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特開2022-176077情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176077
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20221117BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01B11/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035837
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2021080846の分割
【原出願日】2021-05-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 複数の鉄筋に関する情報を出力するためのシステムを村本建設株式会社に納品した。(販売日:令和3年3月26日)
(71)【出願人】
【識別番号】509042518
【氏名又は名称】エコモット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】大山 一勢
(72)【発明者】
【氏名】張 朝程
(72)【発明者】
【氏名】板谷 紀史子
(72)【発明者】
【氏名】高木 和浩
(72)【発明者】
【氏名】澤田 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】勝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】細川 博之
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA04
2F065AA21
2F065BB06
2F065CC14
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM11
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065SS02
2F065SS03
(57)【要約】
【課題】ユーザが、鉄筋を含む構造物の実際の状態と、鉄筋に関する計算上の数値とを関連付けて容易に把握できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る情報処理装置1は、端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像と、端末が測定した対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データと、を取得する取得部121と、点群データに基づいて、対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定する特定部124と、点群データに基づいて、複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する算出部125と、撮像画像に重畳して複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、間隔を示す情報を表示装置に表示させる表示制御部122と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像と、前記端末が測定した前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データと、を取得する取得部と、
前記撮像画像に重畳して、前記端末から前記対象範囲の奥行き方向に沿って所定距離だけ離れた位置を基準として所定範囲に前記点群データがあるか否かに対応する表示態様のマークを、前記端末の表示装置に表示させる表示制御部と、
前記表示装置が前記マークを表示した後に、前記端末において鉄筋の間隔を算出するための操作が行われた場合に、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定する特定部と、
前記点群データに基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する算出部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を前記表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として垂直方向の所定範囲に前記点群データがある場合に縦筋があると判定し、前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として水平方向の所定範囲に前記点群データがある場合に横筋があると判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記縦筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で垂直方向の領域の表示態様を異ならせるとともに、前記横筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で水平方向の領域の表示態様を異ならせる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記縦筋又は前記横筋の少なくとも一方がある場合と、前記縦筋及び前記横筋がない場合と、で異なる前記マークを前記表示装置に表示させる、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記縦筋又は前記横筋の少なくとも一方があるか否かの判定結果に応じて、前記鉄筋の間隔を算出するための操作を受け付けるか否かを切り替える、
請求項2から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記端末から前記奥行き方向に沿って前記所定距離だけ離れた位置を含む、前記対象範囲の前記奥行き方向に沿った所定の長さの範囲を設定領域として設定する設定部をさらに有し、
前記特定部は、前記点群データのうち、前記設定領域に含まれる前記点群データを用いて、前記対象範囲における前記複数の鉄筋に対応する領域を特定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記複数の鉄筋に対応する領域のうち、前記端末のユーザにより指定された計測対象として不要な領域を示す情報を取得し、
前記表示制御部は、前記複数の鉄筋に対応する領域のうち、前記不要な領域を、前記表示装置に表示させない、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記端末のユーザにより指定された、前記複数の鉄筋に対応する設計図を取得し、
前記表示制御部は、前記複数の鉄筋に対応する領域及び前記間隔を示す情報とともに、前記設計図を前記表示装置に表示させる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
プロセッサが実行する、
端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得するステップと、
前記端末が前記対象範囲の少なくとも一部に対してレーザを照射することによって生成された、前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データを取得するステップと、
前記撮像画像に重畳して、前記端末から前記対象範囲の奥行き方向に沿って所定距離だけ離れた位置を基準として所定範囲に前記点群データがあるか否かに対応する表示態様のマークを、前記端末の表示装置に表示させる表示制御部と、
前記表示装置が前記マークを表示した後に、前記端末において鉄筋の間隔を算出するための操作が行われた場合に、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定するステップと、
前記複数の鉄筋に対応する領域の位置に基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出するステップと、
