(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176087
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】光学結像モジュール、光学結像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20221117BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048720
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202110526945.7
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チン,ヨンファ
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA07
2H087MA08
2H087PA05
2H087PA17
2H087PB05
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】本開示は、光学結像モジュール、光学結像装置及び電子機器に関する。
【解決手段】当該光学結像モジュールは、光軸方向に沿って物体側から結像面へ順次配置された第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含み、第1のレンズ群は正の屈折力を有するとともに、物体側から結像面へ順次配置された、正の屈折力を有する第1のレンズと負の屈折力を有する第2のレンズを含み、第1のレンズの物体側の表面及び像側の表面は両方とも凸面であり、第2のレンズ群は、屈折力を有する複数のレンズを含み、屈折力を有する複数のレンズは、少なくとも1つの可動レンズを含み、可動レンズは、光軸に沿って移動して異なる距離の被写体に焦点を合わせる。光学結像モジュールを小型化できるだけではなく、正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズを組み合わせることで、光学結像モジュール全体の球面収差及びコマ収差を抑えることができ、光学結像モジュールの近距離撮影の性能及び撮影効果を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学結像モジュールであって、
光軸方向に沿って物体側から結像面へ順次配置された第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含み、
前記第1のレンズ群は正の屈折力を有するとともに、前記物体側から前記結像面へ順次配置された、正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズを含み、前記第1のレンズの物体側の表面及び像側の表面は両方とも凸面であり、
前記第2のレンズ群は、屈折力を有する複数のレンズを含み、屈折力を有する前記複数のレンズは、少なくとも1つの可動レンズを含み、
前記可動レンズは、前記光軸に沿って移動して異なる距離の被写体に焦点を合わせる、
ことを特徴とする光学結像モジュール。
【請求項2】
前記第2のレンズと前記第2のレンズ群との間に位置し、中心主光線の口径を規定するための口径絞りをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項3】
前記口径絞りから前記結像面までの距離Lsと前記第1のレンズから前記結像面までの距離TTLとの関係は、Ls/TTL<0.9である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光学結像モジュール。
【請求項4】
前記第1のレンズの物体側に位置し、周辺光線の入射量を規定するための視野絞りをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項5】
前記第1のレンズのアッベ数Vd1は30より大きく、
前記第2のレンズのアッベ数Vd2は40未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項6】
前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第1のレンズの焦点距離f1との関係は、2<f/f1<10である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項7】
前記結像面の有効検知領域の対角線長の半分IHと前記第1のレンズから前記結像面までの距離TTLとの関係は、2.2<TTL/IH<10である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項8】
前記可動レンズが複数である場合、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと複数の前記可動レンズの統合焦点距離との関係は、 0.1<|fm/f|<3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項9】
前記屈折力を有する複数のレンズは、前記物体側から前記結像面へ順次配置された第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含み、
前記第3のレンズ、前記第4のレンズ及び/又は前記第5のレンズは移動可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学結像モジュール。
【請求項10】
前記第3のレンズは負の屈折力を有し、前記第3のレンズの像側の表面は凹面であり、
前記第4のレンズは正の屈折力を有し、前記第4のレンズは、物体側の表面が凹面であり、像側の表面が凸面であり、
前記第5のレンズは負の屈折力を有し、前記第5のレンズの物体側の表面は凹面である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項11】
前記第3のレンズは正の屈折力を有し、
前記第4のレンズは負の屈折力を有し、前記第4のレンズの像側の表面は凹面であり、
