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特開2022-176289子宮内膜組織識別のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176289
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】子宮内膜組織識別のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20221117BHJP
   A61B 1/303 20060101ALI20221117BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61B1/00 511
A61B1/303
A61B1/045 618
A61B1/00 526
A61B1/00 731
A61B1/00 732
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160171
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2019563226の分割
【原出願日】2018-05-16
(31)【優先権主張番号】62/506,910
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505098937
【氏名又は名称】リサーチ ディベロップメント ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディー. フェルドマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イー. ミルナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジー. ケイブ
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド ディー. エストラーダ
(57)【要約】
【課題】好適な子宮内膜組織識別のための装置および方法を提供すること。
【解決手段】本開示の例示的実施形態は、子宮内膜組織を識別するための装置および方法を含む。本開示の例示的実施形態は、子宮内膜症の光学性質を検出し、外科手術除去を改良するための装置および方法を含む。本明細書に開示される例示的装置および方法は、励起光を受けるときのヘモジデリンの内因性蛍光を介して、子宮内膜組織を識別することができる。特定の実施形態では、2光子発光(TPL)装置を用いた撮像が、子宮内膜組織と関連付けられたヘモジデリンの内因性蛍光を明らかにするために使用されることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2017年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/506,910号に対して優先権の利益を主張する。上記文献の内容は、ここで参照することによって援用される。
【0002】
(背景情報)
女性の腹部における子宮内膜組織は、典型的には、識別および除去することが困難である。本難点は、有意な問題を呈し得、全ての女性のうちの18%が、子宮内膜症によって影響を受けている。一般に、罹患組織の除去の増加に伴って、疼痛低減の潜在性が高くなり、受胎率が改良される。複数回の外科手術が、典型的には、不完全な識別に起因して必要とされ、重要な構造、例えば、卵巣上のインプラントは、除去されない。子宮内膜症の診断は、典型的には、マーカである、ストロマ、ヘモジデリン、および腺の組織学的確認を要求し、子宮内膜症の確認のためのサンプルは、腹腔鏡下外科手術および生検を通して取得されることができる。
【0003】
コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像診断(MRI)、または超音波は、典型的には、病変を識別することができない。代わりに、病変は、外科手術生検を用いて確認され、除去された組織のうち、80パーセントのみが、典型的には、罹患している。既存の子宮内膜症識別技法は、したがって、多くの欠点を含み、改良された装置および方法が、所望される。
【0004】
故に、改良された撮像装置および方法は、子宮内膜組織の検出を補助するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
本開示の例示的実施形態は、子宮内膜症の光学性質を検出し、外科手術除去を改良するための装置および方法を含む。本明細書に開示される例示的装置および方法は、励起光を受けるときのヘモジデリンの内因性蛍光を介して、子宮内膜組織を識別することができる。特定の実施形態では、2光子発光(TPL)装置を用いた撮像が、子宮内膜組織と関連付けられたヘモジデリンの内因性蛍光を明らかにするために使用されることができる。
【0006】
ある実施形態はまた、撮像技法を利用して、子宮内膜組織と関連付けられた腺を識別してもよい。腺は、腺が生成し得る空隙に起因して、子宮内膜症のためのマーカおよび光コヒーレンス断層撮影(OCT)のための撮像標的のうちの1つである。
