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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176296
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】シーソースイッチ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/30 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
H01H23/30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160313
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2019057482の分割
【原出願日】2019-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】下山 峻
(57)【要約】
【課題】美観の確保と製造の容易性とを両立すること。
【解決手段】押圧操作によって揺動する揺動部5Bと、揺動部5Bの長手方向における少なくとも一端部に位置し、可撓性を有する第1支点F1と、揺動部5Bの長手方向における両端部の間に位置する第2支点F2と、揺動部5Bにおける第1支点F1が位置する端部の反対側の端部側に配置され、押圧操作による揺動部5Bの揺動によって揺動部5Bに接触する本体スイッチ6Aと、を備え、揺動部5Bは、揺動部5Bの長手方向における第1支点F1が位置する端部の反対側の端部への押圧操作量に応じて、揺動の支点が第1支点F1と第2支点F2とで切り替わり、第1支点F1は、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動する際に撓む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作によって揺動する揺動部と、
前記揺動部の長手方向における少なくとも一端部に位置し、可撓性を有する第1支点と、
前記揺動部の長手方向における両端部の間に位置する第2支点と、
前記揺動部における前記第1支点が位置する端部の反対側の端部側に配置され、前記押圧操作による前記揺動部の揺動によって前記揺動部に接触する本体スイッチと、
を備え、
前記揺動部は、前記揺動部の長手方向における前記第1支点が位置する端部の反対側の端部への押圧操作量に応じて、揺動の支点が前記第1支点と前記第2支点とで切り替わり、前記第1支点は、前記揺動部が前記第2支点を支点として揺動する際に撓むことを特徴とするシーソースイッチ。
【請求項2】
前記第2支点は、前記揺動部における前記第1支点が位置する端部の反対側の端部への前記押圧操作量に応じて前記揺動部が配置される基板との距離が変化し、
前記揺動部は、前記第2支点が前記基板に接触する状態では、前記第2支点を支点として揺動する請求項1に記載のシーソースイッチ。
【請求項3】
前記第1支点は、前記揺動部の長手方向における両端部に配設される請求項1~3のいずれか1項に記載のシーソースイッチ。
【請求項4】
正面に表示面を有する表示パネルと、
前記表示パネルの周りを囲む正面パネルと、
前記正面パネルに囲まれた請求項1~3のいずれか1項に記載のシーソースイッチと、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーソースイッチ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が押圧することによって入力操作を行うボタンの中には、スイッチを押す位置によってボタンが異なる動作をし、これにより、1つのスイッチで2種類の入力操作を可能としているものがある。例えば、特許文献1、2には、ボタンの長手方向における両端部をそれぞれ支点として揺動することができる、いわゆるシーソースイッチが記載されている。特許文献1、2に記載されたシーソースイッチは、長手方向における一端側を押圧した際には他端側を支点として揺動し、他端側を押圧した際には一端側を支点として揺動することが可能になっている。シーソースイッチは、このように押圧する位置に応じて揺動の仕方が変化することにより、2種類の入力操作を1つのスイッチで実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-152329号公報
【特許文献2】実開平6-26131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シーソースイッチは、シーソースイッチにおける入力操作を行う部分であり、入力操作時に揺動する部分である操作部と、操作部への入力操作時に操作部が接触することにより入力操作を検知するタクトスイッチとを有している。タクトスイッチは、シーソースイッチの長手方向における両端付近の2箇所の位置における、操作部の下方にそれぞれ配置されている。特許文献1、2に記載されているシーソースイッチでは、操作部の長手方向におけるいずれかの端部付近の位置に対して入力操作を行った場合には、反対側の端部付近を支点として揺動することにより、入力操作を行った側に位置するタクトスイッチが入力操作を検知する。
【0005】
しかしながら、シーソースイッチに対して入力操作が行われた際に、操作部の長手方向における端部付近を支点として操作部が揺動する場合、操作部は、入力操作が行われた側のタクトスイッチのみでなく、支点側のタクトスイッチにも接近する。このため、操作部とタクトスイッチとは、シーソースイッチに対して入力操作が行われた際に、当該入力操作に対応するタクトスイッチとは異なるタクトスイッチに対して操作部が接触することを抑制できるように、操作部とタクトスイッチとのクリアランスを、高い精度で確保する必要がある。この場合、シーソースイッチの製造に高い精度が要求される。
【0006】
