(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176102
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】超伝導電力ケーブルシステム
(51)【国際特許分類】
H01B 12/16 20060101AFI20221117BHJP
H01L 39/04 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H01B12/16
H01L39/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022068783
(22)【出願日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】21172174
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513080287
【氏名又は名称】エヌコーテー ケーブルス グループ アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT CABLES GROUP A/S
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィレン, ダグ
(72)【発明者】
【氏名】ティデマン, カーステン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】超伝導電力ケーブル設置の環境への影響を解決又は少なくとも緩和する超伝導電力ケーブルシステムを提供する。
【解決手段】超伝導電力ケーブルシステム23において、クライオスタットを備える超伝導電力ケーブル1は、第1の冷却ステーション31と第2の冷却ステーション33との間のクライオスタット内に延び、第1の冷却ステーションと第2の冷却ステーションとの間に配置され、かつ、第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションから流れる冷却流体を、クライオスタットから取り出すためのアクセスパイプアセンブリ27と、アクセスパイプアセンブリを第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションに接続し、クライオスタットからアクセスパイプアセンブリを通って第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションへと向かう夫々の戻り冷却流体ライン29a、29bを有する戻りパイプ構造29と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオスタット(13)を備える超伝導電力ケーブル(1、1’)と、
第1の冷却ステーション(31)と、
第2の冷却ステーション(33)であって、
前記超伝導電力ケーブル(1、1’)は、前記第1の冷却ステーション(31)と前記第2の冷却ステーション(33)との間に延び、
前記第1の冷却ステーション(31)は、前記第2の冷却ステーション(33)に向かう第1の方向において、前記クライオスタット(13)内に冷却流体を圧送するように構成され、前記第2の冷却ステーション(33)は、前記第1の方向とは反対の、前記第1の冷却ステーション(31)に向かう第2の方向において、前記クライオスタット(13)内に冷却流体を圧送するように構成される、第2の冷却ステーション(33)と、
前記第1の冷却ステーション(31)と前記第2の冷却ステーション(33)との間に配置されたアクセスパイプアセンブリ(27)であって、前記第1の冷却ステーション(31)及び前記第2の冷却ステーション(33)から流れる冷却流体を、前記クライオスタット(13)から取り出すために前記クライオスタット(13)内に延びる、アクセスパイプアセンブリ(27)と、
前記超伝導電力ケーブル(1、1’)の外部に配置された戻りパイプ構造(29)であって、前記アクセスパイプアセンブリ(29)を前記第1の冷却ステーション(31)及び前記第2の冷却ステーション(33)に接続し、前記クライオスタット(13)から前記アクセスパイプアセンブリ(27)を通って前記第1の冷却ステーション(31)及び前記第2の冷却ステーション(33)へと向かうそれぞれの戻り冷却流体ライン(29a、29b)を提供する、戻りパイプ構造(29)と
を備える、超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項2】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)は、前記第1の冷却ステーション(31)から前記第2の冷却ステーション(33)までの前記超伝導電力ケーブル(1、1’)の長さの1/4~3/4の範囲内の前記超伝導電力ケーブル(1)の位置において、前記クライオスタット(13)内に延びる、請求項1に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項3】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)は、前記第1の冷却ステーション(31)と前記第2の冷却ステーション(33)との間の前記超伝導電力ケーブル(1、1’)の長さの中央からプラス/マイナス10%の範囲内の前記超伝導電力ケーブル(1、1’)の位置において、前記クライオスタット(13)内に延びる、請求項1又は2に記載の超伝導電力ケーブルシステム(1、1’)。
