4B図4Bは、本開示の1以上の例に係る、図4Aのエッジ係合ツールの一部の概略側面拡大図である。
【0067】
図5図5は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第5段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0068】
図6図6は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第6段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0069】
図7図7は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第7段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0070】
図8図8は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第8段階にある、図1のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0071】
図9図9は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムの把持装置の概略側面図である。
【0072】
図10図10は、本開示の1以上の例に係る、バッキング層のエッジ部分を把持装置が把持している、図9の把持装置の概略側面図である。
【0073】
図11図11は、本開示の1以上の例に係る、バッキング層のエッジ部分を把持装置が把持し引っ張っている、図9の把持装置の概略側面図である。
【0074】
図12図12は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を把持装置が把持し除去している、図9の把持装置の概略側面図である。
【0075】
図13図13は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムの概略側面図である。
【0076】
図14図14は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムの概略側面図である。
【0077】
図15図15は、本発明の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第1段階にある、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムのエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0078】
図16図16は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第2段階にある、図15のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0079】
図17図17は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第3段階にある、図15のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0080】
図18図18は、本開示の1以上の例に係る、エッジ係合ツールが移動の第4段階にある、図15のエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0081】
図19図19は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムの把持装置の概略側面図である。
【0082】
図20図20は、本開示の1以上の例に係る、バッキング層のエッジ部分を把持装置が把持している、図19の把持装置の概略側面図である。
【0083】
図21図21は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を把持装置が把持し除去している、図19の把持装置の概略側面図である。
【0084】
図22図22は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムのローラの概略側面図である。
【0085】
図23図23は、本開示の1以上の例に係る、パネルの概略等方図である。
【0086】
図24図24は、本開示の1以上の例に係る、パネルの概略等方分解図である。
【0087】
図25図25は、本開示の1以上の例に係る、パネルを形成するための自動化システムのロボットアーム及び回転可能なプラットフォームの概略等方図である。
【0088】
図26図26は、本開示の1以上の例に係る、パネルの概略等方図である。
【0089】
図27図27は、本開示の1以上の例に係る、図26のパネルの概略等方図である。
【0090】
図28図28は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの概略等方図である。
【0091】
図29図29は、本開示の1以上の例に係る、ラミネート構造を形成する方法の概略フローチャートである。
【0092】
図30A図30Aは、本開示の1以上の例に係る、第2のパネルに積層されている第1のパネルの概略等方図である。
【0093】
図30B図30Bは、本開示の1以上の例に係る、ラミネート構造の概略等方分解図である。
【0094】
図30C図30Cは、本開示の1以上の例に係る、パネルの概略上面図である。
【0095】
図31図31は、本開示の1以上の例に係る、予備含浸強化ポリマーのシート及びそれから除去されている層の概略等方図である。
【0096】
図32図32は、本開示の1以上の例に係る、第1のパネルを形成するために積層された複数の層及び第2のパネルを形成するために積層された複数の層の概略等方図である。
【0097】
図33図33は、本開示の1以上の例に係る、共に圧縮され加熱されている第1のパネル及び第2のパネルの概略等方図である。
【0098】
図34図34は、本開示の1以上の例に係る、表面が粗面化されている図33の第1のパネルの概略等方図である。
【0099】
図35図35は、本開示の1以上の例に係る、清浄されている図34の第1のパネルの概略等方図である。
【0100】
図36図36は、本開示の1以上の例に係る、図35の第1のパネル及び第1のパネルに適用されたプライマー層の概略等方図である。
【0101】
図37図37は、本開示の1以上の例に係る、図36の第1のパネル及びプライマー層、並びにプライマー層に適用されたインクの概略等方図である。
【0102】
図38図38は、本開示の1以上の例に係る、図37の第1のパネル、プライマー層、及びインク、並びにインクの上に適用されて切断前積層構造を形成するポリマー層の概略等方図である。
【0103】
図39図39は、本開示の1以上の例に係る、図38の切断前積層構造から切り取らった切断後ラミネート構造の概略等方図である。
【0104】
図40図40は、本開示の1以上の例に係る、パネルからバッキング層を除去するための自動化システムのエッジ係合ツールの概略側面図である。
【0105】
詳細な説明
本明細書全体に亘って、「一例」、「例」、又は類似する用語は、例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの例に含まれることを意味する。本明細書全体に亘って、「一例において」、「例において」、及び類似する用語は、必ずしもそうではないが、全て同一の例に言及し得る。同様に、用語「実施」の使用は、本開示の1以上の例に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性を有する実施を意味するが、そうでないことを示す明確な関連がない場合、実施は、1以上の例と関連付けられ得る。
【0106】
未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの層から形成されたラミネート構造は、作製が困難である場合がある。ある場合には、係るラミネート構造を作製することの困難性は、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの層の準備、取り扱い、及び組み立てに起因する。本明細書では、ラミネート構造の製造に関連する多くの困難を克服するシステム及び製造方法が開示される。例えば、本明細書に開示されるシステム及び製造方法は、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成されるパネルから、バッキング層を自動的に除去する効率的な方法を提供する自動化システム及び製造方法であり得る。バッキング層を効率的に除去することで、複数のパネルを効率的且つ正確に自動積層することができる。更なる例として、自動化システム及び製造方法は、パネルを形成するために、異なる角度での未硬化予備含浸繊維強化ポリマーにおける複数のストリップの効率的且つ正確な自動積層を促進する。更に、いくつかの例では、本明細書に開示される自動化システム及び製造方法は、ゴルフクラブヘッドの打球プレートの製造を自動化するための効率的且つ正確な方法を提供する。
【0107】
いくつかの例によれば、本開示の自動化システム100は、エッジ係合ツール112及び把持装置130を含む。図1図8及び図15図18を参照すると、特定の例では、エッジ係合ツール112は、自動化された方法などで、パネル110(例えば、第1のパネル)からのバッキング層120の部分的除去を促進するように構成される。図9図12及び図19図21に示されるように、把持装置130は、パネル110からのバッキング層120の完全な除去を促進するように構成される。
【0108】
