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特開2022-176099金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ
<図1>
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ 図1
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ 図2
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ 図3
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ 図4
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176099
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ用の溶融金属レベルセンサ
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/90 20210101AFI20221117BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221117BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221117BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221117BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20221117BHJP
   B22F 12/50 20210101ALI20221117BHJP
【FI】
B22F12/90
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F10/20
B22F12/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065121
(22)【出願日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】17/319,830
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・アール.・ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ディネシュ・クリシュナ・クマール・ジャヤバル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3D金属物体プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求める装置を備えた金属滴吐出機器、および該金属滴吐出機器を動作させる方法を提供する。
【解決手段】三次元(3D)金属物体製造機器は、機器内の加熱容器104の収容部内に含まれる溶融金属の上面の位置を時折求めるためのワイヤ検出器190を備えている。加熱された容器に供給される固体金属ワイヤは、引込まれ、引込まれたワイヤ120の長さは、ワイヤ検出器によって生成された信号を使用して求められる。求められた長さのワイヤを使用して、レベルが収容部の所定の容量を下回った場合に収容部を補充することができるように、収容部内の溶融金属の上部レベルの位置を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属滴吐出機器であって、
容器と、前記容器内の収容部とを有する吐出装置ヘッドと、
第1の端部で固体金属ワイヤを受容するように構成されたワイヤガイドであって、前記固体金属ワイヤを、前記固体金属ワイヤが中を通って出て前記容器の前記収容部に向かって移動する第2の端部に前記ワイヤガイドを通して向かわせるように構成されたワイヤガイドと、
前記容器が前記吐出装置ヘッド内にある間に、前記容器の前記収容部内で固体金属ワイヤを溶融させるのに十分な温度まで、前記容器を加熱するように構成されたヒータと、
前記固体金属ワイヤに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータであって、前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記ワイヤガイドを通して前記固体金属ワイヤを双方向に移動させるように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、
前記ワイヤガイドの前記第2の端部と前記容器内の前記収容部との間に位置付けられたワイヤ検出器であって、前記ワイヤ検出器は、前記ワイヤ検出器に前記固体金属ワイヤが存在することを示す第1の信号を生成すること、及び前記ワイヤ検出器に前記固体金属ワイヤが存在しないことを示す第2の信号を生成すること、を行うように構成されている、ワイヤ検出器と、を備える、金属滴吐出機器。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータ、前記吐出装置ヘッド、及び前記ヒータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、
前記容器の前記収容部内で前記固体金属ワイヤを溶融させるように、前記ヒータを動作させること、
前記収容部から溶融金属の液滴を吐出するように、前記吐出装置ヘッドを動作させること、
