(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176026
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】アクチュエータ装置及びアクチュエータシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20221117BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20221117BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20221117BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
B06B1/06 Z
B06B1/06 A
G02B26/08 E
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142425
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2021080857
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021080861
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大幾
(72)【発明者】
【氏名】大崎 拓真
(72)【発明者】
【氏名】野崎 慎
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 滉太
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
3C081
5D107
【Fターム(参考)】
2H045AB06
2H045AB34
2H045AB38
2H045AB73
2H045AB81
2H141MA12
2H141MB17
2H141MB24
2H141MC09
2H141MD12
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD24
2H141MF02
2H141MZ06
2H141MZ13
2H141MZ16
2H141MZ24
2H141MZ28
3C081AA01
3C081BA11
3C081BA28
3C081BA32
3C081BA33
3C081BA44
3C081BA47
3C081BA55
3C081BA76
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA11
3C081DA12
3C081DA27
3C081EA08
3C081EA41
5D107AA14
5D107CC02
5D107CC06
5D107CD03
(57)【要約】
【課題】可動部の動作量を精度良く検知することができるアクチュエータ装置及びアクチュエータシステムを提供する。
【解決手段】アクチュエータ装置1は、配線基板と、金属基板3と、金属基板3に設けられた第1電極部13と、第1電極部13上に配置された駆動用圧電体61と、駆動用圧電体61の第1主面61aに配置された第2電極部14と、第2電極部14上に配置された検知用圧電体71と、検知用圧電体71の第3主面71aに配置された第3電極部15と、接続部と、入力部と、出力部と、を備える。接続部は、外部の基準電位と電気的に接続されて第2電極部14の電位が基準電位となるように構成されている。入力部は、駆動信号を外部から第1電極部13に入力するように構成されている。出力部は、検知用圧電体71において発生した出力信号を第3電極部15から外部に出力するように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体によって支持された金属基板と、
前記金属基板に設けられた第1電極部と、
前記第1電極部上に配置され、前記第1電極部とは反対側の第1主面、及び前記第1電極部側の第2主面を有する第1圧電体と、
前記第1主面に配置された第2電極部と、
前記第2電極部上に配置され、前記第2電極部とは反対側の第3主面、及び前記第2電極部側の第4主面を有する第2圧電体と、
前記第3主面に配置された第3電極部と、
前記第2電極部と電気的に接続された接続部と、
前記第1電極部及び前記第3電極部のうちの一方の電極部と電気的に接続された入力部と、
前記第1電極部及び前記第3電極部のうちの他方の電極部と電気的に接続された出力部と、を備え、
前記金属基板は、
可動部と、
前記第1電極部が設けられた本体部と、
前記可動部と前記本体部とを連結する連結部と、を有し、
前記第1圧電体及び前記第2圧電体のうち前記一方の電極部側の圧電体は、前記可動部を動作させるための駆動用圧電体であり、
前記第1圧電体及び前記第2圧電体のうち前記他方の電極部側の圧電体は、前記可動部の動作量を検知するための検知用圧電体であり、
前記接続部は、外部の基準電位と電気的に接続されて前記第2電極部の電位が基準電位となるように構成されており、
前記入力部は、前記駆動用圧電体を駆動するための駆動信号を外部から前記一方の電極部に入力するように構成されており、
前記出力部は、前記検知用圧電体において発生した出力信号を前記他方の電極部から外部に出力するように構成されている、アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記支持体上に配置され、前記接続部、前記入力部及び前記出力部を収容するコネクタを更に備える、請求項1に記載のアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記金属基板の厚さ方向から見た場合に、前記第2圧電体の外縁は、前記第1圧電体の外縁よりも内側に位置している、請求項1又は2に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記第1電極部は、前記第2主面に配置された第1電極を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
導電性を有する第1接着部材を更に備え、
前記第1電極部は、前記金属基板と一体的に形成された導電部と、導電性を有する第2接着部材と、を更に有し、
前記支持体は、前記入力部又は前記出力部と電気的に接続された第1電極パッドを有し、
前記第1電極パッドは、前記支持体の表面のうち、前記金属基板と向かい合う領域に位置しており、
前記第1接着部材は、前記金属基板と前記第1電極パッドとを接着しており、
前記第2接着部材は、前記第1電極と前記導電部とを接着している、請求項4に記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
前記第2電極部は、前記第1主面に配置された第2電極を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
第1ワイヤを更に備え、
前記支持体は、前記接続部と電気的に接続された第2電極パッドを有し、
前記第2電極パッドは、前記支持体の表面のうち、前記金属基板の厚さ方向において前記金属基板に対して前記第2電極が配置された側の領域に位置しており、
前記第1ワイヤは、前記第2電極と前記第2電極パッドとに掛け渡されている、請求項6に記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記第2圧電体の外側に位置する領域を含み、
前記第1ワイヤは、前記領域と前記第2電極パッドとに掛け渡されている、請求項7に記載のアクチュエータ装置。
【請求項9】
前記第2電極部は、前記第4主面に配置された第3電極を更に有する、請求項6~8のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項10】
前記第2電極部は、導電性を有する第3接着部材を更に有し、
前記第3接着部材は、前記第2電極と前記第3電極とを接着している、請求項9に記載のアクチュエータ装置。
【請求項11】
第2ワイヤを更に備え、
前記第3電極部は、前記第3主面に配置された第4電極を有し、
前記支持体は、前記入力部又は前記出力部と電気的に接続された第3電極パッドを有し、
前記第3電極パッドは、前記支持体の表面のうち、前記金属基板の厚さ方向において前記金属基板に対して前記第4電極が配置された側の領域に位置しており、
前記第2ワイヤは、前記第4電極と前記第3電極パッドとに掛け渡されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項12】
前記第1圧電体は、前記駆動用圧電体であり、
前記第2圧電体は、前記検知用圧電体であり、
前記第1電極部は、前記入力部と電気的に接続されており、
前記第3電極部は、前記出力部と電気的に接続されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置と、
前記アクチュエータ装置の前記入力部及び前記出力部と電気的に接続された制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記出力信号を処理する出力信号処理部と、を有する、アクチュエータシステム。
【請求項14】
前記駆動信号生成部は、前記可動部を共振動作させるための前記駆動信号を生成し、
前記出力信号処理部は、前記駆動信号の周波数及び振幅に関する情報に基づいて、前記出力信号に含まれると推定される推定静ひずみ信号を生成し、前記出力信号及び前記推定静ひずみ信号に基づいて、前記可動部の共振信号を生成する、請求項13に記載のアクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置及びアクチュエータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
揺動可能な可動部を有する金属基板と、金属基板を支持する支持体と、金属基板の一方の主面に配置された駆動用圧電体と、金属基板の他方の主面に配置された検知用圧電体と、を備えるアクチュエータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなアクチュエータ装置では、駆動用圧電体が、可動部を動作させるための圧電体として機能し、検知用圧電体が、可動部の動作量を検知するための圧電体として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなアクチュエータ装置では、金属基板の一方の主面に駆動用圧電体が配置されており、金属基板の他方の主面に検知用圧電体が配置されているため、駆動用圧電体と検知用圧電体との相対的な位置関係にばらつきが生じやすい。当該位置関係にばらつきが生じていると、可動部の動作量を精度良く検知することが困難となる。具体的には、可動部を共振動作させるための駆動信号が駆動用圧電体に入力されると、検知用圧電体から出力される出力信号が駆動用圧電体からの静ひずみ信号を含むことになる。そのため、可動部の共振信号を得るためには、出力信号から、出力信号に含まれると推定される推定静ひずみ信号を減算する必要がある。このとき、駆動用圧電体と検知用圧電体との相対的な位置関係にばらつきが生じていると、出力信号と推定静ひずみ信号との位相差にばらつきが生じることになり、その結果、可動部の共振信号の精度が劣化し、可動部の動作量を精度良く検知することが困難となる。