パネル110は、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成される。本明細書では、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーは、ポリマーマトリックスに埋め込まれた繊維を含む材料であり、ポリマーマトリックスは硬化可能であり、部分的に硬化され得るが、完全には硬化されない、例えば、いわゆるBステージのプリプレグである。換言すれば、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーのポリマーマトリックスは、部分的に硬化する、又は何らかの化学反応が開始する場所であり、液体又は流動状態のポリマーマトリックスと比較してある程度の剛性を与えるのに役立つが、化学反応の完了時点では、ポリマーマトリックスはまだ完全には硬化していない。したがって、本明細書では、予備含浸繊維強化ポリマーの硬化状態を記述するために使用されるとき、未硬化とは、完全には硬化されていない、又は部分的にしか硬化されていないことを意味する。したがって、部分硬化ポリマーマトリックスは、ポリマーマトリックスが液体又は流動性の形態であり、化学反応を受けていない、硬化のない状態(例えば、Aステージ)と、ポリマーマトリックスが剛直な形態であり完全な化学反応を受けている、完全に硬化した状態との間の硬化状態にある。部分硬化されたポリマーマトリックスは、柔軟であり、容易に変形可能であり、粘着性があり、取り扱い易いので、繊維をポリマーマトリックスによって所定位置に維持することができ、予備含浸繊維強化ポリマーを、ポリマーマトリックスの最終硬化の前に、所望形状に成形できる。特定の例では、熱硬化性エポキシ又は樹脂であることができるポリマーマトリックスが硬化(cured or hardened)された後、繊維強化ポリマーは、硬く、しなやさがなくなり、非粘着性になる。いくつかの例では、エポキシは、様々なタイプのエポキシであることができ、繊維は、炭素繊維、ガラス繊維などの様々な繊維であることができる。特定の例では、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの繊維の体積分率は50%であり、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーのエポキシの体積分率は45%である。
【0109】
図23を参照すると、パネル110の一例が示されている。パネル110は、予備含浸繊維強化ポリマーから形成されている。より具体的には、パネル110は、ポリマーマトリックス172に埋め込まれた一方向繊維170を含む。
【0110】
特定の例では、パネル110は1以下の層を含むが、他の例では、パネル110は複数の層129を含む。層129のそれぞれは、予備含浸繊維強化ポリマーから形成されている。したがって、層129のそれぞれの一方向繊維170は、連続的であり、互いに平行である。パネル110の層129は、積層された配置で互いに積層される(例えば、層の積層体を形成する)。層129のポリマーマトリックスは部分的にしか硬化されないので、パネル110の層129は、ポリマーマトリックスの粘着性によって相互に結合される又は積層された配置で維持される。本明細書では、ポリマーマトリックスの粘着性によって生成され、パネル110の層129を相互に結合させ、複数のパネルを相互に結合させ、バッキング層120を層129に結合させる接着力は、タック力として知られる。より具体的には、層又はパネルを相互に接着結合するタック力は、パネル間タック力とみなされ、バッキング層を層又はパネルに接着結合するタック力は、バッキング/パネル間タック力とみなされる。
【0111】
所定のパネル110の層129は、所定の層129の一方向繊維170が、層129の隣接する1つの一方向繊維170と平行である、又はそれに対して角度が付けられるように、互いに対して配置することができる。一例では、パネル110の層129は、パネル110の全ての層129の一方向繊維170が一方向である、互いに平行である、又は同一方向に延びるように、互いに対して配置される。しかし、他の例では、パネル110の層129は、層129のいずれか1層の一方向繊維170が、層129の他のいずれか1層に対して角度を付けられるように、互いに対して配置される。
【0112】
図23及び図32に示される例では、パネル110は4つの層129を含む。図23及び図32のパネル110の4つの層129は、第1の層129A、第2の層129B、第3の層129C、及び第4の層129Dを含む。第1の層129Aの一方向繊維170は0°で方向付けられ、第2の層129Bの一方向繊維170は、第1の層129Aの一方向繊維170に対して+45°で方向付けられ、第3の層129Cの一方向繊維170は、第1の層129Aの一方向繊維170に対して90°で方向付けられ、第4の層129Dの一方向繊維170は、第1の層129Aの一方向繊維170に対して-45°で方向付けられる。
【0113】
本明細書では、図23に示される層配置を有するパネル110は、準等方性(quasi-isotropic)パネルの一例である。更に、図23のパネル110は、層の広い表面と平行であり、パネル110を2等分する中間面に対して非対称である。図23及び図32に示されるパネル110の層129は、[0°,+45°,90°,-45°]レイアップ(layup)構成を有するが、他の例では、レイアップ構成は、[0°,90°,+45°,-45°]などのように異なっていてもよい。図23及び図32のパネル110の特定のレイアップは、隣接する層の繊維が、互いに45°を超えて角度が付けられないように、これはパネルの強度及び性能を改善するのに役立つと認識される。いくつかの例によれば、パネル110の層129は、0°に方向付けされた一方向繊維170を有する層に対して、+60°に方向付けされた一方向繊維170を有する層及び-60°に方向付けされた一方向繊維170を有する層を含むなどの、更に異なるレイアップ構成を有することができる。換言すれば、前記を考慮して、本開示のパネル110は、互いに対して任意の様々な方向付けで繊維を有する1層又は任意の数の積層された層を有することができる。層の繊維の相対的な方向付けは、パネル110のそのような方向における所望の方向剛性(例えば、x軸剛性又はy軸剛性)及び剛性の所望レベルに対応する。
【0114】
層によって一方向繊維170は平行ではないかもしれないが、図23に示される例のパネル110の層129は整列されている。層129の外周エッジが整列されている又は面一であるので、層129は整列されている。本明細書では、層129の位置合わせに関して、層129の周辺エッジは、層の対応するエッジが実質的に同一平面上にある場合、面一となる。層129が整列されているので、パネル110の厚みTは、パネル110上の任意の位置で一定又は同一である。
【0115】
図24図26、及び図27を参照すると、いくつかの例では、パネル110は、細長ストリップ145のクラスタ165を含むので、クラスタパネルとみなされる。クラスタ165は、図23に示されるものと同様に、整列された層の上に積層され、パネル110を形成する。クラスタ165は、パネル110の第2の積層体163を画定し、整列された層は、パネル110の第1の積層体161を画定する。したがって、第2の積層体163の層129は、細長ストリップ145である。細長ストリップ145は、未硬化予備含浸繊維強化ポリマーから形成される。更に、図24に示されるように、細長ストリップ145のそれぞれは、細長ストリップ145の長さL2に沿って延び、第1の積層体161の長さL1(即ち、パネルの110の長さL1)と同一又はそれより短くすることができる。したがって、細長ストリップ145のそれぞれは、細長ストリップ145の幅W2よりも大きい長さL2を有する。細長ストリップ145のそれぞれの一方向繊維170は、細長ストリップ145の長さL2に平行に延びる。細長ストリップ145は、ストリップ145のそれぞれの幅W2が、細長ストリップ145が重ねられてパネル110を形成するパネル110の第1の積層体161の幅W1(即ち、パネル110の幅W1)よりも小さいので、ストリップとみなされる。いくつかの例によれば、細長ストリップ145のそれぞれの幅W2は同一である。しかし、他の例では、細長ストリップ145の少なくとも1つの幅W2は、細長ストリップ145の少なくとも別の1つの幅W2と異なってもよい。
【0116】
特定の例では、細長ストリップ145のそれぞれの中心(又は中点)が第1の積層体161の中心に合わせられるように、細長ストリップ145が第1の積層体161に積層される。したがって、いくつかの例では、クラスタ165又は第2の積層体163は、第1の積層体161の中心に合わせられる。しかし、クラスタ165の細長ストリップ145は、第1の積層体161の中心に合わせられるが、細長ストリップ145は、細長ストリップ145が整列されていない(misaligned)とみなされるように、互いに対して角度が付けられる。より具体的には、層129の外周エッジが整列されていない又は面一でないので、細長ストリップ145は整列されていない。細長ストリップ145のそれぞれは、細長ストリップ145の第1の隣接するものに対してクラスタ角度θ3で角度が付けられ、細長ストリップ145の第2の隣接するものに対してクラスタ角度θ4で角度が付けられている。いくつかの例では、クラスタ角度θ3はクラスタ角度θ4と異なる。一例によれば、クラスタ角度θ3は35°であり、クラスタ角度θ4は55°である。しかし、他の例では、クラスタ角度θ3はクラスタ角度θ4と同一である。クラスタ165が4つの細長ストリップ145を有する一例によれば、クラスタ角度θ3及びクラスタ角度θ4の両方が45°である。クラスタ165が8つの細長ストリップ145を有する場合などの別の例では、クラスタ角度θ3及びクラスタ角度θ4の両方が22.5°である。したがって、いくつかの例では、クラスタ165は、第1の積層体161を中心とする対称的な星形を形成する。
【0117】
図26及び図27のクラスタ165は4つの細長ストリップ145を含むが、例えば図30Bに示されるような他の例では、クラスタ165は4超の細長ストリップ145を含む。1つの特定の例では、クラスタ165は7つの細長ストリップ145を含む。
【0118】
