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2022-176126排出ガスを浄化するための排出ガス浄化システムおよび方法ならびに排出ガス浄化システムの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176126
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】排出ガスを浄化するための排出ガス浄化システムおよび方法ならびに排出ガス浄化システムの使用
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/24 20060101AFI20221117BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20221117BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20221117BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20221117BHJP
   B01D 46/72 20220101ALI20221117BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B01D46/24 Z
B01D46/10 Z ZAB
B01D53/86 222
B01D53/86 280
B01D53/94 222
B01D53/94 280
B01D46/72
B01D39/20 D
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077012
(22)【出願日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】21173594
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セレン・メルガード
(72)【発明者】
【氏名】ニック・ヘイ・ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】ルディー・クルーセ・モーテンセン
【テーマコード(参考)】
4D019
4D058
4D148
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA05
4D019BB08
4D019BC07
4D019CA03
4D019CB02
4D019CB09
4D058JA02
4D058JA12
4D058JB03
4D058JB06
4D058KB05
4D058KB11
4D058MA15
4D058MA17
4D058SA08
4D058TA02
4D058TA06
4D148AA06
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148BA07Y
4D148BA13Y
4D148BA23Y
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BA41Y
4D148BB06
4D148CA07
4D148CC47
4D148CC63
4D148CD02
4D148CD05
4D148EA07
(57)【要約】
【課題】改善された排出ガス浄化システムを提供すること。
【解決手段】排出ガス浄化システム1は粒子フィルタデバイス9を備え、フィルタデバイス9は、ケーング15とその排出ガス通路19内に配置される中空セラミックフィルタロッド33と、排出ガス入口25と、排出ガス出口27と、多孔板29と、を備え、ガス入口25からガス出口27に排出ガスを誘導する。多孔板29はフィルタロッド33に沿って延在し、ガス入口25からガス通路19までの排出ガス流路Pを部分的にブロックし、ガス通路19への排出ガスの流入を可能にする開口部41を画成する。フィルタロッド33は、排出ガスがフィルタロッド33の壁53を透過してフィルタロッド33内に流入可能にするガス透過性を有し、フィルタロッド33の上側端部39は、排出ガスがケーシング15から出ることを可能にするように前記排出ガス出口27と連通している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出ガスを浄化するための排出ガス浄化システム(1)であって、粒子フィルタデバイス(9)を備え、前記粒子フィルタデバイス(9)は次いで、
ケーシング(15)と、
前記ケーシング(15)の排出ガス通路(19)の内側に少なくとも部分的に配置され、略垂直方向に互いに沿って長手方向に延在する、複数の中空セラミック製のフィルタロッド(33)と、
排出ガスが前記排出ガス通路(19)の上流で前記ケーシング(15)内に流入することを可能にするように配置されている排出ガス入口(25)と、
排出ガスが前記排出ガス通路(19)の下流で前記ケーシング(15)から流出することを可能にするように配置されている排出ガス出口(27)と、
を備え、
前記粒子フィルタデバイス(9)は、排出ガスを前記排出ガス入口(25)から、前記排出ガス通路(19)を通り、前記排出ガス出口(27)に誘導するように構成され、前記粒子フィルタデバイス(9)は
前記排出ガス入口(25)の下流および前記排出ガス通路(19)の上流に配置されている多孔板(29)をさらに備え、前記多孔板(29)は少なくとも部分的に前記フィルタロッド(33)に沿って延在し、前記排出ガス入口(25)から前記排出ガス通路(19)までの排出ガス流路(P)を部分的にブロックし、
前記多孔板(29)は、前記排出ガス通路(19)に排出ガスが流入することを可能にするように配置されている開口部(41)を画成し、前記フィルタロッド(33)は、濾過中に、排出ガスが前記フィルタロッド(33)のそれぞれの壁(53)を透過して前記フィルタロッド(33)内に流入することを可能にするガス透過性を有し、前記フィルタロッド(33)のそれぞれの開いている上側端部(49)は、排出ガスが前記ケーシング(15)から出ることを可能にするように前記排出ガス出口(27)と連通している排出ガス浄化システム(1)。
【請求項2】
前記多孔板(29)は、対向する第1および第2の外側セクション(43、45)を備え、前記第1の外側セクション(43)の少なくとも一部(43u)は、前記フィルタロッド(33)に向かう方向で垂直軸(V1)の周りに曲げられる請求項1に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項3】
前記多孔板(29)は、外下側セクション(44)を備え、前記外下側セクション(44)の少なくとも一部は、前記フィルタロッド(33)に向かう方向で水平軸(H1)の周りに曲げられる請求項1または2に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項4】
前記多孔板(29)から前記フィルタロッド(33)に向かって延在する細長板補強突出部(46a、46b)をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項5】
前記フィルタロッド(33)は、n>1個のグループ(57、59、62)に分割され、前記グループ(57、59、62)の各々の中の前記フィルタロッド(33)の少なくとも大部分の隣接するロッドの間の距離は<xであり、前記グループ(57、59、62)のうちの2つの隣接するグループの前記フィルタロッド(33)のうちの隣接するロッドの間の距離は>xであり、これによりn-1個の中間分配チャネル(61、61a、61b)を形成し、前記中間分配チャネル(61、61a、61b)の各1つは、前記グループ(57、59、62)のうちの2つの隣接するグループの間に延在する請求項1から4のいずれか一項に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項6】