前記ワイヤ検出器が前記第2の信号を生成するまで、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記固体金属ワイヤを前記収容部から引込ませること、及び
前記収容部内の前記溶融金属の上面の位置を求めること、を行うように構成されている、コントローラを更に備える、金属滴吐出機器。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記収容部から前記ワイヤ検出器に引込まれた前記固体金属ワイヤの長さを特定して、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記位置を求めるように、更に構成されている、請求項2に記載の金属滴吐出機器。
【請求項4】
前記収容部から引込まれた前記固体金属ワイヤの前記長さを測定するように構成されたワイヤ変位センサを更に備える、請求項3に記載の金属滴吐出機器。
【請求項5】
一対のローラであって、前記ローラのうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つのアクチュエータによって駆動される、一対のローラと、
前記少なくとも1つのアクチュエータによって駆動される前記ローラのうちの前記少なくとも1つの回転速度に対応する信号を生成するように構成されたセンサと、を更に備え、
前記コントローラは、
前記固体金属ワイヤが前記収容部から引込まれている間に前記センサによって生成された前記信号、前記少なくとも1つのローラの半径、及び前記固体金属ワイヤの引込みの開始と前記ワイヤ検出器による前記第2の信号の前記生成との間で特定された期間を使用することによって、前記収容部から引込まれた前記固体金属ワイヤの前記長さを特定するように更に構成されている、請求項4に記載の金属滴吐出機器。
【請求項6】
前記コントローラが、
引込まれている間の前記固体金属ワイヤの速度、及び前記固体金属ワイヤの引込みの開始と前記ワイヤ検出器による前記第2の信号の前記生成との間で特定された期間を使用することによって、前記収容部から引込まれた前記固体金属ワイヤの前記長さを特定するように更に構成されている、請求項3に記載の金属滴吐出機器。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の求められた位置を、前記収容部の容積の90%まで充填されている前記収容部に対応する前記収容部内の位置と比較するように更に構成されている、請求項6に記載の金属滴吐出機器。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記吐出装置ヘッドによって吐出された溶融金属滴のカウントを累積すること、
前記収容部内で溶融された固体金属ワイヤの量を特定すること、及び
前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて前記固体金属ワイヤを引込ませる前に、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面が前記収容部の前記容積の90%まで充填されている前記収容部に対応する前記位置よりも低いかどうかを判断すること、を行うように更に構成されている、請求項7に記載の金属滴吐出機器。
【請求項9】
前記コントローラが、前記収容部内で溶融された前記固体金属ワイヤの量の10%を超える量が吐出されたかどうかを判断することによって、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記位置を求めるように更に構成されている、請求項8に記載の金属滴吐出機器。
【請求項10】
前記コントローラが、
前記溶融金属の前記上面の前記位置を求めた時から、前記吐出装置ヘッドによって吐出された溶融金属滴のカウントを累積すること、
溶融金属滴の累積された前記カウントが所定のカウントNに達したときに、前記固体金属ワイヤを前記収容部から引込ませることであって、前記所定のカウントNは、比例定数Kをかけた固体金属ワイヤの長さFに対応する、こと、
前記所定のカウントNに達し、前記固体金属ワイヤが前記収容部から引込まれた後に、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記位置を特定すること、及び
前記所定のカウントNに達した後、満杯の前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の求められた位置と前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の特定された位置との間の差を使用して、前記比例定数Kの値を調整すること、を行うように更に構成されている、請求項7に記載の金属滴吐出機器。
【請求項11】
前記コントローラが、
前記差が負の場合、前記比例定数Kの前記値を増加させること、及び
前記差が正の場合、前記比例定数kの値を減少させること、を行うように更に構成されている、請求項10に記載の金属滴吐出機器。
【請求項12】
前記コントローラが、
前記比例定数Kの連続的な調整に対するKの変化率が減少している場合、Nが増加するように更に構成されている、請求項11に記載の金属滴吐出機器。
【請求項13】
前記容器が、前記吐出装置ヘッドから取り外し可能である、請求項2に記載の金属滴吐出機器。
【請求項14】
前記ワイヤ検出器が、光透過性センサである、請求項2に記載の金属滴吐出機器。
【請求項15】
前記ワイヤ検出器が、誘導センサである、請求項2に記載の金属滴吐出機器。
【請求項16】
金属滴吐出機器を動作させる方法であって、