前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項10】
プロセッサに、
端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得するステップと、
前記端末が前記対象範囲の少なくとも一部に対してレーザを照射することによって生成された、前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データを取得するステップと、
前記撮像画像に重畳して、前記端末から前記対象範囲の奥行き方向に沿って所定距離だけ離れた位置を基準として所定範囲に前記点群データがあるか否かに対応する表示態様のマークを、前記端末の表示装置に表示させる表示制御部と、
前記表示装置が前記マークを表示した後に、前記端末において鉄筋の間隔を算出するための操作が行われた場合に、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定するステップと、
前記複数の鉄筋に対応する領域の位置に基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出するステップと、
前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させるステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像画像に基づいて複数の鉄筋に関する情報を出力するための情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザスキャナを用いて鉄筋構造物にレーザービームを照射することによって3次元点群データを取得し、取得した3次元点群データに基づいて鉄筋構造物の配筋モデルを構成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-9546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、建築中の建物等の大きな構造物において、当該構造物の部分ごとに鉄筋の間隔を検査する場合がある。特許文献1に記載の方法は、3次元点群データから算出された鉄筋のモデル全体を表す画像をユーザに対して提示する。そのため、特許文献1に記載の方法において、ユーザは、構造物の部分ごとに、実際の状態と、鉄筋の間隔等の計算上の数値とを関連付けて検査することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが、鉄筋を含む構造物の実際の状態と、鉄筋に関する計算上の数値とを関連付けて容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像と、前記端末が測定した前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データと、を取得する取得部と、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定する特定部と、前記点群データに基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する算出部と、前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記対象範囲の奥行き方向に沿った設定領域を設定する設定部をさらに有し、前記特定部は、前記点群データのうち、前記設定領域に含まれる前記点群データを用いて、前記複数の鉄筋に対応する領域を特定してもよい。
【0008】
前記取得部は、前記端末のユーザにより指定された前記奥行き方向に沿った計測距離を取得し、前記設定部は、前記計測距離に基づいて前記設定領域を設定してもよい。
【0009】
前記設定部は、前記端末から前記奥行き方向に沿って前記計測距離だけ離れた位置を含む、前記対象範囲の奥行き方向に沿った所定の長さの範囲を前記設定領域として設定してもよい。
【0010】
前記取得部は、前記計測距離に加えて、前記端末のユーザにより指定された指定間隔を取得し、前記表示制御部は、前記撮像画像に重畳して、前記計測距離における前記指定間隔で配置された複数の仮想的な鉄筋に対応する領域を、前記表示装置に表示させてもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記撮像画像に重畳して、前記撮像画像において前記端末から前記奥行き方向に沿って前記計測距離だけ離れた位置を含む所定範囲の領域を、前記表示装置に表示させてもよい。
【0012】
前記取得部は、前記端末のユーザにより指定された前記複数の鉄筋の向きを取得し、前記設定部は、前記向きに基づいて、前記設定領域を設定してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記複数の鉄筋に対応する領域のうち、前記端末のユーザにより指定された計測対象として不要な領域を示す情報を取得し、前記表示制御部は、前記複数の鉄筋に対応する領域のうち、前記不要な領域を、前記表示装置に表示させなくてもよい。
【0014】
前記算出部は、複数の前記間隔の平均値を平均間隔として算出し、前記表示制御部は、前記平均間隔を、前記表示装置に表示させてもよい。
【0015】
前記表示制御部は、前記平均間隔と、複数の前記間隔のうち最大間隔及び最小間隔とを、前記表示装置に表示させてもよい。
【0016】
前記表示制御部は、前記平均間隔と、前記複数の鉄筋の本数と、を関連付けて前記表示装置に表示させてもよい。
【0017】
前記取得部は、前記端末のユーザにより指定された、前記複数の鉄筋に対応する設計図を取得し、前記表示制御部は、前記複数の鉄筋に対応する領域及び前記間隔を示す情報とともに、前記設計図を前記表示装置に表示させてもよい。
【0018】
前記取得部は、前記設計図に記載された設計間隔を取得し、前記表示制御部は、前記間隔と前記設計間隔とを比較した結果を示す情報を、前記表示装置に表示させてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得するステップと、前記端末が前記対象範囲の少なくとも一部に対してレーザを照射することによって生成された、前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データを取得するステップと、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定するステップと、前記複数の鉄筋に対応する領域の位置に基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出するステップと、前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させるステップと、を有する。
【0020】
本発明の第3の態様のプログラムは、プロセッサに、端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得するステップと、前記端末が前記対象範囲の少なくとも一部に対してレーザを照射することによって生成された、前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データを取得するステップと、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定するステップと、前記複数の鉄筋に対応する領域の位置に基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出するステップと、前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザが、鉄筋を含む構造物の実際の状態と、鉄筋に関する計算上の数値とを関連付けて容易に把握できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図3】情報端末の表示装置が表示する設定画面の模式図である。
図4】情報端末の表示装置が表示する計測画面の模式図である。
図5】設定部が設定領域を設定する方法を説明するための模式図である。
