(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176139
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】気体分離プロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 53/22 20060101AFI20221117BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D61/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077907
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2021080839
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】広沢 洋帆
(72)【発明者】
【氏名】水野 耀介
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA01
4D006HA41
4D006HA61
4D006KA12
4D006KA17
4D006KA52
4D006KA54
4D006KE07R
4D006KE08R
4D006KE09R
4D006KE12R
4D006MA01
4D006MA03
4D006MA25
4D006MA30
4D006MC02
4D006MC03
4D006MC05
4D006MC11
4D006MC49
4D006MC54
4D006MC58
4D006MC59
4D006MC62
4D006MC65
4D006MC68
4D006PA01
4D006PB18
4D006PB19
4D006PB64
4D006PB66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2種以上の気体から、少なくとも1種を高回収率と高純度を両立して富化する気体分離システムを用いた気体分離プロセスを提供する。
【解決手段】気体分離システムを用いた気体分離プロセスであって、気体分離システムは、気体分離膜ユニット1及び気体分離膜ユニット2を有し、以下の工程を有する、気体分離プロセス。工程1:供給気体を気体分離膜ユニット1の透過側入口12Aに供給する工程。工程2:気体分離膜ユニット1の透過側出口12Bを透過した気体を加圧する工程。工程3:工程2で加圧した気体を気体分離膜ユニット2の供給側入口21Aに供給する工程。工程4:気体分離膜ユニット2の供給側出口21Bを透過した気体を加圧する工程。工程5:前記工程4で加圧した気体を気体分離膜ユニット1の供給側入口11Aに供給する工程。工程6:気体分離膜ユニット2の透過側出口22Bの側を減圧して富化した気体を回収する工程。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の気体から少なくとも1種を富化する気体分離システムを用いた気体分離プロセスであって、
前記気体分離システムは、気体分離膜ユニット1及び気体分離膜ユニット2を有し、
以下の工程を有する、気体分離プロセス。
工程1:供給気体を気体分離膜ユニット1の透過側入口(以下、透過入口1、という)に供給する工程。
工程2:気体分離膜ユニット1の透過側出口(以下、透過出口1、という)を透過した気体を加圧する工程。
工程3:工程2で加圧した気体を気体分離膜ユニット2の供給側入口(以下、供給入口2、という)に供給する工程。
工程4:気体分離膜ユニット2の供給側出口(以下、供給出口2、という)を透過した気体を加圧する工程。
工程5:前記工程4で加圧した気体を気体分離膜ユニット1の供給側入口(以下、供給入口1、という)に供給する工程。
工程6:気体分離膜ユニット2の透過側出口(以下、透過出口2、という)の側を減圧して富化した気体を回収する工程。
【請求項2】
前記工程2における加圧圧力に対する前記工程4における加圧圧力の比率が1.1以上3.5以下である、請求項1に記載の気体分離プロセス。
【請求項3】
前記工程4における加圧圧力が500kPa以下である、請求項1または2に記載の分離膜プロセス。
【請求項4】