或いは、いくつかの例では、細長ストリップ145は、互いに部分的に重なっているが、全てが第1の積層体161の中心に合わせられている訳ではない。係る例では、クラスタ165は、対称的でなくてもよく、互いに対する細長ストリップ145の角度及び位置によって記述される様々な非対称形状を有してもよい。或いは、細長ストリップ145は、第1の積層体162の中心に合わせられていないが、それにもかかわらず、クラスタ165は、第1の積層体の中心の周りに対称であることができる。例えば、図30Cを参照すると、細長ストリップ145は、第1の積層体161の中心からオフセットされた位置で、パネル110の第1の積層体161の広い表面111に適用される。このように、第2の積層体163を形成するクラスタ165は、打球プレート243の周囲(実質的にパネル110上の輪郭によって示される)に沿って打球プレートの厚みを厚くするのに役立つことができる。
【0119】
各クラスタ165について、細長ストリップ145の一部分のみが互いに重なり合う。細長ストリップ145が第1の積層体161上で整列されていないので、クラスタパネルの厚みTは、クラスタパネルの場所ごとに異なる。換言すれば、例えば図26及び図27に示すように、クラスタパネルの厚みは様々である。対称クラスタなどのいくつかのクラスタ165の場合、クラスタ165の厚みは、クラスタ165の対称軸又は中心から離れて変化するが、円錐又は円錐台などの場合には、クラスタ165の中心から同一距離にある複数の場所では同一である。しかし、非対称性クラスタなどの他のクラスタ165の場合、クラスタ165の厚みは、様々な厚みを有するクラスタ165の中心から同一距離である異なる場所で異なり得る。
【0120】
いくつかの例では、細長ストリップ145は、自動化されたプロセスを介して第1の積層体161上に配置される。例えば、図25に示されるように、自動化システム100は、更に、ロボットアーム147及び回転可能なプラットフォーム149を含むことができる。ロボットアーム147は、細長ストリップ145を把持し、その方向付けを維持するように構成される。細長ストリップ145が所定方向に維持された状態で、第1の積層体161が回転可能なプラットフォーム149上で支持されると、ロボットアーム147は、回転可能なプラットフォーム149に対して並進移動することができ、細長ストリップ145を第1の積層体161に適用する。細長ストリップ145の1つを第1の積層体161に適用した後、回転可能なプラットフォーム149は、所定量(細長ストリップ145間の所望の角度差に対応する)回転し、ロボットアーム147は、以前に適用された細長ストリップ145及び第1の積層体に別の細長ストリップ145を適用する。回転可能なプラットフォーム149の回転は、コンピュータ制御され、これにより、互いに適用された細長ストリップ145の相対的方向付け又はそれらの間の角度差が、細長ストリップ145間の所望の角度差の所定の最小公差内になるようにするのに役立つ。
【0121】
特定の例によれば、自動化システム100は、ロールからなどにより、連続した長さを有する未硬化予備含浸繊維強化材料をロボットアーム147に供給する。一例では、ロボットアーム147は、連続長の材料の端部を把持し、把持された状態で、自動化システム100は、材料を細長ストリップ145に対応する長さに切断して、細長ストリップ145を形成する。或いは、別の例では、連続した長さを有する材料を、ロボットアーム147が細長ストリップ145を把持する前に、自動化システム100のカッタによって、細長ストリップ145に対応する長さに切断される。いずれの例においても、自動化システム100は、連続した長さを有する未硬化予備含浸繊維強化材料を、ロボットアーム147によって把持するのと同時又はほぼ同時に、細長ストリップ145に切断することを可能にする。このようにして、細長ストリップ145を、連続した長さを有する材料から切断することができ、連続的な自動化プロセスでパネル110に適用することができる。
【0122】
前記を考慮すると、本開示のパネル110は、いくつかの例において、参照により本明細書に援用される、2012年8月9日公開の米国特許出願公開第2012/0199882号明細書に開示されたパネルと同一又は類似し得る。本開示のパネル110は、いくつかの例では、平坦であり、概して長方形の外周形状を有する。しかし、他の例では、パネル110は、正方形、三角形、多角形などの長方形以外の外周形状の輪郭を描くことができる及び/又はこれらの形状を有することができる。
【0123】
準等方性パネルであるか、クラスタパネルであるかにかかわらず、本開示のパネル110は、第1の広い表面111(例えば、第1パネル広表面)と、第1の広い表面111とは反対側にある第2の広い表面113(例えば、第2の第1パネル広表面)とを含む。第1の広い表面111は、パネル110の別の層129に粘着結合されていない、パネル110における1以上の層129の1以上の第1の外向き表面である。第2の広い表面113は、パネル110の別の層129に粘着結合されておらず、1以上の第1の外向き表面と反対の方向を向いている、パネルにおける1以上の第2の外向き表面129である。第1の広い表面111及び第2の広い表面113は、パネルの幅及び長さに平行であり、パネルの幅又は長さよりも小さいパネルの厚みに垂直であるので、広い表面とみなされる。第1の広い表面111又は第2の広い表面113は、図23の準等方性パネルの場合のように、単一層129の外向き表面を含むことができる。或いは、第1の広い表面111又は第2の広い表面113は、複数の層129の外向き表面、例えば、第1の積層体161の外側の層129の外向き表面と、図26及び図27のクラスタパネルの第2の積層体163の細長ストリップ145の複数の外向き表面とを含む。したがって、パネル110の広い表面は、単一の表面である必要はない。
【0124】
図23図26、及び図27を参照すると、バッキング層120は、パネル110の第1の広い表面111及び第2の広い表面113の一方又は両方に固定され、実質的に面一である。本明細書において、バッキング層120とパネル110の広い表面との間の結合に関し、面一とは、直接当接する又は直接隣接することを意味する。更に、バッキング層120が、広い表面に対して実質的に面一又は実質的に平坦である場合、バッキング層120は広い表面に対して面一である。したがって、バッキング層120のいくつかの小部分が、例えば小さなエアポケットにより、広い表面に直接結合されていない場合でも、バッキング層120は、依然、広い表面に対して面一であるとみなすことができる。図23図26、及び図27に示される例では、1つのバッキング層120(即ち、第1のバッキング層)は、パネル110の第1の広い表面111に固定され、別のバッキング層121(即ち、第2のバッキング層)は、パネル110の第2の広い表面113に固定される。バッキング層120は、パネル110の未硬化予備含浸繊維強化ポリマーの粘着性によって生成され、バッキング層120を第1の広い表面111に接着結合するように作用するタック力によって、第1の広い表面111に固定される。同様に、バッキング層121は、バッキング層121を第2の広い表面113に接着結合するパネル110の粘着性によって生成されるタック力によって、第2の広い表面113に固定される。予備含浸繊維強化ポリマーの粘着性によって提供されるタック力は、広い表面に対してバッキング層を保持するのに十分であるが、タック力よりも大きい引き剥がし力によって引き剥がされる。引き剥がし力は比較的小さいので、バッキング層を手動で除去することが可能であるが、バッキング層に係る引き剥がし力を手動で印加することは困難であることがある。その理由は、バッキング層がパネル110から引き剥がされるのに十分に把持することは、バッキング層の薄さ又は低プロファイルのために困難であるからである。
【0125】
更に、タック力は、予備含浸繊維強化ポリマーの温度に比例する。換言すれば、温度が高いほど、タック力は大きくなる。タック力が高過ぎると、バッキング層を除去するために必要な引き剥がし力が、バッキング層と共に予備含浸繊維強化ポリマーの一部を引き離してしまうのに十分であり得るので、予備含浸繊維強化ポリマーの構造完全性に悪影響が及ぼされることがある。したがって、予備含浸繊維強化ポリマーの温度を所定範囲内に維持してパネルへのバッキング層の確実な保持を促進し、且つパネル110からのバッキング層の除去を、パネルにダメージを与えることなく促進することができる。
【0126】
いくつかの例によれば、バッキング層120及びバッキング層121(例えば、第2のバッキング層)は、紙などの繊維材料、プラスチックなどのポリマー材料、又は他の各種剥離若しくは保護フィルムから形成される。したがって、本明細書では、バッキング層は、各種剥離フィルムであることができる。バッキング層は、パネル110の輸送、保管、及び取り扱い中の衝撃による損傷及び汚染物質(例えば、埃及び破片)からパネル110を保護するためにパネル110に固定される。いくつかの例では、パネル110の層129のそれぞれは、予備含浸繊維強化ポリマーのシートから切り取られる。予備含浸繊維強化ポリマーの連続ロールの形態を採り得る、予備含浸繊維強化ポリマーのシートは、シートの両面に保護フィルムを含む。層129がシートから切り取られた後又は切り取られる前に、保護フィルムがシートから除去される。次いで、該当する場合には細長ストリップ145を含み、保護フィルムが除去された層129は、前記したように互いに積層されてパネル110を形成する。層129が互いに積層された後、バッキング層120及びバッキング層121は、それぞれ第1の広い表面111及び第2の広い表面113に固定され、バッキング層が広い表面に対して実質的に面一となる。バッキング層がパネル110に固定された状態で、パネル110は、次いで、自動化システム100を使用して、ラミネート構造180に組み立てられる準備が整う。
【0127】
