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特開2022-176146レール削正機および軌道のレールを削正するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176146
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】レール削正機および軌道のレールを削正するための方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 31/17 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
E01B31/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077990
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10 2021 204 880.3
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス キューネル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘルツルヴィマー
(72)【発明者】
【氏名】オットー ヴィトルロイター
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを可能にする、レール削正機を提供する。
【解決手段】軌道のレール2を削正するためのレール削正機1は、機械フレーム3と、機械フレーム3に回転可能に取り付けられた複数のガイドローラ4と、クロススライド13と、クロススライド13に配置された少なくとも1つの削正ユニット61と、を有している。クロススライド13は、機械フレーム3に横方向(y)で変位可能に取り付けられている。レール削正機1は、クロススライド13を横方向(y)で粗位置決めするための粗位置決め装置22と微細位置決めするための微細位置決め装置23とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道のレールを削正するためのレール削正機であって、
機械フレーム(3)と、
レール(2)に沿って前記レール削正機(1)を手動で移動させるために、前記機械フレーム(3)に回転可能に取り付けられた複数のガイドローラ(4)と、
前記機械フレーム(3)に、横方向(y)で変位可能に取り付けられたクロススライド(13)と、
前記クロススライド(13)に配置された少なくとも1つの削正ユニット(61,62)と、
を有するレール削正機において、
前記クロススライド(13)を横方向(y)で粗位置決めするための粗位置決め装置(22)と微細位置決めするための微細位置決め装置(23)とが設けられていることを特徴とする、レール削正機。
【請求項2】
前記粗位置決め装置(22)は、特に前記微細位置決め装置(23)に接続された作動機構(24)を有している、請求項1記載のレール削正機。
【請求項3】
前記作動機構(24)は、前記機械フレーム(3)に対して移動可能な作動エレメント(25)を有している、請求項2記載のレール削正機。
【請求項4】
前記微細位置決め装置(23)は、微細位置決めのために、互いに対して変位可能な第1の構成要素と第2の構成要素とを有しており、
前記粗位置決め装置(22)の作動エレメント(25)は、前記第2の構成要素に接続されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項5】
前記粗位置決め装置(22)は、粗動位置をロックおよび解除するためのロックユニット(29)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項6】
前記微細位置決め装置(23)は、ねじ山付きスピンドル(39)とスピンドルナット(40)とを有したスピンドルユニット(38)を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項7】
前記スピンドルナット(40)は、前記粗位置決め装置(22)の作動機構(24)に接続されている、請求項6記載のレール削正機。
【請求項8】
前記ねじ山付きスピンドル(39)は、軸受(42,43)によって前記クロススライド(13)に回転可能に取り付けられている、請求項6または7記載のレール削正機。
【請求項9】
前記微細位置決め装置(23)は、作動エレメント(45)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項10】
前記クロススライド(13)は、閉じたクロススライドフレーム(14)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項11】
縦方向(x)に対して平行に延在する旋回軸(55)を中心として旋回可能であるように、前記クロススライド(13)に取り付けられたガイドフレーム(54)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項12】
前記少なくとも1つの削正ユニット(61,62)を配置するための削正ユニット支持体(63)が設けられており、該支持体(63)は特に、垂直方向(z)で変位可能であるように、前記ガイドフレーム(54)に取り付けられている、請求項11記載のレール削正機。
【請求項13】
前記ガイドフレーム(54)は、2つのガイドエレメント(56)を有しており、前記ガイドエレメントには、前記少なくとも1つの削正ユニット(61,62)を配置するための2つの支持エレメント(64)が取り付けられている、請求項11または12記載のレール削正機。
【請求項14】
前記少なくとも1つの削正ユニット(61,62)が、交換可能な形式で取り付けられている、請求項1から13までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項15】
レール(2)を成形するための第1の削正ユニット(61)と、レール(2)をバリ取りするための第2の削正ユニット(62)とが設けられている、請求項1から14までのいずれか1項記載のレール削正機。
【請求項16】
軌道のレールを削正するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
請求項1から15までのいずれか1項記載のレール削正機(1)を設け、
機械フレーム(3)に対してクロススライド(13)の粗位置決めおよび/または微細位置決めを行い、
少なくとも1つの削正ユニット(61,62)によってレール(2)を削正する
