(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176142
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】通路の1つ又は複数内に少なくとも1つの粒子フィルタを備える熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 19/01 20060101AFI20221117BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20221117BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20221117BHJP
C01B 3/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F28F19/01
F28F3/08 301Z
F28D9/00
C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077939
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】2105021
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】エリック・マスリア
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・ゲゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ルベイン
(72)【発明者】
【氏名】リュドビック・アマン
【テーマコード(参考)】
3L103
4G140
【Fターム(参考)】
3L103AA02
3L103AA50
3L103BB27
3L103CC30
3L103DD15
3L103DD53
3L103DD61
4G140AB02
4G140DC02
4G140EB39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】触媒が通路内に保持され、通路がより簡単により良好に制御される方法で充填する。
【解決手段】長手方向zに対して平行である複数のプレートのスタックを備える熱交換器であって、プレートが、長手方向zに対して平行な全体の流れ方向の少なくとも第1の流体の流れのための第1の一連の通路10を互いの間に画定するために、互いから離間されて積み重ねられており、通路10が、プレート間に配設された閉鎖バー6によって区切られる、熱交換器に関する。ろ過デバイス31は、第1の少なくとも1つの通路10内に配置され、ろ過デバイス31は、1つの部分について通路10を画定する2つの隣接プレート間を延び、他の部分について通路10を区切る閉鎖バー6の2つの間を延び、ろ過デバイス31は、金属布、金属繊維の不織布、焼結された金属粉末もしくは焼結された金属繊維、金属発泡体、又は微穿孔プレートの中から選択される金属シート材料を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに及び長手方向(z)に対して平行である複数のプレート(2)のスタックを備える熱交換器であって、前記プレート(2)が、前記長手方向(z)に対して平行な全体の流れ方向の少なくとも第1の流体の流れのための第1の一連の通路(10)を互いの間に画定するために、互いから離間されて積み重ねられており、各通路(10)が、前記プレート(2)間に配設された閉鎖バー(6)によって区切られる、熱交換器において、
ろ過デバイス(31)が前記第1の一連の通路(10)の少なくとも1つの中に配置され、前記ろ過デバイス(31)が、ある部分について前記通路(10)を画定する2つの隣接プレート(2)間を延び、他の部分について前記通路(10)を区切る前記閉鎖バー(6)の2つの間を延び、前記ろ過デバイス(31)が、金属布、金属繊維の不織布、焼結された金属粉末もしくは焼結された金属繊維、金属発泡体、又は微穿孔プレートの中から選択される金属シート材料(30)を備えることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換器が、少なくとも、前記第1の一連の通路(10)に前記第1の流体を導入するように構成された第1の入口マニホールド(21)、又は前記第1の一連の通路(10)から前記第1の流体を収集するように構成された第1の出口マニホールド(22)を備え、分配構造(24)及び熱交換構造(25)が、前記第1の一連の通路(10)の少なくとも1つの通路(10)内の前記第1の入口マニホールド又は出口マニホールド(21、22)から連続的に配置され、前記ろ過デバイス(31)が、前記分配構造(24)と前記熱交換構造(25)との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換器が、少なくとも、前記第1の一連の通路(10)に前記第1の流体を導入するように構成された第1の入口マニホールド(21)、又は前記第1の一連の通路(10)から前記第1の流体を収集するように構成された第1の出口マニホールド(22)を備え、分配構造(24)及び熱交換構造(25)が、前記第1の一連の通路(10)の少なくとも1つの通路(10)内の前記第1の入口マニホールド又は出口マニホールド(21、22)から連続的に配置され、前記ろ過デバイス(31)が、前記分配構造(24)と前記第1の入口マニホールド又は出口マニホールド(21、22)との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの通路(10)が、前記第1の入口マニホールド(21)内に通じる入口開口部(11)、又は前記第1の出口マニホールド(22)内に通じる出口開口部(12)を備え、前記第1の一連の通路(10)の少なくとも1つの通路(10)が、前記長手方向(z)に垂直であり、前記プレート(2)と直交する横方向(x)に対して平行に測定された幅を有し、前記横方向(x)に対して平行に測定された前記入口開口部又は出口開口部(11、12)の幅が、前記少なくとも1つの通路(10)の前記幅の10%から70%の間、好ましくは20%から50%の間を構成することを特徴とする、請求項2又は3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記ろ過デバイス(31)が、閉鎖バー(6)内のそれぞれの凹部(36)内にそれぞれが配置された2つの端部(32)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記凹部(36)が、前記長手方向(z)に対して平行に測定された最大幅(lmax)を有し、前記閉鎖バー(6)の高さに対応する最大高さ(hmax)にわたって形成された第1の部分(36a)を備え、前記高さが、前記長手方向(z)及び横方向(x)に対して垂直の積み重ね方向(y)に対して平行に測定され、前記第1の部分(36a)が、(lmax)より小さい最小幅(lmin)にわたって形成され、前記凹部(36)が、さらに、前記最大高さ(hmax)未満の最小高さ(hmin)にわたって形成され、前記最大幅(lmax)にわたって延びる、少なくとも1つの第2の部分(36b)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記ろ過デバイス(31)が、前記第1の流体の全体の流れ方向に対して垂直に配置された少なくとも1つの前面(31a)を備え、前記前面(31a)が、プレート(2)に対して平行に配置にされた少なくとも1つの横方向面(31b)に連結されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記ろ過デバイス(31)が、2から10mmの間、好ましくは3から7mmの間の、前記長手方向(z)に対して平行に測定された全幅を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記金属シート材料(30)が、0.20から0.75mm、好ましくは0.3から0.5mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