前記第5のレンズは正の屈折力を有し、前記第5のレンズの物体側の表面は凸面である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項12】
前記第1のレンズの焦点距離f1と前記第3のレンズの焦点距離f3との関係は、1<|f3/f1|<5である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項13】
前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第3のレンズの焦点距離f3との関係は、0.5<|f/f3|<3である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項14】
前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第4のレンズの焦点距離f4との関係は、0<|f/f4|<6である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項15】
前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第5のレンズの焦点距離f5との関係は、0<|f/f5|<5である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項16】
前記第1のレンズの物体側の表面の曲率半径R1と像側の表面の曲率半径R2との関係は、-5<R1/R2<0である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項17】
前記第2のレンズの物体側の表面の曲率半径R3と像側の表面の曲率半径R4との関係は、-10<(R3+R4)/(R3-R4)<5である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項18】
前記第3のレンズの物体側の表面の曲率半径R5と像側の表面の曲率半径R6との関係は、1<f/|R5|+f/|R6|<15であり、
fは光学結像モジュールの全体の焦点距離である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項19】
前記第4のレンズの物体側の表面の曲率半径R7と像側の表面の曲率半径R8との関係は、-2<R7/R8<10である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項20】
前記第1のレンズの物体側の表面の頂点から前記第5のレンズの像側の表面の頂点までの距離Tdと前記第1のレンズの物体側の表面の頂点から前記結像面までの距離TTLとの関係は、0.4<Td/TTL<1である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項21】
前記第5のレンズの屈折率N5は1.8未満である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学結像モジュール。
【請求項22】
前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記光学結像モジュールの入射瞳径Denpとの関係は、f/Denp>2である、
ことを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載の光学結像モジュール。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の光学結像モジュールを含み、前記光学結像モジュールの像面側にイメージセンサユニットが設置される、
ことを特徴とする光学結像装置。
【請求項24】
請求項23に記載の光学結像装置を含む、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子技術分野に関し、特に光学結像モジュール、光学結像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術では、例えば光学結像モジュールをカメラモジュール内に設置し、且つカメラモジュールを電子機器に取り付けることで、対応する撮影機能を電子機器に提供する。得られた画像の解像度を向上させるために、電子機器の使用中に、光学結像モジュールにより被写体に焦点を合わせることができる。
【0003】
現在は、主に全てのレンズ群(レンズ群全体)或いは物体側に近いレンズ群(前群)を移動させることで、異なる距離の被写体に焦点を合わせることを実現する。しかしながら、前群を移動させる方法で焦点を合わせる手段を選ぶ場合、焦点を合わせる時に光学結像モジュールの全長が増加するため、小型化することはできない。レンズ群全体を移動させる方法で焦点を合わせる手段では、近距離撮影の性能が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連技術で焦点を合わせる時に光学結像モジュールの全長が増加し、小型化することができず、及び近距離撮影の性能が悪いという課題を克服するために、本開示は、物体側から離れた第2のレンズ群(後群)を移動させることで異なる距離の被写体に焦点を合わせることを実現することができ、光学結像モジュールを小型化することができるだけではなく、光学結像モジュールの近距離撮影の性能を向上させることもできる光学結像モジュール、光学結像装置及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例の第1の態様によれば、光軸方向に沿って物体側から結像面へ順次配置された第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含み、前記第1のレンズ群は正の屈折力を有し、前記物体側から前記結像面へ順次配置された、正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズを含み、前記第1のレンズの物体側の表面及び像側の表面は両方とも凸面であり、前記第2のレンズ群は、屈折力を有する複数のレンズを含み、屈折力を有する前記複数のレンズは、少なくとも1つの可動レンズを含み、前記可動レンズは、前記光軸に沿って移動して、異なる距離の被写体に焦点を合わせる光学結像モジュールが提供られる。
