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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176036
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】飛沫遮断装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20221117BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F24F9/00 A
F24F7/007 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168782
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2021081501の分割
【原出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】521206202
【氏名又は名称】池田 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】池田 真二
(57)【要約】
【課題】排気部と吸気部との位置ずれを抑制可能な飛沫遮断装置を提供する。
【解決手段】空気を排出する排気部28,29と、排気部28,29から排出される空気の少なくとも一部を吸い込む吸気部24と、を有し、排気部28,29から排出される空気により、排気部28,29と吸気部24との間にエアカーテンE1,E2を形成する飛沫遮断装置10であって、吸気部24により吸い込まれた空気を排気部28,29へ送る通気路45と、通気路45で空気の流れを形成する空気輸送部と、吸気部24により吸い込まれる空気に含まれる飛沫を除去するフィルタ30と、排気部28,29から吸気部24に向けて空気が流れる第1方向D1に対して垂直な平面視で、排気部28,29と吸気部24とを互いに位置決めする支柱31と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を排出する排気部と、前記排気部から排出される空気の少なくとも一部を吸い込む吸気部と、を有し、前記排気部から排出される空気により、前記排気部と前記吸気部との間にエアカーテンを形成する飛沫遮断装置であって、
前記吸気部により吸い込まれた空気を前記排気部へ送る経路と、
前記経路で空気の流れを形成する空気輸送部と、
前記吸気部により吸い込まれる空気に含まれる飛沫を除去するフィルタと、
前記排気部から前記吸気部に向けて空気が流れる所定方向に対して垂直な平面視で、前記排気部と前記吸気部とを互いに位置決めする位置決め部と、
を有する飛沫遮断装置。
【請求項2】
請求項1記載の飛沫遮断装置において、
前記位置決め部は、前記排気部と前記吸気部とを接続し、かつ、鉛直方向に沿って配置され、かつ、互いに平行に設けられる複数の支柱を有し、
前記鉛直方向で前記排気部よりも下に前記吸気部が設けられ、
前記空気輸送部は、前記経路に設けられている、飛沫遮断装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の飛沫遮断装置において、
人により操作されて前記空気輸送部の駆動及び停止を切り替える操作部が、更に設けられている、飛沫遮断装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の飛沫遮断装置において、
前記エアカーテンにより仕切られる複数の空間に共に人が居るか居ないかを検出する人検出センサと、
前記空気輸送部の駆動及び停止を制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記複数の空間に共に人が居る場合は前記空気輸送部を駆動させる制御と、
前記複数の空間の少なくとも一方に人が居ない場合は前記空気輸送部を停止させる制御と、
を行う、飛沫遮断装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の飛沫遮断装置において、
前記エアカーテンにより仕切られる複数の空間に共に人が居るか居ないかを検出する人検出センサと、
前記排気部及び前記吸気部が設けられる室内の二酸化炭素の濃度を検出する濃度センサと、
前記経路と前記排気部とを接続し、かつ、前記経路と室外とを遮断する第1モードと、前記経路と前記室外とを接続し、かつ、前記経路と前記排気部とを遮断する第2モードとを切り替え可能な切替バルブと、
前記切替バルブの前記第1モードと前記第2モードとを切り替える制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記複数の空間に共に人が居る場合は、前記濃度センサにより検出される二酸化炭素の濃度に関わりなく前記切替バルブを前記第1モードにする制御と、
前記複数の空間の少なくとも一方に人が居らず、かつ、前記濃度センサにより検出される二酸化炭素の濃度が所定値を超えると前記切替バルブを前記第2モードにする制御と、