図6】算出部が隣り合う2つの鉄筋領域の組を選択する方法を説明するための模式図である。
図7】算出部が2つの鉄筋領域の間隔を算出する方法を説明するための模式図である。
図8】情報端末の表示装置が表示する計測結果画面の模式図である。
図9】情報端末の表示装置が表示する計測結果画面の模式図である。
図10】情報端末の表示装置が表示する計測結果画面の模式図である。
図11】実施形態に係る情報処理装置が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。
図12】変形例において、情報端末の表示装置が表示する計測画面の模式図である。
図13】変形例において、情報端末の表示装置が表示する計測画面の模式図である。
図14】点群データに基づいて鉄筋の位置を検出できない場合の計測画面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの模式図である。情報処理システムは、情報処理装置1と、情報端末2と、を含む。情報処理システムは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0024】
情報処理装置1は、複数の鉄筋を含む構造物に対して測定したデータに基づいて、複数の鉄筋の間隔を算出して出力するコンピュータである。情報処理装置1は、単一の装置、又は複数の装置である。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。
【0025】
情報端末2は、ユーザが使用するコンピュータである。情報端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。ユーザは、例えば、複数の鉄筋を含む構造物を検査する人間である。情報端末2は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示装置と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作装置と、撮像をして撮像画像を生成する撮像装置と、情報端末2を向けた向きにある物体の3次元の位置を測定する測定装置と、を有する。
【0026】
撮像装置は、例えば、カメラである。測定装置は、例えば、レーザ光を物体に照射し、反射光を検出することによって、物体の3次元の位置を測定するLIDAR(Light Detection and Ranging)である。測定装置は、ここに示した具体的な構成に限定されない。測定装置は、例えば、超音波等を物体に照射することによって物体の位置を測定するセンサ、又は2つのカメラの視差によって物体の位置を測定するステレオカメラであってもよい。情報端末2は、通信によって情報処理装置1との間で情報を送受信する。
【0027】
また、情報端末2は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理のうち少なくとも一部を実行してもよい。この場合に、情報端末2は、本実施形態に係る情報処理装置1として機能する。
【0028】
本実施形態に係る情報処理システムが実行する処理の概要を以下に説明する。ユーザは、情報端末2の撮像装置を用いて、検査対象の構造物を含む対象範囲を撮像する。検査対象の構造物は、複数の鉄筋を含む構造物の一部であり、例えば、建築中の建物等における壁、柱、床等である。情報処理装置1は、情報端末2が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得する。
【0029】
また、ユーザは、情報端末2の測定装置を用いて、対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を測定する。物体の3次元の位置は、物体の表面における複数の点それぞれの3次元の位置を示す点群データとして表される。情報処理装置1は、情報端末2が対象範囲を測定することによって得られた点群データを取得する。
【0030】
情報処理装置1は、点群データに基づいて、対象範囲における複数の鉄筋に対応する鉄筋領域を特定する。さらに、情報処理装置1は、点群データに基づいて特定された鉄筋領域の位置に基づいて、複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する。
【0031】
情報処理装置1は、撮像画像に重畳して複数の鉄筋に対応する鉄筋領域を情報端末2の表示装置に表示させるとともに、算出した間隔を示す情報を情報端末2の表示装置に表示させる。
【0032】
このような構成により、情報処理装置1は、鉄筋を含む構造物の実際の撮像画像と、測定データから算出された鉄筋の位置及び間隔との両方を、表示装置に表示させる。これにより、情報処理装置1は、鉄筋を含む構造物の実際の状態と、鉄筋に関する計算上の数値とを関連付けてユーザに把握させることができる。
【0033】
[情報処理システムの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0034】
情報処理装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部11は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0035】
制御部12は、取得部121と、表示制御部122と、設定部123と、特定部124と、算出部125と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、表示制御部122、設定部123、特定部124及び算出部125として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0036】
情報処理システムSが本実施形態に係る処理を実行するための構成を以下に説明する。取得部121は、情報端末2から、情報端末2のユーザによって指定された、計測対象の構造物に関する構造物情報を取得する。構造物情報は、例えば、構造物の名称と、構造物の中で計測対象とする部分を示す情報と、を含む。
【0037】
図3は、情報端末2の表示装置が表示する、構造物情報を指定するための設定画面Aの模式図である。設定画面Aは、構造物情報を指定するための指定欄A1と、ボタンA2と、を含む。ユーザは、情報端末2の操作装置を操作することによって、指定欄A1において、構造物の名称と、構造物の中で計測対象とする部分を示す情報(場所、部位、種類等)と、を含む構造物情報を指定した後、ボタンA2を選択する。情報端末2は、ボタンA2が選択された場合に、指定された構造物情報を情報処理装置1に送信する。
【0038】
情報処理装置1において、取得部121は、情報端末2が送信した構造物情報を取得する。取得部121は、取得した構造物情報を、情報端末2のユーザを識別するためのユーザ識別情報と関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0039】
取得部121は、構造物情報を取得した後、情報端末2が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得する。ユーザは、情報端末2の撮像装置を対象範囲に向けて撮像を行う。対象範囲は、例えば、構造物情報において指定された構造物の部分に対応しており、構造物の中で複数の鉄筋が配置された範囲である。
【0040】
取得部121は、例えば、情報端末2が所定の時間間隔(0.1秒毎等)で定期的に撮像した撮像画像を繰り返し取得する。表示制御部122は、取得部121が取得した撮像画像を含む計測画面Bを、情報端末2の表示装置に表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する。表示制御部122は、取得部121が撮像画像を取得する度に、計測画面Bが含む撮像画像を更新する。情報端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、計測画面Bを表示装置に表示する。
【0041】
