(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176048
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】オゾン発生機能付き照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20221117BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20221117BHJP
F21V 13/10 20060101ALI20221117BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20221117BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F21V33/00 470
F21V7/28 250
F21V7/28 210
F21V13/10
A61L9/015
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021201225
(22)【出願日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2021105219
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000221432
【氏名又は名称】東西電工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和広
(72)【発明者】
【氏名】黒田 智士
【テーマコード(参考)】
3K014
4C180
【Fターム(参考)】
3K014RB03
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA08
4C180CA10
4C180DD03
4C180EA17X
4C180HH17
4C180HH19
4C180LL04
4C180MM10
(57)【要約】
【課題】 室内におけるウイルス対策として、オゾンガスを利用した空気清浄機が実用化されている。オゾンガスは室内に存在する各種障害物により室内全域に一様に分散されない。空気清浄機の設置スペ-スの確の問題などがある。
【解決手段】 照明装置にオゾンガス発生機能を付帯すことで、室内の障害物の影響を受けにくくし、除菌、脱臭が容易に行える。また、照明装置はほぼ全ての部屋に設置されており、新たに設置スペ-スの確保が不要である。健康に適した快適な居住空間の提供が可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ランプ3-1と紫外線ランプ制御装置3-2からなる紫外線発生装置部3と照明部2を有するオゾン発生機能付き照明装置。
【請求項2】
室内4に紫外線を放出するための紫外線照射口5と紫外線量と紫外線照射方向の調整を主目的とする遮光壁7及び光反射部6を有することを特徴とする請求項1記載のオゾン発生機能付き照明装置。
【請求項3】
遮光壁7と光反射部6の一部または全てに黒アルマイト処理を施したアルミ板とすることを特徴とする請求項2記載のオゾン発生機能付き照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
健康志向の高まりは照明器具へも広がっており、様々な効能を付加された照明装置の研究が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
健康志向の向上の一つとして室内の浮遊ウイルスの殺菌及び不活性化が注目されている。光だけでこれらの効果を得るためには人体への悪影響を及ぼすほどの紫外線量が必要となる。そのため、空間除菌を行う為には空気清浄機や除菌装置を設置する必要がある。これらは、部屋ごとに設置する必要があるため導入コスト、設置スペ-スが問題となる。また定期的な材料補給やメンテナンスを必要とするものが多くランニングコストが課題となるとともに、室内の障害物の有無により室内全域において有効な効果を得られない場合がある。
【0004】
ウイルス対策機器には、オゾンや次亜塩素酸などが用いられる場合が多く床面近傍など室内の低所で使用される場合が多い。室内を満遍なく空間除菌するために、機器の適応空間容積に比例してオゾンや次亜塩素酸の発生量が増加するため機器近傍の濃度が高くなってしまう。人体への許容濃度などは定義されているが、子供や乳幼児、ペットに対する個々の研究成果は無く慎重に使用する必要がある。
【0005】
空気清浄機や除菌装置は電動式ファンが内蔵されている。これは、床面近傍に設置されること多く室内の隅々までオゾンや次亜塩素酸を運ぶためには風量が必要となるためである。部屋が大きくなると必要風量が増加し装置の音が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するため、紫外線ランプ3-1と紫外線ランプ制御装置3-2からなる紫外線発生装置部3とLED照明部2を有するオゾン発生機能付き照明装置を提案する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、室内に設置された家具などの障害物に関係なく室内全域への対応が可能となる。また、オゾンの発生源を天井付近にすることで、床面近傍のオゾン濃度が高くなることを防ぎ居住者の健康を害する危険性を無くすことが可能となる。照明装置はほぼ全ての部屋に設置されており、空気清浄機や除菌装置を設置する必要が無くなり空間の有効利用が可能となる。寝室や、会議室においては電動式ファンによる騒音が無くなりストレスの少ない空間を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施例を示すオゾン発生機能を付加した照明装置である。
【0010】
照明装置1は照明部2と紫外線発生装置部3から構成さる。紫外線発生装置部3は紫外線ランプ3-1と紫外線ランプ制御装置3-2により構成される。
【0011】
本実施形態における紫外線ランプ3-1は、185nmと253.7nmの波長を有する。もしくは185nmの波長のみを有するものとする。
【0012】
照明装置は通常天井面に設置されており、オゾンガスは空気よりも比重が重く、本形態とすることでオゾンガスを効率よく室内に拡散することができる。オゾンガスは非常に強い酸化力を有しており、室内の除菌、消臭が可能である。
【0013】
図2示すように紫外線発生装置部3により発生させた紫外線を照明装置1の表面に設けた紫外線照射口5より室内4に放出させることにより、室内4においてオゾンガスを生成する。紫外線ランプ制御装置3-2及び紫外線ランプ3-1と紫外線照射口5の間に設けられた光反射部6により紫外線照射口5から室内4に放出される紫外線量を制御することでオゾンの生成量を制御する。紫外線照射口5の外部に遮光壁7を設けることで室内4に放出される紫外線の照射方向と紫外線量の制御を行い、器具から照射される紫外線を人体へ無害なレベルとする。
【0014】
本実施形態の一例として、床面積18.7m
2、天井高2.4m、空間容積45m
3の部屋において、室内のオゾン濃度を0.05ppmとする場合を考える。室内の照度を考え照明装置を2台設置するものとする。照明装置は
図2に示す器具形態とし、使用する紫外線ランプ3-1は、185nmと253.7nmにおける各紫外線強度の公称値が30cmの距離において253.7nmは32μW/cm
2、185nmは0.47μW/cm
2であるランプを用いる場合を考える。紫外線による放射障害に係る放射量の導出は波長ごとに定められた作用関数により重みづけされた放射量の総和により求められる。185nmの作用関数は0.015、253.7nmの作用関数は0.50であるためこの紫外線ランプの30cmの距離における実効照度は約16μW/cm
2となる。紫外線ランプ3-1を照明装置内に配置し紫外線照射口の開口面積を50%とする。紫外線照射口に隣接して取り付けられた黒アルマイト製の遮光壁7で少なくとも2回反射させ、照明装置から水平方向に室内4に照射させる。黒アルマイトの紫外線反射率を10%とすると室内に照射される紫外線の実効照度は紫外線ランプから30cmの距離において約0.08μW/cm
2となる。一般的に人体に影響を与えないとされる紫外線被ばく量と被ばく時間の関係を
図3に示す。これは米国労働衛生専門官会議で定められた安全規格値からの引用である。また、本紫外線ランプの減衰特性の実測値と測定条件を
図4に示す。
図3、
図4より本実施例で設計された照明装置による紫外線暴露による人体への心配は無いと言える。この条件における室内のオゾン濃度を測定した結果を
図5に示す。
オゾン濃度の測定は部屋を閉め切った状態でオゾン濃度が安定した状態での測定結果である。これより、本発明の形態で人体への影響なく室内にオゾンガスを効率よく拡散させることができると言える。
【0015】
任意の室内容積に対しては、室内に設置される照明装置の一部へオゾン発生機能を付加する、もしくは照明器具1台あたりのオゾン発生量を制御することで対応できる。