ワイヤガイドの第2の端部と、前記ワイヤガイドから受容した固体ワイヤを溶融するように構成されている容器内の収容部との間に位置付けられたワイヤ検出器を用いて、前記ワイヤ検出器に固体金属ワイヤが存在することを示す第1の信号値を生成することと、
前記ワイヤ検出器を用いて、前記ワイヤ検出器に前記固体金属ワイヤが存在しないことを示す第2の信号値を生成することと、
前記収容部内の前記溶融金属の上面レベルの位置を求めることと、を含む、方法。
【請求項17】
コントローラを用いて、前記容器の前記収容部内で前記固体金属ワイヤを溶融させるように、ヒータを動作させることと、
前記コントローラを用いて、前記収容部から溶融金属の液滴を吐出するように、吐出装置ヘッドを動作させることと、
前記コントローラを用いて、前記ワイヤ検出器が前記第2の信号値を生成するまで、少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記固体金属ワイヤを前記収容部から引込ませることと、
前記コントローラを用いて、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記位置を求めることと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コントローラを用いて、前記収容部から前記ワイヤ検出器に引込まれた前記固体金属ワイヤの長さを特定して、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記位置を求めることを、更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記固体金属ワイヤの前記長さの前記特定が、
前記コントローラを用いて、前記固体金属ワイヤの引込みの開始と前記ワイヤ検出器による前記第2の信号の前記生成との間の期間を特定することと、
前記コントローラを用いて、前記特定された期間に、前記固体金属ワイヤの引込み中の前記固体金属ワイヤの速度を乗算することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラを用いて、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記求められた位置を、前記収容部の容積の90%まで充填されている前記収容部に対応する前記収容部内の位置と比較することを、更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コントローラを用いて、前記吐出装置ヘッドによって吐出された溶融金属滴のカウントを累積することと、
前記コントローラを用いて、前記収容部内で溶融された固体金属ワイヤの量を特定することと、
前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて前記固体金属ワイヤを引込ませる前に、前記収容部内の前記溶融金属の前記上面が前記収容部の前記容積の90%まで充填されている前記収容部に対応する前記位置よりも低いかどうかを判断することと、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記収容部内の前記溶融金属の前記上面の前記位置を求めることが、
前記コントローラを用いて、前記収容部内で溶融された前記固体金属ワイヤの量の10%を超える量が吐出されたかどうかを判断することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
光透過センサで前記第1の信号値及び前記第2の信号値を生成することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
誘導センサで前記第1の信号値及び前記第2の信号値を生成することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶融金属滴を吐出して物体を形成する三次元(3D)物体プリンタに関し、より具体的には、吐出のための、そのようなプリンタで利用可能な溶融金属の量の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形(additive manufacturing)としても知られる三次元印刷は、事実上あらゆる形状のデジタルモデルから三次元の固体物体を作製するプロセスである。多くの三次元印刷技術は、積層造形デバイスが、前に堆積された層の上に部品の連続層を形成する積層プロセスを使用する。これらの技術のいくつかは、フォトポリマー又はエラストマーなどの紫外線硬化材料を吐出する吐出装置を使用する。プリンタは、典型的には、様々な形状及び構造を有する三次元被印刷物体を構築する可塑性材料の連続層を形成するように、1つ以上の押出し機を動作させる。三次元被印刷物体の各層が形成された後、可塑性材料は、紫外線硬化され、固まり、その層を三次元被印刷物体の下地層に接着する。この積層造形法は、ほとんどが切断又はドリル加工などの減法プロセスによる加工物からの材料の除去に依存する従来の物体形成技術と区別可能である。
【0003】
最近、1つ以上の吐出装置から、溶融金属の液滴を吐出して3D物体を形成するいくつかの3D物体プリンタが開発されている。これらのプリンタは、ワイヤのロール又はペレットなどの固体金属源を有し、この固体金属源は、固体金属が溶融されるプリンタ内の容器の加熱された収容部に供給され、溶融金属が収容部を充填する。収容部は、周囲に電気ワイヤが巻き付けられてコイルを形成する非導電性材料で作製されている。電流がコイルを通過することにより、電磁場を生成し、その電磁場により、収容部のノズルにおいて溶融金属のメニスカスが収容部内の溶融金属から分離し、ノズルから推進する。吐出装置のノズルの反対側にあるプラットフォームは、コントローラ動作するアクチュエータによって、プラットフォームの平面に平行なX-Y平面内で移動されて、吐出された金属滴がプラットフォーム上に物体の金属層を形成し、別のアクチュエータは、コントローラによって動作されて、吐出装置又はプラットフォームの位置を垂直方向又はZ方向に変化させる、吐出装置と、形成される金属物体の最上層との間の距離を一定に維持する。このタイプの金属滴吐出プリンタは、磁気流体力学(MHD)プリンタとしても知られている。
