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特開2022-176096磁性スクープを備えた氷ビン、製造方法、および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176096
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】磁性スクープを備えた氷ビン、製造方法、および使用方法
(51)【国際特許分類】
   F25C 5/20 20180101AFI20221117BHJP
【FI】
F25C5/20 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064544
(22)【出願日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】17/318,486
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522044777
【氏名又は名称】トゥルー マニュファクチャリング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】True Manufacturing Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】2001 E Terra Lane, O’Fallon, MO 63366 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナット, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】カイエンブルク, クルト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用しないときは氷の上に置かれ氷スクープが冷たくなったり、新たに生成された氷に氷スクープが埋まってしまい、ユーザが見つけ難くなると共にユーザが氷を掘り進む必要が生じない氷スクープの支持手段を備えた氷ビンを提供する。
【解決手段】氷ビン100は、外側シェル内にライナ120を備える。支持プレート130は、ライナ120と外側シェルとの間の空間に取り付けられる。支持プレート130は、強磁性または磁性材料を有する。スクープ105は、磁性または強磁性材料を有する。支持プレート105は、支持プレート130とスクープ105との間の磁気吸引力により、氷ビン100の内部における氷ビン100の周壁上にスクープ105が支持され、ビン100内に保管された氷と接触しないように、かつ氷の落下経路から外れるように配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷ビンであって、
下側部と、上側部と、前記下側部から前記上側部まで高さ方向に延びる周壁と、を有するビン本体を備え、
前記ビン本体の前記上側部は、前記氷ビンの上に支持された製氷機から落下した氷が内部へ通過可能な氷落下領域を規定し、
前記ビン本体は、前記氷落下領域から離れて設けられ、前記氷ビンの内部へのアクセスを提供する氷取出領域をさらに有し、
前記周壁は、前記氷ビンの内部において前記周壁上に氷スクープを支持するように構成された支持プレートであって、前記氷スクープと前記支持プレートとの間の磁気吸引力により前記氷スクープを支持する支持プレートを有する、氷ビン。
【請求項2】
前記支持プレートは、強磁性材料または磁性材料で構成される、請求項1に記載の氷ビン。
【請求項3】
前記周壁は、外側シェルと、前記外側シェルの内部に配置されたライナと、を有する、請求項2に記載の氷ビン。
【請求項4】
前記支持プレートは、前記ライナと前記外側シェルとの間の空間において前記ライナ上に支持される、請求項3に記載の氷ビン。
【請求項5】
前記支持プレートを前記ライナに接続する両面テープをさらに備える、請求項4に記載の氷ビン。
【請求項6】
前記支持プレートは、前記ライナの側面における前側かつ上寄りの角部に配置される、請求項5に記載の氷ビン。
【請求項7】
前記支持プレートは、前縁部と、後縁部と、前記前縁部から前記後縁部まで延びる前後深さと、を有する、請求項6に記載の氷ビン。
【請求項8】
前記支持プレートの前記前後深さは、約8~24インチの包括的範囲にある、請求項7に記載の氷ビン。
【請求項9】
前記ライナは、前面と、後面と、前後深さと、を有し、
前記支持プレートの前記前後深さは、前記ライナの前記前後深さの約10%以上である、請求項7に記載の氷ビン。
【請求項10】