一方で、シーソースイッチの支点を、特許文献1において従来技術として挙げているように、シーソースイッチの長手方向における中央付近に支点を設けて操作部を揺動させる場合、入力操作が行われた側の端部の反対側の端部がタクトスイッチから離れる方向に、操作部は揺動する。このため、操作部とタクトスイッチとのクリアランスについては高い精度は要求されず、製造は容易になるが、入力操作時には操作部が大きく揺動するため、シーソースイッチの周囲の部材との隙間が大きくなったり、入力操作が行われた側の端部の反対側の端部が浮き上がったりする等により、見栄えが悪くなる虞がある。これらのため、シーソースイッチは、美観の確保と製造の容易性とを両立するのは、大変困難なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、美観の確保と製造の容易性とを両立することのできるシーソースイッチ及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシーソースイッチは、押圧操作によって揺動する揺動部と、前記揺動部の長手方向における少なくとも一端部に位置し、可撓性を有する第1支点と、前記揺動部の長手方向における両端部の間に位置する第2支点と、前記揺動部における前記第1支点が位置する端部の反対側の端部側に配置され、前記押圧操作による前記揺動部の揺動によって前記揺動部に接触する本体スイッチと、を備え、前記揺動部は、前記揺動部の長手方向における前記第1支点が位置する端部の反対側の端部への押圧操作量に応じて、揺動の支点が前記第1支点と前記第2支点とで切り替わり、前記第1支点は、前記揺動部が前記第2支点を支点として揺動する際に撓む。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、正面に表示面を有する表示パネルと、前記表示パネルの周りを囲む正面パネルと、前記正面パネルに囲まれた上記シーソースイッチと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るシーソースイッチ及び電子機器は、美観の確保と製造の容易性とを両立することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る電子機器を示す正面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図2に示す揺動部及びヒンジの斜視図である。
図4図4は、図1のB-B断面図である。
図5図5は、実施形態2に係るシーソースイッチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るシーソースイッチ及び電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る電子機器1を示す正面図である。図2は、図1のA-A断面図である。図1図2に示すように、本実施形態1に係る電子機器1は、車両の内部に搭載される、例えば、AV(Audio Visual)一体型のカーナビゲーション装置である。電子機器1は、表示パネル2と、正面パネル3と、ボタン4と、シーソースイッチ5と、基板6と、ホルダ部7と、を有する。
【0014】
なお、以下の説明では、電子機器1の通常の使用時における上側を、電子機器1においても上側として説明し、電子機器1の通常の使用時における下側を、電子機器1においても下側として説明する。また、以下の説明では、電子機器1を正面パネル3側から見た際における左右方向を、電子機器1においても左右方向として説明する。
【0015】
表示パネル2は、矩形状に形成され、正面に表示面2Aを有している。正面とは、オペレータが視る面であって、カーナビゲーション装置の場合は車内前方に配置されるため、車内の後方に向く面となる。表示面2Aは、表示パネル2の矩形状よりも小さい矩形状をなし、表示パネル2の外縁2Bより内側に配置されている。表示パネル2は、本実施形態1では、表示面2Aが感圧式のタッチパネルとして構成されている。
【0016】
正面パネル3は、表示パネル2の周りを囲むように、矩形状に形成されている。正面パネル3は、表示パネル2の周りを囲む矩形状の枠部3Aと、枠部3Aの内側において表示パネル2の表示面2Aを開放する矩形状の窓部3Bと、を有している。
【0017】
ボタン4とシーソースイッチ5は、図1に示すように、正面パネル3の下側であって、正面パネル3の正面側において左右方向にそれぞれ複数が並んで配置されている。このうち、ボタン4は、押圧することによって所定の入力操作を行うことのできる入力部材になっており、シーソースイッチ5は、押圧する位置によって、異なる入力操作を行うことのできる入力部材になっている。ボタン4とシーソースイッチ5とは、上下方向における幅はほぼ同じ幅になっており、左右方向における長さは、ボタン4よりもシーソースイッチ5の方が長くなっている。これにより、シーソースイッチ5は、左右方向における一方側寄りの位置を押圧した場合と、他方側寄りの位置を押圧した場合とで、異なる入力操作を行うことが可能になっている。これらのように形成されるボタン4とシーソースイッチ5とは、それぞれ複数が、左右方向に並んで配置されている。
【0018】
シーソースイッチ5は、図2に示すように、キー5Aと、揺動部5Bと、ヒンジ5Cと、を有している。キー5Aは、正面パネル3の正面側であって外側に現れる部分であり、オペレータが押す操作をする部分である。揺動部5Bは、キー5Aの背面側に配置され、その背面側にヒンジ5Cが一体に接続されている。揺動部5B及びヒンジ5Cは、樹脂材で形成され、ヒンジ5Cは、弾性変形するように、棒状や板状に形成され、且つ、湾曲や屈曲して形成されている。従って、オペレータによりキー5Aが背面側に押された場合、キー5Aと揺動部5Bとは、ヒンジ5Cの変形によって揺動することにより、押された位置付近が背面側に移動可能に設けられている。シーソースイッチ5は、左右方向における
両端付近が、シーソースイッチ5への入力操作時に押す位置になっている。また、オペレータによるキー5Aの操作がされていない場合、ヒンジ5Cの弾性によって、キー5Aと共に揺動部5Bが正面側に移動した位置に付勢される。
【0019】
なお、正面パネル3は、図2に示すように、揺動部5Bの上下左右を囲むように案内部3Cが設けられ、案内部3Cによって、揺動部5Bの移動を案内するように構成されている。キー5Aは、揺動部5Bの移動を阻害しないように案内部3Cの正面側を覆って配置されている。
【0020】
基板6は、表示パネル2の下部において、表示パネル2の正面に沿って配置されている。本実施形態1において、基板6は、左右方向に連続して設けられている。基板6は、図2に示すように、正面にタクトスイッチである本体スイッチ6Aが実装されている。本体スイッチ6Aは、本体スイッチ6Aは、1つのシーソースイッチ5に対して2つが配置されており(図4参照)、各本体スイッチ6Aは、シーソースイッチ5における揺動部5Bの背面側に対向して配置されている。従って、本体スイッチ6Aは、オペレータによりキー5Aが背面側に押された場合に、ヒンジ5Cの変形によってキー5Aと揺動部5Bとが一体となって揺動することにより、キー5Aと揺動部5Bとにおける押された位置付近が背面側に移動することで、動作する。この基板6は、正面パネル3に収容されている。具体的に、正面パネル3は、上述した案内部3Cより背面に延びて上下左右を囲むケース部3Dが形成されている。基板6は、このケース部3Dに収容されている。
