(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176213
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、ランニング指標導出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20221117BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20221117BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20221117BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20221117BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20221117BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A63B69/00 C
A63B71/06 J
A63B71/06 M
G16Y10/60
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143358
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2020136893の分割
【原出願日】2020-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相原 岳浩
(57)【要約】
【課題】ランニングに関する解析を行うための着地衝撃に関する指標を十分に取得できるようにする。
【解決手段】測定装置10は、ユーザー(対象者)が走行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間(接地期間)ごとに、当該第2の運動データのピーク(第1ピーク)を取得し、取得された第2の運動データのピークと、第1の運動データから得られるユーザーの着地のタイミングと、に基づいて、ユーザーの着地衝撃に関する指標を当該ある期間ごとに導出する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の運動データは、加速度データであり、
前記第2の運動データは、前記加速度データのノルムを示す加速度ノルムデータであり、
前記取得手段は、前記ある期間ごとに、前記加速度ノルムデータの波形から前記ピークを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記ある期間ごとに、前記対象者の着地のタイミング以降に現れる最初の極大点を前記ピークとして検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記指標導出手段は、前記取得手段によって取得された前記ピークを示すピークポイントと、前記対象者の着地のタイミングを示す着地ポイントと、を結んだ直線の傾きを前記指標として導出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記指標導出手段は、更に、前記傾きに基づいて、フォースプレートにより得られる床反力データを用いて導出される着地衝撃に関する所定の指標を導出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記対象者の腰部における前記第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、前記ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記指標導出手段によって導出された前記指標を自装置と通信接続がなされている外部機器の表示部に表示させる表示制御手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出工程と、
を含むことを特徴とするランニング指標導出方法。
【請求項9】
情報処理装置のコンピュータを、
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得手段、
前記取得手段により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、ランニング指標導出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランニング研究の分野では、床反力計測装置を用いて計測される被験者による床に対する反力のデータに基づいて、ランニングスキルに関する様々な指標(フォースプレート指標)を導出している。かかる床反力計測装置においては、例えば、荷重(力)と重心(位置)と分布(形状)を同時かつ高精度に測定することを目的として、フォースプレートに対する反力の分布形状を計測する分布形状計測シートを当該フォースプレートの上面に重ねて設けた床反力計測装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている床反力計測装置では、フォースプレートを設置する場所やスペースに限りがあるため、1度の走行において数歩程度の床反力しか計測できない。そのため、この数歩程度の床反力のデータから得られる指標(例えば、着地衝撃に関する指標)では、ランニングに関する解析を行うための情報としては不十分であった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ランニングに関する解析を行うための着地衝撃に関する指標を十分に取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ランニングに関する解析を行うための着地衝撃に関する指標を十分に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態のランニング解析システムを示すブロック図である。