前記中間分配チャネル(61、61a、61b)のうちの少なくとも1つは、前記多孔板(29)から離れる方向に延在する請求項5に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項7】
前記排出ガス入口(25)は、前記多孔板(29)の上側半分(36)の伸長部を画成する2つの想像上の分離された水平面(h1、h2)の間に配置される請求項1から6のいずれか一項に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項8】
前記粒子フィルタデバイス(9)は、前記フィルタロッド(33)のサブセットの開いている上側端部(39)内にガスを一度に吹き込み、前記フィルタロッド(33)の前記サブセットの外側表面(56)上に前記排出ガスによって堆積された粒子をほぐすように配置されている煤吹き配置構成部(67)を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項9】
前記フィルタロッド(33)は、少なくとも第1の触媒を含む物質を含浸される請求項1から8のいずれか一項に記載の排出ガス浄化システム(1)。
【請求項10】
粒子フィルタデバイス(9)を用いて排出ガスを浄化するための方法であって、前記粒子フィルタデバイス(9)は
ケーシング(15)と、
前記ケーシング(15)の排出ガス通路(19)の内側に少なくとも部分的に配置され、略垂直方向に互いに沿って長手方向に延在する、複数の中空セラミックガス透過性のフィルタロッド(33)と、
排出ガスが前記排出ガス通路の上流で前記ケーシング(15)内に流入することを可能にするように配置されている排出ガス入口(25)と、
排出ガスが前記排出ガス通路(19)の下流で前記ケーシング(15)から流出することを可能にするように配置されている排出ガス出口(27)と、
前記排出ガス入口(25)の下流および前記排出ガス通路(19)の上流に配置されている多孔板(29)を備え、前記多孔板(29)は少なくとも部分的に前記フィルタロッド(33)に沿って延在し、前記排出ガス入口(25)から前記排出ガス通路(19)までの排出ガス流路(P)を部分的にブロックし、
前記方法は、
排出ガスを前記ケーシング(15)内に供給するステップと、
排出ガスを、前記多孔板(29)の開口部(41)に通し、前記排出ガス通路(19)内に供給するステップと、
排出ガスを、それが前記フィルタロッド(33)のそれぞれの壁(53)を透過して前記フィルタロッド(33)内に流入することを可能にすることによって濾過するステップと、
排出ガスを前記フィルタロッド(33)のそれぞれの開いている上側端部(39)に通して放出するステップと、
排出ガスを前記ケーシング(15)から外に供給するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記ケーシング(15)内の排出ガスを誘導することを、前記多孔板(29)の対向する第1および第2の外側セクション(43、45)を用いて行うステップを含み、前記第1の外側セクション(43)の少なくとも一部(43u)は、前記フィルタロッド(33)に向かう方向で垂直軸(V1)の周りに曲げられる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケーシング(15)内の排出ガスを誘導することを、前記多孔板(29)の外下側セクション(44)を用いて行うステップを含み、前記外下側セクション(44)の少なくとも一部は、前記フィルタロッド(33)に向かう方向で水平軸(H1)の周りに曲げられる請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記排出ガス通路(19)の内部に形成されたn-1個の中間分配チャネル(61、61a、61b)内に排出ガスを供給するステップを含み、前記フィルタロッド(33)は、n>1個のグループ(57、59、62)に分割され、前記グループ(57、59、62)の各々の中の前記フィルタロッド(33)の少なくとも大部分の隣接するロッドの間の距離は<xであり、前記グループ(57、59、62)のうちの2つの隣接するグループの前記フィルタロッド(33)のうちの隣接するロッドの間の距離は>xであり、これにより前記n-1個の中間分配チャネル(61、61a、61b)を形成し、前記中間分配チャネル(61、61a、61b)の各1つは、前記グループ(57、59、62)のうちの2つの隣接するグループの間に延在する請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
排出ガスを、前記多孔板(29)の上側半分(36)の伸長部を画成する2つの分離された水平面(h1、h2)の間の前記ケーシング(15)内に供給するステップを含む請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタロッド(33)のサブセットの前記開いている上側端部(39)内にガスを一度に吹き込み、前記フィルタロッド(33)の前記サブセットの外側表面(56)上に前記排出ガスによって堆積された粒子をほぐすステップを含む請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも第1の触媒を含む物質の含浸を前記フィルタロッド(33)に行うステップを含む請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
船上で排出ガスを浄化するための請求項1から9のいずれか一項に記載の排出ガス浄化システム(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば舶用エンジン、バーナー、またはボイラーからの排出ガスを浄化するための排出ガス浄化システムに関する。本発明は、たとえば舶用エンジン、バーナー、またはボイラーからの排出ガスを浄化するための方法にも関する。さらに、本発明は、たとえば舶用エンジン、バーナーまたはボイラーからの排出ガスを船上で浄化するための排出ガス浄化システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる種類の排出ガスは、たとえば船舶の推進に関連して、無数の異なる状況において発生する。巨大船は、典型的には、硫黄含有燃料、より具体的には高硫黄重油燃料、またはVLSFO、ULSFO、もしくはディーゼルのような低硫黄燃料で動作するエンジンによって駆動される。そのような燃料の燃焼では、窒素酸化物(NO)、および場合によっては燃料の硫黄レベルに応じた硫黄酸化物(SO)を含む排出ガスが形成される。排出ガスは、典型的には、煤、油、重金属、およびもっぱらサブミクロンの元素状炭素微粒子からなるブラックカーボン(BC)などの粒子状物質も含む。排出ガスが環境に及ぼす影響を低減するために、排出ガスは、大気中に放出される前に浄化されこれらの汚染物質が除去されることが望ましい。たとえば、排出ガスは、硫黄酸化物および粒子状物質を除去するためにウェットスクラバーに通され、および/または窒素酸化物を除去するためにSCR反応器で処理することも可能である。
【0003】
スクラバーは、海水の自然アルカリ性を利用して排出ガスから硫黄酸化物を洗い流す、いわゆるオープンループスクラバーであってもよい。海水は、次いで、海から供給され、排出ガスからSOおよび粒子状物質を吸収するためにスクラバーに通されて排出され海に戻される。
【0004】
代替的に、スクラバーは、循環する淡水または海水を、典型的には水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(NaCO)のようなアルカリ化剤と組み合わせて使用して排出ガスから硫黄酸化物および粒子状物質を洗い流す、いわゆる閉ループスクラバーとすることも可能である。そのようなスクラバーでは、循環する淡水または海水中の亜硫酸塩水、硫酸塩、および粒子状物質の量は徐々に増加している。したがって、循環する淡水または海水の品質を制御するために、時々または継続的にその少量がきれいな淡水または海水で置き換えられ、船上に貯蔵されるか、または浄化して粒子状物質を除去した後に船外に排出され得る。