を行う、飛沫遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間同士の間にエアカーテンを形成することにより、空間同士間で飛沫が行き来することを抑制する飛沫遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間同士の間にエアカーテンを形成することにより、空間同士間で飛沫が行き来することを抑制する飛沫遮断装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている飛沫遮断装置は、対面する人の間に直立して設置される第1柱状部材及び第2柱状部材と、第1柱状部材の内部に設けられた送風機及びフィルタと、第1柱状部材と第2柱状部材とを接続する送風管と、第1柱状部材に設けた送風口(排気部)と、第2柱状部材に設けた吸気口(吸気部)と、第1柱状部材及び第2柱状部材にそれぞれ設けられてテーブルに置かれる設置部材と、を有する。
【0003】
特許文献1に記載された飛沫遮断装置は、飛沫を含む空気が、送風機の作用により吸気口から吸い込まれ、かつ、送風管を通って第1柱状部材へ供給される。空気がフィルタを通過するときに飛沫物やほこり等が吸着される。フィルタにより清浄化された空気は、送風口から排出され、再度、吸気口へ吸い込まれる。こうして、第1柱状部材から第2柱状部材へ横方向に帯状の空気の流れが生じて、対面する両者の間にエアカーテンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-137588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている飛沫遮断装置において、排気部と吸気部とが位置ずれすると、エアカーテンが適切に形成されにくい、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、排気部と吸気部との位置ずれを抑制可能な、飛沫遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の飛沫遮断装置は、空気を排出する排気部と、前記排気部から排出される空気の少なくとも一部を吸い込む吸気部と、を有し、前記排気部から排出される空気により、前記排気部と前記吸気部との間にエアカーテンを形成する飛沫遮断装置であって、前記吸気部により吸い込まれた空気を前記排気部へ送る経路と、前記経路で空気の流れを形成する空気輸送部と、前記吸気部により吸い込まれる空気に含まれる飛沫を除去するフィルタと、前記排気部から前記吸気部に向けて空気が流れる所定方向に対して垂直な平面視で、前記排気部と前記吸気部とを互いに位置決めする位置決め部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、排気部と吸気部との位置ずれが抑制され、エアカーテンを適切に形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の飛沫遮断装置がテーブル上に設けられている側面図である。
図2】飛沫遮断装置の斜視図である。
図3図2の飛沫遮断装置をIII -III 線に沿って破断した側面断面図である。
図4図3の飛沫遮断装置をIV-IV線に沿って破断した平面断面図である。
図5図3の飛沫遮断装置をV-V線に沿って破断した正面断面図である。
図6】飛沫遮断装置の制御系統を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、飛沫遮断装置の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、飛沫遮断装置は、実施形態の内容に限定されない。本実施形態では、主として、第1空間と第2空間との間にエアカーテンを形成する飛沫遮断装置の例を説明する。各図において、同様の構成部分については同じ符号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0011】
図1図2図3図4及び図5に示すように、飛沫遮断装置10は、自宅、商業施設、店舗等において、テーブル11の上面12に設けられる。図1は、テーブル11が室内B1の床13に置かれている例を示す。なお、テーブル11は、屋外の地面等に置くことも可能である。2脚の椅子14,15が、テーブル11を隔てて配置されている。椅子14には人16が着座可能であり、椅子15には人17が着座可能である。飛沫遮断装置10は、テーブル11を隔てて対面する人16と人17との間で、相互に飛沫が行き来することを防止する装置である。飛沫とは、会話、咳、くしゃみ等により、人の口から飛び散る水滴を意味する。
【0012】
本実施形態では、図4のようにテーブル11を平面視すると、テーブル11の外周形状は、略四角形、例えば、長方形または正方形であるものとする。テーブル11は、互いに平行な2側縁18,19と、2側縁18,19に対して略90度の角度で交差する2側縁20,21を有する。2側縁20,21は、互いに平行である。本開示では、図4のようにテーブル11を平面視すると、人16と人17との間に、テーブル11の2側縁18、19が位置する。