【請求項4】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)は受動的である、請求項1から3のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項5】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)は、前記クライオスタット(13)及び前記冷却流体ライン(29a、29b)の各々に接続されたT字コネクタを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23)。
【請求項6】
前記超伝導電力ケーブル(1’)は、前記第1の冷却ステーション(31)と流体連通する第1のセクション(53a’)と、前記第2の冷却ステーション(33)と流体連通する第2のセクション(53b’)とに前記クライオスタット(13)を分割する圧力分離壁(51)を備え、前記アクセスパイプアセンブリ(27)は、前記第1のセクション(53a’)及び前記第2のセクション(53b’)への個別のアクセスを提供する、請求項1から4のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23’)。
【請求項7】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)は、前記クライオスタット(13)の前記第1のセクション(53a’)に接続された第1のパイプと、前記クライオスタット(13)の前記第2のセクション(53b’)に接続された第2のパイプとを備える、請求項6に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23’)。
【請求項8】
前記超伝導電力ケーブル(1、1’)はクライオスタットジョイントを備え、前記アクセスパイプアセンブリ(27)は前記クライオスタットジョイントの一部を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項9】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)から前記第1の冷却ステーション(31)までの距離が、前記超伝導電力ケーブル(1、1’)の軸延長線に沿って測定した場合に少なくとも1000mである、請求項1から8のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項10】
前記アクセスパイプアセンブリ(27)から前記第2の冷却ステーション(33)までの距離が、前記超伝導電力ケーブル(1、1’)の軸延長線に沿って測定した場合に少なくとも1000mである、請求項1から9のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項11】
前記超伝導電力ケーブル(1、1’)は、多相超伝導電力ケーブルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項12】
第1のスプリッタボックス(39)と、第1のセットの超伝導ケーブル終端部(43a~43c)とを備え、前記多相超伝導電力ケーブルの第1の端部において、前記相は前記第1のスプリッタボックス(39)内で単相に分割され、前記第1のセットの超伝導ケーブル終端部(43a~43c)のそれぞれ1つに接続される、請求項11に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項13】
第2のスプリッタボックス(41)と、第2のセットの超伝導ケーブル終端部(47a~47c)とを備え、前記多相超伝導電力ケーブルの第2の端部において、前記相は前記第2のスプリッタボックス(41)内で単相に分割され、前記第2のセットの超伝導ケーブル終端部(47a~47c)のそれぞれ1つに接続される、請求項12に記載の超伝導電力ケーブルシステム(23、23’)。
【請求項14】
前記超伝導電力ケーブル(1、1’)は、前記クライオスタット(13)の内側に配置された超伝導導体層(5a)を備え、前記超伝導導体層(5a)は、最大許容温度及び最小許容冷却流体圧力という動作上の制約を有し、前記戻り冷却流体ライン(29a、29b)を通って流れる前記冷却流体は、前記最大許容温度を超える温度、前記最小許容冷却流体圧力よりも低い圧力、又はその両方を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の超伝導ケーブルシステム(23、23’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、超伝導電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導電力ケーブルは、通常はテープ層の形態の超伝導材料を導体として使用する。電気絶縁体が超伝導材料の上に設けられる。機械的に可撓性の内側クライオスタットチューブが電気絶縁体上に配置される。内側クライオスタットチューブの後には、典型的には、超断熱材及び外側クライオスタットチューブが続く。液体窒素などの液体冷却剤が内側クライオスタットチューブの内部を流れ、超伝導材料を極低温に冷却する。