【0007】
本開示の例示的実施形態は、子宮内膜組織を検出するための装置および方法を含む。特定の実施形態は、子宮内膜組織を検出する方法を含み、本方法は、組織を励起光を用いて照明することと、組織を励起光を用いて照明することに応答して、内因性蛍光放出を組織の一部から検出することと、内因性蛍光放出を生産する組織を子宮内膜組織として識別することとを含む。
【0008】
特定の実施形態では、励起光は、発光ダイオード(LED)から放出される。具体的実施形態では、励起光は、450nmの波長を有する。ある実施形態では、内因性蛍光放出は、カメラによって検出され、特定の実施形態では、内因性蛍光放出は、カメラによって検出される前に、フィルタを通して通過する。いくつかの実施形態では、フィルタは、屈折率分布型(GRIN)レンズであり、具体的実施形態では、GRINレンズは、550nmを下回る光をフィルタ処理するように構成される。特定の実施形態では、カメラは、相補的金属酸化物半導体(CMOS)センサを備える。
【0009】
特定の実施形態では、励起光は、単一光子発光のための370~510ナノメートル(nm)の波長を有する。2光子発光を使用する実施形態に関して、励起光は、740~1020ナノメートル(nm)の波長を有する。いくつかの実施形態では、内因性蛍光放出は、550~750ナノメートル(nm)の波長を有する。具体的実施形態では、内因性蛍光放出は、ヘモジデリンから放出される。
【0010】
ある実施形態では、励起光は、レーザから放出される。いくつかの実施形態では、励起光は、多光子撮像装置において使用するために構成される光源から放出され、具体的実施形態では、励起光は、2光子撮像装置において使用するために構成される光源から放出される。
【0011】
本方法のある実施形態はさらに、子宮内膜腺によって生成された空隙を識別することを含む。特定の実施形態では、空隙は、光コヒーレンス断層撮影によって識別される。
【0012】
例示的実施形態はまた、450~490ナノメートル(nm)の波長を有する励起光を放出するように構成される、励起光源であって、励起光源は、組織の一部を照明するように構成される、励起光源と、590~650ナノメートル(nm)の波長を有する内因性蛍光放出光を検出するように構成される、撮像デバイスとを備える、装置を含む。
【0013】
ある実施形態では、励起光源は、発光ダイオード(LED)であり、特定の実施形態では、LEDは、450nmの波長を伴う励起光を放出するように構成される。具体的実施形態では、撮像デバイスは、カメラである。ある実施形態はさらに、内因性蛍光放出がカメラによって検出される前に、内因性蛍光放出をフィルタ処理するように構成される、フィルタを備える。いくつかの実施形態では、フィルタは、屈折率分布型(GRIN)レンズであり、具体的実施形態では、GRINレンズは、550nmを下回る光をフィルタ処理するように構成される。特定の実施形態では、カメラは、相補的金属酸化物半導体(CMOS)センサを備える。
【0014】
ある実施形態はさらに、内因性蛍光放出光を分析し、内因性蛍光放出光を子宮内膜組織のインジケータとして分類するように構成される、コンピュータプロセッサを備える。特定の実施形態はさらに、光コヒーレンス断層撮影(OCT)撮像デバイスを備え、いくつかの実施形態では、OCT撮像デバイスは、組織の一部内の空隙を検出するように構成される。
【0015】
具体的実施形態はさらに、組織内の空隙を分析し、空隙を子宮内膜腺のインジケータとして分類するように構成される、コンピュータプロセッサを備える。ある実施形態では、励起光源は、発光ダイオード(LED)であり、特定の実施形態では、励起光源は、レーザである。いくつかの実施形態では、励起光源は、多光子撮像装置内の構成要素であり、具体的実施形態では、励起光源は、2光子撮像装置内の構成要素である。ある実施形態では、励起光源および撮像デバイスは、フォトニック結晶ファイバ内に含有される。
【0016】
以下では、用語「結合される」は、「接続される」と定義されるが、必ずしも、「直接」ではなく、必ずしも、「機械的に」ではない。
【0017】
用語「光コヒーレンス断層撮影光源」または「OCT光源」は、光コヒーレンス断層撮影(OCT)撮像装置において使用するために構成される光源として定義される。
【0018】
用語「多光子光源」または「MPL光源」は、多光子断層撮影(OCT)撮像装置において使用するために構成される光源として定義される。
【0019】
用語「2光子光源」または「TPL光源」は、2光子(TPL)撮像装置において使用するために構成される光源として定義される。
【0020】
単語「a」または「an」の使用は、請求項および/または明細書において、用語「~を備える」と併用されるとき、「1つ」を意味し得るが、また、「1つ以上」または「少なくとも1つ」の意味と一貫する。用語「約」は、一般に、述べられた値の±5%を意味する。請求項における用語「または」の使用は、代替のみを指すことが明示的に示されない限り、または代替が相互に排他的ではない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。
【0021】