図4は、情報端末2の表示装置が表示する、計測の状況を表示するための計測画面Bの模式図である。計測画面Bは、対象範囲の撮像画像B1と、計測条件を指定するための計測条件欄B2と、鉄筋の向きを選択するための向き選択欄B3と、ボタンB4と、を含む。計測条件は、例えば、情報端末2から構造物までの計測距離と、鉄筋の指定間隔と、を含む。計測距離は、例えば、情報端末2から撮像画像の奥行き方向に沿って離れる向きの距離である。また、計測距離は、情報端末2の撮像装置のレンズの光軸方向に沿った距離、又は情報端末2の測定装置がレーザ光を照射する方向に沿った距離であってもよい。
【0042】
指定間隔は、例えば、縦筋(すなわち、垂直方向の鉄筋)の間隔、及び横筋(すなわち、水平方向の鉄筋)の間隔である。指定間隔は、例えば、設計上の鉄筋の間隔であり、実際の鉄筋の間隔とは異なっていてもよい。計測条件欄B2には、所定の初期値が指定されていてもよく、ユーザの操作によって初めて値が指定されてもよい。鉄筋の向きは、複数の鉄筋が配置される向きであり、例えば、壁方向(すなわち、垂直方向)、又はスラブ方向(すなわち、水平方向)である。
【0043】
ユーザは、情報端末2の操作装置を操作することによって、計測条件欄B2において、計測距離及び指定間隔を含む計測条件を指定する。情報端末2は、計測条件が変更された場合に、指定された計測条件を、情報処理装置1に送信する。
【0044】
取得部121は、情報端末2から、情報端末2のユーザによって指定された、計測距離及び指定間隔を含む計測条件を取得する。表示制御部122は、計測画面Bにおいて、撮像画像B1に重畳して、計測条件が含む計測距離における、計測条件が含む指定間隔で配置された複数の仮想的な鉄筋に対応する仮想鉄筋領域B5を表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する。
【0045】
表示制御部122は、例えば、予め定義された情報端末2からの計測距離と撮像画像B1上の長さとの関係に基づいて、計測距離における指定間隔の長さを、縦筋及び横筋それぞれに対して算出する。表示制御部122は、縦筋に対して算出した指定間隔の長さごとに配置された垂直方向の直線を、計測画面Bにおいて、仮想鉄筋領域B5として表示させる。また、表示制御部122は、横筋に対して算出した指定間隔の長さごとに配置された水平方向の直線を、計測画面Bにおいて、仮想鉄筋領域B5として表示させる。
【0046】
ユーザは、仮想鉄筋領域B5の間隔が、撮像画像B1上の鉄筋の間隔に合うように、計測距離を指定する。実際の鉄筋の間隔は設計上の鉄筋の間隔から大きくは外れないため、仮想鉄筋領域B5の間隔が撮像画像B1上の鉄筋の間隔に合う状態になれば、計測距離は情報端末2から構造物までの実際の距離に近い値となる。したがって、ユーザは、巻尺等で情報端末2から構造物までの実際の距離を測る手間を掛けずに、情報端末2の画面上で、実際の距離に近似した計測距離を容易に指定することができる。
【0047】
情報端末2は、ボタンB4が選択された場合に、計測条件欄B2において指定された計測条件と、向き選択欄B3で指定された鉄筋の向きと、を情報処理装置1に送信する。さらに情報端末2は、ボタンB4が選択された場合に、測定装置を用いて、対象範囲に含まれる物体の表面における複数の点それぞれの3次元の位置の測定を開始する。
【0048】
情報端末2は、ユーザによって終了操作が行われたことを条件として測定を終了し、又は十分な量の点群データが測定されたことを条件として測定を終了する。情報端末2は、測定した3次元の位置を示す点群データを、撮像画像とともに情報処理装置1に送信する。撮像画像は、測定の開始時点、途中又は終了時点のうち少なくとも1つの時点において情報端末2の撮像装置が撮像した対象範囲の撮像画像である。情報端末2は、測定された点群データを測定の度に送信し、又は所定時間内に測定された点群データをまとめて送信する。
【0049】
情報処理装置1において、取得部121は、情報端末2が送信した撮像画像、計測条件、鉄筋の向き及び点群データを取得する。取得部121は、取得した撮像画像、計測条件、鉄筋の向き及び点群データを、情報端末2のユーザを識別するためのユーザ識別情報と関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0050】
設定部123は、情報端末2から取得した点群データから間隔の算出に用いる点群データを抽出するための設定領域を設定する。設定部123は、点群データの測定中に設定領域を設定してもよく、点群データの測定完了後に設定領域を設定してもよい。図5は、設定部123が設定領域Rを設定する方法を説明するための模式図である。図5は、情報端末2の側面方向からユーザ及び構造物を見た状態を表している。
【0051】
設定部123は、対象範囲の奥行き方向に沿って、取得部121が取得した計測条件が含む計測距離Lに基づいて設定領域Rを設定する。奥行き方向は、情報端末2が撮像した撮像画像に対応する対象範囲の奥行きに沿った方向である。また、奥行き方向は、情報端末2の撮像装置のレンズの光軸方向、又は情報端末2の測定装置がレーザ光を照射する方向であってもよい。設定部123は、例えば、情報端末2から奥行き方向に沿って計測距離Lだけ離れた位置を含む、奥行き方向に沿った所定の長さの範囲(例えば、当該位置の前後10cmの範囲)を設定領域Rとして設定する。
【0052】
また、設定部123は、取得部121が取得した鉄筋の向きに基づいて、設定領域を設定してもよい。図5の例は鉄筋の向きが壁方向(垂直方向)である場合を表しており、設定部123は、垂直方向に延在する設定領域Rを設定している。一方、鉄筋の向きがスラブ方向(水平方向)である場合に、設定部123は、水平方向に延在する設定領域Rを設定する。
【0053】
また、情報端末2は、情報端末2において鉄筋の向きの指定を受け付けず、情報端末2の向きに基づいて鉄筋の向きを自動的に判定してもよい。この場合に、取得部121は、計測条件が送信された際の情報端末2の向きを取得する。設定部123は、例えば、取得部121が取得した情報端末2の向きが水平方向よりも垂直方向に近い場合に、鉄筋の向きが壁方向であると判定し、そうでない場合に、鉄筋の向きがスラブ方向であると判定する。設定部123は、判定した鉄筋の向きを用いて、設定領域Rを設定する。これにより、情報処理装置1は、ユーザが鉄筋の向きを選択する手間を削減できる。
【0054】
表示制御部122は、設定部123が設定した設定領域Rと、複数の鉄筋の間隔の算出に用いる座標軸と、を情報端末2の表示装置に表示させてもよい。表示制御部122は、例えば、情報端末2の測定装置が点群データを測定している間に、座標軸(x軸、y軸、z軸)と、当該座標軸に基づく点群データが示す複数の点それぞれの3次元の位置と、当該座標軸に基づく設定領域Rを示す線(枠)と、を表示装置に表示させる。これにより、情報処理装置1は、複数の鉄筋の間隔の算出に用いられる情報をユーザが視認可能にし、指定した計測条件や鉄筋の向きが正しいかどうかをユーザに確認させることができる。
【0055】
特定部124は、取得部121が取得した点群データに基づいて、対象範囲における複数の鉄筋に対応する複数の鉄筋領域を特定する。鉄筋領域は、対象範囲において、複数の鉄筋それぞれが位置すると特定された領域であり、例えば3次元空間における直線(線分であってもよい)によって表される。
【0056】
特定部124は、例えば、取得部121が取得した点群データのうち、設定部123が設定した設定領域に含まれる複数の点の点群データを抽出する。特定部124は、抽出した点群データが示す複数の点に対して、例えば、既知の直線回帰処理を実行することによって、複数の直線を生成する。特定部124は、生成した複数の直線を、複数の鉄筋に対応する複数の鉄筋領域として特定する。特定部124は、例えば、水平方向よりも垂直方向に近い直線を縦筋に対応する鉄筋領域とし、そうでない直線を横筋に対応する鉄筋領域とする。
【0057】
特定部124は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法によって、点群データに基づいて鉄筋が位置する領域を特定してもよい。
【0058】
算出部125は、特定部124が点群データに基づいて特定した複数の鉄筋領域を用いて、複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する。算出部125は、まず、複数の鉄筋領域から隣り合う2つの鉄筋領域の組を選択する。
【0059】