【
図2】測定装置をユーザーが装着した状態を示す説明図である。
【
図3】測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】ランニング解析装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】ランニング中の被験者の足がフォースプレートに着地したときの反力を計測した結果を示すグラフである。
【
図6】着地衝撃に関するVIP、VALR、VILRの3つのフォースプレート指標を示す図である。
【
図7】上下方向の反力を示す波形と、3方向(左右方向、前後方向及び上下方向)の各反力のノルムを示すノルム波形と、を重ね合わせて示したグラフである。
【
図8】ランニング指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】ワールド座標系への座標変換処理がなされた加速度データの波形を示す図である。
【
図10】加速度ノルムデータの波形とフォースプレート波形を重ね合わせて示したグラフである。
【
図11】ランニング指標の導出方法を示す図である。
【
図12】地面反力を示す波形の推定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図13】加速度ノルムデータの波形の補正方法を示す図である。
【
図14】加速度ノルムデータの補正後の波形を示す図である。
【
図15】地面反力の着地衝撃成分と推進成分の推定方法を示す図である。
【
図16】着地衝撃成分の近似波形と推進成分の近似波形を示したグラフである。
【
図17】推定フォースプレート波形とフォースプレート波形を示したグラフである。
【
図18】着地衝撃成分の近似波形と推進成分の近似波形を示したグラフである。
【
図19】推定フォースプレート波形とフォースプレート波形を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0010】
≪ランニング解析システム≫
図1及び
図2を参照して、本実施の形態の構成を説明する。まず、
図1を参照して、本実施の形態のランニング解析システム1を説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態のランニング解析システム1を示すブロック図である。
図1に示すように、ランニング解析システム1は、測定装置(情報処理装置)10と、ランニング解析装置(外部機器)20と、を備えて構成される。
【0012】
測定装置10は、ランニングのトレーニング時やレース時に対象者(ユーザー又はランナー等)に装着され当該トレーニング時や当該レース時の運動データ(例えば、加速度データ、角速度データ等)を採取し、当該運動データから導出されるランニング指標データを記録する装置である。測定装置10は、例えば、
図2に示すように、付属のベルトBを有しており、ベルトBによって、ユーザーの腰(仙骨)の位置で測定装置10が固定されるようになっている。
なお、測定装置10は、ベルトBの代わりにクリップを有し、当該クリップによって、ユーザーのランニングウェアを挟むことによって、ユーザーの腰の位置で測定装置10が固定されるようにしてもよい。
【0013】
ランニング解析装置20は、測定装置10から取得したユーザーのランニング指標データを表示する装置である。ランニング解析装置20としては、例えば、スマートウォッチや、スマートフォン、タブレットPC等が挙げられる。以下では、ランニング解析装置20がスマートウォッチであるものとして説明を行う。
【0014】
≪測定装置≫
次に、
図3を参照して、測定装置10の機能構成を説明する。
図3は、測定装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0015】
図3に示すように、測定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、R
AM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、表示部14と、操作部15と、センサ部16と、通信部17と、を備えて構成される。測定装置10の各部は、バス18を介して接続されている。
【0016】
CPU(取得手段、指標導出手段、表示制御手段)11は、測定装置10の各部を制御する。CPU11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0017】
RAM12は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0018】