【0005】
今日この目的で使用されているスクラバーは、排出ガスから、硫黄酸化物の大部分、および粒子状物質の一部、ただしより少ない粒子状物質を除去することができる。SO排出は、既に世界中のIMOによって規制されており、将来的にはブラックカーボンおよび粒子状物質全般の規制も予想される。その点を鑑みて、排出ガスからより多くの粒子状物質を除去することを可能にする排出ガス浄化技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、排出ガスを浄化するための改善された排出ガス浄化システム、排出ガスを浄化するための改善された方法、および船舶上の排出ガスを浄化するための排出ガス浄化システムの改善された使用を提供することである。
【0007】
本発明の基本概念は、排出ガスからの粒子状物質除去を高めることを可能にする粒子フィルタデバイス(particle filter device)を用いた排出ガスの浄化を提供することである。本発明による排出ガス浄化システム、方法、および使用は、付属の請求項において定義され、以下で説明される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による排出ガス浄化システムは、たとえば船上で排出ガスを浄化するためのものである。排出ガス浄化システムは、粒子フィルタデバイスを備え、粒子フィルタデバイスは次いで、ケーシングおよびケーシングの排出ガス通路の内部に配置構成され、略垂直に、互いに沿って長手方向に延在する、複数の中空セラミックフィルタロッド(ceramic filter rod)を備える。「垂直に」は、「水平に」に対して垂直であり、重力の方向に対して平行である。フィルタロッドは、部分的にまたは完全に、言い換えると少なくとも部分的に、排出ガス通路内に配置構成される。言い換えると、フィルタロッドのそれぞれの部分または完全なフィルタロッドのいずれかが、排出ガス通路の内部に延在する。粒子フィルタデバイスは、排出ガス通路の上流でケーシング内に排出ガスが流入することを可能にするように配置構成されている排出ガス入口と、排出ガス通路の下流でケーシングから排出ガスが流出することを可能にするように配置構成されている排出ガス出口とをさらに備える。粒子フィルタデバイスは、排出ガス入口から前記排出ガス通路を通り排出ガス出口に排出ガスを誘導するように構成される。粒子フィルタデバイスは、排出ガス入口の下流および前記排出ガス通路の上流に配置構成されている多孔板をさらに備える。この板は、少なくとも部分的に前記フィルタロッドに沿って延在し、排出ガス入口から前記排出ガス通路までの排出ガス流路を部分的にブロックするか、または閉じる。多孔板は、前記排出ガス通路に排出ガスが流入することを可能にするように配置構成されている開口部を画成する。フィルタロッドは、濾過中に排出ガスがフィルタロッドのそれぞれの壁を透過して前記フィルタロッド内に流入することを可能にするガス透過性を有する。さらに、フィルタロッドのそれぞれの開いている上側端部は、排出ガスがケーシングから出ることを可能にするように前記排出ガス出口と連通している。
【0009】
ケーシングは、たとえばステンレス鋼および/または炭素鋼などの、任意の好適な形状および材料のものであってよく、排出ガス通路は、直方体の形状などの、任意の好適な形状を有し得る。
【0010】
複数のまたはすべてのフィルタロッドは、互いに分離され、いわゆるキャンドル型のフィルタセットアップを備え得る。たとえばいわゆるウォールフロー型のフィルタと比較して、キャンドル型フィルタは、フィルタロッドの追加または取り外しによってその構成が容易に変更され得るので柔軟性があり、効率的な煤吹きを可能にするので浄化が容易であり、フィルタロッドを容易に大量生産できるので安価である。フィルタロッドを分離することは、フィルタロッドの隅々に排出ガスを分配することを可能にし、また、フィルタロッド面の大部分を排出ガス濾過に使用することを可能にする。さらに、フィルタロッドは、フィルタロッドの周りへの排出ガスのなおいっそう均一な分配、および効果的な排出ガス濾過を促進するフォーメーションで配置構成され得る。フィルタロッドは、円形、卵形、または多角形などの任意の好適な断面、および任意の壁厚を有し得る。たとえば、フィルタロッドは、円形断面、ならびに40~200mmの外径、0.3~3mの長さ、および5~30mmの壁厚を有し得る。
【0011】
フィルタロッドが、水平ではなく垂直に延在している点で、これらは壊れにくく、破損する傾向が低い。
【0012】
フィルタロッドは、各々、開いた上側端部を有している。上側端部は、排出ガスシステムが配置構成される空間の地面または床から最も遠い端部を意味する。フィルタロッドは、各々、閉じられた下側端部を有し得る。下側端部は、排出ガスシステムが配置構成される空間の地面または床に最も近い端部を意味する。
【0013】
本文全体を通して、「連通する」および「連通」は、それぞれ、「直接的にまたは間接的に連通する」および「直接的または間接的連通」を意味することが強調されるべきである。同様に、「受け入れる」、「供給する」、「放出する」などは、本文全体を通して、それぞれ「直接的または間接的に受け入れる」、「直接的または間接的に供給する」、「直接的または間接的に放出する」を意味する。
【0014】
さらに、「排出ガス」という用語は、本文全体を通して、未処理の排出ガス、さらには異なる程度に浄化された排出ガスに使用されることが強調されるべきである。
【0015】
本明細書において、「上流」は、排出ガスの流れ方向で見て「前」を意味し、「下流」は、排出ガスの流れ方向で見て「後」を意味する。
【0016】
上で述べたように、ステンレス鋼などの任意の好適な材料であってもよい、多孔板は、排出ガス入口から排出ガス通路に至る排出ガス流路を部分的にブロックするか、または閉じる。この板の開口部はそのまま排出ガスが板を通過することを可能にするので排出ガス流路は「部分的に」ブロックされるだけである。板の開口部は、任意の好適な設計を有し得る、たとえば、円形、卵形もしくは多角形、またはこれらの任意の混合であってもよい。多孔板の開口面積は、25~75%、好ましくは40~60%であってよい。さらに、排出ガス流路は、排出ガスが多孔板を通って流れるだけでなく、多孔板の周りにも流れ得るように多孔板がケーシングの内側から分離されているため、「部分的に」のみブロックされ得る。
【0017】
上で述べたように、フィルタロッドは、排出ガスがフィルタロッド壁を透過し、フィルタロッドの内部に流入することを可能にするようにガス透過性を有している。排出ガスがフィルタロッド壁を透過するときに、煤、油、重金属、およびブラックカーボンなどの粒子状物質がフィルタロッドの外側表面に堆積し、排出ガスの残りはフィルタロッド内に流入する。それによって、排出ガスは、フィルタロッドの開いている上側端部および排出ガス出口に向かって上方に流れる前に濾過され浄化されて粒子状物質が除去される。
【0018】
粒子フィルタデバイスが、フィルタロッドを含む排出ガス通路に到達する前に排出ガスが通過する必要がある多孔板を備えている点で、排出ガスは、フィルタロッドの周りに比較的均一に分配されるものとしてよく、これは排出ガスの濾過効率の観点から有益である。
【0019】
多孔板は、対向する第1および第2の外側セクションを備え、第1の外側セクションの少なくとも一部、たとえば上側部分は、フィルタロッドに向かう方向で垂直軸の周りに、曲げられ、場合によっては角度を付けられる。
【0020】
第1の外側セクションの少なくとも一部が上で指定されている方法で曲げられている点で、多孔板は、「折り畳まれ」、フィルタロッドの周りの排出ガスの分配を改善するようにフィルタロッドに向かって排出ガスを導き得る。