用語「~を備える(comprise)」(ならびに「comprises」および「comprising」等のcompriseの任意の形態)、「~を有する(have)」(ならびに「has」および「having」等のhaveの任意の形態)、「~を含む(include)」(ならびに「includes」および「including」等のincludeの任意の形態)、および「~を含有する(contain)」(ならびに「contains」および「containing」等のcontainの任意の形態)は、非制限的連結動詞である。その結果、1つ以上のステップまたは要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」、方法またはデバイスは、それらの1つ以上のステップまたは要素を保有するが、それらの1つ以上の要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」、方法のステップまたはデバイスの要素は、それらの1つ以上の特徴を保有するが、それらの1つ以上の特徴のみを保有することに限定されない。さらに、ある方法において構成される、デバイスまたは構造は、少なくともその方法において構成されるが、また、列挙されない方法において構成されてもよい。
【0022】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。しかしながら、発明を実施するための形態および具体的実施例は、本発明の具体的実施形態を示すが、本発明の精神および範囲内の種々の変更および修正が、本発明を実施するための形態から当業者に明白となるであろうため、例証としてのみ与えられることを理解されたい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
子宮内膜組織を検出する方法であって、前記方法は、
組織を励起光を用いて照明することと、
前記組織を前記励起光を用いて照明することに応答して、内因性蛍光放出を前記組織の一部から検出することと、
前記内因性蛍光放出を生産する組織を子宮内膜組織として識別することと
を含む、方法。
(項目2)
前記励起光は、発光ダイオード(LED)から放出される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記励起光は、450nmの波長を有する、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記内因性蛍光放出は、カメラによって検出される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記内因性蛍光放出は、前記カメラによって検出される前に、フィルタを通して通過する、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記フィルタは、屈折率分布型(GRIN)レンズである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記GRINレンズは、550nmを下回る光をフィルタ処理するように構成されている、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記カメラは、相補的金属酸化物半導体(CMOS)センサを備える、項目4に記載の方法。
(項目9)
前記励起光は、370~510ナノメートル(nm)の波長を有する、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記方法は、前記組織の単一光子撮像を組み込む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記励起光は、740~1,020ナノメートル(nm)の波長を有する、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記方法は、前記組織の2光子撮像を組み込む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記内因性蛍光放出は、550~750ナノメートル(nm)の波長を有する、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記内因性蛍光放出は、ヘモジデリンから放出される、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記励起光は、レーザから放出される、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記励起光は、多光子撮像装置において使用するために構成される光源から放出される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記励起光は、2光子撮像装置において使用するために構成される光源から放出される、項目1に記載の方法。
(項目18)
子宮内膜腺によって生成された空隙を識別することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記空隙は、光コヒーレンス断層撮影によって識別される、項目18に記載の方法。