図1図8及び図15図18を参照すると、パネル110に対するエッジ係合ツール112の様々な移動の段階が示されている。パネル110に対するエッジ係合ツール112の移動は、バッキング層120のエッジ部分122のみをパネル110から分離するのに役立つ。いくつかの例では、エッジ係合ツール112が移動している間の、エッジ係合ツール112のパネル110に対する位置及び方向付けは固定される。したがって、パネル110は、バッキング分離方向Aに向けられ、エッジ係合ツール112が、バッキング層120のエッジ部分122のみに係合することを可能にする、エッジ係合ツール112に対するバッキング分離位置Bに位置する。図示しないが、自動化システム100は、パネル110を固定し、それをバッキング分離方向A及びバッキング分離位置Bに移動させ維持する1以上の自動化ツール(例えば、ロボットアーム又はロボットアクチュエータ)を含む。
【0128】
パネル110がバッキング分離方向A及びバッキング分離位置Bにある状態で、自動化システム100は、バッキング係合ツール112のバッキング係合フィーチャ114が、バッキング層120のエッジ部分122でのみ、バッキング層120と係合し、バッキング層120のエッジ部分122のみがパネル110から分離するように、パネル110に対してエッジ係合ツール112を移動させる。バッキング層120のエッジ部分122は、バッキング層120のリーディングエッジ124を含むバッキング層120の一部である。リーディングエッジ124は、パネルの全幅W1に沿って延び、それと平行である。更に、エッジ部分122は、パネルの長さL1と平行な方向に、パネル110の全長L1よりも短い距離Dだけ、リーディングエッジ124から離れて延びるバッキング層120の部分を含む(例えば、図8参照)。いくつかの例では、距離Dは、パネル110の全長L1の半分以下である。他の例によれば、距離Dは、パネル110の全長L1の4分の1以下である。
【0129】
図1図8に示されるように、いくつかの例では、エッジ係合ツール112はプレート116を含み、バッキング係合フィーチャ114は複数の突起118を含む。いくつかの例では、プレート116は平坦で薄い。更に、プレート116は、係合面117を画定する。突起118は、プレート116の係合面117から突出する又は延びる。いくつかの例では、突起118は、少なくとも1つの鋭いエッジを含む鋭い側126と、鈍い側128(例えば、図2B図3B、及び図4Bを参照)を含む。鋭い側126は、鈍い側128よりも鋭いので鋭い側とみなされ、鈍い側128は、鋭い側126よりも鈍い又は鋭くないので鈍い側とみなされる。突起118は、プレート116上に、突起118の鋭い側126がいずれも第1の方向を向き、突起118の鈍い側128がいずれも第1の方向と反対の第2の方向を向くように、プレート116上に配列される。鋭い側126は、バッキング層120を把持する、突き通す、又は貫通するように構成され、鈍い側128は、バッキング層120を突き通す又は貫通することがないように構成される。
【0130】
プレート116は、パネル110がバッキング分離方向Aにあり、バッキング分離位置Bに位置するとき、パネル110に対してプレート角度θ1で固定される。プレート角度θ1は、係合面117と、パネル110の第1の広い表面111との間で決まる角度である。更に、バッキング層120は、第1の広い表面111に対して面一であるので、プレート角度θ1は、係合面117とバッキング層120との間の角度としても決められる。プレート角度θ1は、バッキング係合フィーチャ114がバッキング層120と係合し、パネル110と係合することなく、バッキング層120のエッジ部分122の少なくとも一部をパネル110から離して持ち上げることができるように選択される。プレート角度θ1は斜角であり、より具体的には、図1に示されるように、プレート角度θ1は鋭角である。
【0131】
エッジ係合ツール112のプレート116は、作動されると、プレート116を面に沿って移動(例えば、往復運動)させるアクチュエータ(図示せず)と動作可能に結合される。面は、プレート角度θ1で角度が付けられ、エッジ部分122のリーディングエッジ124と平行である。プレート116は、面に沿って、パネル110に向かって前方向171に移動し、パネル110から離れて、前方向171と反対の後方向173に移動する。突起118は、突起118の鋭い側126がいずれも前方向171に向き、突起118の鈍い側128がいずれも後方向に向くように、プレート116上に配列される。
【0132】
図1を参照すると、プレート116は、プレート角度θ1で、パネル110に向かって前方向171に移動するように図示されている。プレート116が前方向171に移動するにつれて、バッキング係合フィーチャ114は、図2A及び図3Aに示されるように、バッキング層120のリーディングエッジ124に最終的に係合する。最初に、図2Aに示されるように、バッキング係合フィーチャ114の第1の1以上が、バッキング層120のリーディングエッジ124に係合し、プレート116が前方向171に更に移動すると、バッキング係合フィーチャ114の更なる1以上が、リーディングエッジ124及び潜在的にエッジ部分122の下側に係合する。図2Bの図示された例では、プレート116が前方向171に移動すると、少なくとも突起118の第1の1つの突起が、バッキング層120のリーディングエッジ124を少なくとも部分的に貫通する(例えば、変形する)。鋭い側126によるリーディングエッジ124の貫通又は変形は、リーディングエッジ124に上向きの力を与え、その結果、リーディングエッジ124がパネル110から部分的に分離する。プレート116を前方向171に更に移動させると、突起118の第1の1以上の突起がバッキング層120から脱係合し、突起118の第2の1以上の突起の鋭い側126がリーディングエッジ124を貫通又は変形する(例えば、図3Bを参照)。突起118の第2の1以上の突起の鋭い側126によるリーディングエッジ124の貫通又は変形は、リーディングエッジ124に上向きの力を与え、その結果、リーディングエッジ124は、更に、パネル110から分離する。プレート116の前方向171への更なる移動は、突起118の第2の1以上の突起がバッキング層120から脱係合し、突起118の別の1つ又は他の突起の鋭い側126がリーディングエッジ124を貫通又は変形し、持ち上げ、及び同様に脱係合する。
【0133】
所望の数のバッキング係合フィーチャ114がバッキング層120のリーディングエッジ124に係合するように、プレート116が前方向171に移動した後、プレート116の移動は反転する。換言すれば、図8に示されるように、プレート116は後方向173に移動する。プレート116が後方向173に移動すると、バッキング係合フィーチャ114は、パネル110から分離されたバッキング層120の端部122に沿って移動する。より具体的には、突起118の鈍い側128がバッキング層120に接触し得るが、貫通することはできない(図4Bに示される)。このようにして、バッキング層120の分離された部分は、第1の広い表面111に対して押し下げられず、プレート116が後方向173に移動するとき、分離状態を維持する。図5に示されるように、プレート116は、バッキング係合フィーチャ114がバッキング層120の分離された部分から離れるまで、後方向173への移動を続ける。
【0134】
バッキング層120のエッジ部分122の少なくとも一部は、プレート116の1回のパス(即ち、プレート116の前方向171及び後方向173への移動)の後、パネル110から分離された状態である。換言すれば、エッジ部分122は、リーディングエッジ124から距離D’だけ分離されている。しかし、パネル110からのエッジ部分122の更なる分離が必要とされる場合、プレート116の1以上の更なるパスを行うことができる。例えば、図6~8に示されるように、プレート116の前方向171及び後方向173への第2のパスは、エッジ部分122のより多くの部分をパネル110から分離するために行われる。換言すれば、エッジ部分122は、図8では距離Dだけ分離されており、これは、図5の距離D’よりも大きい。プレート116のそのような往復運動、又はプレート116の複数のパス(即ち、少なくとも2回のパス)は、エッジ部分122の所望の分離が達成されるまで行われる。エッジ部分122の所望の分離は、以下に記載するように、把持装置130がバッキング層120の分離された部分を把持し、バッキング層120の残りの分離されていない部分の除去が可能となるエッジ部分122の十分な分離に相当する。
【0135】
プレート116のバッキング係合フィーチャ114は、図示の例では、特定の形状を有する突起であるが、他の例では、バッキング係合フィーチャ114は、プレート116上に形成された又はそれに付着されたテクスチャ又は粗い表面などの各種形状を有する突起であることができる。或いは、バッキング係合フィーチャ114は突起ではなく、プレート116が前方向171に移動するときにパネル110のエッジ部分122と摩擦によって係合する粘着性フィルム又はその他のコーティングであることができる。
【0136】
バッキング層120のエッジ部分122の所望の分離がエッジ係合ツール112によって達成された後、バッキング層120の分離された部分は、把持装置130によって手動で把持し除去する又は自動に把持し除去することができる。図9図12を参照すると、いくつかの例によれば、把持装置130は、ベース132及びフィンガ134を含むピンチ装置である。フィンガ134は、ベースに向かって且つベースから離れるように動作可能であり、把持装置130のレセプタクル136を開閉する。更に、ベース132及びフィンガ134は、パネル110に対して一括して移動可能である。図9及び図10に示されるように、把持装置130は、矢印によって示されるように、パネル110に対して回収方向に移動し、レセプタクルが開いているとき、レセプタクル内のバッキング層120の分離された部分の一部(例えば、リーディングエッジ124)を受容するように位置する。次いで、フィンガ134は、レセプタクル136が閉じられるようにベース132に向かって移動することができ、バッキング層120の分離された部分がフィンガ134とベース132との間に挟まれる。バッキング層120の分離された部分が把持装置130によって挟まれると、把持装置130は、図11の矢印によって示されるように、回収方向と反対の除去方向などに、パネル110に対して移動することができる。把持装置130が除去方向に移動すると、バッキング層120は、パネル110から剥離除去される。最終的に、図12に示されるように、バッキング層120全体が、把持装置130によってパネル110から除去される。次いで、把持装置130は、バッキング層120を剥離することができ、バッキング層120を処分(例えば、リサイクル又はリユース)することができる。