【0003】
超伝導電力ケーブル設備は、超伝導電力ケーブルと、クライオスタットが接続され、そこから液体窒素がクライオスタット内に圧送されるジョイント、終端部、及び冷却ステーションなどの付属品とを含むことができる。冷却ステーションは、液体窒素が超伝導材料を効率的に冷却することを可能にするために、互いに一定の最大距離に配置される。
【0004】
冷却ステーションの数は、使用される材料の量及び必要な設置作業、したがって超伝導電力ケーブル設置の環境への影響に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
上記を考慮して、本開示の目的は、従来技術の問題を解決する、又は少なくとも緩和する超伝導電力ケーブルシステムを提供することである。
【0006】
したがって、超伝導電力ケーブルシステムが提供され、超伝導電力ケーブルシステムは、クライオスタットを備える超伝導電力ケーブルと、第1の冷却ステーションと、第2の冷却ステーションであって、超伝導電力ケーブルは第1の冷却ステーションと第2の冷却ステーションとの間に延び、第1の冷却ステーションは第2の冷却ステーションに向かう第1の方向において、クライオスタット内に冷却流体を圧送するように構成され、第2の冷却ステーションは第1の方向とは反対の、第1の冷却ステーションに向かう第2の方向において、クライオスタット内に冷却流体を圧送するように構成される、第2の冷却ステーションと、第1の冷却ステーションと第2の冷却ステーションとの間に配置されたアクセスパイプアセンブリであって、第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションから流れる冷却流体を、クライオスタットから取り出すためにクライオスタット内に延びる、アクセスパイプアセンブリと、超伝導電力ケーブルの外部に配置される戻りパイプ構造であって、第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションにアクセスパイプアセンブリを接続し、クライオスタットから冷却流体アクセスパイプアセンブリを通って第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションへと向かうそれぞれの戻り冷却流体ラインを提供する、戻りパイプ構造とを備える。
【0007】
第1の冷却ステーションと第2の冷却ステーションとの間の位置においてクライオスタット及び超伝導電力ケーブルから冷却流体を取り出すことと組み合わせて、2つの冷却ステーションから反対方向に冷却流体を流すことにより、冷却ステーション間の距離を実質的に延ばすことが可能になる。したがって、超伝導電力ケーブルの設置の長さに沿って設置するために必要とされる冷却ステーションの数はより少なくて済む。
【0008】
この効果は、冷却流体に対する厳しい要件を冷却ステーションからアクセスパイプアセンブリまででのみ満たせばよいので、達成することができる。冷却流体は、冷却流体が超伝導電力ケーブル内の冷却ステーションに戻される場合よりも、外部戻りパイプ構造内でより高い温度及びより低い圧力を有する可能性がある。
【0009】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリは、第1の冷却ステーションから第2の冷却ステーションまでの超伝導電力ケーブルの長さの1/4~3/4の範囲内の超伝導電力ケーブルの位置において、クライオスタット内に延びる。
【0010】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリは、第1の冷却ステーションと第2の冷却ステーションとの間の超伝導電力ケーブルの長さの中央からプラス/マイナス10%の範囲内の超伝導電力ケーブルの位置において、クライオスタット内に延びる。
【0011】
アクセスパイプアセンブリが、超伝導電力ケーブルの長さに沿って測定した場合に第1の冷却ステーションと第2の冷却ステーションとの間のほぼ中間に配置される場合、冷却ステーション間の距離を、本質的に2倍にすることができる。
【0012】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリは受動的である。アクセスパイプアセンブリは、例えばこの例では制御システムによって作動させることができる構成要素を有さない。
【0013】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリは、クライオスタット及び各冷却流体ラインに接続されたT字コネクタを備える。したがって、T字コネクタの各開口部は、戻りパイプ構造を介してクライオスタット、並びに第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションのそれぞれ1つに接続される。
【0014】