図6(a)~図6(d)は、算出部125が隣り合う2つの鉄筋領域αの組βを選択する方法を説明するための模式図である。図6(a)~図6(d)において、対象範囲の左右方向をx軸とし、対象範囲の上下方向をy軸とし、対象範囲の奥行き方向をz軸としている。
【0060】
鉄筋の向きが壁方向(垂直方向)である場合に、算出部125は、縦筋に対応する複数の鉄筋領域α上の点をx座標が小さい方から大きい方へ並べ、並んだ順に2つの鉄筋領域αを、隣り合う2つの鉄筋領域の組βとして選択する(図6(a))。また、算出部125は、横筋に対応する複数の鉄筋領域α上の点をy座標が小さい方から大きい方へ並べ、並んだ順に2つの鉄筋領域αを、隣り合う2つの鉄筋領域の組βとして選択する(図6(b))。
【0061】
鉄筋の向きがスラブ方向(水平方向)である場合に、算出部125は、縦筋に対応する複数の鉄筋領域α上の点をx座標が小さい方から大きい方へ並べ、並んだ順に2つの鉄筋領域αを、隣り合う2つの鉄筋領域の組βとして選択する(図6(c))。また、算出部125は、横筋に対応する複数の鉄筋領域α上の点をz座標が小さい方から大きい方へ並べ、並んだ順に2つの鉄筋領域αを、隣り合う2つの鉄筋領域の組βとして選択する(図6(d))。
【0062】
算出部125は、選択した2つの鉄筋領域の組それぞれの間の間隔を算出する。図7は、算出部125が2つの鉄筋領域の間隔を算出する方法を説明するための模式図である。図7は、第1鉄筋領域に対応する直線L1と、第2鉄筋領域に対応する直線L2との間隔dを算出する例を表している。直線L1、L2は、直線上の点ベクトルP1、P2と、媒介変数tによって直線上の任意の点を表す傾きベクトルu1、u2と、を用いて以下の式(1)、(2)によって表される。
【0063】
L1=P1+u1×t (1)
L2=P2+u2×t (2)
【0064】
直線L1、L2は平行に近いため、直線L1から直線L2へ垂直に下ろした点Hは以下の式(3)、(4)で表される。(v1,u2)は、ベクトルv1とベクトルu2の内積である。
v1=P1-P2 (3)
H=P2+(v1,u2)u2 (4)
【0065】
間隔dは点Hと点P1の距離であるため、算出部125は、直線L1、L2が平行に近いことを条件とした直線L1、L2の間隔dを、以下の式(5)、(6)で算出する。||v2||は、ベクトルv2のノルムである。
【0066】
v2=P2-P1+(v1,u2)u2 (5)
d=||v2|| (6)
【0067】
特定部124は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法によって、隣り合う2つの直線の間隔を算出してもよい。
【0068】
表示制御部122は、特定部124が特定した複数の鉄筋領域を撮像画像に重畳して情報端末2の表示装置に表示させるとともに、算出部125が算出した間隔を示す情報を情報端末2の表示装置に表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する。情報端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、計測結果画面Cを表示装置に表示する。
【0069】
図8図9は、情報端末2の表示装置が表示する、確定前の計測結果を表示するための計測結果画面Cの模式図である。計測結果画面Cは、対象範囲の撮像画像C1と、鉄筋領域C2と、間隔C3と、ラベルC4と、ボタンC5と、を含む。
【0070】
鉄筋領域C2は、撮像画像C1の中で、特定部124が特定した複数の鉄筋領域それぞれの位置を示す直線である。鉄筋領域C2は、例えば、予め定義された点群データの3次元の位置と撮像画像C1中の2次元の位置との関係に基づいて、特定部124が特定した鉄筋領域を撮像画像C1に投影した直線である。間隔C3は、隣り合う2つの鉄筋領域C2に対して算出部125が算出した間隔であり、当該2つの鉄筋領域C2の間に表示される。
【0071】
ラベルC4は、複数の鉄筋領域C2それぞれを識別するための情報であり、当該鉄筋領域C2上に表示される。ラベルC4は、例えば、縦筋又は横筋であることを示す文字(図8中の「縦」又は「横」)と、通し番号と、を組み合わせた文字列を含む。また、ラベルC4は、当該ラベルC4が付された鉄筋領域C2を不要な領域として指定するためのマーク(図8中の「○」)を含む。
【0072】
間隔C3及びラベルC4が表示される位置は変更可能であってもよい。この場合に、表示制御部122は、情報端末2におけるユーザによる操作(例えば、不図示の矢印ボタンの選択)に応じて、間隔C3及びラベルC4を計測結果画面C上で移動させる。これにより、情報処理装置1は、ユーザが鉄筋の位置や間隔を視認しやすくできる。
【0073】
いずれかのラベルC4において不要な領域として指定するためのマークが選択された場合に、表示制御部122は、図9のように、当該ラベルC4が付された鉄筋領域C2を不要な領域として指定するか否かを確認する確認領域C6を表示する。
【0074】
確認領域C6においてユーザにより所定の操作(例えば、図9の削除ボタンの選択)が行われた場合に、情報端末2は、複数の鉄筋領域C2のうち、選択されたマークに対応する鉄筋領域C2を計測対象として不要な領域として示す情報を、情報処理装置1に送信する。
【0075】
情報処理装置1において、表示制御部122は、複数の鉄筋領域C2のうち、不要な領域として指定された鉄筋領域C2を、情報端末2の表示装置に表示させないための表示情報を、情報端末2に送信する。情報端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、不要な領域として指定された鉄筋領域C2を計測結果画面Cから削除する。これにより、情報処理装置1は、誤検出等により不要な鉄筋領域C2の指定をユーザから受け付け、さらに計測結果に反映できる。
【0076】
図8に戻り、ユーザは、不要な鉄筋領域C2が削除された後、ボタンC5を選択する。情報端末2は、ボタンC5が選択された場合に、計測結果が確定されたことを示す情報を情報処理装置1に送信する。取得部121は、情報端末2から計測結果が確定されたことを示す情報を受信した場合に、情報端末2のユーザにより指定された計測対象として不要な領域を示す情報を、情報端末2のユーザを識別するためのユーザ識別情報と関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0077】
また、算出部125は、縦筋及び横筋それぞれに対して、不要な領域として指定されなかった複数の鉄筋領域における複数の間隔の平均値を平均間隔として算出するとともに、当該複数の間隔のうち最大間隔及び最小間隔を算出する。また、算出部125は、縦筋及び横筋それぞれに対して、不要な領域として指定されなかった複数の鉄筋領域の数を、複数の鉄筋の本数として算出する。
【0078】
表示制御部122は、撮像画像、鉄筋領域及び間隔に加えて、計測条件及び鉄筋の向きと、算出部125が算出した平均間隔、最大間隔、最小間隔及び本数と、を情報端末2の表示装置に表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する。情報端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、計測結果画面Dを表示装置に表示する。
【0079】
図10は、情報端末2の表示装置が表示する、確定後の計測結果を表示するための計測結果画面Dの模式図である。計測結果画面Dは、図8と同様の撮像画像D1、鉄筋領域D2、間隔D3及びラベルD4に加えて、計測情報D5と、計測結果情報D6を含む。計測情報D5は、計測に用いられた計測条件(図10中の縦筋間隔及び横筋間隔)及び鉄筋の向き(図10中の鉄筋種類)を表示する領域である。計測結果情報D6は、縦筋及び横筋それぞれの平均間隔、最大間隔、最小間隔及び本数を関連付けて表示する領域である。
【0080】
このように、情報処理装置1は、撮像画像D1、鉄筋領域D2、間隔D3及び計測結果情報D6を1つの画面として情報端末2の表示装置に表示させるため、鉄筋を含む構造物の実際の状態と、鉄筋に関する計算上の数値とを関連付けてユーザに把握させることができる。
【0081】
