(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176122
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】油性パウダーファンデーション
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20221117BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221117BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20221117BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221117BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221117BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/81
A61K8/25
A61K8/31
A61K8/37
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076407
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2021081794
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子
(72)【発明者】
【氏名】立道 諭
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 憲明
(72)【発明者】
【氏名】曽山 美和
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD162
4C083AD171
4C083AD172
4C083AD242
4C083BB01
4C083BB14
4C083BB25
4C083BB26
4C083CC12
4C083DD17
4C083DD30
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF05
4C083FF06
(57)【要約】
【課題】パウダーファンデーション、油性ファンデーションの長所を活かし、それらが抱える問題点を解消した、隠蔽性が高く自然な仕上がりを付与する油性パウダーファンデーションを提供する。
【解決手段】(a)球状粒子、(b)二酸化チタン、(c)皮膜形成剤、(d)揮発性油剤、(e)界面活性剤、を含有する油性パウダーファンデーション。成分(a)として、平均粒子径が5~20μmのウレタンパウダー、アクリルパウダー、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリカパウダーまたは炭酸カルシウムパウダーを用い、成分(a)及び成分(b)を、合計で、35~55質量%、成分(a)と成分(b)の質量比率を1~1.5:1.5~1に調製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(a)~(e);
(a)球状粒子、
(b)二酸化チタン、
(c)皮膜形成剤、
(d)揮発性油剤、
(e)界面活性剤
を含有する油性パウダーファンデーション。
【請求項2】
成分(a)の球状粒子の体積平均粒子径が、5~20μmである請求項1に記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項3】
成分(a)の球状粒子が、ウレタンパウダー、アクリルパウダー、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリカパウダーまたは炭酸カルシウムパウダーである請求項1または2に記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項4】
成分(a)及び成分(b)を、合計で、35~55質量%含有し、成分(a)と成分(b)の質量比率が、1.5:1~1:1.5である請求項1~3いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項5】
成分(c)を、固形分で3~30質量%含有する請求項1~4いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項6】
成分(d)が、沸点が150℃以上の揮発性油剤であり、該成分(d)を5~50質量%含有する請求項1~5いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項7】
成分(e)が、HLB10以下の界面活性剤である請求項1~6いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項8】
さらに、成分(f)ワックスを含有する請求項1~7いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項9】
さらに、成分(g)有機変性ベントナイトを含有する請求項1~8いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項10】
さらに、成分(h)水及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1~9いずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【請求項11】