記憶部13は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等により構成される。記憶部13には、CPU11で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。また、記憶部13には、ランニングのトレーニング時やレース時に採取された運動データ及び当該運動データから導出されたランニング指標データが記憶されるようになっている。
【0019】
表示部14は、複数のLEDランプにより構成され、データの送信状態(例えば、データを送信中であるか否か)や、GPS受信機のON/OFF状態等を表示可能な表示部である。
【0020】
操作部15は、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン(図示省略)、データ取得の開始/終了を指示する開始/終了ボタン(図示省略)等を備えており、この操作部15からの指示に基づいてCPU11は各部を制御するようになっている。
【0021】
センサ部16は、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ等の測定装置10の動きを検出可能なモーションセンサや、測定装置10の位置情報を取得可能なGPS受信機などを備え、測定結果をCPU11に出力する。
【0022】
通信部17は、ランニングのトレーニング時やレース時の運動データから導出されたランニング指標データを、CPU11による制御に基づいてランニング解析装置20に送信するものであり、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線規格を採用した通信部や、USB端子などの有線式の通信部である。
【0023】
≪ランニング解析装置≫
次に、
図4を参照して、ランニング解析装置20の機能構成を説明する。
図4は、ランニング解析装置20の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
ランニング解析装置20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、表示部24と、操作部25と、通信部26と、を備えて構成される。ランニング解析装置20の各部は、バス27を介して接続されている。
【0025】
CPU21は、ランニング解析装置20の各部を制御する。CPU21は、記憶部23に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0026】
RAM22は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0027】
記憶部23は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM、HDD(Hard Disk Drive
)などにより構成される。記憶部23には、CPU21で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0028】
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、CPU21から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0029】
操作部25は、ランニング解析装置20の本体部に設けられる各種の操作ボタン(図示省略)や、表示部24上に設けられるタッチセンサ(図示省略)等を有して構成され、ユーザーの入力操作を受け付けて、その操作情報をCPU21に出力する。
【0030】
通信部26は、ランニング指標データを測定装置10から受信するものであり、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線規格を採用した通信部や、USB端子などの有線式の通信部である。
【0031】
≪測定装置の動作≫
次に、測定装置10の動作であるランニング指標導出処理と地面反力を示す波形の推定処理について説明する。ここで、ランニング指標導出処理によって導出されるランニング指標は、フォースプレートを用いて導出される着地衝撃に関するVIP(Vertical Impact Peak)、VALR(Vertical Average Loading Rate)、VILR(Vertical Instantaneous Load Rate)の3つの指標(以下、フォースプレート指標と称す)と相関のある指
標である。また、地面反力を示す波形の推定処理の推定対象となる波形は、上記の着地衝撃に関する3つのフォースプレート指標を導出する際に用いられる地面反力を示す波形(上下方向の反力を示す波形)である。そのため、測定装置10の動作を説明する前に上記の地面反力を示す波形及び着地衝撃に関する3つのフォースプレート指標について説明する。
【0032】
図5は、ランニング中の被験者の足がフォースプレートに着地したときの反力を計測した結果を示すグラフである。図中の破線で示されている波形は、ランニング中の被験者の左右方向の反力を、実線で示されている波形は、当該被験者の前後方向の反力を、1点鎖線で示されている波形は、当該被験者の上下方向の反力を示している。なお、左右方向においては左手方向を正、右手方向を負としている。前後方向においては進行方向逆向きを正、進行方向を負としている。上下方向においては上方向を正、下方向を負としている。また、このグラフは、計測された反力の値を被験者の体重の値で割ることにより正規化したものとなっている。つまり、このグラフにおける縦軸の単位[N/kg]は、加速度を表す単位[m/s
2]と同等のものになっている。