【0137】
いくつかの例では、自動化システム100は、パネルの両側からバッキング層を除去するように構成される。一例によれば、自動化システム100は、バッキング層120がパネル110の第1の広い表面111から除去された後、パネル110を反転させる(例えば、180°)ように構成され、バッキング層120を第1の広い表面111から除去するために使用した同一プレート116が、第2の広い表面113から第2のバッキング層121を除去するために使用される。或いは、パネル110は反転されないが、プレート116が第2のバッキング層121を除去する前に再度位置付け又は再度方向付けされる。しかし、特定の例では、図13及び図14に示されるように、第2のエッジ係合ツール162を使用して、第2のバッキング層121をパネル110の第2の広い表面113から分離する。第2のエッジ係合ツール162は、エッジ係合ツール112と同様である。例えば、第2のエッジ係合ツール162は、プレート166(例えば、第2ツールプレート)と、突起119であり得るバッキング係合フィーチャ115とを含む。パネル110は、プレート166に対して位置付け及び方向付けすることができ(例えば、図14に示されるように、第2のバッキング分離位置B’及び第2のバッキング分離方向A’で)、プレート166は、プレート116と同様の方法で、パネル110に対して移動(例えば、往復運動)させて、第2のバッキング層121のエッジ部分164をパネル110の第2の広い表面113から分離することができる。
【0138】
いくつかの例では、図14に示されるように、プレート166は、プレート116に対して角度が付けられ、プレート166が、第2のバッキング層121のエッジ部分164をパネル110の第2の広い表面113から分離するように移動させるとき、パネル110の第2のバッキング分離方向A’は、パネル110のバッキング分離方向Aと同一である。プレート116とプレート166との間の角度は、いくつかの例では90°以下であり、他の例では90°未満である。例えば、プレート116とプレート166との間の角度は、45°未満又は30°未満であることができる。係る角度は、パネル110からのバッキング層120及びバッキング層121の効率的な分離を促進する。
【0139】
いくつかの例では、図14に示す例と異なり、プレート166は、プレート116と同一平面又は平行であり、プレート166が、バッキング層121のエッジ部分164をパネル110の第2の広い表面113から分離するとき、パネル110の第2のバッキング分離方向A’は、パネル110のバッキング分離方向Aと異なる。係る例では、バッキング層120がパネル110から除去された後、及びプレート166がバッキング層121をパネル110から分離する前に、パネル110を、例えば180°反転させることができる。したがって、いくつかの例では、パネル110の第2のバッキング分離方向A’は、パネル110のバッキング分離方向Aと180°異なる。
【0140】
図14を参照すると、自動化システム100は、更に、把持装置130に類似する(例えば、把持装置130と同じ特徴を有する)第2の把持装置133を含む。第2のバッキング層121のエッジ部分164が、パネル110の第2の広い表面113から分離された後、第2の把持装置133は、矢印によって示されるように、回収方向に移動可能であり、エッジ部分164を把持するように動作可能である。エッジ部分164を把持した後、第2の把持装置133は、回収方向と反対の除去方向に移動して、バッキング層121がパネル110から完全に除去されるまで、バッキング層121をパネル110から剥がす。次いで、第2の把持装置133は、バッキング層121を剥離することができ、バッキング層121を処分することができる。
【0141】
図15図18に示されるように、いくつかの例では、エッジ係合ツール112はホイール150を含み、バッキング係合フィーチャ114は複数の歯152を含む。歯152は、ホイール150の軸154に平行な方向に延び得るホイール150の周りに円周方向に離間している。いくつかの例では、ホイール150は、パネル110の幅W1と少なくとも同じ幅を有する。更に、いくつかの例では、歯152は、歯152のそれぞれがホイール150の幅全体に沿って延びるように細長くされている。ホイール150は、矢印によって示されるように、軸154の周りを回転方向に回転する。歯152のそれぞれは、回転方向に向く鋭い側を含む。歯152のそれぞれの鋭い側は、バッキング層120を把持する、突き通す、又は貫通するように構成される。
【0142】
パネル110がバッキング分離方向Aにあり且つバッキング分離位置Bに位置する状態で、ホイール150は、図15に示されるように、軸154の周りを回転可能であり、パネル110に向かって並進移動可能である。ホイール150がパネル110の上方に移動するにつれて(例えば、図16を参照)、ホイール150の歯152がバッキング層120のリーディングエッジ124及びエッジ部分122のみと係合するように、ホイール150はパネル110に対して位置する。ホイールが回転すると、ホイール150の歯152は、バッキング層120のエッジ部分122と繰り返し係合する。更に、歯152は、バッキング層120と係合した後、パネル110の上方でそれから離れて回転しているので、エッジ部分122は、パネル110の第1の広い表面111から効果的に持ち上げられ分離される。パネル110に沿ったホイール150の更なる並進移動により、エッジ部分122の所望の量がパネル110から分離されるまで(例えば、図18を参照)、歯152のエッジ部分122との係合及びエッジ部分122の更なる部分の分離がもたらされる(例えば、図17を参照)。エッジ部分122の所望の量がパネル110から分離された後、ホイール150は、図18の矢印によって示されるように、エッジ部分122の分離された部分から引き離される。
【0143】
ホイール150がパネル110から引き離された状態で、バッキング層120の分離された部分は、把持装置130によって手動で把持及び除去する又は自動に把持及び除去することができる。例えば、把持装置130は、図19の矢印によって示されるように、パネル110に対して垂直であり得る回収方向に移動し、バッキング層120の分離された部分の一部(例えば、リーディングエッジ124)を受容するように位置し得る。次いで、フィンガ134を、バッキング層120がフィンガ134とベース132との間に挟まれるように(例えば、図20を参照)ベース132に向かって移動させることができる。バッキング層120の分離された部分が把持装置130によって挟まれると、把持装置130は、図21の矢印によって示されるように、回収方向と反対の除去方向などで、パネル110に対して移動することができる。把持装置130が除去方向に移動すると、バッキング層120がパネル110から剥がされる。最終的に、図21に示されるように、バッキング層120全体が、把持装置130によってパネル110から除去される。次いで、把持装置130は、バッキング層120を剥離することができ、バッキング層120を処分する(例えば、リサイクル又はリユース)ことができる。
【0144】
図15図18を再度参照すると、いくつかの例では、エッジ係合ツール112は第2のホイール151を含み、バッキング係合フィーチャ114は、複数の第2の歯153を含む。第2のホイール151は、ホイール150と同様である。例えば、第2の歯153は、第2のホイール151の周りに円周方向に離間して配置され、第2のホイール151は、第2のホイール151の軸155に平行な方向に延びることができる。いくつかの例では、第2のホイール151は、パネル110の幅W1と少なくとも同じ幅を有する。更に、いくつかの例では、第2の歯153のそれぞれが第2のホイール151の幅全体に沿って延びるように、歯153は細長くされる。第2のホイール151は、ホイール150の回転方向と反対方向である矢印によって示されるように、第2の回転方向に軸155の周りを回転する。第2の歯153のそれぞれは、第2の回転方向に向く鋭い側を含む。歯152のそれぞれの鋭い側は、バッキング層120を把持する、突き通す、又は貫通するように構成される。
【0145】
パネル110がバッキング分離方向Aにあり、バッキング分離位置Bに位置する状態で、第2のホイール151は、図15に示すように、軸155の周りを回転可能であり、パネル110及びホイール150に向かって並進移動可能である。第2のホイール151がパネル110の上方に移動すると(例えば、図16を参照)、第2のホイール151の歯153がトレーリングエッジ125、及びバッキング層120の第2のエッジ部分123のみと係合するように、第2のホイール151は、パネル110に対して位置する。第2のホイールが回転すると、第2のホイール151の歯153は、バッキング層120の第2のエッジ部分123と繰り返し係合する。更に、バッキング層120と係合した後、歯152は、上方に離れて回転しているので、第2のエッジ部分123が、パネル110の第1の広い表面111から効果的に持ち上げられ分離される。パネル110に沿った第2のホイール151の更なる並進移動により、第2のエッジ部分123の所望の量がパネル110から分離されるまで(例えば、図18を参照)、第2の歯153の第2のエッジ部分123との係合及びエッジ部分123の更なる部分の分離がもたらされる(例えば、図17を参照)。第2のエッジ部分123の所望の量がパネル110から分離された後、第2のホイール151は、図18の矢印によって示されるように、第2のエッジ部分123の分離された部分から引き離される。