前記工程6における透過出口2の側の圧力が5kPa以上60kPa以下である、請求項1または2に記載の分離膜プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体分離膜を備える気体分離システムの気体分離プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年クリーンなエネルギー源として、水素が注目されている。水素は、天然気体及び石炭等の化石燃料を気体化し、主成分として水素と二酸化炭素を含む混合気体から二酸化炭素を除去することによって得られている。処理対象となる気体は水蒸気改質、水性気体シフトを経ており、高温、高圧であることが特徴である。さらに、水素はアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法にも用いられている。これは、水素と窒素を高温、高圧で反応させることでアンモニアを合成する方法であるが、生産プラントにおいて未反応の水素と窒素を分離回収するプロセスが必要である。
【0003】
低コストで混合気体から特定の気体を濃縮させる方法として、素材の持つ気体透過性の違いを利用して目的気体を選択的に透過させる膜分離法が注目されている。
【0004】
分離膜を備える気体システムに関し、例えば特許文献1には、前段に1つと後段に2つの気体分離膜ユニットを備え、後段の1つの気体分離膜ユニットから得られる気体の全量を前段の気体分離膜ユニットに循環させる技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2や3には、前段に1つの気体分離膜ユニットと後段に1つの気体分離膜ユニットを備え、後段から得られる気体の全量を前段の気体分離膜ユニットに循環させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-187770号公報
【特許文献2】特開昭51-147480号公報
【特許文献3】特開平09-066217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の気体分離膜を備える気体分離システムでは、高回収率かつ高純度を両立して富化することが難しく、精製効率が十分でない問題があった。
【0008】
そこで本発明は、これらの問題を低減しつつ冨化される成分を高回収率かつ高純度で精製可能な気体分離プロセスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、以下である。
(1) 2種以上の気体から少なくとも1種を富化する気体分離システムを用いた気体分離プロセスであって、
前記気体分離システムは、気体分離膜ユニット1及び気体分離膜ユニット2を有し、
以下の工程を有する、気体分離プロセス。
【0010】
工程1:供給気体を気体分離膜ユニット1の透過側入口(以下、透過入口1、という)に供給する工程。
【0011】
工程2:気体分離膜ユニット1の透過側出口(以下、透過出口1、という)を透過した気体を加圧する工程。
【0012】
工程3:工程2で加圧した気体を気体分離膜ユニット2の供給側入口(以下、供給入口2、という)に供給する工程。
【0013】
工程4:気体分離膜ユニット2の供給側出口(以下、供給出口2、という)を透過した気体を加圧する工程。
【0014】
工程5:前記工程4で加圧した気体を気体分離膜ユニット1の供給側入口(以下、供給入口1、という)に供給する工程。
【0015】
工程6:気体分離膜ユニット2の透過側出口(以下、透過出口2、という)の側を減圧して富化した気体を回収する工程。
(2) 前記工程2における加圧圧力に対する前記工程4における加圧圧力の比率が1.1以上3.5以下である、前記(1)に記載の気体分離プロセス。
(3) 前記工程4における加圧圧力が500kPa以下である、前記(1)または(2)に記載の分離膜プロセス。
(4) 前記工程6における透過出口2の側の圧力が5kPa以上60kPa以下である、前記(1)または(2)に記載の分離膜プロセス。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、2種以上の気体から、少なくとも1種の気体に対して高回収率と高純度を両立しながら富化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の気体分離プロセスを適用する気体分離システムの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、2種以上の気体から少なくとも1種を富化する気体分離システムを用いた気体分離プロセスであって、前記気体分離システムは、気体分離膜ユニット1及び気体分離膜ユニット2を有し、以下の工程を有する、気体分離プロセスである。