【0005】
本発明は、可動部の動作量を精度良く検知することができるアクチュエータ装置及びアクチュエータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアクチュエータ装置は、支持体と、支持体によって支持された金属基板と、金属基板に設けられた第1電極部と、第1電極部上に配置され、第1電極部とは反対側の第1主面、及び第1電極部側の第2主面を有する第1圧電体と、第1主面に配置された第2電極部と、第2電極部上に配置され、第2電極部とは反対側の第3主面、及び第2電極部側の第4主面を有する第2圧電体と、第3主面に配置された第3電極部と、第2電極部と電気的に接続された接続部と、第1電極部及び第3電極部のうちの一方の電極部と電気的に接続された入力部と、第1電極部及び第3電極部のうちの他方の電極部と電気的に接続された出力部と、を備え、金属基板は、可動部と、第1電極部が設けられた本体部と、可動部と本体部とを連結する連結部と、を有し、第1圧電体及び第2圧電体のうち上記一方の電極部側の圧電体は、可動部を動作させるための駆動用圧電体であり、第1圧電体及び第2圧電体のうち上記他方の電極部側の圧電体は、可動部の動作量を検知するための検知用圧電体であり、接続部は、外部の基準電位と電気的に接続されて第2電極部の電位が基準電位となるように構成されており、入力部は、駆動用圧電体を駆動するための駆動信号を外部から上記一方の電極部に入力するように構成されており、出力部は、検知用圧電体において発生した出力信号を上記他方の電極部から外部に出力するように構成されている。
【0007】
このアクチュエータ装置では、金属基板に設けられた第1電極部上に、第1圧電体、第2電極部、第2圧電体及び第3電極部がこの順序で積層されており、第1圧電体及び第2圧電体の一方が、可動部を動作させるための駆動用圧電体として機能し、第1圧電体及び第2圧電体の他方が、可動部の動作量を検知するための検知用圧電体として機能する。このように、金属基板に対して同じ側において駆動用圧電体及び検知用圧電体が積層されているため、駆動用圧電体と検知用圧電体との相対的な位置関係にばらつきが生じにくくなる。よって、このアクチュエータ装置によれば、可動部の動作量を精度良く検知することができる。
【0008】
本発明のアクチュエータ装置は、支持体上に配置され、接続部、入力部及び出力部を収容するコネクタを更に備えていてもよい。これにより、各電極部と外部との電気的な接続を簡易且つ確実に行うことができる。
【0009】
本発明のアクチュエータ装置では、金属基板の厚さ方向から見た場合に、第2圧電体の外縁は、第1圧電体の外縁よりも内側に位置していてもよい。これにより、製造時において第1圧電体を視認しながら第2圧電体を配置することが可能となるため、第1圧電体と第2圧電体とのより高精度な位置合わせが可能となる。
【0010】
本発明のアクチュエータ装置では、第1電極部は、第2主面に配置された第1電極を有していてもよい。これにより、例えば、第1圧電体が駆動用圧電体である場合、第1圧電体の第2主面に対して均一に駆動電圧を印加することができ、駆動効率の向上を図ることができる。
【0011】
本発明のアクチュエータ装置は、導電性を有する第1接着部材を更に備え、第1電極部は、金属基板と一体的に形成された導電部と、導電性を有する第2接着部材と、を更に有し、支持体は、入力部又は出力部と電気的に接続された第1電極パッドを有し、第1電極パッドは、支持体の表面のうち、金属基板と向かい合う領域に位置しており、第1接着部材は、金属基板と第1電極パッドとを接着しており、第2接着部材は、第1電極と導電部とを接着していてもよい。これにより、第1電極部と入力部とを、又は第1電極部と出力部とを、簡易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0012】
本発明のアクチュエータ装置では、第2電極部は、第1主面に配置された第2電極を有してもよい。これにより、例えば、第2圧電体が駆動用圧電体である場合、第2圧電体の第4主面に対して均一に駆動電圧を印加することができ、駆動効率の向上を図ることができる。
【0013】
本発明のアクチュエータ装置は、第1ワイヤを更に備え、支持体は、接続部と電気的に接続された第2電極パッドを有し、第2電極パッドは、支持体の表面のうち、金属基板の厚さ方向において金属基板に対して第2電極が配置された側の領域に位置しており、第1ワイヤは、第2電極と第2電極パッドとに掛け渡されていてもよい。これにより、第2電極部と接続部とを、簡易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0014】
本発明のアクチュエータ装置では、第2電極は、金属基板の厚さ方向から見た場合に第2圧電体の外側に位置する領域を含み、第1ワイヤは、当該領域と第2電極パッドとに掛け渡されていてもよい。これにより、第1圧電体と第2圧電体との間に配置されている第2電極部を、簡易な構成によって接続部に電気的に接続することができる。
【0015】
本発明のアクチュエータ装置では、第2電極部は、第4主面に配置された第3電極を更に有してもよい。これにより、例えば、第2圧電体が駆動用圧電体である場合、第2圧電体の第4主面に対して均一に駆動電圧を印加することができ、駆動効率の向上を図ることができる。
【0016】
本発明のアクチュエータ装置では、第2電極部は、導電性を有する第3接着部材を更に有し、第3接着部材は、第2電極と第3電極とを接着していてもよい。これにより、駆動用圧電体への所望の駆動信号の入力と、検知用圧電体において発生した出力信号の高精度な検知とを簡易な構成で実現することができる。
【0017】
本発明のアクチュエータ装置は、第2ワイヤを更に備え、第3電極部は、第3主面に配置された第4電極を有し、支持体は、入力部又は出力部と電気的に接続された第3電極パッドを有し、第3電極パッドは、支持体の表面のうち、金属基板の厚さ方向において金属基板に対して第4電極が配置された側の領域に位置しており、第2ワイヤは、第4電極と第3電極パッドとに掛け渡されていてもよい。これにより、第3電極部と入力部とを、又は第3電極部と出力部とを、簡易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0018】
本発明のアクチュエータ装置では、第1圧電体は、駆動用圧電体であり、第2圧電体は、検知用圧電体であり、第1電極部は、入力部と電気的に接続されており、第3電極部は、出力部と電気的に接続されていてもよい。これにより、金属基板に駆動用圧電体の振動が適切に伝搬しやすくなるため、所望の駆動特性を得ることができる。
【0019】
本発明のアクチュエータシステムは、上記アクチュエータ装置と、アクチュエータ装置の入力部及び出力部と電気的に接続された制御部と、を備え、制御部は、駆動信号を生成する駆動信号生成部と、出力信号を処理する出力信号処理部と、を有する。
【0020】
このアクチュエータ装置では、上記アクチュエータ装置を備えているため、上記アクチュエータ装置と同様の理由により、可動部の動作量を精度良く検知することができる。
【0021】
本発明のアクチュエータシステムでは、駆動信号生成部は、可動部を共振動作させるための駆動信号を生成し、出力信号処理部は、駆動信号の周波数及び振幅に関する情報に基づいて、出力信号に含まれると推定される推定静ひずみ信号を生成し、出力信号及び推定静ひずみ信号に基づいて、可動部の共振信号を生成してもよい。これにより、可動部を共振させてアクチュエータ装置を駆動させる場合において、出力信号から推定静ひずみ信号を減算することにより、可動部の動作量に対応する共振信号を精度良く生成することができるため、可動部の動作量を精度良く検知することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、可動部の動作量を精度良く検知することができるアクチュエータ装置及びアクチュエータシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態のアクチュエータシステムの構成図である。
【
図2】
図1に示されるアクチュエータ装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示されるアクチュエータ装置の平面図である。
【
図4】
図3に示される金属基板、駆動用圧電素子及び検知用圧電素子の一部分の平面図である。
【
図5】
図4に示されるV-V線に沿っての断面図である。
【
図6】変形例のアクチュエータ装置の平面図である。
【
図7】
図6に示される金属基板、検知用圧電素子及び駆動用圧電素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[アクチュエータシステムの構成]
【0025】
図1に示されるように、アクチュエータシステム100は、アクチュエータ装置1と、制御部20と、を備えている。アクチュエータ装置1は、制御部20と電気的に接続されている。アクチュエータシステム100では、アクチュエータ装置1を駆動させるための駆動信号S1が、制御部20からアクチュエータ装置1に入力され、アクチュエータ装置1において発生した出力信号S2が、制御部20に出力される(詳細は後述)。
[アクチュエータ装置の構成]
【0026】
図2、
図3、
図4及び
図5に示されるように、アクチュエータ装置1は、配線基板(支持体)2と、金属基板3と、導電部30と、接着部材(第1接着部材)4と、光学面51を有する光学機能部5と、駆動用圧電素子6と、検知用圧電素子7と、接着部材(第2接着部材)8Aと、接着部材(第3接着部材)8Bと、コネクタ9と、ワイヤ(第1ワイヤ)11と、ワイヤ(第2ワイヤ)12と、を備えている。光学機能部5は、金属基板3に設けられている。アクチュエータ装置1は、例えば、パッケージ(図示せず)に収容されている。一例として、パッケージは、側壁、底壁、及び光を透過する材料からなる天壁を有し、箱状を呈している。例えば、アクチュエータ装置1において、レーザ光が天壁を介してパッケージ内に入射されると、レーザ光が、駆動用圧電素子6によって金属基板3を介して周期的に揺動されている光学機能部5の光学面51で反射され、天壁を介して外部に出射される。パッケージからのレーザ光の出射方向は、光学面51の揺動に応じて周期的且つ連続的に変化する。つまり、本実施形態では、アクチュエータ装置1は、光走査装置である。
【0027】
配線基板2は、金属基板3が載置される載置面2aを有している。配線基板2には、載置面2a及び載置面2aとは反対側の面に開口する開口2bが形成されている。配線基板2は、例えば、矩形枠状を呈している。配線基板2の材料の例としては、シリコン、セラミック、石英、ガラス及びプラスチックが挙げられる。配線基板2としては、例えば、ガラス布とガラス不織布とを混ぜ合わせた基材にエポキシ樹脂を含浸させたガラスコンポジット基板(CEM-3)、ガラス繊維製の布を重ねたものに、エポキシ樹脂を含浸したガラスエポキシ基板(FR-4)、銅、アルミニウム等を基材としたメタル放熱基板等を用いることができる。配線基板2の厚さは、十分な剛性が確保できる厚さとすればよく、例えば、0.8mm以上である。本実施形態では、配線基板2の厚さは、1.6mmである。以下の説明では、配線基板2の厚さ方向をZ軸方向(金属基板の厚さ方向)といい、Z軸方向に垂直な一方向をX軸方向といい、Z軸方向及びX軸方向の両方向に垂直な方向をY軸方向という。