【0013】
飛沫遮断装置10は、アーチ部22、ダクト部23、吸気部24、排気部28、送風機62、フィルタ30等を有する。アーチ部22は、2つの支柱31、32と、支柱31の下部に接続された脚部33,34と、支柱32の下部に接続された脚部35,36と、2つの支柱31,32の上部同士を接続する梁37と、を有する。4つの脚部33,34,35,36は、テーブル11の上面12にそれぞれ接触されて2つの支柱31,32を平行に支持し、かつ、2つの支柱31,32が、テーブル11の上面12から略垂直に立てられた状態に保持する。略垂直は、鉛直方向である。4つの脚部33,34,35,36がテーブル11の上面12に接触された状態で、梁37は、テーブル11の上面12と略平行に延ばされている。2つの支柱31,32は、2つの側縁18,19に沿った方向に間隔をおいて配置されている。
【0014】
支柱31と支柱32との間隔は、人16,17の胴体の幅以上、例えば、略80cm以上に設定されている。また、支柱31,32の下端から梁37の上端までの高さH1は、略80cm以上である。このため、梁37の上端は、人16,17の頭頂部付近に位置する。4つの脚部33,34,35,36、2つの支柱31,32、梁37は、例えば、合成樹脂製、または、金属製である。4つの脚部33,34,35,36、2つの支柱31,32、梁37は、全体が一体成形された構造、または、それぞれが別体で構成され、かつ、互いにねじ等で固定された構造の何れでもよい。
【0015】
図5のように、吸気部24は、支柱31の下端と支柱32の下端との間に位置し、かつ、テーブル11の上面12に沿って配置される。吸気部24は、合成樹脂製または金属製であり、吸気部24は、通気路38を有する。通気路38は、空気が通る経路である。通気路38は、溝、凹部、穴の何れでもよく、通気路38が溝または凹部である場合、通気路38は、吸気部24の上面に開口されている。通気路38が穴である場合、通気路38と吸気部24の上面とをつなぐ通路が吸気部24に設けられる。
【0016】
図3及び図5のように、フィルタ30は、吸気部24の上に設けられている。フィルタ30は、空気が通過可能であり、かつ、空気中に含まれる飛沫を捕捉する要素である。フィルタ30は、空気の流れ方向で、通気路38より上流に配置されており、フィルタ30を通過した空気が通気路38へ流れ込む。フィルタ30として例えば、不織布フィルタを用いることが可能である。また、フィルタ30は、抗菌層を有していてもよい。抗菌層は、コーティング層(薄膜)である。コーティング層は、抗菌、抗ウィルス、消臭、防汚等を発揮し、環境浄化作用を繰り返す機能を有する。コーティング物質としては、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)、酸化タングステンを用いることが可能である。このため、フィルタ30を通過する空気を浄化可能である。
【0017】
図3のように、吸気部24上にガイド部材39,40が設けられている。ガイド部材39,40は、排気部28,29から吸気部24に向けて流れる空気を、フィルタ30に向けてガイドする要素である。ガイド部材39,40は、合成樹脂製または金属製の何れでもよく、ガイド部材39はガイド面41を有し、ガイド部材40はガイド面42を有する。ガイド面41,42は、図示しない鉛直線に対して傾斜されている。ガイド面41,42は、吸気部24に近づくことに伴い、ガイド面41,42同士の間隔が狭くなる向きに、それぞれ傾斜されている。
【0018】
支柱32には通気路43が設けられている。通気路43は、通気路38に接続されている。フィルタ30を通過した空気は、通気路38から通気路43へ流れ込む。ダクト部26は、支柱32の側方に設けられている。ダクト部26は、支柱32に沿って設けられており、ダクト部26の下端はテーブル11の上面12に接触する。ダクト部26は、合成樹脂製または金属製であり、ダクト部26は、通気路44、具体的には穴を有する。通気路44は、通気路43につながっており、通気路43から通気路44へ空気が流れ込む。通気路44は、ダクト部26の下端から上端へ向けて略垂直に延ばされている。
【0019】
梁37は、合成樹脂製または金属製であり、図3のように、梁37は、通気路45、具体的には穴を有する。通気路45は、通気路44につながっており、通気路44から通気路45へ空気が流れ込む。飛沫遮断装置10を平面断面視した図4において、通気路45は、2つの側縁18,19と略平行に延ばされている。また、通気路45は、略水平に延ばされている。
【0020】
2つの排気部28,29は、梁37の両側に設けられている。2つの排気部28,29は、支柱31の上端から支柱32の上端に亘って略水平に設けられている。2つの排気部28,29は、同じ高さに設けられており、かつ、2つの排気部28,29は、通気路45と略同じ高さに設けられている。2つの排気部28,29は、共に合成樹脂製または金属製であり、排気部28は通気路46を有し、排気部29は通気路47を有する。梁37は、通気路45と通気路46とを接続する接続路48を有し、通気路45と通気路47とを接続する接続路49を有する。接続路48は、複数または単数の何れでもよく、接続路49は、複数または単数の何れでもよい。なお、図4は、接続路48が複数設けられ、かつ、接続路49が複数設けられている例を示す。