【0033】
図5に示すように、上下方向の反力を示す波形(1点鎖線で示されている波形)、すなわち、後述する地面反力を示す波形の推定処理の推定対象となる波形(以下、フォースプレート波形と称す)は、通常、2つのピークを有している。これらのピークのうち一つ目のピーク(図中の左側のピーク)は、着地衝撃によって発生した力に起因するものであり、二つ目のピーク(図中の右側のピーク)は、被験者が身体を推進させる際に発生した力に起因するものとされている。なお、フォースプレート波形では、着地衝撃が小さい場合、ピークが一つの波形となるケースもある。
【0034】
図6は、着地衝撃に関するVIP、VALR、VILRの3つのフォースプレート指標を示す図である。図中に示されている波形は、正規化されたフォースプレート波形であって、グラフの縦軸は体重に対する垂直方向(上下方向)の地面反力(vGRF(BW);Vertical Ground Reaction Force(Body Weight))を表しており、横軸は着地のタイミ
ングを0%(STANCE)、当該着地の対象となる足の離地のタイミングを100%(STANCE)として表している。
図6に示すように、VIPは、フォースプレート波形の一つ目のピーク(第1ピーク)のピーク値である。VILRは、VIPの値の20%から80%まで上昇する期間での傾きの最大値である。VALRは、VIPの値の20%から80%まで上昇する期間の平均傾きである。
【0035】
図7は、フォースプレート波形(上下方向の反力を示す波形)と、3方向(左右方向、前後方向及び上下方向)の各反力のノルムを示すノルム波形と、を重ね合わせて示したグラフである。図中では、ノルム波形を実線の波形で示し、フォースプレート波形(上下方向の反力を示す波形)を破線の波形で示している。
図7に示すように、ノルム波形とフォースプレート波形(上下方向の反力を示す波形)は大部分が重なっている。このことから床反力(地面反力)のうちの大部分を上下方向の反力が占めていることがわかる。また、このことから測定装置10によって得られる上下方向の加速度データ(後述)を考える際に加速度データのノルムを用いることで方向の拡散を逆推定することが可能になる。
【0036】
<ランニング指標導出処理>
図8は、ランニング指標導出処理の制御手順を示すフローチャートである。なお、ランニング指標導出処理は、例えば、ランニングのトレーニングが開始される際に、上述の開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の開始を指示する押下操作がユーザーによってなされたことを契機として開始される処理である。
【0037】
図8に示すように、まず、測定装置10のCPU11は、センサ部16の3軸加速度センサで検出された加速度データ、及び、ジャイロセンサで検出された角速度データを逐次取得する(ステップS1)。
【0038】
次いで、CPU11は、ステップS1で取得された加速度データ及び角速度データをセンサ座標系からワールド座標系へ変換する座標変換処理を行う(ステップS2)。ここで、ワールド座標系の座標は、
図2に示すように、X軸をランニング中のユーザーの左右方向、Y軸を当該ユーザーの前後方向、Z軸を当該ユーザーの上下方向であるものとする。また、X軸においては左手方向を正、右手方向を負とする。Y軸においては進行方向逆向きを正、進行方向を負とする。Z軸においては上方向を正、下方向を負とする。つまり、センサ座標系からワールド座標系への座標変換処理を行うことによって、上述したフォースプレート指標と同じ座標系において加速度データ及び角速度データを扱うことが可能となる。
なお、センサ座標系からワールド座標系へのデータ変換方法は公知であるため、その説明は省略する。
【0039】
図9は、ワールド座標系への座標変換処理がなされた加速度データの波形を示す図である。図中の破線で示されている波形は、ランニング中のユーザーの左右方向(X軸)の加速度データを、実線で示されている波形は、当該ユーザーの前後方向(Y軸)の加速度データを、1点鎖線で示されている波形は、当該ユーザーの上下方向(Z軸)の加速度データを示している。
図9に示すように、ユーザーの上下方向(Z軸)の加速度データの波形では、上述のフォースプレート波形に比べて、2つのピークが分り難い形状となっている。このことから加速度データはランニング中のユーザーの腰に装着された測定装置10により採取されたデータであり、地面から受けた力が、ユーザーの足、脛、腿、腰のそれぞれの部位とこれらの部位をつなぐ足首、膝、股関節の各部位を伝達する際に当該力の方向や時間が拡散されて腰に伝わっていることがわかる。
【0040】
次いで、CPU11は、ステップS2で座標変換処理がなされた加速度データ及び角速度データに基づいて、ユーザーの足が地面に着く着地のタイミング、及び、ユーザーの足が地面から離れる離地のタイミングを検出する(ステップS3)。
なお、着地のタイミングと離地のタイミングの各検出方法については、例えば、特開2018-8015号公報において開示されており、ここではその説明は省略する。
【0041】
次いで、CPU11は、ステップS2で座標変換処理がなされた加速度データ、すなわちX軸、Y軸、Z軸の各加速度データのノルムを導出する(ステップS4)。ここで、Z軸の加速度データには重力加速度が含まれるため、当該Z軸の加速度データから重力加速度成分を差し引いた状態で上記加速度データのノルムを導出する。
【0042】