【0146】
ホイール150及び第2のホイール151がパネル110から引き離された状態で、バッキング層120の分離された部分は、把持装置130によって手動で把持及び除去する又は自動に把持及び除去することができる。例えば、把持装置130は、ベース132に対して動作可能な第2のフィンガ135を有することができる。次いで、第2のエッジ部分123の分離された部分が第2のフィンガ135とベース132との間に挟まれるように(例えば、図20を参照)、第2のフィンガ135をベース132に向かって移動させることができる。バッキング層120の両方の分離された部分が把持装置130によって挟まれると、把持装置130は、図21の矢印によって示されるように、回収方向と反対の除去方向などに、パネル110に対して移動させることができる。
【0147】
バッキング層120のエッジ部分122及び第2のエッジ部分123を分離するために2つのホイールが使用される図15と同様に、図40に示されるように、いくつかの例によれば、2つのプレートを用いて、バッキング層120のエッジ部分122及び第2のエッジ部分123を分離することができる。より具体的には、上に開示したように、エッジ係合ツール112のプレート116をパネル110に対して移動させて、バッキング層120のエッジ部分122をパネル110から分離することができ、特定の例では、第2のエッジ係合ツール162のプレート166を、プレート116と同時に、パネル110に対して移動させて、バッキング層120の第2のエッジ部分123を分離することができる。このように、2つのプレート、及び対応するバッキング係合フィーチャを、同一バッキング層の両側エッジ部分を同時に分離するために移動(例えば、往復運動)させることができる。
【0148】
いくつかの例では、パネル110は準等方性パネルであり、バッキング層120が把持装置130によって除去された後、パネル110は細長ストリップ145を受け取り、準等方性パネルをクラスタパネルに変換する。
【0149】
いくつかの例では、図22に示されるように、自動化システム100は、更に、少なくとも1つのローラ140を含む。ローラ140は、バッキング層120に沿って転がるように選択的に自動的に動作可能であり、次いで、バッキング層120は、パネル110の広い表面111に接着固定される。したがって、ローラ140は、バッキング層120がエッジ係合ツール112によって分離され、把持装置130によって除去される前に、バッキング層120に沿って転がる。バッキング層120に沿ってローラ140を転がすと、バッキング層120が広い表面111に対して押圧され、バッキング層120とパネル110の広い表面111との間の面一係合を促進し、パネル110及びバッキング層120のうねりを除き、バッキング層120とパネル110との間のエアポケットを減少させるのに有用である。1つのローラ140が図示されているが、自動化システム100は、第2のバッキング層121がパネル110から分離及び除去される前に、パネル110の第2の広い表面113に固定された第2のバッキング層121に沿って転がる第2のローラーを含むことができる。
【0150】
図29を参照すると、いくつかの例によれば、自動化システム100を使用してラミネート構造180を形成する方法300は、(ブロック310)として、第1のパネル110と、前記第1のパネル110に固定されたバッキング層120とを、エッジ係合ツール112に対してバッキング分離方向Aに方向付けることを含む。方法300は、更に、(ブロック320)として、エッジ係合ツール112に対して、パネル110をバッキング分離位置Bに位置付けることを含む。方法300はまた、(ブロック330)として、第1のパネル110がバッキング分離方向A及びバッキング分離位置Bにあるときに、エッジ係合ツール112のバッキング係合フィーチャ114がバッキング層120のエッジ部分122でのみバッキング層120と係合し、バッキング層120のエッジ部分122だけが第1のパネル110から分離するように、第1のパネル110に対してエッジ係合ツール112を移動させることを含む。いくつかの例によれば、パネル110の温度が、所定温度(例えば、室温又は66°F~72°F(例えば、68°F))未満に維持される。パネル110の温度を所定温度以下に維持することは、所定温度以下の温度を有するブロワ169(例えば、図1を参照)からなどの、空気168の吹き付けによって達成される。方法300は、更に、(ブロック340)として、エッジ部分122が第1のパネル110から分離した後、バッキング層120のエッジ部分122を把持し、把持されたときに、バッキング層120の全体が第1のパネル110の広い表面111から分離するように、バッキング層120をパネル110に対して移動させることを含む。図30Aに示されるように、方法300は、更に、(ブロック350)として、第1のパネル110が、第1のパネル110の予備含浸繊維強化ポリマーと第2のパネル184の予備含浸繊維強化ポリマーとの間のパネル間タック力によって第2のパネル184に直接固定され、第1のパネル110と第2のパネル184がラミネート構造180の少なくとも一部を形成するように、第1のパネル110を第2のパネル184に積層することを含む。
【0151】
図30Bを参照すると、いくつかの例では、ラミネート構造180は、方法300のブロック350にしたがって、図示されるように互いに積層される複数のパネル110(そのいくつかは、複数のクラスタ165の1つを含む)を含む。いくつかの例では、クラスタ165のそれぞれは、パネルが互いに積層される前に、パネル110の対応する1つに適用されて、パネルの一部を形成する。図示されるように、ラミネート構造180は、そのいくつかがクラスタ165を有する複数のパネル110を含むことができ、パネルのそれぞれは複数の層を含む。したがって、いくつかの例では、ラミネート構造180は、例えば、特定の例では、少なくとも10層、他の例では、少なくとも60層、更に別の例では、20~80層などの多数の層を含むことができる。各層の厚みは、ラミネート構造180の全体厚みが3mm~6.5mmである厚みであることができる。更に、いくつかのラミネート構造は多くのパネルから形成され、それぞれが互いに積層される前に、それに接着して取り付けられた少なくとも1つのバッキング層を有するので、単一のラミネート構造の場合、パネルの品質を低下させないバッキング層除去プロセスを多数回行う必要があり得る。本開示の自動化システム100及び対応する方法300は、複数のパネルから複数のバッキング層を清潔に制御された効率的な方法で除去することを可能にし、複数のパネルから形成されたラミネート構造を組み立てるのに特に有用である。特定の例では、ガラス繊維材料から形成されたガラス繊維層187、ガラス繊維以外の繊維強化ポリマーから形成された単一層189、及びガラス繊維材料から形成された第2のガラス繊維層191などの他のパネルを、図示されるパネル110及びクラスタ165と共に積層することができる。
【0152】
いくつかの例では、方法300は、更に、第2の積層体163のクラスタ165を形成するために、互いに異なる角度で、第1の積層体161に細長ストリップ145を自動的に別々に適用することを含む。細長ストリップ145を自動的に別々に適用することは、細長ストリップ145の方向付けを維持しながら、細長ストリップ145に対して第1の積層体161を徐々に回転させることを含むことができる。したがって、いくつかの例では、細長ストリップ145を第1の積層体161に自動的に別々に適用する工程は、細長ストリップ145の方向付けを維持しながら、細長ストリップ145に対して第1の積層体161を徐々に回転させることを含む。
【0153】
図1を参照すると、方法300は、追加的に又は代替的に、エッジ係合ツール112を移動させる工程の前のエッジ係合ツール112と第2のパネル184との間の、第1のパネル110が第2のパネル184上に積層されたときの広い表面111に垂直な積層方向167における距離を調整することを含む。パネルが互いに積層されると、ラミネート構造180の高さが変化する。ラミネート構造180の高さに対する調整を補償し、エッジ係合ツール112が、ラミネート構造の上部のパネル上のバッキング層120のみと係合するように適切に位置付けることを確実にするために、エッジ係合ツール112の位置が調整される。エッジ係合ツール112の位置の各調整は、ラミネート構造180を形成するパネルの積層体に追加されたパネルの厚みと等しくすることができる。
【0154】
いくつかの例では、方法300は、更に、パネルを積層する前に各パネルを形成するための工程を含む。例えば、方法300は、超音波カッタ362(例えば、図31を参照)であり得るカッタ362を使用して、予備含浸繊維強化ポリマー製のシート360を複数の層129に超音波切断すること、複数の層129の第1のセット(例えば、第1の層129A、第2の層129B、第3の層129C、及び第4の層129D)を積層して第1のパネル110を形成すること、及び複数の層129の第2のセット(例えば、第1の層129A、第2の層129B、第3の層129C、及び第4の層129D)を積層して第2のパネル184を形成することを含むことができる(例えば、図32を参照)。
【0155】
第1のパネル及び第2のパネルを積層した後、いくつかの例では、方法300はまた、押圧装置366(押圧成形装置など)を使用して圧縮し、熱364で第1のパネル110及び第2のパネル184を加熱し、予備含浸繊維強化ポリマーを硬化させることを含む(例えば、図33を参照)。押圧成形装置は、いくつかの例では、パネルを所望の最終形状に成形する型を含む。
【0156】