【0021】
当然ながら、第2の外側セクションの少なくとも一部も、たとえば上側部分は、フィルタロッドに向かう方向で垂直軸の周りに曲げられ得る。
【0022】
多孔板は、外下側セクションをさらに備えるものとしてよく、外下側セクションの少なくとも一部は、フィルタロッドに向かう方向で水平軸の周りに曲げられ、場合によっては角度を付けられる。
【0023】
外下側セクションの少なくとも一部が上で指定されている方法で曲げられている点で、多孔板は、「折り畳まれ」、フィルタロッドの周りの排出ガスの分配を改善するようにフィルタロッドに向かって排出ガスを導き得る。
【0024】
排出ガス浄化システムは、多孔板からフィルタロッドに向かって延在する細長板補強突出部をさらに備え得る。板補強突出部は、直接的に、または直線的に延在する必要はないが、フィルタロッドに向かって、斜めに延在することもあり得る。板補強突出部は、板上に異なる位置決めをされてもよい。一例として、板補強突出部は、多孔板の外縁から、および/またはその少なくとも一部に沿って延在し得る。さらに、板補強突出部は、多孔板と一体形成され得るか、または一体形成されていなくてもよい。その名称から明らかなように、板補強突出部は、多孔板に対する制御されない振動、変形、および損傷を回避できるように多孔板を強化し得る。さらに、多孔板上の位置によっては、板補強突出部は、「スタンディングボルテックス」または乱流が多孔板の外縁によって発生するリスクを減少させるものとしてよく、この「スタンディングボルテックス」は、多孔板に最も近い位置に配置構成されているフィルタロッド、特にその隅における制御されない振動のリスクを増大させる可能性がある。
【0025】
フィルタロッドは、n>1個のグループに分割され得る。さらに、前記グループの各々の中のフィルタロッドの少なくとも大部分の隣接するロッドの間の距離は<xであってよく、グループの2つの隣接するもののフィルタロッドのうちの隣接するロッドの間の距離は>xであってもよく、これによりn-1個の中間分配チャネルを形成する。これらの1つ以上の中間分配チャネルの各々は、グループの2つの隣接するものの間に延在し、フィルタロッドの周りの排出ガスのより均一な分配を促し得る。
【0026】
前記中間分配チャネルのうちの少なくとも1つは、多孔板から離れる方向に延在し得る。そのような設計は、多孔板から最も遠く離れて配置構成されているフィルタロッドの周りの排出ガスの分配を促進し得る。
【0027】
フィルタロッドのうちの外側フィルタロッドのセットは、外側フィルタロッドの前記セットとケーシングとの間に延在する第1の外側分配チャネルを形成するようにケーシングから一定の距離のところに配置構成され得る。この第1の外側分配チャネルは、フィルタロッドの周りの排出ガスのより均一な分配を促進し得る。
【0028】
当然ながら、フィルタロッドの外側フィルタロッドの別のセットは、外側フィルタロッドとの前記別のセットとケーシングとの間に延在する第2の外側分配チャネルを形成するようにケーシングから一定の距離のところに配置構成されてもよく、場合によっては第1の外側分配チャネルと平行であってもよい。この第2の外側分配チャネルは、フィルタロッドの周りの排出ガスのより均一な分配をなおいっそう促進し得る。
【0029】
第1および/または第2の外側分配チャネルは、多孔板から離れる方向に延在し得る。そのような設計は、多孔板から最も遠く離れて配置構成されているフィルタロッドの周りの排出ガスの分配を促進し得る。
【0030】
本明細書において、「フィルタロッド間の距離」または「フィルタロッドとケーシングとの間の距離」に言及されたときに、その距離は、フィルタロッドの外面から測定されるものである。
【0031】
排出ガス入口は、排出ガス通路の頂部、すなわちフィルタロッドの下側端部より上に配置構成され得る。より具体的には、排出ガス入口は、多孔板の上側半分の伸長を画成する2つの想像上の分離した水平面の間またはその中に配置構成されてもよい。したがって、想像上の水平面のうちの一方は、垂直方向伸長の半分のところで多孔板を2つに分割し、想像上の水平面のうちの他方は、多孔板の上側縁と同一平面上に延在する。それによって、フィルタロッドの周りの上向きの排出ガス流が最小化され、それにより、排出ガスに由来する粒子状物質の上向きの流れが最小化され得る。その結果、粒子状物質の捕集が円滑にされ得る。
【0032】
粒子フィルタデバイスは、フィルタロッドの開いた上側端部内にガスを吹き込みフィルタロッドの外側表面上に排出ガスによって堆積された粒子または粒子状物質をほぐすように配置構成されている煤吹き配置構成部をさらに備え得る。それによって、フィルタロッドの濾過能力を維持するためにフィルタロッドを浄化する可能性が提供される。
【0033】
煤吹き配置構成部は、フィルタロッドのサブセットの開いた上側端部内にガスを一度に吹き込みフィルタロッドの前記サブセットの外側表面上に排出ガスによって堆積された粒子または粒子状物質をほぐすように配置構成され得る。一度にフィルタロッドの、すべてではなく、サブセットにのみガスを吹き込むことによって、排出ガス浄化システムは、フィルタロッドの浄化時に、そのまま動作していてもよく、停止されなくてもよい。たとえば、フィルタロッドのサブセットは、同一の直線に沿って配置構成されているフィルタロッドであってもよい。
【0034】
ケーシングは、フィルタロッドの前記サブセットの外側表面からほぐされた粒子または粒子状物質を捕集するための汚れ捕集空間を画成し得る。汚れ捕集空間は、前記排出ガス通路の下に配置構成され得る。それによって、重力は、排出ガス通路から緩んだ粒子または粒子状物質を前記汚れ捕集空間内に捕集するのを補助し得る。さらに、汚れ捕集空間は、下向きの方向に先細り形状であってよい。それによって、重力は、汚れ捕集空間の底部内の緩んだ粒子または粒子状物質を捕集するのを補助し得る。さらに、粒子フィルタデバイスは、粒子状物質を排出するために汚れ捕集空間の底部を開閉する機構を備え得る。この機構は、自動または手動の気密出口弁を備え得る。
【0035】
フィルタロッドは、少なくとも第1の触媒を含む物質でコーティングされるか、または含浸され得る。フィルタロッド一式、またはその一部のみがコーティングされるか、または含浸されてもよい。第1の触媒は、排出ガス中に含まれる窒素酸化物の還元を促進するための還元触媒、または排出ガス中に含まれる炭化水素の酸化を促進するための酸化触媒であってよい。また、物質は、還元触媒または酸化触媒の形態の第2触媒を含むことも可能である。
【0036】
排出ガス浄化システムは、濾過された排出ガスを浄化して硫黄酸化物を除去するために粒子フィルタデバイスの下流に配置構成されているスクラバーをさらに備え得る。それに加えて/代替的に、排出ガス浄化システムは、粒子フィルタデバイスの下流に配置構成されている排出ガス熱回収用のボイラーを備え得る。ボイラーを排出ガス浄化システムの後に配置構成しておくことによって、濾過された排出ガスは、ボイラーに通して供給され、その結果濾過されていない排出ガスがボイラーに通されて供給される場合と比較してボイラーの表面の汚れが少なくなり得る。
【0037】
排出ガス浄化システムは、排出ガス浄化システムによって浄化されるべき排出ガスの代わりに、高温ガスを排出ガス通路内に時折導き入れてフィルタロッドの再生を行うための手段をさらに備えてもよい。これらの手段は、排出ガス入口を備えるものとしてよく、排出ガス入口は、排出ガスまたはフィルタロッド再生を目的とする高温ガスのいずれかが、前記排出ガス通路の上流のケーシングに流入することを可能にするように配置構成され得る。
【0038】