水を含有しない、請求項1~9のいずれかに記載の油性パウダーファンデーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性の長所である伸びの良さを有しながら塗布した瞬間にパウダー感触に変わる油性パウダーファンデーションに関する。詳細には、肌の毛穴や凹凸を補正でき、従来のパウダーファンデーションの仕上り感と感触を有する、新規な油性パウダーファンデーションに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のファンデーションは、固形パウダーファンデーションを筆頭に、固形油性ファンデーション(中皿、スティックタイプ)が主流を占める。さらに、固形油性ファンデーションから派生させた、リキッドファンデーションやクリームファンデーション、それらに水や多価アルコールを配合した、乳化リキッドファンデーションや乳化クリームファンデーションが開発されている。
【0003】
パウダーファンデーションは、一般的に粉体が約85~90質量%、油分が10~15質量%で構成され、仕上がりは粉っぽく、皮脂により化粧崩れも大きい欠点を持ち、下地化粧品の使用が必須条件である。特に、冬場の使用は粉っぽい仕上がり感になる。一方、油性ファンデーションは、粉体が40~45質量%、油分・ワックスが55~60%質量で構成され、仕上がりの感触は油っぽく、暑い夏には使用が避けられ、どちらかというと秋、冬仕様のファンデーションである。
【0004】
油性でありながらパウダー感触を訴求しているファンデーションも上市されており、これは、揮発性油剤としてシクロヘキサシロキサンを使用し、フェニルトリメチコン、イソヘキサデカン等の低粘度油分を配合した、パウダー感触のスティック油性ファンデーションである。しかし、皮膜形成剤が配合されておらず、上述した暑さによる汗、皮脂等により化粧崩れが生じる。同時に、肌に当たった光を拡散反射させて毛穴や凹凸を補正する効果は格段に低下する。この欠点を防止すること、つまり化粧直後の仕上がりが持続することが求められているが、この機能を兼備するものはない。
リキッドファンデーションやクリームファンデーション、乳化リキッドファンデーション、乳化クリームファンデーションも、油性ファンデーションの仕上がりに酷似し、油性感があり市販のパウダーファンデーションのようなパウダー感は全くない。
【0005】
このような背景から、伸びが良いという油性の特長を持ちながら、下地化粧品を使用する必要がなく、しかも、塗布後瞬時にパウダー感触に変わることで油っぽさがなく、オールシーズンを通じて使用できるファンデーションが望まれている。勿論、肌の毛穴や凹凸を美しく補正する機能は、ファンデーションが当然備えているべき特性であり、かつ、この機能を維持することが求められているのは上記の通りである。
ファンデーションでは、一般に球状粒子のソフトフォーカス機能(毛穴等を目立たなくするぼかし効果)や二酸化チタンの隠蔽機能を利用して肌の毛穴や凹凸を補正し、できるだけ自然に仕上がることも期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3664246号公報
【特許文献2】特許第6112863号公報
【特許文献3】特許第4606187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、粒径1~12μmで平均粒径が5~6μmの板状粉末と、粒径4~10μmの球状粉末とが配合され、板状粉末と球状粉末の割合が質量比で1:1~1:4、球状粉末の配合量が7~11質量%である油性ファンデーションで、肌の表面の凹凸補正や毛穴隠し効果に優れたゲル状油性ファンデーションを開示している。しかし、当該ゲル状油性ファンデーションは、塗布した瞬間にパウダー感に変わる機能はなく塗布後の油っぽさを解消することはできない。
【0008】
特許文献2は、酸化チタンを含む粉体を、化粧料総量を基準として40~60質量%含有し(ただし、球状粉体の含有量は、粉体総量を基準として0~10質量%)、皮膜形成剤、揮発性油剤及び分子量500~1000かつIOB値が0.2以下であるエステル油を2~12質量%含む、油性固形化粧料を開示している。しかし、球状粉体が粉体総量の0~10質量%であり、これは最大量配合しても化粧料総量の6質量%にしか相当せず、パウダーな質感には程遠い仕上がりと感触である。
【0009】
特許文献3は、球状粒子10~70質量%、油剤20~80質量%、球状粒子以外の粉末を配合する皮溝隠し用化粧料を開示している。しかしながら、当該化粧料は、特に球状粒子の配合量が20質量%以下で、油剤を20質量%以上含む場合には、化粧膜の均一性や滑らかな使用感、皮溝の目立ち難さといった特徴は得られるが、皮膜形成剤を含まないため皮溝を含めた皮膚上での粉末固定が困難となり、油っぽい感触、仕上がりになる。一方、球状粒子を70質量%近く含む場合には、皮脂による化粧崩れが大きくなるという問題を有している。
【0010】
本発明は、従来のパウダーファンデーションならびに油性ファンデーションがそれぞれ有する長所を活かしながら、パウダーファンデーションならびに油性ファンデーションそれぞれが抱える問題点を解消し、塗布した瞬間にパウダー感触に変わり、油っぽさがなく、隠蔽性が高く自然な仕上がりを付与する油性パウダーファンデーションを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、(a)球状粒子、(b)二酸化チタン、(c)皮膜形成剤、(d)揮発性油剤、及び(e)界面活性剤を含有する油性パウダーファンデーションが、油性の長所である伸びの良さを有しながら、瞬時にパウダーファンデーションの感触、仕上がりに変わり、下地化粧品を使う必要のない簡単メークができ、オールシーズン使用できる画期的な油性パウダーファンデーションであることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は、下記の(a)~(e)成分;
(a)球状粒子、
(b)二酸化チタン、
(c)皮膜形成剤、
(d)揮発性油剤、
(e)界面活性剤、