【0004】
プリンタ内の容器の収容部内の溶融金属は、プリンタ内の溶融金属の供給を使い尽くすことなく、金属滴吐出動作をサポートするのに十分なレベルに維持する必要がある。1つの金属滴吐出プリンタでは、青色レーザーが、収容部内の溶融金属の表面レベルに向けられ、反射センサが、収容部内の溶融金属の現在の高さを求めるために、表面レベルによるレーザーの反射を監視する。センサ出力が、表面レベルが収容部内の閾値位置まで落下したことを示す場合、ワイヤ供給アクチュエータは、より多くの固体金属を収容部に供給するように動作される。
【0005】
溶融金属プール測定のためのレーザー及び反射センサ配置は、収容部内の正確な表面レベル位置を求めるためのいくつかの問題を提示する。一例としては、レーザービームとセンサとの光学的整列は、反射された光信号を受け取り、反射された光信号との堅牢な接触を維持するセンサの能力に影響を及ぼし得る障害に非常に敏感である。この整列は、プリンタの上部ブロックを保守するために取り外した後に、センサの取り付けブラケットを再設置すると、確立するのが困難である。レーザーのレンズはまた、凝縮物質で汚染されることがあり、これは、ビーム強度を減衰させることがある。更に、プリンタ内のアルゴンなどの不活性ガス環境にもかかわらず、酸化アルミニウム層が、溶融金属の上に形成され、誤ったセンサ読み取り値につながる場合がある。この酸化アルミニウム層はまた、固体金属の表面上に担持された有機汚染物質を含有し得る。この層は自己支持性になり得、レーザービームが溶融金属の真の表面に到達するのを防止し得るため、センサ出力が誤りとなる。最後に、反射センサは高価である。より安価で、より堅牢な溶融金属表面感知スキームが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
3D金属物体プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求める新しい方法は、より堅牢で経済的である。この方法は、ワイヤガイドの第2の端部と、ワイヤガイドから受容した固体ワイヤを溶融するように構成されている容器内の収容部との間に位置付けられたワイヤ検出器を用いて、ワイヤ検出器に固体金属ワイヤが存在することを示す第1の信号値を生成することと、ワイヤ検出器を用いて、ワイヤ検出器に固体金属ワイヤが存在しないことを示す第2の信号値を生成することと、収容部内の溶融金属の上面レベルの位置を求めることと、を含む。
【0007】
新しい3D金属物体プリンタは、より堅牢で経済的な方法で、3D金属物体プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求める。新しい3D金属物体プリンタは、容器内に収容部を有する容器を有する吐出装置ヘッドと、第1の端部で固体金属ワイヤを受容するように構成されたワイヤガイドであって、固体金属ワイヤを、固体金属ワイヤが中を通って出て容器の収容部に向かって移動する第2の端部にワイヤガイドを通して向かわせるように構成されたワイヤガイドと、容器が吐出装置ヘッド内にある間に、容器の収容部内の固体金属ワイヤを溶融するのに十分な温度まで容器を加熱するように構成されたヒータと、固体金属ワイヤに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータであって、この少なくとも1つのアクチュエータは、ワイヤガイドを通して固体金属ワイヤを双方向に移動させるように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、ワイヤガイドの第2の端部と容器内の収容部との間に位置付けられたワイヤ検出器であって、このワイヤ検出器は、ワイヤ検出器に固体金属ワイヤが存在することを示す第1の信号を生成すること、及びワイヤ検出器に固体金属ワイヤが存在しないことを示す第2の信号を生成することを行うように構成されている、ワイヤ検出器と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以前に知られているものよりも堅牢で経済的である3D金属物体プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求める方法の前述の態様及び他の特徴、並びにその方法を実装する3D金属物体プリンタは、添付の図面に関連して、以下の記述で説明される。
【0009】
図1】レーザー測定方法よりも堅牢かつ経済的に、3D金属物体プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求める新しい3D金属物体プリンタを示す。
【0010】
図2図1のワイヤガイド124にワイヤを提供するために使用され、図1のプリンタの容器の収容部から引込まれたワイヤを測定するワイヤ供給機構の概略図である。
【0011】
図3】ワイヤ検出器及び金属滴計数法を使用して、3D金属物体プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求めるプロセスのためのフロー図である。
【0012】