【0021】
ホルダ部7は、図2に示すように、表示パネル2の下部において、表示パネル2の正面と基板6の背面との間に挟まれるように設けられている。ホルダ部7は、板状に形成され、基板6が収容されている正面パネル3のケース部3Dにおける背面側を塞ぐように設けられ、正面パネル3に取り付けられている。具体的に、ホルダ部7は、正面パネル3の底部に形成された貫通穴3Eに挿入される突起7Aを有し、この貫通穴3Eへの突起7Aの嵌合により正面パネル3に取り付けられる。
【0022】
また、ホルダ部7は、正面パネル3に取り付けられることで、基板6の背面に当接して設けられる。上述したように、オペレータによりキー5Aが背面側に押された場合、ヒンジ5Cの変形によってキー5Aと揺動部5Bとが揺動し、押された位置付近が背面側に移動することで、基板6の本体スイッチ6Aが動作するが、この際、ホルダ部7は、基板6の背面に当接することで、基板6が背面側へ押されることへの反力を生じる。
【0023】
次に、シーソースイッチ5の揺動部5Bとヒンジ5Cについて説明する。図3は、図2に示す揺動部5B及びヒンジ5Cの斜視図である。図4は、図1のB-B断面図である。なお、図3は、揺動部5Bからキー5Aが取り外された状態で図示されている。シーソースイッチ5は、シーソースイッチ5を配置する配置部である基板6の正面側に配置されており、キー5Aと、揺動部5Bと、ヒンジ5Cと、接触部5Gとを含んでいる。
【0024】
揺動部5Bは、上述したように、シーソースイッチ5においてキー5Aの背面側に配置され、オペレータによりキー5Aが背面側に押された場合、本体スイッチ6Aを動作させるものである。つまり、揺動部5Bは、シーソースイッチ5への押圧操作によって揺動し、基板6との相対的な位置関係が変化することができるように配設されている。このため、揺動部5Bは、オペレータによりキー5Aが背面側に押された場合、揺動部5Bにおける押された位置付近が基板6に近付くことにより、基板6に配置される本体スイッチ6Aに接触し、本体スイッチ6Aを動作させることが可能になっている。揺動部5Bは、例えば、略直方体の形状をしたブロックとして構成され、樹脂材で形成されている。揺動部5
Bは、直方体の長手方向が電子機器1の左右方向になり、短手方向が電子機器1の上下方向になり、高さ方向が電子機器1の正面と背面の方向になる向きで配置されている。
【0025】
また、揺動部5Bは、背面側の面における、揺動部5Bの長手方向における中央付近の位置に、背面側に突出した突出部5Hが形成されている。突出部5Hは、揺動部5Bの背面側の面における突出部5H以外の部分よりも、背面側に突出している。突出部5Hは、例えば、一定の高さで揺動部5Bの短手方向に亘って形成されている。
【0026】
ヒンジ5Cは、上述したように、樹脂材で形成されて、揺動部5Bに一体に接続され、自身の弾性変形により、揺動部5Bを揺動可能に支持する。揺動部5Bは、背面側において上下左右の4箇所に背面側に延びる腕部5Fが設けられており、4箇所の腕部5Fは、揺動部5Bの背面側における4つの角部付近にそれぞれ配置されている。ヒンジ5Cは、このように形成される腕部5Fに接続されており、腕部5Fを介して揺動部5Bに連結されている。ヒンジ5Cは、第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとを有しており、第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとは、1つの揺動部5Bに対して2本ずつが設けられている。これらの第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとは、いずれも角棒の形状で形成され、端部が腕部5Fに連結されている。また、第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとは、揺動部5Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置されている。
【0027】
揺動部5Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置される第1ヒンジ5Dは、揺動部5Bに対して、揺動部5Bの短手方向において同じ側に連結されている。詳しくは、2つの第1ヒンジ5Dは、揺動部5Bに設けられる4つの腕部5Fのうち、電子機器1の上下方向における揺動部5Bの上側寄りに位置する2箇所の腕部5Fに、それぞれ一端が連結され、腕部5Fから、揺動部5Bの長手方向における、他方の第1ヒンジ5Dが位置する側の反対方向に延びている。即ち、1つの揺動部5Bに連結される2つの第1ヒンジ5Dは、揺動部5Bの長手方向における異なる端部付近で、且つ、揺動部5Bの短手方向における電子機器1の上側寄りの位置にそれぞれ連結され、揺動部5Bの長手方向に延びてい
る。このように腕部5Fを介して揺動部5Bに連結される第1ヒンジ5Dは、可撓性を有しており、揺動部5Bに連結される側の端部を支点として、撓むことが可能になっている。
【0028】
また、揺動部5Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置される第2ヒンジ5Eは、揺動部5Bに対して、揺動部5Bの短手方向において、第1ヒンジ5Dが連結される側の反対側に連結されている。詳しくは、揺動部5Bに連結される2つの第2ヒンジ5Eは、揺動部5Bに設けられる4つの腕部5Fのうち、電子機器1の上下方向における揺動部5Bの下側寄りに位置する2箇所の腕部5F(図3参照)に、それぞれ一端が連結されている。また、第2ヒンジ5Eの他端は、揺動部5Bにおける第1ヒンジ5Dが連結される側の位置、つまり、揺動部5Bの短手方向における電子機器1の上側の位置で、第1ヒンジ5Dに連結されている。
【0029】
詳しくは、第2ヒンジ5Eは、腕部5Fに連結されている位置から、揺動部5Bの長手方向における、他方の第2ヒンジ5Eが位置する側の反対方向に延びており、所定の位置で、揺動部5Bの短手方向において第1ヒンジ5Dに位置する方向に屈曲している。即ち、第2ヒンジ5Eは、屈曲部5Eaを有しており、屈曲部5Eaで、約90°屈曲している。このため、第2ヒンジ5Eは、腕部5Fに連結される側の端部と屈曲部5Eaとの間の部分は、揺動部5Bの長手方向に延び、第1ヒンジ5Dに連結される側の端部と屈曲部5Eaとの間の部分は、揺動部5Bの短手方向に延びている。その際に、第2ヒンジ5Eにおける腕部5Fに連結される側の端部と屈曲部5Eaとの間の部分は、第1ヒンジ5D