前記支持プレートは、上縁部と、下縁部と、前記上縁部から前記下縁部まで延びる高さと、を有する、請求項6に記載の氷ビン。
【請求項11】
前記支持プレートの前記高さは、約12~36インチの包括的範囲にある、請求項10に記載の氷ビン。
【請求項12】
前記ライナは、上面と、下面と、前記下面から前記上面まで延びる高さと、を有し、
前記支持プレートの前記高さは、前記ライナの前記高さの約10%以上である、請求項10に記載の氷ビン。
【請求項13】
前記周壁は、前記ライナと前記外側シェルとの間に配置された断熱層をさらに有する、請求項4に記載の氷ビン。
【請求項14】
前記断熱層は、前記ライナと前記外側シェルとの間において前記支持プレートを囲むように形成される、請求項13に記載の氷ビン。
【請求項15】
氷の保管および取出しアセンブリであって、
下側部、上側部、および前記下側部から前記上側部まで高さ方向に延びる周壁を含むビン本体を有する氷ビンであって、前記ビン本体の前記上側部は、前記氷ビンの上に支持された製氷機から落下した氷が内部へ通過可能な氷落下領域を規定し、前記ビン本体は、前記氷落下領域から離れて設けられ、前記氷ビンの内部へのアクセスを提供する氷取出領域をさらに有し、前記周壁は、支持プレートを有する、氷ビンと、
少なくとも1つの磁性または強磁性要素を有する氷スクープであって、前記氷ビンの内部において、前記氷スクープと前記支持プレートとの間の磁気吸引力によって前記周壁上の前記支持プレートが覆われる位置に自身を支持するように構成された氷スクープと、
を備える、氷の保管および取出しアセンブリ。
【請求項16】
前記周壁は、外側シェルと、前記外側シェルの内部に配置されたライナと、を有する、請求項15に記載の氷の保管および取出しアセンブリ。
【請求項17】
前記周壁は、前記ライナと前記外側シェルとの間に配置された断熱層をさらに有する、請求項16に記載の氷の保管および取出しアセンブリ。
【請求項18】
前記スクープは、少なくとも1つの囲われた凹部と、前記囲われた凹部の内部に配置された磁性または強磁性要素と、を有する、請求項17に記載の氷の保管および取出しアセンブリ。
【請求項19】
氷ビンを製造する方法であって、
前記氷ビンのライナと前記氷ビンの外側シェルとの間の空間において、前記ライナ上に支持プレートを仮支持する工程と、
前記ライナと前記外側シェルとの間の空間に、前記支持プレートに適合するように硬化性の断熱材を充填する工程と、
前記硬化性の断熱材を硬化させることで、前記ライナと前記外側シェルとの間の空間において前記断熱材で前記支持プレートを支持する工程と、
を備える、方法。
【請求項20】
氷ビンおよびスクープを使用する方法であって、
前記氷ビンの内面に前記スクープを支持する前記スクープと前記氷ビンとの間の磁気吸引力に打ち勝つことにより、前記氷ビンの前記内面から前記スクープを分離する工程と、
前記氷ビンの内部に保管された氷を前記スクープで前記氷ビンの外へ取り出す工程と、
前記スクープと前記氷ビンとの間の磁気吸引力によって前記スクープが前記内壁上に支持されるように、前記氷ビンの前記内面に前記スクープを再び取り付ける工程と、
を備える、方法。
【請求項21】
スクープを作る方法であって、
開口端を含む磁気収容囲い部を有するスクープを形成する工程と、
前記開口端を介して前記磁気収容囲い部の内部に磁気要素を配置する工程と、
前記磁気収容囲い部の前記開口端を覆うキャップを前記スクープに結合して前記キャップにより前記囲い部内に前記磁気要素を保持する工程と、
を備える、方法。
【請求項22】
前記キャップを結合する工程は、前記キャップを前記スクープに超音波溶接することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ビン本体およびフロントドアアセンブリを有し、前記フロントドアアセンブリは、シェル、ライナ、および支持プレートを含む、氷ビンと、
少なくとも1つの磁性または強磁性要素を有する氷スクープであって、前記氷スクープと前記支持プレートとの間の磁気吸引力によって前記フロントドアアセンブリ上に着脱可能に支持されるように構成された氷スクープと、
を備える、製氷装置。
【請求項24】
前記支持プレートは、前記氷ビンからユーザが氷を取り出すための開口と並んでいる、請求項23に記載の氷ビン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、氷ビンおよび氷スクープに関する。
【背景技術】
【0002】