記金属シート材料(30)が、15%から35%の範囲の開口表面密度、又は75%から98%の範囲の孔の容積密度を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記金属シート材料(30)が、金属糸(301、302)の織物であり、前記金属糸(301、302)が、0.10から0.30mm、好ましくは0.10から0.25mmの直径を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記金属シート材料(30)が、メッシュ(33)を形成するように交絡された少なくとも1つの一連の第1の金属糸(301)及び一連の第2の糸(302)を備え、各メッシュ(33)が、2つの連続的な第1の糸(301)と2つの連続的な第2の糸(302)との間で区切られ、前記メッシュ(33)が、0.07mmから0.15mmの開口部サイズを有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記金属シート材料が、前記プレート(2)に対して平行な平面内で測定された、最大でも0.07mmから0.15mmの間であるサイズの複数のオリフィスを有する微穿孔プレートであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記熱交換器が、前記第1の流体(F1)と少なくとも1つの触媒材料との間で触媒反応を実施するように構成された交換器-反応器であり、前記第1の一連の前記通路(10)の少なくとも一部が、前記少なくとも1つの触媒材料の粒子を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記触媒材料が、最小直径から最大直径の範囲の等価直径を有する粒子を備え、前記金属シート材料(30)が、前記粒子の前記最小直径の10%から85%の範囲のメッシュ開口部サイズを有する金属糸(301、302)の織物であることを特徴とする、請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記熱交換器が、第1の流体(F1)とする水素を液化するように構成され、前記触媒材料が、オルト水素をパラ水素に変換するように構成され、特に前記触媒材料が、酸化鉄(Fe2O3)であることを特徴とする、請求項14又は15に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、熱交換器、特に、ろう付けされたフィン及びプレートタイプの熱交換器であって、熱交換器の本体内への望ましくない粒子の導入を制限するための、又は熱交換器の前記本体の内側で特有の機能を実行する粒子を保持するための少なくとも1つのフィルタを備える、熱交換器に関する。
【0002】
[0002]本発明は、特に、水素液化の分野に適用する。特に、本発明は、冷媒流体の流れとの熱の交換によって、ガス状水素の流れが冷却される、又は全体的にもしくは部分的に液化もされる触媒熱交換器、ならびに前記熱交換器を実装する冷却及び/又は液化方法にも適用することができる。
【0003】
[0003]本発明はまた、ガスの極低温分離、特に極低温蒸留による空気の分離に適用する。特に、本発明は、ガス状の流れ、たとえば空気又は窒素との熱の交換によって、液体、たとえば液体酸素、窒素及び/又はアルゴンの流れを蒸発させる熱交換器に適用することができる。
【0004】
[0004]本発明はまた、天然ガスなどの液化される少なくとも1つの他の流体との熱の交換によって、液体-ガス混合物、たとえば炭化水素の混合物の少なくとも1つの流れを蒸発させる熱交換器に適用することができる。
【背景技術】
【0005】
[0005]熱交換器に一般的に使用される技術は、大きな熱交換表面積及び低い圧力損失をもたらす極めてコンパクトな構成要素を得ることを可能にする、ろう付けされたプレート熱交換器のものである。これらの熱交換器は、フィン型熱交換構造を形成する波状構造又は波形部などのスペーサ要素が間に挿入され得る平行なプレートのセットによって形成された、1つ又は複数の交換本体を備える。積み重ねられたプレートは、互いの間に、熱交換関係にもっていかれる種々の流体のための平坦な通路のスタックを形成する。交換器は、流体を熱交換本体に導入するため、及び熱交換本体から流体を排出するための入口及び出口管が装備された流体マニホールドを備える。
【0006】
[0006]特定の熱交換器は、熱交換器の熱的及び水理学的性能に悪影響を与える固体粒子が熱交換器の本体内に導入されるのを制限し、又はさらに回避するために、流体ろ過作用デバイスの設置を必要とし得る。
【0007】
[0007]他の熱交換器では、対照的に、熱交換器の本体の内側に粒子を保持することが、必要である。これらの粒子は、さまざまな機能をそこで実行するために熱交換本体の通路の内側に配置され得る。特に触媒熱交換器では、粒子は、通路内を循環する流体との化学反応を生み出す触媒材料によって形成される。
【0008】
[0008]水素を液化するように意図された触媒熱交換器が、特に知られており、この交換器では、オルト水素分子が、適切な触媒によって液化中にパラ水素分子に変換される。これらの熱交換器では、水素を導入し、排出するための入口及び出口マニホールドは、通常、ドームによって形成され、このドームは、ドームが配設される本体の側部のすべてにわたって熱交換器の本体の流体入口及び出口開口部を覆う。熱交換器の通路内の触媒粒子の移動を制限するために、入口及び出口マニホールドの内部容積部にも触媒が充填され、それによって使用される触媒の量を大幅に増加させる。
【0009】
[0009]熱交換器の本体及びマニホールドは、これらの要素が互いにろう付けされた後に充填される。そのような充填デバイスが装備された熱交換器が、[
図1]に部分的に概略的に示されている。触媒は、熱交換器の上部に位置し、マニホールドの内部容積部に連結された1つ又は複数の鉛直管100を通して分配される。充填は、特有の分配ノズルによって鉛直管100を通して触媒流体の重力流によって行われる。マニホールドにはまた、触媒の充填前に円筒状ろ過作用カートリッジが挿入される、横方向管200が装備される。これらのカートリッジは、流体がマニホールドに入ることを可能にするが、触媒粒子をブロックするように構成された多孔性材料で作製される。流体がろ過作用カートリッジを介して熱交換器内で分配されるように、流体入口ダクト300が、横方向管に連結される。
【0010】
[0010]この解決策は、熱交換器マニホールドに数多くのダクトを取り付ける必要がある複雑なアーキテクチャをもたらす。ろ過作用カートリッジの製造及び使用の複雑性に加えて、この解決策は、マニホールドにも触媒が充填されるため、使用される触媒の量を不必要に増加させる。実際のところ、触媒は、特殊で高価な材料である。
【0011】
[0011]さらに、ドームの使用は、超えてはならない熱交換器の幅を制限する。これは、通常は25バールから60バールの間の高さになり得る、特定の熱交換器、特に触媒熱交換器タイプの熱交換器の動作圧力に関して、幅広の熱交換器セクションは、いっそうかさばり、より大きい厚さの金属シートによって形成されるドームを有する必要があるためである。熱交換本体上にそのようなドームを固定することは困難であるため、工業的規模で熱交換器を設計し、製造することを考えることは難しい。
【0012】
[0012]さらに、熱交換本体内への触媒の導入は、複雑であり、特殊な工具設備を必要とする。熱交換本体のさまざまな通路間の触媒粒子の分配の一様性は、制御することが難しい。
【発明の概要】
【0013】
[0013]本発明の目的は、特に、従来技術より簡単であり、特に熱交換器が触媒反応を実施するように意図される場合に触媒が通路内に保持され、通路がより簡単により良好に制御される方法で充填されることを可能にし、また、使用される触媒の量の低減も可能にし、流体入口及び出口マニホールドのすべて又は一部の設計及び固定を簡単にすることも可能にする設計及び実装の、ろ過作用デバイスが装備された熱交換器を提供することによって、上記で言及された問題のすべて又は一部を解決することである。
【0014】