(項目20)
装置であって、
370~510ナノメートル(nm)または740~1,020nmの波長を有する励起光を放出するように構成された励起光源であって、前記励起光源は、組織の一部を照明するように構成されている、励起光源と、
550~750ナノメートル(nm)の波長を有する内因性蛍光放出光を検出するように構成された撮像デバイスと
を備える、装置。
(項目21)
前記励起光源は、発光ダイオード(LED)である、項目20に記載の装置。
(項目22)
前記LEDは、450nmの波長を伴う励起光を放出するように構成されている、項目2に記載の装置。
(項目23)
前記撮像デバイスは、カメラである、項目20に記載の装置。
(項目24)
前記内因性蛍光放出が前記カメラによって検出される前に、前記内因性蛍光放出をフィルタ処理するように構成されている、フィルタをさらに備える、項目23に記載の装置。
(項目25)
前記フィルタは、屈折率分布型(GRIN)レンズである、項目24に記載の装置。
(項目26)
前記GRINレンズは、550nmを下回る光をフィルタ処理するように構成されている、項目25に記載の装置。
(項目27)
前記カメラは、相補的金属酸化物半導体(CMOS)センサを備える、項目23に記載の装置。
(項目28)
前記内因性蛍光放出光を分析し、前記内因性蛍光放出光を子宮内膜組織のインジケータとして分類するように構成されている、コンピュータプロセッサをさらに備える、項目20に記載の装置。
(項目29)
光コヒーレンス断層撮影(OCT)撮像デバイスをさらに備える、項目20に記載の装置。
(項目30)
前記OCT撮像デバイスは、前記組織の一部内の空隙を検出するように構成されている、項目29に記載の装置。
(項目31)
前記組織内の空隙を分析し、前記空隙を子宮内膜腺のインジケータとして分類するように構成されている、コンピュータプロセッサをさらに備える、項目30に記載の装置。
(項目32)
前記励起光源は、レーザである、項目20に記載の装置。
(項目33)
前記励起光源は、多光子撮像装置内の構成要素である、項目20に記載の装置。
(項目34)
前記励起光源は、2光子撮像装置内の構成要素である、項目20に記載の装置。
(項目35)
前記励起光源および前記撮像デバイスは、フォトニック結晶ファイバ内に含有されている、項目20に記載の装置。
【0023】
特許または出願は、カラーで実行される少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を伴う本特許または特許出願公報のコピーは、要求および必要な料金の支払に応じて、特許庁によって提供されるであろう。
【0024】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある側面をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示される具体的実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つを参照することによってより深く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本開示の例示的実施形態による、装置の端面図の概略を示す。
図2図2は、図1のデバイスの側面図を示す。
図3図3は、本開示の例示的実施形態による装置を用いて取得される、組織画像を示す。
図4図4は、図3に示される画像内の組織のヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色を示す。
図5図5は、本開示の例示的実施形態によるデバイスを用いて取得される、組織画像を示す。
図6図6は、本開示の例示的実施形態によるデバイスを用いて取得される、組織画像を示す。
図7図7は、本開示の例示的実施形態による、装置の概略を示す。
図8図8-10は、本開示の例示的実施形態による装置を用いて取得される、組織画像の比較を示す。
図9図8-10は、本開示の例示的実施形態による装置を用いて取得される、組織画像の比較を示す。
図10図8-10は、本開示の例示的実施形態による装置を用いて取得される、組織画像の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(例示的実施形態の詳細な説明)
ここで図1および2を参照すると、装置100は、励起光140を放出し、組織145の一部を照明するように構成される、励起光源110を備える。加えて、装置100は、内因性蛍光放出光を検出するように構成される、撮像デバイス120を備える。ある実施形態では、励起光源110および撮像デバイス120は、フォトニック結晶ファイバ(PCF)130内に含有されてもよい。ある実施形態では、励起光源110は、2光子発光(TPL)撮像装置において使用するために構成される、光源であってもよい。特定の実施形態では、撮像装置100の側面は、米国特許第9,482,513号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される装置の要素を含んでもよい。
【0027】