ステップを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願である独国特許出願第102021204880.3号明細書の内容が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、レール削正機および軌道のレールを削正するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
レール削正機は、中国特許出願公開第106192630号明細書から知られている。レール削正機は機械フレームを有しており、この機械フレームには、レールに沿ってレール削正機を手動で移動させるためにガイドローラが回転可能に取り付けられている。削正ユニットの位置決めのために、レール削正機は、長手方向のレール方向に対して横方向に変位可能に機械フレーム配置された第1のクロススライドと、長手方向のレール方向に対して横方向で変位可能に第1の横方向スライドに配置された第2のクロススライドとを有している。削正ユニットは、第2のクロススライドに、高さ調節可能に配置されている。第1のクロススライドによって、削正ユニットの粗位置決めが可能であり、第2のクロススライドによって、削正ユニットの微細位置決めが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを可能にする、レール削正機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するレール削正機によって達成される。粗位置決め装置および微細位置決め装置の両方がクロススライドと相互作用するという事実により、少なくとも1つの削正ユニットを、容易に、確実かつ柔軟に、機械フレームに対して、ひいてはレールに対して横方向に位置決めすることができる。よって、粗位置決め装置および微細位置決め装置は、単一のクロススライドと相互作用する。少なくとも1つの削正ユニットがクロススライドに配置されているという事実により、クロススライドの位置決めによって、少なくとも1つの削正ユニットも横方向で位置決めされる。クロススライドは機械フレームに直接取り付けられている。特に、クロススライドは、機械フレームに支持されており、かつ/または機械フレームに載置されている。
【0006】
機械フレームは、ガイドローラによって縦方向に手動で移動させることができる。縦方向は、長手方向のレール方向に相当する。横方向は、縦方向に対して横方向に、特に垂直に延びている。変位のために、クロススライドは、特に複数のクロススライドガイドローラを有している。クロススライドガイドローラは特に、機械フレームに支持されている。好ましくはクロススライドは、機械フレームに支持される、少なくとも2つのクロススライドガイドローラ、特に少なくとも4つのクロススライドガイドローラ、特に少なくとも6つのクロススライドガイドローラを有している。クロススライドガイドローラは、好適には垂直方向で互いに間隔を置いて配置されている。その結果、少なくとも1つの第1のクロススライドガイドローラは機械フレームの上面に支持されている一方、少なくとも1つの第2のクロススライドガイドローラは機械フレームの下面に支持されている。つまり、機械フレームは、垂直方向で見て、クロススライドガイドローラの間に延びている。垂直方向は、縦方向および横方向に対して横方向、特に垂直に延びている。
【0007】
少なくとも1つの削正ユニットは特に、それぞれ1つの削正工具を駆動するための、それぞれ1つの削正工具駆動装置を含んでいる。各削正工具を、削正工具駆動装置によって、回転軸線を中心として回転するように駆動することができる。削正工具は、例えばカップホイールおよび/または砥石車である。各削正工具駆動装置は特に、燃焼機関および/または電気モータを有している。
【0008】
クロススライドを位置決めするために、粗位置決め装置および微細位置決め装置を互いに独立的に作動させることができる。このために、粗位置決め装置は第1の作動エレメントを有しており、微細位置決め装置は第2の作動エレメントを有している。第1の作動エレメントは、クロススライドを大まかに位置決めするために使用される一方、第2の作動エレメントは、クロススライドを精密に位置決めするために使用される。微細位置決めは、特に、設定されロックされたクロススライドの粗動位置で実施される。微細位置決め装置により、粗位置決め装置よりも精密なクロススライドの横方向での位置決めが可能となる。
【0009】
請求項2によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。作動機構は、特に、微細位置決め装置に接続されている。微細位置決め装置は特に、微細位置決めのために、横方向で互いに対して変位可能な第1の構成要素と第2の構成要素とを有している。粗位置決めのために、作動機構は手動で作動され、作動されていない微細位置決め装置を介して、または微細位置決め装置の第1の構成要素と第2の構成要素とを介して、クロススライドの位置が大まかに設定される。微細位置決めのために、粗位置決め装置はロックされ、これにより、微細位置決め装置の第2の構成要素が横方向で固定される。第1の構成要素を作動させることにより、粗動位置が設定されロックされた状態で、微細位置決めが実施される。したがって、粗位置決め装置は、微細位置決め装置に作用する。
【0010】
請求項3によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。作動エレメントは、特に、粗位置決め装置の作動機構の部分である。作動エレメントは、例えばレバーとして構成される。
【0011】
第1の例示的な実施形態では、作動エレメントは、旋回軸を中心に旋回するように機械フレームに配置されている。旋回軸は、縦方向に対して平行に延在している。縦方向は、長手方向のレール方向に相当する。作動エレメントは、連結要素によって微細位置決め装置に接続される。連結要素は特に、作動機構の部分である。連結要素は引張負荷および圧縮負荷され得る。連結要素は、例えば接続ロッドである。連結要素は、第1の端部で作動エレメントに接続されており、第2の端部で、微細位置決め装置に、特に第2の構成要素に接続されている。連結要素は、作動エレメントを旋回させることにより、連結要素が、旋回の方向に応じて圧縮負荷または引張負荷を受けるように、旋回軸から間隔を置いて作動エレメントに接続されている。作動エレメントの旋回は特に、作動エレメントと連結要素との間の角度を変化させる。好ましくは、連結要素は、作動エレメントに旋回接続されていて、かつ微細位置決め装置にまたは微細位置決め装置の第2の構成要素に旋回接続されている。
【0012】
第2の例示的な実施形態では、作動エレメントは、機械フレームに対して直線的に変位可能である。好ましくは、粗位置決め装置は、作動エレメントのための直線ガイドを有している。特に、直線ガイドは、作動機構の部分である。好ましくは、直線ガイドは、機械フレームに配置されている。作動エレメントは特に、微細位置決め装置にまたは微細位置決め装置の第2の構成要素に接続されている。