[0014]本発明による解決策は、そのため、互いに及び長手方向に対して平行である複数のプレートのスタックを備える熱交換器であって、前記プレートは、長手方向に対して平行な全体の流れ方向の少なくとも第1の流体の流れのための第1の一連の通路を互いの間に画定するために互いから離間されて積み重ねられており、各通路は、プレート間に配設された閉鎖バーによって区切られる、熱交換器において、ろ過デバイスが、第1の一連の少なくとも1つの通路内に配置され、前記ろ過デバイスが、1つの部分について前記通路を画定する2つの隣接プレート間を延び、他の部分について前記通路を区切る閉鎖バーの2つの間を延び、前記ろ過デバイスが、金属布、金属繊維の不織布、焼結された金属粉末もしくは焼結された金属繊維、金属発泡体、又は微穿孔プレートの中から選択される金属シート材料を備えることを特徴とする、熱交換器である。
【0015】
[0015]場合に応じて、本発明による熱交換器は、以下に挙げられる特徴の1つ又は複数を備えることができる。
【0016】
[0016]熱交換器は、少なくとも、第1の通路に第1の流体を導入するように、又は第1の通路から第1の流体を収集するように構成された第1の入口又は出口マニホールドを備え、分配構造及び熱交換構造は、前記少なくとも1つの通路内の第1の入口又は出口マニホールドから連続的に配置され、ろ過デバイスは、分配構造と熱交換構造との間に配置される。
【0017】
[0017]熱交換器は、少なくとも、第1の通路に第1の流体を導入するように、又は第1の通路から第1の流体を収集するように構成された第1の入口又は出口マニホールドを備え、分配構造及び熱交換構造は、前記少なくとも1つの通路内の第1の入口又は出口マニホールドから連続的に配置され、ろ過デバイスは、分配構造と第1の入口又は出口マニホールドとの間に配置される。
【0018】
[0018]前記少なくとも1つの通路は、前記第1の入口又は出口マニホールド内に通じる入口又は出口開口部を備え、前記少なくとも1つの通路は、長手方向に対して垂直であり、プレートと直交する横方向に対して平行に測定された幅を有し、横方向に対して平行に測定された入口又は出口開口部の幅は、通路の幅の10%から70%の間、好ましくは20%から50%の間を構成する。
【0019】
[0019]ろ過デバイスは、閉鎖バー内のそれぞれの凹部内にそれぞれが配置された2つの端部を備える。
【0020】
[0020]前記凹部は、長手方向に対して平行に測定された最大幅を有し、バーの高さに対応する最大高さにわたって形成された第1の部分を備え、前記高さは、長手方向及び横方向に対して垂直の積み重ね方向に対して平行に測定され、前記第1の部分は、最大幅より小さい最小幅にわたって形成され、前記凹部は、さらに、最大高さ未満の最小高さにわたって形成され、最大幅にわたって延びる、少なくとも1つの第2の部分を備える。
【0021】
[0021]ろ過デバイスは、第1の流体の全体の流れ方向に対して垂直に配置された少なくとも1つの前面を備え、前記前面は、プレートに対して平行に配置にされた少なくとも1つの横方向面に連結される。
【0022】
[0022]ろ過デバイスは、2から10mmの間、好ましくは3から7mmの間の、長手方向に対して平行に測定された全幅を有する。
【0023】
[0023]金属シート材料は、0.20から0.75mmの間、好ましくは0.3から0.5mmの間の厚さを有する。
【0024】
[0024]金属シート材料は、15%から35%の範囲の開口表面密度、又は75%から98%の範囲の孔の容積密度を有する。
【0025】
[0025]金属シート材料は、金属糸の織物であり、前記糸は、0.10から0.30mm、好ましくは0.10から0.25mmの直径を有する。
【0026】
[0026]金属シート材料は、メッシュを形成するように交絡された少なくとも1つの一連の第1の金属糸及び一連の第2の糸を備え、各メッシュは、2つの連続的な第1の糸と2つの連続的な第2の糸との間で区切られ、メッシュは、0.07mmから0.15mmの開口部サイズを有する。
【0027】
[0027]金属シート材料は、プレートに対して平行な平面内で測定された、最大でも0.07mmから0.15mmの間であるサイズの複数のオリフィスを有する微穿孔プレートである。
【0028】
[0028]熱交換器は、第1の流体と少なくとも1つの触媒材料との間で触媒反応を実施するように構成された交換器-反応器であり、第1の一連の通路の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの触媒材料の粒子を含む。
【0029】
[0029]触媒材料は、最小直径から最大直径の範囲の等価直径を有する粒子を備え、金属シート材料は、粒子の前記最小直径の10%から85%の範囲のメッシュ開口部サイズを有する金属糸の織物である。
【0030】
[0030]熱交換器は、第1の流体とする水素を液化するように構成され、触媒材料は、オルト水素をパラ水素に変換するように構成され、特に触媒材料は、酸化鉄である。
【0031】
[0031]本発明はまた、冷媒流体のストリームに対してガス状水素のストリームの少なくとも一部を冷却する及び/又は液化するための方法であって、前記ストリームは、本発明による熱交換器の第1の通路及び第2の通路内にそれぞれ導入される、方法に関する。
【0032】
[0032]特に、本発明による方法は、少なくとも1つの触媒材料の粒子によって、ガス状水素のストリームのオルト水素分子の少なくとも一部のパラ水素分子への変換を実施する。
【0033】
[0033]特に、ガス状水素のストリームは、20から80バー、好ましくは25から40バーの範囲の圧力を有する。
【0034】
[0034]次に、本発明は、例示の非限定的な例として与えられた以下の説明により、付属の図を参照することによってより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】[0035]従来技術による、ろ過作用デバイスを備えた熱交換器の部分図。
【
図2】[0036]本発明の別の実施形態による熱交換器の三次元図。
【
図3】[0037]本発明の別の実施形態による熱交換器の三次元図。
【
図4】[0038]本発明の1つの実施形態による熱交換器の通路を示す部分的な長手方向断面。
【
図5】[0039]本発明の別の実施形態による熱交換器の通路を示す部分的な長手方向断面。
【
図6】[0040]本発明のいくつかの実施形態によるろ過デバイスを示す図。
【
図7】[0041]本発明のいくつかの実施形態によるろ過デバイスを示す図。
【
図8】[0042]本発明の1つの実施形態による凹部を示す部分的な三次元図。
【
図9】[0043]本発明の1つの実施形態による凹部を示す部分的な長手方向断面図。
【
図10】[0044]本発明の別の実施形態によるろ過デバイスの構造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[0045][
図2]又は[
図3]を参照すれば、本発明の1つの実施形態による熱交換器は、ろう付けされたフィン及びプレートタイプのものである。熱交換器を構成する要素は、好ましくは、アルミニウム又はアルミニウム合金で作製される。熱交換器は、プレート2のスタックによって形成された熱交換本体1を備える。プレート2は、二次元、すなわち長さ及び幅において、長手方向z及び横方方向xそれぞれに延びる。プレート2は、互いに対して平行に順に重ねて配設され、互いから離間される。
【0037】
[0046]これらは、したがって、互いの間に、少なくとも第1の一連の通路10と第2の一連の通路20とを形成し、第1の一連の通路10は、第1の流体の流れのために設けられ、第2の一連の通路は、プレート2を介して第1の流体と間接的な熱交換関係にもっていかれる少なくとも第2の流体の流れのために設けられる。横方向xは、長手方向zに対して垂直であり、プレート2に対して平行である。流体の流れは、好ましくは、熱交換器の長さに沿って、長手方向zに対して全体的に平行に流れ、この長さは、熱交換器の幅と比較して大きい。
【0038】
[0047]プレート2の積み重ね方向yで測定された通路の高さに対応する、2つの連続するプレート2間の間隔は、それぞれの連続するプレートの長さ及び幅と比較して小さい。積み重ね方向yは、プレートと直交する。通路10は、第2の一連の通路20のすべて又は一部と交互に、又はこれに隣接して全体的に又は部分的に配置され得る。好ましくは、通路10、20の少なくとも一部は、プレート2に対して平行に、熱交換器の通路の幅及び長さに沿って延びる、たとえば波状構造のフィン型熱交換構造を備える。