図4図1のプリンタの容器の収容部内の溶融金属の表面レベル測定値間でカウントされる吐出金属滴の数を求めるために使用される比例定数Kを調整するプロセスのフロー図である。
【0013】
図5】プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルの位置を求めるためのレーザーシステムを使用する3D金属プリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示された3D金属物体プリンタ及びその動作のための環境、並びにプリンタ及びその動作の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号は同様の要素を表す。
【0015】
図5は、レーザービーム及び反射センサを使用してプリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルを求める、以前に知られている3D金属物体プリンタ100の実施形態を示す。図5のプリンタでは、溶融バルク金属の液滴は、単一のノズル108を有する取り外し可能な容器104の収容部から吐出され、ノズルからの液滴が、プラットフォーム112上に物体の層のためのスワスを形成する。本文書で使用されるとき、「取り外し可能な容器」という用語は、液体又は固体物質を保持するように構成された収容部を有する中空コンテナを意味し、コンテナは全体として、3D金属物体プリンタにおける設置及び取り外し可能に構成されている。本文書で使用されるとき、「バルク金属」という用語は、一般に利用可能な標準規格のワイヤ、又はマクロサイズの比率のペレットなどの、集合形態で入手可能な導電性金属を意味する。金属ワイヤ120などのバルク金属源116は、吐出装置ヘッド140内の上部ハウジング122を通って延在するワイヤガイド124に供給され、取り外し可能な容器104内で溶融されて、吐出装置ヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110を通ってノズル108から吐出される溶融金属を提供する。本文書で使用されるとき、「ノズル」という用語は、取り外し可能な容器内の収容部からの溶融金属滴の圧出のために構成された取り外し可能な容器内のオリフィスを意味する。本文書で使用されるとき、「吐出装置ヘッド」という用語は、金属物体の製造のための溶融金属滴の溶融、吐出、及び吐出の調整を行う3D金属物体プリンタのハウジング及び構成要素を意味する。溶融金属レベルセンサ184は、レーザー及び反射センサを含む。溶融金属レベルからのレーザーの反射は、反射センサによって検出され、溶融金属レベルまでの距離を示す信号を生成する。コントローラは、この信号を受信し、取り外し可能な容器の収容部内の上方レベル118に維持することができるように、取り外し可能な容器104内の溶融金属の体積のレベルを求める。取り外し可能な容器104がヒータ160内へと摺動し、ヒータの内径が取り外し可能な容器に接触し、取り外し可能な容器の収容部内の固体金属を、固体金属を溶融させるのに十分な温度まで加熱することが可能になる。本文書で使用されるとき、「固体金属」という用語は、元素の周期表で定義されている金属、又は液体若しくは気体ではなく固体の形態でこれらの金属によって形成される合金を意味する。ヒータは、取り外し可能な容器から分離されて、ヒータと取り外し可能な容器104との間に体積を形成する。不活性ガス供給部128は、ガス供給管132を通して吐出装置ヘッドにアルゴンなどの不活性ガスの圧力調整された供給源を提供する。ガスは、ヒータと取り外し可能な容器との間の体積を通って流れ、ノズル108の周りの吐出装置ヘッド及びベースプレート114内のオリフィス110から出ていく。ノズルに近接するこの不活性ガスの流れは、溶融金属の吐出された液滴をベースプレート114の周囲空気から絶縁して、吐出された液滴の飛行中に金属酸化物が形成されるのを防止する。
【0016】
吐出装置ヘッド140は、プラットフォーム112に対する吐出装置ヘッドの垂直移動に対応するように、Z軸軌道内に移動可能に装着される。1つ以上のアクチュエータ144は、吐出装置ヘッドをZ軸に沿って移動させるために吐出装置ヘッド140に動作可能に接続され、プラットフォームを吐出装置ヘッド140の下のX-Y平面内で移動させるために、プラットフォーム112に動作可能に接続される。アクチュエータ144は、吐出装置ヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の最上面との間の適切な距離を維持するように、コントローラ148によって動作される。
【0017】
溶融金属の液滴がプラットフォーム112に向かって吐出されるときに、X-Y平面内でプラットフォーム112を移動させることにより、形成される物体上に溶融金属滴のスワスが形成される。コントローラ148はまた、アクチュエータ144を動作させ、吐出装置ヘッド140と、基材上に最も近時に形成された層との間の垂直距離を調節して、物体上の他の構造の形成を容易にする。溶融金属3D物体プリンタ100は、垂直方向に動作されるものとして図3に図示してあるが、他の代替的な配向を使用してもよい。また、図3に示す実施形態は、X-Y平面で移動するプラットフォームを有し、吐出装置ヘッドはZ軸に沿って移動するが、他の配置も可能である。例えば、アクチュエータ144は、吐出装置ヘッド140をX-Y平面内で、Z軸に沿って移動させるように構成されることも、又はX-Y平面及びZ軸の両方でプラットフォーム112を移動させるように構成されることもできる。
【0018】