【0013】
請求項4によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。第1の構成要素と第2の構成要素とは、微細位置決めのために、横方向で互いに対して変位可能である。第1の構成要素は特に、ねじ山付きスピンドルとして構成されており、これに対し、第2の構成要素は特に、スピンドルナットとして構成されている。第1の構成要素は、横方向でクロススライドに対して変位可能ではないのに対し、第2の構成要素は、横方向で第1の構成要素に対して変位可能である。特に、第1の構成要素は、微細位置決め装置の作動エレメントによって作動させることができる。第2の構成要素は、粗位置決め装置の作動エレメントに接続されている。粗位置決め装置の作動エレメントは、機械フレームに対して変位可能である。特にロックユニットによって、機械フレームに対して第2の構成要素をロックすることができる。好ましくは、粗位置決め装置の作動エレメントは、ロックユニットによって機械フレームに対してロック可能である。粗位置決めのために、粗位置決め装置の作動エレメントは、機械フレームに対して変位され、この変位運動は、微細位置決め装置の第2の構成要素と、クロススライドとに伝達される。これに続く微細位置決めのために、粗位置決め装置の作動エレメントはロックユニットによってロックされて、これにより微細位置決め装置の第2の構成要素もロックされる。次いで、第1の構成要素が、微細位置決め装置の作動エレメントによって作動され、クロススライドが精密に位置決めされる。
【0014】
請求項5によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。ロックユニットは、粗位置決め装置を、またはクロススライドの設定された粗動位置をロックする。ロックされた粗動位置において、微細位置決め装置によりクロススライドを正確にまたは精密に位置決めすることができる。ロックユニットは特に、形状接続式および/または摩擦接続式のロックのために使用される。粗動位置のロックは、機械フレームに対して行われる。好ましくは、ロックユニットは、粗位置決め装置の作動機構の形状接続式および/または摩擦接続式のロックのために使用される。特に、ロックユニットは、粗位置決め装置の作動エレメントに少なくとも部分的に組み込まれている。ロックユニットは、特に、ロックエレメントと、関連する対応ロックエレメントとを有している。対応ロックエレメントは、例えば機械フレームに取り付けられている。ロックエレメントは、粗位置決め装置の作動エレメントに取り付けられており、特に作動エレメントに組み込まれている。ロックエレメントは、特にロック作動エレメントによって作動される。好ましくは、ロック作動エレメントは、ロック作動機構を介してロックエレメントに接続されている。ロック作動機構は、特に、ロック作動エレメントの非作動状態において、ロックエレメントが対応ロックエレメントと相互作用して粗動位置をロックし、ロック作動エレメントの作動状態において、ロックエレメントが対応ロックエレメントと相互作用せずにロックを解除するように構成されている。ロックユニットは、特にデッドマンロックユニットとして構成されている。
【0015】
請求項6によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。スピンドルユニットは、回転運動を直線運動に変換するために機能する。ねじ山付きスピンドルは、微細位置決め装置の第1の要素を構成する。ねじ山付きスピンドルは、クロススライドに回転可能に取り付けられている。ねじ山付きスピンドルは、クロススライドに対して横方向で変位することはできない。ねじ山付きスピンドルは、横方向で定置にクロススライドに接続されている。微細位置決め装置の作動エレメントによって、ねじ山付きスピンドルを作動させることができ、特に、スピンドル軸線を中心として回転させることができる。このために、作動エレメントは、ねじ山付きスピンドルにトルク伝達式に接続されている。スピンドルナットは、微細位置決め装置の第2の要素を構成する。スピンドルナットは、ねじ山付きスピンドルに、ねじ山付きスピンドルに対して回転可能に取り付けられているので、ねじ山付きスピンドルとスピンドルナットとの互いに対する回転運動により、スピンドル軸線に沿ったまたは横方向での、ねじ山付きスピンドルとスピンドルナットとの互いに対する直線運動が生じる。微細位置決め装置の調節精度は、スピンドルユニットのねじピッチを介して特定または設定することができる。粗位置決め装置の作動エレメントは、好ましくはスピンドルナットに接続されている。作動エレメントは、特にレバーとして構成されている。粗位置決め装置の作動エレメントは、機械フレームに対して変位可能である。
【0016】
請求項7によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。作動機構へのスピンドルナットの接続は、一方では、簡単かつ確実で柔軟な粗位置決めを可能にする。このために、スピンドルナットに作用し、スピンドルナットを所望の形式で横方向に変位させる作動機構を作動させる。微細位置決め装置が作動していない場合、スピンドルナットは、横方向でクロススライドに対して定置に配置されているので、クロススライドは所望の形式で、横方向で大まかに位置決めされる。このために、スピンドルユニットは特に、セルフロックされるように構成されている。他方で、作動機構へのスピンドルナットの接続は、簡単かつ確実で柔軟な微細位置決めを可能にする。このために、粗位置決め装置、特に、作動機構は、好適にはロックユニットによって粗動位置でロックされる。ねじ山付きスピンドルが作動または回転されると、作動機構は、スピンドルナットの回転を阻止し、したがって、ねじ山付きスピンドルは、回転の結果としてスピンドルナットに対して直線的に変位する。ねじ山付きスピンドルが、クロススライドに横方向で定置に接続されているので、クロススライド、ひいてはその上に配置された少なくとも1つの削正ユニットは、正確または精密に位置決めされる。ねじ山付きスピンドルは特に手動で、好適には作動エレメントによって、調節可能である。作動エレメントは、例えばハンドホイールとして構成される。
【0017】
請求項8によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。微細位置決め装置は、クロススライドにねじ山付きスピンドルを回転可能に取り付けるために機能する軸受を有している。軸受は、横方向で間隔を置いてクロススライドに接続されている。ねじ山付きスピンドルはその端部で、軸受に回転可能に取り付けられている。取り付けるとは、一方では、クロススライドに対してねじ山付きスピンドルを回転させることができることを、他方では、ねじ山付きスピンドルが、横方向でクロススライドに対して定置であるということを意味している。したがって、クロススライドに対するねじ山付きスピンドルの横方向での直線的な変位は不可能であり、特に、ねじ山付きスピンドルが回転しているときも不可能である。回転可能な取付けにより、微細位置決め装置を作動させることができる。微細位置決め装置が作動すると、ねじ山付きスピンドルとスピンドルナットとは、互いに対して横方向で直線的に変位する。