表示制御部122は、2つの鉄筋の間隔が許容誤差を超えているか否かを示す情報を、情報端末2の表示装置に表示させてもよい。この場合に、取得部121は、所定値を基準として許容する誤差である許容誤差を取得する。本実施形態において、取得部121は、図10の計測結果画面Dにおいて許容誤差の指定を受け付けているが、図3の設定画面Aにおいて許容誤差の指定を受け付けてもよく、又は記憶部11に予め記憶された所定の許容誤差を取得してもよい。
【0082】
表示制御部122は、例えば、計測結果画面Dに表示されている一又は複数の間隔D3それぞれが、計測条件が含む指定間隔から許容誤差を減算した値から計測条件が含む指定間隔に許容誤差を加算した値までの許容範囲に含まれているか否かを判定する。
【0083】
そして表示制御部122は、許容範囲に含まれていない間隔D3の表示態様(色、大きさ、文字種等)を、許容範囲に含まれている間隔D3の表示態様と異ならせることによって、間隔D3が許容誤差を超えているか否かを情報端末2の表示装置に表示させる。図10の例では、許容誤差を超えている間隔D3には、2重の枠が表されている。これにより、情報処理装置1は、鉄筋の間隔D3が許容誤差を超えているか否かをユーザに把握させ、撮像画像D1において構造物の実際の状態と対比しやすくできる。
【0084】
[情報処理方法のフロー]
図11は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。取得部121は、情報端末2から、情報端末2のユーザによって指定された、計測対象の構造物に関する構造物情報を取得し、記憶部11に記憶させる。構造物情報は、例えば、構造物の名称と、構造物の中で計測対象とする部分を示す情報と、を含む。
【0085】
取得部121は、構造物情報を取得した後、情報端末2が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得する(S11)。取得部121は、例えば、情報端末2が所定の時間間隔で定期的に撮像した撮像画像を繰り返し取得する。表示制御部122は、取得部121が取得した撮像画像を含む計測画面を、情報端末2の表示装置に表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する。表示制御部122は、取得部121が撮像画像を取得する度に、計測画面が含む撮像画像を更新する。
【0086】
取得部121は、情報端末2から、情報端末2のユーザによって指定された、計測距離及び指定間隔を含む計測条件を取得する(S12)。計測条件は、例えば、情報端末2から構造物までの計測距離と、鉄筋の指定間隔と、を含む。表示制御部122は、計測画面において、撮像画像に重畳して、計測条件が含む計測距離における、計測条件が含む指定間隔で配置された複数の仮想的な鉄筋に対応する仮想鉄筋領域を表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する(S13)。
【0087】
情報端末2において測定を開始するための操作(例えば、計測画面におけるボタン選択)が行われない場合に(S14のNO)、情報処理装置1は、ステップS11~ステップS14を繰り返す。情報端末2において測定を開始するための操作が行われた場合に(S14のYES)、取得部121は、情報端末2が送信した撮像画像、計測条件、鉄筋の向き及び点群データを取得する(S15)。点群データは、例えば、情報端末2の測定装置が測定した、対象範囲に含まれる物体の表面における複数の点それぞれの3次元の位置を含む。
【0088】
設定部123は、情報端末2から取得した点群データから間隔の算出に用いる点群データを抽出するための設定領域を設定する(S16)。設定部123は、例えば、情報端末2から奥行き方向に沿って計測距離だけ離れた位置を含む、奥行き方向に沿った所定の長さの範囲(例えば、当該位置の前後10cmの範囲)を設定領域として設定する。
【0089】
特定部124は、取得部121が取得した点群データに基づいて、対象範囲における複数の鉄筋に対応する複数の鉄筋領域を特定する(S17)。特定部124は、例えば、取得部121が取得した点群データのうち、設定部123が設定した設定領域に含まれる複数の点の点群データを抽出し、抽出した点群データが示す複数の点から生成した複数の直線を、複数の鉄筋に対応する複数の鉄筋領域として特定する。
【0090】
算出部125は、特定部124が点群データに基づいて特定した複数の鉄筋領域を用いて、複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する(S18)。算出部125は、例えば、図6(a)~図6(d)、図7に示した方法によって、隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する。
【0091】
表示制御部122は、特定部124が特定した複数の鉄筋領域を撮像画像に重畳して情報端末2の表示装置に表示させるとともに、算出部125が算出した間隔を示す情報を情報端末2の表示装置に表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する(S19)。
【0092】
情報端末2においていずれかの鉄筋領域を不要な領域として指定するための操作(例えば、いずれかの鉄筋領域に付されたマークの選択)が行われない場合に(S20のNO)、情報処理装置1はステップS22に進む。情報端末2においていずれかの鉄筋領域を不要な領域として指定するための操作が行われた場合に(S20のYES)、表示制御部122は、複数の鉄筋領域のうち、不要な領域として指定された鉄筋領域を、情報端末2の表示装置に表示させないための表示情報を、情報端末2に送信する(S21)。情報端末2において鉄筋領域を不要な領域として指定するための操作が行われなくなるまで、情報処理装置1は、ステップS20~ステップS21を繰り返す。
【0093】
表示制御部122は、計測結果を情報端末2の表示装置に表示させるための表示情報を、情報端末2に送信する(S22)。計測結果は、例えば、撮像画像、鉄筋領域、間隔、計測条件、鉄筋の向き、平均間隔、最大間隔、最小間隔及び本数を含む。
【0094】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムによれば、情報処理装置1は、鉄筋を含む構造物の実際の撮像画像と、測定された点群データから算出された鉄筋の位置及び間隔との両方を、情報端末2の表示装置に表示させる。これにより、情報処理装置1は、鉄筋を含む構造物の実際の状態と、鉄筋に関する計算上の数値とを関連付けてユーザに把握させることができる。これにより、ユーザは、点群データから算出された鉄筋の位置及び間隔を、構造物の実際の状態と容易に対比できるため、情報処理装置1は構造物の検査を効率化できる。
【0095】
[第1変形例]
上述の実施形態では仮想鉄筋領域を撮像画像上に表示することよって計測距離の指定を支援していたが(図4)、本変形例では計測距離に対応する領域を撮像画像上に表示することによって計測距離の指定を支援する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0096】
図12は、本変形例において、情報端末2の表示装置が表示する計測画面Bの模式図である。本変形例に係る計測画面Bは、撮像画像B1と、計測条件を指定するための計測条件欄B2を含む。計測条件は、図4の例とは異なり、指定間隔を含まず、情報端末2から構造物までの計測距離を含む。情報端末2は、計測条件が変更された場合に、指定された計測条件を、情報処理装置1に送信する。
【0097】
情報処理装置1において、取得部121は、情報端末2から、情報端末2のユーザによって指定された、計測距離を含む計測条件を取得する。表示制御部122は、計測画面Bにおいて、撮像画像B1に重畳して、撮像画像B1において情報端末2から奥行き方向に沿って計測距離だけ離れた位置を含む所定範囲の領域B6を、情報端末2の表示装置に表示させる。領域B6は、例えば、撮像画像B1の下端から、奥行き方向に沿って計測距離だけ離れた位置までの部分を、本来の撮像画像における色から別の色(赤色等)に変更した領域である。
【0098】
ユーザは、領域B6が構造物の手前側(情報端末2側)の表面を含むように、計測距離を指定する。これにより、ユーザは、巻尺等で情報端末2から構造物までの実際の距離を測る手間を掛けずに、情報端末2の画面上で、実際の距離に近似した計測距離を容易に指定することができる。