【0006】
選択可能に、前記第2のレンズと前記第2のレンズ群との間に位置し、中心主光線の口径を規定するための口径絞りをさらに含む。
【0007】
選択可能に、前記口径絞りから前記結像面までの距離Lsと前記第1のレンズから前記結像面までの距離TTLとの関係は、Ls/TTL<0.9である。
【0008】
選択可能に、前記第1のレンズの物体側に位置し、周辺光線の入射量を規定するための視野絞りをさらに含むことにより、物体側レンズの口径寸法を効果的に制御する。
【0009】
選択可能に、前記第1のレンズのアッベ数Vd1は30より大きく、前記第2のレンズのアッベ数Vd2は40未満である。
【0010】
選択可能に、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第1のレンズの焦点距離f1との関係は、2<f/f1<10である。
【0011】
選択可能に、前記結像面の有効検知領域の対角線長の半分IHと前記第1のレンズから前記結像面までの距離TTLとの関係は、2.2<TTL/IH<10である。
【0012】
選択可能に、前記可動レンズが複数である場合、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと複数の前記可動レンズの統合焦点距離との関係は、0.1<|fm/f|<3である。
【0013】
選択可能に、屈折力を有する前記複数のレンズは、前記物体側から前記結像面へ順次配置された第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含み、前記第3のレンズ、前記第4のレンズ及び/又は前記第5のレンズは移動可能である。
【0014】
選択可能に、前記第3のレンズは負の屈折力を有し、前記第3のレンズの像側の表面は凹面であり、前記第4のレンズは正の屈折力を有し、前記第4のレンズは、物体側の表面が凹面であり、像側の表面が凸面であり、前記第5のレンズは負の屈折力を有し、前記第5のレンズの物体側の表面は凹面である。
【0015】
選択可能に、前記第3のレンズは正の屈折力を有し、前記第4のレンズは負の屈折力を有し、前記第4のレンズの像側の表面は凹面であり、前記第5のレンズは正の屈折力を有し、前記第5のレンズの物体側の表面は凸面である。
【0016】
選択可能に、前記第1のレンズの焦点距離f1と前記第3のレンズの焦点距離f3との関係は、1<|f3/f1|<5である。
【0017】
選択可能に、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第3のレンズの焦点距離f3との関係は、0.5<|f/f3|<3である。
【0018】
選択可能に、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第4のレンズの焦点距離f4との関係は、0<|f/f4|<6である。
【0019】
選択可能に、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第5のレンズの焦点距離f5との関係は、0<|f/f5|<5である。
【0020】
選択可能に、前記第1のレンズの物体側の表面の曲率半径R1と像側の表面の曲率半径R2との関係は、-5<R1/R2<0である。
【0021】
選択可能に、前記第2のレンズの物体側の表面の曲率半径R3と像側の表面の曲率半径R4との関係は、-10<(R3+R4)/(R3-R4)<5である。
【0022】
選択可能に、前記第3のレンズの物体側の表面の曲率半径R5と像側の表面の曲率半径R6との関係は、1<f/|R5|+f/|R6|<15である。
【0023】
fは光学結像モジュールの全体の焦点距離である。
【0024】
選択可能に、前記第4のレンズの物体側の表面の曲率半径R7と像側の表面の曲率半径R8との関係は、-2<R7/R8<10である。
【0025】
選択可能に、前記第1のレンズの物体側の表面の頂点から前記第5のレンズの像側の表面の頂点までの距離Tdと前記第1のレンズの物体側の表面の頂点から前記結像面までの距離TTLとの関係は、0.4<Td/TTL<1である。
【0026】
選択可能に、前記第5のレンズの屈折率N5は1.8未満である。
【0027】
選択可能に、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記光学結像モジュールの入射瞳径Denpとの関係は、f/Denp>2である。
【0028】
本開示の実施例の第2の態様によれば、上記第1の態様のいずれか一項に記載の光学結像モジュールを含み、前記光学結像モジュールの像面側にイメージセンサユニットが設置される光学結像装置が提供される。
【0029】
本開示の実施例の第3の態様によれば、上記第2の態様における前記光学結像装置を含む電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本開示の実施例に係る技術案は以下の有益な効果を奏することができる。
【0031】
本開示の実施例に係る技術案は、物体側から離れた第2のレンズ群(後群)を移動させることで被写体に焦点を合わせることにより、光学結像モジュールを小型化することができ、さらに、本開示の実施例では、正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズを組み合わせることで、光学結像モジュール全体の球面収差及びコマ収差を抑えることができ、光学結像モジュールの近距離撮影の性能及び撮影効果を向上させることができる。
【0032】
なお、以上の一般的な説明及び以下の詳しい説明は例示的及び説明的なものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここの図面は明細書に組み込まれて本明細書の一部となり、本開示に一致する実施例を示し、明細書とともに本開示の原理を説明する。
【
図1】例示的な一実施例に係る光学結像モジュールの概略構造
図1である。
【
図2】例示的な実施例1に係る光学結像モジュールの概略構造
図2である。
【
図3】例示的な実施例1に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図1である。