コントローラ148は、スイッチ152を動作させる。1つのスイッチ152は、供給源156からヒータ160に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得、別のスイッチ152は、ノズル108から液滴を吐出する電場を生成するために別の電源156からコイル164に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得る。ヒータ160は高温で大量の熱を生成するため、コイル164は、吐出装置ヘッド140の1つ(円形)又は2つ以上の壁(直線形状)によって形成されたチャンバ168内に位置付けられる。本文書で使用されるとき、「チャンバ」という用語は、ヒータ、コイル、及び3D金属物体プリンタの取り外し可能な容器が位置する1つ以上の壁内に収容された体積を意味する。取り外し可能な容器104及びヒータ160は、このチャンバ内に位置する。チャンバは、ポンプ176を介して流体源172に流体的に接続され、また熱交換器180に流体的に接続される。本文書で使用されるとき、「流体源」という用語は、熱を吸収するのに有用な特性を有する液体のコンテナを指す。熱交換器180は、流体源172への戻りを介して接続される。供給源172からの流体は、チャンバを通って流れて、コイル164から熱を吸収し、流体は、交換器180を通して吸収された熱を搬送し、熱は、既知の方法によって除去される。冷却された流体は、適切な動作範囲内のコイルの温度を維持する際に更に使用するために、流体源172に戻される。
【0019】
3D金属物体プリンタ100のコントローラ148は、金属物体製造のためにプリンタを制御するために、外部供給源からのデータを必要とする。一般に、形成される物体の三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラ148に動作可能に接続されたメモリ内に記憶され、コントローラは、サーバなどを介して、デジタルデータモデルが記憶されている遠隔データベースにアクセスし得るか、又はデジタルデータモデルが記憶されているコンピュータ可読媒体が、コントローラ148に選択的に連結されてアクセス可能になり得る。この三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラと共に実装されるスライサによって処理され、既知の方法でコントローラ148が実行するマシン対応命令を生成して、プリンタ100の構成要素を動作させ、そのモデルに対応する金属物体を形成する。マシン対応命令の生成には、デバイスのCADモデルがSTLデータモデル、又は他の多角形メッシュ若しくは他の中間表現に変換されるときなどの中間モデルの作製が含まれ得、次いで、この中間モデルが処理されて、プリンタによってデバイスを製造するためのgコードなどのマシン命令が生成され得る。本文書で使用されるとき、「マシン対応命令」という用語は、3D金属物体付加製造システムの構成要素を動作させて、プラットフォーム112上に金属物体を形成するために、コンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコントローラによって実行されるコンピュータ言語コマンドを意味する。コントローラ148は、マシン対応命令を実行して、ノズル108から溶融金属滴の吐出、プラットフォーム112の位置決め、並びにオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の最上層との間の距離の維持を制御する。
【0020】
同様の構成要素について同様の参照番号を使用し、収容部内の溶融金属の表面レベルを求めるために使用されない構成要素のいくつかを除去することで、新しい3D金属物体プリンタ100’を図1に示す。レーザー184及び反射センサ188は、ワイヤ検出器190によって置き換えられている。ワイヤ検出器190は、ワイヤガイド124の出口に位置する。ワイヤ検出器は、光学又は誘導センサであり得る。光学センサは、ワイヤガイド124の出口から容器104内の収容部までワイヤ経路の片側にLEDなどの光源を有する。このワイヤ経路の他方の側には、光センサがある。光センサは、ワイヤが光源から光センサへの光の透過を遮断したときに、デジタル1又はデジタルゼロの信号値を生成し、ワイヤが光源と光センサとの間に存在しないときに反対の信号値を生成する。すなわち、センサは、ワイヤがセンサの反対側にあるかどうかを示すために、2つのデジタル信号値を有するバイナリ信号を生成する。定格が125℃である光透過性センサは、Vishay Intertechnology(Malvern、Pennsylvania)から入手可能なVishay TCPTセンサなど、プリンタ100’の一実施形態において経験的に定められた環境に使用することができる。誘導センサは、誘導フィールドを生成し、金属ワイヤが場に存在するとき、センサは、1つのデジタル値を生成し、金属ワイヤが場にないとき、センサは、他のデジタル値を生成する。ワイヤ検出器190は、上部ハウジング122にヒートシンクを装着して、センサから熱を発散させ、センサ温度をその動作範囲内に維持する。
【0021】
溶融金属表面レベルを求めることは、ワイヤが収容部内の溶融金属に入った後、短く反復可能な距離内で溶融する経験的観察に基づく。結果として、ワイヤ検出器から溶融金属に入るワイヤの先端へのワイヤの長さは、収容部内の溶融金属の表面の間接的な指標である。溶融金属の表面の位置を求めるために、コントローラ148’は、アクチュエータ144のうちの1つを動作させて、ワイヤ供給方向を反転させ、収容部内の溶融金属からワイヤの端部を引込ませる。ワイヤがセンサによってもはや検出されないという信号をワイヤ検出器190が生成すると、この反転アクションは停止される。ワイヤ反転の速度と共に、ワイヤ反転の開始から存在するワイヤがないことの検出までの時間の長さは、収容部内の溶融金属の現在のレベルを求めるためにコントローラ148’によって使用される。次いで、ワイヤを同じ速度で等量の時間、供給方向に前進させて、ワイヤの端部を再び溶融金属内に配置し、プリンタの通常の動作を再開する。