一実施形態によれば、超伝導電力ケーブルは、第1の冷却ステーションと流体連通する第1のセクションと、第2の冷却ステーションと流体連通する第2のセクションとにクライオスタットを分割する圧力分離壁を備え、アクセスパイプアセンブリは、第1のセクション及び第2のセクションへの個別のアクセスを提供する。したがって、例えば設備に沿った実質的なレベル差に起因して、第1の冷却ステーションに接続された超伝導電力ケーブルのケーブルセクションと第2の冷却ステーションに接続されたケーブルセクションとの間に圧力差がある場合、2つのケーブルセクションのクライオスタットは互いに圧力的に分離される。したがって、第1の冷却ステーション及び第2の冷却ステーションのそれぞれ一方とアクセスパイプアセンブリとの間に延びる2つのケーブルセクションによって画定された2つの冷却ループを、互いに分離して個別に制御することができる。
【0015】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリは、クライオスタットの第1のセクションに接続された第1のパイプと、クライオスタットの第2のセクションに接続された第2のパイプとを備える。
【0016】
一実施形態によれば、超伝導電力ケーブルはクライオスタットジョイントを備え、アクセスパイプアセンブリはクライオスタットジョイントの一部を形成する。
【0017】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリから第1の冷却ステーションまでの距離は、超伝導電力ケーブルの軸延長線に沿って測定した場合に少なくとも1000mである。
【0018】
一実施形態によれば、アクセスパイプアセンブリから第2の冷却ステーションまでの距離は、超伝導電力ケーブルの軸延長線に沿って測定した場合に少なくとも1000mである。
【0019】
一実施形態によれば、超伝導電力ケーブルは多相超伝導電力ケーブルである。
【0020】
一実施形態は、第1のスプリッタボックスと、第1のセットの超伝導ケーブル終端部とを備え、多相超伝導電力ケーブルの第1の端部において、相は第1のスプリッタボックス内で単相に分割され、第1のセットの超伝導ケーブル終端部のそれぞれ1つに接続される。
【0021】
一実施形態は、第2のスプリッタボックスと、第2のセットの超伝導ケーブル終端部とを備え、多相超伝導電力ケーブルの第2の端部において、相は第2のスプリッタボックス内で単相に分割され、第2のセットの超伝導ケーブル終端部のそれぞれ1つに接続される。
【0022】
一実施形態によれば、超伝導電力ケーブルは、クライオスタットの内側に配置された超伝導導体層を備え、超伝導導体層は、最大許容温度及び最小許容冷却流体圧力という動作上の制約を有し、そして、戻り冷却流体ラインを通って流れる冷却流体は、最大許容温度を超える温度、最小許容冷却流体圧力よりも低い圧力、又はその両方を有する。
【0023】
超伝導導体層が所定の安全マージンで超伝導になるためには、一時的な過電流などの異常事象の後でも最大許容温度を超えない温度で動作する必要がある。さらに、冷却流体は、所定の安全マージンで最小許容冷却流体圧力を有する必要があり、そうでなければ冷却流体の沸点が低下し、例えば一時的な過電流などの異常事象の後に沸騰し始め、冷却が不十分になるか、又は電気絶縁特性が低下する可能性がある。これらの制約は、冷却流体戻りラインには必要ではなく、冷却ステーション間の距離が本明細書に開示されるように増加する場合、これらの制約の少なくとも1つは実際には満たされない可能性がある。
【0024】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a/an/the)要素、器具、構成要素、手段など」へのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、器具、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0025】
ここで、添付の図面を参照して、本発明概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】超伝導電力ケーブルの一例を概略的に示す図である。
【
図2】超伝導電力ケーブルシステムの接続図の一例を概略的に示す図である。
【
図3】超伝導電力ケーブルシステムの接続図の別の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0028】
図1は、本明細書に開示される超伝導電力ケーブルシステム用の超伝導電力ケーブル1の一例を概略的に示す。
【0029】
例示的な超伝導電力ケーブル1は、多相超伝導電力ケーブルである。例示的な超伝導電力ケーブル1は、
図1に示すような三軸構成を有するが、代替的に、別個の軸に沿って配置された複数の電力コアを有してもよい。代替的に、超伝導電力ケーブルは、単相AC電力ケーブル又はDC電力ケーブルであってもよい。
【0030】
超伝導電力ケーブル1は、高電圧又は中電圧の超伝導電力ケーブル1であってもよい。
【0031】
超伝導電力ケーブル1は、成形具3を備える。
【0032】
超伝導電力ケーブル1は、成形具3の周りに配置された超伝導導体層5aを備える。超伝導導体層5aは、成形具3の周りに螺旋状に巻かれた複数の細長い超伝導素子7を備える。
【0033】
細長い超伝導素子7は、例えば、超伝導テープであってもよい。
【0034】