使用の間、装置100は、組織を励起光を用いて照明し、子宮内膜組織と関連付けられた内因性蛍光放出光を検出するように動作させられることができる。例えば、ある実施形態では、装置100は、内因性蛍光放出光を分析し、内因性蛍光放出光を子宮内膜組織のインジケータとして分類するように構成される、コンピュータプロセッサ150を備えてもよい。例示的実施形態では、コンピュータプロセッサ150は、非一過性コンピュータ可読媒体内に含有されるソフトウェアを介して、内因性蛍光放出光の分析および分類を実行するように構成されることができる。
【0028】
特定の実施形態では、光源110は、単一光子発光のために、370~510nmまたはそれを上回る、好ましくは、450~490nmの波長を有する、励起光140を放出するように構成されてもよい。2光子発光を使用する実施形態に関して、励起光は、740~1020ナノメートル(nm)またはそれを上回る、好ましくは、900~980nmの波長を有する。加えて、撮像デバイス120は、550~750nmまたはそれを上回る、好ましくは、590~650nmの波長を有する、放出光を検出するように構成されてもよい。下記にさらに開示されるように、装置100は、組織の一部を照明し、照明された組織の一部内の子宮内膜組織を識別するために使用されることができる。例示的実施形態では、装置100は、除去のための子宮内膜組織を識別するためにインビボで使用されることができる。
【0029】
ここで図3を参照すると、本明細書に開示されるような撮像装置を用いて取得される画像は、子宮内膜組織のインジケータである、ヘモジデリン200からの赤色蛍光を図示する。図4は、図3に位置するヘモジデリン200のヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色を図示する。図に示されるように、図4における染色インジケーションは、図3に示される赤色蛍光と相関する。
【0030】
図5は、約3ミリメートル×3ミリメートルの領域の2光子発光(TPL)画像300を図示する。図5の左下部分における拡大図は、脂肪球320を含有する、約470μm×470μmの画像300の領域のTPL画像を図示する。図5の右下部分は、ヘモジデリンを伴う貪食細胞310を示す、約470μm×470μmの広視野蛍光図を図示する。
【0031】
図6は、2光子発光(TPL)画像400および広視野蛍光画像410を図示する。図に示されるように、ヘモジデリンは、画像400内では、赤色に、画像410では、明るい白色光として可視である。
【0032】
図7は、本開示の例示的実施形態の概略を図示する。本実施形態は、概して、前述の実施形態に匹敵する原理下で動作する。しかしながら、図7における実施形態は、低減された製造コストを有する構成要素を用いて構築されることができる。例えば、装置500は、相補的金属酸化物半導体(CMOS)または電荷結合素子(CCD)センサを利用する比較的に安価なカメラモジュールである、撮像デバイス520を備える。具体的実施形態では、撮像デバイス520は、Raspberry Piカメラモジュールであってもよい。加えて、装置500は、撮像デバイス520によって検出される光をフィルタ処理するように構成される、フィルタ550を備えてもよい。ある実施形態では、フィルタ550は、特定の波長を下回る光をフィルタ処理するように構成される、屈折率分布型(GRIN)レンズとして構成されてもよい。1つの具体的実施形態では、フィルタ550は、650nmを下回る光をフィルタ処理するように構成される、GRINレンズである。
【0033】
加えて、装置500は、励起光を放出するように構成される、光源510を備える。特定の実施形態では、光源510は、370nm~510nmの範囲内の光を放出するように構成される、LED光源である。示される具体的実施形態では、光源510は、約450nmの波長における光を放出するように構成される、LED光源である。示される実施形態では、装置500はまた、電気コネクタ560を介して、電力を光源510および撮像デバイス520に提供するように構成される、電力供給源540を備える。
【0034】
動作の間、装置500は、前述の実施形態に類似する様式において動作させられることができる。具体的には、光源510は、子宮内膜組織と関連付けられたヘモジデリンの内因性蛍光を明らかにするように選択される周波数において励起光(例えば、450nm)を放出するために使用されることができる。光源510から放出される光が、ヘモジデリンを含む、組織に指向されると、ヘモジデリンを含有する組織の部分は、蛍光を発するであろう。具体的には、ヘモジデリンは、フィルタ550を通して通過し、撮像デバイス520によって検出されるであろう、ある周波数における蛍光(例えば、550nm未満)を発するであろう。
【0035】
図8-10は、図7に示される実施形態を用いて取得される撮像データと2光子顕微鏡のものの比較を図示する。画像は、下記に提供される作業実施例説明により完全に説明されるように、寒天ゲル立方体内に調製されたサンプルから取得された。図8および9は、子宮内膜組織の陽性インジケーションを伴う、サンプルを図示するが、図10は、子宮内膜組織のインジケーションを含まない、サンプルを図示する。
【0036】