を含有する油性パウダーファンデーションを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の油性パウダーファンデーションは、パウダーファンデーションや油性ファンデーションと同等の、皮膚表面の毛穴や凹凸をカバーする効果がある。かつ、パウダーファンデーションのように、仕上がりが粉っぽく、皮脂による化粧崩れが大きいということがない。さらに、汗や皮脂による化粧崩れを防ぐために下地化粧品を使う必要がない。もちろん、塗布した瞬間にパウダー感触に変わるため、油性ファンデーションのような油っぽさがないので、夏場の使用にも適している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で用いられる成分(a)の球状粒子は、使用感、仕上がり、ソフトフォーカス効果の観点から、体積平均粒子径が5~20μmであることが好ましく、より好ましくは7~18μm、さらに好ましくは12~18μmである。成分(a)の球状粒子は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定器より測定される。本発明において、体積平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
【0015】
球状粒子の素材は、処方中の分散性、すなわち粉体の濡れ性の観点、及び、使用性の観点から選択するのが良い。球状粒子としては、例えば、ウレタンパウダー、アクリルパウダー、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリカパウダー、炭酸カルシウムパウダーを使用することができる。柔らかい感触を付与する観点から、有機ポリマー粒子であるウレタンパウダー、アクリルパウダー、ナイロンパウダー及びシリコーンパウダーが好ましく、使用性の観点から、ウレタンパウダーがより好ましい。
【0016】
球状粒子は市販品を用いることができる。ウレタンパウダーとしては、例えば、真球状架橋ウレタン粉末である、TPパウダーD-400、D-800(以上、東色ピグメント社製)、ダイミックビーズCM-1077、CM-1157(以上、大日精化工業社製)等が挙げられる。
アクリルパウダーとしては、例えば、ポリメタクリル酸アルキルの微粒子である、マイクロスフェアーM(表面微小凹凸球状・ポリメタクリル酸メチル)、マイクロスフェアーM-100(表面平滑球状・ポリメタクリル酸メチル)、マイクロスフェアーM-306(表面平滑球状・メタクリル酸メチルクロスポリマー)(以上、松本油脂製薬社製)等が挙げられる。
ナイロンパウダーとしては、例えば、真球状ナイロン微粒子である、SP-500、SP-10(以上、東レ社製)等が挙げられる。
シリコーンパウダーとしては、例えば、シリコーンレジンまたはシリコーンゴム表面をシリコーンレジンで被覆したシリコーン複合パウダーである、KMP-591、KSP-100、KSP-101、KSP-411、KSP-441(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
セルロースパウダーとしては、例えば、CELLULOBEADS D-10、CELLULOBEADS D-5(大東化成工業社製)、GE-800(東色ピグメント社製)等が挙げられる。
シリカパウダーとしては、例えば、シリカビーズSB-700(三好化成社製)等が挙げられる。
炭酸カルシウムパウダーとしては、例えば、かるまる SCS-M5(堺化学社製)、NL-QC10(ニューライム社製)等が挙げられる。
【0017】
成分(a)の球状粒子としては、滑り性の観点から、真球状粒子が好ましい。真球状とは、粉体の内部または表面に多数の小さな空隙を持たない構造のことを示す。
【0018】
本発明で用いられる成分(b)の二酸化チタンは、形状や粒径が限定されるものではないが、隠蔽力に優れるという観点から一次粒子径が0.15~0.3μmであることが好ましい。二酸化チタンの結晶型はルチル型、アナターゼ型が好ましい。二酸化チタンとしては、例えば、MP-100、(テイカ社製)、JR-800(テイカ社製)、CR-50(石原産業社製)、MT-500SA(テイカ社製)、ST455(チタン工業社製)等が挙げられる。
【0019】
成分(a)の球状粒子及び成分(b)の二酸化チタンの含有量は、合計で、35~55質量%が好ましく、40~52質量%がより好ましい。成分(a)と成分(b)の比率(質量比)は、1~1.5:1.5~1が好ましく、1~1.3:1.3~1がより好ましく、1~1.2:1.2~1がさらに好ましい。
【0020】
本発明では成分(a)の球状粒子及び成分(b)の二酸化チタン以外の粉体も併用可能であり、下記のようなものが挙げられる。板状、針状、多孔質等粒子構造の違いも特定されるものではなく、無機粉体類,光輝性粉体、複合粉体等でも良い。
例えば、タルク、マイカ、合成マイカ、鉄含有合成マイカ、カオリン、セリサイト、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、黒酸化チタン、酸化セリウム、硫酸バリウム、群青、コンジョウ、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、白雲母、板状合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、板状無水ケイ酸、板状ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、板状セラミックスパウダー、板状アルミナ、板状窒化ホウ素、板状酸化鉄、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン処理マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、アルミニウム、板状ガラス末等が挙げられる。また、有機顔料を使っても良い。
【0021】