図10は、ステップS4で導出された加速度ノルムデータの波形とフォースプレート波形を重ね合わせて示したグラフである。図中では、フォースプレート波形を実線の波形で示し、加速度ノルムデータの波形を破線の波形で示している。
図10に示すように、地面から受けた力がユーザーの腰に装着された測定装置10に伝わる過程において、当該地面から受けた力のうちの着地衝撃成分は、その時間が短く大きなものであるため当該ユーザーの足と腰の中間にある身体部位や関節の影響が少なくそのまま伝わるが、当該地面から受けた力のうちの推進力成分は、当該ユーザーの筋肉で関節を動かすことで発生するため当該関節の影響を受け大きく拡散されているのがわかる。そこで、本実施形態では、フォースプレート波形と加速度ノルムデータの波形とで大差のない着地衝撃成分に着目し、ユーザーの着地のタイミングを示すポイントと第1ピークとを結ぶ直線の傾きをフォースプレート指標に相関のある指標(ランニング指標)としている。
【0043】
次いで、CPU11は、ステップS4で導出された加速度ノルムデータの波形から上記の着地のタイミングから離地のタイミングまでの接地期間を切り出す(ステップS5)。例えば、
図11に示すように、12.73sのタイミングが着地のタイミングT1であり、12.9sのタイミングが離地のタイミングT2である場合、当該着地のタイミングT1から離地のタイミングT2までの期間を接地期間として切り出す。
【0044】
次いで、CPU11は、ステップS5で切り出された接地期間において、加速度ノルムデータの波形の第1ピークを検出する(ステップS6)。具体的には、
図11に示すように、CPU11は、ステップS5で切り出された接地期間において最初に現れる極大点、すなわち、当該接地期間でユーザーの着地のタイミングT1以降に現れる最初の極大点を第1ピークP1として検出する。
【0045】
なお、第1ピークの検出方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、接地期間の複数の極大点のうちから極大値の大きい上位複数(例えば、4つ)の極大点を選出し、これらのうちで最初に現れる極大点を第1ピークとして検出してもよい。また、接地期間の複数の極大点のうちからプロミネンスの大きい上位複数(例えば、4つ)の極大点を選出し、これらのうちで最初に現れる極大点を第1ピークとして検出してもよい。また、別の観点から、ユーザーの足が着地したときの衝撃(着地衝撃)はランナーの後ろ方向に働くので、Y軸の加速度が着地のタイミングから当該後ろ方向にある期間、すなわちY軸の加速度データの値が正の値となる期間において一番大きい極大点を第1ピークとして検出してもよいし、着地のタイミングから一定の期間(例えば、70ms)の間に発生する極大点のうちで極大値が最大である極大点を第1ピークとして検出してもよい。また、第1ピークを検出する際は、加速度ノルムデータに対してフィルター処理を施すことによりノイズを除去したうえで第1ピークを検出するようにしてもよい。更には、加速度データのノルムを導出する前に当該加速度データに対してフィルター処理を施すようにしてもよい。
【0046】
次いで、CPU11は、ステップS6で検出された第1ピークと、当該第1ピークが検出された接地期間における着地のタイミングを示す着地ポイントと、を結んだ直線の傾きをランニング指標として導出する(ステップS7)。具体的には、
図11に示すように、CPU11は、第1ピークP1と、着地のタイミングT1を示す着地ポイントP2と、を結んだ直線Lの傾きを導出する。ここで、フォースプレート波形の場合、着地のタイミングでは加速度が0であるのに対し、加速度ノルムデータの波形の場合、着地のタイミングの前でも加速度が0になることはない。そこで、着地のタイミングT1での加速度が0であるとみなし、第1ピークP1と、着地のタイミングT1を示す着地ポイントP2(加速度;0m/s
2)と、を結んだ直線Lの傾きを算出し当該傾きを推定値としている。
【0047】
次いで、CPU11は、上述の開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の終了を指示する押下操作がユーザーによってなされたか否かを判定する(ステップS8)。
【0048】
ステップS8において、開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の終了を指示する押下操作がユーザーによってなされていないと判定された場合(ステップS8;NO)、CPU11は、処理をステップS1へ戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
一方、ステップS8において、開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の終了を指示する押下操作がユーザーによってなされたと判定された場合(ステップS8;YES)、CPU11は、ランニング指標導出処理を終了する。
【0049】
<地面反力を示す波形の推定処理>
図12は、地面反力を示す波形の推定処理の制御手順を示すフローチャートである。なお、この地面反力を示す波形の推定処理は、ランニング指標導出処理と同様に、ランニングのトレーニング等が開始される際に、上述の開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の開始を指示する押下操作がユーザーによってなされたことを契機として開始される処理である。また、地面反力を示す波形の推定処理のステップS11~ステップS15の処理は、ランニング指標導出処理のステップS1~ステップS5の処理と同様の処理であるため、これらの処理の説明は省略し、ステップS16以降の処理について説明する。