【0022】
ワイヤ供給部116からワイヤガイド124を通って容器104にワイヤを供給するための機構200を図2に示す。機構200は、溶融金属レベルの位置が特定されたときに容器から引き出されるワイヤの長さを求めるのに適したワイヤを分配するための一実施形態である。コントローラ148’は、ワイヤが供給部116から容器104に送達される速度を制御するために、ステップモータ240などのアクチュエータに動作可能に接続されている。アクチュエータ240は、ローラ224を駆動し、アクチュエータがローラ224を駆動する速度をコントローラが調整できるようにコントローラ148’に動作可能に接続されている。ローラ224の反対側の別のローラは、フリーホイーリングであるため、ローラ224が駆動される回転速度に従う。
【0023】
スリップクラッチ244は、容器にワイヤを供給するアクチュエータ240の駆動シャフトに動作可能に接続されている。本文書で使用されるとき、「スリップクラッチ」という用語は、物体を所定の設定点まで移動させるために、物体に摩擦力を加えるデバイスを指す。摩擦力のための所定の設定点についての範囲を超えるとき、デバイスはスリップし、そのためもはや物体に摩擦力を適用することはない。スリップクラッチは、ローラ224によってワイヤ120に及ぼされる力が、どのくらい頻繁に、どのくらい速く、又はどのくらい長くアクチュエータ240が駆動されるかを問わず、ワイヤの強度について制約内に留まることを可能にする。この一定の力は、アクチュエータ240を駆動ローラ224の最速の予測される回転速度よりも速い速度で駆動するか、又はエンコーダホイール248をローラ224上に置き、センサ252で回転速度を感知することによって維持することができる。センサ252によって生成された信号は、ローラ224の角度回転を示し、コントローラ148’は、この信号及びローラ224の半径を使用して、反転の開始からワイヤが検出器にもはや存在しないという信号をワイヤ検出器190が生成するまでの期間に容器104から引き出されたワイヤの長さを特定する。すなわち、機構200は、ワイヤ変位センサの一種として動作する。あるいは、従動ローラ(driven roller)224に対向するフリーホイーリングローラは、フリーホイーリングローラに取り付けられてその角度位置を示す信号を生成するエンコーダ248を有することができ、そのため、機構によって供給される金属ワイヤの長さを求めることができる。更なる代替設計では、スリップクラッチ244が省略され、モータ240が行う移動の各方向のステップの数は、記録され得、直線状のワイヤ移動の長さを求めるために使用され得る。
【0024】
ワイヤ供給の反転によって引き起こされるプリンタの動作状態の混乱を最小限に抑えるために、コントローラ148’は、プリンタによって吐出された溶融金属滴の数対プリンタに供給されるワイヤの長さに基づいて、溶融金属の表面レベルを連続的に推定するフィードフォワードアルゴリズムを実装するためにプログラムされた命令を用いて更に構成されている。この推定において不明な許容誤差が発生するが、この推定方法は、ワイヤ反転法を使用して収容部内の溶融金属表面レベルを求めるための適切な時間を特定するための簡単な方法を提供する。測定の頻度は、溶融金属レベル制御の所望の精度に従って設定することができる。
【0025】
コントローラ148’は、プログラムされた命令を実行する1つ以上の汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装され得る。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、先に説明し、並びに以下に説明される操作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、プリント回路カード上に提供されてもよいか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供されてもよい。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内で提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。金属物体の形成中、製造される構造の画像データが、プラットフォーム112上に物体を形成するようにプリンタ100’の構成要素を動作させる信号を処理及び生成するために、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかから、コントローラ148’のプロセッサ(単数又は複数)に送信される。
【0026】
プリンタの収容部内の溶融金属の表面レベルを求めるために、3D金属物体プリンタ100’を動作させるためのプロセスが図3に示されている。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを動作させるために、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を操作してタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ148’は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素と共に実装され得、これらは各々、本明細書に記載される1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成される。追加的に、方法の工程は、図に示される順序又は処理が記載される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0027】