図に示されるように、図7に示される実施形態は、2光子顕微鏡のものと良好に相関する、撮像データを生産することが可能であった。図のそれぞれでは、上の画像は、図7の実施形態を用いて取得された画像であり、下の画像は、2光子顕微鏡を用いて取得された画像である。図7の実施形態を用いて取得された上の画像では、画像の赤色部分は、子宮内膜組織と関連付けられたヘモジデリンを示す。2光子顕微鏡を用いて取得された下の画像、子宮内膜組織の赤色インジケーションは、青色(結合組織を示す)でオーバーレイされ、青色オーバーレイに伴って桃色から赤色に変動する、子宮内膜インジケーションをもたらす。図8および9に示されるように、上の画像におけるインジケーションは、下の画像におけるインジケーションと良好に相関する。これは、陽性子宮内膜インジケーションが図7に示される実施形態を用いて正常に識別されたことを実証する。
【0037】
図10は、同様に、図7の実施形態および子宮内膜組織を含有しないサンプル内の2光子顕微鏡実施形態の両方に関する陽性インジケーションの欠如を実証する。これは、図7の実施形態が偽陽性を生産しなかったことを実証する。
【0038】
本明細書に開示される装置(例えば、図3、5、6、および8-10に図示されるものを含む)によって取得された画像は、子宮内膜組織の検出を補助するために使用されることができる。開示される装置は、したがって、ユーザが、子宮内膜組織を識別し、それを健康なもの(例えば、非子宮内膜組織)から区別することを可能にするために採用されることができる。これは、開示される装置のユーザが、子宮内膜組織を除去する一方、健康な組織の除去を最小限にすることによって、患者外傷を最小限にすることを可能にすることができる。これはまた、患者が外科手術手技を受ける時間量を低減させることができる。故に、本明細書に開示される装置および方法は、子宮内膜組織の識別に関して、既存の技法に優る実質的利点を提供する。
【0039】
本明細書で開示および請求されるデバイス、装置、および/または方法は全て、本開示に照らして、過度の実験を伴わずに、作製および実行されることができる。本発明のデバイス、装置、および方法は、特定の実施形態の観点から説明されるが、変形例が、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明される方法のステップまたはステップのシーケンスにおいて、デバイス、装置、および/または方法に適用されてもよいことが、当業者に明白となるであろう。当業者に明白となる全てのそのような類似代用および修正は、添付の請求項によって定義されるような本発明の精神、範囲、および概念内にあるとと見なされる。
【0040】
(作業実施例)
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を実証するために含まれる。当業者によって、以下に続く実施例に開示される技法は、本開示の実践において良好に機能することが本発明者によって発見された技法を表し、したがって、その実践のための好ましい態様を構成すると見なされ得ることが理解されるはずである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、多くの変更が、開示される具体的実施形態において行われることができ、依然として、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、同様または類似結果を取得することを理解するはずである
【0041】
研究方法は、いくつかの撮像ステップを通して、子宮内膜組織と組織学的実状を共位置合わせするように実装された。第1のステップは、それらを寒天ゲル立方体内に埋め込み、位置を安定化させ、組織変形および脱水を防止するためのものであった。本寒天は、撮像から組織学まで組織の周囲に留まり、3次元共位置合わせが、組織学およびOB/GYN病理医によって検証された子宮内膜症内のOCTおよびTPL標的の一意の光学性質を識別することを補助することを可能にする。
【0042】
23名の患者が、同意し、14名が、外科医によって、手術時に、子宮内膜症を有すると識別された。N=68個のサンプルが、分析された。子宮内膜症であると考えられた組織の外科手術査定は、73%の陽性予測値(PPV)と、93%の陰性予測値(NPV)とを認めた。同一サンプル上において、TPLは、ヘモジデリンが存在するサンプルの81%において、100%のPPVと、100%のNPVとを認めている。
【0043】
OCTは、腺が存在するサンプルの33%において、100%のPPVと、94%のNPVとを認めた。OCTによって見られた腺およびTPLによって見られたヘモジデリンの両方が、子宮内膜症を正しく診断する外科医の能力を改善している。故に、これらの撮像技法は、PPVを増加させ、より少ない健康な組織の除去を可能にし、手術手技を短縮させることによって、価値を増し得る。
【0044】
以下の参照文献の内容は、ここで参照することによって援用される。
米国特許5,079,262
米国特許5,211,938
米国特許9,482,513
【化1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】