本発明による方法は、粒子フィルタデバイスを用いて排出ガスを浄化するための方法である。この粒子フィルタデバイスは、ケーシングと、ケーシングの排出ガス通路の内側に少なくとも部分的に配置構成され、略垂直方向に互いに沿って長手方向に延在する、複数の中空セラミックガス透過性フィルタロッドとを備える。粒子フィルタデバイスは、排出ガスが排出ガス通路の上流でケーシング内に流入することを可能にするように配置構成されている排出ガス入口と、排出ガスが排出ガス通路の下流でケーシングから流出することを可能にするように配置構成されている排出ガス出口と、排出ガス入口の下流および前記排出ガス通路の上流に配置構成されている多孔板とをさらに備え、この板は少なくとも部分的に前記フィルタロッドに沿って延在し、排出ガス入口から前記排出ガス通路までの排出ガス流路を部分的にブロックする。方法は、排出ガスをケーシング内に供給するステップと、排出ガスを多孔板の開口部に通して排出ガス通路に供給するステップとを含む。方法は、排出ガスを濾過することを、排出ガスが前記フィルタロッドのそれぞれの壁を透過し、前記フィルタロッド内に流入することを可能にすることによって行うステップと、排出ガスをフィルタロッドのそれぞれの開いている上側端部を通して放出するステップと、排出ガスをケーシングから外に供給するステップとをさらに含む。
【0039】
方法は、ケーシング内の排出ガスを誘導することを、多孔板の対向する第1および第2の外側セクションを用いて行うステップを含み得る。第1の外側セクションの少なくとも一部は、フィルタロッドに向かう方向で垂直軸の周りに曲げられ得る。
【0040】
方法は、多孔板の外下側セクションを用いてケーシングの内部に排出ガスを誘導するステップを含み得る。外下側セクションの少なくとも一部は、フィルタロッドに向かう方向で水平軸の周りに曲げられ得る。
【0041】
方法は、排出ガス通路の内部に形成されたn-1個の中間分配チャネル内に排出ガスを供給するステップを含み得る。フィルタロッドは、n>1個のグループに分割されてよく、前記グループの各々の中のフィルタロッドの少なくとも大多数、場合によってはすべての、うちの隣接するロッドの間の距離は、<xであり得る。さらに、グループの2つの隣接するもののフィルタロッドのうちの隣接するロッドの間の距離は>xであってもよく、これにより前記n-1個の中間分配チャネルを形成する。前記中間分配チャネルの各1つは、グループのうちの2つの隣接するグループの間に延在し得る。
【0042】
中間分配チャネルのうちの少なくとも1つは、多孔板から離れる方向に延在し得る。
【0043】
方法は、排出ガス通路の内部に形成された第1の外側分配チャネル内に排出ガスを供給するステップを含み得る。フィルタロッドのうちの外側フィルタロッドのセットは、外側フィルタロッドの前記セットとケーシングとの間に延在する前記第1の外側分配チャネルを形成するようにケーシングから一定の距離のところに配置構成され得る。
【0044】
第1の外側分配チャネルは、多孔板から離れる方向に延在し得る。
【0045】
方法は、多孔板の上側半分の伸長を画成する2つの分離した水平面の間のケーシング内に排出ガスを供給するステップを含み得る。
【0046】
方法は、フィルタロッドのサブセットの開いた上側端部内にガスを一度に吹き込みフィルタロッドのサブセットの外側表面上に排出ガスによって堆積された粒子をほぐすステップを含み得る。
【0047】
方法は、フィルタロッドのサブセットの外側表面からほぐされた粒子を、排出ガス通路の下に配置構成されている汚れ捕集空間内に捕集するステップを含み得る。
【0048】
方法は、少なくとも第1の触媒を含む物質のコーティングまたは含浸をフィルタロッドに行うステップを含み得る。第1の触媒は、排出ガス中に含まれる窒素酸化物の還元を促進するための還元触媒、または排出ガス中に含まれる炭化水素の酸化を促進するための酸化触媒であってよい。
【0049】
方法は、濾過された排出ガスを、このガスを浄化して硫黄酸化物を除去するためのスクラバーに通して供給するステップを含み得る。それに加えて/代替的に、この方法は、濾過された排出ガスを、そこから熱を回収するためのボイラーに通して供給するステップを含み得る。
【0050】
方法は、排出ガス浄化システムによって浄化されるべき排出ガスの代わりに、高温ガスを排出ガス通路内に時折導き入れてフィルタロッドの再生を行うステップを含み得る。
【0051】
本発明による排出ガス浄化システムの使用は、船上で排出ガスを浄化することを目的とする。
【0052】
本発明による排出ガス浄化システムの異なる実施形態の上で説明されている利点は、本発明による排出ガスを浄化するための方法および使用の対応する異なる実施形態についても存在する。
【0053】
本発明のさらなる他の目的、特徴、態様、および利点は、次の詳細な説明さらには図面から明らかになる。
【0054】
次に本発明は添付概略図面を参照しつつより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明による排出ガス浄化システム、およびエンジンを例示する概略図である。
図2図1の排出ガス浄化システムの粒子フィルタデバイスの垂直断面を例示する概略図である。
図3図2の粒子フィルタデバイスの、粒子フィルタデバイスの穴板の真下の、水平断面を例示する概略図である。
図4a図2および図3の粒子フィルタデバイスの多孔板を例示する概略側面図である。
図4b図4aの多孔板を例示する概略正面図である。
図4c図4aの多孔板を例示する概略頂面図である。
図4d図4aの多孔板を例示する概略底面図である。
図5】本発明の代替的実施形態による排出ガス浄化システムを除き図3と同じ図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、船舶(図示せず)に搭載されているエンジン3からの排出ガスを浄化して窒素酸化物、硫黄酸化物、炭化水素、およびブラックカーボンなどの粒子状物質を除去するために使用する排出ガス浄化システム1を例示している。排出ガス浄化システム1は、尿素供給部5と、高温ガス供給部7と、粒子フィルタデバイス9と、ボイラー11と、スクラバー13とを備える。排出ガス浄化システム1の第1の動作モードでは、エンジン3から排出される排出ガスが矢印A1で例示されているように大気中に放出される前に粒子フィルタデバイス9、ボイラー11、およびスクラバー13に順に通されて供給されている間に高温ガス供給部7は非稼働状態にある。尿素供給部5からの尿素は、粒子フィルタデバイス9に供給される前の排出ガス中に注入される。高温である排出ガス中に注入されたときに尿素は速やかにアンモニアに分解する。粒子フィルタデバイス9から排出された排出ガスは、ボイラー11に通されて供給され、排出ガスから熱を回収する。回収された熱は、たとえば、水を加熱し、船内で必要な蒸気を生成するために使用され得る。排出ガス熱回収ボイラーの設計および動作はよく知られており、本明細書では説明されない。ボイラー11から排出された排出ガスは、粒子状物質をさらに除去するため、しかし特に排出ガスを浄化して硫黄酸化物を除去するためにスクラバー13に通して供給される。スクラバーは、開ループタイプのウェットスクラバーまたは閉ループタイプまたはそのハイブリッドであってよい。排出ガススクラバーの設計および動作はよく知られており、本明細書では説明されない。粒子フィルタデバイス9に通されて供給される排出ガスは濾過され浄化されて粒子状物質を除去される。本明細書の残りは、粒子フィルタデバイス9およびそれを用いて実行される方法に焦点を当てることにする。
【0057】
図2および図3を参照すると、粒子フィルタデバイス9は、排出ガス受け入れ空間17、排出ガス通路19、排出ガス排出空間21、および汚れ捕集空間23を画成するケーシング15を備える。ケーシング15のうち、汚れ捕集空間23を画成する部分は、ステンレス鋼製であり、ケーシング15の残り部分は、炭素鋼製である。排出ガス排出空間21は、排出ガス通路19より上に配置構成され、汚れ捕集空間23は、排出ガス通路19より下に配置構成されている。さらに、粒子フィルタデバイス9は、排出ガス受け入れ空間17と連通する排出ガス入口25、排出ガス排出空間21と連通する排出ガス出口27、多孔板29、穴板31、および複数の分離された細長ガス透過性中空セラミックフィルタロッドまたはパイプ33を備える。