氷ビンは、製氷機から氷を受けて氷を使用時まで保管するのに用いられる。氷ビンは、氷とユーザの手とが直接接触しない状態で当該ビンから保管された氷を取り出すためのスクープを備えることが多い。スクープは、典型的には、使用しないときは氷の上に置かれる。氷スクープを氷の上に置くことにより、特に長時間にわたってスクープがビン内にあったときは、ユーザが触る際にスクープが冷たくなりがちである。また、スクープが使用されずに氷の上に置かれると、新たに生成された氷に氷スクープが埋まってしまい、ユーザが見つけ難くなると共にユーザが氷を掘り進む必要が生じ、ユーザが寒くなったり氷が汚れる可能性が生じたりする。
【発明の概要】
【0003】
ある局面において、ビン本体を備える氷ビンが開示される。ビン本体は、下側部と、上側部と、下側部から上側部まで高さ方向に延びる周壁と、を有する。ビン本体の上側部は、氷ビンの上に支持された製氷機から落下した氷が内部へ通過可能な氷落下領域を規定する。ビン本体は、氷落下領域から離れて設けられ、氷ビンの内部へのアクセスを提供する氷取出領域をさらに有する。周壁は、氷ビンの内部において周壁上に氷スクープを支持するように構成された支持プレートであって、氷スクープと支持プレートとの間の磁気吸引力により氷スクープを支持する支持プレートを有する。
【0004】
別の局面において、氷ビンを備える氷の保管および取出しアセンブリが開示される。氷ビンは、下側部、上側部、および下側部から上側部まで高さ方向に延びる周壁を含むビン本体を有する。ビン本体の上側部は、氷ビンの上に支持された製氷機から落下した氷が内部へ通過可能な氷落下領域を規定する。ビン本体は、氷落下領域から離れて設けられ、氷ビンの内部へのアクセスを提供する氷取出領域をさらに有する。周壁は、少なくとも1つの磁性または強磁性要素を含む氷スクープを支持するための支持プレートを有する。氷スクープは、氷ビンの内部において、氷スクープと支持プレートとの間の磁気吸引力によって周壁上の支持プレートが覆われる位置に自身を支持するように構成される。
【0005】
さらに別の局面において、氷ビンを製造する方法が開示される。方法は、氷ビンのライナおよび外側シェルを形成する工程と、外側シェルの内部にライナを挿入する工程と、ライナと外側シェルとの間に粘着剤を用いて支持プレートを仮固定する工程と、ライナと外側シェルとの間の領域に断熱層を形成して支持プレートを所定位置に本固定する工程と、を備える。
【0006】
別の局面において、氷ビンおよびスクープを使用する方法が開示される。方法は、第一に、氷ビンの内面にスクープを支持するスクープと氷ビンとの間の磁気吸引力に打ち勝つことにより、氷ビンの内面からスクープを分離する工程を備える。第二に、氷ビンの内部に保管された氷をスクープで氷ビンの外へ取り出す。第三に、スクープと氷ビンとの間の磁気吸引力によってスクープが内壁上に支持されるように、氷ビンの内面にスクープを再び取り付ける。
【0007】
別の局面において、スクープを作る方法が開示される。方法は、開口端を含む磁気収容囲い部を有するスクープを形成する工程と、開口端を介して磁気収容囲い部の内部に磁気要素を配置する工程と、磁気収容囲い部の開口端を覆うキャップをスクープに結合してキャップにより囲い部内に磁気要素を保持する工程と、を備える。
【0008】
別の局面において、製氷装置が開示される。製氷装置は、ビン本体およびフロントドアアセンブリを有する氷ビンを備える。フロントドアアセンブリは、シェル、ライナ、および支持プレートを含む。製氷機は、少なくとも1つの磁性または強磁性要素を有する氷スクープをさらに備える。スクープは、氷スクープと支持プレートとの間の磁気吸引力によってフロントドアアセンブリ上に着脱可能に支持されるように構成される。
【0009】
本開示の他の主題および特徴は、以下において、部分的に明らかになると共に部分的に示されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、氷ビンおよびスクープの斜視図である。
図2図2は、氷ビンおよびスクープの正面図である。
図3図3は、図2の1-1線の平面に沿った断面図である。
図4図4は、図2の2-2線の平面に沿った断面図である。
図5図5は、支持プレートの側面図である。
図6図6は、図2の3-3線の平面に沿った断面図である。
図7図7は、図2の4-4線の平面に沿った断面図である。
図8図8は、スクープの正面図である。
図9図9は、図8の5-5線の平面に沿った断面図である。
図10図10は、スクープの側面図である。
図11図11は、図10の6-6線の平面に沿った断面図である。
図12図12は、スクープの分解斜視図である。
図13図13は、別の姿勢の氷ビンおよびスクープの斜視図であって、氷ビンの外側シェルの周壁パネルが透明に示されて垂直支持部材が見えている。
図14図14は、製氷装置の斜視図である。