【0039】
[0048]本発明の特定の実施形態では、第1の一連の通路10及び第2の一連の通路20は、第1の流体とする水素(H2)の流れのためにそれぞれ設けられる。第2の流体は、水素(H2)、ヘリウム(He)又は窒素(N2)であってもよい。好ましくは、第2の流体は、液体水素又は液体ヘリウムであり、これにより、熱効率を向上させることが可能である。特に、第2の流体は、本発明の主題であるものと同じタイプの別の熱交換器から来る、すでに冷却された、特に全体的又は部分的に液化された水素であってもよい。熱交換器が、水素の冷却及び/又は液化に使用されるとき、第1の流体とする水素は、熱産生流体であり、第2の流体は、冷媒流体である。他の流体組成物が冷媒流体に使用されてもよいことが、留意されよう。
【0040】
[0049]好ましくは、各通路10、20は、平坦な平行六面体形状を有する。熱交換器は、通路の周囲においてプレート2間に配設された閉鎖バー6を備える。これらのバー6は、プレート2間に間隔をもたらし、通路の密閉を確実にする。
【0041】
[0050]それ自体知られている方法で、熱交換器は、スタックの側部に接合され、流体を選択的に通路10、20に分配し、前記流体を前記通路10、20から排出するように構成された手段である、マニホールド又はヘッダタンクと称される、分配及び排出手段21、22、71、72を備える。各マニホールドは、内部容積部を区切る周囲壁と、熱交換本体の側部に位置する開放端部と、流体を内部容積部内に送り、又は流体を内部容積部から排出するように設計された管23とを有する。
【0042】
[0051]閉鎖バー6は、通路を完全に閉じず、通路内の対応する流体が入る、又は離れるために本体1の側部の開口部を解放したままにする。熱交換器内を循環する流体のそれぞれを導入するための入口開口部11は、上下に一致して配設される。熱交換器内を循環する流体のそれぞれを排出するための出口開口部は、上下に一致して配設される。第1の一連の通路10内の入口開口部11は、第1の入口マニホールド21内で流体的に接合される。第1の一連の通路10内の出口開口部12は、第1の出口マニホールド22内で流体的に接合される。
【0043】
[0052]第2の通路20内の第1の入口開口部は、第2の入口マニホールド71内で流体的に接合される。上下に位置する第2の通路20内の出口開口部は、第2の出口マニホールド72内で流体的に接合される。
【0044】
[0053]第1の一連の通路に関連して本説明で与えられた本発明の特徴が、他の通路に適用されることが可能であり、本発明によるろ過作用解決策が、熱交換器内を循環する流体のすべて又は一部に対して考えられることが、明示される。
【0045】
[0054][
図2]に示される可能性によれば、入口及び出口マニホールド21、22、71、72は、半管状ヘッドの形態であり、すなわち、半円筒状であり、これらが配設される本体の側部を部分的にしか覆わない。分配波形部が、連続するプレート2間に配置され、この分配波形部は、入口又は出口開口部から延びる波状金属シートの形態であり、通路の熱交換ゾーンまで通路10、20の全幅にわたって流体の均一な分配及び案内をもたらす。
【0046】
[0055]好ましくは、マニホールド21、22、71、72の少なくとも1つの部分は、通路10内の入口及び出口開口部に面して、本体1の全高にわたって積み重ね方向yに、及び本体1の幅に一部にわたって横方向xに延びる。
【0047】
[0056][
図3]に示される別の可能性によれば、入口及び/又は出口マニホールド21、22、71、72は、ドームの形態であり、これらが配設される本体の側部をすべて覆う。
【0048】
[0057]本発明による熱交換器が、ドームの形態のマニホールドとヘッドの形態のマニホールドの両方を備えることができ、特に第1の入口マニホールド21がドームの形態であってもよく、第1の出口マニホールド22がヘッドの形態であってもよいことが、留意されよう。
【0049】
[0058]図示される実施形態では、第1の流体のための第1の入口マニホールド21及び第2の出口マニホールド72は、熱交換器の1つの同じ端部に位置し、第1及び第2の流体は、したがって、熱交換器の通路内で対向流で循環する。好ましくは、長手方向は、熱交換器が動作しているときに鉛直である。第1の流体のための第1の入口マニホールド21は、熱交換器の上側端部に位置し、第1の流体のための第1の出口マニホールド22は、熱交換器の下側端部に位置する。第1の流体は、全体的に鉛直に下方向に、すなわち[
図2]の方向zに対向して流れる。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、流体の流れの他の方向が考えられる。
【0050】
[0059]本発明による、第1の一連の通路10の長手方向セクションの図を示す[
図4]又は[
図5]で分かるように、ろ過デバイス31が、第1の一連の少なくとも1つの通路10内に配置される。ろ過デバイス31は、1つの部分について2つの隣接するプレート2間を延び、他の部分について、前記通路10を区切る閉鎖バー6の2つの間を延びる。ろ過デバイス31は、金属布、金属繊維の不織布、焼結された金属粉末もしくは焼結される金属繊維、金属発泡体、又は微穿孔プレートの中から選択された金属シート材料30を備える。
【0051】
[0060]用語「金属布」は、金属糸を織ることによって、すなわち、金属の織物、すなわち金属布を得るように糸を交絡させることによって得られる製造品を意味すると理解される。用語「金属布」はまた、金属糸を溶接することによって得られる製造品、すなわち交差点においてスポット溶接された糸を交差させることによって形成される、溶接された布を対象とすることもできる。
【0052】
[0061]用語「不織布」又は織られていない布は、シート内に配設され、ランダムに又は方向性を持って配向され、織ることを含まずに、機械的、化学的、もしくは熱的方法によって、又はこれらの方法の組み合わせによって互いに連結された繊維によって形成された製造品を意味すると理解される。特に、不織布は、摩擦、凝集、又は接着によって連結された繊維によって形成され得る。
【0053】
[0062]用語「焼結された」は、金属繊維又は粉末を焼結することによって、すなわち粉末又は繊維を溶融させずにこれらを加熱することによって得られる材料を指す。熱の効果の下、粒子又は繊維は互いに溶接され、その結果、材料の凝集を生じさせる。
【0054】
[0063]用語「発泡体」は、金属で作製され、大きな孔容積を含む胞巣状構造を指す。
【0055】
[0064]微穿孔プレートは、微穿孔部、すなわち、マイクロメートルサイズ、すなわちミリメートル未満である貫通オリフィスを備えるプレートを指す。
【0056】
[0065]金属布、金属繊維の不織布、焼結された金属、金属発泡体又は微穿孔プレートの使用の結果、熱交換本体内に保持されるべき固体粒子の通過、又は回避されるべき前記本体内への固体粒子の導入を防止しながらも、流体の流れを可能にするように寸法設定され得る、開口部又は開口孔を有する材料が、得られる。これらの材料は、流体透過性、得られ得る小さい開口部寸法によるろ過作用の効率性、及びフィルタの硬度の間に良好な妥協点をもたらす。
【0057】
[0066]ろ過デバイスは、そのシート構造により、粒子ブロッキング機能をそこに実現するために熱交換器通路の内側に、これに対して横断方向に位置決めできるように、特にプレス機内で曲げるか、又は成形することによって容易に成形され得る。ろ過デバイスは、したがって、通路内に配置された熱交換又は分配構造の近くに位置決めされ得る。触媒熱交換器の場合、これにより、触媒によってマニホールドを充填する必要がなくなるため、使用される触媒の量を大幅に低減することが、可能になる。
【0058】