【0019】
工程1:供給気体を気体分離膜ユニット1の透過側入口(以下、透過入口1、という)に供給する工程。
【0020】
工程2:気体分離膜ユニット1の透過側出口(以下、透過出口1、という)を透過した気体を加圧する工程。
【0021】
工程3:工程2で加圧した気体を気体分離膜ユニット2の供給側入口(以下、供給入口2、という)に供給する工程。
【0022】
工程4:気体分離膜ユニット2の供給側出口(以下、供給出口2、という)を透過した気体を加圧する工程。
【0023】
工程5:前記工程4で加圧した気体を気体分離膜ユニット1の供給側入口(以下、供給入口1、という)に供給する工程。
【0024】
工程6:気体分離膜ユニット2の透過側出口(以下、透過出口2、という)の側を減圧して富化した気体を回収する工程。
【0025】
以下、このような本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0026】
<気体分離プロセス>
本発明の気体分離プロセスは、気体分離膜ユニット1(1)及び気体分離膜ユニット2(2)を有する気体分離システム(0)に適用される。以下、これについて説明する。
【0027】
図1に示すように、気体分離膜ユニット1(1)は、供給側入口である供給入口1(11A)、供給側出口である供給出口1(11B)、透過側入口である透過入口1(12A)、及び透過側出口である透過出口1(12B)を備え、気体分離膜ユニット2(2)は、供給側入口である供給入口2(21A)、供給側出口である供給出口2(21B)及び透過側出口である透過出口2(22B)を備える。
【0028】
(工程1)
工程1は、供給気体を気体分離膜ユニット1の透過側入口である透過入口1に供給する工程である。なお、供給気体は2種以上の気体を含む混合気体である。
【0029】
気体分離膜ユニット1の一方の側の端部には供給入口1(11A)が配置され、透過入口1(12A)は、供給入口1(11A)が配置されている端部とは異なる側の端部に配置される。透過入口1(12A)は、分離対象となる供給気体が送り込まれる空間の入り口であり、気体分離膜を透過した気体と共に透過出口1(12B)に移動する。
【0030】
そのため、気体分離膜ユニット1は、供給入口1(11A)を介して送り込まれた気体の進行方向に対し、透過入口1(12A)を介して送り込まれた気体および透過気体の進行方向が向流方向となる構造を有する。向流とは、気体分離膜を介し、供給気体と透過気体が互いに平行に流れ、さらにそれらの流れ方向が180°逆向きであることを意味する。なお、供給気体と透過気体が互いに平行に流れ、それらの流れ方向が同じ方向である場合を並流と呼び、通常のスパイラル型モジュールのように流れ方向が90°異なる場合を十字流と呼ぶ。供給気体と透過気体が向流であることで、供給気体と透過気体の富化させたい成分の分圧差を最大化することができ、透過が促進される。
【0031】
(工程2)
工程2は、気体分離膜ユニット1の透過側出口である透過出口1を透過した気体を加圧する工程である。つまり気体分離膜ユニット1(1)の透過出口1(12B)から排出された気体は、例えば圧縮機A(3)により加圧される。加圧処理がされなければ低エネルギーであるが、回収する気体にふくまれる富化される成分純度が低くなるため、適度な加圧処理がされることが重要となる。なお、工程2で加圧する際の圧力は特に限定されないが、120kPa以上300kPa以下が好ましく、120kPa以上170kPa以下が更に好ましい。この加圧圧力が、すなわちユニット1における供給入口1の圧力である。
【0032】
(工程3)
工程3は、工程2で加圧した気体を気体分離膜ユニット2の供給側入口である供給入口2に供給する工程である。つまり工程2で圧縮機などにて加圧された気体は、気体分離膜ユニット2(2)の供給入口2(21A)に供給される。
【0033】
(工程4)
工程4は、気体分離膜ユニット2の供給側出口である供給出口2を透過した気体を加圧する工程である。つまり気体分離膜を透過しなかった供給気体は、濃縮気体として供給出口2(21B)から排出され、再び圧縮機B(4)などにより加圧される。
【0034】