【0028】
配線基板2は、複数(本実施形態では、3つ)の電極パッド(第2電極パッド)21、電極パッド(第3電極パッド)22及び電極パッド(第1電極パッド)23を有している。電極パッド21,22,23は、載置面2aに配置されている(設けられている)。複数の電極パッド21,22,23は、配線基板2の開口2bに対してY軸方向における一方の側に位置しており、X軸方向に沿って並んでいる。
【0029】
コネクタ9は、配線基板2の載置面2aに取り付けられている(配置されている)。コネクタ9は、駆動用圧電素子6及び検知用圧電素子7のそれぞれに対して電圧信号等を入出力するためのポートである。コネクタ9には、例えば、制御部20と電気的に接続されたフレキシブルプリント基板(図示せず)が挿入される汎用コネクタである。コネクタ9は、フレキシブルプリント基板等を介して、制御部20と電気的に接続されている。コネクタ9の種類については限定されない。コネクタ9は、例えば、複数の電極パッド21,22,23に対してY軸方向における一方の側に位置している。コネクタ9は、複数の端子90を有している。コネクタ9は、複数の端子90及び配線基板2の配線等を介して、複数の電極パッド21,22,23と電気的に接続されている。
【0030】
金属基板3は、配線基板2によって支持されている。金属基板3は、例えば、鉄系、ステンレス系、銅系、パーマロイド系、チタン系、タングステン系、モリブデン系等の金属からなり、板状を呈している。金属基板3の厚さは、例えば、50~500μmである。接着部材4は、配線基板2と金属基板3とを接着している。接着部材4は、導電性を有している。接着部材4の材料の例としては、Ag粒子を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。
【0031】
金属基板3は、本体部31と、可動部32と、第1延在部33と、第2延在部34と、第1連結部(連結部)35と、第2連結部(連結部)36と、第1接続部37と、第2接続部38と、第3接続部39と、を有している。可動部32、第1延在部33、第2延在部34、第1連結部35、第2連結部36、第1接続部37、第2接続部38及び第3接続部39は、一体的に形成されている。
【0032】
本体部31は、Z軸方向から見た場合に、配線基板2の開口2b内に位置している。可動部32は、光学機能部5が配置されている部分である。可動部32は、本体部31に対してY軸方向における他方の側に位置している。
【0033】
第1延在部33及び第2延在部34は、可動部32が間に位置するように本体部31から延在している。本実施形態では、可動部32は、第1延在部33及び第2延在部34の中間に位置している。第1延在部33及び第2延在部34は、例えば、Y軸方向に沿って、互いに平行に延在している。本実施形態では、第1延在部33は、第2延在部34と同一の形状を有している。
【0034】
第1連結部35は、第1延在部33と可動部32との間でX軸方向に沿って延在している。第1連結部35の一端部は、第1延在部33と接続されており、第1連結部35の他端部は、可動部32と接続されている。つまり、第1連結部35は、第1延在部33と可動部32とを連結することで、第1延在部33を介して可動部32と本体部31とを連結している。
【0035】
第2連結部36は、第2延在部34と可動部32との間でX軸方向に沿って延在している。第2連結部36の一端部は、第2延在部34と接続されており、第2連結部36の他端部は、可動部32と接続されている。つまり、第2連結部36は、第2延在部34と可動部32とを連結することで、第2延在部34を介して可動部32と本体部31とを連結している。
【0036】
本実施形態では、第1連結部35及び第2連結部36は、X軸方向に沿った単一の直線上に位置している。上述した第1延在部33及び第2延在部34と可動部32との位置関係から、X軸方向における第1連結部35の長さは、X軸方向における第2連結部36の長さと同一となる。本実施形態では、第1連結部35は、第2連結部36の形状と同一の形状を有している。
【0037】
可動部32、第1延在部33、第2延在部34、第1連結部35及び第2連結部36は、Z軸方向から見た場合に、配線基板2の開口2b内に位置している。第1連結部35及び第2連結部36は、第1延在部33及び第2延在部34の変形(変位)に応じてねじれるように弾性変形するトーションバーとして機能する。可動部32は、第1連結部35及び第2連結部36の弾性変形に応じて、X軸方向に沿った軸の周りに揺動される。すなわち、可動部32は、第1連結部35及び第2連結部36を介して、第1延在部33及び第2延在部34に、揺動可能に支持されている。
【0038】
光学機能部5は、可動部32における開口2bとは反対側の面に配置されている。光学機能部5は、例えば、円板状を呈している。光学機能部5は、光学面51が可動部32とは反対側に向くように、可動部32に取り付けられている。光学面51は、X軸方向において、第1延在部33と第2延在部34との中間に位置している。本実施形態では、金属基板3及び光学面51のそれぞれは、Y軸方向に沿って光学面51の中心を通る直線に対して線対称の形状を有している。一例として、光学機能部5は、シリコン等の半導体材料、又はガラスからなり、光学面51は、光学機能部5において可動部32とは反対側の面に形成された反射膜によって構成されている。すなわち、光学面51は、ミラー面(反射面)である。なお、光学機能部5の反射膜は省略可能である。その場合、上記反対側の面自体を光学面51としてもよい。
【0039】
第1接続部37は、第1延在部33に接続されている。第1接続部37は、第1延在部33に対してY軸方向における他方の側に位置している。第1接続部37において、Y軸方向における他方の側の部分は、配線基板2の一部分と対向している。第1接続部37の当該他方の側の部分と配線基板2の当該一部分との間には、接着部材4が配置されている。なお、配線基板2の当該一部分には、電極パッド23と同電位となるように電極パッド23と電気的に接続された電極パッド(図示せず)が配置されていてもよい。
【0040】
第2接続部38は、第2延在部34に接続されている。第2接続部38は、第2延在部34に対してY軸方向における他方の側に位置している。第2接続部38において、Y軸方向における他方の側の部分は、配線基板2の一部分と対向している。第2接続部38の当該他方の側の部分と配線基板2の当該一部分との間には、接着部材4が配置されている。なお、配線基板2の当該一部分には、電極パッド23と同電位となるように電極パッド23と電気的に接続された電極パッド(図示せず)が配置されていてもよい。本実施形態では、第1接続部37と第2接続部38とは、Y軸方向に沿って光学面51の中心を通る直線に対して線対称の関係にある。
【0041】
第3接続部39は、本体部31に接続されている。第3接続部39は、本体部31に対してY軸方向における一方の側に位置している。第3接続部39において、Y軸方向における一方の側の部分は、配線基板2の一部分(電極パッド23が配置されている部分)と対向している。第3接続部39の当該一方の側の部分と配線基板2の当該一部分との間には、接着部材4が配置されている。接着部材4は、第3接続部39と電極パッド23とを接着している。
【0042】
図5に示されるように、導電部30は、金属基板3と一体的に形成されている。導電部30は、金属基板3及び導電部30を構成する部材において開口2bとは反対側に位置している。導電部30は、駆動用圧電素子6が有する電極63と対向している。導電部30は、開口2bとは反対側の面30aを有している。面30aは、本体部31における開口2bとは反対側の主面31aと同一面上に形成されている。導電部30は、導電性材料からなり、金属基板3と電気的に接続されている。導電部30は、駆動用圧電素子6が有する駆動用圧電体61に電圧信号を入力する第1電極部13の一部として機能する。第1電極部13の詳細については後述する。なお、
図2及び
図3では、導電部30の図示が省略されている。
【0043】
駆動用圧電素子6は、金属基板3に板波を発生させてアクチュエータ装置1を駆動させるための素子である。駆動用圧電素子6は、導電部30の面30aに配置されている。X軸方向における駆動用圧電素子6の中心は、X軸方向における可動部32の中心(すなわち、X軸方向における光学面51の中心)と一致している。駆動用圧電素子6は、駆動用圧電体(第1圧電体、一方の電極部側の圧電体)61と、電極(第2電極)62と、電極(第1電極)63(
図5参照)と、を含んでいる。
【0044】
駆動用圧電体61は、可動部32を動作させるための圧電体である。本実施形態では、駆動用圧電体61は、可動部32を揺動させる。駆動用圧電体61は、第1主面61a及び第2主面61b(
図5参照)を含んでいる。第1主面61aは、駆動用圧電体61における面30aとは反対側の主面である。第1主面61aには、電極62が配置されている。第2主面61bは、駆動用圧電体61における面30a側の主面である。第2主面61bには、電極63が配置されている。電極62及び電極63のそれぞれは、例えば、Ni/Au層である。Ni/Au層においては、Ni層が第1主面61aに配置され、Au層がNi層上に配置されており、Ni層の厚さがAu層の厚さと比較して大きい。駆動用圧電体61、電極62及び電極63のそれぞれは、例えば、矩形板状を呈している。駆動用圧電体61は、電極62と接合されることにより、電極62と電気的に接続されている。駆動用圧電体61は、電極63と接合されることにより、電極63と電気的に接続されている。電極63と本体部31との間には、接着部材8Aが配置されている。接着部材8Aは、駆動用圧電体61と金属基板3及び導電部30とを接着している。接着部材8Aは、導電性を有している。接着部材8Aの材料の例としては、Ag粒子を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。
【0045】
検知用圧電素子7は、可動部32の動作量を検知するための素子である。本実施形態では、検知用圧電素子7は、可動部32の揺動角度及び位相を検知する。可動部32の位相の詳細については後述する。検知用圧電素子7は、表面62aに配置されている。表面62aは、電極62における駆動用圧電体61とは反対側の主面である。X軸方向における検知用圧電素子7の中心は、X軸方向における駆動用圧電素子6の中心と一致している。検知用圧電素子7は、検知用圧電体(第2圧電体、他方の電極部側の圧電体)71と、電極(第4電極)72と、電極(第3電極)73(
図5参照)と、を含んでいる。検知用圧電体71は、可動部32の動作量を検知するための圧電体である。本実施形態では、検知用圧電体71は、可動部32の揺動角度及び位相を検知する。検知用圧電体71は、第3主面71a及び第4主面71b(