【0018】
請求項9によるレール削正ユニットは、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。作動エレメントは、スピンドルユニットを特に手動で作動させるために、好適にはねじ山付きスピンドルを手動で回転させるために用いられる。作動エレメントは、例えばハンドホイールとして構成される。作動エレメントの、特にハンドホイールの回転軸線と、ねじ山付きスピンドルの回転軸線とは、好適には互いに間隔を置いて配置されている。このために、微細位置決め装置は、特に伝動機構を有している。伝動機構は、作動エレメントの回転運動をねじ山付きスピンドルに伝達するために機能する。伝動機構は、例えば、伝動ベルトまたは伝動チェーンを有している。スピンドル軸線から間隔を置いて回転軸線を配置することにより、作動エレメントを、ねじ山付きスピンドルから間隔を置いて、快適な操作高さに配置することができるので、特に操作快適性が向上する。
【0019】
請求項10によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。クロススライドが閉じたクロススライドフレームを有していることにより、クロススライドは極めて安定しているので、クロススライド上に配置された削正ユニットを、容易かつ確実で柔軟に位置決めすることができる。特に、クロススライドフレームは、閉じた環状の本体を構成する。クロススライドフレームは、特に、横方向に延びる横部材を有し、これらの横部材は、縦方向に延びる縦部材に接続されている。クロススライドフレームは、内側空間を画定する。少なくとも1つの削正ユニットは、-垂直方向の投影図で見て-特に少なくとも部分的にこの内側空間内に配置されている。好ましくは、クロススライドフレームは、矩形の形状を有している。
【0020】
請求項11によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。ガイドフレームは特に、閉じたクロススライドフレームに配置されており、したがってガイドフレームは付加的にクロススライドフレームを補強する。ガイドフレームによって、少なくとも1つの削正ユニットが旋回軸を中心として旋回することができかつ/または垂直方向に直線的に調節可能であるように、少なくとも1つの削正ユニットを配置することができる。少なくとも1つの削正ユニットは、特にガイドフレームの2つの側に取り付けられている。少なくとも1つの削正ユニットは、好ましくは、支持点の間に配置されている。好ましくは、ガイドフレームは、クロススライドフレームに旋回可能に取り付けられている。旋回軸は、特に縦方向に対して平行に延在している。好ましくは、ガイドフレームを、旋回軸を中心として少なくとも60°まで、特に少なくとも90°まで、特に少なくとも120°まで旋回させることができる。好ましくは、ガイドフレームは、2つの旋回軸受によってクロススライドに、特に閉じたクロススライドフレームに取り付けられている。特にガイドフレームは2つのガイドエレメントを有しており、これらのガイドエレメントは、縦方向で互いに間隔をおいて、クロススライドに、特に閉じたクロススライドフレームに旋回可能に取り付けられている。ガイドエレメントは、特に連結要素によって互いに接続されている。ガイドフレームは好ましくはU字形である。
【0021】
請求項12によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。特に、削正ユニット支持体は、ガイドフレームの2つの側に取り付けられている。好ましくは、削正ユニット支持体は、ガイドフレームの2つの側に、特にガイドエレメントに取り付けられ、ガイドされる2つの支持エレメントを有している。特に、削正ユニット支持体は、支持エレメントを互いに接続する連結要素を有している。削正ユニット支持体は、特に、U字形に構成されている。好ましくは、支持エレメントおよび連結要素は、互いにU字形に配置されている。特に、連結要素は、ガイドフレームの連結要素に面している。特に、削正ユニット支持体またはその上に配置された削正ユニットを垂直方向に位置決めするための垂直位置決め装置が、連結要素に配置されている。垂直位置決め装置は特に、ねじ山付きスピンドルとスピンドルナットとを備えたスピンドルユニットを備えている。ねじ山付きスピンドルは、例えば、ガイドフレームの連結要素に回転可能に取り付けられており、スピンドルナットは、削正ユニット支持体の連結要素に取り付けられている。ねじ山付きスピンドルを作動または回転させることにより、削正ユニット支持体またはその上に配置された削正ユニットは、垂直方向で変位し、位置決めされる。
【0022】
請求項13によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。支持エレメントは特に、削正ユニット支持体の部分である。特に、少なくとも1つの削正ユニットは、支持エレメントに配置されている。好ましくは、少なくとも1つの削正ユニットは、2つの支持エレメントに交換可能に取り付けられている。好ましくは、少なくとも1つの削正ユニットは、2つの支持エレメントの間に配置されている。少なくとも1つの削正ユニットの交換のために、レール削正機は特に、クイック交換装置を有している。クイック交換装置は、第1のクイック交換要素と、関連する第2のクイック交換要素とを有している。第1のクイック交換要素は、特に支持エレメントに取り付けられている一方、第2のクイック交換要素は各削正ユニットに取り付けられている。少なくとも1つの削正ユニットは、縦方向で、2つのガイドエレメントの間にかつ/または2つの支持エレメントの間に配置されている。
【0023】