図15図15は、製氷装置の正面図である。
図16図16は、製氷装置の側面図である。
図17図17は、図15の7-7線の平面に沿った断面図である。
図18図18は、図16の8-8線の平面に沿った断面図である。
図19図19は、図16の9-9線の平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各図を通して、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0012】
図1および図2は、スクープ105を備える氷ビン100を示す。氷ビンは、ビン本体110を備える。ビン本体は、下側部112と、上側部114と、周壁116とを有する。周壁116は、下側部112から上側部114まで高さ方向に延びている。周壁116は、さらに、外側シェル118およびライナ120を有する。ライナ120は、周壁116の内周を規定し、外側シェル118は、周壁の外周を規定する。ライナ120は、外側シェル118の内部に配置されていて、さらに、後の使用に向けて保管される氷のための氷ビン100の内部を規定する。
【0013】
氷ビン100は、さらに、2つの開口、すなわち氷落下開口122(広くは、氷落下領域)および氷取出開口124(広くは、氷取出領域)を備える。上側部114は、氷落下開口122を囲んでいて、台座を形成するように構成される。氷落下開口122は、氷ビン100の上で上側部114の台座に支持された製氷機(図示せず)で形成された氷が、氷落下開口を通過して氷ビンに入るように構成される。製氷機からの氷は、氷落下開口122を通過すると、後の使用のためにライナ120の内部に留まる。氷は、その後、ユーザにより、氷取出開口124を介してライナ120の内部から取り出される。氷取出開口は、図1に示すように、氷ビン100の概ね前部に配置される。ドア126は、氷取出開口124を機動的に開閉するように構成される。氷ビン100は、脚128により地面から離れて支持される。
【0014】
図3では、周壁116の外側シェル118の左側面は、外側シェルとライナ120との間の領域が見えるように省略されている。同様に、図4では、周壁116の外側シェルの右側面が、外側シェルとライナ120との間の領域が見えるように省略されている。ライナの左側および右側の一方または両方において、ライナ120の外面は、支持プレート130を支持するように構成される。
【0015】
概して、各支持プレート130は、支持プレートとスクープとの間の磁気吸引力により、ビン100の内壁にスクープ105を支持するように構成される。1つ以上の実施形態において、支持プレート130は、亜鉛めっき鋼などの強磁性材料を含んでもよく、スクープ105は、強磁性スクープと支持プレートとの間に磁気吸引力を及ぼすように構成された磁性材料を含む。別の実施形態では、支持プレート130は、磁石を含み、スクープ105は、強磁性材料を含み、それにより支持プレート130は、ビンの壁部にスクープを保持するための磁気吸引力をスクープに及ぼすように構成される。以下では、各支持プレート130が単一片の強磁性材料(例えば、亜鉛めっき鋼)を含み、かつスクープ105が1つ以上の磁石を含む例示的な実施形態について説明する。しかしながら、ビンとスクープとの間における磁性材料と強磁性材料の使用は、本開示の範囲を逸脱することなく逆転可能であることが理解される。
【0016】
支持プレート130は、概して、ライナ120の上寄りの前側角部において当該ライナに支持されるように構成され、よって氷取出開口124の近くにある。図示の支持プレート130は、支持プレートとライナの前面との間、または支持プレートとライナの頂部との間に基本的に空間がないように、ライナ120の上寄りの前側角部に支持される。この配置によると、スクープ105が、詳しくは後述するように、氷落下経路から離れてかつ氷槽の外部に位置することが可能となる。
【0017】
図5に示すように、支持プレート130は、後縁部と前縁部(例えば、支持プレートの最前縁部)との間の距離によって規定される前後深さD1を有する。一の実施形態では、支持プレートの前後深さは、約4~24インチ(例えば、約6~18インチ)の包括的範囲にある。図示の実施形態では、支持プレート130の後縁部は、ライナ120の後面から離れている。例えば、(図3および図4に示す)1つ以上の実施形態において、支持プレート130の後縁部は、約8~24インチ(例えば、約12~18インチ)の包括的範囲にある前後離間距離D3だけライナ120の後面から離れている。特定の実施形態では、前後離間距離は、支持プレートの前後深さD1よりも大きい。前後離間距離に沿って、ユーザは、ビンの内壁にスクープ105を磁気的に支持することができない。