【
図4】例示的な実施例1に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図2である。
【
図5】例示的な実施例2に係る光学結像モジュールの構造概略
図3である。
【
図6】例示的な実施例2に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図3である。
【
図7】例示的な実施例2に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図4である。
【
図8】例示的な実施例3に係る光学結像モジュールの概略構造
図4である。
【
図9】例示的な実施例3に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図5である。
【
図10】例示的な実施例3に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図6である。
【
図11】例示的な実施例4に係る光学結像モジュールの概略構造
図5である。
【
図12】例示的な実施例4に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図7である。
【
図13】例示的な実施例4に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図8である。
【
図14】例示的な実施例5に係る光学結像モジュールの概略構造
図6である。
【
図15】例示的な実施例5に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図9である。
【
図16】例示的な実施例5に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図10である。
【
図17】例示的な実施例6に係る光学結像モジュールの概略構造
図7である。
【
図18】例示的な実施例6に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図11である。
【
図19】例示的な実施例6に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図12である。
【
図20】例示的な実施例7に係る光学結像モジュールの概略構造
図8である。
【
図21】例示的な実施例7に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図13である。
【
図22】例示的な実施例7に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図14である。
【
図23】例示的な一実施例に係る電子機器のハードウェア構造のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、例示的な実施例を詳しく説明するが、その例は図面に示される。以下の説明は図面に関わる場合、特に明記されていない限り、異なる図面における同じ数字は同じ又は類似する要素を表す。以下の例示的な実施例で説明された実施形態は、本開示と一致するすべての実施形態を表すものではない。むしろ、それらは、添付の特許請求の範囲で詳しく説明された、本開示の一部の態様に一致する装置及び方法の例に過ぎない。
【0035】
図1は、例示的な一実施例に係る光学結像モジュールの概略構造
図1である。
図1に示すように、光学結像モジュールは、光軸方向に沿って物体側から結像面へ順次配置された第1のレンズ群11及び第2のレンズ群12を含むことができ、前記第1のレンズ群11は正の屈折力を有し、前記物体側から前記結像面へ順次配置された、正の屈折力を有する第1のレンズ101及び負の屈折力を有する第2のレンズ102を含み、前記第1のレンズ101の物体側の表面及び像側の表面は両方とも凸面であり、前記第2のレンズ群12は、屈折力を有する複数のレンズを含み、前記屈折力を有する複数のレンズは、少なくとも1つの可動レンズを含み、前記可動レンズは、前記光軸に沿って移動して異なる距離の被写体に焦点を合わせるためのものである。
【0036】
第1のレンズ群及び第2のレンズ群における各レンズは互いに離間している。いくつかの実施例では、第1のレンズ群及び第2のレンズ群における各レンズの光学中心をは同じ直線に位置するため、光学結像モジュールの光軸を形成することができる。実現の過程では、第2のレンズ群内のいずれかの可動レンズと、隣接するレンズとの間の距離は変更可能であり、つまり、本開示の実施例では、第2のレンズ群内のいずれかの可動レンズと、隣接するレンズとの間の距離を変えることで、異なる距離の被写体に焦点を合わせる機能を実現することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、駆動アセンブリにより少なくとも1つの可動レンズを駆動して移動させることができる。例えば、駆動アセンブリは、例えば光軸に平行なガイドレールを含み、ガイドレールは可動レンズにスライド可能に接続される。駆動アセンブリは、リニアモータ、ロータモータなどの駆動モータで構成される。本開示の実施例では、可動レンズに駆動アセンブリを設置することで、駆動アセンブリにより可動レンズを駆動して移動させることができ、光学結像モジュールの光学ズームを実現することができる。
【0038】
他のいくつかの実施例では、第2のレンズ102の物体側の表面は凹面である。第2のレンズ102は負の屈折力を有するため、第1のレンズ101の正の屈折力によって生成された収差を補正することができる。他のいくつかの実施例では、第2のレンズ102の像側の表面は凹面又は凸面であってもよく、具体的には必要に応じて設定することができ、ここでは具体的に限定されない。
【0039】
他のいくつかの実施例では、第2のレンズ102の物体側の表面は凹面である。引き続き
図1を参照すると、本開示の実施例では、第1のレンズ101の物体側の表面及び像側の表面を両方とも凸面とし、且つ第2のレンズ102の物体側の表面を凹面とすることで、第1のレンズ101の像側の表面と第2のレンズ102の物体側の表面とを密着させることができ、光学結像モジュールの全長を短くすることができるだけではなく、球面収差及びコマ収差の減少にも役立つ。