【0021】
さらに、排気部28は、通気路46につながる排出口50を有し、排気部29は、通気路47につながる排出口51を有する。排出口50,51は、吸気部24に向けて開口された穴である。排出口50は、排気部28の長手方向に沿って複数設けられている。排出口51は、排気部29の長手方向に沿って複数設けられている。排出口50,51から排出される空気は、空間A1を下向き、つまり、図2及び図3の第1方向D1で流れてエアカーテンE1,E2を形成する。飛沫遮断装置10は、2つの支柱31,32と、梁37と、排気部28,29と、吸気部24とにより囲まれた略四角形の空間A1を形成する。
【0022】
送風機62は、一例として通気路44内に設けられている。送風機62は、ファンまたはブロワの何れでもよい。送風機62は、電動モータによって運転されて空気を輸送する。送風機62が運転されると、空気が、フィルタ30、通気路38、通気路43を通って通気路44へ流れ込み、通気路44から通気路45へ流れ込んだ空気は、通気路46を経由して排出口50から排出され、通気路47を経由して排出口51から排出される。排出口50,51から排出された空気は、空間A1を第1方向D1で流れてエアカーテンE1,E2を形成し、かつ、フィルタ30を通過して通気路38へ流れ込む。
【0023】
図6は、飛沫遮断装置10の制御系統を示すブロック図である。送風機62と電源52との間の電気回路にスイッチ53が設けられている。電源52は、交流電源または直流電源の何れでもよい。直流電源は、二次電池または一次電池の何れでもよい。スイッチ53がオンされると、電源52の電力は送風機62の電動モータ54に供給され、送風機62が運転される。スイッチ53がオフされると、電源52の電力は電動モータ54に供給されず、送風機62は停止する。スイッチ53は、例えば、アーチ部22の外面またはダクト部23の外面に設けられている。
【0024】
また、着座センサ55が設けられていてもよい。着座センサ55は、例えば、アーチ部22、ダクト部23、2つの椅子14,15、または天井等に設けることが可能である。着座センサ55は、2つの椅子14,15にそれぞれ人16,17が着座しているか否かを検出して信号を出力する。着座センサ55としては、例えば、赤外線センサ、感圧センサ、温度センサ等を用いることが可能である。制御回路56が、アーチ部22またはダクト部23に設けられている。制御回路56は、入力ポート、出力ポート、記憶回路、タイマー及び中央演算処理装置等を有するマイクロコンピュータである。記憶回路には、送風機62を駆動及び停止させるための情報及びデータが、予め記憶されている。
【0025】
また、表示部57が、アーチ部22またはダクト部23に設けられている。表示部57は、例えば、液晶パネル、ランプ等により、送風機62の駆動及び停止を表示する。また、操作部58が設けられている。人が操作部58を操作することにより、送風機62の駆動及び停止を選択可能である。操作部58は、タッチパネル、ボタン等により構成されており、操作部58は、アーチ部22、ダクト部23の外面に設けられる。操作部58から出力される操作信号、着座センサ55の信号は、制御回路56に入力される。制御回路56は、入力される信号、及び記憶回路に記憶されている情報及びデータに基づいて、スイッチ53のオン及びオフを切り替える機能を有する。また、制御回路56は、表示部57の表示内容を制御する。
【0026】
次に、飛沫遮断装置10の使用例を説明する。操作部58から送風機62を停止させる信号が出力されていると、制御回路56は、スイッチ53をオフする。このため、送風機62は停止されている。操作部58から送風機62を駆動させる信号が出力されていると、制御回路56は、スイッチ53をオンする。電源52の電力で送風機62が運転されると、空間A1の空気は、フィルタ30を通過して通気路38へ吸い込まれる。通気路38へ吸い込まれた空気は、通気路43を通って通気路44へ流れ込み、さらに、通気路44を流れる空気は、図3に示す通気路45へ流れ込む。
【0027】
通気路45へ流れ込んだ空気の一部は、接続路48及び通気路46を通って排出口50から空間A1へ排出されて、図3に示すエアカーテンE1を形成する。また、通気路45へ流れ込んだ空気の一部は、接続路49及び通気路47を通って排出口51から空間A1へ排出されてエアカーテンE2を形成する。エアカーテンE1,E2は、人16が居る空間B2と、人17が居る空間B3とを仕切る。空間A1へ排出された空気は、フィルタ30を通過して通気路38へ吸い込まれる。このように、送風機62が駆動されて流れる空気は、空間A1、通気路38,43,44、通気路45,46,47を含む経路内で循環する。
【0028】