このことは、ユーザによってビン100の後部にスクープ105が配置されないこと、およびビン100の後部にスクープ105があると氷の落下が妨げられ得ることから望ましい。ライナ120それ自体は、前後深さD4を有する。1つ以上の実施形態において、支持プレートの前後深さD1は、ライナの前後深さD4の約10~75%の包括的範囲(例えば、約20~50%の包括的範囲)にある。特定の実施形態では、前後離間距離D3は、ライナの前後深さD4の約25~90%の包括的範囲(例えば、約50~80%の包括的範囲)にある。図示の実施形態では、各支持プレート130の上寄りの前側角部の領域は、氷取出開口124周りのドアフレームの角度に適合するように傾斜がついている。この傾斜のために、プレート130の上縁部は、プレート130の全体的な前後深さD1よりも小さい前後深さD2を有する。特定の実施形態では、傾斜前後深さD2は、支持プレート130の前後深さD1の約10~90%の包括的範囲にある。
【0018】
支持プレート130は、上縁部と下縁部との間の上下高さH1を有する。一の実施形態では、上下高さH1は、約6~36インチ(例えば、約8~30インチ)の包括的範囲にある。図示の実施形態では、支持プレート130の下縁部は、約12~36インチ(例えば、約16~30インチ)の包括的範囲にある上下離間距離H3だけライナ120の底部から離れている。特定の実施形態では、上下離間距離H3は、上下高さ距離H1よりも大きい。ライナ120それ自体は、上下高さH4を有する。1つ以上の実施形態において、支持プレートの上下高さH1は、ライナの上下高さH4の約10~75%の包括的範囲(例えば、約20~50%の包括的範囲)にある。特定の実施形態では、上下離間距離H3は、ライナの上下高さH4の約25~90%の包括的範囲(例えば、約50~80%の包括的範囲)にある。図示の実施形態では、各支持プレート130の上寄りの前側角部の領域は、氷取出開口124周りのフレームの角度に適合するように傾斜がついている。この傾斜のために、プレート130の上縁部は、全高さH1よりも小さい高さH2を傾斜の下に有する。特定の実施形態では、高さH2は、高さH1の約10~90%の包括的範囲にある。傾斜縁は、プレート130の前縁との間に、前側鉛直縁と傾斜縁との間の外側の角度として測定される角度A1を規定する。
【0019】
図7に示すように、外側シェル118とライナ120との間の領域には、断熱層(図示せず)が配置される。断熱層は、ライナ120と外側シェル118との間において支持プレート130を囲むように形成される。1つ以上の実施形態において、断熱層は、スプレーフォーム断熱材から形成される。所定の位置に形成されると、断熱材は、支持プレート130を所定の配置でしっかりと保持する。しかし、詳しくは後述するように、図示のビン105は、さらに、プレート130とライナ120との間に、プレートをライナ上に追加的に支持する両面テープ(広くは、粘着剤)を有する。両面テープは、特に、フォーム断熱材が所定の位置に形成される前にライナの所定位置にプレートを保持するように構成される。断熱層は、ライナ120内の温度を氷点近くまたは氷点下に保つと共に、それよりも温かい大気温度に向かう変化を遅くする。
【0020】
図8図12に示すように、スクープ105は、握り部138および汲み部140を備える。握り部138は、遠位端および近位端を有する。汲み部140は、握り部138の遠位端に取り付けられる。汲み部140は、1つ以上の磁気収容囲い部144を規定しており、各囲い部に磁気要素146(広くは、磁気吸引要素で、図示の実施形態では磁性材料で構成された要素を含むが、上述のように、他の実施形態では強磁性材料で構成される要素を含んでもよい。)が収容される。囲い部144は、さらにキャップ145を有し、磁気収容囲い部内に磁気要素146が配置されると、当該キャップが磁気収容囲い部の開口端を覆うようにスクープ105に結合され、キャップによって囲い部内に磁気要素が保持される。一の実施形態では、スクープ105は、プラスチックで構成される。代替的な実施形態において、ビン支持プレート130が強磁性材料の代わりに磁石を備える場合、強磁性要素のためのポケットを設ける代わりにスクープ105全体が亜鉛めっき鋼などの強磁性材料で構成され得ることも考えられる。図示の磁気要素146は、図1図2、および図6に示すように、支持プレート130と協働して、氷ビン100のライナ118の内壁に対して、支持プレートが覆われた位置にスクープ105を支持するように構成される。
【0021】