供給気体中の富化される成分純度が低下しているため、気体分離膜ユニット1でのろ過を促進するために加圧処理が重要となる。なお、工程4で加圧する際の圧力は特に限定されないが、プロセス稼働のための消費エネルギーと富化される成分の純度のバランスの観点から、工程4で加圧する際の圧力は、500kPa以下が好ましく、450kPa以下が更に好ましく、320kPa以下が特に好ましい。また工程4で加圧する際の圧力の下限は特に限定されないものの、150kPa以上であることが好ましい。この加圧圧力は、すなわち供給入口2の圧力である。
【0035】
また、同様の理由から、工程2の圧力に対する工程4の圧力の比率、つまり気体分離膜ユニット2へ供給される供給気体の圧力に対する気体分離膜ユニット1へ供給される供給気体の圧力の比率(「工程4にて加圧された圧力」/「工程2にて加圧された圧力」であり、圧力比とよぶ)は、1.1以上3.5以下が好ましく、1.1以上2.0以下がさらに好ましい。
【0036】
なお、気体分離膜ユニット2の供給出口1(11B)から排出された気体をタービン(6)に送り込み、圧縮機への動力を回収しても良い。
【0037】
(工程5)
工程5は、工程4で加圧した気体を気体分離膜ユニット1の供給側入口である供給入口1に供給する工程である。つまり圧縮機B(4)により加圧された気体は、気体分離膜ユニット1の供給入口1(11A)を介して気体分離膜ユニット1(1)に供給される。そのため気体分離膜ユニット2(2)は、供給気体と透過気体の流れ方向が90°異なる通常のスパイラル型モジュールや、供給気体と透過気体の流れ方向が一致する中空糸膜モジュールを用いることができる。
【0038】
(工程6)
工程6は、気体分離膜ユニット2の透過側出口である透過出口2の側を減圧して富化した気体を回収する工程である。つまり気体分離膜ユニット2(2)において、気体分離膜を透過した透過気体は、透過出口2(22B)から取り出し回収する。
【0039】
透過出口2の側の圧力は、例えば真空ブロワ(5)により減圧にすることで、富化される成分の膜透過が選択的に促進される。そのため、工程6における透過出口2の側の圧力は特に限定されないが、5kPa以上60kPa以下が好ましく、5kPa以上30kPa以下が更に好ましい。
【0040】
(富化される成分の他の回収方法)
なお、気体分離膜ユニット1(1)および気体分離膜ユニット2(2)に搭載された分離膜が、いずれも冨化される成分を選択的に透過させない場合、すなわち、冨化される成分は濃縮気体に高純度で含まれるため、気体分離膜ユニット2(2)より排出された濃縮気体を回収することができる。
【0041】
<気体分離膜モジュール>
気体分離膜モジュールでは、入口から濃縮出口に向かって連続的にろ過が行われる。ろ過が進む膜を透過する成分の分圧が低下するため、気体分離膜モジュールの濃縮出口に近づくほど気体が透過しがたくなる。特に気体分離膜ユニット2では、気体分離膜ユニット1に比べてろ過が進んでいるため透過しがたい。そのため、透過抵抗となる膜面での濃度分極を供給気体の高流速化により解消させることが好ましい。その手段としては供給側流路材を薄型化する方法や、平膜の場合では気体分離膜モジュールの端面から供給気体を送り込み外周部から排出する方法が挙げられる。
【0042】
<気体分離膜ユニット>
気体分離膜ユニット1と気体分離膜ユニット2を総称して気体分離膜ユニットと記すが、気体分離膜ユニットは、一本の気体分離膜モジュールから構成されてもよく、あるいは複数本の気体分離膜モジュールを並列または直列に配列して構成されてよく、循環流を設けるように構成してもよい。気体分離膜モジュールに搭載される膜の形態は平膜や中空糸膜を用いることができ、モジュール化して圧力容器に収納して使用される。
【0043】
なお前述のとおり、気体分離膜ユニット1は、供給入口1(11A)を介して送り込まれた気体の進行方向に対し、透過入口1(12A)を介して送り込まれた気体および透過気体の進行方向が向流方向となる構造を有する。
【0044】
一方で気体分離膜ユニット2(2)は、供給気体と透過気体の流れ方向が90°異なる通常のスパイラル型モジュールや供給気体と透過気体の流れ方向が一致する中空糸膜モジュールを用いることができる。
【0045】
<分離膜>
気体分離膜ユニット1中の分離膜及び気体分離膜ユニット2中の分離膜は、富化される気体の種類に応じて適宜選択できる。分離膜としては、当該技術分野においてこれまで用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えばシリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂などのゴム状ポリマー材料、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、セルロース、炭素などの高分子膜や、ゼオライトやシリカ、パラジウムなどの無機膜が挙げられる。