図3は、ワイヤ検出器190を使用するプロセス300のフロー図であり、コントローラ148は、物体形成操作中に取り外し可能な容器の収容部内の溶融金属の表面レベルを求めるために、コントローラに動作可能に接続された非一時的なメモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成されている。このプロセスは、溶融金属の表面レベルがチェックを必要とするという判断で開始する(ブロック304)。測定が必要ない場合、金属吐出動作は継続する(ブロック308)。表面レベルがチェックされるべきであると判断する1つの方法は、吐出された液滴総数及びプリンタに供給されるワイヤの量を使用して判断を行う方法である。具体的には、コントローラは、ワイヤガイド内のワイヤの長さを減じた、最新のレベルチェック以後にプリンタに供給されたワイヤの長さを使用して溶融された金属の量を特定する(ブロック312)。このプロセスはまた、最新のレベルチェック以後に吐出された溶融金属滴数のカウントを維持し、吐出された溶融金属の体積を溶融された金属の量と比較して、表面レベルが収容部内の所定の位置よりも低下する可能性があるかどうかを判断する(ブロック304)。最後のレベルチェック以後に吐出された溶融金属の量が最後のレベルチェック以後に溶融した固体金属の量の10%を超えることをこの比較が示す場合、次いで、溶融金属表面位置をより正確に測定する必要がある。金属滴吐出が停止され(ブロック316)、ワイヤがセンサ位置にもはや存在しないことを示す信号をワイヤ検出器190が生成するまで(ブロック324)、ワイヤを収容部に供給するアクチュエータは反転する(ブロック320)。反転移動が停止され(ブロック328)、前述のように、プロセスは、ワイヤをワイヤ検出器に引込むための時間及び引込み移動の速度を使用して、容器から取り外されたワイヤの長さを求める(ブロック332)。溶融金属の体積が容器容積の90%未満である場合に表面レベルがあるであろう距離よりもその長さが長い場合、プロセスは、アクチュエータを動作させて、溶融時に容器容積の約95%が溶融金属で充填される位置まで、溶融金属表面レベルを上昇させるのに十分な長さのワイヤを容器へと移動させる(ブロック336)。この再充填が達成されると、又は、容器内の収容部が90%未満であることを溶融金属の表面レベルが示さないと、次のレベルチェックの発生が必要になるまで金属物体を形成するための金属滴吐出動作が再開する(ブロック308)。
【0028】
物体形成中の溶融レベル測定を実行するための代替プロセス400のフロー図を図4に示す。このプロセスは、10倍などの容器の容積の所定数の倍数に対応する、吐出された溶融金属滴数Nをカウントする。この液滴数Nは、ワイヤの長さFを溶融することによって形成される。ワイヤの寸法及び液滴の体積の許容値のために、常にN滴を形成する正確な長さFを定義することができない。したがって、Nは、比例定数KによってFに関連する。Kの初期値は、固体金属ワイヤの公称直径及び公称液滴質量を使用して分析的に決定される。式N=F×Kを使用して、容器の所定容積数を形成するワイヤの初期長さFを特定することができる。図4のプロセスは、予想されるレベル位置と測定されたレベル位置との間の差を使用して、溶融金属レベルの各測定で定数Kを調整する。具体的には、測定されたレベルが予想レベル未満である場合、十分なワイヤが容器に供給されていないため、定数Kは予想されるレベルと実際のレベルとの差に比例する所定の量だけ増加する。測定されたレベルが予想よりも高い場合、多すぎるワイヤが容器に供給されているため、定数Kは差に比例する量だけ減少する。
【0029】
より詳細には、プロセス400は、溶融金属による容器の充填、並びにワイヤを容器から引き抜くこと及び上記の方法のうちの1つを使用してワイヤ検出器と溶融金属表面との間のワイヤの長さを測定することによる満杯の溶融金属レベルの測定で開始する(ブロック404)。カウントがNに等しくなるまで、吐出された金属滴の数をカウントする(ブロック408)。容器内の溶融金属レベルは、再び前述の方法のうちの1つを使用して測定される(ブロック412)。現在の測定レベルが、以前の金属レベルと比較される(ブロック416)。現在のレベルが以前のレベル未満である場合、Kは増加する(ブロック420)。現在のレベルが以前のレベルよりも大きい場合、Kは減少する(ブロック424)。Kの変化率が減少する場合(ブロック428)、Kは最適値に収束するため、Nが増加する (ブロック432)。そうでない場合、プロセスはNの現在の値を継続する。Nの値は、Kの変化が、定数の値が狭い範囲に収束することを示す場合にのみ増加する。Nを増加させることにより、金属レベル測定の間隔が増加し、生産性を高めながらレベル測定のダウン時間が減少する。
【0030】
上記に開示された及び他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替が、望ましくは、多くの他の異なるシステム、アプリケーション、又は方法に組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の特許請求の範囲によって包含されることも意図される、様々な現在予見又は予期されていない代替、修正、変形、又は改善が、その後、当業者によって行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5