図13に示すように、図示の実施形態では、シェル118は、シェルの周壁パネルを支持するサブフレームを備える。シェル118の左右側面の各々は、サブフレームの垂直フレーム部材150を有する。図13では、垂直フレーム部材150が見えるように右側パネル壁の一部が透明に示されており、そうでなければ垂直フレーム部材150は当該パネル壁の後ろに隠れる。図示の実施形態では、垂直フレーム部材150は、ビンの後面よりもビン100の前面の近くに配置される。1つ以上の実施形態において、垂直フレーム部材150は、亜鉛めっき鋼などの強磁性材料で構成され、それによりスクープ105は、垂直フレーム部材とスクープの磁気要素146との間の磁気吸引力によりビン100の外面に支持され得る。1つ以上の実施形態において、強磁性の垂直フレーム部材150は、シェルのパネル壁のすぐ近くにあり、断熱材によってライナ120から隔てられている。一方、各支持プレート130は、ライナ120のすぐ近くに配置されていて、断熱材によってパネル壁から隔てられている。したがって、支持プレート130によってスクープ105がビン100の内部に磁気的に支持され得る一方、垂直フレーム部材150によってスクープがビンの外部に磁気的に支持され得る。
【0022】
次に、氷ビン100およびスクープ105を使用する例示的な方法について簡単に説明する。氷を生成してビン内に保管するための製氷機(図示せず)が、氷ビン100の上側部に支持される。氷が生成されると、製氷機は、上側部114により規定される氷落下開口122を介して、ライナ120により規定される氷ビン100の内部へ氷を落下させる。ライナ120は、ユーザが使用を望むまで、内部に氷を収容する。ライナ120内の氷は、外側シェル118とライナとの間に配置された断熱層(図示せず)によって溶けるのが抑止される。ユーザは、氷ビン100内の氷を使うことを決めると、ドア126を開く。初期位置において、スクープ105は、ライナ120のうち支持プレート130が覆われた位置に支持されている。この支持プレート130が覆われた初期位置では、スクープ105は、氷落下開口122を介した氷の落下経路の外にある。スクープ105は、スクープ内の磁気要素146と支持プレートの強磁性材料との間の磁気吸引力によってライナ120上に支持される。ユーザは、スクープ105の握り部138を掴み、力を加えることでスクープ105の磁気要素146と支持プレート130との間の磁気力に打ち勝ち、スクープをライナ120上の支持位置から解放する。そして、ユーザは、スクープ105を使ってライナ120の外へ氷を取り出す。氷は、所望の位置に運びやすいように、スクープ105のボウル140内に集められる。ユーザは、氷ビン100の外部に氷を取り出すと、ライナ120内の支持プレート130が覆われた領域にスクープ105を配置する。1つ以上の実施形態において、ライナ120は、スクープを配置する位置をユーザが視認できるように、支持プレート130の位置を示すマークを有する。磁気要素146と支持プレート130との間の磁気力により、ライナ120の内部にスクープ105が再び支持される。あるいは、ユーザは、スクープ105を実質的に同じ方法で使用する一方、外側シェル118の外面における垂直支持部材150が覆われた領域にスクープが支持されるようにしてもよい。
【0023】
次に、上述した氷ビン100を製造する例示的な方法について簡単に説明する。方法は、ライナ120を形成する工程と、外側シェル118を形成する工程と、両面テープを用いてライナ上に支持プレート130を仮支持する工程と、シェル内にライナを収容してライナとシェルとの間の空間に支持プレートを収容する工程とを備える。これらの工程の特定の順序は、重要ではない。そのため、1つ以上の実施形態において、ライナ120を形成し、その後で支持プレート130をライナに仮固定し、その後でシェルをライナの周囲に組み付けてもよい。別の実施形態では、ライナ120および外側シェル118の各々を適当な製造プロセスで形成し、その後で支持プレート130をライナに仮固定し、その後でライナと支持プレートのアセンブリをシェル内に挿入してもよい。さらに別の実施形態では、ライナ120および外側シェル118の各々を適当な製造プロセスで形成し、その後でライナを外側シェル内に挿入し、その後でプレートをライナとシェルとの間の空間においてライナに仮固定してもよい。任意の適当な製造プロセスが、ライナ120およびシェル118の形成に使用可能である。例示的な実施形態では、ライナ120は、吹込成形されたプラスチックから吹込成形プロセスで形成される。シェル118は、サブフレームを組み立てて、適当な固定手段または機械的なタブやフックを用いてサブフレームに外側シェル壁パネルを固定することで適切に形成されてもよい。上述したように、例示的な実施形態では、支持プレート130は、粘着剤(例えば、両面テープ)を用いてライナ120上に仮止めされる。支持プレート130を仮固定してライナ120を外側シェル118内に配置した後、ビン100を断熱しかつ支持プレートを所定位置に本固定するために、外側シェルとライナとの間の空間に断熱層を発泡形成する。例えば、硬化性および流動性を有する断熱材料が当該空間に供給され、当該空間を実質的に満たすと共に支持プレート130に適合する。その後、断熱材料は、硬化して支持プレート130を所望の位置にしっかりと保持する。