[0067]同様に、通路内に触媒を有さない分配ゾーンを提供することを考えることもでき、これにより、半円筒状マニホールドを使用することが可能になる。半円筒状ヘッドは、ドームよりも簡単に製造されることが可能であり、より短い時間でそれほど複雑でない方法で熱交換器本体に接合されることが可能である。ヘッドの使用により、熱交換器本体のセクションを増大させ、したがって1つの同じ低温ボックス内に実装される熱交換器本体の数を低減することが、可能になる。
【0059】
[0068]ろ過デバイスの使用は、少なくとも第1の流体が比較的高い圧力、すなわち20から80バール、特に25から40バールの圧力を有する熱交換方法において特に有利である。これは、これらの圧力により、流体マニホールドを形成するために使用される材料の厚さの増大が必要とされるためである。詳細には、溶接によって熱交換器の本体にドームを固定するには、これらのドームの金属シートの厚さの増大は、熱交換器の閉鎖バーの厚さの増大を必要とする。したがって、この工業的及び経済的制約は、熱交換器の上記セクションにおける増大を制限する。ドームの形態のマニホールドの場合、これは、それらのサイズ、したがって熱交換器の本体の寸法を制限する。ろ過デバイスによって形成された分配ゾーンは、妥当な厚さで、熱交換器のそのセクションの厚さを増大させ、したがって必要とされる熱交換本体の数を制限することを可能にする。
【0060】
[0069]これらのフィルタの製造及び実装もまた、従来技術のろ過作用カートリッジのものに関連して簡易化される。ろ過デバイスは、スタックがろう付けされる前、プレートが積み重ねられている間に通路に挿入され得る。フィルタがスタック内に組み立てられると、これは、重力によって触媒が充填されるように鉛直に配置され得る。スタックの底部に置かれたろ過デバイスは、通路内に触媒を保持する。これにより、スタックの高さを通してより均一な方法で通路を充填することが、可能になる。
【0061】
[0070]本発明はまた、マニホールド又は本体上へのフィルタの溶接を回避することを可能にし、本体上でのいかなる溶接作業も、スタック内のろう付けされた要素の過熱及び凝集のリスクを呈している。
【0062】
[0071]好ましくは、本出願で説明されるようなろ過デバイスは、複数の通路10内、又は通路10のすべてにも位置決めされる。好ましくは、通路10のすべて又は一部では、ろ過デバイスは、少なくとも出口マニホールド22がある側、又は入口マニホールド21がある側及び出口マニホールド22がある側の、通路10の各側にも設けられる。
【0063】
[0072]1つの実施形態によれば、通路10の長さの主要部は、実際の熱交換ゾーン、すなわち流体が熱を交換する、及び/又は適切な場合触媒と反応するゾーンを構成する。熱交換ゾーンは、好ましくは、流体が入口もしくは出口マニホールドから、又は入口もしくは出口マニホールドに搬送される分配ゾーンによって両側で境界付けられる。これらの分配及び熱交換ゾーンには、有利には、プレート2に対して平行に、通路10の幅及び長さに沿って延びる構造24、25が嵌合される。分配構造24は、入口マニホールドから、又は出口マニホールドへの、熱交換ゾーンの全幅にわたる流体の均一な収集及び分配を目的とし、確実にするように構成される。
【0064】
[0073]分配及び熱交換構造は、有利には、波形部又は波状構造を備える。これらの構造は、まっすぐな波形部、(「鋸歯状」タイプの)部分的にずらされた波形部と呼ばれる波形部、又はヘリンボーン波形部などの、ろう付けされたフィン及びプレートタイプの熱交換器内に通常実装されるさまざまなタイプの波形部から選択され得る。これらの波形部は、穿孔されてもされなくてもよい。構造は、一体品として形成されてもよく、又は波形部の複数の並置されたシートによって形成されてもよい。
【0065】
[0074][
図4]に示される実施形態によれば、前記少なくとも1つの通路10は、第1の出口マニホールド22から連続的に位置決めされる、少なくとも1つの分配構造24及び熱交換構造25を備える。第1の入口マニホールド21がある側に同じ配置が設けられてもよいことが、留意されよう。ろ過デバイス31は、分配構造24と熱交換構造25との間の、好ましくは前記構造間に形成された自由空間26内に配置される。自由空間26は、通路10内の分配又は熱交換構造を有さない空間から延びる。
【0066】
[0075]この実施形態は、触媒熱交換器-反応器での使用に特に有利であり、その理由は、これにより、触媒を有さない分配ゾーンを熱交換ゾーンとマニホールドとの間に設けることが可能になり、ろ過デバイスは、熱交換ゾーン内の、第1の流体と反応するために触媒が使用される場所にこの触媒を保持するためである。これは、さらに、熱交換器通路内で使用される触媒の量を低減する。これにより、[
図2]に示されるように、スタックの面を部分的にしか覆わないヘッドの形態の入口及び/又は出口マニホールドを使用することも可能になる。ヘッドの使用は、スタック面全体を覆うドームの使用と比較して有利であることができ、その理由は、これにより、マニホールドのかさが低減され、熱交換器の本体にマニホールドを接合することが容易になり、本体にマニホールドを溶接する作業時間が短縮するためである。
【0067】
[0076]好ましくは、ろ過デバイス31は、通路10内の出口開口部12から、又は入口マニホールド21がある側に前記ろ過デバイスが配置されている場合は入口開口部11から、10から50cmの間のいくらかの距離を離して配置される。
【0068】
[0077]好ましくは、ろ過デバイス31は、長手方向zに対して平行に測定された、好ましくは同じようにして測定された自由空間の幅と等しくてもよく、又は実質的に等しくてもよく、好ましくはこの幅より小さくてもよい全幅にわたって延びる。好ましくは、ろ過デバイス、分配構造24、及び熱交換構造25の間には比較的小さいすき間があるか、又はすき間はなく、もしくは実質的にすき間はない。特に、ろ過デバイス31と分配構造24との間の距離、及び/又は長手方向ゾーンzに対して平行に測定された、熱交換構造25からろ過デバイス31を分離する距離に対応する第1のすき間が、存在する。好ましくは、第1のすき間は、0から3mmの間、特に0.5から3mmの間である。これにより、粒子がろ過デバイス周りを通過する可能性が、回避される。さらに、小さいすき間の存在は、ろ過デバイス31の直線性質の欠陥があればこれを補償することができる。
【0069】
[0078][
図4]の実施形態では、ろ過デバイスは、長手方向zに対して平行に延び、通路10の長手方向縁、すなわち長手方向zに対して平行な縁をそれぞれが区切る2つの閉鎖バー6間を延びる。好ましくは、ろ過デバイス31は、通路10の幅以上である、横方向xに対して平行に測定された長さを有する。
【0070】
[0079]有利には、2つの端部32が閉鎖バー6のそれぞれ内に係合するように、ろ過デバイス31の長さは、通路10の幅より大きい。好ましくは、これらの閉鎖バー6のそれぞれは、ろ過デバイス31の端部32を収容するように成形された凹部36を備える。
【0071】
[0080][
図5]に示される一例の別の実施形態によれば、本発明による熱交換器は、分配構造24と、好ましくは通路10内の入口又は出口開口部11、12にある第1の入口又は出口マニホールド21、22との間に配置されたろ過デバイス31を備える。
【0072】
[0081]ろ過デバイス31は、通路10の内部容積部からマニホールドの内部容積部を分離するように配置される。この実施形態は、粒子が熱交換器に入るとすぐにその導入を回避するフィルタ機能を有する熱交換器に特に適している。通路10の幅より小さい長さを有するろ過デバイスを使用することが可能になり、これにより、デバイスのサイズが低減され、その製造が容易になる。ろ過デバイス31は、マニホールドが配置される通路の横方向縁を区切る閉鎖バー6間に形成された開口部の幅と少なくとも等しい長さを有するだけで十分である。横方向縁は、横方向xに対して平行に縁から延びる。
【0073】
[0082][
図4]の構成は、触媒を保持するために出口マニホールド22がある側に配置されたろ過デバイスを有する触媒熱交換器に特に適している。[
図5]の構成は、固体粒子の導入がブロックされるべきであるどのような熱交換器にも適合され得る。これらの考慮は、依然として考えることができる他の構成を完全に排除するとは限らないことが、留意されよう。
【0074】