よりも正面側に位置している。このため、第2ヒンジ5Eにおける第1ヒンジ5Dに連結される側の端部と屈曲部5Eaとの間の部分は、屈曲部5Ea側から第1ヒンジ5D側に向かうに従って、正面側から背面側に向かう方向に傾斜している。
【0030】
また、第2ヒンジ5Eは、第1ヒンジ5Dと同様に可撓性を有しており、腕部5Fを介して揺動部5Bに連結される側の端部を支点として、撓むことが可能になっている。このため、揺動部5Bの長手方向において同じ側に位置し、且つ、第2ヒンジ5Eの端部が第1ヒンジ5Dに連結されることにより互いに連結される第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとは、一体となって撓むことが可能になっている。即ち、第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとを有するヒンジ5Cは、第1ヒンジ5Dと第2ヒンジ5Eとが一体となって撓むことが可能になっている。
【0031】
接触部5Gは、第1ヒンジ5Dにおける、腕部5Fを介して揺動部5Bに連結される側の端部の反対側の端部に連結されており、揺動部5Bの長手方向に延びる第1ヒンジ5Dの延長線上に配設されている。即ち、一端が揺動部5Bに連結される第1ヒンジ5Dは、他端が、接触部5Gに連結されている。接触部5Gは、電子機器1の上下方向に見た場合、即ち、揺動部5Bの短手方向に見た場合に、電子機器1の背面側に突出して形成されている。このように、第1ヒンジ5Dが連結される接触部5Gは、シーソースイッチ5において、シーソースイッチ5を配置する配置部である基板6に接触する部位になっている。接触部5Gは、電子機器1の背面側に突出した先端側の面が、基板6に接触する。
【0032】
基板6の正面側に配置される複数のシーソースイッチ5は、揺動部5Bの短手方向において揺動部5Bに対して第1ヒンジ5Dが連結される側、及び第2ヒンジ5Eが連結される側が、全て同じ側になっている。本実施形態1では、複数のシーソースイッチ5のうちの全てのシーソースイッチ5で、第1ヒンジ5Dは、揺動部5Bに対して、揺動部5Bの短手方向における電子機器1の上側に連結され、第2ヒンジ5Eは、揺動部5Bの短手方向における電子機器1の下側に連結されている。
【0033】
これらのように形成される揺動部5B、ヒンジ5C、腕部5F、接触部5Gは、樹脂材によりモールド成形などで一体に形成されている。
【0034】
揺動部5Bは、第1ヒンジ5Dに連結される接触部5Gが基板6の正面側に接触する状態で配置される。接触部5Gが基板6に接触する状態では、揺動部5Bと第1ヒンジ5Dとに連結される第2ヒンジ5Eは、正面パネル3において基板6を収容するケース部3Dの背面側に位置し、背面側からケース部3Dに接触する。詳しくは、第2ヒンジ5Eは、第1ヒンジ5Dに連結される側の端部と屈曲部5Eaとの間の部分が、ケース部3Dの背面側からケース部3Dに接触する。また、揺動部5Bの長手方向における両側に位置する第2ヒンジ5Eは、いずれもケース部3Dの背面側からケース部3Dに接触する。
【0035】
一方、揺動部5Bに形成される突出部5Hは、接触部5Gが基板6に接触してシーソースイッチ5に対して押圧操作が行われていない状態では、基板6から離間する。つまり、突出部5Hは、揺動部5Bにおける背面側に形成されるため、接触部5Gが基板6に接触する状態では基板6に対向し、且つ、シーソースイッチ5に対して押圧操作が行われていない状態では、突出部5Hは基板6から離間する。
【0036】
また、基板6に実装され、1つのシーソースイッチ5に対して2つが配置される本体スイッチ6Aは、揺動部5Bの長手方向における突出部5Hの両側の位置に、それぞれ配置されている。つまり、2つの本体スイッチ6Aは、基板6における、揺動部5Bの長手方向における突出部5Hの両側の位置に実装され、揺動部5Bに対向する。これらの本体スイッチ6Aは、シーソースイッチ5に対して押圧操作が行われていない状態では、揺動部5Bから離間する。
【0037】
本実施形態1に係るシーソースイッチ5及び電子機器1は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。シーソースイッチ5に対して入力操作を行う際には、オペレータが、例えば指によってシーソースイッチ5のキー5Aに対して押圧操作を行う。具体的には、シーソースイッチ5の長手方向における端部付近の位置に対して押圧操作を行う。
【0038】
なお、シーソースイッチ5は、長手方向における一方側の端部付近の位置に押圧操作を行った場合と、他方側の端部付近の位置に押圧操作を行った場合とで、電子機器1に対して異なる動作を行わせることができるため、それぞれの端部付近に対応付けられる動作の機能を表示するのが好ましい。例えば、シーソースイッチ5の長手方向におけるそれぞれの端部付近に押圧操作を行った場合の電子機器1の動作について、キー5Aの表面に表示したり、表示パネル2におけるシーソースイッチ5の近傍に表示したりするのが好ましい。
【0039】
シーソースイッチ5の長手方向における端部付近の位置に押圧操作を行った場合には、押圧操作を行った側が正面側から背面方向へ移動する方向に、シーソースイッチ5は揺動する。シーソースイッチ5が揺動をする際における支点として、本実施形態1に係るシーソースイッチ5は、第1支点F1と第2支点F2を有している。第1支点F1は、正面パネル3が有するケース部3Dと、第2ヒンジ5Eにおける第1ヒンジ5Dに連結される側の端部と屈曲部5Eaとの間の部分との接触部分になっており、揺動部5Bの長手方向における端部付近に位置する支点になっている。即ち、第1支点F1は、揺動部5Bの長手方向における両端部付近に配設されている。第2支点F2は、揺動部5Bの突出部5Hが基板6に接触することにより形成される支点になっており、揺動部5Bの長手方向における両端部の間に位置している。換言すると、揺動部5Bの突出部5Hは、第2支点F2として設けられており、基板6に接触することにより、支点として機能を発揮する。
【0040】
