(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176137
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】パイプ及び渦流発生器を用いて焼却炉にガスを吹き込むためのノズル、この種類のノズルを伴う煙道ガス排出部、ならびにこの種類のノズルを使用するための方法
(51)【国際特許分類】
F23L 1/00 20060101AFI20221117BHJP
F23D 14/24 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F23L1/00 E
F23D14/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077892
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10 2021 002 508.3
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517182354
【氏名又は名称】マーティン ゲーエムベーハー フューア ウンヴェルト―ウント エネルギーテクニック
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】デヤング,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ヨハネス ウーリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ションスタイナー,マックス ヨーゼフ
【テーマコード(参考)】
3K019
3K023
【Fターム(参考)】
3K019AA01
3K019BA01
3K019BD09
3K019CC05
3K023EA02
3K023EA05
3K023EA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】厳しい動作条件において長い耐用年数を有し、同じ体積流量及び圧力で、より顕著な流れ拡散を生成するよう、焼却炉のノズルの開発をすること。
【解決手段】ノズルはパイプ及び渦流発生器を伴う、ガスを焼却炉の中に吹き込むためのノズルであって、パイプは円筒形であり、渦流発生器はパイプの内側に装着される。パイプは外側パイプの内側に配置される。パイプは外側パイプに溶接される。パイプは2~5mmの壁厚を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ(20、31、41)及び渦流発生器(21)を伴う、ガス(2)を焼却炉(3)の中に吹き込むためのノズル(1)であって、前記パイプ(20、31、41)は円筒形であり、前記渦流発生器(21)は前記パイプ(20、31、41)の内側(22)に装着されることを特徴とする、ノズル(1)。
【請求項2】
前記パイプ(20)は外側パイプ(23)の内側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記パイプ(20)は前記外側パイプ(23)に溶接されることを特徴とする、請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記パイプ(20)は2~5mmの壁厚を有することを特徴とする、請求項2または3に記載のノズル。
【請求項5】
前記パイプ(20、31、41)の内径は、40~80mm、好ましくは約50mmであることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
前記渦流発生器(21)は、15~60°、好ましくは40~50°の渦流角度を有することを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項7】
前記渦流発生器(21)は、少なくとも5mm、好ましくは約10mmだけ、前記パイプ(20、31、41)の内部において内側にずらされることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項8】
前記渦流発生器(21)は、その外周の周りに配分された、4つより多い、好ましくは6つの渦流翼(24)を有することを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項9】
前記渦流発生器(21)は、1~6mm、好ましくは2~4mmの、翼外形の平均厚を伴う渦流翼(24)を有することを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項10】