【0040】
本開示の実施例に係る技術案は、物体側から離れた第2のレンズ群(後群)の移動によって被写体に焦点を合わせることを実現し、焦点を合わせる間に光学全長が変化しないように確保でき、モジュールの小型化をより容易に実現することができる。さらに、本開示の実施例では、正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズの組み合わせを用いることで、光学結像モジュール全体の球面収差及びコマ収差抑えることができ、光学結像モジュールの近距離撮影の性能及び撮影効果を向上させることができる。
【0041】
他のいくつかの実施例では、光学結像モジュールは、結像面の位置に位置するイメージセンサ13をさらに含む。
【0042】
他のいくつかの実施例では、
図1に示すように、光学結像モジュールは、レンズ群の像面側と前記結像面との間に位置するフィルタアセンブリ14をさらに含む。ここで、フィルタアセンブリは、赤外線フィルタなど、異なる波長帯の光をフィルタリングするものを指す。
【0043】
他のいくつかの実施例では、
図1に示すように、光学結像モジュールは、偏光アセンブリ15をさらに含む。例えば、当該偏光アセンブリは、光を偏向させるアセンブリ、例えば反射レンズ、直角プリズムなどであってもよい。光偏光アセンブリを設置することで、入射光を偏向させて第1のレンズ群及び第2のレンズ群に入射させることができ、異なる電子機器の寸法要件を満たすことができる。
【0044】
いくつかの実施例では、光学結像モジュールは、前記第2のレンズ102と前記第2のレンズ群12との間に位置し、被写体に焦点を合わせる過程で中心主光線の口径を規定するための口径絞りをさらに含んでもよい。これにより、大口径で光を通過させることを維持するとともに、上部と下部との光線の口径の比率のバランスを取り、エッジ視野の相対照度を向上させるのに有利である。
【0045】
他のいくつかの実施例では、結像面に入射する中心主光線の最大角度(Chief Ray Angle、CRA)は設定された角度閾値よりも小さく、例えば、25度未満である。本開示の実施例では、口径絞りの位置を変えることで、イメージセンサのCRAを最適にするのにさらに役立ち、、最適な光電変換効率を達成することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、前記口径絞りから前記結像面までの距離Lsと前記第1のレンズ101から前記結像面までの距離TTLとの関係は、Ls/TTL<0.9であってもよい。
【0047】
本開示の実施例では、口径絞りから結像面までの距離Lsと第1のレンズから結像面までの距離TTLとの関係を限定することで、上部と下部との光線の比率のバランスを取るのに有利であり、第1のレンズ群(前群)の口径を減少させるとともに、エッジ視野が高い相対照度を有することを確保することができる。
【0048】
いくつかの実施例では、光学結像モジュールは、前記第1のレンズ101の物体側に位置し、前記被写体に焦点を合わせる過程で、周辺光線の入射量を規定するための視野絞りを更に含んでもよい。
【0049】
本開示の実施例では、第1のレンズの物体側の有効口径に視野絞りを設置することができる。本開示の実施例では、視野絞りを第1のレンズの物体側に設置することにより、視野絞りは物体側に最も近い箇所に位置し、このように、光線は第1のレンズ群及び第2のレンズ群に入る前にまず視野絞りを通過する必要がある。
【0050】
視野絞りは物体側に最も近く、光学結像モジュールの前端に位置するため、視野絞りの寸法を大きくする際に他のアセンブリの寸法を対応して大きくする必要がない。このようにすることで、他のアセンブリの寸法によって制約されず、必要に応じて視野絞りの寸法を大きくすることが可能となり、入射光量及び光線の回折限界を向上させることができる。さらには、第1のレンズの口径を小さくするうえで、エッジ視野の雑光による結像効果への悪影響を軽減することができる。
【0051】
いくつかの実施例では、光学結像モジュールは、視野絞りの第1のレンズ101から離れた側(即ち物体側)に位置する光透過カバーをさらに含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、前記第1のレンズ101のアッベ数Vd1は30よりも大きく、前記第2のレンズ102のアッベ数Vd2は40未満である。正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズを組み合わせて使用することにより、色収差を効果的に補正することができる。
【0053】
いくつかの実施例では、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第1のレンズ101の焦点距離f1との関係は、2<f/f1<10であってもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、f/f1の値が大きすぎる場合、例えば上限値(例えば、10)を超える場合、第1のレンズの屈折力が強すぎるため、球面収差及び軸外コマ収差が大きすぎて、収差の補正が困難になる。
【0055】
f/f1の値が小さいすぎる場合、例えば、下限値(例えば、2)を超える場合、第1のレンズ群の屈折力が弱いため、光学全長が増加し、小型化は実現しにくい。本開示の実施例では、光学結像モジュールにおける各レンズの屈折力の設定に対して、第1のレンズの焦点距離を適切な範囲内に制御することにより、光学全長の短縮と球面収差の抑制とのバランスを取ることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、前記結像面の有効検知領域の対角線長の半分IHと前記第1のレンズから前記結像面までの距離TTLとの関係は、2.2<TTL/IH<10であってもよい。
【0057】
本開示の実施例では、結像面にイメージセンサが設置され、センサ素子の有効像面の寸法を適切な範囲内に限定することにより、構成された光学結像モジュールを長焦点距離の光学結像システムにより好適なものとすることができる。
【0058】