第1支点F1は、揺動部5Bの長手方向における両端部付近の2箇所に位置しているが、シーソースイッチ5に対して押圧操作をする際に、押圧操作をする位置によって、支点として機能する第1支点F1が切り替わる。また、第1支点F1と第2支点F2とは、シーソースイッチ5に対して押圧操作をする際における押圧操作量に応じて、揺動部5Bの揺動の支点が、第1支点F1と第2支点F2とで切り替わる。
【0041】
押圧操作に対するシーソースイッチ5の揺動について説明すると、シーソースイッチ5の長手方向における一方の端部付近に押圧操作Pa(図4参照)を行った場合には、まず、揺動部5Bの長手方向における他方の端部側の第1支点F1a(図4参照)を支点として、揺動部5Bはキー5Aと共に揺動Ra(図4参照)する。即ち、揺動部5Bは、長手方向において押圧操作Paを行った側の端部側が背面方向に移動する方向に、第1支点F1aを支点として揺動Raする。
【0042】
第1支点F1aは、揺動部5Bの長手方向における、押圧操作Paを行った位置からの距離が、揺動部5Bの長手方向における、押圧操作Paを行った位置から第2支点F2までの距離と比較して大きくなっている。このため、揺動部5Bが第1支点F1aを支点として揺動Raする際における、押圧操作量に対する揺動の角度は、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動Raする際における、押圧操作量に対する揺動の角度よりも小さくなっている。
【0043】
揺動部5Bが第1支点F1aを支点として揺動Raすると、基板6に対向する揺動部5Bの突出部5Hが基板6に近付き、突出部5Hが基板6に接触する。突出部5Hが基板6に接触した状態で押圧操作Paを続けると、揺動部5Bは、揺動の支点が第2支点F2に切り替わる。つまり、第2支点F2は、揺動部5Bにおける第1支点F1が位置する端部の反対側の端部付近に押圧操作を行う際の押圧操作量に応じて基板6との距離が変化し、揺動部5Bは、第2支点F2が基板6に接触する状態では、第2支点F2を支点として揺動する。このように、揺動部5Bは、揺動部5Bの長手方向における第1支点F1が位置する端部の反対側の端部への押圧操作量に応じて、揺動の支点が第1支点F1と第2支点
F2とで切り替わる。
【0044】
ここで、第1支点F1は、正面パネル3が有するケース部3Dと第2ヒンジ5Eとが接触することにより形成される支点になっており、第2ヒンジ5Eは、可撓性を有している。このため、第1支点F1も可撓性を有しており、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動する際には、第1支点F1は撓む。
【0045】
例えば、シーソースイッチ5の長手方向における一方の端部付近への押圧操作Paによって、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動Raする場合は、揺動部5Bの長手方向における他方の端部側の部分は、基板6からの距離が大きくなって正面側に向かう方向に移動する。このため、シーソースイッチ5の長手方向において押圧操作Paが行われた側の反対側の端部側に位置する第1支点F1aにも、正面側に向かう方向の力が作用するが、第1支点F1aを形成する第2ヒンジ5Eは、正面パネル3が有するケース部3Dに背面側から接触している。これにより、第2ヒンジ5Eは、背面側から正面側に向かう方向への移動が、ケース部3Dによって規制されている。
【0046】
一方で、第2ヒンジ5Eは、可撓性を有しているため、外部からの力によって撓むことが可能になっている。従って、第2支点F2を支点として揺動する揺動部5Bは、第2ヒンジ5Eが撓むことにより、第2ヒンジ5Eはケース部3Dに接触して第2ヒンジ5Eの位置は変化しない状態で、揺動部5B全体が揺動することができる。即ち、揺動部5Bは、長手方向において押圧操作Paが行われた側の反対側の端部側に位置する第1支点F1aが撓むことにより、第2支点F2を支点として揺動Raすることができる。
【0047】
揺動部5Bは、第2支点F2を支点として揺動Raすることにより、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Paを行われた側の端部寄りの部分は、背面方向へ移動し、揺動部5Bと基板6との間で基板6に配置される本体スイッチ6Aに接触する。その際に、本体スイッチ6Aは、1つのシーソースイッチ5に対して2つが配置されているが、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Raした場合には、2つの本体スイッチ6Aのうち、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Paが行われた側の端部寄りに位置する本体スイッチ6Aa(図4参照)に、揺動部5Bは接触する。
【0048】
つまり、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Raした際に揺動部5Bに接触する本体スイッチ6Aaは、2つの本体スイッチ6Aのうち、揺動部5Bにおける第1支点F1aが位置する端部の反対側の端部側に配置される本体スイッチ6Aになっている。この本体スイッチ6Aaは、シーソースイッチ5の長手方向における一方の端部付近への押圧操作Paによる揺動部5Bの揺動Raによって、揺動部5Bに接触する。
【0049】
本体スイッチ6Aaは、揺動部5Bが接触することにより動作し、シーソースイッチ5における、一方側の端部付近に押圧操作Paが行われたことを検知して、電子機器1の制御部(図示省略)に対して、シーソースイッチ5の一方側の端部付近に押圧操作Paが行われたことを伝達する。これにより、制御部は、シーソースイッチ5の一方側の端部付近に割り当てられている動作、つまり、シーソースイッチ5の一方側の端部付近に押圧操作Paが行われた際における動作を行うように、電子機器1を制御する。
【0050】
一方で、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Raした場合、揺動部5Bにおける、第2支点F2よりも押圧操作Paを行われた側の端部の反対側に位置する部分は、正面パネル3が有するケース部3Dと第2ヒンジ5Eとが接触することにより形成される第1支点F1aにより、正面方向への移動が規制される。このため、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Raした場合は、揺動部5Bは、2つの本体スイッチ6Aのうち、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Paが行われた側の端部の反対側の端部寄りに位置する本体スイッチ6Ab(図4参照)から、正面方向に離れる力が作用するが、第1支点F1aが撓むことにより、第2支点F2よりも押圧操作Paを行われた側の端部の反対