本発明で用いられるほとんどの粉体は、油分や揮発性油剤への濡れの観点から表面処理されているものが良い。表面処理としては化学的処理品、メカノケミカル処理品を問わない。例えば、シリコーン化合物処理、フッ素化合物処理、アミノ酸処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、アミノ酸処理、N-アシル化アミノ酸処理、脂肪酸処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、植物由来のエステル処理、メカノケミカル処理品等が挙げられる。
シリコーン化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アルキルアルコキシシラン、アルキル変性シリコーン、アクリレートシリコーン等が挙げられる。
フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロポリエーテル酸、パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
アミノ酸としては、レシチン等が挙げられる。
N-アシル化アミノ酸としては、例えば、ラウロイルリジン、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na等が挙げられる。
脂肪酸としては、ステアリン酸、ミリスチン酸等が、金属石鹸としては、ミリスチン酸亜鉛等が挙げられる。
植物由来のエステルとしては、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2等が挙げられる。
油性パウダーファンデーションの伸びを向上させ、べたつきを抑制し、ファンデーションを塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、表面処理としては疎水化処理が好ましく、上記した処理のなかでも、シリコーン化合物処理、フッ素化合物処理が好ましく用いられる。詳細には、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理が好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理がより好ましい。疎水化処理は、通常の方法により行うことができる。
【0022】
本発明で用いられる成分(c)の皮膜形成剤は、常温(25℃)でペースト状または固体状を呈するものであり、成分(d)の揮発性油剤と相溶性を示し、揮発性油剤が皮膚上で揮発することにより、皮膜を形成する性質を有する。
皮膜形成剤は、通常の化粧料に用いられる油溶性シリコーン樹脂を使用でき、例えば、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂等が挙げられ、これらの化合物から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、油溶性シリコーン樹脂以外にも、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、キャンデリラロウエキス、イソステアリン酸デキストリン等の糖脂肪酸エステル、変性スターチ等の油溶性樹脂を使用することができる。これらの化合物は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができ、油溶性シリコーン樹脂と併用してもよい。
皮膜形成剤のなかでも、化粧効果の持続性に優れる観点から、トリメチルシロキシケイ酸及びイソステアリン酸デキストリンがより好ましい。
【0023】
これらのフッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂は、使用時に均一に塗り広げられる観点から、溶剤に溶解して使用することが好ましい。溶剤としては、皮膜形成剤に対する溶解能や成分(d)の揮発性溶剤との相溶性、皮膚低刺激性の観点から、シリコーン油が好ましく用いられる。シリコーン油としては、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(6cs)、ジメチルポリシロキサン(10cs)、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンから選ばれる1種または2種以上が好ましく、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種または2種以上がより好ましく用いられる。
【0024】
また、皮膜形成剤としてアクリルシリコーン樹脂を用いる場合には、溶剤として炭化水素も用いることができ、イソドデカンが好ましく用いられる。
【0025】
皮膜形成剤として用いられるフッ素変性シリコーン樹脂としては、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸が好ましく、予め溶剤に溶解させたXS66-B8226(固形分50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、XS66-B8636(固形分50質量%ジメチルポリシロキサン(10cs)溶液)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等の市販品を用いることができる。
【0026】
トリメチルシロキシケイ酸の市販品としては、予め溶剤に溶解させたもので、KF-7312T(固形分60質量%メチルトリメチコン溶液)、KF-7312J(固形分50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312K(固形分60質量%ジメチルポリシロキサン(6cs)溶液)、KF-7312L(固形分50質量%ジメチルポリシロキサン(2cs)溶液)、KF-9021(固形分50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-9021L(固形分50質量%ジメチルポリシロキサン(2cs)溶液)、X21-5249(固形分50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、X21-5595(固形分60質量%イソドデカン溶液)(以上、信越化学工業社製)、SS4267(固形分35質量%ジメチルポリシロキサン溶液)、SR1000(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、BY11-018(固形分30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(ダウ・東レ株式会社製)、BELSIL TMS 803(Wacker Chemie AG社製)等を使用することができる。