請求項14によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。少なくとも1つの削正ユニットは、特に、交換可能にガイドフレームに、好適にはガイドフレームに配置された削正ユニット支持体に取り付けられている。交換のために、レール削正機は特に、クイック交換装置を有している。クイック交換装置は、少なくとも1つの削正ユニットの形状接続式にかつ/または摩擦接続式に交換可能な取付けを可能にする。好ましくは、削正ユニット支持体は、クイック交換装置を介して少なくとも1つの削正ユニットに交換可能に接続される2つの支持エレメントを有している。好ましくは、クイック交換装置は、第1のクイック交換要素と、関連する第2のクイック交換要素とを有しており、これらのクイック交換要素は、互いに、形状接続式にかつ/または摩擦接続式に可逆的に接続可能である。第1のクイック交換要素は特に、いずれの場合も削正ユニット支持体の1つの支持エレメントに配置されている。関連する第2のクイック交換要素は、各削正ユニットに配置されている。各削正ユニットは、第2のクイック交換要素の間に配置されているので、各削正ユニットは、2つの側で削正ユニット支持体に交換可能に固定されているまたは取り付けられている。好ましくは、第1のクイック交換要素と第2のクイック交換要素とは、それぞれ直線ガイドを構成する。各直線ガイドは、ガイドフレームによって規定される平面に対して横方向に、特に垂直に延在している。好ましくは、第1のクイック交換要素は、関連する第2のクイック交換要素と共に、鳩尾形の横断面の各直線ガイドを構成する。
【0024】
請求項15によるレール削正機は、簡単かつ確実で柔軟な、削正ユニットの粗位置決めおよび微細位置決めを保証する。第1の削正ユニットは、レールの成形のために用いられ、カップホイールと見なされる削正工具を第1の回転軸線を中心として回転するように駆動する削正工具駆動装置を有している。これに対し、レールのバリ取り用の第2の削正ユニットは、砥石車と見なされる削正工具を第2の回転軸線を中心として回転するように駆動する削正工具駆動装置を有している。これらの回転軸線は、削正ユニットがその他の点では同じ位置にあるとき、互いに横方向に、特に垂直に配置されている。特に、第1の回転軸線は、実質的に垂直方向に、またはガイドフレームによって規定される平面に対して平行に延在しているのに対し、第2の回転軸線は、実質的に横方向に、またはガイドフレームによって規定される平面に対して横方向に延在している。第1の削正ユニットと第2の削正ユニットとは特に交換可能である。好ましくは、第1の削正ユニットおよび第2の削正ユニットは、交換可能に削正ユニット支持体に取り付けられている。このために、レール削正機は特に、クイック交換装置を有している。各削正工具駆動装置は特に、燃焼機関および/または電気モータを有している。
【0025】
さらに、本発明の目的は、簡単かつ確実で柔軟な形式で、削正ユニットを粗位置決めおよび微細位置決めすることができる、軌道のレールを削正するための方法を提供することである。
【0026】
この課題は、請求項16の特徴を有する方法によって達成される。本発明による方法の利点は、既に説明した本発明によるレール削正機の利点に相当する。本発明による方法は、特に、本発明によるレール削正機に関連して説明した少なくとも1つの特徴により、さらに発展させることができる。
【0027】
本発明によるレール削正機によって、レール、特に分岐器の領域にあるレールを、成形および/またはバリ取りすることができる。レールを成形するために、レール削正機は特に、削正工具駆動装置と、カップホイールと見なされる削正工具とを含む第1の削正ユニットを有している。クロススライドに配置された第1の削正ユニット、またはカップホイールは、粗位置決め装置および微細位置決め装置によって、横方向で正確に位置決めされるので、レールの正確な成形が可能である。このために、第1の削正ユニットは、まずは粗位置決め装置によって大まかに位置決めされ、好適には設定された粗動位置でロックされる。第1の削正ユニットは、次いで、微細位置決め装置によって、成形すべきレールに対して正確に位置決めされる。
【0028】
レールをバリ取りするために、レール削正機は、削正工具駆動装置と、砥石車と見なされる削正工具とを含む第2の削正ユニットを有している。バリ取りのために、第2の削正ユニットは、バリ取りすべきレールに対して、特に粗位置決め装置のみによって位置決めされる。微細位置決め装置は、セルフロックによって、設定された微動位置でロックされる。特に、分岐器の領域の分岐レールを、簡単かつ確実に柔軟に、粗位置決め装置によって、バリ取りすることができる。
【0029】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、以下の、いくつかの例示的な実施形態の説明により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】交換可能な第1の削正ユニットを位置決めするための粗位置決め装置と微細位置決め装置とを有する第1の例示的な実施形態によるレール削正機の第1の側面図である。
図2図1のレール削正機の平面図である。
図3】ロックユニットを図示するために、粗位置決め装置の一部を示す断面図である。
図4図1のレール削正機の第2の側面図である。
図5】第1の削正ユニットを交換可能に取り付けるためのクイック交換装置の図4のVの領域を拡大して詳しく示す図である。
図6】第1の削正ユニットの代わりに、交換可能な第2の削正ユニットを備えたレール削正機を示す側面図である。
図7】粗位置決め装置と微細位置決め装置とを説明するための、第2の例示的な実施形態によるレール削正機の部分的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第1の例示的な実施形態を、図1図6を参照して以下に詳しく説明する。レール削正機1は、軌道のレール2を削正するために用いられる。レール削正機1は機械フレーム3を有していて、機械フレームは、ガイドローラ4によってレール2上にガイドされている。機械フレーム3は、テレスコピック式に互いに接続されている2つのフレーム構成要素5,6を有している。フレーム構成要素5,6を互いに対してシフトさせることにより、ガイドローラ4をレール2間の間隔に適合させることができる。
【0032】
機械フレーム3は、縦部材7,8,9と横部材10,11とを有している。縦部材7,8,9はx方向に延びており、x方向に対して垂直に延びるy方向において互いに離隔している。x方向は以下では縦方向と呼ばれ、y方向は以下では横方向とも呼ばれる。縦方向は、長手方向のレール方向に相当する。横部材10,11はy方向に延びており、x方向で離隔している。横部材10,11は、その端部で縦部材7,8に取り付けられているので、機械フレーム3は長方形の形状を有している。レール2間の間隔に適合させるために、横部材10,11をテレスコピック式に伸縮させることができる。フレーム構成要素5が実質的に矩形の形状を有するように、機械フレーム3を補強するために、縦部材9が横部材10,11に接続されている。テレスコピック式の横ビーム10,11によって、フレーム構成要素5に配置されたガイドローラ4と、フレーム構成要素6に配置されたガイドローラ4とは、y方向において互いに可変に離隔している。
【0033】
レール削正機1は、レール2に沿って手動で移動させることができる。ガイドローラ4は、縦方向に相当する、レール削正機1の移動方向を規定する。レール削正機1を手動で持ち上げるおよび/または運ぶために、ハンドル12が機械フレーム3に固定されている。ガイドローラ4は、機械フレーム3に、回転軸線を中心として回転することができるように取り付けられている。回転軸線は、y方向に対して平行である。