前記渦流発生器(21)は、20~60mmの長さを伴い、その30~70%、好ましくは約50%は直線流入部として設計された、渦流翼(24)を有することを特徴とする、請求項1~9のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項11】
前記渦流発生器(21)は、自由中央通路(25)を形成する渦流翼(24)を有し、前記自由通路(25)の径は前記パイプ(20、31、41)の空いた内径の20%よりも大きいことを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項12】
前記渦流発生器(21)は可動の渦流翼(24)を有することを特徴とする、請求項1~11のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項13】
前記パイプ(20、31、41)は、その外周の周りに配分された、少なくとも1つ、好ましくは複数の接線方向入口チャネル(32、33、34)を有することを特徴とする、請求項1~12のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項14】
前記パイプ(20、31、41)は、その外周の周りに配分された、少なくとも1つ、好ましくは複数の螺旋状ガス供給部(42)を有することを特徴とする、請求項1~13のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項15】
前記ノズルのマッハ数Maは0.4未満であることを特徴とする、請求項1~14のうちいずれか一項に記載のノズル。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載のノズル(1)を伴う、煙道ガス排出部であって、前記ノズル(1)は前記煙道ガス排出部(4)の壁に配置されることを特徴とする、煙道ガス排出部。
【請求項17】
前記ノズル(1)は、前記煙道ガス排出部(4)の前壁(6)に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の煙道ガス排出部。
【請求項18】
前記ノズル(1)のうち2つは横並びに配置され、反対方向に渦流を生成することを特徴とする、請求項16または17に記載の煙道ガス排出部。
【請求項19】
送風ノズルとも称される、渦流を伴わずにガス(2)を吹き込むためのノズルは、渦流ノズルとも称される、渦流を伴ってガス(2)を吹き込むためのノズルの横に配置されることを特徴とする、請求項16~18のうちいずれか一項に記載の煙道ガス排出部。
【請求項20】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載のノズルを使用するための方法であって、前記ノズル(1)を通して搬送される空気、及び/またはガスの体積流量は、100~1500Nm3/hに調整されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ及び渦流発生器を用いて焼却炉にガスを吹き込むためのノズル、この種類のノズルを伴う燃料ガス排出部、ならびにこの種類のノズルを使用するための方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術状態によると、ごみ焼却プラントにおける第2の空気ノズルが、送風ノズルとして設計されている。これらの目的のための、主な設計パラメータは、圧力及びノズル径である。圧力が、入口速度に影響を及ぼす最も重量な要因である一方で、径は体積流量に影響を及ぼす。総体積流量は、ノズルの数に起因する。ノズル挿入部は、鋳造部品として生成され得る。
【0003】
ゴミ焼却プラントにおいて、不十分な空気で混合不足の領域は、前壁において存在することが多く、特に可燃物が高い発熱量を有する場合、例えば高カロリーの燃焼材料及び火格子燃焼を用いたゴミ焼却プラントが使用されたときにも生じ得るように、それはCO濃度の上昇及びCOピークをもたらす場合がある。
【0004】
スペイン国特許出願公開第0611919号明細書は、燃焼ガスを供給するためのノズルを開示しており、誘発された渦流を伴う第2のガスジェットが生成され、ボイラ壁に近い領域を激しく混合し、酸素を豊富にする。供給された体積流量の量は、制御要素を伴うガスノズルの内側で調整される。この制御要素は、ノズルの長手方向軸上で軸方向に摺動可能となるよう配置され、少なくとも部分的にノズル断面を塞ぎ、かつ変位デバイスが装備される。この変位デバイスは、ノズルから引き出すことができ、第2のガスの速度を制御した供給を可能にする。湾曲した誘導翼の形態のスペーサ要素は、摺動可能な制御要素における渦流プレートとして順応され、ノズルの内壁に沿って誘導される。