超伝導電力ケーブル1は、超伝導導体層5aの周りに配置された絶縁層9aを備える。
【0035】
例示的な超伝導電力ケーブル1は、さらなる超伝導導体層5b及び5cと、さらなる絶縁層9b及び9bとを備える。第2の超伝導導体層5bは、絶縁層9aの半径方向外側に配置され、第2の絶縁層9bは、第2の超伝導導体層5bの半径方向外側に配置される。第3の超伝導導体層5cは、第2の絶縁層9aの半径方向外側に配置され、第3の絶縁層9cは、第3の超伝導導体層5cの半径方向外側に配置される。
【0036】
絶縁層9a~9cは、構造的に同じであってもよい。超伝導導体層5a~5cは、構造的に同じであってもよい。
【0037】
超伝導導体層5a、5b、5cの各々は、それぞれの相導体であってもよい。
【0038】
超伝導電力ケーブル1は、第3の絶縁層9cの周りに配置されたスクリーン11を備える。スクリーン11は、銅などの金属材料で作製されてもよい。スクリーン11は中性導体であってもよい。
【0039】
超伝導電力ケーブル1は、スクリーン11を囲む内側クライオスタットチューブ13を備える。クライオスタット13は、金属チューブであってもよい。クライオスタット13は波形であってもよい。動作中、冷却流体は内側クライオスタットチューブ13の内側を流れる。以下では、内側クライオスタットチューブ13を単に「クライオスタット」と称する。
【0040】
クライオスタット13は、動作中、クライオスタット13を通過するように冷却流体を流して、超伝導導体層5a、5b、5cを冷却するために冷却流体システムに接続される。冷却流体は、例えば液体窒素であってもよい。
【0041】
超伝導電力ケーブル1は、クライオスタット13の周りに配置された超断熱材15を備える。超断熱材15は、クライオスタット13を断熱するための断熱材である。
【0042】
超伝導電力ケーブル1は、超断熱材15を囲む外側クライオスタットチューブ17を備える。外側クライオスタットチューブ17は、金属チューブであってもよい。外側クライオスタットチューブ17は波形であってもよい。
【0043】
超伝導電力ケーブル1は、外側シース21を備える。外側シース21は、例えば、ポリマー材料を含んでもよい。
【0044】
図2は、超伝導電力ケーブルシステム23の一実施例を示す。超伝導電力ケーブルシステム23は、超伝導電力ケーブル1を備える。
【0045】
超伝導電力ケーブルシステム23は、第1の冷却ステーション31と、第2の冷却ステーション33とを備える。超伝導電力ケーブル1は、第1の冷却ステーション31と第2の冷却ステーション33との間に延びる。
【0046】
クライオスタット13は、第1の冷却ステーション31及び第2の冷却ステーション33に接続される。
【0047】
第1の冷却ステーション31は、第2の冷却ステーション33に向けて、冷却流体をクライオスタット13内に圧送するように構成されたポンプを備える。第2の冷却ステーション33は、第1の冷却ステーション31に向けて、冷却流体をクライオスタット13内に圧送するように構成されたポンプを備える。
【0048】
超伝導電力ケーブルシステム23は、アクセスパイプアセンブリ27を備える。アクセスパイプアセンブリ27は、第1の冷却ステーション31と第2の冷却ステーション33との間に配置される。アクセスパイプアセンブリ27は、クライオスタット13内に延び、クライオスタット13内への外部からのアクセスを提供する。
図2に示す実施例では、アクセスパイプアセンブリ27は、T字コネクタ又はTコネクタを備える。
【0049】
アクセスパイプアセンブリ27は、第1の冷却ステーション31から第2の冷却ステーション33までの超伝導電力ケーブル1の長さの1/4~3/4の範囲内の超伝導電力ケーブルの位置において、クライオスタット内に延びる。位置は、第1の冷却ステーション31と第2の冷却ステーション33との間の超伝導電力ケーブル1の長さの中央プラス/マイナス10%、プラス/マイナス5%、プラス/マイナス2.5%、又はプラス/マイナス1%の範囲内にあってもよい。
【0050】
超伝導電力ケーブルシステム23は、アクセスパイプアセンブリ27、第1の冷却ステーション31、及び第2の冷却ステーション33に接続された戻りパイプ構造29を備える。戻りパイプ構造29は、アクセスパイプアセンブリ27の位置から第1の冷却ステーション31及び第2の冷却ステーション33へと向かう、クライオスタット13からの冷却流体のための戻り冷却流体ラインを形成する。戻りパイプ構造29は、超伝導電力ケーブル1の外部に配置される。
【0051】
図2に示す実施例では、戻りパイプ構造29は、アクセスパイプアセンブリ27の一方の開口部及び第1の冷却ステーション31に接続された第1の戻りパイプ29aと、アクセスパイプアセンブリ27の他方の開口部及び第2の冷却ステーション33に接続された第2の戻りパイプ29bとを備える。アクセスパイプアセンブリ27の第3の開口部はクライオスタット13に接続される。
【0052】
アクセスパイプアセンブリ27は、受動的であってもよい。したがって、アクセスパイプアセンブリ27はより堅牢である。
【0053】
超伝導電力ケーブル1は、クライオスタットの2つのセクションを接続するクライオスタットジョイントを備えてもよい。アクセスパイプアセンブリ27は、クライオスタットジョイントの一部を形成してもよい。