【0050】
図12に示すように、ステップS16において、測定装置10のCPU11は、接地期間の加速度ノルムデータの波形を補正する(ステップS16)。具体的には、
図13に示すように、13.69sのタイミングを着地のタイミングT1とし、13.94sのタイミングを離地のタイミングT2とする接地期間が切り出されている場合、CPU11は、当該着地のタイミングT1の加速度が0である地点を着地ポイントP2とし、当該着地ポイントP2と当該接地期間において最初に現れる極小点P3とを結んだ線分によって、加速度ノルムデータの波形を補正する。また、CPU11は、離地のタイミングT2の加速度が0である地点を離地ポイントP4とし、当該離地ポイントP4と当該接地期間において最後に現れる極小点P5とを結んだ線分によって、加速度ノルムデータの波形を補正する。
【0051】
図14は、加速度ノルムデータの補正後の波形を示す図である。図中の1点鎖線で示されている波形が加速度ノルムデータの補正後の波形である。また、図中の極小点P3に到達するまでの破線、及び、極小点P5以降の破線は上記補正を行う前の加速度ノルムデータの波形の一部を表している。また、図中の実線で示されている波形はフォースプレート波形である。
図14の破線の波形が示すように、測定装置10はユーザーの腰に装着された状態で使用され接地期間以外でも加速度が発生するため、同図の1点鎖線の波形のように加速度ノルムデータの波形の補正を行っている。なお、着地ポイントP2と極小点P3との間や、離地ポイントP4と極小点P5との間をスプライン補間によって補正するようにしてもよい。
【0052】
次いで、CPU11は、加速度ノルムデータの補正後の波形から地面反力の着地衝撃成分と推進成分を推定する(ステップS17)。具体的には、
図15に示すように、CPU11は、加速度ノルムデータの補正後の波形において、第1ピークP1を検出し、着地ポイントP2から当該第1ピークP1までを積分した値を着地衝撃の上昇分(図中の斜線部分)とし、この上昇分と同等の下降分があるものとして当該上昇分を2倍した値を着地衝撃成分として推定する。また、CPU11は、上述の補正後の波形において、着地ポイントP2から離地ポイントP4までを積分した値から着地衝撃成分を減算した値を推進成分として推定する。ここで、着地衝撃の上昇分をC1a、着地衝撃成分をC1、推進成分をC2、着地のタイミング(サンプリング点)を0、第1ピークのタイミング(サンプリング点)をt1、離地のタイミング(サンプリング点)をt2、それぞれのサンプリング点における加速度ノルムの値をA(n)とすると、着地衝撃の上昇分C1aは式(1)で、着地衝撃成分C1は式(2)で、推進成分C2は式(3)で表される。
【数1】
【数2】
【数3】
【0053】
次いで、CPU11は、ステップS17で推定された着地衝撃成分の近似波形を生成する(ステップS18)。具体的には、CPU11は、まず、上述したサンプリング点が0であるポイント(着地のタイミング)が0、サンプリング点がt1であるポイント(第1ピークのタイミング)がπ/2、サンプリング点が2t1であるポイントがπとなるように各サンプリング点の線形補間を行う。そして、CPU11は、線形補間がなされた各サンプリング点(x;0~π)の値を“sinx”に代入して得られる値の合計に対して、着地衝撃成分C1で割ることにより、近似式k・sinxの係数kを導出し、当該近似式k・sinxを導出する。そして、CPU11は、
図16に示すように、この近似式k・sinxから着地衝撃成分の近似波形(図中の実線の波形)を生成する。なお、
図16の破線で示されている波形は、加速度ノルムデータの波形である。
【0054】
次いで、CPU11は、ステップS17で推定された推進成分の近似波形を生成する(ステップS19)。具体的には、CPU11は、まず、上述したサンプリング点が0であるポイント(着地のタイミング)が0、サンプリング点がt2であるポイント(離地のタイミング)がπとなるように各サンプリング点の線形補間を行う。そして、CPU11は、線形補間がなされた各サンプリング点(x;0~π)の値を“sinx”に代入して得られる値の合計に対して、推進成分C2で割ることにより、近似式m・sinxの係数mを導出し、当該近似式m・sinxを導出する。そして、CPU11は、
図16に示すように、この近似式m・sinxから推進成分の近似波形(図中の1点鎖線の波形)を生成する。
【0055】
次いで、CPU11は、推定フォースプレート波形を生成する(ステップS20)。具体的には、CPU11は、
図17に示すように、ステップS18で生成された着地衝撃成分の近似波形(
図16の実線の波形)と、ステップS19で生成された推進成分の近似波形(
図16の1点鎖線の波形)と、を合成することで推定フォースプレート波形(図中の点線の波形)を生成する。なお、
図17の破線で示されている波形は、フォースプレート波形である。
【0056】
次いで、CPU11は、上述の開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の終了を指示する押下操作がユーザーによってなされたか否かを判定する(ステップS21)。
【0057】