【0005】
このようなノズルが使用された場合、煙道ガスはノズルコーンの内側に配置された制御要素に到達し、渦流プレートに堆積して、その可動性を損なう場合がある。
【0006】
米国特許第5727480号明細書は、別のノズルダクトによって同軸状に囲まれたノズルダクトを開示している。ノズルダクト内部における空気のフローは、同軸ダクト間の環状通路を通して、ガスを引込む。誘導翼は、この環状通路に設けられ、環状通路を流れ抜けるガスを、内側ダクトから外側ダクトへ誘導し、それによってノズル出口において、極めて特定のガスフローを作り出す。
【0007】
2つの制御されたガス供給を提供しなければならないので、ノズルの使用は複雑である。
【0008】
国際公開第2012/096319号も、標的化方式でガスを供給するための同軸状パイプを開示している。ロッドによって、ノズルの長手方向軸に沿って摺動可能な渦流プレートは、パイプの内側に配置される。
【0009】
この解決策が使用される場合、ガスのフローを妨げるパイプの汚れ、詳細には渦流プレートの汚れに対処しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】スペイン国特許出願公開第0611919号明細書
【特許文献2】米国特許第5727480号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/096319号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の基本的な目標は、厳しい動作条件において長い耐用年数を有し、同じ体積流量及び圧力で、より顕著な流れ拡散を生成するよう、焼却炉のノズルの開発を進めることである。この種類のノズルを使用するための方法も提示される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目標は、請求項1の特徴を有するノズル、この種類のノズルを伴う請求項15による煙道ガス排出部、及び請求項17の特徴を有する方法、を用いて解決される。
【0013】
開発された渦流ノズルは、同じ体積流量及び圧力で、より顕著な流れ拡散をもたらし、その結果侵入深さは減少される。これは、パルス入力を軸方向及び接線方向成分に分割することによって実現される。送風ノズルにおいて、全てのパルス入力は軸方向に向けられる。第2の空気ノズルとしての渦流ノズルの使用を通して、壁、特に前壁の近傍における不十分な空気は、特にゴミ焼却プラントにおいて軽減される。
【0014】
開発されたノズル挿入部は、特別な注入特性を有する。居間の天井に設定された換気システムの空気出口と同様に、本発明によるノズルが焼却炉で使用されるときに、均一の「空気カーテン」が、ボイラ壁の近くに作り出され、COのテンドリルが突破するのを防止する。以前は、煙道ガスと、可能な限り最小の使用で供給された燃焼空気との、最も完全な混合を保証するために、公知のノズル挿入部を用いて、注入された媒体の入力パルスは可能な限り強く作られた。
【0015】
2つの異なる媒体(例えば再循環する煙道ガス及び空気)が、1つのノズルを通して注入される場合でさえ、強い入力パルスは、可能な限りボイラ断面全体にわたる煙道ガスの効率的な消失のために、非常に重要である。
【0016】
しかし、公知の方法に根強く残る欠点は、個々のノズル間における距離のため、及び空気の流れがやはり壁の近くであまり拡散されないために、混合が生じないゾーンが発生することである。ここで、COを含有する排ガスは、チェックされずに第2の燃焼レベルを通過することができる。
【0017】
設計の目標は、考えられる最も強い渦流効果を生成しながら、従来の送風ノズルと同様の圧力-体積流量特性曲線を有する、渦流挿入部を構築することである。これは、全長にわたって円筒形であるパイプを用いて実現される。入口は、好ましくは円形ではない。圧力損失が大きすぎた場合、従来の圧力範囲において十分な体積流量を実現するために、ノズル径を大幅に増加させる必要があったであろう。より高い圧力は、追加のファン/圧縮機を用いてのみ実現される。より大きい渦流発生器のための構成要素のコストも、より高くなる。これは、コストの理由で避けるべきである。
【0018】