第1のパネル110及び第2のパネル184を硬化させた後、方法300は、第1のパネル110又は第2のパネル184のうちの1つの外表面(例えば、広い表面の1つ)を、例えば表面粗面化装置368(例えば、グラインダ)で粗面化して、粗面化された外表面369を形成する工程(例えば、図34を参照)、粗面化された外表面369を、例えば清浄剤372(例えば、水又は化学薬品)で清浄して、清浄された粗面化後の外表面374を形成する工程(例えば、図35を参照)、プライマー層376を、清浄された粗面化後の外表面374に適用する工程(例えば、図36を参照)、及びインク378をプライマー層376に適用する工程(例えば、図37を参照)を含むことができる。プライマー層376及びインク378の適用は、インク378がプライマー層として機能することができる場合など、単一工程として行うことができる。いくつかの例では、プライマー層376を適用する工程及び/又はインク378を適用する工程は、その全体が本明細書に援用される、2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0274446号明細書に開示された方法と同様の方法で達成することができる。一例では、インク378は、ハーフトーン印刷、レリーフ印刷、熱転写印刷、インクジェット印刷、パッド印刷、又は他の技術を使用して、第1のパネル110又は第2のパネル184の外表面の1つに印刷される位置合わせ補助、又は追加の色コントラスト、若しくは画像のしるしを含む。これらの技術は、2014年3月13日出願の米国特許出願第14/210,000号明細書に詳細に記載されており、その全体を参照により本明細書に援用する。追加的又は代替的に、インク378は、インクジェット印刷、シングルパスインクジェット印刷、又は他の技術を使用して、第1のパネル110又は第2のパネル184の外表面の1つに印刷される位置合わせ補助、又は追加の色コントラスト、若しくは画像のしるしを含む。これらの技術は、その全体が参照により本明細書に援用される、2021年1月22日出願の米国特許出願第17/156,205号明細書、2020年1月23日出願の米国特許出願第62/965,129号明細書、及び2020年8月14日出願の米国特許出願第63/066,033号明細書に詳細に記載されている。
【0157】
インク378をプライマー層376に適用した後、いくつかの例では、方法300は、更に、ポリマー層380をプライマー層376及びインク378の上に押圧成形して、切断前ラミネート構造382を形成すること含む(例えば、図38を参照)。方法300は、更に、いくつかの例では、切断前ラミネート構造382を切断して、所定形状を有する切断後ラミネート構造384を形成することを含む(例えば、図39を参照)。
【0158】
切断後ラミネート構造384は、いくつかの例では、図28のゴルフクラブヘッド200の打球プレート243などのゴルフクラブヘッドの打球プレートである。ゴルフクラブヘッド200は、開口部237を画定する本体210を含む。打球プレート243は、開口部237を介して本体210に取り付けられ(例えば、接着され)、開口部237を効果的に閉じる。打球プレート243は、適切なゴルフショット中にゴルフボールに衝撃を与えるように構成される打球面245を含む。係る例では、押圧成形技術などによって、第1のパネル110及び第2のパネル184を圧縮する工程は、所望のバルジ(bulge)及びロール半径及び/又はツイストした打球面などの様々なフィーチャを打球プレート243に組み込むように打球プレート243を成形することを含むことができる。
【0159】
押圧成形時に打球プレート243に組み込むことができるバルジ及びロール半径フィーチャは、その全体が参照により本明細書に援用される、2011年9月6日発行の米国特許第8,012,039号明細書に開示されるバルジ及びロール半径フィーチャと同様であることができる。
【0160】
打球プレート243に組み込むことができるツイストした打球面フィーチャは、その全体が参照により本明細書に援用される、2021年1月5日発行の米国特許第10,881,916号明細書に開示された打球面のフィーチャと同様であることができる。例えば、打球プレート243の打球面245は、打球面245の上部爪先部分が打球面245の下部爪先部分よりも開いているように、且つ打球面245の下部踵部分が打球面245の上部踵部分よりも閉じているようにツイストさせることができる。特定の例では、ゴルフクラブヘッド200は、50立方センチメートル(cc)~500cc、390cc~490cc、100cc~430cc、100cc~400cc、100cc~350cc、100cc~300cc、100cc~299cc、100cc~250cc、100cc~200cc、140cc~160cc、又は149cc~154ccの容積を有する。特定の例では、ゴルフクラブヘッド200は、456.6ccの容積を有する。特定の例では、打球面245及び/又はゴルフクラブヘッド200は、100ミリメートル(mm)~500mm、190mm~500mm、200mm~450mm、203mm~407mm、250mm~460mm、224mm~355mm、250mm~355、203mm~305mm、又は230mm~280mmのバルジ曲率又は半径を有する。特定の例では、ゴルフクラブヘッド200は、254mm又は300mmのバルジ半径を有する。いくつかの例では、打球面245及び/又はゴルフクラブヘッド200は、100mm~510mm、120mm~500mm、150mm~500mm、200mm~450mm、203mm~407mm、224mm~355mm、250mm~355、203mm~305mm、又は230mm~280mmのロール曲率半径を有する。特定の例では、ゴルフクラブヘッド200は、254mm又は300mmのロール半径を有する。前記バルジ半径及びロール半径の数値は、繊維強化ポリマー製の、「ツイストした」バルジ半径及びロール半径を有する又はツイストしたバルジ半径及びロール半径を有さない(「非ツイスト」)打球プレートを有するゴルフクラブヘッドに適用できる。
【0161】
いくつかの例では、切断後ラミネート構造384は、クラウンインサート、ソールインサート、又は繊維強化ポリマー製ゴルフクラブヘッドの他の部分のうちの1つである。或いは、特定の例によれば、切断後ラミネート構造384は、ゴルフクラブのシャフトの少なくとも一部を形成する。したがって、打球プレート243を作製するためのプロセスと同一のプロセスにしたがって、ゴルフクラブヘッドのクラウンインサート若しくはソールインサート、又はゴルフクラブのシャフトを作製することができる。
【0162】
いくつかの例では、本明細書に開示される方法は手動で行われ得るが、他の例では、前記方法は自動化される。本明細書では、自動化手段は、コンピュータ数値制御(CNC)機械などの自動装置によって少なくとも一部操作される。いくつかの例では、図13図14、及び図25に示されるように、自動化システム100は、電子コントローラ103を含む。自動化システム100の自動装置は、特定の例では、本明細書に開示されるエッジ係合ツール、把持装置、ロボットアーム、回転可能なプラットフォーム、及び他の製造ツールを含むことができ、電子コントローラ103によって制御される。更に、本明細書に開示される自動化システム100の機能の任意の移動又は操作は、電気的、空気圧的、磁気的、又は油圧的手段によって動力を供給されるアクチュエータ(例えば、モータ、シリンダ、ギア、レールなど)の様々な移動可能自動装置によって可能にされ得る。
【0163】
電子コントローラ103は、カスタムVLSI回路又はゲートアレイ、論理チップ、トランジスタ、又は他の個別コンポーネントなどの既製の半導体を含むハードウェア回路として実装され得る。電子コントローラ103はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイスなどのプログラマブルハードウェアデバイスに実装され得る。
【0164】
電子コントローラ103は、様々なタイプのプロセッサによる実行のために、コード及び/又はソフトウェアで実装され得る。コードの識別モジュールは、例えば、実行可能コードの1以上の物理的又は論理的ブロックを含むことができ、これらは、例えば、オブジェクト、手順、又は関数として編成され得る。それにもかかわらず、電子コントローラ103の実行ファイルは、物理的に共に配置される必要はないが、論理的に共に結合されると、電子コントローラ103を含み、電子コントローラの記載した目的を達成する様々な場所に記憶された別々の命令を含むことができる。
【0165】
実際、電子コントローラ103のコードは、単一の命令又は多数の命令であることができ、いくつかの異なるコードセグメントに亘って、異なるプログラム間で、且ついくつかのメモリデバイスに亘って分布させることもできる。同様に、動作データは、電子コントローラ103内で本明細書で特定及び例示することができ、任意の好適な形態で具体化され、任意の好適なタイプのデータ構造内に編成され得る。動作データは、単一のデータセットとして収集され得る、又は様々なコンピュータ可読記憶装置を含む様々な場所に亘って分布され得る。電子コントローラ103又は電子コントローラの一部がソフトウェアとして実装される場合、ソフトウェア部分は、1以上のコンピュータ可読記憶装置に記憶される。
【0166】
1以上のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コードを記憶する記憶装置であり得る。記憶装置は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、ホログラフィック、マイクロメカニカル、又は半導体のシステム、装置、若しくはデバイス、又は前述の任意の好適な組合せであることができるが、これらに限定されない。
【0167】
記憶装置のより具体的な例(網羅的ではない一覧)としては、1以上の配線を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は前述の任意の好適な組合せを含む。本明細書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによる又はそれらに関連する使用のためのプログラムを含む又は記憶できる任意の有形媒体であることができる。
【0168】