いくつかの実施例では、前記可動レンズが複数である場合、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと複数の前記可動レンズの統合焦点距離との関係は、0.1<|fm/f|<3であってもよい。
【0059】
ここで、無限遠から近距離までの異なる距離の被写体に焦点を合わせる時、第1のレンズ群が固定されており、第2のレンズ群11又は第2のレンズ群12内の一部のレンズを移動させることで、被写体に焦点を合わせることを実現する。光学結像モジュールは無限遠の位置で焦点を合わせる時の焦点距離はfであり、複数の可動レンズの統合焦点距離(合焦群の焦点距離)はfmである。
【0060】
本開示の実施例では、第2のレンズ群又は第2のレンズ群内の一部のレンズを移動させることで、焦点を合わせる過程での収差の増加を抑え、近距離結像の品質を向上させ、無限遠から近距離にかけて良好な結像品質を維持することができ。上記式の比の値が上限値を超える場合、合焦群の移動ストロークが大きすぎて、必要とされる全体スペースが増加し、モジュール寸法は小型化しにくい。下限値より低い時、合焦群の屈折力が大きく、焦点を合わせる感度が高すぎて、焦点を合わせる過程での収差が急激に増加し、近距離結像性能の向上に不利である。本開示の実施例では、合焦群の焦点距離を指定範囲内に制御することにより、合焦群のストロークと焦点を合わせる感度とのバランスを取ることができる。
【0061】
いくつかの実施例では、屈折力を有する前記複数のレンズは、前記物体側から前記結像面へ順次配置された第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含むことができ、前記第3のレンズ、前記第4のレンズ及び/又は前記第5のレンズは移動可能である。
【0062】
本開示の実施例に係る技術案は、物体側から離れる第3のレンズ、第4のレンズ及び/又は第5のレンズの移動により、被写体に焦点を合わせるのを実現し、光学結像モジュールを小型化することができる。また、本開示の実施例では、正の屈折力を有する第1のレンズ及び負の屈折力を有する第2のレンズを組み合わせることで、光学結像モジュール全体の球面収差及びコマ収差を抑えることができ、光学結像モジュールの近距離撮影の性能及び撮影効果を向上させることができる。
【0063】
いくつかの実施例では、前記第3のレンズは負の屈折力を有し、前記第3のレンズの像側の表面は凹面であり、前記第4のレンズは正の屈折力を有し、前記第4のレンズは、物体側の表面が凹面であり、像側の表面が凸面であり、前記第5のレンズは負の屈折力を有し、前記第5のレンズの物体側の表面は凹面である。
【0064】
例えば、光学結像モジュールは、正の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凸面である第1のレンズ101と、負の屈折力を有し、物体側の表面が凹面で、像側の表面が凸面である第2のレンズ102と、負の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凹面である第3のレンズと、正の屈折力を有し、物体側の表面が凹面であり、像側の表面が凸面である第4のレンズと、負の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凹面である第5のレンズと、を含んでもよい。
【0065】
無論、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズは他の構造や形状であってもよい。また、実施例における第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの具体的な構造や形状についても、関連する例とともに以下に説明する。
【0066】
他のいくつかの実施例では、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの材質は、プラスチック材質であってもよい。無論、他の材質であってもよく、ここで具体的に限定されない。
【0067】
いくつかの実施例では、前記第3のレンズは正の屈折力を有し、前記第4のレンズは負の屈折力を有し、前記第4のレンズの像側の表面は凹面であり、前記第5のレンズは正の屈折力を有し、前記第5のレンズの物体側の表面は凸面である。
【0068】
例えば、光学結像モジュールは、正の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凸面である第1のレンズ101と、負の屈折力を有し、物体側の表面が凹面で、像側の表面が凸面である第2のレンズ102と、正の屈折力を有し、物体側の表面が凸面で、像側の表面が凹面である第3のレンズと、負の屈折力を有し、物体側の表面が凸面で、像側の表面が凹面である第4のレンズと、正の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凸面である第5のレンズと、を含んでもよい。
【0069】
無論、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズは他の構造や形状であってもよい。実施例における第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの具体的な構造や形状についても、関連する例とともに以下に説明する。
【0070】
いくつかの実施例では、前記第1のレンズ101の焦点距離f1と前記第3のレンズの焦点距離f3との関係は、1<|f3/f1|<5であってもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、|f3/f1|の値が上限値を超える場合、第1のレンズの屈折力が強く、第3のレンズの屈折力が弱く、球面収差及び軸外収差が増加し、良好な収差補正を達成しにくい。|f3/f1|の値が下限値より低い場合、第1のレンズの焦点距離が大きく、屈折力が弱く、良好な色収差効果を達成できず、良好な結像効果を達成できない。本開示の実施例では、光学結像モジュールにおける各レンズの屈折力の設定について、第3のレンズの焦点距離を適切な範囲内に制御することにより、光学全長の短縮と球面収差の抑制とのバランスを取り、良好な収差補正及び良好な色収差相殺効果を達成することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第3のレンズの焦点距離f3との関係は、0.5<|f/f3|<3であってもよい。