【0034】
機械フレーム3には、クロススライド13が取り付けられている。クロススライド13は、クロススライド縦部材15,16とクロススライド横部材17,18とによって構成される閉じたクロススライドフレーム14を有している。クロススライド縦部材15,16はx方向に延びており、y方向において互いに離隔している。クロススライド横部材17、18によって、クロススライド縦部材15、16の端部は互いに接続されているので、クロススライドフレーム14は上方から見て長方形の形状を有している。クロススライド横部材17,18はy方向に延びており、x方向において互いに離隔している。クロススライドフレーム14は、上方から見たときに内側空間19を画定する。
【0035】
クロススライド13は、クロススライド横部材17,18に回転可能に取り付けられたクロススライドガイドローラ20,21を備えている。クロススライドガイドローラ20は、クロススライドガイドローラ21から垂直z方向で間隔をあけて取り付けられており、したがって、クロススライドガイドローラ20は機械フレーム3の上面に支持されている一方、クロススライドガイドローラ21は機械フレーム3の下面に支持されている。クロススライドガイドローラ20,21は、クロススライド13をy方向または横方向に変位させる働きをする。このために、クロススライドガイドローラ20,21は、クロススライドフレーム14に回転軸線を中心として回転可能に取り付けられている。回転軸線は、x方向に対して平行である。z方向は、以下では垂直方向とも呼ばれる。x方向、y方向およびz方向は、互いに対して垂直であり、したがってデカルト座標系を形成する。
【0036】
クロススライド13の位置決めのために、レール削正機1は、粗位置決め装置22と微細位置決め装置23とを有している。粗位置決め装置22は、y方向または横方向でのクロススライド13の粗位置決めに用いられ、微細位置決め装置23は、横方向でのクロススライド13の微細位置決めに用いられる。微細位置決めにより、粗位置決めよりも正確な位置決めが可能となる。
【0037】
粗位置決め装置22は、作動機構24を有している。作動機構24は、作動エレメント25と連結要素26とを有している。作動エレメント25は、作動レバーとして構成されている。作動エレメント25は機械フレーム3に固定されており、旋回軸27を中心として機械フレーム3に対して旋回することができる。旋回軸27は、x方向に対して平行に延びている。連結要素26は、接続ロッドとして構成されている。連結要素26は、旋回軸28を中心として旋回可能であるように、作動エレメント25に取り付けられている。旋回軸28は、x方向に対して平行に延びていて、旋回軸27に対して間隔を置いて位置している。旋回軸27を中心として作動エレメント25が旋回することにより、作動エレメント25と連結要素26との間の角度αを変化させることができる。作動機構24または連結要素26は、以下で詳細に述べる態様で、微細位置決め装置23に接続されている。
【0038】
粗位置決め装置22はさらに、ロックユニット29を有している。ロックユニット29は、粗位置決めのロックおよび解除のために、または可逆的なロックのために機能する。ロックユニット29は、ロックエレメント30と対応ロックエレメント31とを有している。対応ロックエレメント31は、湾曲した歯付ストリップまたは歯付アーチとして構成されている。対応ロックエレメント31は、機械フレーム3に固定されている。対応ロックエレメント31は、旋回軸27を中心とする部分円弧に沿って配置された複数の歯32を含む。ロックエレメント30は、形状嵌合式にかつ摩擦係止式に、対応ロックエレメント31と相互作用する。このために、ロックエレメント30は、ピンの形式で構成されている。ロックエレメント30は、歯の形状の先端を備えて構成されており、この先端は、対応ロックエレメント31の2つの歯32の間に位置することができる。ロックエレメント30は、作動エレメント25に一体化されている。作動エレメント25は、管状に構成されており、ロックエレメント30は、作動エレメント25の内側空間内に配置されている。
【0039】
ロックユニット29は、デッドマンロックユニットとして構成されている。非作動状態ではロックユニット29がロックされ、作動状態ではロックユニット29が解除される。ロックユニット29は、ロックエレメント30を作動させるためのロック作動エレメント33を有している。ロック作動エレメント33は、枢動レバーとして構成される。ロック作動エレメント33は、ロック作動機構を介してロックエレメント30に接続されている。ロック作動機構は、引張エレメント34と、ストッパ35,36と、ばねエレメント37とを含む。第1のストッパ35は、作動エレメント25に接続されている。第1のストッパ35は、ロックエレメント30とロック作動エレメント33との間に配置されていて、引張エレメント34を通して導く通路開口を有している。ロックエレメント30は、対応ロックエレメント31とは反対の側に第2のストッパ36を構成している。ばねエレメント37は、第1のストッパ35と第2のストッパ36との間に配置されていて、デッドマン機能を構成している。
【0040】
微細位置決め装置23は、ねじ山付きスピンドル39とスピンドルナット40とを備えたスピンドルユニット38を有している。ねじ山付きスピンドル39は第1の要素を、スピンドルナット40は第2の要素を構成しており、これらの構成要素は、相対回動により、スピンドル軸線41の方向で互いに対して直線的に変位可能である。ねじ山付きスピンドル39は、軸受42,43によってクロススライドフレーム14に取り付けられている。スピンドル軸線41は、y方向に対して平行に延びている。したがって、ねじ山付きスピンドル39は、クロススライド13に対してスピンドル軸線41を中心として回転させることができるが、スピンドル軸線41の方向では、クロススライド13に対して定置である。スピンドルナット40は、ねじ山付きスピンドル39上で軸受42,43の間に配置されている。スピンドルナット40は、作動機構24の連結要素26に接続されている。作動エレメント25とは反対側に面した連結要素26の端部は、旋回軸44を中心に旋回可能なようにスピンドルナット40に接続される。旋回軸44は、x方向に対して平行に延びていて、角度αにおける変動を補償する。
【0041】