【0024】
次に、上述したスクープ105を製造する例示的な方法について簡単に説明する。方法は、開口端を含む磁気要素収容囲い部144を有するスクープ105を形成する工程と、開口端を介して磁気要素収容囲い部の内部に磁気要素146を配置する工程と、磁気要素収容囲い部の開口端を覆うキャップ145をスクープ105に結合してキャップにより囲い部内に磁気要素を保持する工程とを備える。一の実施形態では、キャップ145を結合する工程は、スクープ105にキャップを超音波溶接することを含む。スクープ105は、モールド成形により形成されてもよく、好ましくはプラスチックで構成される。
【0025】
発明者は、上述した氷ビン100およびスクープ105が複数の利点をもたらすと信じている。スクープが氷の上に直接置かれる従来のビンと比較して、本開示のビン100およびスクープ105は、便利ですぐ使用できる位置にスクープを保持するための、はるかに衛生的な方法を提供すると信じる。スクープを氷の上に直接置くことには、ユーザの手からスクープへ、ひいてはビン内の氷へ細菌その他の病原体が移動する危険が伴う一方、図示の氷ビン100およびスクープ105によると、ユーザは、氷に直接触れることなく、すぐ使用できる位置にスクープを素早く容易に配置することができる。また、氷の外にスクープを支持するための組込式ブラケットを備える従来の氷ビンと比較して、図示のビン100およびスクープ105は、スクープを支持するための、はるかに便利でユーザフレンドリーな機構を提供すると信じる。発明者は、氷ビン内部のスクープ保持ブラケットが、ユーザに対して特定の位置および向きでのスクープ支持しか提供しないため、(特に、けがや身体障害による身体的制限を伴う使用において)往々にして使いにくいことを見出した。これに対し、図示の支持プレート130は、氷と接触せずかつ製氷機の動作と関係なく、ビンの側壁のどこにどのようにしてユーザがスクープ105を支持するかの広範な可能性を提供する。
【0026】
図14図19に示すように、本開示に含まれ得る別の実施形態では、氷ビンは、家庭用製氷機のように製氷機265に一体化されていて、符号200で示されている。家庭用製氷機は、上述の磁性スクープ105を着脱可能に支持するように構成されたフロントドアアセンブリ260を有するビン本体210を備える。図示のドアアセンブリ260は、ヒンジにより回転して開閉するように、ビン本体210に取り付けられるように構成される。ドアアセンブリ260は、シェル218およびライナ220を有し、両者の間には、断熱材を収容するように構成された空間が規定される。上述のビン本体110と同様に、図示のドアアセンブリは、ライナ220に固定された支持プレート230を有する。図示の実施形態では、支持プレート230は、ドアが開状態のときにユーザが製氷装置から氷を取り出すための開口と並ぶように構成される。例示的な実施形態では、支持プレート230は、(上述の支持プレート130と同様に)テープによってライナ220に仮固定された後、恒久的な設置に付される。見てわかるように、支持プレート230によると、磁性スクープ105は、ドアが開閉可能な位置において自身をドアアセンブリ260上に支持し得る。使用時、ユーザは、ドア260を開け、スクープ105をドアから分離し、家庭用氷ビン200から氷を取り出し、スクープとドアとの間の磁気吸引力によりドアにスクープが支持されるようにスクープをドアに戻し、最後にドアを閉めてもよい。
【0027】
様々な変更および改変が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を逸脱することなく可能であることは明らかであろう。上述の構造および方法において、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であるため、上述の説明に含まれる全ての事項および添付の図面に示される全ての事項は、説明的なものであって限定的に解釈されるべきではない。
図1
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【外国語明細書】