設計の別の目標は、灰粒子及び高温煙道ガスによる侵入を避けるために、ノズルパイプの中に可能な限り逆流することなく、ノズル出口において可能な限り均一な渦流を作り出すことである。これは、渦流発生器の汚れ及び腐食を防止するよう設計される。これに関して、直線翼は湾曲翼よりも好ましく、直線流入部を伴う翼は、直線流入部のない翼よりも好ましい。
【0019】
多くの要因が、様々な方法でノズルの有効性に影響を及ぼす。隣接のフローは、小さい渦流発生器との組み合わせでのみ想定されるが、拡散器、またはノズル出口の径でも、圧力損失を軽減させる。さらに逆流領域が容易に生じ、それはノズル内部の汚れ及び腐食の危険を増加させる。
【0020】
渦流発生器の中間における穴は、逆流領域の形成を軽減させ、圧力損失も軽減させる。中央における翼の接続(例えばピンまたはリングによる)は、むしろ不利である。なぜならこれは、逆流領域の形成に都合がよく、圧力損失も増加するからである。外部の接続リングがない渦流発生器の、より堅固な構造及び製造は、これに関して有利である。
【0021】
翼の直線流入部は、圧力損失を軽減するので有利である。翼の渦流発生部分への移行部は、様々な設計であってよく、例えば放射状または湾曲した外形であってよい。翼の渦流発生部分も湾曲され得る。翼は、翼の高さが入口からノズル出口へ向かって増加するよう、別様に設計され得る。
【0022】
渦流発生器は、汚れ及び腐食の危険を軽減させるために、内側に僅かにずらすのが望ましい。残念ながら、これも渦流効果を低下させる効果を有する。プラント動作中に、過剰な摩耗が発生した場合、渦流発生器をさらにパイプの内側の中に移動させてよく、これは、より大きい渦流角度によってバランスを合せることができる。これは、より大きい圧力損失をもたらすが、より大きいノズル径または拡散器によって補うことができる。
【0023】
渦流発生器は、従来の送風ノズル挿入部の円錐形のテーパー部にも設定され得る。外周の周りに配分された複数の入口チャネルを通して、空気をノズルの中に接線方向に導入することによる渦の発生も、有利である。しかしこれは、より入り組んだ構造及び複雑な設計を必要とする。
【0024】
生産技術目的のため、パイプが外側パイプの内側に配置された場合、有利である。したがって、渦流挿入部は、中に渦流発生器が位置されたパイプから構成される。このパイプは、外側パイプの中に溶接される。これは、ノズルパイプに挿入できるノズル挿入部を形成する。パイプは、好ましくは2~5mmの壁厚を有する。パイプの内径は、好ましくは40~80mmであり、例示的な実施形態において、約50mmの値を有する。
【0025】
渦流発生器が、15~60°、好ましくは40~50°の角度を伴う翼外形を有する場合、渦流を作り出すために有利であることが、証明されている。例示的な実施形態では、角度は45°である。渦流効果は、大きい角度で増加する。しかしこれは、より大きい圧力損失、及び逆流領域の形成ももたらす。
【0026】
ノズルを防護するために、渦流発生器から、パイプ出口までの距離、したがってボイラ出口までの距離は、約10~30mmであることが提案される。渦流発生器はその結果、少なくとも5mm、好ましくは約10mmだけ、パイプの内部で内側にずらすのが望ましい。
【0027】
渦流発生器は、その外周の周りに配分された、好ましくは4枚より多い、例えば6枚の渦流翼を有する。翼の数は、通常は4~8枚である。
【0028】
渦流発生器の翼は、1~6mm、好ましくは2~4mmの、翼外形の平均厚を有することが望ましい。ノズルパイプの軸方向における翼の長さは、圧力損失を軽減させるために、20~60mm、好ましくは約30mmであり、その30~70%、好ましくは約50%が直線流入部であることが、望ましい。
【0029】
渦流発生器に、パイプの内径の20%よりも大きい径の自由中央通路を形成する、渦流翼が装備された場合、翼の汚れは軽減される。このような事例において、翼が互いに接触しない場合、有利である。実際、翼の中間における自由保持部の径は、10~30mm、例えば16mmであることが望ましい。これは、パイプの内径の約30%と同等となる。
【0030】
様々な渦流設定が、追加の選択肢として提案される。これは、機械的に調整可能な渦流発生器の迎え角、または異なる渦流角度を伴う2つの同軸状チャネル(例えば捩じれのないコアジェット及び捩じれた環状通路)、のいずれかによって実現され得る。この事例において、媒体は様々な体積流量でチャネルを流れ抜け得る。したがって例えば2つの集積器に、制御弁を介した圧力制御を伴う集積器が、各々設けられ得る。このような変形は、動作の柔軟モードのための主な利点であり、例えばごみの平均発熱量の変動、または荷重の変動によって燃焼ゾーンが転移する事象において、有用である。これにより、考えられる異なるガス(例えば再循環ガスを伴う空気、または蒸気を伴う空気)を導入して混合する。