ステップS21において、開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の終了を指示する押下操作がユーザーによってなされていないと判定された場合(ステップS21;NO)、CPU11は、処理をステップS11へ戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
一方、ステップS21において、開始/終了ボタン(操作部15)を介して、データ取得の終了を指示する押下操作がユーザーによってなされたと判定された場合(ステップS21;YES)、CPU11は、地面反力を示す波形の推定処理を終了する。
【0058】
なお、地面反力を示す波形の推定処理のステップS18及びステップS19では、着地衝撃成分と推進成分のそれぞれをサイン波で近似するようにしているが、コサイン波で近似するようにしてもよい。
【0059】
具体的には、着地衝撃成分については、CPU11は、まず、サイン波で近似したときと同様に、サンプリング点が0であるポイント(着地のタイミング)が0、サンプリング点がt1であるポイント(第1ピークのタイミング)がπ/2、サンプリング点が2t1であるポイントがπとなるように各サンプリング点の線形補間を行う。そして、CPU11は、線形補間がなされた各サンプリング点(x;0~π)の値を“1-cosx”に代入して得られる値の合計に対して、着地衝撃成分C1で割ることにより、近似式k(1-cosx)の係数kを導出し、当該近似式k(1-cosx)を導出する。そして、CPU11は、
図18に示すように、この近似式k(1-cosx)から着地衝撃成分の近似波形(図中の実線の波形)を生成する。また、推進成分については、CPU11は、まず、サイン波で近似したときと同様に、上述したサンプリング点が0であるポイント(着地のタイミング)が0、サンプリング点がt2であるポイント(離地のタイミング)がπとなるように各サンプリング点の線形補間を行う。そして、CPU11は、線形補間がなされた各サンプリング点(x;0~π)の値を“1-cosx”に代入して得られる値の合計に対して、推進成分C2で割ることにより、近似式m(1-cosx)の係数mを導出し、当該近似式m(1-cosx)を導出する。そして、CPU11は、
図18に示すように、この近似式m(1-cosx)から推進成分の近似波形(図中の1点鎖線の波形)を生成する。そして、CPU11は、
図19に示すように、上記の着地衝撃成分の近似波形(
図18の実線の波形)と、上記の推進成分の近似波形(
図18の1点鎖線の波形)と、を合成することで推定フォースプレート波形(図中の点線の波形)を生成する。
【0060】
以上のように、本実施形態の測定装置10は、ユーザー(対象者)が走行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間(接地期間)ごとに、当該第2の運動データのピーク(第1ピーク)を取得し、取得された第2の運動データのピークと、第1の運動データから得られるユーザーの着地のタイミングと、に基づいて、ユーザーの着地衝撃に関する指標を当該ある期間ごとに導出する。
したがって、測定装置10によれば、ユーザーの着地衝撃に関する指標をある期間ごとに導出することができるので、ランニングに関する解析を行うための着地衝撃に関する指標を十分に取得することができる。
【0061】
また、測定装置10は、ある期間(接地期間)ごとに、加速度ノルムデータの波形からピーク(第1ピーク)を取得する。
したがって、測定装置10によれば、加速度ノルムデータのピークと、加速度データから得られるユーザーの着地のタイミングと、に基づいて、ユーザーの着地衝撃に関する指標を導出することで、上述したフォースプレート指標と相関のある指標を取得することができる。
【0062】
また、測定装置10によれば、ある期間(接地期間)ごとに、ユーザーの着地のタイミング以降に現れる最初の極大点をピーク(第1ピーク)として取得することで、ユーザーの着地衝撃に関する指標を適切に導出することができる。
【0063】
また、測定装置10は、取得されたピーク(第1ピーク)を示すピークポイントと、ユーザーの着地のタイミングを示す着地ポイントと、を結んだ直線の傾きをユーザーの着地衝撃に関する指標(ランニング指標)として導出する。
したがって、測定装置10によれば、従来にない新しい着地衝撃に関する指標を取得することができる。
【0064】
また、測定装置10は、ユーザーの腰部における第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間(接地期間)ごとに、当該第2の運動データのピーク(第1ピーク)を取得する。
したがって、測定装置10によれば、自装置をユーザーの腰部に装着することで第2の運動データのピーク(第1ピーク)を取得することができるので、当該第2の運動データのピーク(第1ピーク)を簡便に取得することができる。この結果、測定装置10によれば、従来のように大掛かりな装置を用いることなく通常のランニングの際においてもユーザーの着地衝撃に関する指標を逐次導出することができので、例えば、レース時において当該指標の変化を把握することができるようになる。