図5参照)を含んでいる。第3主面71aは、検知用圧電体71における電極62とは反対側の主面である。第3主面71aには、電極72が配置されている。第4主面71bは、検知用圧電体71における電極62側の主面である。第4主面71bには、電極73が配置されている。電極72及び電極73のそれぞれは、例えば、Ni/Au層である。検知用圧電体71、電極72及び電極73のそれぞれは、例えば、矩形板状を呈している。検知用圧電体71は、電極72と接合されることにより、電極72と電気的に接続されている。駆動用圧電体61は、電極73と接合されることにより、電極73と電気的に接続されている。電極73と電極62との間には、接着部材8Bが配置されている。接着部材8Bは、検知用圧電体71と駆動用圧電体61とを接着している。接着部材8Bは、導電性を有している。接着部材8Bの材料の例としては、Ag粒子を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。
[圧電ユニットの構成]
【0046】
ここで、アクチュエータ装置1は、圧電ユニット10を備えている。圧電ユニット10は、上述した金属基板3、駆動用圧電素子6、検知用圧電素子7、接着部材8A及び接着部材8Bによって構成されている。以下、
図4及び
図5を参照して、圧電ユニット10の構成について、より詳細に説明する。
【0047】
駆動用圧電素子6の駆動用圧電体61は、側面61cを更に含んでいる。駆動用圧電素子6は、本体部31の主面31aの一部が駆動用圧電体61の側面61cの外側に位置するように、導電部30の面30aに配置されている。これにより、主面31aの一部及び駆動用圧電体61の側面61cによって隅部C1が形成されている。主面31aの一部は、主面31aのうち側面61cの外側の部分である。なお、側面61cは、Z軸方向から見た場合における駆動用圧電体61の外縁61dに相当する。
【0048】
接着部材8Aは、第1部分81と、第2部分82と、を含んでいる。第1部分81は、導電部30の面30aと駆動用圧電素子6との間に配置された部分である。第2部分82は、第1部分81から連続し、隅部C1に配置されている。「第2部分82が、第1部分81から連続する」とは、第1部分81と第2部分82とが、界面なく一体的に形成されていることを意味する。第2部分82は、駆動用圧電体61の側面61c及び本体部31の主面31aの一部に接触している。本実施形態では、第2部分82の表面は、平坦である。一例として、第2部分82は、Z軸方向から見た場合に、隅部C1の全体に亘って連続している。
【0049】
第2部分82の少なくとも一部は、駆動用圧電体61の側面61cにおける電極62側の領域に至っている。「第2部分82の少なくとも一部が、駆動用圧電体61の側面61cにおける電極62側の領域に至っている」とは、第2部分82が、Z軸方向における側面61cの電極62側半分の領域に接触していることを意味する。また、第2部分82は、第1主面61aの外縁611に至っていない。すなわち、第2部分82のうち最も高い縁部は、外縁611に接触していない。つまり、金属基板3の主面31a及び導電部30の面30aに配置された接着部材8Aは、電極62に至っていない。
【0050】
一例として、Z軸方向における第1部分81の高さは、10~100μmである。Z軸方向における第2部分82の高さは、Z軸方向における第1部分81の高さ及び電極63の厚さの総和よりも大きく、Z軸方向における第1部分81の高さ、電極63の厚さ及び駆動用圧電体61の厚さの総和以下である。一例として、第2部分82の高さは、15μm~300μmである。一例として、X軸方向及びY軸方向における第2部分82の幅は、100~500μmである。「X軸方向及びY軸方向における第2部分82の幅」は、Y軸方向に沿った駆動用圧電素子6及び接着部材8Aの断面において第2部分82が駆動用圧電体61の側面61cからはみ出している幅、及びX軸方向に沿った駆動用圧電素子6及び接着部材8Aの断面において第2部分82が駆動用圧電体61の側面61cからはみ出している幅を含む。駆動用圧電体61は、中心点が特定可能な形状であって、Z軸方向から見た場合に、当該中心点を基準として点対称な形状である。一例として、駆動用圧電体61は、矩形板状を呈しており、X軸方向における駆動用圧電体61の幅及びY軸方向における駆動用圧電体61の幅のそれぞれは、例えば2~20mmであって、駆動用圧電体61の厚さは、約200μmである。一例として、駆動用圧電体61は、X軸方向を長手方向とする長方形板状を呈している。一例として、電極62の厚さ及び電極63の厚さは、それぞれ、1~2μmである。また、一例として、接着部材8Aは、1MPa以上のヤング率を有する。
【0051】
X軸方向における電極62の幅は、X軸方向における駆動用圧電体61の幅よりも小さく、Y軸方向における電極62の幅は、Y軸方向における駆動用圧電体61の幅よりも小さい。また、Z軸方向から見た場合に、電極62の外縁62cは、駆動用圧電体61の外縁61dよりも内側に位置している。「Z軸方向から見た場合に、電極62の外縁62cが、駆動用圧電体61の外縁61dよりも内側に位置している」とは、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の外縁61dが、電極62の外縁62cを囲んでいることを意味する。すなわち、Z軸方向から見た場合に、外縁62cは、外縁61dから駆動用圧電体61の中心側にオフセットされている。一例として、Z軸方向から見た場合における外縁62cと外縁61dとの距離は、駆動用圧電体61の厚さよりも大きい。外縁62cと外縁61dとの距離は、例えば、約250μmである。本実施形態では、Z軸方向から見た場合における外縁62cと外縁61dとの距離は、X軸方向から見た場合における第2部分82のうち最も高い縁部と第1主面61aの外縁611との距離より大きい。この構成によれば、導電性を有する接着部材8Aが電極62に接触することを確実に防止することができる。X軸方向から見た場合における第2部分82のうち最も高い縁部と外縁611との距離は、例えば、約50μmである。
【0052】
検知用圧電素子7の検知用圧電体71は、側面71cを更に含んでいる。検知用圧電素子7は、電極62の表面62aの一部が検知用圧電体71の側面71cの外側に位置するように、表面62aに配置されている。これにより、電極62の表面62aの一部及び検知用圧電体71の側面71cによって隅部C2が形成されている。表面62aの一部は、表面62aのうち側面71cの外側の部分である。なお、側面71cは、Z軸方向から見た場合における検知用圧電体71の外縁71dに相当する。
【0053】
接着部材8Bは、第3部分83と、第4部分84と、を更に含んでいる。第3部分83は、電極62の表面62aと検知用圧電素子7との間に配置された部分である。第4部分84は、第3部分83から連続し、隅部C2に配置されている。「第4部分84が、第3部分83から連続する」とは、第3部分83と第4部分84とが、界面なく一体的に形成されていることを意味する。第4部分84は、検知用圧電体71の側面71c及び電極62の表面62aの一部に接触している。本実施形態では、第4部分84の表面は、平坦である。一例として、第4部分84は、Z軸方向から見た場合に、隅部C2の全体に亘って連続している。
【0054】
第4部分84の少なくとも一部は、検知用圧電体71の側面71cにおける電極72側の領域に至っている。「第4部分84の少なくとも一部が、検知用圧電体71の側面71cにおける電極72側の領域に至っている」とは、第4部分84が、Z軸方向における側面71cの電極72側半分の領域に接触していることを意味する。また、第4部分84は、第3主面71aの外縁711に至っていない。すなわち、第4部分84のうち最も高い縁部は、外縁711に接触していない。つまり、電極62の表面62aに配置された接着部材8Bは、電極72に至っていない。
【0055】
一例として、Z軸方向における第3部分83の高さは、10~100μmである。Z軸方向における第4部分84の高さは、Z軸方向における第3部分83の高さ及び電極73の厚さの総和よりも大きく、Z軸方向における第3部分83の高さ、電極73の厚さ及び検知用圧電体71の厚さの総和以下である。一例として、第4部分84の高さは、15μm~300μmである。一例として、X軸方向及びY軸方向における第4部分84の幅は、100~500μmである。「X軸方向及びY軸方向における第4部分84の幅」は、Y軸方向に沿った検知用圧電素子7及び接着部材8Bの断面において第4部分84が検知用圧電体71の側面71cからはみ出している幅、及びX軸方向に沿った検知用圧電素子7及び接着部材8Bの断面において第4部分84が検知用圧電体71の側面71cからはみ出している幅を含む。検知用圧電体71は、中心点が特定可能な形状であって、Z軸方向から見た場合に、当該中心点を基準として点対称な形状である。一例として、検知用圧電体71は、矩形板状を呈しており、X軸方向における検知用圧電体71の幅及びY軸方向における検知用圧電体71の幅のそれぞれは、例えば2~20mmであって、検知用圧電体71の厚さは、約200μmである。一例として、検知用圧電体71は、X軸方向における幅及びY軸方向における幅が略同じである正方形板状を呈している。一例として、電極72の厚さ及び電極73の厚さは、それぞれ、1~2μmである。
【0056】
X軸方向における電極72の幅は、X軸方向における検知用圧電体71の幅よりも小さく、Y軸方向における電極72の幅は、Y軸方向における検知用圧電体71の幅よりも小さい。また、Z軸方向から見た場合に、電極72の外縁72c(電極72の側面72bに対応する外縁)は、検知用圧電体71の外縁71dよりも内側に位置している。「Z軸方向から見た場合に、電極72の外縁72cが、検知用圧電体71の外縁71dよりも内側に位置している」とは、Z軸方向から見た場合に、検知用圧電体71の外縁71dが、電極72の外縁72cを囲んでいることを意味する。すなわち、Z軸方向から見た場合に、外縁72cは、外縁71dから検知用圧電体71の中心側にオフセットされている。一例として、Z軸方向から見た場合における外縁72cと外縁71dとの距離は、検知用圧電体71の厚さよりも大きい。外縁72cと外縁71dとの距離は、外縁62cと外縁61dとの距離と同様に、例えば、約250μmである。なお、例えば、Z軸方向から見た場合に電極72が正方形板状を呈している場合、Z軸方向から見た場合において、外縁72cと外縁71dとの距離は、外縁62cと外縁61dとの距離よりも小さくてもよい。正方形板状を呈している検知用圧電体71(及び電極73)からはみ出す接着部材8Bの量及び範囲は、長方形板状を呈している場合と比較してコントロールが容易であるためである。また、検知用圧電体71が正方形板状を呈している場合、検知用圧電体71からはみ出す接着部材8Bの量及び範囲のコントロールが容易であるので、接着部材8Bが、隅部C2の全体に亘って配置されやすくなる。本実施形態では、Z軸方向から見た場合における外縁72cと外縁71dとの距離は、X軸方向から見た場合における第4部分84のうち最も高い縁部と第3主面71aの外縁711との距離より長い。この構成によれば、導電性を有する接着部材8Bが電極72に接触することを確実に防止することができる。X軸方向から見た場合における第4部分84のうち最も高い縁部と外縁711との距離は、例えば、約50μmである。
【0057】