【0031】
このように特定の変形は、渦流発生器が可動渦流翼を有するよう定める。
【0032】
代替の変形は、パイプが少なくとも1つ、好ましくは複数の、その外周の周りに配分された、接線方向の入口チャネルを有するよう定める。代替または追加として、ノズルは、少なくとも1つ、好ましくは複数の、その外周の周りに配分された、螺旋状のガス供給チャネルを伴うパイプも有し得る。
【0033】
ノズルのマッハ数Maが0.4未満である場合、有利である。
【0034】
ノズルが火炉に設定された場合、それは煙道ガス排出部の壁、好ましくは煙道ガス排出部の前壁に配置されるのが望ましい。2つのノズルが横並びで配置され、かつ反対方向に渦流を分け与えると、有利である。
【0035】
追加として、送風ノズルとも称される、渦流を伴わずガスを吹き込むための1つのノズルは、渦流ノズルとしても称される、渦流を伴いガスを吹き込むためのノズルの横に、配置され得る。
【0036】
この種類のノズルを使用するための方法は、ガス、詳細には酸素富化のための空気または酸素を、ゴミ焼却プラントの、例えば壁、詳細には焼却炉の前壁に対して、好ましくは第1の排出部において吹き付けるために使用される。この方法は、高発熱量(例えば代用燃料)の使用、及び火格子燃焼の事例において、特に好適である。
【0037】
これらのノズルは、第2の燃焼領域において、現行の燃焼空気システムを拡張するために使用され得る。これに関して、渦流ノズルは、個々のノズルに取って代わるか、またはこのようなノズルを補完し得る。このような配置において、隣接したノズルは反対方向に渦流を有利に分け与える。
【0038】
この方法において、ノズルを通過するガスの体積流量が、各ノズルで100~1500Nm3/hに調整された場合、有利である。これは、約5~100mbarの、ノズル面の集積器における動作圧をもたらし、入口速度は、10~100m/sほどである。1つの例示的な実施形態において、空気の体積流量は、集積器における10~60mbarの動作圧及び20~80m/sの入口速度において、100~500Nm3/hの値を有する。
【0039】
ノズルは、例えば空気、再循環ガス、蒸気、CO2、O2、及びN2、ならびにこれらの混合物、のためにも使用され得る。しかし供給が、一般的に粒子で満たされた再循環ガス、または蒸気を含む場合、より激しい汚れ及び腐食の増加が、さらに摩耗を生じさせることが想定され得る。
【0040】
この種類のノズルは渦流挿入部として、3D印刷によってステンレススチール(例えば17-4PHまたは1.4548)から製造されるか、または精密鋳造もしくは例えばCNCフライス削りによっても、製造され得る。
【0041】
渦流挿入部は、外側パイプの中に溶接され得る。または、渦流挿入部は、代替として3D印刷、精密鋳造、もしくはCNCフライス削りのように、例えばパイプの中に溶接されたプレートと共に溶接構造として生成され得る。
【0042】
汚れ及び腐食の危険は、例えば円形翼によって、または中央ラグもしくはチップによって、さらに軽減され得る。
【0043】
変形に依拠して、渦流ノズルは、送風ノズルよりも強い吸引を生成せず、それは対応したボイラ壁における粒子の堆積を少なくする。
【0044】
本発明の例示的な実施形態が、図面に表わされ、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図3】ノズルパイプの中でノズル挿入部として共に配置された、外側パイプの中の渦流挿入部を示す図である。
【
図4】ボイラ前壁に配置された渦流ノズルからの出口における、ガス分布を示す図である。
【
図5】
図1と同じ箇所に配置され、かつ同じ体積流量及び圧力で動作した、従来の送風ノズルからのガス分布を示す図である。
【
図6】4つの送風ノズル、及び底部左における小さいノズルとしての送風ノズルを伴う、煙道ガス排出部を示す図である。
【
図7】底部右において小さいノズルとしての渦流ノズルを伴う、
図6のような煙道ガス排出部を示す図である。
【
図8】4つの送風ノズル、及び上部左において小さいノズルとしての送風ノズルを伴う、煙道ガス排出部を示す図である。
【
図9】上部右において小さいノズルとしての渦流ノズルを伴う、
図8のような煙道ガス排出部を示す図である。
【
図10】左に、ノズルの外側パイプを示し、中央に、パイプ及び渦粒発生器を伴う2つの渦流挿入部を示し、かつ右に、溶接した渦流挿入部を伴う外側パイプで構成された、ノズル挿入部を示す図である。