【0058】
汚れ捕集空間23は漏斗状であり、汚れ捕集空間23を空にすることに関連してその底部を開閉するための機構30を備えている。空にされた汚れ捕集空間23から追い出された物質、ここではほぐされた堆積物は、汚れ捕集空間23の下に配置構成されているステンレス鋼製容器32に貯蔵される。汚れ捕集空間23の底部のほぐされた堆積物の捕集、次いで容器32への捕集を円滑にするために、粒子フィルタデバイスは、汚れ捕集空間23の外側に配置構成されているハンマーまたはバイブレータ34をさらに備える。
【0059】
排出ガス入口25は、フィルタロッド33のそれぞれの上側部分の高さ、すなわち多孔板29の上側半分36(図4b)の伸長部を画成する2つの想像上の分離された水平面h1、h2の間で、ケーシング15の短い側部34内に貫入する。
【0060】
排出ガス出口27は、ケーシング15の短い側部38から外へ延在し、この側部38は、上側の想像上の水平面h2より上にある、ケーシング15の側部34に対向する。
【0061】
図3に二点鎖線で例示されている、多孔板29およびその対向する想像上の伸長部eは、排出ガス受け入れ空間17と排出ガス通路19とを分離するか、またはそれらの間の境界を画成する。図3から明らかなように、多孔板29は、多孔板29とケーシング15の2つの長い側部35との間を排出ガスが流れることを可能にするようにケーシング15の端から端までずっと、すなわち2つの対向する垂直方向の長い側部35の間に横方向に延在することはない。しかしながら、図2を参照すると、多孔板29は、多孔板29とケーシング15の頂部37および底部39との間に排出ガスが流れるのを防ぐためにケーシング15の端から端までずっと、すなわち、それぞれ頂部37と底部39との間に長手方向に延在する。図4a~図4dを参照すると、多孔板29は、排出ガスが排出ガス流路P(図2)に沿って多孔板29を貫流することを可能にするように配置構成されている複数の円形開口41を備える。多孔板29は、ステンレス鋼であり、対向する下方に延在する長手方向の第1および第2の外側セクション43および45と、横方向の外下側セクション44とを備える。外下側セクション44は台形の形状を有し、これはフィルタロッド33に向かう方向で水平軸H1の周りに折り畳まれる。第1および第2の外側セクション43、45のそれぞれの矩形上側部分43u、45uは、フィルタロッド33に向かって、および互いにそれぞれの縦軸V1、V2の周りに、折り畳まれており、第1および第2の外側セクション43、45のそれぞれの下側部分43lおよび45lは、それぞれの傾斜軸I1、I2の周りで互いの方に向かって折り畳まれている。それによって、多孔板29は、以下でさらに説明されるように、排出ガス通路19内でより均一な排出ガス分配を促進するトラフ形状を有する。
【0062】
図4a~図4cを参照すると、多孔板29は、細長フランジの形態で2つの外板補強突出部46aと4つの内板補強突出部46bとを設けられている。外板および内板補強突出部46a、46bは、フィルタロッド33に面するように配置構成されている多孔板29の表面48に溶接され、フィルタロッド33に向かう方向に略水平に延在する。外板補強突出部46aは、多孔板29のそれぞれの長い側部52に沿って延在し、その外縁50から突出している。内板補強突出部46bは、外板補強突出部46aの間に十字形を形成する。
【0063】
図2を参照すると、穴板31は、排出ガス通路19を排出ガス排出空間21から分離している。穴板31は、多孔板29の開口部41より大きい複数の円形穴47を画成する。フィルタロッド33は、垂直方向に、互いに沿って延在する。フィルタロッド33の各々は、円形断面と、開いている上側端部49と、閉じた下側端部51とを有する。フィルタロッド33の各々の上側端部49とその周辺では、フィルタロッド壁53の厚さが、穴47の直径を超える外径を有するフランジ55を形成するように局所的に大きくされている。フィルタロッド33の各々は、穴板31の穴47のうちのそれぞれの1つを貫通し、それにより、フィルタロッドの大部分は、排出ガス通路19内に延在し、フィルタロッドのフランジ45は、排出ガス排出空間21内に配置構成される。したがって、フィルタロッド33は、排出ガス排出空間21内に出る。フィルタロッド33は、酸化触媒さらには還元触媒を含む物質を含浸される。ここで、酸化触媒は、パラジウムまたは白金などの貴金属をベースとしているが、任意の好適な酸化触媒が企図され得る。同様に、ここで、還元触媒は、二酸化チタンと組み合わせた五酸化バナジウムをベースとするが、任意の好適な還元触媒が企図され得る。
【0064】
図3を参照すると、フィルタロッド33は、特定のパターンで配置構成されている。より具体的には、それらは、排出ガス通路19の水平中心軸Cの反対側に配置構成されているフィルタロッドの第1のグループ57および第2のグループ59に分割される。図3において、水平中心軸Cの各側に4列、合計8列のフィルタロッド33が例示され、各列は9本のフィルタロッド33を含む。しかしながら、フィルタロッド列の数、および各列内のフィルタロッドの数は、際限なく変えることができる。第1のグループ57および第2のグループ59の同一のグループ内のフィルタロッド33は、第1のグループ57内のフィルタロッド33の1つおよび第2のグループ59内のフィルタロッド33の1つよりも近くに配置構成される。それによって、中間分配チャネル61が、フィルタロッド33の第1および第2のグループ57および59の間に形成され、この中間分配チャネル61は、多孔板29の中心から、多孔板29および排出ガス入口25からの方向に延在する。さらに、第1および第2のグループ57および59の同一のグループ内のフィルタロッド33は、第1のグループ57内のフィルタロッド33の外側フィルタロッド33a、または第2のグループ59内のフィルタロッド33の外側フィルタロッド33b、およびケーシング15よりも近い位置に配置構成される。それによって、第1の外側分配チャネル63が、フィルタロッド33の第1のグループ57とケーシング15との間に形成され、第2の外側分配チャネル65が、フィルタロッド33の第2のグループ59とケーシング15との間に形成される。第1および第2の外側分配チャネル63および65は、多孔板29および排出ガス入口25からの方向に、より具体的には、中間分配チャネル61および排出ガス通路19の水平中心軸Cと略平行な方向に延在する。
【0065】
エンジン3からの排出ガスを浄化するための方法は、排出ガス浄化システム1を用いて実行される。上で述べたように、図1を参照すると、排出ガス浄化システム1の第1の動作モードでは、エンジン3から排出される排出ガスは、大気中に放出される前に粒子フィルタデバイス9、ボイラー11、およびスクラバー13へと順に通されて供給される。粒子フィルタデバイス9および図2を参照すると、エンジン3からの排出ガスは、排出ガス入口25を介して、すなわちフィルタロッド33のそれぞれの上側部分の高さのところで、ケーシング15内、より具体的には排出ガス受け入れ空間17内に供給される。次いで、排出ガスは、多孔板29を通り過ぎて、その開口部41を通り、多孔板29とケーシング15の2つの長い側部35との間の通路を通り(図3)、排出ガス通路19内に、特にフィルタロッド33によって中に画成された中間ならびに第1および第2の外側分配チャネル61、63、および65内に供給される。チャネル61、63、および65に通されて搬送される排出ガスは、最終的に、フィルタロッドのグループ57および59内の排出ガス圧力が低いので、フィルタロッド33のグループ57および59内に押し込まれる。多孔板29の存在および設計は、排出ガス通路19内の排出ガスのより均一な分配を促進する。特に、折り畳まれた第1および第2の外側セクション43および45は、それぞれ、排出ガスをフィルタロッド33の方へ誘導することを可能にする。
【0066】