X軸方向における検知用圧電体71の幅は、X軸方向における駆動用圧電体61の幅よりも小さく、Y軸方向における検知用圧電体71の幅は、Y軸方向における駆動用圧電体61の幅よりも小さい。また、Z軸方向から見た場合に、検知用圧電体71の外縁71dは、駆動用圧電体61の外縁61dよりも内側に位置している。「Z軸方向から見た場合に、検知用圧電体71の外縁71dが、駆動用圧電体61の外縁61dよりも内側に位置している」とは、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の外縁61dが、検知用圧電体71の外縁71dを囲んでいることを意味する。すなわち、Z軸方向から見た場合に、外縁71dは、外縁61dから検知用圧電体71の中心側にオフセットされている。
【0058】
本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71は、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の中心点と検知用圧電体71の中心点とが一致するように配置されている。駆動用圧電体61は、Z軸方向から見た場合に、X軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸として線対称となり、且つ、Y軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸として線対称となるように、配置されている。検知用圧電体71は、Z軸方向から見た場合に、X軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸として線対称となり、且つ、Y軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸として線対称となるように、配置されている。Y軸方向は、本体部31及び可動部が並ぶ方向である。
【0059】
図5に示されるように、アクチュエータ装置1は、第1電極部13と、第2電極部14と、第3電極部15と、を更に備えている。第1電極部13は、金属基板3に設けられている。第1電極部13は、導電部30、接着部材8A及び駆動用圧電素子6の電極63を有している。本実施形態では、第1電極部13は、導電部30、接着部材8Aの少なくとも一部及び電極63によって構成されている。接着部材8Aの少なくとも一部は、例えば、接着部材8Aのうち導電部30と電極63との間に配置された部分(すなわち、第1部分81)である。第1電極部13において、電極63と導電部30とは、接着部材8Aによって接着されている。第1電極部13上には、駆動用圧電体61が配置されている。第2電極部14は、駆動用圧電体61の第1主面61aに配置されている。第1主面61aは、第1電極部13とは反対側の主面であって、第2主面61bは、第1電極部13側の主面である。第2電極部14は、駆動用圧電素子6の電極62、接着部材8B及び検知用圧電素子7の電極73を有している。本実施形態では、第2電極部14は、電極62、接着部材8Bの少なくとも一部及び電極73によって構成されている。接着部材8Bの少なくとも一部は、例えば、接着部材8Bのうち電極62と電極73との間に配置された部分(すなわち、第3部分83)である。第2電極部14において、電極62と電極73とは、接着部材8Bによって接着されている。第2電極部14上には、検知用圧電体71が配置されている。第3電極部15は、検知用圧電体71の第3主面71aに配置されている。第3主面71aは、第2電極部14とは反対側の主面であって、第4主面71bは、第2電極部14側の主面である。第3電極部15は、検知用圧電素子7の電極72を有している。本実施形態では、第3電極部15は、電極72によって構成されている。以上のように、第1電極部13と第2電極部14との間には駆動用圧電体61が配置され、第2電極部14と第3電極部15との間には検知用圧電体71が配置されている。
【0060】
図1に示されるように、アクチュエータ装置1は、入力部91と、接続部92と、出力部93と、を更に備えている。入力部91、接続部92及び出力部93は、コネクタ9に収容されている。
【0061】
入力部91は、駆動用圧電体61を駆動するための駆動信号S1を、制御部20から第1電極部13に入力するように構成されている。具体的には、入力部91は、コネクタ9において、駆動信号S1を第1電極部13に入力するために、制御部20と第1電極部13とを電気的に接続する端子である(詳細は後述)。入力部91は、複数の端子90に含まれる端子90a(
図3参照)と電気的に接続されている。また、入力部91は、例えばフレキシブルプリント基板等を介して、制御部20と電気的に接続されている。接続部92は、アクチュエータ装置1の外部の基準電位(固定電位)に接続されるように構成されている。具体的には、接続部92は、コネクタ9において、第2電極部14を基準電位と電気的に接続して第2電極部14の電位が基準電位となるように、基準電位と第2電極部14とを電気的に接続する端子である(詳細は後述)。接続部92は、複数の端子90に含まれる端子90b(
図3参照)と電気的に接続されている。また、接続部92は、例えばフレキシブルプリント基板等を介して、例えばアクチュエータシステム100内の基準電位に接続されている。なお、接続部92は、アクチュエータシステム100外の基準電位に接続されていてもよい。出力部93は、検知用圧電体71において発生した出力信号S2を第3電極部15から外部に出力するように構成されている。具体的には、出力部93は、コネクタ9において、第3電極部15で発生した出力信号S2を制御部20に出力するために、制御部20と第3電極部15とを電気的に接続する端子である(詳細は後述)。出力部93は、複数の端子90に含まれる端子90c(
図3参照)と電気的に接続されている。
[アクチュエータシステムの電気的な接続関係]
【0062】
第1電極部13は、電極パッド23と電気的に接続されている。具体的には、
図2、
図3及び
図5に示されるように、第1電極部13を構成する導電部30、接着部材8Aの少なくとも一部及び駆動用圧電素子6の電極63が、金属基板3、及び金属基板3の第3接続部39と電極パッド23との間に配置された接着部材4を介して、電極パッド23と電気的に接続されている。電極パッド23は、配線基板2の配線及びコネクタ9の端子90aを介して、入力部91と電気的に接続されている。電極パッド23は、配線基板2の表面のうち、載置面2a(具体的には、載置面2aにおいて金属基板3と向かい合う領域)に位置している。つまり、第1電極部13は、金属基板3、接着部材4、電極パッド23、配線基板2の配線及び端子90aを介して、コネクタ9の入力部91と電気的に接続されている。また、入力部91は、例えばフレキシブルプリント基板等を介して、制御部20と電気的に接続されている。つまり、入力部91は、制御部20と第1電極部13とを電気的に接続している。
【0063】
第2電極部14は、電極パッド21と電気的に接続されている。具体的には、第2電極部14を構成する電極62、接着部材8Bの少なくとも一部及び電極73が、ワイヤ11を介して電極パッド21と電気的に接続されている。ワイヤ11は、第2電極部14の電極62と電極パッド21とに掛け渡されている。具体的には、ワイヤ11は、電極62の表面62aのうち領域621と電極パッド21とに掛け渡されている。領域621は、電極62の表面62aのうち、Z軸方向から見た場合に検知用圧電体71の外側に位置する領域である。電極パッド21は、配線基板2の表面のうち、Z軸方向において金属基板3に対して電極62が配置された側の領域(すなわち、載置面2a)に位置している。電極パッド21は、配線基板2の配線及びコネクタ9の端子90bを介して、接続部92と電気的に接続されている。つまり、第2電極部14は、ワイヤ11、電極パッド21、配線基板2の配線及び端子90bを介して、コネクタ9の接続部92と電気的に接続されている。また、接続部92は、例えば、フレキシブルプリント基板等を介して、アクチュエータシステム100内の基準電位(例えば、接地電位)に接続されている。つまり、接続部92は、制御部20と第2電極部14とを電気的に接続している。
【0064】
第3電極部15は、電極パッド22と電気的に接続されている。具体的には、第3電極部15を構成する検知用圧電素子7の電極72が、ワイヤ12を介して電極パッド22と電気的に接続されている。ワイヤ12は、第3電極部15の電極72と電極パッド22とに掛け渡されている。電極パッド22は、配線基板2の表面のうち、Z軸方向において金属基板3に対して電極72が配置された側の領域(すなわち、載置面2a)に位置している。電極パッド22は、配線基板2の配線を介して、コネクタ9の端子90cと電気的に接続されている。つまり、第3電極部15は、ワイヤ12、電極パッド22、配線基板2の配線及び端子90cを介して、コネクタ9の出力部93と電気的に接続されている。また、出力部93は、例えば、フレキシブルプリント基板等を介して、制御部20と電気的に接続されている。つまり、出力部93は、制御部20と第3電極部15とを電気的に接続している。
【0065】
以上のような電気的な接続関係により、アクチュエータ装置1は、例えば以下のように駆動される。具体的には、第2電極部14(具体的には、駆動用圧電素子6の電極62、接着部材8Bの少なくとも一部及び検知用圧電素子7の電極73)が、ワイヤ11、電極パッド21、配線基板2の配線、コネクタ9の端子90b及び接続部92を介して、基準電位に接続されて第2電極部14の電位が基準電位の状態で、制御部20から、コネクタ9の入力部91及び端子90a、配線基板2の配線、電極パッド23、接着部材4並びに金属基板3を介して、第1電極部13(具体的には、導電部30、接着部材8Aの少なくとも一部及び駆動用圧電素子6の電極63)に、アクチュエータ装置1の可動部32を共振動作させるための電圧信号である駆動信号S1が入力される。これにより、駆動用圧電体61が変形及び/又は振動し、本体部31に周期的な板波が発生させられる。この周期的な板波の発生によって、第1連結部35及び第2連結部36にねじれ振動(ねじれ共振)が誘起され、可動部32及び光学面51が揺動する。すなわち、アクチュエータ装置1では、第1連結部35、第2連結部36、可動部32及び光学面51のねじれ共振系と駆動用圧電素子6とが離れた位置に配置されながら、ラム波共鳴構造が採られることで、高い駆動効率でねじれ共振が発生させられる。その一方で、検知用圧電体71において発生した出力信号S2が、第3電極部15(具体的には、検知用圧電素子7の電極72)から、ワイヤ12、電極パッド22、配線基板2の配線、及びコネクタ9の端子90c及び出力部93を介して、制御部20に出力され、光学面51の揺動角度及び位相が検知される。出力信号S2は、可動部32及び光学面51の揺動による角度及び位相の変化に応じた電圧信号である。また、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の中心点と検知用圧電体71の中心点とが一致している。そして、駆動用圧電体61が、X軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としても線対称となるように配置されており、検知用圧電体71が、X軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としても線対称となるように配置されている。以上のような位置関係を駆動用圧電体61及び検知用圧電体71が有することにより、アクチュエータ装置1では、駆動信号S1が第1電極部13に入力されると、駆動用圧電体61の動きと検知用圧電体71の動きとが一致する。