【0065】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る測定装置の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の地面反力を示す波形の推定処理において、推進成分の近似波形を生成する際の当該推進成分の期間を着地のタイミングから離地のタイミング、すなわち接地期間として近似波形を生成したが、例えば、第1ピークのタイミングから離地のタイミングまでの期間を当該推進成分の期間として近似波形を生成するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態の地面反力を示す波形の推定処理において、推進成分の近似波形を生成する場合、当該推進成分の期間内でサイン波又はコサイン波によって一様に近似したが、例えば、推進成分のピークを取得し、着地のタイミングから当該ピークまでの上昇分と、当該ピークから離地のタイミングまでの下降分と、で別々に近似(例えば、上昇分をコサイン波で近似、下降分をサイン波で近似)するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態のランニング指標導出処理では、ランニング指標として、ユーザーの着地のタイミングを示すポイントと第1ピークとを結ぶ直線の傾きを導出するようにしたが、更に、当該傾きや当該第1ピークの値を所定の算出式に当てはめることで、上述したVIP、VALR、VILRの3つのフォースプレート指標を算出するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態のランニング指標導出処理及び地面反力を示す波形の推定処理は、測定装置10のCPU11により実行されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、それぞれの処理の一部を、少なくとも一つのCPUで実行すれば良い。具体的には、例えば、測定装置10では第1の運動データを取得し、当該第1の運動データを通信部17を介して、ランニング解析装置20に送信する。そして、ランニング解析装置20のCPU21が、取得した第1の運動データを用いて、ランニング指標導出処理及び地面反力を示す波形の推定処理を行うようにしても良い。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲をその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0070】
〔付記〕
<請求項1>
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
<請求項2>
前記第1の運動データは、加速度データであり、
前記第2の運動データは、前記加速度データのノルムを示す加速度ノルムデータであり、
前記取得手段は、前記ある期間ごとに、前記加速度ノルムデータの波形から前記ピークを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項3>
前記取得手段は、前記ある期間ごとに、前記対象者の着地のタイミング以降に現れる最初の極大点を前記ピークとして検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
<請求項4>
前記指標導出手段は、前記取得手段によって取得された前記ピークを示すピークポイントと、前記対象者の着地のタイミングを示す着地ポイントと、を結んだ直線の傾きを前記指標として導出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
<請求項5>
前記指標導出手段は、更に、前記傾きに基づいて、フォースプレートにより得られる床反力データを用いて導出される着地衝撃に関する所定の指標を導出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
<請求項6>
前記取得手段は、前記対象者の腰部における前記第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、前記ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項7>
前記指標導出手段によって導出された前記指標を自装置と通信接続がなされている外部機器の表示部に表示させる表示制御手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項8>
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出工程と、
を含むことを特徴とするランニング指標導出方法。
<請求項9>
情報処理装置のコンピュータを、
対象者が走行又は歩行している際に得られる第1の運動データの大きさを示す第2の運動データに基づいて、ある期間ごとに、当該第2の運動データのピークを取得する取得手段、
前記取得手段により取得された前記第2の運動データのピークと、前記第1の運動データから得られる前記対象者の着地のタイミングと、に基づいて、前記対象者の着地衝撃に関する指標を前記ある期間ごとに導出する指標導出手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0071】
1 ランニング解析システム
10 測定装置(情報処理装置)
11 CPU(取得手段、指標導出手段、表示制御手段)
12 RAM
13 記憶部
14 表示部
15 操作部
16 センサ部
17 通信部
20 ランニング解析装置(外部機器)
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
24 表示部
25 操作部
26 通信部