微細位置決め装置23は、作動エレメント45と伝動機構46とを有している。作動エレメント45は、ハンドホイールとして構成されている。作動エレメント45は、回転軸線47を中心として回転可能であるように、ハンドル48に配置されている。ハンドル48はU字形に構成されていて、横部材10,11に取り付けられている。回転軸線47は、y方向に対して平行である。伝動機構46は、回転軸線47を中心とした作動エレメント45の回転運動をねじ山付きスピンドル39に伝達し、ねじ山付きスピンドル39はスピンドル軸線41を中心として回転する。伝動機構46は、伝動ホイール49,50と伝動ベルト51とを有している。伝動ホイール49は作動エレメント45にトルク伝達式に接続されているのに対し、伝動ホイール50はねじ山付きスピンドル39にトルク伝達式に接続されている。伝動ベルト51は、伝動ホイール49の回転運動を伝動ホイール50に伝達する。
【0042】
ねじ山付きスピンドル39の保護のために、微細位置決め装置23は、ねじ山付きスピンドル39の上方で軸受42とスピンドルナット40との間にならびに軸受43とスピンドルナット40との間に配置されたベローズ52,53を含んでいる。
【0043】
レール削正機1はさらにガイドフレーム54を有しており、このガイドフレームは旋回軸55を中心として旋回可能であるようにクロススライドフレーム14に取り付けられている。旋回軸55は、x方向に対して平行に延びている。ガイドフレーム54はU字形に構成されている。ガイドフレーム54はガイドエレメント56を有しており、これらのガイドエレメントはそれぞれ第1の端部で、旋回軸受57を介して、それぞれ関連するクロススライド横部材17,18に取り付けられている。ガイドエレメント56のそれぞれ第2の端部は、連結要素58を介して互いに接続されている。上方から見て、ガイドフレーム54は、クロススライド13の内側空間19内に配置されている。
【0044】
ガイドフレーム54を旋回させるために、レール削正機1は旋回装置59を有している。旋回装置59は、クロススライド13とガイドフレーム54とに取り付けられている。旋回装置59によってガイドフレーム54は、クロススライド13に対して、旋回軸55を中心として旋回することができる。旋回装置59は、作動エレメント60を有している。作動エレメント60はハンドホイールとして構成されている。旋回のために、旋回装置59は、詳細には示されていない歯車と、協働する歯付きラックとを有している。歯車は、クロススライド13に回転可能に取り付けられていて、作動エレメント60に接続されている。歯付きラックは、ガイドフレーム54に取り付けられていて、旋回のために歯車と相互作用する。
【0045】
第1の削正ユニット61または第2の削正ユニット62の交換可能な配置のために、レール削正機1は削正ユニット支持体63を有している。削正ユニット支持体63は、ガイドフレーム54に取り付けられている。削正ユニット支持体63は、ガイドエレメント56に沿って直線状にガイドされる管状の支持エレメント64を有している。支持エレメント64は、機械フレーム3とは反対側の端部で連結要素65によって互いに接続されているので、削正ユニット支持体63はU字形に構成されている。
【0046】
削正ユニット支持体63は、垂直位置決め装置66によってガイドフレーム54に沿って直線的に変位可能である。垂直位置決め装置66は、ガイドフレーム54の連結要素58に回転可能に取り付けられているねじ山付きスピンドル67を有している。ねじ山付きスピンドル67は、作動エレメント68に接続されている。作動エレメント68はハンドホイールとして構成されている。垂直位置決め装置66はさらに、削正ユニット支持体63の連結要素65に堅固に接続されているスピンドルナット69を有している。作動エレメント68の回転により、削正ユニット支持体63は、回転方向に応じて、直線的に上下に、すなわちz方向で変位可能である。
【0047】
第1の削正ユニット61または第2の削正ユニット62の交換可能な取付けのために、レール削正機1はクイック交換装置70を有している。図1図5に示したように、クイック交換装置70によって、第1の削正ユニット61は、削正ユニット支持体63に、したがってクロススライド13に取り付けられている。第1の削正ユニット61は、支持エレメント64に、クイック交換装置70によって取り付けられている。したがって、第1の削正ユニット61は、ガイドローラ4によってx方向で変位可能であり、クロススライド13によってy方向に変位可能であり、ガイドフレーム54によって旋回軸55を中心として旋回可能であり、かつ/または削正ユニット支持体63によってz方向に変位可能である。
【0048】
第1の削正ユニット61は、レール2を成形するために機能する。第1の削正ユニット61は、第1の削正工具72を、第1の回転軸線73を中心として回転するように駆動する、削正工具駆動装置71を含む。削正工具72は、カップホイールとして構成されている。回転軸線73は、ガイドフレーム54によって規定される平面Eに対して平行に延びている。回転軸線73は、z方向に対して傾斜して延びている。これにより、削正クリアランス角度が形成される。
【0049】
これに対して、第2の削正ユニット62は、レール2のバリ取りのために機能する。図6に示したように、第2の削正ユニット62は、削正ユニット支持体63に、したがってクロススライド13に取り付けられている。第2の削正ユニット62は、第2の削正工具75を、第2の回転軸線76を中心として回転するように駆動する、削正工具駆動装置74を有している。第2の削正工具75は、砥石車として構成されている。回転軸線76は、ガイドフレーム54によって規定される平面Eに対して横方向に、特に垂直に延びている。
【0050】
各削正工具駆動装置71,74は燃焼機関を有している。各削正ユニット61,62は、削正ユニット支持体63に2つの側で取り付けられている。これにより、各削正ユニット61,62が、正確かつ確実に取り付けられることが保証されている。U字形の削正ユニット支持体63は、各削正ユニット61,62の2つの側での取付けにより、補強されている。
【0051】
クイック交換装置70は、第1のクイック交換要素77と、関連する第2のクイック交換要素78とを有している。第1のクイック交換要素77は、支持エレメント64の向き合う側に取り付けられている。関連する第2のクイック交換要素78は、各削正ユニット61,62に取り付けられている。第1のクイック交換要素77の距離と位置とは、第2のクイック交換要素78の距離と位置とに対応している。それぞれ第1のクイック交換要素77は、関連する第2のクイック交換要素78と共に直線ガイドLを構成している。そのために、それぞれ第1のクイック交換要素77は例えば溝を有しており、関連する第2のクイック交換要素78は対応する突起を有している。各直線ガイドLは、横断面が例えば鳩尾形であるように構成されている。クイック交換要素77,78によって構成される直線ガイドLは、ガイドフレーム54によって規定される平面Eに対して横方向に、特に垂直に延びている。第2のクイック交換要素78は、関連する作動エレメント79によって変位させることができる。作動エレメント79は、例えば、枢動レバーとして構成されている。作動エレメント79を作動させることにより、第1のクイック交換要素77は、関連する第2のクイック交換要素78にクランプする。各削正ユニット61,62は、したがって、クイック交換装置70によって削正ユニット支持体63に、形状接続的かつ摩擦接続的に取り付けられている。