実施形態のオペレーションを実行するためのコードは、Python、Ruby、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ言語などの機械語を含む1以上のプログラミング言語の組合せで記述され得る。コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、一部はユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、一部はユーザのコンピュータ上で、一部はリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続される、又は外部コンピュータに接続されることができる(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネット経由で)。
【0169】
前記例の態様は、例に係る方法、装置、システム、及びプログラム製品の概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図を参照して前記されている。概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図の各ブロック、及び概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図におけるブロックの組合せは、コードによって実装できることが理解される。これらのコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置であることができる、電子コントローラ103のプロセッサに提供され、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図の1以上のブロックで指定された機能/行為を行うための手段を作製するように、マシンを作製することができる。
【0170】
コードはまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができる記憶装置に記憶させることができ、記憶装置に記憶された命令が、概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図の1以上のブロックで指定された機能/動作を実行する命令を含む製造物を生成する。
【0171】
コードはまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスにロードして、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で一連の操作工程が実行されるようにし、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置で実行するコードが、フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックで指定される機能/行為を実行するためのプロセスを提供するコンピュータで実行されるプロセスを生成する。
【0172】
図面中の概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図は、様々な実施形態に係る装置、システム、方法、及びプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、概略フローチャート図及び/又は概略ブロック図の各ブロックは、指定された論理関数を実行するためのコードの1以上の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表し得る。
【0173】
前記記載では、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、「下」などの特定の用語が使用されることがある。これらの用語は、該当する場合、相対的な関係を扱うときに説明を明確にするために使用される。但し、これらの用語は、絶対的な関係、位置、及び/又は方向を意味することが意図されるものではない。例えば、物体に関して、前記物体を単に裏返すことで、「上部」表面が「下部」表面になり得る。それにもかかわらず、この物体は、依然として、同一物体である。更に、用語「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、及びそれらの変形は、特段の断りがない限り、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。列挙された項目の一覧は、特段の断りがない限り、項目の一部又は全てが相互に排他的及び/又は相互に包括的であることを意味するものではない。用語「a」、「an」、及び「the」は、特段の断りがない限り、「1以上」も意味する。更に、用語「複数」は、「少なくとも2つ」として定義され得る。更に、特段の断りがない限り、本明細書に定義されるように、複数の特定の特徴は、必ずしも、特定の特徴のセット又はクラス全体の全ての特定の特徴を意味する訳ではない。
【0174】
更に、ある要素が別の要素に「結合」されている本明細書における例は、直接結合と間接結合を含むことができる。直接結合は、ある要素が別の要素と結合している、及びある程度接触していると定義できる。間接結合は、互いに直接接触しておらず、結合された要素間に1以上の更なる要素を有する2つの要素間の結合として定義できる。更に、本明細書では、ある要素を別の要素に固定することは、直接固定及び間接固定を含むことができる。更に、本明細書では、「隣接する」は必ずしも接触を意味する訳ではない。例えば、ある要素が別の要素と接触していなくても、その別の要素に隣接することが可能である。
【0175】
本明細書では、「少なくとも1つ」という句は、項目の一覧と共に使用される場合、一覧の項目の1以上の異なる組合せを使用することができること、及び一覧中の項目のうちの1つのみが必要とされ得ることを意味する。項目は、特定の物体、物、又はカテゴリであり得る。換言すると、「少なくとも1つ」は、一覧から項目の任意の組合せ、又は項目の任意の数を使用できることを意味するが、一覧中の全項目が必要という訳ではない。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cの少なくとも1つ」は、項目A;項目A及び項目B;項目B;項目A、項目B、及び項目C;又は項目B及び項目Cを意味し得る。いくつかの場合では、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、項目Aのうちの2個、項目Bのうちの1個、及び項目Cのうちの10個;項目Bのうちの4個及び項目Cのうちの7個;又は他の好適な組合せを意味し得る。
【0176】
特段の断りがない限り、用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書では、単にラベルとして使用され、これらの用語が言及する項目に対する序数、位置、又は階層の要件を課すことが意図されるものではない。更に、例えば、「第2の」項目との表現は、例えば、「第1の」、即ち、より小さい番号の項目、及び/又は、例えば、「第3の」、即ち、より大きい番号の項目の存在を必要としないし排除もしない。
【0177】
本明細書では、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、実際に、更なる変更の後に特定の機能を実行する能力を有するに過ぎないというのではなく、いかなる変更もなしに特定の機能を実行することができる。換言すれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、特定の機能を実行する目的で具体的に選択、作製、実装、利用、プログラム、及び/又は設計される。本明細書では、「構成された」とは、システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアが、更なる変更なしに特定の機能を実行することを可能にするシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアの既存の特性を示す。本開示の目的のために、特定の機能を実行するように「構成された」と記述されるシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、追加的又は代替的に、その機能を実行するように「適合された」及び/又は「動作可能である」と記述される。
【0178】
本明細書に含まれる概略フローチャート図は、一般に、論理フローチャート図として示される。このように、図示された順序及びラベル付けされた工程は、提示された方法の一例を示す。図示された方法の1以上の工程又はその一部と機能、論理、又は効果が同等である他の工程及び方法が考えられ得る。更に、使用されるフォーマット及び記号は、方法の論理工程を記載するために与えられており、方法の範囲を限定しないことが理解される。フローチャート図では、様々な矢印の種類及び線の種類が使用され得るが、対応する方法の範囲を限定しないことが理解される。実際に、いくつかの矢印又は他のコネクタは、方法の論理フローのみを示すために使用され得る。例えば、矢印は、図示された方法の列挙された工程間の不特定の期間の待機又は監視期間を示し得る。更に、特定の方法が行われる順序は、示された対応する工程の順序に厳密にしたがってもよいし、したがわなくてもよい。
【0179】
本主題は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化することができる。記載された例は、全ての点において、単なる例示として考慮されるべきであり、限定的ではない。請求項の意味及び等価範囲内にある変更はいずれも、それらの範囲内に含まれるものとする。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30A
図30B
図30C
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
【外国語明細書】