【0099】
[第2変形例]
上述の実施形態及び第1変形例ではユーザによる計測距離の指定を受け付けていたが、本変形例では情報処理装置1が計測距離の指定を受け付けずに複数の鉄筋の間隔を算出する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0100】
図13は、本変形例において、情報端末2の表示装置が表示する計測画面Bの模式図である。本変形例に係る計測画面Bは、撮像画像B1と、ボタンB4と、撮像画像B1に重畳された十字状の図形である鉄筋検知マークB7とを含む。鉄筋検知マークB7は、例えば、撮像画像B1の中心に表示される。
【0101】
情報端末2は、計測画面Bを表示している間に、測定装置を用いて、対象範囲に含まれる物体の表面における複数の点それぞれの3次元の位置を測定する。情報端末2は、測定した3次元の位置を示す点群データを、情報処理装置1に送信する。
【0102】
情報処理装置1において、取得部121は、情報端末2が送信した点群データを取得する。取得部121は、取得した点群データに基づいて、鉄筋検知マークB7に対応する位置を含む所定範囲に鉄筋があるか否かを判定する。取得部121は、例えば、情報端末2から奥行き方向に所定距離(例えば、50cm)離れた位置を基準として垂直方向の所定範囲(例えば、当該位置の上下10cmの範囲)に点群データがある場合に、縦筋があると判定し、そうでない場合に縦筋がないと判定する。
【0103】
また、取得部121は、例えば、情報端末2から奥行き方向に所定距離(例えば、50cm)離れた位置を基準として水平方向の所定範囲(例えば、当該位置の左右10cmの範囲)に点群データがある場合に、横筋があると判定し、そうでない場合に横筋がないと判定する。
【0104】
取得部121は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法によって、縦筋及び横筋の有無を判定してもよい。
【0105】
表示制御部122は、取得部121による鉄筋検知マークB7に対応する位置における鉄筋及び横筋それぞれの有無の判定結果に応じて、鉄筋検知マークB7の表示態様を変更する。表示制御部122は、例えば、鉄筋検知マークB7の中で垂直方向の領域の表示態様(色や模様)を、取得部121によって縦筋があると判定された場合と、取得部121によって縦筋がないと判定された場合とで異ならせる。表示制御部122は、例えば、鉄筋検知マークB7の中で水平方向の領域の表示態様(色や模様)を、取得部121によって横筋があると判定された場合と、取得部121によって横筋がないと判定された場合とで異ならせる。
【0106】
図13の例では、鉄筋検知マークB7に対応する位置に横筋があるため、鉄筋検知マークB7の水平方向の領域に色が付されている。これにより、情報処理装置1は、点群データに基づいて鉄筋の位置を検出できるか否かをユーザに知らせることができる。ユーザは、計測距離を自分で指定しなくとも、鉄筋の位置を検出できるように情報端末2の位置を容易に調整できるため、複数の鉄筋の間隔を算出する精度を向上できる。
【0107】
また、情報処理装置1は、取得部121によって鉄筋検知マークB7に対応する位置に縦筋又は横筋のいずれか一方があると判定された場合に、複数の鉄筋の間隔を算出するための操作(例えば、ボタンB4の選択)を受け付け、そうでない場合に当該操作を受け付けなくてもよい。また、情報処理装置1は、取得部121により鉄筋検知マークB7に対応する位置に縦筋と横筋共にあると判定された場合に、複数の鉄筋の間隔を算出するための操作を受け付け、そうでない場合に当該操作を受け付けないようにしてもよい。すなわち、鉄筋検知マークB7に対応する位置における鉄筋の検出状況に応じて鉄筋間隔の算出を開始可能としてもよい。これにより、情報処理装置1は、点群データに基づいて鉄筋の位置を検出できることを条件として複数の鉄筋の間隔の算出を開始でき、複数の鉄筋の間隔を算出する精度を向上できる。
【0108】
また、表示制御部122は、取得部121によって縦筋及び横筋がないと判定された場合に、計測画面B上で点群データに基づいて鉄筋の位置を検出できない旨を通知する。図14は、点群データに基づいて鉄筋の位置を検出できない場合の計測画面Bの模式図である。計測画面Bは、鉄筋非検知マークB8と、メッセージB9とを含む。
【0109】
表示制御部122は、取得部121によって縦筋及び横筋がないと判定された場合に、情報端末2の計測画面Bにおいて、鉄筋検知マークB7に代えて、鉄筋非検知マークB8(例えば、円形の図形)を表示させるとともに、所定のメッセージB9を表示させる。
【0110】
表示制御部122は、例えば、情報端末2と構造物との距離を、取得部121が取得した点群データの奥行き方向に沿った位置に基づいて推定する。表示制御部122は、例えば、情報端末2と構造物との距離が所定値以上である場合に、「近づいてください」という文字列を含むメッセージB9を表示させる。また、表示制御部122は、例えば、情報端末2と構造物との距離が所定値以内である場合に、「離れてください」という文字列を含むメッセージB9を表示させる。
【0111】
これにより、情報処理装置1は、鉄筋の位置を検出できるようにユーザが情報端末2の位置を調整することを補助できる。
【0112】
[第3変形例]
建物等の構造物の建築において、一般的に鉄筋の間隔等を記載した設計図が用いられる。本変形例では、情報処理装置1は、鉄筋に関する設計図を取得して処理に利用する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0113】
取得部121は、図3の設定画面A又は図10の計測結果画面Dにおいて、情報端末2のユーザにより指定された、複数の鉄筋に対応する設計図を取得する。設計図は、例えば、設計図を含む画像データによって表される。また、取得部121は、設計図を含む画像データに対して既知の文字認識処理又は図形認識処理を実行することによって、当該設計図に記載された、隣り合う2つの鉄筋の設計上の間隔である設計間隔、及び設計間隔を基準として許容する誤差である許容誤差を取得する。
【0114】
表示制御部122は、撮像画像、鉄筋領域及び間隔とともに、取得部121が取得した設計図を含む画像データを表示するための表示情報を、情報端末2に送信する。情報端末2は、図10の計測結果画面Dにおいて、撮像画像D1、鉄筋領域D2、間隔D3及びラベルD4に加えて、設計図を含む画像データ及び比較結果を表示する。これにより、ユーザは、点群データから算出された鉄筋の位置及び間隔を、構造物の実際の状態と容易に対比でき、さらに設計図とも容易に対比できるため、情報処理装置1は構造物の検査を効率化できる。
【0115】
また、表示制御部122は、算出部125が算出した間隔と取得部121が取得した設計間隔とを比較した結果を示す情報を、情報端末2の表示装置に表示させる。表示制御部122は、例えば、計測結果画面Dに表示されている一又は複数の間隔D3それぞれが設計間隔から許容誤差を減算した値から設計間隔に許容誤差を加算した値までの許容範囲に含まれているか否かを判定する。
【0116】
そして表示制御部122は、許容範囲に含まれていない間隔D3の表示態様(色、大きさ、文字種等)を、許容範囲に含まれている間隔D3の表示態様と異ならせることによって、間隔D3が許容誤差を超えているか否かを情報端末2の表示装置に表示させる。これにより、情報処理装置1は、算出部125が算出した間隔と取得部121が取得した設計間隔とを比較した結果をユーザに把握させ、点群データから算出された間隔と設計図に記載された間隔とを対比しやすくできる。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0118】
情報処理装置1のプロセッサは、図11に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、情報処理装置1のプロセッサは、図11に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、図11に示す情報処理方法を実行する。図11に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 情報処理装置