【0073】
本開示の実施例では、第3のレンズの焦点距離が口径絞り(絞り)に近い。第3のレンズが負の屈折力であるとともに、第2のレンズが第3のレンズと同じく負の屈折力である場合、第2のレンズの屈折力が弱くなり、全体の偏心感度が低くなる。|f/f3|の値が上限値を超える場合、第3のレンズの屈折力が強く、球面収差が過度に補正される。|f/f3|の値が下限値より低い場合、第3のレンズの屈折力が弱くなり、球面収差及び軸外収差の補正能力が弱くなるとともに、第2のレンズとのマッチング関係が悪くなり、良好な色収差相殺効果を達成しにくい。
【0074】
これに対して、本開示の実施例では、第3のレンズの焦点距離を適切な範囲内に制御することにより、光学全長の短縮と球面収差の抑制のバランスを取り、良好な収差補正及び良好な色収差相殺効果を達成できるだけではなく、該光学結像モジュールの第2のレンズ群又は第2のレンズ群内の一部のレンズ(例えば、第3のレンズ)を移動させることにより、近距離の結像範囲を伸ばすことができ、さらに、近距離結像の品質を向上させることができ、無限遠から近距離にかけて極めて優れる結像品質を達成することができる。
【0075】
いくつかの実施例では、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第4のレンズの焦点距離f4との関係は、0<|f/f4|<6であってもよい。
【0076】
本開示の実施例では、第4のレンズの焦点距離の範囲を定義し、第4のレンズの焦点距離を適切な範囲内に制御することにより、感度の低下及び収差補正の最適化に有利である。好ましくは、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第4のレンズの焦点距離f4との関係は、0<|f/f4|<5であってもよい。
【0077】
いくつかの実施例では、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第5のレンズの焦点距離f5との関係は、0<|f/f5|<5であってもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、|f/f5|の値が上限値を超える場合、又は|f/f5|の値が下限値より低い場合、エッジ視野の収差補正、特に像面湾曲及びコマ収差に不利である。
【0079】
本開示の実施例では、第5のレンズの焦点距離範囲を定義し、第5のレンズの焦点距離を適切な範囲内に制御することにより、エッジ視野の収差補正に有利であるだけではなく、良好な色収差相殺効果を達成することもできる。好ましくは、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記第5のレンズの焦点距離f5との関係は、0<f/f5<4であってもよい。
【0080】
いくつかの実施例では、前記第5のレンズの屈折率N5は1.8未満である。
【0081】
いくつかの実施例では、前記第1のレンズ101の物体側の表面の曲率半径R1と像側の表面の曲率半径R2との関係は、-5<R1/R2<0である。
【0082】
本開示の実施例では、第1のレンズ101の形状を定義し、当該範囲を超えると、球面収差の補正と非点収差とのバランス関係に不利である。本開示の実施例では、R1/R2の値を上記範囲内に限定することで、良好な収差補正及び良好な色収差相殺効果を達成することができ、球面収差補正と非点収差とのバランス関係をさらに取ることができる。好ましくは、上記範囲は-4<R1/R2<0に限定されてもよい。
【0083】
いくつかの実施例では、前記第2のレンズ102の物体側の表面の曲率半径R3と像側の表面の曲率半径R4との関係は、-10<(R3+R4)/(R3-R4)<5であってもよい。
【0084】
本開示の実施例では、第2のレンズ102の形状を定義し、当該範囲を超えると、球面収差補正と非点収差とのバランス関係に不利である。本開示の実施例では、第2のレンズの形状を上記範囲内に限定することで、良好な収差補正及び良好な色収差相殺効果を達成することができ、球面収差補正と非点収差とのバランス関係をさらに取ることができる。
【0085】
好ましくは、前記第2のレンズの物体側の表面の曲率半径R3と像側の表面の曲率半径R4との関係は、-8<(R3+R4)/(R3-R4)<3であってもよい。
【0086】
いくつかの実施例では、前記第3のレンズの物体側の表面の曲率半径R5と像側の表面の曲率半径R6との関係は、1<f/|R5|+f/|R6|<15である。
【0087】
fは、光学結像モジュールの全体の焦点距離である。
【0088】
本開示の実施例では、第3のレンズの形状を定義し、第3のレンズの像側の表面を凹面とすることにより、像面湾曲及びコマ収差の補正に有利である。当該範囲を超えると、各収差のバランス補正に不利である。
【0089】
いくつかの実施例では、前記第4のレンズの物体側の表面の曲率半径R7と像側の表面の曲率半径R8との関係は、-2<R7/R8<10であってもよい。
【0090】
本開示の実施例では、第4のレンズの形状を定義することにより、エッジ視野の収差補正に有利である。当該範囲を超えると、エッジ視野の収差補正に不利である。
【0091】
他のいくつかの可能な実施例では、前記第4のレンズの物体側の表面の曲率半径R7と像側の表面の曲率半径R8との関係は、-1<R7/R8<9であってもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、前記第1のレンズ101の物体側の表面の頂点から前記第5のレンズの像側の表面の頂点までの距離Tdと、前記第1のレンズ101の物体側の表面の頂点から前記結像面までの距離TTLとの関係は、0.4<Td/TTL<1である。
【0093】
本開示の実施例では、第1のレンズから結像面までの距離(レンズ群全長)と結像システム全長との関係を定義し、第2のレンズ群(後群)を用いて焦点を合わせる方式で、光学結像モジュールの全長を最大限に活用し、焦点を合わせる感度の低下と全長の短縮とのバランス効果を達成することができる。第1のレンズと結像面との間の距離は、第1のレンズの物体に近い側の頂点から結像面までの距離である。