側に位置する部分の正面方向への浮き上がりを抑制しつつ、本体スイッチ6Aa(図4参照)が確実に操作される。
【0051】
これと同様に、シーソースイッチ5の長手方向における他方の端部付近に押圧操作Pb(図4参照)を行った場合には、揺動部5Bの長手方向における一方の端部側の第1支点F1b(図4参照)を支点として、揺動部5Bはキー5Aと共に揺動Rb(図4参照)する。即ち、揺動部5Bは、長手方向において押圧操作Pbを行った側の端部側が背面方向に移動する方向に、第1支点F1bを支点として揺動Rbする。
【0052】
第1支点F1bは、揺動部5Bの長手方向における、押圧操作Pbを行った位置からの距離が、揺動部5Bの長手方向における、押圧操作Pbを行った位置から第2支点F2までの距離と比較して大きくなっている。このため、揺動部5Bが第1支点F1bを支点として揺動Rbする際における、押圧操作量に対する揺動の角度は、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動Rbする際における、押圧操作量に対する揺動の角度よりも小さくなっている。
【0053】
揺動部5Bが第1支点F1bを支点として揺動Rbすると、基板6に対向する揺動部5Bの突出部5Hが基板6に近付き、突出部5Hが基板6に接触する。これにより、揺動部5Bは、揺動の支点が第1支点F1bから第2支点F2に切り替わる。
【0054】
第1支点F1b側の第2ヒンジ5Eも、第1支点F1a側の第2ヒンジ5Eと同様に可撓性を有しているため、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動する際には、第1支点F1b側の第2ヒンジ5Eが、当該第2ヒンジ5Eと共に第1支点F1bを形成するケース部3Dに接触した状態で撓む。これにより、第2ヒンジ5Eの位置は変化しない状態で、揺動部5B全体が揺動することができる。即ち、揺動部5Bは、長手方向において押圧操作Pbが行われた側の反対側の端部側に位置する第1支点F1bが撓むことにより、第2支点F2を支点として揺動Rbすることができる。
【0055】
揺動部5Bは、第2支点F2を支点として揺動Rbすることにより、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Pbを行われた側の端部寄りの部分が、背面方向へ移動する。これにより、揺動部5Bは、2つの本体スイッチ6Aのうち、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Pbが行われた側の端部寄りに位置する本体スイッチ6Abに接触する。
【0056】
つまり、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Rbした際に揺動部5Bに接触する本体スイッチ6Abは、2つの本体スイッチ6Aのうち、揺動部5Bにおける第1支点F1bが位置する端部の反対側の端部側に配置される本体スイッチ6Aになっている。この本体スイッチ6Abは、シーソースイッチ5の長手方向における他方の端部付近への押圧操作Pbによる揺動部5Bの揺動Rbによって、揺動部5Bに接触する。
【0057】
本体スイッチ6Abは、揺動部5Bが接触することにより動作し、シーソースイッチ5における、他側の端部付近に押圧操作Pbが行われたことを検知して、電子機器1の制御部に対して、シーソースイッチ5の他方側の端部付近に押圧操作Pbが行われたことを伝達する。これにより、制御部は、シーソースイッチ5の他方側の端部付近に割り当てられている動作、つまり、シーソースイッチ5の他方側の端部付近に押圧操作Pbが行われた際における動作を行うように、電子機器1を制御する。
【0058】
一方で、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Rbした場合、揺動部5Bにおける、第2支点F2よりも押圧操作Pbを行われた側の端部の反対側に位置する部分は、正面パネル3が有するケース部3Dと第2ヒンジ5Eとが接触することにより形成される第1支点F1bにより、正面方向への移動が規制される。このため、第2支点F2を支点として揺動部5Bが揺動Rbした場合は、揺動部5Bは、2つの本体スイッチ6Aのうち、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Pbが行われた側の端部の反対側の端部寄りに位置する本体スイッチ6Aa(図4参照)から、正面方向に離れる力が作用するが、第1支点F1bが撓むことにより、第2支点F2よりも押圧操作Pbを行われた側の端部の反対
側に位置する部分の正面方向への浮き上がりを抑制しつつ、本体スイッチ6Ab(図4参照)が確実に操作される。
【0059】
シーソースイッチ5は、これらのように、長手方向における一方側の端部付近に押圧操作Paを行った場合と、他方側の端部付近に押圧操作Pbを場合とで、異なる本体スイッチ6Aに揺動部5Bを接触させることができるため、押圧する位置によって、異なる入力操作を行うことができる。
【0060】
また、シーソースイッチ5に対して押圧操作を行った後、オペレータがシーソースイッチ5から指を離した場合は、揺動部5Bは第2ヒンジ5Eの弾力性により、押圧した側の端部付近が基板6から離れる方向に、揺動部5Bが揺動する。つまり、シーソースイッチ5の長手方向における一方の端部付近に押圧操作Paを行った後、押圧力の付与を終了した場合は、揺動部5Bは、他方の端部側の第1支点F1aを形成する第2ヒンジ5Eの弾力性により、押圧操作Paを行った側の端部付近が基板6から離れる方向に、揺動部5B全体が揺動する。これにより、揺動部5Bは本体スイッチ6Aaから離間し、第2支点F2を形成する揺動部5Bの突出部5Hも基板6から離間する。
【0061】
同様に、シーソースイッチ5の長手方向における他方の端部付近に押圧操作Pbを行った後、押圧力の付与を終了した場合は、揺動部5Bは、一方の端部側の第1支点F1bを形成する第2ヒンジ5Eの弾力性により、押圧操作Pbを行った側の端部付近が基板6から離れる方向に、揺動部5B全体が揺動する。これにより、揺動部5Bは本体スイッチ6Abから離間し、第2支点F2を形成する揺動部5Bの突出部5Hも基板6から離間する。これらにより、シーソースイッチ5に対して押圧操作を行った後に、オペレータがシーソースイッチ5から指を離した場合は、シーソースイッチ5は、押圧操作が行われる前の状態に戻る。