【0027】
アクリルシリコーン樹脂の市販品としては、予め溶剤に溶解させたもので、FA 40
01CM (固形分30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA 4002ID(固形分40質量%イソドデカン溶液)(以上、ダウ・東レ株式会社製)、KP-545(固形分30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KP-550(固形分40質量%イソドデカン溶液)、KP-545L(固形分40質量%ジメチルポリシロキサン(2cs)溶液)(以上、信越化学工業社製)等を使用することができる。
【0028】
皮膜形成剤の含有量は、固形分として3~30質量%が好ましく、より好ましくは4~20質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。固形分として3~30質量%の範囲であると、仕上がりの肌表面に球状粒子が並び、当たった光が乱反射されるためマットなパウダー感が得られる。また、皮膜形成剤により、耐皮脂性、耐水性が向上し球状粒子が毛穴や凹凸に固定されることで化粧崩れが解消される。その結果、油性のような伸びの良さを有しながら、塗布した瞬間にパウダー感に変わる油性パウダーファンデーションとなる。
【0029】
本発明で用いられる成分(d)の揮発性油剤は、常温(25℃)/常圧(1気圧)において揮発性があり、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されるものではなく、炭化水素油、シリコーン油、エーテル油等が用いられる。成分(d)の揮発性油剤は沸点が150℃以上であるものが好ましい。
成分(c)の皮膜形成剤に対する溶解性、成分(a)の球状粒子や成分(b)の二酸化チタンに対する分散性、使用性、皮膚刺激性、臭気の観点から1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0030】
炭化水素油としては、イソドデカン、イソトリデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素が挙げられる。
【0031】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、エチルトリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン(略称:D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(略称:D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(略称:D6)等の環状ポリシロキサン等の揮発性シリコーン油が挙げられる。鎖状ポリシロキサンは、直鎖、分岐鎖のいずれでも良い。
【0032】
エーテル油としては、エチルパーフルオロブチルエーテル等のフッ素含有エーテル油が挙げられる。
【0033】
揮発性油剤のうち、べたつきを抑制させるという観点から、少なくともシリコーン油を含有することが好ましく、シリコーン油は揮発性油剤中に80質量%以上含まれることが好ましく、90質量%以上含まれることがさらに好ましい。
【0034】
なお、揮発性油剤は、成分(c)の皮膜形成剤として用いる市販のトリメチルシロキシケイ酸溶液等において溶媒として使用されているものも含まれる。
【0035】
成分(d)の揮発性油剤の含有量は、使用時の伸びが軽く、きれいな仕上がりの油性パウダーファンデーションが得られる観点より、全組成中に総量として5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、15~35質量%がさらに好ましい。
【0036】
成分(e)の界面活性剤は、成分(a)の球状粒子、成分(b)の二酸化チタン及びその他粉体の、揮発性油剤等の媒体への濡れを向上させ、分散性を向上させる観点から、HLBが10以下の非イオン界面活性剤から選ばれる1種または2種以上が好ましく、HLBが6以下の非イオン界面活性剤がより好ましい。
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)
は、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。2種以上の非イオン界面
活性剤を用いた場合は、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて加重算平均より求められる。
【0037】
このようなHLB10以下の非イオン界面活性剤としては、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタンエステル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル等のジグリセリルエステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
あるいは、変性シリコーンから選ばれる非イオン界面活性剤を用いることができる。変性シリコーンとしては、シリコーン鎖が直鎖、分岐または架橋タイプのもの、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
【0038】