[0083]好ましくは、ろ過デバイス31は、横方向縁において通路10を区切る2つの閉鎖バー6間に配置される。1つの可能性によれば、ろ過デバイス31は、2つの端部32を備え、そのそれぞれは、各閉鎖バー6内のそれぞれの凹部36内に配置される。
【0075】
[0084][
図4]又は[
図5]で分かるように、前記少なくとも1つの通路10は、前記第1の入口又は出口マニホールド21、22内に通じる入口又は出口開口部11、12を備える。通路10及び開口部11、12それぞれは、横方向xに対して平行に測定された幅を有する。好ましくは、入口又は出口開口部11、12の幅は、通路10の幅未満であり、特に入口又は出口開口部11、12の幅は、通路10の幅の10%から70%の間、好ましくは20%から50%の間を構成する。これにより、開口部を覆う入口又は出口マニホールドの幅を大幅に低減することが、可能になる。
【0076】
[0085]本発明の文脈内では、凹部36は、特に、バー6内に形成された、止まり穴、切欠部及び/又は溝の形態をとることができる。
【0077】
[0086]長手方向zに対して平行に配置されたバー6の場合、バーの幅は、横方向xに対して平行に測定されることが、留意されよう。横方向xに対して平行に配置されたバー6の場合、バーの幅は、長手方向zに対して平行に測定される。閉鎖バーは、15から40mmの間の幅を有することができる。
【0078】
[0087]ろ過デバイス31は、さまざまな方法で通路10内に固定され得る。特に、ろ過デバイス31は、ろ過デバイスが配置される通路10を区切るプレート2の一方及び/又は他方にろう付けすることによって接合され得る。ろ過デバイス31はまた、プレート2の一方及び/又は他方への熱接着結合によって接合され得る。
【0079】
[0088]好ましくは、ろう付け材料は、金属シート材料30と通路10を区切る少なくとも1つのプレート2との間に配置される。金属シート材料30は、ろう付け材料の溶融温度より高い溶融温度を有する。ろう付け材料は、特に、プレート2の表面の少なくとも一部に堆積されたコーティングの形態であってもよい。
【0080】
[0089]特に、金属シート材料30は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金、鋼、特にステンレス鋼、ニッケルもしくはニッケル合金、特に50重量%から75重量%の間のニッケルを備えるインコネルタイプの合金で、全体的に又は部分的に形成される。これらの材料は、良好な機械的強度及び良好な耐久性を有し、極低温の温度に容易に耐えるという利点をもたらす。これらの特性は、特にフィルタが熱交換器の下側部分内に位置するとき、流体の動的圧力に対する抵抗及び触媒の負荷の保持という文脈において重要である。
【0081】
[0090]特に、アルミニウム又はアルミニウム合金で全体的に又は部分的に作製されたろ過デバイスは、ろう付けによって接合されることが可能であり、この材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金で最もよく作製される熱交換器の他の要素にろう付けされることが可能である。ろ過デバイスがステンレス鋼で全体的に又は部分的に作製される場合、これは、好ましくは、プレート2に熱的に結合される。
【0082】
[0091]ろ過デバイス31は、2から10mm、好ましくは3から7mmの、長手方向zに対して平行に測定された全幅を有することができる。これは、通路内で作用する加圧力に結び付けられる引張力に耐える必要性と、ろ過デバイスによって生成される圧力損失との間に良好な妥協点をもたらす。3から7mmの間の幅は、20から40バールの間の流体圧力に特に適している。
【0083】
[0092]ろ過デバイス31は、閉鎖バー6の高さ及び/又は分配及び熱交換構造24、25の高さに等しい、又は実質的に等しい、積み重ね方向yに対して平行に測定された高さを有することができる。ろ過デバイスが隣接するプレート2に接触するように、ろ過デバイスの高さは、通路10の高さに等しいか、又はこれよりわずかに大きいものとして規定される。特に、ろ過デバイスの高さは、通路10の高さより0.05mmから0.2mm大きくてもよい。
【0084】
[0093]ろ過デバイス31は、特にプレス機内でスタンピングすることによって、又はろ過デバイスを形成するシート材料30を曲げることによって、さまざまな方法で成形され得る。
【0085】
[0094][
図6]は、ろ過デバイス31の可能な形状を概略的に示す。異なる実施形態では、ろ過デバイス31は、好ましくは、第1の流体の全体の流れ方向に対して垂直に配置された少なくとも1つの前面31aを備える。前面31aは、横方向xに対して平行に延びる。これは、粒子ろ過作用の障壁機能を実現する前面31aである。これは、プレート2に対して平行に配置された少なくとも1つの横方向面31bに連結される。横方向面31bは、ろ過デバイス31を接合するための表面としての役割を果たす。横方向面31bは、プレート2にろう付けするか、又は熱接着結合することによって接合され得る。前面31a及び横方向面31bは、特にスタンピングするか、又は曲げることによる、ろ過デバイスを成形するために使用される技術に応じて、より大きい又はより小さい曲率半径を有することができる連結ゾーン内で連結され得る。
【0086】
[0095][
図6]のAに概略的に示される実施形態では、ろ過デバイス31は、長手方向zに連続的に配置された2つの前面31aと、1つが、通路10を形成するプレート2の一方に接して配置されるように意図され、他の2つが、通路10を形成するプレート2の他方に接して配置されるように意図された、3つの横方向面31bとを備える。
【0087】
[0096][
図6]のBに概略的に示される実施形態では、ろ過デバイス31は、前面31aと、隣接するプレート2に対して平行にそれぞれが配置されるように意図された2つの横方向面31bとを備える。横方向面31bは、前面31aの左又は右まで延びることができる。ろ過デバイスは、U字形状の横断方向プロファイルを有する。U字形状プロファイルの分岐部が流体の流れ方向に、又はこれとは反対方向に延びることができることが、留意されよう。前面31aが、
図A又はBに概略的に示されるように平坦な表面、又は[
図6]のCに概略的に示される例のように湾曲した表面、特に凹状表面を有することができることが、留意されよう。
【0088】
[0097]少なくとも1つの横方向面31bが前面31aに対して垂直ではなく、たとえば、[
図6]のDに示されるように、前面31aと共に90°から94°の間の角度を形成することが可能であることが、留意されよう。現在非常に望まれている(sought-after)許容範囲内でろ過デバイスの全長にわたって一定の高さを得ることが難しい場合、前面に対して90°をわずかに上回る角度で配設された上側横方向面31bにより、上側の分離する金属シートが上部に置かれた後、デバイスとの接触表面をその全長にわたってもたらすような高さを得ることが、可能になる。
【0089】
[0098][
図7]で分かるように、ろ過デバイス31は、少なくとも2つの波形側面123を備え、これらの波形側面は、前記波形側面123に対して垂直に延びる波形ピーク121によって連結される。波形側面123は、波形方向と称される方向D1に互いに続き、ピッチpで周期的に配置される。波形側面123及び波形ピーク121は、好ましくは0.2から0.75mmである厚さeを有する。
【0090】
[0099]波形状製品100からろ過デバイス31を形成することにより、熱交換器を製造するための装置のアイテムを組み合わせること、特に、通路内に挿入される分配又は熱交換構造を形成するために使用されるもののようにろ過デバイスを形成するために特に同じ加圧工具を使用することが、可能になる。複数のろ過デバイスは、1つの同じ波形状製品100内で切り出され得る。波形状製品100は、たとえば、分配構造24及び/又は熱交換構造25を形成するために使用されるものと同じタイプのものであってもよく、特に、同じ横断方向プロファイル、波形側面間の同じピッチ、同じ高さを有することができる。好ましくは、波形状製品100は、まっすぐな波形タイプのものであるが、他の波形形状を考えることもできる。
【0091】