[制御部の構成]
【0066】
制御部20は、可動部32を共振振動させるための正弦波状の駆動信号S1を生成し、生成した駆動信号S1をコネクタ9の入力部91に入力する。また、制御部20は、出力部93から出力された正弦波状の出力信号S2を取得する。そして、制御部20は、取得した出力信号S2を処理し、出力信号S2を処理した結果に基づいて、駆動信号S1を再び生成する、といった処理を繰り返す。ここで、駆動信号S1が入力部91に入力されることにより揺動する可動部32の位相は、同一の時間軸において、駆動信号S1の位相と可動部32の変位を示す信号の位相との差である。つまり、可動部32の位相は、駆動信号S1を基準とした場合に、例えば10°遅れている等、可動部32の変位を示す位相がどのくらい遅れているかを示す。
【0067】
可動部32が共振動作するための駆動信号S1の周波数及び振幅の条件は、実際には、アクチュエータ装置1の使用温度の変化によって変化する。したがって、可動部32が共振動作するために、駆動信号S1の周波数及び振幅を使用温度の変化に応じて適宜変更する必要がある。そこで、制御部20は、検知用圧電体71において発生した出力信号S2に基づいて、可動部32を共振振動させるための適切な駆動信号S1を生成する。ここで、検知用圧電体71において発生する出力信号S2には、実際には、可動部32の揺動角度及び位相に対応する共振信号のみならず、静ひずみ信号が含まれている。すなわち、検知用圧電体71には、共振による可動部32の振動及び捻れのみならず、駆動用圧電体61からの静ひずみも伝搬され、出力信号S2には、共振信号及び静ひずみ信号が含まれることとなる。「駆動用圧電体61からの静ひずみ」とは、駆動信号S1が入力されることに起因する駆動用圧電体61自体の静ひずみのみを意味するのではなく、駆動用圧電体61から検知用圧電体71に伝搬するアクチュエータ装置1全体の静ひずみを意味する。具体的には、駆動信号S1が入力されて駆動用圧電体61において静ひずみが発生すると、当該静ひずみが金属基板3等に伝搬することにより駆動用圧電体61以外の他の部材もひずむ。そして、当該他の部材の静ひずみ及び駆動用圧電体61自体の静ひずみが、駆動用圧電体61から検知用圧電体71に伝搬することにより、検知用圧電体71は、駆動用圧電体61からの静ひずみ信号を含む出力信号S2を検知する。そこで、アクチュエータシステム100では、制御部20が、出力信号S2に含まれると推定される推定静ひずみ信号を生成し、生成した推定静ひずみ信号を出力信号S2から減算することで、可動部32の共振信号を生成する処理を実行する。これにより、制御部20は、可動部32の共振信号に基づいて、可動部32を共振振動させるための適切な駆動信号S1を生成することが可能となる。
【0068】
図1に示されるように、制御部20は、信号処理部201と、生成部202と、調整アンプ203と、調整アンプ204と、差動アンプ205と、を有している。信号処理部201は、アクチュエータ装置1に入力するための駆動信号S1の振幅及び周波数を決定する。具体的には、信号処理部201は、差動アンプ205から取得した共振信号S4(詳細は後述)に基づいて、可動部32の共振動作を維持し、且つ可動部32の振れ角を目標の角度に近づけるための振幅及び周波数を決定する。信号処理部201は、例えば、マイクロコントローラ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等である。生成部202は、駆動信号S1のベースとなる信号を生成する。当該ベースとなる信号は、信号処理部201が決定した周波数を有する。生成部202は、例えば、DDS(Direct Digital Synthesizer)、VCO(Voltage-controlled oscillator)等である。調整アンプ203は、例えば、生成部202が生成した信号を信号処理部201が決定した振幅となるよう調整する。これにより、正弦波状の駆動信号S1が生成される。駆動信号S1は、コネクタ9の入力部91に入力される。
【0069】
また、信号処理部201は、決定した駆動信号S1の振幅及び周波数、並びに事前検査によって取得された信号データに基づいて、出力信号S2に含まれると推定される推定静ひずみ信号の振幅及び周波数を決定する。信号データは、駆動信号S1の各電圧値に対する駆動用圧電体61からの静ひずみ信号の電圧値を示すデータであって、例えば、制御部20が有する記憶部(図示せず)に予め記憶されている。そして、生成部202は、信号処理部201によって決定された振幅及び周波数に基づいて、推定静ひずみ信号のベースとなる信号を生成する。当該ベースとなる信号は、信号処理部201が決定した周波数を有する。そして、調整アンプ204は、生成部202が生成した信号を、信号処理部201が決定した振幅となるよう調整する。これにより、正弦波状の推定静ひずみ信号S3が生成される。生成された推定静ひずみ信号S3は、差動アンプ205に入力される。
【0070】
推定静ひずみ信号S3の生成に用いられる信号データは、出荷前の検査工程及び/又はアクチュエータ装置1の起動時に行われる事前検査によって予め取得される。事前検査においては、可動部32の共振周波数よりも十分低い周波数においてアクチュエータ装置1を駆動させることにより、駆動信号の各電圧値に対する駆動用圧電体61からの静ひずみ信号の電圧値が取得される。可動部32の共振周波数よりも十分低い周波数は、例えば、可動部32の共振周波数の50%以下の値である。可動部32の共振周波数は、例えば、約600Hzである。可動部32の共振周波数よりも十分低い周波数は、例えば、約50~100Hzである。事前検査では、可動部32の共振周波数よりも十分低い周波数においてアクチュエータ装置1が駆動させられて(すなわち、駆動用圧電体61に入力される駆動信号の周波数が、可動部32の共振周波数の50%以下に設定されて)、検知用圧電体71が検知する出力信号が、静ひずみ信号として取得される。つまり、静ひずみ信号は、駆動用圧電体61に入力される駆動信号の周波数が可動部32の共振周波数の50%以下である場合に、検知用圧電体が検知する電圧信号である。これにより、駆動信号S1の各電圧値に対する駆動用圧電体61からの静ひずみ信号の電圧値が取得される。
【0071】
差動アンプ205には、推定静ひずみ信号S3、及びコネクタ9の出力部93からの出力信号S2が入力される。上述したように、本実施形態では、駆動用圧電体61の動きと検知用圧電体71の動きとが一致する。したがって、差動アンプ205は、生成された推定静ひずみ信号S3を出力信号S2の位相に合わせる補正処理等を行わず、出力信号S2から推定静ひずみ信号S3を減算することにより、可動部32の共振信号S4を生成する。生成された共振信号S4は、信号処理部201に入力される。
【0072】
制御部20は、駆動信号生成部20A及び出力信号処理部20Bを更に有している。駆動信号生成部20Aは、駆動信号S1を生成する。駆動信号生成部20Aは、例えば、生成部202及び調整アンプ203によって構成されている。出力信号処理部20Bは、出力信号S2を処理する。具体的には、出力信号処理部20Bは、駆動信号S1の周波数及び振幅に関する情報に基づいて、駆動用圧電体61の推定静ひずみ信号S3を生成し、出力信号S2及び推定静ひずみ信号S3に基づいて、可動部32の共振信号S4を生成する。出力信号処理部20Bは、例えば、調整アンプ204及び差動アンプ205によって構成されている。以上のように、制御部20は、検知用圧電体71において発生した出力信号S2に基づいて、可動部32を共振振動させるための適切な駆動信号S1を生成してアクチュエータ装置1に入力する。これにより、アクチュエータ装置1には、適切な駆動信号S1が入力される。
[作用及び効果]
【0073】
アクチュエータ装置1では、金属基板3に設けられた第1電極部13上に、駆動用圧電体61、第2電極部14、検知用圧電体71及び第3電極部15がこの順序で積層されている。このように、金属基板3に対して同じ側において駆動用圧電体61及び検知用圧電体71が積層されているため、駆動用圧電体61と検知用圧電体71との相対的な位置関係にばらつきが生じにくくなる。よって、アクチュエータ装置1、及びアクチュエータ装置1を備えるアクチュエータシステム100によれば、可動部32の動作量を精度良く検知することができる。
【0074】
例えば、駆動用圧電体61が金属基板3の主面31aに配置され、検知用圧電体71が金属基板3において主面31aとは反対側の面に配置される従来の例(以下、「従来例1」という)においては、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71のそれぞれが金属基板3を基準に配置される。したがって、駆動用圧電体61と検知用圧電体71との位置関係にばらつきが生じやすいので、出力信号S2と推定静ひずみ信号S3との位相差にもばらつきが生じやすくなる。そのため、従来例1において出力信号S2から推定静ひずみ信号S3が減算されて得られる共振信号S4は、実際の可動部32の揺動角度(振幅)及び/又は位相に対応する実際の共振信号からずれ、共振信号S4の精度が劣化してしまう。また、例えば、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71が、Z軸方向から見た場合に重ならないように金属基板3の主面31aに配置されている従来の例(以下、「従来例2」という)においても、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71のそれぞれが主面31aを基準に配置されるため、従来例1と同様の理由により、共振信号S4の精度が劣化してしまう。更に、従来例2においては、駆動用圧電体61と検知用圧電体71とが重なっていないため、出力信号S2と推定静ひずみ信号S3との位相差が常にばらつき、出力信号S2から推定静ひずみ信号S3を減算する処理を行うことが困難か、或いは位相差を補正する処理が複雑化してしまう。
【0075】
これに対し、アクチュエータ装置1では、金属基板3に対して同じ側において駆動用圧電体61及び検知用圧電体71が積層されている。これにより、駆動用圧電体61と検知用圧電体71との位置関係にばらつきが生じにくいため、出力信号S2と推定静ひずみ信号S3との位相差もばらつきにくい。したがって、出力信号S2から推定静ひずみ信号S3を減算することで共振信号S4を精度良く得ることができる。よって、アクチュエータ装置1及びアクチュエータシステム100によれば、可動部32の動作量である揺動角度及び位相を精度良く検知することができる。
【0076】