成分(e)の界面活性剤は、1種または2種以上を用いることができ、含有量は、粉体の分散性、使用感の観点から、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
【0039】
本発明の油性パウダーファンデーションによれば、さらに成分(f)としてワックスを配合することで、固形タイプの油性パウダーファンデーションが提供できる。また、ワックスを用いなければ、リキッドタイプの油性パウダーファンデーションやクリームタイプの油性パウダーファンデーションが提供できる。
【0040】
成分(f)のワックスを配合する場合、ワックスとしては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、モクロウ、コメヌカロウ等の天然系ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、シリコーンワックス等の鉱物系ワックス、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸、パルミチン酸セチル等の高級脂肪酸エステル、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
成分(f)のワックスの含有量は、固形タイプの油性パウダーファンデーションの硬さ、使用時の伸びやすさ、剤型の安定性の観点から、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~6質量%がさらに好ましい。
【0041】
本発明の油性パウダーファンデーションには、必要に応じて、成分(g)として有機変性ベントナイトを配合することができる。特にリキッドタイプ、クリームタイプの適切な粘度付与に用いられる。
成分(g)の有機変性ベントナイトは1種または2種以上を用いることができ、含有量は、使用感や粘度付与の観点から、全組成中に0~10質量%であり、好ましくは1~8質量%、より好ましくは2~6質量%である。
【0042】
有機変性ベントナイトは、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種で、粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものが代表的である。具体例として、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(ジステアルジモニウムヘクトライト)、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:エレメンティスジャパン社製)及びベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:エレメンティスジャパン社製)が好ましい。
【0043】
上述した成分(a)~(g)を含有する本発明の油性パウダーファンデーション組成では、水を含有しないことが好ましい。
本発明の油性パウダーファンデーション組成では、さらに、成分(h)として、水及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種を配合しても良い。そうすることにより、油媒体に不溶なスキンケア対応成分を含んだW/Oエマルションタイプの油性パウダーファンデーションが得られる。水及び多価アルコール、夫々の含有量は、限定されるものではないが、水は、全組成中に1~30質量%、多価アルコールは全組成中に0.1~10質量%が適当である。
【0044】
本発明の油性パウダーファンデーションには、以上の成分(a)~(h)以外に、本発明の効果を妨げない範囲で通常化粧料に配合される各種の添加剤、例えば、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、油剤、増粘剤、保湿剤、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分、フッ素化合物、香料、塩類等の成分を配合することができる。
【0045】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、デヒドロ酢酸Na等が使用できる。例えば、上野製薬(株)製のメッキンスM、メッキンスE、ロンザジャパン(株)製のGeogard 111S等が挙げられる。
【0046】
紫外線吸収剤としては、パルソールMCXやパルソール1789(DSM社製)、あるいは、紫外線散乱剤としては、MT-100TV、MTY-02(テイカ社製)、STR-100A-LP、STR-100C-LP、STR-100W-LP(堺化学工業社製)等の超微粒子二酸化チタンや、FINEX-50、NANOFINE-50LP(堺化学工業社製)等の微粒子酸化亜鉛が使用できる。
【実施例0047】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例中の含有量は全て質量%である。
【0048】
評価方法、評価基準は以下の通りである。
【0049】
いずれもN=6名による実使用試験を行い、伸び、パウダー感、仕上がり、化粧もちの程度について評価を行った。
評価基準は、下記に示す1点~5点の5点満点の評価点とし、評価点の平均値(小数点2桁を四捨五入したもの)から4段階で評価した。
【0050】
(評価点)
5点;非常に良い
4点;良い
3点;普通
2点;やや劣る
1点;劣る
【0051】
(評価基準)
◎;評価点の平均4.1以上
〇;評価点の平均3.1から4.0
△;評価点の平均2.1から3.0
×;評価点の平均2.0以下
【0052】
(実施例1~5、比較例1)
成分(a)の球状粒子の粒径(体積平均粒子径)について検討した。粒径を5種選定したときの評価結果を表1に示す。
実施例1~5の固形タイプの油性パウダーファンデーション及び比較例1のファンデーションの各試料は次のようにして作製した。すなわち、表1に示す成分のうち、成分(c)~(f)及び油剤を所定量計りとり80~90℃に加熱して溶解した。次いで成分(a)、(b)及び色材の所定量を添加し撹拌して十分分散させた後、80~90℃で静置して脱泡した後、容器に充填を行い、放冷して固化させた。