【0062】
以上の実施形態1に係るシーソースイッチ5及び電子機器1は、揺動部5Bの長手方向における第1支点F1が位置する端部の反対側の端部への押圧操作量に応じて、揺動部5Bの揺動の支点が第1支点F1と第2支点F2とで切り替わるため、押圧操作の途中で、揺動部5Bの揺動の仕方を変化させることができる。つまり、揺動部
5Bが第1支点F1を支点として揺動する範囲では、押圧操作量に対する揺動の角度を小さくすることができるため、シーソースイッチ5の揺動時に、シーソースイッチ5と正面パネル3との隙間が大きくなったりすること等による見栄えの悪化を抑制することができる。
【0063】
また、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動する範囲では、揺動部5Bの長手方向において押圧操作が行われた側の端部の反対側の端部の浮き上がりを抑制することができる。これにより、シーソースイッチ5に対して押圧操作を行った際に、当該押圧操作に対応する本体スイッチ6Aとは異なる本体スイッチ6Aに対して揺動部5Bが接触することを抑制しつつ、シーソースイッチ5のキー5Aの浮き上がりによる見栄えの悪化を抑制することができる。これらの結果、美観の確保と製造の容易性とを両立することができる。
【0064】
また、揺動部5Bの突出部5Hは、揺動部5Bへの押圧操作量に応じて基板6との距離が変化し、第2支点F2は、揺動部5Bの突出部5Hが基板6に接触することにより、揺動部5Bの揺動の支点として機能する。このため、揺動部5Bは、揺動する際の支点を、揺動部5Bへの押圧操作量に応じて容易に第1支点F1と第2支点F2とで切り変えることができる。この結果、より容易に美観の確保と製造の容易性とを両立することができる。
【0065】
また、第1支点F1は可撓性を有しており、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動する際に第1支点F1は撓むため、揺動部5Bが第2支点F2を支点として揺動する際に、より確実に揺動させることができる。これにより、揺動部5Bが揺動する際の支点を、より確実に第1支点F1と第2支点F2とで切り変えることができる。この結果、より確実に美観の確保と製造の容易性とを両立することができる。
【0066】
また、第1支点F1は、揺動部5Bの長手方向における両端部に配設されるため、シーソースイッチ5の長手方向におけるいずれの端部寄りの位置に対して押圧操作を行った場合でも、押圧操作量に応じて第1支点F1と第2支点F2とを切り替えて揺動部5Bを揺動させることができる。この結果、より確実に美観の確保と製造の容易性とを両立することができる。
【0067】
[実施形態2]
実施形態2に係るシーソースイッチ5は、実施形態1に係るシーソースイッチ5と略同様の構成であるが、揺動部5Bが接触するタクトスイッチとして、本体スイッチ6Aの他に、補助スイッチ6Bが設けられる点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0068】
図5は、実施形態2に係るシーソースイッチ5の断面図である。実施形態2に係るシーソースイッチ5は、実施形態1に係るシーソースイッチ5と同様に、第1支点F1と第2支点F2を有し、揺動部5Bの長手方向における第1支点F1が位置する端部の反対側の端部への押圧操作量に応じて、揺動部5Bの揺動の支点が、第1支点F1と第2支点F2とで切り替わる。さらに、実施形態2に係るシーソースイッチ5は、第2支点F2に対向する位置に、補助スイッチ6Bが配置されている。
【0069】
詳しくは、補助スイッチ6Bは、本体スイッチ6Aと同様にタクトスイッチとして設けられており、基板6における2つの本体スイッチ6Aの間の位置に実装されている。即ち、補助スイッチ6Bは、揺動部5Bの突出部5Hに対向する位置に実装されている。揺動部5Bの突出部5Hは、シーソースイッチ5に対して押圧操作が行われていない状態では、補助スイッチ6Bから離間している。第2支点F2として設けられる突出部5Hは、補助スイッチ6Bに接触することにより、支点としての機能を発揮する。
【0070】
補助スイッチ6Bを有する実施形態2に係るシーソースイッチ5では、本体スイッチ6Aは、補助スイッチ6Bと協働して機能する。具体的には、補助スイッチ6Bは、シーソースイッチ5に対する押圧操作量が相対的に小さい、第1ストロークの時に機能するタクトスイッチとして用いられ、本体スイッチ6Aは、シーソースイッチ5に対する押圧操作量が第1ストロークより大きい、第2ストロークの時に機能するタクトスイッチとして用いられる。この場合における第1ストロークは、シーソースイッチ5に対して押圧操作を行った際に、揺動部5Bが補助スイッチ6Bには接触し、本体スイッチ6Aには接触しない押圧操作量になっており、第2ストロークは、揺動部5Bが補助スイッチ6Bと本体スイッチ6Aとのいずれにも接触する押圧操作量になっている。本体スイッチ6Aは、補助スイッチ6Bに対して押圧されている状態で押圧されることにより、補助スイッチ6Bと協働して機能する。
【0071】
次に、実施形態2に係るシーソースイッチ5の動作について説明する。シーソースイッチ5に対して、例えば、シーソースイッチ5の長手方向における一方の端部付近に押圧操作Paを行った場合には、揺動部5Bの長手方向における他方の端部側の第1支点F1aを支点として、揺動部5Bはキー5Aと共に揺動Raする。即ち、揺動部5Bは、長手方向において押圧操作Paを行った側の端部側が背面方向に移動する方向に、第1支点F1aを支点として揺動Rbする。
【0072】
揺動部5Bが第1支点F1aを支点として揺動Raすると、揺動部5Bに形成される突出部5Hは、突出部5Hに対向する補助スイッチ6Bに近付き、突出部5Hは補助スイッチ6Bに接触する。即ち、シーソースイッチ5への押圧操作Paの押圧操作量が第1ストロークに達したら、突出部5Hは補助スイッチ6Bに接触する。
【0073】
これにより、補助スイッチ6Bは、シーソースイッチ5への押圧操作Paの押圧操作量が第1ストロークに達したことを検知し、第1ストロークの押圧操作量で押圧操作が行われたことを電子機器1の制御部に対して伝達する。制御部は、シーソースイッチ5への押圧操作の押圧操作量が第1ストロークに達した際に行う動作として予め設定されている動作を行うように、電子機器1を制御する。補助スイッチ6Bは、このように第1支点F1を支点とする揺動部5Bの揺動によって操作される。
【0074】