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 表示制御部
123 設定部
124 特定部
125 算出部
2 情報端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像と、前記端末が測定した前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データと、を取得する取得部と、
前記撮像画像に重畳して、前記端末から前記対象範囲の奥行き方向に沿って所定距離だけ離れた位置を基準として所定範囲に前記点群データがあるか否かに対応する表示態様のマークであって、垂直方向に延在する領域である垂直領域及び水平方向に延在する領域である水平領域を含むマークを、前記端末の表示装置に表示させる表示制御部と、
前記表示制御部が前記マークを前記表示装置に表示させたであって前記端末において鉄筋の間隔を算出するための操作が行われた場合に、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定する特定部と、
前記点群データに基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出する算出部と、
を有し、
前記取得部は、前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として垂直方向の所定範囲に前記点群データがある場合に縦筋があると判定し、前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として水平方向の所定範囲に前記点群データがある場合に横筋があると判定し、
前記表示制御部は、前記縦筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で前記垂直領域の表示態様を異ならせるとともに、前記横筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で前記水平領域の表示態様を異ならせ、
前記表示制御部は、前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を前記表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記縦筋又は前記横筋の少なくとも一方がある場合と、前記縦筋及び前記横筋がない場合と、で異なる前記マークを前記表示装置に表示させる、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記縦筋又は前記横筋の少なくとも一方があるか否かの判定結果に応じて、前記鉄筋の間隔を算出するための操作を受け付けるか否かを切り替える、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記端末から前記奥行き方向に沿って前記所定距離だけ離れた位置を含む、前記対象範囲の前記奥行き方向に沿った所定の長さの範囲を設定領域として設定する設定部をさらに有し、
前記特定部は、前記点群データのうち、前記設定領域に含まれる前記点群データを用いて、前記対象範囲における前記複数の鉄筋に対応する領域を特定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記複数の鉄筋に対応する領域のうち、前記端末のユーザにより指定された計測対象として不要な領域を示す情報を取得し、
前記表示制御部は、前記複数の鉄筋に対応する領域のうち、前記不要な領域を、前記表示装置に表示させない、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記端末のユーザにより指定された、前記複数の鉄筋に対応する設計図を取得し、
前記表示制御部は、前記複数の鉄筋に対応する領域及び前記間隔を示す情報とともに、前記設計図を前記表示装置に表示させる、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記端末である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
プロセッサが実行する、
端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得するステップと、
前記端末が前記対象範囲の少なくとも一部に対してレーザを照射することによって生成された、前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データを取得するステップと、
前記撮像画像に重畳して、前記端末から前記対象範囲の奥行き方向に沿って所定距離だけ離れた位置を基準として所定範囲に前記点群データがあるか否かに対応する表示態様のマークであって、垂直方向に延在する領域である垂直領域及び水平方向に延在する領域である水平領域を含むマークを、前記端末の表示装置に表示させるステップと、
前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として垂直方向の所定範囲に前記点群データがある場合に縦筋があると判定し、前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として水平方向の所定範囲に前記点群データがある場合に横筋があると判定するステップと、
前記縦筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で前記垂直領域の表示態様を異ならせるとともに、前記横筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で前記水平領域の表示態様を異ならせるステップと、
前記表示させるステップにおいて前記マークを前記表示装置に表示させたであって前記端末において鉄筋の間隔を算出するための操作が行われた場合に、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定するステップと、
前記複数の鉄筋に対応する領域の位置に基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出するステップと、
前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項9】
プロセッサに、
端末が対象範囲を撮像することによって生成された撮像画像を取得するステップと、
前記端末が前記対象範囲の少なくとも一部に対してレーザを照射することによって生成された、前記対象範囲に含まれる物体の3次元の位置を示す点群データを取得するステップと、
前記撮像画像に重畳して、前記端末から前記対象範囲の奥行き方向に沿って所定距離だけ離れた位置を基準として所定範囲に前記点群データがあるか否かに対応する表示態様のマークであって、垂直方向に延在する領域である垂直領域及び水平方向に延在する領域である水平領域を含むマークを、前記端末の表示装置に表示させるステップと、
前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として垂直方向の所定範囲に前記点群データがある場合に縦筋があると判定し、前記端末から前記所定距離だけ離れた位置を基準として水平方向の所定範囲に前記点群データがある場合に横筋があると判定するステップと、
前記縦筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で前記垂直領域の表示態様を異ならせるとともに、前記横筋があるか否かの判定結果に応じて前記マークの中で前記水平領域の表示態様を異ならせるステップと、
前記表示させるステップにおいて前記マークを前記表示装置に表示させたであって前記端末において鉄筋の間隔を算出するための操作が行われた場合に、前記点群データに基づいて、前記対象範囲における複数の鉄筋に対応する領域を特定するステップと、
前記複数の鉄筋に対応する領域の位置に基づいて、前記複数の鉄筋のうち隣り合う2つの鉄筋の間隔を算出するステップと、
前記撮像画像に重畳して前記複数の鉄筋に対応する領域を表示装置に表示させるとともに、前記間隔を示す情報を前記表示装置に表示させるステップと、
を実行させる、プログラム。