更に、アクチュエータ装置1では、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71が、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の中心点と検知用圧電体71の中心点とが一致するように、また、駆動用圧電体61が、X軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としても線対称となり、検知用圧電体71が、X軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としても線対称となるように配置されている。これにより、駆動用圧電体61の動きと検知用圧電体71の動きとが一致するので、出力信号S2と推定静ひずみ信号S3との位相とが一致する。これにより、例えば、推定静ひずみ信号S3の位相と出力信号S2の位相とを一致させる補正処理が不要となり、出力信号S2から、生成した推定静ひずみ信号S3を単純に減算する簡易な処理によって、共振信号S4を得ることができる。また、駆動用圧電体61の動きと検知用圧電体71の動きとが一致するので、駆動信号S1と推定静ひずみ信号S3との位相も一致し、生成した推定静ひずみ信号S3の補正処理が不要となり、簡易な処理によって推定静ひずみ信号S3を生成することができる。特に、金属基板3が用いられたアクチュエータ装置1は、シリコンが用いられたアクチュエータ装置に比べて加工効率がよく且つ安価であるという特徴を有し、アクチュエータ装置1全体のコストを下げるうえで、回路設計を単純化させることは重要である。
【0077】
なお、仮に、従来例1において、駆動用圧電体61の中心点と検知用圧電体71の中心点とが一致し、駆動用圧電体61が、X軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としても線対称となり、検知用圧電体71が、X軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としても線対称となるように位置合わせを行っても、上述した理由と同様に、実際には駆動用圧電体61と検知用圧電体71との相対的な位置関係のばらつき、延いては出力信号S2と推定静ひずみ信号S3との位相差のばらつきが生じるので、共振信号S4の精度が劣化し、可動部32の揺動角度及び位相を精度良く検知することが困難となる。また、推定静ひずみ信号S3の生成処理においても、従来例1においては、駆動用圧電体61と検知用圧電体71との相対的な位置関係のばらつきに起因して、駆動信号S1と推定静ひずみ信号S3との位相差にもばらつきが生じ、その結果、生成した推定静ひずみ信号S3の精度が劣化してしまい、可動部32の揺動角度及び位相を精度良く検知することが更に困難か、推定静ひずみ信号S3の補正処理が必要となり、処理が複雑化してしまう。
【0078】
また、従来例1においては、駆動用圧電体61が金属基板3の主面31aに配置され、検知用圧電体71が主面31aとは反対側の面に配置されている。したがって、主面31a側では駆動用圧電体側の電極部からワイヤを配線し、主面31aとは反対側の面でも検知用圧電体71側の電極部からワイヤを配線する必要があり、配線構造が複雑化してしまう。これに対し、アクチュエータ装置1では、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71の両方が、金属基板3に対して一方の側(主面31a側)に配置されているため、配線構造の単純化を図ることができる。
【0079】
また、従来例1においては、駆動用圧電体61が金属基板3の主面31aに配置され、検知用圧電体71が主面31aとは反対側の面に配置され、従来例2においては、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71の両方が金属基板3の主面31aに重ならずに配置されているのに対し、アクチュエータ装置1では、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71の両方が、金属基板3に対して一方の側に積層されているため、金属基板3の省スペース化を図ることができる。よって、アクチュエータ装置1によれば、装置全体の小型化を図ることができる。また、上述した事前検査において可動部32の共振周波数よりも十分低い周波数でアクチュエータ装置1を駆動させて静ひずみ信号の電圧値を取得する際に、静ひずみ信号の電圧の振幅が小さいと、静ひずみ信号の電圧値(検量線)がノイズの影響を受けて正確に得られない場合がある。この点、アクチュエータ装置1では、駆動用圧電体61上に検知用圧電体71が配置されているため、静ひずみ信号の振幅(基準信号振幅)を大きく得ることができ、静ひずみ信号の電圧値の精度、ひいては、アクチュエータ装置1の制御精度を向上させることができる。
【0080】
アクチュエータ装置1は、配線基板2上に配置され、接続部92、入力部91及び出力部93を収容するコネクタ9を備えている。これにより、第1電極部13、第2電極部14及び第3電極部15と制御部20との電気的な接続を簡易且つ確実に行うことができる。
【0081】
アクチュエータ装置1では、Z軸方向から見た場合に、検知用圧電体71の外縁71dが、駆動用圧電体61の外縁61dよりも内側に位置している。これにより、製造時において駆動用圧電体61を視認しながら検知用圧電体71を配置することが可能となるため、駆動用圧電体61と検知用圧電体71とのより高精度な位置合わせが可能となる。
【0082】
アクチュエータ装置1では、第1電極部13が、第2主面61bに配置された電極63を有している。これにより、駆動用圧電体61の第2主面61bに対して均一に駆動電圧を印加することができ、駆動効率の向上を図ることができる。
【0083】
アクチュエータ装置1は、導電性を有する接着部材4を備え、第1電極部13は、導電部30と、導電性を有する接着部材8Aと、を更に有し、配線基板2は、入力部91と電気的に接続された電極パッド23を有し、電極パッド23は、配線基板2の載置面2aに設けられており、接着部材4は、金属基板3と電極パッド23とを接着しており、接着部材8Aは、電極63と導電部30とを接着している。これにより、第1電極部13と入力部91とを、簡易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0084】
アクチュエータ装置1では、第2電極部14が、第1主面61aに配置された電極62を有している。これにより、駆動用圧電体61の第1主面61aに対して均一に駆動電圧を印加することができ、駆動効率の向上を図ることができる。
【0085】
アクチュエータ装置1は、ワイヤ11を備え、配線基板2は、接続部92と電気的に接続された電極パッド21を有し、電極パッド21は、配線基板2の載置面2aに設けられており、ワイヤ11は、電極62と電極パッド21とに掛け渡されている。これにより、第2電極部14と接続部92とを、簡易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0086】
アクチュエータ装置1では、電極62が、Z軸方向から見た場合に検知用圧電体71の外側に位置する領域621を含み、ワイヤ11が、領域621と電極パッド21とに掛け渡されている。これにより、駆動用圧電体61と検知用圧電体71との間に配置されている第2電極部14を、簡易な構成によって接続部92に電気的に接続することができる。
【0087】
アクチュエータ装置1は、第2電極部14が、第4主面71bに配置された電極73及び導電性を有する接着部材8Bを有し、接着部材8Bは、電極62と電極73とを接着している。これにより、駆動用圧電体61への所望の駆動信号S1の入力と、検知用圧電体71において発生した出力信号S2の高精度な検知とを簡易な構成で実現することができる。
【0088】
アクチュエータ装置1は、ワイヤ12を備え、第3電極部15は、第3主面71aに配置された電極72を有し、配線基板2は、出力部93と電気的に接続された電極パッド22を有し、電極パッド22は、配線基板2の載置面2aに設けられており、ワイヤ12は、電極72と電極パッド22とに掛け渡されている。これにより、第3電極部15と出力部93とを、簡易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0089】
アクチュエータ装置1では、第1電極部13と第2電極部14との間に配置された金属基板3側の圧電体が、駆動用圧電体61であり、第2電極部14と第3電極部15との間に配置された金属基板3とは反対側の圧電体が、検知用圧電体71であり、第1電極部13が、入力部91と電気的に接続されており、第3電極部15が、出力部93と電気的に接続されている。これにより、金属基板3に駆動用圧電体61の振動が適切に伝搬しやすくなるため、所望の駆動特性を得ることができる。
【0090】
アクチュエータシステム100では、駆動信号生成部20Aが、可動部32を共振動作させるための駆動信号S1を生成し、出力信号処理部20Bが、駆動信号S1の周波数及び振幅に関する情報に基づいて、出力信号S2に含まれると推定される推定静ひずみ信号S3を生成し、出力信号S2及び推定静ひずみ信号S3に基づいて、可動部32の共振信号S4を生成する。これにより、可動部32を共振させてアクチュエータ装置1を駆動させる場合において、出力信号S2から推定静ひずみ信号S3を減算することにより、可動部32の揺動角度及び位相に対応する共振信号S4を精度良く生成することができるため、可動部32の揺動角度及び位相を精度良く検知することができる。
[変形例]
【0091】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、第1電極部13は、金属基板3に設けられている電極部であればよく、例えば、駆動用圧電素子6が電極63を有しておらず、第1電極部13が接着部材8A及び導電部30によって構成されていてもよいし、また、例えば、導電部30のみによって構成されていてもよい。また、第2電極部14は、駆動用圧電体61上に設けられている電極部であればよく、例えば、検知用圧電素子7が電極73を有しておらず、第2電極部14が接着部材8B及び駆動用圧電素子6の電極62によって構成されてもよく、また、例えば、駆動用圧電素子6が電極62を有しておらず、第2電極部14が接着部材8B及び検知用圧電素子7の電極73によって構成されてもよい。また、例えば、第2電極部14は、電極62のみによって構成されてもよく、電極73のみによって構成されてもよい。
【0092】
配線基板2は、上記実施形態の形状に限定されず、例えば、開口に代えて、中央部分が載置面2aに対して金属基板3とは反対側に凹んだ凹部を有していてもよい。また、例えば、配線基板2は、開口に代えて、複数の柱部を有していてもよい。また、上記実施形態では、金属基板3を支持する配線基板2が例示されていたが、金属基板3は、例えば、単数又は複数の部材から構成される支持体に支持されていてもよい。また、電極パッド21、電極パッド22及び電極パッド23が支持体に設けられる位置も、上記実施形態の例に限定されない。例えば、電極パッド21は、支持体の表面のうち、金属基板3と向かい合う領域に位置していればよい。また、例えば、電極パッド22は、支持体の表面のうち、Z軸方向において金属基板3に対して電極62が配置された側の領域に位置していればよく、電極パッド23は、支持体の表面うち、Z軸方向において金属基板3に対して電極72が配置された側の領域に位置していればよい。
【0093】
駆動用圧電素子6と検知用圧電素子7とは、互いに逆の位置関係及び構成であってもよい。
図6及び
図7に示される例では、検知用圧電素子7が、導電部30の面30aに固定されており、駆動用圧電素子6が、検知用圧電素子7上に固定されている。検知用圧電素子7は、検知用圧電体(第1圧電体、他方の電極部側の圧電体)71と、電極(第2電極)72と、電極(第1電極)73と、を含んでいる。検知用圧電体71は、第3主面(第1主面)71a、第4主面(第2主面)71b及び側面71cを含んでいる。駆動用圧電素子6は、駆動用圧電体(第2圧電体、一方の電極部側の圧電体)61と、電極(第4電極)62と、電極(第3電極)63と、を含んでいる。駆動用圧電体61は、第1主面(第3主面)61a、第2主面(第4主面)61b及び側面61cを含んでいる。