排出ガス通路19の内部では、排出ガスは、フィルタロッド33の周囲に広がる。中間ならびに第1および第2の外側分配チャネル61、63、および65は、排出ガスを多孔板29から離れて、排出ガス入口25から最も遠く離れて配置構成されているフィルタロッド33に向かって搬送することを補助する。排出ガス入口25は、フィルタロッド33のそれぞれの上側部分と同じ高さに配置構成されているので、排出ガス通路19の内部の排出ガス密度は、そこからより遠いところに比べて穴板31に近いところで高くなり、排出ガス通路19の内部の上方に向けられた排出ガス流は最小化される。
【0067】
排出ガス通路19の内部では排出ガスがフィルタロッド33の壁53を貫通して濾過され、それによって濾過された排出ガスは、フィルタロッド33の内部に受け入れられ、煤および粒子状物質がフィルタロッド33の外側表面56に堆積される。フィルタロッド33の外側表面56の堆積物は徐々に増加し、排出ガス密度は穴板31に近いほど高いので、堆積物の量も増える。それによって、排出ガス通路19内の排出ガスは、徐々に下方に押されてフィルタロッド壁53を透過する。上で述べたように、フィルタロッド33は、酸化触媒さらには還元触媒を含む物質を含浸される。したがって、排出ガスがフィルタロッド33に接触したときに、排出ガスに含まれる窒素酸化物は、還元触媒の存在下で、排出ガスにも含まれ、尿素の前に述べた分解の結果生じる、アンモニアと反応し、その結果、窒素酸化物が窒素と水に分解される。さらに、排出ガスに含まれる炭化水素は、酸化触媒の存在下で燃焼され、全体の煤の量の低減およびフィルタロッド33の再生が行われる。
【0068】
窒素酸化物および炭化水素を除去して浄化された濾過済み排出ガスは、フィルタロッド33の内部を上方へ搬送され、フィルタロッド33の開いている上側端部49を介して排出ガス排出空間21内に排出される。その後、これは排出ガス出口27を介して粒子フィルタデバイス9を出る。
【0069】
したがって、第1の動作モードで排出ガス浄化システム1が動作しているときに、フィルタロッド33の外側表面56上に煤および粒子状物質が徐々に堆積する。これらの堆積物は、最終的に、粒子フィルタデバイス9の誤動作を引き起こす可能性があり、したがって、厚くなる前に除去されるべきである。その観点から、図2を参照すると、粒子フィルタデバイス9は、排出ガス排出空間21の内側に、すなわち排出ガス通路19およびフィルタロッド33より上に配置構成されている煤吹き配置構成部67をさらに備える。煤吹き配置構成部67は、8列のフィルタロッド33の各1つに対して1つのガス管69を備え、このガス管69は、フィルタロッド33のそれぞれの列に対して平行に延在している。さらに、ガス管69の各々は、フィルタロッド33の各列における9つのフィルタロッド33のうちの各1つに対して1つのノズル71を設けられる。より具体的には、ノズル71の各々は、フィルタロッド33のそれぞれの1つとアライメントされ、それぞれのガス管69を通して供給されるガスを、それぞれのフィルタロッド33の開いている上側端部39内に吹き込むように配置構成されている。ガスは、図に例示されておらず、本明細書においてさらには説明されていない、配置構成を用いてガス管69に供給される。
【0070】
煤吹き配置構成部67は、粒子フィルタデバイス9の内部の背圧の変化に応答して動作する。より具体的には、粒子フィルタデバイス9は、排出ガス通路19の内部に配置構成されている第1の圧力センサー(例示せず)と、排出ガス排出空間21の内部に配置構成されている第2の圧力センサー(例示せず)とを備える。第1および第2の圧力センサーを用いて測定された圧力の間の差が所定の閾値を超えたときに、これは、フィルタロッド33の外側表面56上の煤および粒子状物質の堆積物が厚くなり過ぎることが始まっていること、および煤吹き配置構成部67を動作させるべきであることを示す。次いで、加圧ガス、たとえば空気の短いバーストが、ガス管69に一度に1つずつ通され供給される。加圧ガスは、ノズル71から対応するフィルタロッド33内に噴出され、フィルタロッド33の外側表面56からの堆積物のほぐしを引き起こす衝撃波を発生させる。煤吹き動作は、一度にフィルタロッド33の1列、すなわちフィルタロッド33のサブセットのみに対してなされるので、粒子フィルタデバイス9の停止を必要とせず、その間に通常通り動作させられ得る。ほぐされた堆積物は重力によって下方に落下するが、これは排出ガス通路19の内側の上方に向けられた排出ガス流が最小化されているので可能である。最終的に、ほぐされた堆積物は、汚れ捕集空間23に辿り着く。ケーシング15の汚れ捕集空間23を画成する部分は、比較的良好な「摺動」特性を有するステンレス鋼から作られているので、汚れ捕集空間23の底部における堆積物の捕集は円滑にされる。また、汚れ捕集空間23の外側にハンマーまたはバイブレータ34を設けることで、汚れ捕集空間の底部の堆積物の捕集がしやすくなる。汚れ捕集空間23が空にする必要があるときには、機構30が動作し、堆積物は容器32に排出される。
【0071】
したがって、排出ガス浄化システム1の第1の動作モードでは、エンジン3からの排出ガスは、粒子フィルタデバイス9、ボイラー11、およびスクラバー13に供給され、排出ガスから窒素酸化物および炭化水素、最終的には硫黄酸化物も併せて、煤および特定物質を除去する。上で説明されているように、第1の動作モードでの排出ガスシステム1の動作中に、排出ガスからの煤および粒子状物質は、フィルタロッド33の外側表面56に付着する。粒子フィルタデバイス9の背圧が高くなり過ぎると、煤吹き配置構成部67が動作し、ガスがフィルタロッド33内に、フィルタロッド列毎に次々に噴射される。それによって、煤および粒子状物質は、フィルタロッド33から剥離される。しかしながら、排出ガスシステム1を適切に確実に動作させるために、粒子フィルタデバイス9の追加のより深い浄化がたまには必要になり得る。
【0072】
上記の観点から、排出ガスシステム1は、第2の動作モードで動作するようにも配置構成される。第2の動作モードでは、図1を参照すると、エンジン3から粒子フィルタデバイス9への排出ガス流は、尿素供給部5からの尿素流と同様に遮断される。代わりに、高温ガス供給部7が作動され、粒子フィルタデバイス9に高温ガスを吹き通す。高温ガス供給部7は、ガスを加熱するための電熱器を備え得る。高温ガスは、バーナーまたはエンジンそれ自体、場合によってはターボチャージャーの前から出るものとしてよい。高温ガスは、粒子フィルタデバイス9を通過する排出ガスと同じ、上で指定されている、方法に従う。粒子フィルタデバイス9からの排出後、高温ガスは、矢印A2で例示されているように排出ガスシステム1から排出されるか、またはボイラー11に通して、および場合によってはスクラバー13にも通して供給される。排出ガス通路19の内部では、高温ガスは、フィルタロッド33の再生をブーストすることを、フィルタロッド33の壁53上および壁53内に残留する炭化水素の燃焼を強めることによって行う。強められた熱再生の後、排出ガスシステム1は、再び第1の動作モードを始められる状態にある。第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えは、自動的に、または手動で、行うことができる。
【0073】
図5は、本発明の別の実施形態による排出ガス浄化システムの粒子フィルタデバイス9を例示している。この粒子フィルタデバイス9は、図1図4を参照しつつ上で説明されている粒子フィルタデバイス9と非常によく似ており、これ以降、もっぱら、異なる特徴が説明される。
【0074】