【
図11】ノズルの円錐領域において、ガスを接線方向に導入することによる渦流の発生を伴う、ノズルを示す図である。
【
図12】ノズルとしての渦流生成内部輪郭、すなわちノズルへの供給ラインを伴うパイプを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、パイプ20で構成された渦流挿入部26としてのノズル1を示し、6つの渦流翼24(数は例示的目的のみのため)が、渦流発生器21として配置される。渦流翼は、ガスのフロー方向に約40mmの長さで全体的に歪みがなく、それによって直線流入部27を形成する。この後、渦流翼は角度を付けられ、直線流入部に対して約45°の渦流角度28を形成する。
【0047】
図2は、異なる視点からの渦流挿入部を示し、ここでは中央自由通路25が視認できる。
【0048】
図3は、ノズルパイプ28を示し、ここで外側パイプ23に収容された渦流挿入部26は、ノズル挿入部29として配置される。
【0049】
図4は、ガス2を焼却炉3の中に吹き込むための渦流ノズルとしての、ノズル1を示す。焼却炉は、第1の煙道ガス排出部4として、概略で表わされる。この下の
図5は、同じ体積流量のガスを煙道ガス排出部4の中に吹き込む、従来の送風ノズル5を示す。図面の比較は、
図4で注入されたガス2が煙道ガス排出部4の前壁6に残り、
図5のように煙道ガス排出部4の中の範囲までは進まないことを、明確に示す。
図5において、ガス2は、煙道ガス排出部4の中間までさらに遠くに進み、ファンのパターンでのみ広がる。
【0050】
図6~
図9も、実際の渦流ノズルの利点を示す。これらの図面の各々において、参照番号7、8は、煙道ガス排出部4の後壁9における、大きい送風ノズルを示す。
図6及び
図7の各々において、大きい送風ノズル10は、大きい後部送風ノズル(図示せず)を伴って前壁6の上部に配置され、それらの全ては、ガス2を煙道ガス排出部4の中へ吹き込む。
【0051】
より小さいノズルが、下部の隠された大きい送風ノズルの横に水平方向に配置され、
図6の例において、小さい送風ノズル11として具現化され、
図7の例において、小さい渦流ノズル12として具現化される。小さいノズル11、12は、より小さい体積流量のガスを煙道ガス排出部4の中に吹き込むという点で、大きいノズル8、9、10とは異なる。
【0052】
第1の燃焼ガス16が、最底部から格子を通って導入されながら、
図6において、不十分な空気を伴う領域14は、前壁6に生じ、過剰な空気を伴う領域15は、後壁9の近傍に生じる。反対に
図7は、煙道ガス排出部4における小さい渦流ノズル12の設定が、均一な空気分布、ならびに燃焼ガス及び空気の改善された混合を生じさせる。
【0053】
この効果は、
図8及び
図9に示されるように、より小さいノズル13及び14が、上部の隠された大きい送風ノズル10の横に水平に配置された場合と類似する。
図8の例において、より小さいこれらのノズル13及び14は、小さい送風ノズル13として具現化され、
図9の例において、それらは小さい渦流ノズル14として右に具現化される。大きい送風ノズル15及び16は、各事例においてそれらの下方に配置される。これも、
図8において不十分な空気を伴う領域14が前壁6に生じ、過剰な空気を伴う領域15が後壁9の近傍に生じる結果をもたらす。反対に
図9は、煙道ガス排出部4における小さい渦流ノズル14の設定が、均一な空気分布、ならびに燃焼ガス及び空気の改善された混合を生じさせる。
【0054】
次に、
図10は、外側パイプ23、円筒形パイプ20を伴う渦流挿入部26、及び渦流発生器21を示す。渦流発生器21は、パイプ20の内側に位置され、外側パイプ23の内側22に溶接される。渦流挿入部26は、渦流発生器21として、パイプ20の内側に装着された渦流翼24を伴うパイプ20で構成される。翼の端部はぶつからないので、翼の中心において中央自由通路25が存在する。
【0055】
図11に示されるノズル30は、ノズルパイプ31を有する。ノズルパイプ31は、その外周の周りに配分された、接線方向の入口チャネル32、33、34を伴う。入口チャネルは、ノズルパイプ31の円錐領域35における外周にわたって均等に配分され、渦流をノズル30に作り出すために、ノズルパイプ31内のガスに加えて別のガスが供給されるのを可能にする。このように入口チャネル32、33、34は、ノズルパイプ31の内側に装着された渦流発生器として機能する。
【0056】
最後に
図12は、ノズルパイプ41を示す。ノズルパイプ41は、その外周の内側に装着された螺旋ガス供給部42を伴う。
【外国語明細書】