【0094】
検知用圧電素子7は、金属基板3の主面31aの一部が検知用圧電体71の側面71cの外側に位置するように、導電部30の面30aに配置されている。これにより、主面31aの一部及び検知用圧電体71の側面71cによって隅部C1が形成されている。主面31aの一部は、主面31aのうち側面71cの外側の部分である。接着部材8Aの第1部分81は、導電部30の面30aと検知用圧電素子7との間に配置され、第2部分82は、第1部分81から連続し、隅部C1に配置されている。第2部分82は、検知用圧電体71の側面71c及び主面31aの一部に接触している。第2部分82の少なくとも一部は、検知用圧電体71の側面71cにおける電極72側の領域に至っている。また、第2部分82は、第3主面71aの外縁711に至っていない。
【0095】
駆動用圧電素子6は、電極72の表面72aの一部が駆動用圧電体61の側面61cの外側に位置するように、表面72aに配置されている。表面72aは、電極72における検知用圧電体71とは反対側の主面である。これにより、電極72の表面72aの一部及び駆動用圧電体61の側面61cによって隅部C2が形成されている。表面72aの一部は、表面72aのうち側面61cの外側の部分である。接着部材8Bの第3部分83は、電極72の表面72aと駆動用圧電素子6との間に配置された部分であって、第4部分84は、第3部分83から連続し、隅部C2に配置されている。第4部分84は、駆動用圧電体61の側面61c及び電極72の表面72aの一部に接触している。第4部分84の少なくとも一部は、駆動用圧電体61の側面61cにおける電極62側の領域に至っている。また、第4部分84は、第1主面61aの外縁611に至っていない。
【0096】
X軸方向における駆動用圧電体61の幅は、X軸方向における検知用圧電体71の幅よりも小さく、Y軸方向における駆動用圧電体61の幅は、Y軸方向における検知用圧電体71の幅よりも小さい。また、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の外縁61dは、検知用圧電体71の外縁71dよりも内側に位置している。
【0097】
図7に示されるように、第1電極部13は、金属基板3に設けられている。第1電極部13は、導電部30、接着部材8A及び検知用圧電素子7の電極73を有している。本変形例では、第1電極部13は、導電部30、接着部材8Aの少なくとも一部及び検知用圧電素子7の電極73によって構成されている。第1電極部13において、電極73と導電部30とは、接着部材8Aによって接着されている。第1電極部13上には、検知用圧電体71が配置されている。第2電極部14は、検知用圧電体71の第3主面71aに配置されている。第3主面71aは、第1電極部13とは反対側の主面であって、第4主面71bは、第1電極部13側の主面である。第2電極部14は、検知用圧電素子7の電極72、接着部材8B及び駆動用圧電素子6の電極63を有している。本変形例では、第2電極部14は、電極72、接着部材8Bの少なくとも一部及び電極63によって構成されている。第2電極部14において、電極72と電極63とは、接着部材8Bによって接着されている。第2電極部14上には、駆動用圧電体61が配置されている。第3電極部15は、駆動用圧電体61の第1主面61aに配置されている。第1主面61aは、第2電極部14とは反対側の主面であって、第2主面61bは、第2電極部14側の主面である。第3電極部15は、駆動用圧電素子6の電極62を有している。本変形例では、第3電極部15は、電極62によって構成されている。以上のように、第1電極部13と第2電極部14との間には検知用圧電体71が配置され、第2電極部14と第3電極部15との間には駆動用圧電体61が配置されている。
【0098】
第1電極部13は、金属基板3、接着部材4、電極パッド23、配線基板2の配線及び端子90aを介して、コネクタ9の出力部93と電気的に接続されている。第2電極部14は、電極72の表面72aのうち、領域721と電極パッド21とに掛け渡されたワイヤ11、電極パッド21、配線基板2の配線及び端子90bを介して、コネクタ9の接続部92と電気的に接続されている。
図6に示されるように、領域721は、電極72の表面72aのうち、Z軸方向から見た場合に駆動用圧電体61の外側に位置する領域である。第3電極部15は、ワイヤ12、電極パッド22、配線基板2の配線及び端子90cを介して、コネクタ9の入力部91と電気的に接続されている。本変形例によっても、金属基板3に対して同じ側において駆動用圧電体61及び検知用圧電体71が積層されているため、駆動用圧電体61と検知用圧電体71との相対的な位置関係にばらつきが生じにくくなるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、第2電極部14が、第2主面61bに配置された電極63を有している。これにより、駆動用圧電体61の第2主面61bに対して均一に駆動電圧を印加することができ、駆動効率の向上を図ることができる。
【0099】
上記実施形態では、光学機能部5が、ミラー面である光学面51を有していたが、光学機能部5は、例えば、反射型回折格子、透過型回折格子、光学フィルタ等であってもよい。また、アクチュエータ装置1は、配線基板2、金属基板3、第1電極部13、駆動用圧電体61、第2電極部14、検知用圧電体71、第3電極部15、入力部91、接続部92及び出力部93を備えていればよい。例えば、アクチュエータ装置1は、コネクタ9、ワイヤ11、ワイヤ12、接着部材8A及び接着部材8Bを備えていなくてもよい。アクチュエータ装置1がコネクタ9を備えていない場合、例えば、入力部91、接続部92及び出力部93のそれぞれは、配線基板2に直接設けられ、ワイヤ等を介して制御部20と接続されてもよい。また、上記実施形態では、第1連結部35が、第1延在部33を介して可動部32と本体部31とを連結していたが、第1連結部35は、可動部32と本体部31とを直接的に連結していてもよい。同様に、上記実施形態では、第2連結部36が、第2延在部34を介して可動部32と本体部31とを連結していたが、第2連結部36は、可動部32と本体部31とを直接的に連結していてもよい。また、金属基板3は、可動部32と、第1電極部13が設けられた本体部31と、可動部32と本体部31とを連結する連結部と、を有していればよい。例えば、金属基板3は、第1接続部37、第2接続部38及び第3接続部39を有しておらず、金属基板3の本体部31の一部分が、配線基板2の一部分と対向しており、本体部31の一部分と配線基板2の一部分とが接着部材4によって接着されていてもよい。
【0100】
また、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71は、Z軸方向から見た場合に、駆動用圧電体61の中心点と検知用圧電体71の中心点とが一致するように配置されていなくてもよい。また、駆動用圧電体61は、X軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って駆動用圧電体61の中心点を通る直線を軸としても線対称となるように配置されていなくてもよい。検知用圧電体71も、X軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としてもY軸方向に沿って検知用圧電体71の中心点を通る直線を軸としても線対称となるように配置されていなくてもよい。また、駆動用圧電体61及び検知用圧電体71のそれぞれの形状は、限定されるものではなく、例えば、線対称とならない形状であってもよい。その場合、例えば、制御部20においては、出力信号S2から推定静ひずみ信号S3を減算する処理の前に、出力信号S2の位相と推定静ひずみ信号S3の位相とを一致させる補正処理が行われてもよい。また、駆動用圧電体61に入力される駆動信号は、可動部を共振動作させるための信号でなくてもよい。
【0101】
制御部20の駆動信号生成部20A及び出力信号処理部20Bの構成は、上記実施形態に限られない。駆動信号生成部20Aは、駆動信号S1を生成すればよく、例えば生成部202のみによって構成されていてもよいし、また、例えば、制御部20が有する他の構成要素によって構成されていてもよい。出力信号処理部20Bは、駆動信号S1の周波数及び振幅に関する情報に基づいて、推定静ひずみ信号S3を生成し、出力信号S2及び推定静ひずみ信号S3に基づいて、共振信号S4を生成すればよく、例えば、差動アンプ205のみによって構成されていてもよいし、また、例えば、制御部20が有する他の構成要素によって構成されていてもよい。
【0102】
駆動用圧電体61は、可動部32を動作させるための圧電体であればよく、検知用圧電体71は、動作量を検知する圧電体であればよい。例えば、アクチュエータ装置1では、第1連結部35及び第2連結部36にねじれ振動(ねじれ共振)が誘起され、X軸周りに可動部32及び光学面51が揺動するモード(以下、「第1共振モード」という)に加えて、或いは第1共振モードに代えて、第2共振モードがあってもよい。第2共振モードは、周期的な板波の発生によって、第1連結部35及び第2連結部36がZ軸方向に沿って移動する(並進運動する)ことにより、可動部32及び光学面51がZ軸方向に沿って移動するモードである。第2共振モードでは、光学面51の変位量及び位相が検知されてもよく、出力信号S2は、可動部32及び光学面51の移動による変位量及び位相の変化に応じた電圧信号であってもよい。また、第2共振モードでは、共振信号S4は、可動部32の変位量及び位相に応じた電圧信号であってもよい。これにより、第2共振モードにおいても、可動部32の変位量及び位相に対応する共振信号を精度良く生成することができるため、可動部32の変位量及び位相を精度良く検知することができる。
【符号の説明】
【0103】
1…アクチュエータ装置、2…配線基板(支持体)、2a…載置面、3…金属基板、4…接着部材(第1接着部材)、8A…接着部材(第2接着部材)、8B…接着部材(第3接着部材)、9…コネクタ、11…ワイヤ(第1ワイヤ)、12…ワイヤ(第2ワイヤ)、13…第1電極部、14…第2電極部、15…第3電極部、20…制御部(アクチュエータ装置1の外部)、20A…駆動信号生成部、20B…出力信号処理部、21…電極パッド(第2電極パッド)、22…電極パッド(第3電極パッド)、23…電極パッド(第1電極パッド)、30…導電部、30a…面、31…本体部、31a…主面、32…可動部、35…第1連結部(連結部)、36…第2連結部(連結部)、61…駆動用圧電体(第1圧電体、第2圧電体)、61a…第1主面(第3主面)、61b…第2主面(第4主面)、61d,62c,71d,72c…外縁、62,72…電極(第2電極、第4電極)、62a,72a…表面、63,73…電極(第1電極,第3電極)、71…検知用圧電体(第1圧電体、第2圧電体)、71a…第3主面(第1主面)、71b…第4主面(第2主面)、91…入力部、92…接続部、93…出力部、100…アクチュエータシステム、621,721…領域、S1…駆動信号、S2…出力信号、S3…推定静ひずみ信号、S4…共振信号。