フィルタロッド33は、特定のパターンで配置構成される。より具体的には、これらはフィルタロッドの第1、第2、および第3のグループ57、59、および62に分けられる。第3のグループ62は、排出ガス通路19の内部で中心に配置構成され、第1のグループ57および第2のグループ59は、第3のグループ62の反対側に配置構成される。図5では、各列が9本のフィルタロッド33を含む、合計12列のフィルタロッド33が、グループの各々において4列ずつ、例示されている。第1、第2、および第3のグループ57、59、および62の同一のグループ内のフィルタロッド33は、グループのうちの異なるグループ内の2つのフィルタロッド33より近い位置に配置構成される。それによって、中間分配チャネル61aが、フィルタロッド33の第1のグループ57と第3のグループ62との間に形成され、中間分配チャネル61bが、フィルタロッド33の第2のグループ59と第3のグループ62との間に形成され、これらの中間分配チャネル61aおよび61bは、多孔板29からの方向に延在している。図3に例示されている粒子フィルタデバイス9と同様に、図5に例示されている粒子フィルタデバイス9のフィルタロッド33およびケーシング15は、第1および第2の外側分配チャネル63および65を画成する。
【0075】
図3を参照している上記の説明に沿って、中間および第1および第2の外側分配チャネル61a、61b、63および65は、排出ガス通路19の内部でより均一な排出ガス分配を促進するために、フィルタロッド33のグループ57、59および62内に押し込まれる前に排出ガスを搬送するように配置構成されている。排出ガスを中間および第1および第2の外側分配チャネル61a、61b、63、および65のすべてに誘導するために、多孔板29は、多孔板29に溶接された細長板またはフランジの形態の多数の案内羽根64を備える。案内羽根64は、排出ガスを特に中間分配チャネル61aおよび61b内に誘導するように多孔板29の法線方向に対して角度を付けられている。案内羽根64は、多孔板29の完全な長手方向伸長部、または長手方向伸長部の一部のみに沿って延在するものとしてよく、その設計、数、および位置は、多孔板29のサイズおよび中間分配チャネルの数などの、一般的な状況に応じて変化し得る。案内羽根64は、図5に例示されているように、フィルタロッド33から離れる方向に面する多孔板29の側部、および/またはフィルタロッド33に面する多孔板29の側部に配置構成されることも可能である。既に述べたように、案内羽根64の主な目的は、排出ガスフィルタデバイス9の性能および機能性を改善するためにフィルタロッド33の周りの排出ガスのより均一な分配を促進することである。案内羽根64の別の目的は、多孔板の剛性を高めることである。
【0076】
本発明の上で説明されている実施形態は、例としてのみみなされるべきである。当業者であれば、説明されている実施形態が、本発明の概念から逸脱することなく多くの仕方で変更され得ることを理解する。
【0077】
一例として、煤吹き配置構成部は、ガスを一度に1列のフィルタロッドにのみ吹き込むように配置構成される必要はない。一代替的実施形態によれば、煤吹き配置構成部は、代わりに、すべてのフィルタロッドに同時にガスを吹き込むように配置構成される。そのような一実施形態は、粒子フィルタデバイスを通る排出ガス供給の停止を必要とし、次いで、粒子フィルタデバイスの排出ガス入口および/または排出ガス出口に弁を必要とする可能性がある。さらに、そのような一実施形態において、複数の粒子フィルタデバイスを有し、そのうちの1つが排出ガス浄化に常に利用可能であることが好適であり得る。
【0078】
直径100mm以上などの、より大きい直径を有するフィルタロッドに特に関連する、別の例として、フィルタロッドの開いている上側端部はベンチュリ入口を設けられ得る。ベンチュリは、煤吹きの際に余分なガスをフィルタロッドに引き込み、それによってフィルタロッドの内部により強力な衝撃波を発生させ得る。それと同時に、より少ない加圧ガスを使用する可能性ももたらされる。
【0079】
さらに別の例として、煤吹き配置構成部は、フィルタロッドの各列に対して1本のガス管とノズルの1セットを備える必要はない。そのような一実施形態において、関連するノズルを備える、1つ以上のガス管は、移動可能で、フィルタロッドの列のうちの1つよりも多いフィルタロッドにガスを吹き込むことが可能であり得る。
【0080】
さらに、煤吹き配置構成部は、いかなるノズルをも備えている必要はない。代わりに、ガスは、1つの/複数の管の穴から直接噴出され得る。
【0081】
さらに、上で説明されている実施形態では、第1および第2の圧力センサーを用いて測定された圧力の間の差が所定の閾値を超えたときに煤吹き配置構成部が動作される。一代替的実施形態において、煤吹き配置構成部は、代わりに、所定の時間間隔で動作され得る。さらに別の代替的実施形態では、煤吹き配置構成部は、前記所定の閾値が超えられない限り所定の時間間隔で動作され得、これは2つの連続する動作の間の時間を短縮する。
【0082】
当然ながら、本発明による排出ガス浄化システムにおいて、ボイラーおよび/またはスクラバーは省かれ得る。一例として、エンジンが低硫黄燃料を供給される場合、スクラバーを省略することも可能であり得る。
【0083】
本発明による排出ガスシステムは、排出ガスを粒子フィルタデバイスに供給される前に加熱するための、電熱器などの、加熱デバイスを備えることも可能であり、これにより、粒子フィルタデバイスの排出ガス通路内で、窒素酸化物を窒素および水に変換し、および/または炭化水素を酸化する能力を高め得る。この加熱デバイスは、排出ガス浄化システムの第2の動作モードで能動的に働く高温ガス供給用の高温ガスを生成するためにも使用されることも可能である。
【0084】
本発明による排出ガスシステムは、粒子フィルタデバイスによって引き起こされる背圧に打ち勝ち、排出ガスを粒子フィルタデバイスを通して引き込むための通風機を備えることが可能であり、この通風機は、粒子フィルタデバイスの前または後のいずれかに配置構成され得る。
【0085】
最後の例として、尿素の代わりにアンモニアが、粒子フィルタデバイスに供給される前の排出ガスに注入されることが可能である。
【0086】
本明細書では、第1、第2、第3などの属性は、単に区別する目的で使用されており、いかなる種類の特定の順序をも表すものではないことが強調されるべきである。本発明に関連しない詳細の説明は省かれており、図は概略にすぎず、簡略化され、縮尺通りに描画されていないことが強調されるべきである。したがって、管、弁、センサー、ポンプなどの、本発明を実現するために必要なすべてのコンポーネントが、図中に例示されているまたは本文中で説明されている、とは限らない。
【符号の説明】
【0087】
h1、h2 分離された水平面
H1 水平軸
I1、I2 傾斜軸
P 排出ガス流路
V1、V2 縦軸 1 排出ガス浄化システム
3 エンジン
5 尿素供給部
7 高温ガス供給部
9 粒子フィルタデバイス
11 ボイラー
13 スクラバー
15 ケーシング
17 排出ガス受け入れ空間
19 排出ガス通路
21 排出ガス排出空間
23 汚れ捕集空間
25 排出ガス入口
27 排出ガス出口
29 多孔板
30 機構
31 穴板
32 容器
33 分離された細長ガス透過性中空セラミックフィルタロッドまたはパイプ
33a、33b 外側フィルタロッド
34 ハンマーまたはバイブレータ
35 長い側部
36 上側半分
37 頂部
38 短い側部
39 底部
41 円形開口
43 第1の外側セクション
43l、45l 下側部分
43u、45u 矩形上側部分
44 横方向の外下側セクション
45 第2の外側セクション
46a 外板補強突出部
46b 内板補強突出部
47 円形穴
48 表面
49 開いている上側端部
50 外縁
51 閉じた下側端部
52 長い側部
53 フィルタロッド壁
55 フランジ
56 外側表面
57 第1のグループ
59 第2のグループ
61 中間分配チャネル
61a、61b 中間分配チャネル
62 第3のグループ
63 第1の外側分配チャネル
64 案内羽根
65 第2の外側分配チャネル
67 煤吹き配置構成部
69 ガス管
71 ノズル
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
【外国語明細書】