【0052】
レール削正機1の作動モードを以下に説明する。
【0053】
図1図5に示されたレール削正機1は、例えば、レール2の成形する働きをする。第1の削正ユニット61は、粗位置決め装置22によって横方向またはy方向で大まかに位置決めされ、微細位置決め装置23によって横方向またはy方向で精密に位置決めされる。粗位置決めの場合、オペレータはロック作動エレメント33によりロックユニット29を解除して、作動エレメント25を、旋回軸27を中心として所望の旋回方向に旋回させる。旋回によって角度αが変化し、連結要素26が旋回軸28を中心として旋回する。連結要素26が微細位置決め装置23のスピンドルナット40に接続されていることにより、クロススライド13は、機械フレーム3においてy方向で、またはy方向に対して平行に直線移動する。スピンドルユニット38はセルフロック式に構成されているので、連結要素26によって生じるスピンドルナット40の動きは、ねじ山付きスピンドル39の回転運動ではなく、クロススライド13の直線運動を生じさせる。
【0054】
クロススライド13の微細位置決めのために、まず、粗位置決め装置22を所望の粗動位置にロックする。このために、オペレータは、ロック作動エレメント33をそれ以上作動させない。ロックエレメント30は、ばねエレメント37の予張力によって対応ロックエレメント31に向かって変位し、これにより、ロックエレメント30は、対応ロックエレメント31の2つの歯32の間に係合し、粗位置決め装置22をロックする。
【0055】
設定された粗動位置において、微細位置決め装置23によりクロススライド13を正確に位置決めする。この目的のために、オペレータは作動エレメント45を、回転軸線47を中心として所望の回転方向に回転させる。この回転運動は、伝動機構46を介してねじ山付きスピンドル39に伝達され、ねじ山付きスピンドルはスピンドル軸線41を中心として回転する。粗位置決め装置22がロックされていることによりスピンドルナット40は横方向またはy方向で静止しているので、ねじ山付きスピンドル39のスピンドルナット40に対する直線相対運動により、クロススライド13は横方向またはy方向で直線的に変位し、正確に位置決めされる。よって、粗位置決め装置22および微細位置決め装置23は、スピンドルユニット38を介して同じ1つのクロススライド13に作用する。
【0056】
第1の削正ユニット61のさらなる位置決めのために、ガイドフレーム54を、旋回装置59によって旋回軸55を中心に旋回させることができる。第1の削正ユニット61は、垂直位置決め装置66によってz方向に直線的に変位させることができ、これにより、レール2に提供することができるまたは高さを調節することができる。さらに、レール削正機1は、ガイドローラ4によってx方向に手動で変位させることができる。第1の削正工具72によるレール2の成形は通常の形式で行われる。
【0057】
第1の削正ユニット61を交換するために、クロススライド13は、粗位置決め装置22によってレール2間で変位される。次いで、クイック交換装置70の作動エレメント79が解放され、したがって削正ユニット支持体63に対する第1の削正ユニット61のクランプが解放される。今や、第1の削正ユニット61を削正ユニット支持体63から手動で取り外すことができる。このために、第1の削正ユニット61は、ガイドフレーム54によって規定された平面Eに対して横方向に直線的に変位され、これにより、第2のクイック交換要素78は、関連する第1のクイック交換要素77から取り外される。
【0058】
第2の削正ユニット62を削正ユニット支持体63に取り付けるために、第2の削正ユニット62は、第2のクイック交換要素78によって第1のクイック交換要素77に挿入される。次いで、作動エレメント79が作動されて、第2の削正ユニット62が削正ユニット支持体63にクランプされる。第2の削正ユニット62は、今や、クイック交換装置70によって削正ユニット支持体63に、形状接続的かつ摩擦接続的に接続されている。第2の削正ユニット62を備えたレール削正機1は、図6に示されている。
【0059】
砥石車として構成されている第2の削正工具75によって、レール2を例えばバリ取りすることができる。バリ取りは、例えば、分岐器の分岐レール2のために必要である。第2の削正ユニット62を、分岐レール2のバリ取りのために、粗位置決め装置22によって簡単に横方向またはy方向で位置決めすることができる。このために、レール削正機1は、直進レール2上に配置されている。ロックユニット29は、ロック作動エレメント33によって解除される。ロック作動エレメント33は、引張エレメント34を作動させ、引張エレメントは、ロックエレメント30を、ばねエレメント37の力に抗して対応ロックエレメント31から変位させる。旋回軸27を中心として作動エレメント25を旋回させることにより、クロススライド13を、ひいては第2の削正ユニット62を、簡単かつ迅速に横方向またはy方向で位置決めすることができる。第2の削正ユニット62のさらなる位置決めは、既に説明した形式で実施される。第2の削正ユニット62が交換されると、第1の削正ユニット61が、既に上述した形式で取り付けられる。
【0060】
本発明の第2の例示的な実施形態を、図7を参照して以下に詳しく説明する。粗位置決め装置22および微細位置決め装置23のより良好な図示のために、ガイドフレーム54、旋回装置59、第1の削正ユニット61または第2の削正ユニット62、削正ユニット支持体63および垂直位置決め装置66は、図7には示されていない。第1の例示的な実施形態とは対照的に、粗位置決め装置22の作動エレメント25は、直線ガイド80によって、横方向またはy方向で機械フレーム3に対して直線的に変位可能である。作動エレメント25はスピンドルナット40に接続されている。したがって、第1の例示的な実施形態とは対照的に、作動機構24は連結要素を含まない。対比させて見ると、作動機構24は、作動エレメント25と直線ガイド80とを備えている。ロックユニット29のロックエレメント30は、機械フレーム3と直接に相互作用する。ロックエレメント30は、例えば、ブレーキブロックとして構成されている。ロックエレメント30は、粗位置決め装置22を機械フレーム3に対して摩擦的にロックする。微細位置決め装置23の作動エレメント45は、ねじ山付きスピンドル39に直接取り付けられている。さらなる構造およびさらなる動作モードに関しては、前述の例示的な実施形態の説明が参照される。
【0061】
例示的な実施形態の特徴は、任意の所望の方法で組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】