[0100]1つの可能性によれば、ろ過デバイス31は、波形状製品100の波形側面123によってそれぞれ形成された少なくとも2つの前面31aと、波形状製品100の波形ピーク121によって形成された少なくとも1つの横方向面31bとを備える。特に、ろ過デバイス31は、2つの前面31aと3つの横方向面31bとを備えることができ、横方向面の1つは、波形側面123の上側端部を連結する上側波形ピーク121によって形成され、他の2つの横方向面31bは、波形側面123の下側端部にそれぞれが連結された2つの下側波形ピーク121によって形成されている。このろ過デバイス31は、[
図7]の点線によって概略的に示され、[
図6]のタイプAのろ過デバイスを得ることを可能にするような波形状製品100の切り出しによって形成され得る。切り出しは、たとえば、下側波形ピーク121において、又は下側波形ピーク121を隣接する波形側面123に連結する連結表面において行われ得る。
【0092】
[0101]別の可能性によれば、ろ過デバイス31は、波形状製品100の波形ピーク121によって形成された前面31aと、波形状製品100の波形側面123によってそれぞれが形成された2つの横方向面31bとを備える。このろ過デバイス31は、[
図7]の点線によって概略的に示され、[
図6]のタイプBのろ過デバイスを得ることを可能にするような波形状製品100の切り出しによって形成され得る。切り出しは、たとえば、各波形側面123において、又は各波形側面123を隣接する下側波形ピーク121に連結する連結表面において行われ得る。ろ過デバイス31は、長手方向zに対して垂直(Bに示される)又は平行(図示されず)の波形方向D1で通路10内に配置され得る。
【0093】
[0102]詳細には示されない1つの可能性によれば、少なくとも1つの凹部36が、バー6内にバーの全高にわたって作製された凹部によって形成され、その高さは、プレート2の積み重ね方向yで測定される。凹部36は、ろ過デバイス31の全幅と等しく、又は実質的に等しく、好ましくはこれよりわずかに大きい、長手方向zに対して平行に測定された最大幅lmaxを有する。凹部36は、横方向xに測定された所定の深さにわたって、最大幅lmaxにわたって、及びバー6の高さに対応する高さhmaxにわたって材料を取り除くことによって生み出される。凹部は、したがって、通路10を向くバー6の面6cから凹部の基部まで、同一又は本質的に同一の形状、特に正方形又は矩形形状を有する横断方向プロファイルを、プレート2に対して平行な断面平面内に有する。
【0094】
[0103][
図8]及び[
図9]に示される別の可能性によれば、少なくとも1つ凹部36は、バー6の全高にわたって、及びオリフィスの最大幅l
max未満の最小幅l
minにわたって形成された第1の部分36aを備える。長手方向zに対して平行に測定された最小幅l
minは、好ましくは、ろ過デバイス31を形成するシート材料の厚さと等しく、又は実質的に等しく、好ましくはこれよりわずかに大きい。特に、第1の部分36aは、ろ過デバイス31の前面31aをその端部32で受け入れるように成形された溝を形成する。
【0095】
[0104]凹部36は、さらに、バー6の高さの一部分hminのみにわたって作製され、凹部の最大幅lmaxにわたって延びる少なくとも1つの第2の部分36bを備える。好ましくは、積み重ね方向yに対して平行に測定された高さhminは、ろ過デバイス31を形成するシート材料の厚さと等しく、又は実質的に等しく、好ましくはこれよりわずかに大きい。特に、第2の部分36bは、ろ過デバイス31の横方向面31bをその端部32で受け入れるのに適している。この実施形態は、凹部36内のろ過デバイスの良好な保持を可能にする。好ましくは、凹部36は、各表面6a、6bにおいて形成され、バー6のプレート2に対して平行である2つの第2の部分36bを備える。凹部36は、したがって、前面31aと2つの横方向面31bとを有するろ過デバイスの端部32を受け入れるように成形される。
【0096】
[0105]凹部の第1の部分36a及び第2の部分36bが横方向xに所定の幅にわたって生み出されることが、留意されよう。凹部は、プレート2に対して平行な断面平面内に、第1の部分において見られるか、又は第2の部分において見られるかに応じて異なる寸法を有する横断方向プロファイルを有する。第1の部分及び/又は第2の部分の横断方向プロファイルは、正方形又は矩形の形状を有することができる。
【0097】
[0106]第1の部分36aが、長手方向zに対して垂直に、プレート2に対して平行な断面平面内を延びることができ、又は長手方向zに対して88°から82°の間の角度Aを形成することができることが、留意されよう。角度の存在により、ろ過デバイスの端部32が凹部36に挿入されたときにこれをわずかに変形させるようにもっていき、それによってこれを適所に係止することが可能になる。
【0098】
[0107]凹部36は、ろ過デバイス31の幅と等しく、又は実質的に等しく、好ましくはこれよりわずかに小さい、長手方向zに対して平行に測定された幅lmaxを有する。凹部36は、バー6の幅の10%から20%の、横方向xに対して平行に測定された所定の深さを有することができる。特に、凹部36は、2から7mmの間、好ましくは4から6mmの間、理想的には約5mmの深さを有する。これらの寸法は、バーの機械加工の容易さ、ろ過デバイスの埋め込み、及びバーの幅の低減の間に良好な妥協点をもたらす。好ましくは、横方向xに測定されたろ過デバイスの長さは、通路の幅から、通路の幅に凹部の深さの2倍を足したものの間である。
【0099】
[0108]凹部36の幅及び深さは、触媒粒子がろ過デバイスとバー6との間に形成された残留空間内に進むことができないようにそれらのサイズ及び形状を考慮しながら、触媒粒子に対する緊密性を確実にするように特に規定される。好ましくは、0.5mm未満、特に0.1mm未満である、ろ過デバイス31の幅と凹部の幅との間の相違に対応する第2のすき間が、存在する。複数の部分36a、36bを有する凹部の場合、ろ過デバイス及び凹部の幅は、対象の部分において測定された幅を意味すると理解されることが、留意されよう。好ましくは、第2のすき間はゼロである。凹部内に係合された端部32の長さに対応する凹部の深さは、凹部内でろ過デバイスの十分な保持を確実にするように規定される。
【0100】
[0109]本発明は、実装及び接合が簡単にできるため、ろう付けされたフィン及びプレートを備えた熱交換器内で実施されるときに特に有利である。しかし、プレート熱交換器、シェル及びチューブ熱交換器、又は「コアインケトル(core in kettle)」タイプの組立体、すなわち冷媒流体が内部で蒸発するシェル内に埋め込まれたプレート熱交換器又はプレート及びフィン熱交換器などの他のタイプの熱交換器が使用されてもよいことが、留意されよう。熱交換器がチューブ式熱交換器である場合、第1及び第2の通路は、チューブ内、チューブの周り、及びチューブ間の空間によって形成され得る。
【0101】
[0110]好ましくは、金属シート材料が金属布又は微穿孔プレートであるとき、これは、15%から35%、好ましくは17%から22%の範囲の開口表面密度を有する。開口表面密度、すなわち布又はプレートの透過性は、布又は微穿孔プレートそれぞれの全面積に対する開口部又は穿孔部の面積の比として規定される。これらの値の範囲は、良好な機械的強度を材料に与える材料の硬度と、圧力損失を最小限に抑えるための流体の透過性との間に良好な妥協点をもたらす。
【0102】
[0111]金属布又は微穿孔プレート以外の金属シート材料の場合、これらは、好ましくは、少なくとも75%、より好ましくは90%超、有利には98%以下の孔の容積密度、すなわち多孔率を有する。これらの範囲の値により、良好な機械的強度及び流体の低い圧力損失をもたらしながらも、微細な固体粒子を保持することが、可能になる。孔の容積密度が、材料内の空隙の容積と材料の全容積との間の比として規定されることが、留意されよう。空隙は、開口孔、すなわち、材料が位置する外側環境と流体連通すると理解されることが、留意されよう。
【0103】