【0046】
また分離膜は、均質膜、均質層と多孔層とからなる非対称膜、微多孔質膜などいずれであってもよい。分離膜の圧力容器への収納形態も、プレートアンドフレーム型、スパイラル型、中空糸型などいずれであってもよい。 水素やヘリウムなどの比較的サイズの小さい気体を透過させる場合、ポリアミド膜やシリカ膜、炭素膜、ゼオライト膜、グラフェン膜を用いることができる。
【0047】
<供給気体中の富化される成分濃度および供給気体圧力>
本発明の気体分離プロセスにおいては、供給気体中の富化される成分が低濃度の場合や、供給気体の圧力が低い場合、すなわち富化される成分の分圧が低い場合においても高効率に分離を行うことができる。その一例としては供給気体中の富化される成分濃度が20モル%以下である場合や、供給気体中の富化される成分の圧力が2.0MPa以下の場合が挙げられる。
<用途>
本発明の気体分離プロセスは、火力発電所排ガスや燃焼排ガスからのCO2回収、水素の水素キャリア変換時の未反応水素の回収など幅広い用途に利用できる。
【実施例0048】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0049】
(システム)
図1の構成の気体分離システムに、気体分離膜ユニットには分離膜モジュールとして中空糸型炭素膜(CO
2/N
2選択性:50)を複数本並列に配列し、下記の運転条件は変更せず、表に示す気体分離膜ユニットの圧力を圧縮機により変更するようにした。
供給気体流量:供給気体組成:CO
2/N
2
供給気体中のCO
2純度:7モル%
供給気体温度:150℃
供給気体流量:56000Nm
3/hr
CO
2回収率:70体積%(回収した気体中のCO
2体積/供給気体中のCO
2体積)
(消費エネルギー比率)
Aspentech社製 Aspen Plus V12を用いて、各実施例における消費エネルギー(GJ/t-CO
2)を算出し、以下の式により消費エネルギー比率を計算した。消費エネルギー比率が小さいほど、省エネルギーでCO
2を分離することができる。
消費エネルギー比(-)=各実施例での消費エネルギー/実施例8での消費エネルギー
(CO
2純度)
Aspentech社製 Aspen Plus V12を用いて、気体分離膜ユニット2を透過する気体中のCO
2純度を、下記式から算出した。
【0050】
CO
2純度(モル%)=透過CO
2体積(L/分)/透過気体(CO
2と窒素の合計)体積(L/分)×100
(実施例1)
図1の気体分離システムを表の条件で運転し、気体分離システムの性能を評価したところ、結果は表のとおりであった。
【0051】
【0052】
【0053】
表中、「供給入口1圧力」とは、供給入口1へ供給される際、すなわち圧縮機4による加圧圧力の圧力を意味し、「供給入口2圧力」とは、供給入口2へ供給される際の圧力、すなわち圧縮機3による加圧圧力を意味する。また、「透過出口2圧力」とは、透過出口2から透過した際の圧力を意味する。
【0054】
(実施例2~11)
運転条件を表の通りに変更したこと以外は全て実施例1と同様にして、気体分離システムの性能を評価したところ、結果は表のとおりであった。
【0055】
(実施例12)
供給気体流量を40000Nm3/hrとし、透過出口2圧力を5kPaとしたこと以外は全て実施例8と同様にして、気体分離システムの性能を評価したところ、結果は表のとおりであった。
【0056】
(比較例1)
気体分離膜ユニット2における透過側を減圧しなかったこと以外は全て実施例1と同様にして気体分離システムを運転したところ、結果は表のとおりであった。すなわち減圧に要するエネルギーが低減されたものの、回収気体のCO2純度が大幅に低下した。
【0057】
(比較例2)
気体分離膜ユニット1を設けず、圧縮機を経由せずに気体分離膜ユニット2の供給側入口に処理する供給気体を送りこんだこと以外は、全て実施例1と同様にして、気体分離システムを運転したところ、結果は表のとおりであった。すなわち分離効率が低下したため、消費エネルギーが大きくなり、また回収気体のCO2純度が悪化した。
【0058】
表1および表2に示す結果から明らかなように、実施例1~11における気体分離システムは、2種以上の気体から少なくとも一種を富化する分離に優れているといえる。