各試料の評価結果を表1に示す。
【0053】
表1より、粒径が5~20μm(具体的には、7μm、8μm、15μm)の球状粒子を含有する油性パウダーファンデーションが、伸び、パウダー感、仕上がり、化粧もちが優れていた。一方、粒径が3μmでは伸びや仕上がりが、また、粒径が30μmではパウダー感や仕上がりがやや劣る評価となった。一方、皮膜形成剤と揮発性溶剤を含有しない比較例1は、仕上がりや化粧持ちが劣る評価となった。
【0054】
【0055】
*1:ポリメタクリル酸メチル:松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアー M-100(体積平均粒子径8μm)
*2:ポリウレタンビーズ:大日精化社製、CM-1157(体積平均粒子径15μm)*3:ポリウレタンビーズ:大日精化社製、CM-1077(体積平均粒子径7μm)
*4:シリカビーズ:鈴木油脂社製、ゴッドボールG-6C(体積平均粒子径3μm)
*5:シリカビーズ:鈴木油脂社製、ゴッドボールE-90C(体積平均粒子径30μm)
*6:シリコーン処理酸化チタン:三好化成社製、SA-チタンCR-50(100%)*7:シリコーン処理黄酸化鉄:三好化成社製、SA-イエローLL-100P(100%)
*8:シリコーン処理赤酸化鉄:三好化成社製、SA-レッドR-516PS(100%)
*9:シリコーン処理黒酸化鉄:三好化成社製、SA-ブラックーBL-100P(100%)
*10:トリメチルシロキシケイ酸(固形分60質量%メチルトリメチコン溶液):信越化学工業社製、KF-7312T、
*11:丸善石油化学社製、マルカゾールR
*12:ダウ・東レ株式会社製、DOWSILTM SH 245 Fluid
*13:花王社製、レオドールAO-15V
*14:加藤洋行社製、カルナバワックス1号
*15:日興リカ社製、精製セレシンN
*16:日興リカ社製、PMWAX82
*17:日光ケミカルズ社製、シュガースクワラン
【0056】
(実施例6~13)
固形タイプの油性パウダーファンデーションで、成分(a)の球状粒子と成分(b)の二酸化チタンの含有量について検討した。各成分の種類ならびに含有量を表2に示す。製造方法は実施例1と同様に作製した。
【0057】
表2より、球状粒子と二酸化チタンを、球状粒子:二酸化チタン=1.5:1~1:1.5(質量比)の比率で配合し、かつ、上記球状粒子と二酸化チタンの合計の含有量を35~55質量%とした実施例6~11の油性パウダーファンデーションが、総合的に良好な結果となった。
球状粒子と二酸化チタンの合計の含有量が35質量%未満の実施例12は、パウダー感、仕上がり、化粧もちが、また、球状粒子と二酸化チタンの合計の含有量が55%を超える実施例13は化粧もちがやや劣る結果となった。
【0058】
【0059】
(実施例14~15、実施例16、比較例2)
固形タイプの油性パウダーファンデーションについて、成分(c)の皮膜形成剤の含有量を検討した。各成分及び含有量を表3に示す。製造方法は実施例1と同様に作製した。
表3より、実施例14、16の皮膜形成剤の固形分9質量%のものが伸び、パウダー感、仕上がり、化粧もちが優れた。実施例15の固形分31.8質量%では伸びが悪くパウダー感がやや劣る評価となった。一方、成分(c)の皮膜形成剤を含有しない比較例2のファンデーションでは化粧もちが劣る評価となった。
【0060】
【0061】
以下に、本発明の油性パウダーファンデーションの他の処方例を挙げる。
【0062】
表4にリキッドタイプの油性パウダーファンデーションの処方例を示す。
【0063】
(製造方法)
A:成分(c)~(e)、(g)及び油剤を80~90℃に加熱し、均一溶解する。
B:Aに成分(a)、(b)、及び色材を加え、均一に分散する。
C:Bを脱泡後、容器に充填し冷却ののち、リキッドタイプの油性パウダーファンデーションを得た。
【0064】
処方例1、2のリキッドタイプの油性パウダーファンデーションは、塗布時の伸び広がりが軽く、仕上がりにべたつきを感じないパウダリーな感触を有する優れたものであった。
【0065】
【0066】
*18:ダウ・東レ株式会社製、DOWSILTM345Fluid
*19:MORESCO社製、モレスコホワイトP-40
*20:信越化学工業社製、KF-6017
*21:エレメンティスジャパン社製、ベントン38
【0067】
表5にW/Oエマルションタイプの油性パウダーファンデーションの処方例を示す。
【0068】
(製造方法)
A:油相成分(c)~(e)、(g)及び油剤を80~90℃に加熱し、均一溶解する。B:Aに成分(a)、(b)、及び色材を加え、均一に分散する。
C:あらかじめ加熱しておいた水相成分(h)及び防腐剤を添加し、乳化分散する。
D:Cを金皿に流し込み、冷却固化してW/Oエマルションタイプの油性パウダーファンデーションを得た。
処方例3、4のW/Oエマルションタイプの油性パウダーファンデーションは、顔の広範囲や頬等の良く動く部分に塗布する際に適度な伸びや心地良い使用感を有し、かつ皮膜形成性がよく、化粧もちに優れるものであった。また、保湿成分としてグリセリンを含むので、スキンケア対応にも有効である。
【0069】
【0070】
*22:メタクリル酸メチルクロスポリマー:松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアー M-306(体積平均粒子径9μm)
*23:日油社製、RG・コ・P
*24:上野製薬社製、メッキンスM
本発明によれば、従来のパウダーファンデーションと少なくとも同等のパウダー感を有し、また従来のパウダーファンデーションの欠点である化粧崩れを解決する化粧料である油性パウダーファンデーションを提供することができる。油性パウダーファンデーションの形態は、各種の処方により固形タイプ、リキッドタイプあるいはクリームタイプ等に調製することができる。