[0112]本発明の好ましい実施形態によれば、金属シート材料30は、金属糸301、302によって形成された金属布である。より詳細には、材料は、開口メッシュ33を形成するために少なくとも1つの一連の第1の金属糸301及び一連の第2の金属糸302を交絡させることを備える。糸を織るために使用される方法に応じて、メッシュは、正方形、矩形、又は三角形形状を有することができる。第1の金属糸301及び第2の金属糸302は、同一の特徴、すなわち材料、直径などを有することができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0104】
[0113][
図10]は、第1の糸及び第2の糸が交互に上下になって交差する例示的な織り方を概略的に示している。他の織り方、たとえば糸が2本ずつ交互に上下になって交差する、1つの糸が下に2つの糸が上になって交差するなどが、可能である。
【0105】
[0114]布に関して本出願においてあげられた特徴は、糸が溶接によって接合される場合にも適用されることが、想起されよう。
【0106】
[0115]金属布の使用により、織り作業中に完璧に制御されるメッシュの外形によって、フィルタの特徴の正確で再生可能な制御が、可能になる。メッシュの規則性は、全表面にわたって均一であるフィルタの透過度をもたらす。これは、フィルタを通る流体の流れの一様な分配により、熱交換器の性能に有害な影響を与えることを回避する。加えて、金属布により、対象の粒子を最適な方法でブロックし、そこを通過する流体の圧力損失を制限するための、メッシュによって規定された開口表面密度を得ることが、可能になる。これはまた、良好な平面性特性をもたらし、これにより、特に布が閉鎖バー内の凹部内に配置されるとき、大きく変形させることなく閉鎖バー間に布を取り付けることが可能になる。
【0107】
[0116]好ましくは、前記糸301、302は、0.10から0.30mm、特に0.10から0.25mmの範囲の直径dを有し、それによって、糸の引張強さによって布上に良好な機械的強度を付与することが可能になる。さらに好ましくは、前記糸は、0.12から0.18mmの範囲の直径を有することができる。
【0108】
[0117]各メッシュ33は、2つの連続する第1の糸301と2つの連続する第2の糸302との間で区切られ、メッシュは、好ましくは0.07mmから0.15mmの開口部サイズを有する。メッシュの開口部サイズの寸法決めは、止めなければならない大きい方の固体粒子を保持するように規定される。
【0109】
[0118][
図10]に示されるような正方形又は矩形のメッシュの場合、メッシュ開口部サイズは、2つの連続する第1の糸301間の距離D1及び/又は2つの連続する第2の糸302間の距離D2として規定される。三角形メッシュ(図示されず)の場合、メッシュ開口部サイズは、メッシュ内に挿入される正接球の直径として規定される。
【0110】
[0119]好ましくは、金属シート材料30は、0.2から0.75mmの範囲の厚さを有する。この厚さは、十分な機械的強度を材料に与える。金属布の場合、この厚さは、糸の直径、及び作り出されたメッシュが接合される方法の結果から得られる。
【0111】
[0120]1つの可能性によれば、金属シート材料は、焼結された金属粉末又は焼結された金属繊維である。特に、ステンレス鋼、又は材料の溶融温度より低い温度において原子拡散によって結合される銅粉末が、使用され得る。
【0112】
[0121]別の可能性によれば、金属シート材料は、有利には0.07mmから0.15mmである直径を有する複数の好ましくは円形のオリフィスを備えた微穿孔プレートである。好ましくは、プレートは、0.2mmから0.5mmの間の厚さを有する。好ましくは、オリフィスは、微穿孔プレートにわたって均一に分配される。
【0113】
[0122]別の可能性によれば、金属シート材料は、金属材料によって形成された発泡体である。好ましくは、金属発泡体は、管理可能な圧力損失で流体が通過することを可能にするために、少なくとも75%、より好ましくは90%超の孔の容積密度を有する。好ましくは、金属発泡体の孔は、0.04mmから0.15mmの間のサイズを有する。好ましくは、孔のサイズは、その等価直径を意味すると理解される。非球形孔の「等価直径」という用語は、前記孔と同じ容積の球の直径を意味すると理解される。
【0114】
[0123]本発明は、熱交換器が、交換器-反応器、すなわち第1の流体F1と少なくとも1つの触媒材料との間で触媒反応を実施するように構成された触媒熱交換器であり、第1の一連の通路が粒子の形態の前記少なくとも1つの触媒材料を含む場合に特に有利である。特に、熱交換器は、第1の流体F1とする水素の少なくとも一部を冷却するか、又は液化もするように構成され、触媒材料は、オルト水素からパラ水素に変換するように構成され、特に触媒材料は、酸化金属、好ましくは酸化鉄(Fe2O3)を含む触媒である。動作中、水素は、第1の入口マニホールド21を通ってガス状態で導入され、第2の通路20内を流れる液体窒素のストリームに対して第1の通路10内で冷却されるように第1の通路10内を流れる。ガス状水素の流れの分子の少なくとも一部は、触媒材料によって、オルト水素からパラ水素に変換される。水素は、第1の出口マニホールド22を通って、低温状態で、又は全体的もしくは部分的に液化状態でも排出される。
【0115】
[0124]好ましくは、触媒材料は、最小粒子直径から最大粒子直径の範囲の等価直径を有する粒子を備える。好ましくは、最小直径は、0.2から0.4mmの間である。好ましくは、最大直径は、0.5から0.7mmの間である。さらに好ましくは、触媒材料の粒子は、0.2から0.7mmの範囲の等価直径を有する。
【0116】
[0125]好ましくは、金属シート材料30は、最小粒子直径の30%から70%の間を構成するメッシュ開口部サイズを有する金属糸の織物である。これらの比は、圧力損失に関して十分な妥協点をもたらしながらも、充填中又は動作中に触媒粒子の磨耗の結果生じる非常に微細な粒子又は埃を止めるように規定される。
【0117】
[0126]非球形粒子の「等価直径」という用語は、本出願では、前記粒子と同じ容積の球形の直径を意味すると理解される。
【0118】
[0127]本発明はまた、本発明によってより簡単により良好に制御されて実施され得る、触媒熱交換器を組み立てるための方法に関する。ろ過デバイス31が、出口表面12の側部の通路10のすべて又は一部内に配置される。本体1は、プレート、バー、熱交換構造、適切な場合分配構造などの、熱交換器を一緒になって構成する要素を結合するためにろう付けされる。ろう付けされたスタックは、鉛直に位置決めされ、出口マニホールド22は、本体の下方に、上方向の鉛直方向zに接合される。次いで、通路10に触媒が充填される。本体の下側部分内に位置決めされたろ過デバイス31は、触媒を保持する。充填は、場合によっては、充填される通路の開口部と面するように熱交換本体1上に位置決めされた、矩形であってもよいトレイによって実施され得る。トレイは、充填が完了した後に取り除かれる。第1の入口マニホールド21は、接合される。
【0119】
[0128]さらに、熱交換器は、入口表面11の側部に配置されたろ過デバイス31を備えることができる。ろ過デバイス31は、入口表面11の側部の通路10のすべて又は一部内に配置される。本体1はろう付けされ、次いで、第1の入口マニホールド21は本体1に接合される。
【0120】
[0129]本発明の文脈内で、ろ過デバイスは、好ましくは、本体がろう付けされる前に本体1に接合されることが、理解されよう。好ましくは、マニホールドは、溶接によって、ろう付けされた本体1に接合される。
【0121】
[0130]この組立て方法は、触媒粒子によって充填される必要がある通路を有する熱交換器に特に適している。通路は、ろ過デバイス及び出口マニホールドが装備された熱交換本体が、鉛直に位置決めされた後、触媒粒子によって充填され、これにより、重力効果の下で触媒を充填し、さまざまな通路間の触媒の分配をより良好に制御することが、可能になる。
【0122】
[0131]上流側の流体回路からの埃の侵入が回避されるべきである熱交換器の場合、熱交換器の出口マニホールドがある側にろ過デバイスを配置することは任意選択であることが、留意されよう。さらに、第2の通路20に関して本出願において説明された機能の1つ又は複数を提供するために、本発明による他のろ過デバイスが配置されてもよいことが、理解されよう。
【外国語明細書】