このため、椅子14に着座している人16と、椅子15に着座している人17とが対面して会話し、かつ、飛沫が発生した場合、飛沫を含む空気が空間A1に進入すると、空気がフィルタ30を通過する過程で飛沫がフィルタ30によって除去される。このため、空間B2と空間B3との間で、飛沫を含んだ空気が行き来することを抑制できる。このように、飛沫遮断装置10のフィルタ30は、空気に含まれる飛沫を捕捉できて衛生的であり、かつ、飛沫感染等を抑制することができる。
【0029】
また、空気を排出する排気部28,29と、空気を吸い込むフィルタ30及び吸気部24とが、アーチ部22によって第2方向D2及び第3方向D3で位置決めされている。第1方向D1に対して垂直な平面視である図4において、通気路45の配置方向に対して交差する方向、つまり、側縁18,19に沿った第2方向D2、及び側縁20,21に沿った第3方向D3において、排気部28,29と、フィルタ30及び吸気部24とが位置決めされている。さらに、図3に示す飛沫遮断装置10の側面断面視で、アーチ部22の高さ方向、つまり、第1方向D1において、排気部28,29と、フィルタ30及び吸気部24とが位置決めされている。したがって、排気部28,29から空間A1へ排出される空気を、フィルタ30及び通気路38へ確実に導くことができ、飛沫の捕捉性能が向上する。
【0030】
さらに、空間A1を流れる空気は、ガイド部材40,41のガイド面41,42に沿って流れ方向が規制されるため、飛沫を含んだ空気がフィルタ30を確実に通過する。したがって、飛沫の捕捉性能が向上する。なお、フィルタ30は、適宜、洗浄、交換等を行うことが可能である。
【0031】
[変更例1]
図5に示す通気路44内において、送風機62と通気路45との間に切替バルブ59が設けられていてもよい。切替バルブ59は、通気路44を、通気路45または排気路60に対して選択的に接続する機構である。排気路60は、ダクト部26に設けられた通路、または、ダクト部26とは別に設けられたパイプ、ホースの何れでもよい。排気路60は、例えば、室外に接続されている。さらに、排気路60に接続される接続管がテーブル11に設けられ、飛沫遮断装置10をテーブル11の上面12に置くと、排気路60と接続管とがつながるように構成されていてもよい。
【0032】
切替バルブ59としては、例えばソレノイドバルブを用いることが可能である。切替バルブ59は、図6に示す制御回路56により作動モードが切り替えられる。切替バルブ59が第1モードであると、通気路44は通気路45に接続され、かつ、通気路44と排気路60とが遮断される。切替バルブ59が第2モードであると、通気路44と排気路60とが接続され、かつ、通気路44と通気路45とが遮断される。さらに、人が操作部58を操作することにより、第1モードと第2モードとを切り替えることが可能に構成されている。なお、表示部57は、切替バルブ59が第1モードまたは第2モードの何れであるかを表示可能である。
【0033】
そして、椅子14に人16が着座し、かつ、椅子15に人17が着座する場合、人が操作部58を操作して第1モードを選択することができる。第1モードが選択され、かつ、送風機62が駆動されると、空間A1でエアカーテンE1,E2を形成した空気がフィルタ30を通過する過程で、飛沫が捕捉される。
【0034】
これに対して、椅子14または、椅子15の少なくとも一方に人が着座していない場合、操作部58を操作して第2モードを選択することができる。第2モードが選択され、かつ、送風機62が駆動されて、空間A1の空気がフィルタ30及び通気路38を通って通気路44へ流れ込むと、通気路44内の空気は、排気路60を通って室外へ排出される。したがって、室内B1の換気を行うことができる。このため、室内B1における空気中の二酸化炭素濃度が上昇することを抑制可能である。
【0035】
[変更例2]
さらに、制御回路56は、操作部58の操作によらず、着座センサ55の信号を処理することにより、切替バルブ59の第1モードと第2モードとを自動的に切り替えることも可能である。具体的に説明すると、制御回路56は、椅子14に人16が着座し、かつ、椅子15に人17が着座していることを検出すると、切替バルブ59を第1モードに制御する。これに対して、制御回路56が椅子14または、椅子15の少なくとも一方に人が着座していないことを検出すると、制御回路56は、切替バルブ59を第2モードに制御する。
【0036】
[変更例3]
また、図6に示すCO2センサ61が設けられていてもよい。CO2センサ61は、室内B1における空気中の二酸化炭素濃度を検出して信号を出力する。CO2センサ61は、例えば、光学式、電気化学式、半導体式の何れでもよい。CO2センサ61は、アーチ部22、ダクト部26、室内B1の天井、壁、柱、テーブル11の何れに設けられていてもよい。
【0037】
そして、制御回路56は、着座センサ55の信号及びCO2センサ61の信号に基づいて、送風機62の駆動及び停止、切替バルブ59の作動モードを制御することができる。制御回路56は、椅子14に人16が着座し、かつ、椅子15に人17が着座していると、CO2センサ61より検出される空気中の二酸化炭素の濃度に関わりなく、送風機62を運転させ、かつ、切替バルブ59を第1モードに制御することができる。