【0094】
他のいくつかの実施例では、光学結像モジュールの全視野角(FOV)はFOV<60度という関係を満たすことができる。本開示の実施例では、全視野角を60度以下に限定することにより、当該光学結像モジュールを中長焦点距離の光学結像レンズにより好適なものとすることができる。
【0095】
他のいくつかの実施例では、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズは、非球面レンズであってもよい。他のいくつかの実施例では、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの材質は、光学プラスチックを含んでもよい。
【0096】
いくつかの実施例では、前記光学結像モジュールの全体の焦点距離fと前記光学結像モジュールの入射瞳径Denpとの関係は、f/Denp>2であってもよい。
【0097】
本開示の実施例では、f/Denpは、光学結像モジュールの絞り値である。本開示の実施例では、絞り値を適切な範囲内に限定し、例えば絞り値を2より大きいものとすることで、光学結像モジュールに入る光量を確保するとともに、モジュール寸法の要件を満たすことができる。
【0098】
いくつかの実施例では、電子機器をさらに提供し、前記電子機器は上記いずれかの実施例に係る光学結像モジュールを含み、結像面にイメージセンサを設置し、合焦レンズ群にモータなどのアセンブリを組み合わせ、そのうちの1つのレンズ群を手振れ防止アセンブリなどとする。
【0099】
本開示は光学結像モジュールに対して以下の実施例をさらに提供する。
【実施例0100】
図2は例示的な一実施例に係る光学結像モジュールの概略構造
図2で、
図3は例示的な実施例に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図1で、
図4は例示的な一実施例に係る球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの概略
図2である。
図3に示すように、
図3では被写体の物体距離が無限遠である時の球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの図を左から右へ順次示しており、
図4に示すように、
図4では被写体の物体距離が100ミリメートル(mm)である時の球面収差、非点収差及び歪曲のグラフの図を左から右へ順次示している。
図2に示すように、光学結像モジュールは、正の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凸面である第1のレンズ101と、負の屈折力を有し、物体側の表面が凹面で、像側の表面が凸面である第2のレンズ102と、負の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凹面である第3のレンズ103と、正の屈折力を有し、物体側の表面が凹面で、像側の表面が凸面である第4のレンズ104と、負の屈折力を有し、物体側の表面及び像側の表面が両方とも凹面である第5のレンズ105と、を含んでもよい。
【0101】
他のいくつかの実施例では、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの材質は例えばプラスチックである。無論、他の材質であってもよいが、ここで具体的に限定されない。
【0102】
表1は例示的な一実施例に係る光学結像システムの光学構造データであり、
図2に示す光学結像システムに対応するものである。
【0103】
【0104】
fは光学結像モジュールの全体の焦点距離を表し、fnoは絞り値を表し、HFOVは半視野角を表し、TYPEは面のタイプを表し、Sは面の番号を表し、Rは曲率半径を表し、thiは各レンズの厚さ及び隣接するレンゾ間の空気間隔を表し、Ndは屈折率を表し、Vdは分散係数(アッベ数)を表し、EFLは焦点距離を表し、OBJは被写体を表し、infは無限遠を表し、D0は被写体から1枚目のレンズの物体側の表面の頂点までの距離を表し、ASPは非球面を表し、imageは結像面を表し、d1は合焦群と、合焦群に最も近い物体側の固定レンズとの間の空気間隔を表し、d2は合焦群と、合焦群に最も近い像面側の固定レンズとの間の空気間隔を表す。
【0105】
表2は例示的な一実施例に係る非球面係数であり、
図2に示す光学結像システムに対応するものである。
【0106】
【0107】
surfaceは面の番号を表す。
【0108】
表3は例示的な一実施例に係る合焦レンズの位置関係であり、
図2に示す光学結像システムに対応するものである。
【0109】
【0110】
D0は被写体と、物体側に近い1枚目のレンズの頂点との距離を表し、Pos1は無限遠位置にある被写体に焦点を合わせる際の合焦群の位置関係を表す。Pos2は100mmの位置距離にある被写体に焦点を合わせる際の合焦群の前後空間の間隔位置関係を表す。infは無限遠を表す。
他のいくつかの実施例では、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの材質はプラスチックであってもよい。無論、他の材質であってもよいが、ここで具体的に限定されない。
fは光学結像モジュールの全体の焦点距離を表し、fnoは絞り値を表し、HFOVは半視野角を表し、TYPEは面のタイプを表し、Sは面の番号を表し、Rは曲率半径を表し、thiは厚さを表し、Ndは屈折率を表し、Vdは分散係数を表し、EFLは焦点距離を表し、OBJは被写体を表し、infは無限遠を表し、D0は被写体から1枚目のレンズの物体側の表面の頂点までの距離を表し、ASPは非球面を表し、imageは結像面を表し、d1は合焦群と、合焦群に最も近い物体側の固定レンズとの間の空気間隔を表し、d2は合焦群と、合焦群に最も近い像面側の固定レンズとの間の空気間隔を表す。
D0は被写体と、物体側に近い1枚目のレンズの頂点との距離を表し、Pos1は無限遠位置にある被写体に焦点を合わせる際の合焦群の位置関係を表す。Pos2は100mmmの位置距離にある被写体に焦点を合わせる際の合焦群の前後空間の間隔位置関係を表す。infは無限遠を表す。