シーソースイッチ5への押圧操作量が第1ストロークに達し、突出部5Hが補助スイッチ6Bに接触したら、揺動部5Bは、揺動の支点が第1支点F1aから第2支点F2に切り替わる。この場合における第2支点F2は、揺動部5Bの突出部5Hが補助スイッチ6Bに接触することにより形成される支点になっている。
【0075】
揺動部5Bの揺動の支点が、第1支点F1aから第2支点F2に切り替わった状態で、シーソースイッチ5の一方の端部付近への押圧操作Paを継続すると、揺動部5Bは、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Paが行われた側の端部寄りに位置する本体スイッチ6Aaに接触する。即ち、シーソースイッチ5への押圧操作Paの押圧操作量が第2ストロークに達したら、揺動部5Bは本体スイッチ6Aaに接触する。
【0076】
これにより、本体スイッチ6Aaは、シーソースイッチ5への押圧操作Paの押圧操作量が第2ストロークに達したことを検知し、第2ストロークの押圧操作量で押圧操作Paが行われたことを電子機器1の制御部に対して伝達する。制御部は、シーソースイッチ5の長手方向における一方の端部付近に押圧操作Paを行った場合における押圧操作量が、第2ストロークに達した際に行う動作として予め設定されている動作を行うように、電子機器1を制御する。本体スイッチ6Aは、このように第2支点F2を支点とする揺動部5Bの揺動によって操作される。
【0077】
また、シーソースイッチ5に対して、長手方向における他方の端部付近に押圧操作Pbを行った場合も同様に、揺動部5Bの長手方向における一方の端部側の第1支点F1bを支点として、揺動部5Bはキー5Aと共に揺動Rbする。揺動部5Bが第1支点F1bを支点として揺動Rbし、シーソースイッチ5への押圧操作Pbの押圧操作量が第1ストロークに達したら、突出部5Hは補助スイッチ6Bに接触する。
【0078】
これにより、補助スイッチ6Bは、第1ストロークの押圧操作量で押圧操作が行われたことを制御部に対して伝達し、制御部は、シーソースイッチ5への押圧操作の押圧操作量が第1ストロークに達した際に行う動作として予め設定されている動作を行うように、電子機器1を制御する。
【0079】
シーソースイッチ5への押圧操作量が第1ストロークに達し、突出部5Hが補助スイッチ6Bに接触したら、揺動部5Bは、揺動の支点が第1支点F1bから第2支点F2に切り替わる。揺動部5Bの揺動の支点が、第1支点F1bから第2支点F2に切り替わった状態で押圧操作Pbを継続し、押圧操作Pbの押圧操作量が第2ストロークに達したら、揺動部5Bは、揺動部5Bの長手方向において押圧操作Pbが行われた側の端部寄りに位置する本体スイッチ6Abに接触する。
【0080】
これにより、本体スイッチ6Abは、第2ストロークの押圧操作量で押圧操作Pbが行われたことを制御部に対して伝達する。制御部は、シーソースイッチ5の長手方向における他方の端部付近に押圧操作Pbを行った場合における押圧操作量が、第2ストロークに達した際に行う動作として予め設定されている動作を行うように、電子機器1を制御する。
【0081】
本実施形態2では、本体スイッチ6Aは、補助スイッチ6Bに突出部5Hが接触していることを検知した状態で揺動部5Bの接触を検知するため、補助スイッチ6Bと協働して機能する。これにより、例えば、シーソースイッチ5が、電子機器1で再生することのできる動画等のコンテンツの再生用のスイッチとして用いられる場合、第1ストロークでコンテンツの再生が開始、或いは停止され、第2ストロークでコンテンツの高速再生、或いは逆再生を行わせる等の、第1ストロークと第2ストロークとで関連した機能を設定することができる。
【0082】
以上の実施形態2に係るシーソースイッチ5及び電子機器1は、第2支点F2に対向する位置に補助スイッチ6Bが配置されるため、シーソースイッチ5に3つ以上の機能を設定することができる。これにより、シーソースイッチ5の高機能化を図ることができ、電子機器1に対して入力操作を行うボタン4やシーソースイッチ5等の部材を増やすことなく、複数の入力操作を容易に行うことができる。この結果、複数の種類の入力操作を行う際の操作性を向上させることができる。
【0083】
また、シーソースイッチ5に3つ以上の機能を設定することにより、入力操作の種類の数に対して、ボタン4やシーソースイッチ5等の入力操作を行う部材の数を減らすことができる。この結果、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0084】
また、補助スイッチ6Bは、第1支点F1を支点とする揺動部5Bの揺動によって操作され、本体スイッチ6Aは、第2支点F2を支点とする揺動部5Bの揺動によって操作されるため、補助スイッチ6Bの操作と本体スイッチ6Aの操作とを、シーソースイッチ5に対する一連の押圧操作で切り替えることができる。この結果、複数の種類の入力操作を行う際の操作性を、より確実に向上させることができる。
【0085】
また、本体スイッチ6Aは、補助スイッチ6Bと協働するため、シーソースイッチ5に、複数の関連した機能を設定することができる。これにより、関連した複数の入力操作を1つのシーソースイッチ5で行わせることができる。この結果、複数の種類の入力操作を行う際の操作性を、より確実に向上させることができる。
【0086】
[変形例]
なお、上述した実施形態1、2では、第1支点F1は、揺動部5Bの長手方向における両端部付近に配設されているが、第1支点F1は、一箇所であってもよい。つまり、上述した実施形態1、2では、第1支点F1は1つのシーソースイッチ5の2箇所に配設され、本体スイッチ6Aは1つのシーソースイッチ5に2つが設けられているが、第1支点F1は1箇所であってもよく、本体スイッチ6Aも1つが設けられるのみであってもよい。第1支点F1や本体スイッチ6Aが1箇所ずつである場合でも、本体スイッチ6Aの配設位置が、揺動部5Bの長手方向における第1支点F1が位置する端部の反対側の端部側に配置されることにより、シーソースイッチ5への押圧操作による揺動部5Bの揺動によって、揺動部5Bを本体スイッチ6Aに接触させることができる。このように、第1支点F1は、揺動部5Bの長手方向における少なくとも一端部に位置していればよい。
【符号の説明】
【0087】
1 電子機器
2 表示パネル
3 正面パネル
4 ボタン
5 シーソースイッチ
5A キー
5B 揺動部
5C ヒンジ
5D 第1ヒンジ
5E 第2ヒンジ
5Ea 屈曲部
5G 接触部
5H 突出部
6 基板
6A 本体スイッチ
6B 補助スイッチ
7 ホルダ部
F1 第1支点
F2 第2支点
図1
図2
図3
図4
図5