【0038】
また、制御回路56は、椅子14または、椅子15の少なくとも一方に人が着座していないことを検出し、かつ、CO2センサ61より検出される空気中の二酸化炭素濃度が所定値以下である場合、送風機62を停止させる。建築基準法では、空気中の二酸化炭素の濃度を1,000ppm以下に抑えるよう定められているため、制御回路56は、所定値800ppmを記憶回路に予め記憶している。なお、送風機62が停止されているため、切替バルブ59のモードは何れでもよい。
【0039】
また、制御回路56は、椅子14または、椅子15の少なくとも一方に人が着座していないことを検出し、かつ、CO2センサ61より検出される空気中の二酸化炭素の濃度が所定値を超えている場合、送風機62を運転させ、かつ、切替バルブ59を第2モードに制御することができる。したがって、室内B1の換気を行うことで、空気中の二酸化炭素の濃度が上昇することを抑制可能である。
【0040】
本実施形態で説明された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。飛沫遮断装置10は、飛沫遮断装置の一例である。排気部28,29は、排気部の一例である。吸気部24は、吸気部の一例である。排気部は、単数または複数の何れでもよい。吸気部は、単数または複数の何れでもよい。通気路38,43,44,45は、経路の一例である。経路は、穴、開口部、溝、通路等を含む。送風機62及び電動モータ54は、空気輸送部の一例である。
【0041】
フィルタ30は、フィルタの一例である。アーチ部22は、位置決め部の一例である。位置決め部は、フレーム、ブラケット、アーム等により構成されていてもよい。支柱31,32は、支柱の一例である。操作部58は、操作部の一例である。着座センサ55は、人検出センサの一例である。制御回路56は、制御回路の一例である。CO2センサ61は、濃度センサの一例である。切替バルブ59は、切替バルブの一例である。図4は、第1方向に対して垂直な平面視の一例である。第1方向D1は、所定方向の一例である。空間B2,B3は、複数の空間の一例である。
【0042】
本実施形態で説明した飛沫遮断装置は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、飛沫遮断装置は、テーブルに対して固定される構造、または、飛沫遮断装置をテーブルに置いたりテーブルから取り除いたりできる構造の何れでもよい。また、空気の流れを形成する空気輸送部は、送風機に代えて圧縮機を用いることも可能である。また、送風機及び圧縮機の両方を用いることも可能である。また、空気輸送部は、ベース部、ダクト部、梁部のうち、少なくとも1箇所に設けることが可能である。
【0043】
さらに、飛沫遮断装置は、3人以上の人間の間で、飛沫を含んだ空気が流れることを遮断するように構成されていてもよい。例えば、エアカーテンを形成して3つの空間を仕切る飛沫遮断装置の場合、図4に示すような飛沫遮断装置の平面視で、アーチ部及び2つの排気部が、略120度間隔でY字形状に3組配置される。また、エアカーテンを形成して4つの空間を仕切る飛沫遮断装置の場合、図4に示すような飛沫遮断装置の平面視で、アーチ部及び2つの排気部が、略90度間隔で十字形状に4組配置される。なお、本開示の飛沫遮断装置は、エアカーテンにより空気の流れを遮断することに加え、合成樹脂製のパネルを併用することも可能である。
【0044】
さらに、飛沫遮断装置が店舗の室内に設けられる場合、操作部を操作することにより、店舗の店員を呼ぶこと、店舗で提供する商品を選択すること等ができるように、操作部が構成されていてもよい。また、操作部がスイッチの機能を兼備していてもよい。操作部と表示部とが別々に設けられることなく、液晶パネル、タッチパネル等により、操作部及び表示部が統合されていてもよい。さらに、携帯型端末、例えば、タブレット端末、スマートホンがCO2を検出するする機能を備えている場合、携帯型端末で検出されたCO2濃度の情報を制御回路が受信できるように構成されていてもよい。さらに、操作部、表示部及び制御回路は、携帯型端末に設けられていてもよい。さらに、アーチ部、ダクト部の表面には、抗菌処理、抗ウィルス処理が施されている。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示の飛沫遮断装置は、店舗、自宅等のように、複数の人同士の間で飛沫を含んだ空気の流れを遮断することに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10…飛沫遮断装置、22…アーチ部、24…吸気部、28,29…排気部、30…フィルタ、31,32…支柱、38,43,44,45…通気路、54…電動モータ、55…着座センサ、56…制御回路、58…操作部、59…切替バルブ、61…CO2センサ、62…送風機、D1…第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6