【0054】
超伝導電力ケーブル1は、第1の冷却ステーション31とアクセスパイプアセンブリ27との間に延びる第1のケーブルセクション1aを有する。超伝導電力ケーブル1は、第2の冷却ステーション33とアクセスパイプアセンブリ27との間に延びる第2のケーブルセクション1bを有する。
【0055】
第1のケーブルセクション1aは、例えば、少なくとも1000mの長さLを有してもよい。第2のケーブルセクション1bは、例えば、少なくとも1000mの長さLを有してもよい。
【0056】
例示的な超伝導電力ケーブルシステム23は、第1のスプリッタボックス39と、第2のスプリッタボックス41とを備える。超伝導電力ケーブル23は、一端で第1のスプリッタボックス39に接続され、他端で第2のスプリッタボックス41に接続される。
【0057】
超伝導電力ケーブル23は、第1のスプリッタボックス39内で複数の単相に分割される。
【0058】
超伝導電力ケーブル23は、第2のスプリッタボックス41内で複数の単相に分割される。
【0059】
例示的な超伝導電力ケーブルシステム23は、第1のセットの超伝導ケーブル終端部43a~43cを備える。
【0060】
第1のスプリッタボックス39から延びる単相は、第1のセットの超伝導ケーブル終端部43a~43cのそれぞれ1つに接続される。
【0061】
例示的な超伝導電力ケーブルシステム23は、第2のセットの超伝導ケーブル終端部47a~47cを備える。
【0062】
第2のスプリッタボックス41から延びる単相は、第2のセットの超伝導ケーブル終端部47a~47cのそれぞれ1つに接続される。
【0063】
図2の実施例によれば、第1の冷却ステーション31は、第1のスプリッタボックス39に接続され、第1のスプリッタボックス39に冷却流体を供給する第1の冷却流体ライン35を有する。
【0064】
第1のスプリッタボックス39は、第1の冷却流体ライン35を介して第1の冷却ステーション31によって供給される冷却流体が、第2の冷却ステーション33に向かって、第1のセットの超伝導ケーブル終端部43a~43cに通じる単相のそれぞれのクライオスタット及び超伝導電力ケーブル1のクライオスタット13に分配されるように構築される。
【0065】
第1の冷却ステーション31は、第1のセットの超伝導ケーブル終端部43a~43cから冷却流体を収集し、冷却流体を第1の冷却ステーション31に戻すために、第1のセットの超伝導ケーブル終端部43a~43cに接続された第1の終端戻りライン45を有する。
【0066】
図2の実施例によれば、第2の冷却ステーション33は、第2のスプリッタボックス41に接続され、第2のスプリッタボックス41に冷却流体を供給する第2の冷却流体ライン37を有する。
【0067】
第2のスプリッタボックス41は、第2の冷却流体ライン37を介して第2の冷却ステーション33によって供給される冷却流体が、第1の冷却ステーション31に向かって、第2のセットの超伝導ケーブル終端部47a~47cに通じる単相のそれぞれのクライオスタット及び超伝導電力ケーブル1のクライオスタット13に分配されるように構築される。
【0068】
第2の冷却ステーション33は、第2のセットの超伝導ケーブル終端部47a~47cから冷却流体を収集し、冷却流体を第2の冷却ステーション33に戻すために、第2のセットの超伝導ケーブル終端部4a~47cに接続された第2の終端戻りライン49を有する。
【0069】
アクセスパイプアセンブリ27を介してクライオスタット13を出る冷却流体は、第1の冷却ステーション31及び第2の冷却ステーション33に向かって流れ戻る。
【0070】
図3は、超伝導電力ケーブルシステム23と同様の超伝導電力ケーブルシステム23’の別の実施例を示す。しかしながら、超伝導電力ケーブルシステム23’の超伝導電力ケーブル1’は、クライオスタット13を2つの分離されたクライオスタットセクション53a’及び53b’に分割する圧力分離チューブ51を備える。圧力分離チューブ51は、例えば、クライオスタット13と同じ材料などの金属で作製されてもよい。したがって、第1のケーブルセクション及び第2のケーブルセクションは、互いに分離されたそれぞれのクライオスタットセクション53a’、53b’を有する。第1のセクション53a’は第1の冷却ステーション31と流体連通し、第2のセクション53b’は第2の冷却ステーション33と流体連通する。
【0071】
アクセスパイプアセンブリは、第1のセクション53a’及び第2のセクション53b’への個別のアクセスを提供する。アクセスパイプアセンブリは、第1のセクション53a’に接続された第1のパイプと、第2のセクション53b’に接続された第2のパイプとを備える。冷却流体は、第1のパイプを介して圧力分離壁51の一方の側においてクライオスタット13を出て、第1の冷却ステーションに流れ戻る。圧力分離壁51の他方の側では、冷却流体は、第2のパイプを介してクライオスタット13を出て、第2の冷却ステーションに流れ戻る。流体の流れは、それ以外は
図2に示す実施例と同様である。
【0072】
本発明概念は、主に少数の実施例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明概念の範囲内で等しく可能である。
【外国語明細書】